JP2009103930A - 音データ生成装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想空間100には、仮想の重力場など仮想粒子200の運動に影響を与える各種の条件が設定されている。一列に配置されたスプリンクラ150により多数の仮想粒子200が仮想空間100内に放出される。ユーザにより操作弦120が移動されると、仮想粒子200との衝突で発音する付随弦125が該移動経路をなぞるように繰り返し移動する。仮想粒子200と付随弦125の相互作用は、操作弦120単独の操作により実現される相互作用と比較して多様性を増しており、付随弦125と仮想粒子200との相互作用によりランダムで多様な音の生成が可能となる。
【選択図】図13
Description
例えば、「雨降りの音」ならば、「ザーザー」、「そよ風の音」ならば「ヒューヒュー」など、自然現象ごとに特徴的な波形の音があるが、上記特許文献1などにおいては、自然現象における音の特徴を模した波形データを繰り返し音声へ変換することにより自然現象の音を再現している。
そのように、自然界において発生している音は、総体として聴いた場合には個々の相互作用に由来する音の成分が区別されて聴取されることは無いが、実際は毎回異なる音から構成される2度と再現できない音が発生しているのである。そのような音の「ランダム性」や「非再現性」が自然界の音に「自然らしさ」を与えていると考えられる。
本発明に係る音データ生成装置は、コンピュータの演算によって形成される仮想空間の中に多数の仮想粒子を放出させるとともに、振動体(弦など)を仮想空間の中で移動させる。そして、仮想粒子と振動体との相互作用(衝突など)の状況を演算し、その演算結果による振動体の振動状態に基づいて音データを生成するものである。
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施する際の最良の形態について説明する。
図2は、本発明に係る音データ生成システム1の全体構成を示す図である。音データ生成システム1は、プログラム実行装置としての音データ生成装置10と、マウス20と、モニタ30と、多点コントローラ40とを有する。
まず、音データ生成装置10のハードウェア構成について図3を参照して説明する。
音データ生成装置10は、制御部101、光ディスク再生部102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、I/O部105を有する。それら各部はバス109を介して互いに接続されている。
ROM103は、制御部101が実行する各種制御プログラムを格納している。
RAM104は、制御部101によってワークエリアとして利用される。
以上が音データ生成装置10の構成である。
また、ボタン22が押下(以下、クリック)されると、マウス20はクリック操作がなされたことを示すクリック操作信号を生成し、通信ケーブル23を介して出力する。クリック操作信号を受取った制御部101は、クリック時にカーソルが位置していた座標を認識し、当該座標に表示されているアイコンなどに対して選択処理が行われたと認識する。
また、ボタン22を押下した状態で本体21が移動され、その後ボタン22の押下を解除する操作(以下、ドラッグ)がなされると、ボタン22が押下されていた間の本体21の移動方向と移動量、およびドラッグ操作がなされたことを示す信号を生成し、通信ケーブル23を介して出力する。該信号を受取った制御部101は、ドラッグ操作により選択された画面上の領域や該領域に含まれるアイコンなどに対して選択処理が行われたと認識する。
また、図5に示すように、モニタ画面の下方には音データ再生部30aが設けられ、音データ生成装置10から受取った音データに基づいて音が放音される。
次に、ROM103に格納された制御プログラムについて説明する。なお、制御プログラムには、音データ生成装置10の制御部101が音データを生成するために実行する各種プログラムが含まれ、以下では主要なもののみ取り上げて説明する。
