JP2009103817A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラスチック基板の液晶セルを適用しても、反りの発生を抑制することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は、プラスチック基板10、11を含む液晶セル1と、この液晶セル1の表面側に配設された第1偏光手段2と、液晶セル1の裏面側に配設された第2偏光手段3と、を含んでいる。第1,第2偏光手段2、3は、それぞれ吸収型偏光板20、31を含んでいる。そして、いずれかの吸収型偏光板20、31の表面側には、当該吸収型偏光板20、31よりも線膨張係数の高い反射型偏光板30を接着してなる表面側反射偏光層33が形成してある。さらに、いずれかの吸収型偏光板20、31の裏面側には、当該吸収型偏光板20、31よりも線膨張係数の高い反射型偏光板32を接着してなる裏面側反射偏光層34が形成してある。これら表面側反射偏光層33と裏面側反射偏光層34は、対の関係をもって形成されている。
【選択図】 図2

Description

この発明は、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機器、電子手帳、携帯電話などの種々の電子機器の表示部として用いられる液晶表示装置に関し、特に液晶セル基板がプラスチック材料で形成されてなる液晶表示装置に関する。
一般に、液晶表示