空間特性制御プログラムは、重力などの仮想空間100に設定され仮想粒子200の運動に影響を及ぼす各種特性を制御する。オブジェクト制御プログラムは、仮想空間100内に仮想粒子200を出現させるオブジェクト(スプリンクラ150)や、上記弦の配置などを制御する。粒子運動制御プログラムは、仮想空間100内における仮想粒子200の運動を計算する。弦振動制御プログラムは、仮想空間100に設けられる振動体(例えば弦)の振動状況を演算する。映像制御プログラムは、演算結果として与えられる仮想空間100内の仮想粒子200の運動や振動体の振動などの挙動をテレビジョンモニタ画面上へ表示させる。音データ生成プログラムは、振動体の振動状態に基づいて音データを生成する。
以下では、空間特性制御プログラムによる仮想空間100の制御について説明する。
図7は、モニタ30の画面の一例を示した図である。画面には、仮想空間100の枠組みが表示されている。また、仮想空間100の右側には、制御パネル400が表示されている。仮想空間100は、ユーザによる制御パネル400に対する操作に基づき、以下のように制御される。
以下では、粒子運動制御プログラムによる仮想粒子200の運動の制御方法について説明する。
(1)仮想粒子200の出現
まず、仮想粒子200の出現について図9を用いて説明する。本実施形態における仮想空間100には、仮想粒子200を仮想空間100に発生させるための装置として、スプリンクラ150が設けられる。
ROM103に格納された粒子運動制御プログラムは、仮想空間100内での仮想粒子200の運動を以下に説明するルール(a)〜(c)に従って制御する。なお、以下のルールは、地球上の物体の力学的性質および力学的法則を模したものである。
(a)仮想粒子200は、所定の体積(v)および質量(m)を有している。
(b)仮想粒子200に働く力Fと仮想粒子200の質量mと加速度αとの間にはF=mαの関係がある。たとえば本実施形態においては、仮想空間100の下向きに重力場が存在するため、仮想粒子200には常にmg(gは重力加速度)の大きさの力が仮想空間100の下向きに働く。
(c)仮想粒子200同士、および仮想粒子200と仮想空間100の枠組みが衝突した場合には、跳ね返り係数1で完全弾性衝突をする。
仮想空間100の枠組みの底辺に達した仮想粒子200は消滅するよう設定されている。
音データ生成装置10は、ROM103に格納された音データ生成プログラムにより、以下に説明するように音データを生成する。
以下では、音データ生成装置10が音データを生成する際の各部の動作について説明する。
まず、音データ生成装置10の電源が投入されると、制御部101はROM103から各種制御プログラムを読み出し、RAM104にロードする。
まず、制御部101は、初期設定処理を行う。図10は、初期設定処理の流れを示したフローチャートである。
ステップSA100においては、仮想空間100の空間特性の設定がなされる。音データ生成システム1のユーザは、図9に示す制御パネル400の空間特性アイコン404を押下し、モニタ30に図8に示すパラメータ設定のための画面を表示させる。そして制御部101は、入力された内容に応じて仮想空間100の空間特性、すなわち仮想空間100における重力場および抵抗力の設定を行う。
また、抵抗力の設定において、比例定数の値が書き込まれると、仮想粒子200の移動速度に比例した抵抗力が移動と逆方向に働く。そして、その比例定数に対応してまるで空気や水が仮想空間100に満たされているような環境に設定される。
仮想粒子200を仮想空間100に放出させる処理の説明に入る前に、仮想粒子200との相互作用により発音を行う振動体を仮想空間100に設定する振動体設定処理について図12を参照して説明する。なお、振動体設定処理は、後述する音データ生成処理の最中に割り込み処理として随時行われる。
そこで、ユーザがタッチパネル42を押下したまま押下点をずらすと、図13に示すように、操作弦120は移動する(図中矢印参照)。移動が終了し、移動先で操作弦120が静止したと判断されると、上記操作弦120の移動が開始された点に、付随弦125が生成される。該生成された付随弦125は、操作弦120と同じ経路を操作弦120の3倍の速度で移動し、操作弦120が移動に要した時間の3分の1の時間で移動後の操作弦120の位置に到達する。付随弦125は、操作弦120の位置に到達すると同時に、移動の開始位置に戻り再び同じ態様での移動を開始する。付随弦125は、このような操作弦120の移動を3倍の速さで繰り返す処理を3度行う。
図14は、上述した操作弦120および付随弦125の移動のタイムスケジュールを示した図である。同図からも明らかであるように、操作弦120が移動に要した時間と同じ長さの時間(T)に、付随弦125が3回移動する。図13に示した仮想空間100において、付随弦125は、該3回の移動の各回において仮想粒子200の軌道を横切ることから、付随弦125と仮想粒子200は複数回相互作用する。なお、図13は、例えば時刻t1またはt2またはt3の時点での仮想空間100の状態に相当する。
ステップSC170において、制御部101は、振動体設定処理が終了したか否かを判定する。ステップSC170の判定結果が“YES”である場合は、本振動体設定処理を終了する。ステップSC170の判定結果が“NO”である場合は、再びステップSC100以降の処理を行う。以上が振動体設定処理の流れである。
初期設定処理がなされると、制御部101は音データ生成処理を開始する。図11は、音データ生成処理の流れを示したフローチャートである。
なお、ステップSB120においては、ステップSB110にて仮想空間100に出現した仮想粒子200の全てについて同時にその軌道の算出が行われるため、ランダムに出現した多数の仮想粒子200が互いに相互作用を高頻度で繰り返すこととなる。従って、仮に仮想空間100の各種設定が同一であっても、毎回異なった仮想粒子200の挙動が引き起こされる。
ステップSB160において、付随弦125の振動状態に基づいて音データが生成される。
ステップSB160が終わると、付随弦125と相互作用した仮想粒子200について、ステップSB120以降の処理が再び実行される。
制御部101は、RAM104に書き込まれた設定情報を読み出すことにより、再度同じ条件設定下で音データの生成処理を行うことができる。なお、そのように同様の条件設定で再び音データを生成したとしても、各仮想粒子200の挙動は毎回異なるため、微視的には異なる音データが生成される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。
また、上記実施形態においては、付随弦125を3回繰り返し出現させたが、その場合、該出現の度に付随弦125の発音態様を上述のように変えて、連続して異なる音が生成されるようにしても良い。例えば、付随弦125により生成される音の振幅を1回ごと小さくすれば、エコー効果に類似した効果を付与することができる。
また、上記のように、操作弦120と付随弦125とで異なる特性を設定する場合、または、複数設けられる付随弦125の間で異なる特性を設定する場合、操作弦120や付随弦125を互いに異なる態様でモニタ30に表示しても良い。例えば、操作弦120および付随弦125の弦の長さや弓の形状などを上記物理シミュレーションにおける各種パラメータと対応させるように表示しても良い。
(A)1つの操作弦120に対して複数の付随弦125が同時に設けられるようにしても良い。複数の付随弦125が設けられるようにすれば、操作弦120の操作により更に多様な音(和音など)を発音させることができる。
(B)付随弦125の移動の繰り返し回数は3回に限られず、1、2、4以上の回数でも良い。
(C)付随弦125の移動の軌跡は、操作弦120の軌跡と同様ではなくても良い。例えば、操作弦120の移動前と移動後の位置をつなぐ直線上を移動するようにしても良い。(D)操作弦120の移動後の位置から移動前の位置に戻るように付随弦125を移動させても良い。
(E)付随弦125の移動を繰り返す際の速度は、3倍ではなくその他のいずれの速度で繰り返しても良い。速度の制御方法は、上記実施形態のように、操作弦120の移動速度の所定数倍で移動するとしても良いし、加速度をつけて操作弦120を追尾するようにしても良い。
面を仮想空間100に設ける場合には、面と仮想粒子200との相互作用の際に、振動面に関する物理的シミュレーションを行い、面特有の音データを生成するようにすれば良い。なお、仮想空間100の表示は2次元であるため、面を面の断面図で表示されるようにしても良い。すなわち、例えば仮想空間100内で始点と終点とが指定された場合には、指定された始点と終点とを結ぶ直線が面の断面となるように、そして面と仮想空間100の表示画面が直交するように面が設けられるとすれば良い。
また、上記実施形態においては、仮想粒子200は付随弦125と相互作用した場合に、反発せずそのまま付随弦125を通過する場合について説明したが、面との相互作用においては、仮想粒子200は跳ね返るとの条件を設けても良い。
図15は、規制体の一例であるウォール160の配置に際するモニタ30の画面表示の一例である。ユーザにより制御パネル400下部のウォールアイコン405がクリックされた後ドラッグ操作がなされると、制御部101は該ドラッグ操作の始点と終点を対角線とする長方形の領域をウォール160として画面上に表示させる。例えば、カーソル170が図中170(a)から170(b)の位置までドラッグされると、ウォール160(a)が設定される。
また、カーソル170を、一旦設定されたウォール160の頂点に合わせてボタン22を押下し、押下したままマウス20を移動する操作がなされると、ウォール160の重心を中心としてカーソル170の移動に伴ってウォール160が回転される。例えば、ウォール160(c)の頂点(カーソル170(c)の位置)にカーソル170を合わせ、ボタン22を押下したままカーソル170(d)で示される位置まで移動されると、ウォール160はウォール160(d)で示される位置に回転される。
また、カーソル170をウォール160の内側領域にあわせて同様の操作がなされると、ウォール160はカーソル170の移動に伴って移動される。例えば、ウォール160(e)の内部領域(カーソル170(e)の位置)にカーソル170を合わせ、ボタン22を押下したままカーソル170(f)で示される位置まで移動されると、ウォール160はウォール160(f)で示される位置に移動される。
また、音データ生成処理中にウォール160がダブルクリックされると、選択されたウォール160は消滅するようにしても良い。
このように規制体を設けることにより、仮想粒子200の軌道・存在位置を更に多様に制御することができ、規制体の配置態様に基づく多様な音データを生成することができる。
Claims (4)
- 仮想空間を設定する仮想空間設定手段と、
仮想粒子を前記仮想空間に対して連続的に放出する演算を行う仮想粒子放出手段と、
前記仮想粒子放出手段の演算により放出された各仮想粒子の軌道を、前記各仮想粒子同士の衝突を含めて演算する軌道演算手段と、
前記仮想空間に仮想発音体を設定する仮想発音体設定手段と、
前記仮想発音体の移動を制御する制御手段と、
前記制御手段によって前記仮想発音体が移動されると、該移動に基づいて付随発音体を生成すると共に該付随発音体を移動させる付随発音体制御手段と、
前記仮想発音体または前記付随発音体の少なくともいずれか一方と前記仮想粒子の相互作用を演算し、該相互作用に基づいて音データを生成する音データ生成手段と
を具備することを特徴とする音データ生成装置。 - 前記付随発音体制御手段は、前記付随発音体を、前記仮想発音体の移動経路に沿って移動させることを特徴とする請求項1に記載の音データ生成装置。
- 前記付随発音体制御手段は、前記付随発音体を複数生成すると共に、該付随発音体を移動させ、
前記音データ生成手段は、前記複数出現した付随発音体の特性を互いに異ならせることにより、各付随発音体と前記仮想粒子との相互作用を演算した際に、各付随発音体ごとに異なる特性の音を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の音データ生成装置。 - コンピュータを、
仮想空間を設定する仮想空間設定手段と、
仮想粒子を前記仮想空間に対して連続的に放出する演算を行う仮想粒子放出手段と、
前記仮想粒子放出手段の演算により放出された各仮想粒子の軌道を、前記各仮想粒子同士の衝突を含めて演算する軌道演算手段と、
前記仮想空間に仮想発音体を設定する仮想発音体設定手段と、
前記仮想発音体の移動を制御する制御手段と、
前記制御手段によって前記仮想発音体が移動されると、該移動に基づいて付随発音体を生成すると共に該付随発音体を移動させる付随発音体制御手段と、
前記仮想発音体または前記付随発音体の少なくともいずれか一方と前記仮想粒子の相互作用を演算し、該相互作用に基づいて音データを生成する音データ生成手段
として機能させるためのプログラム。
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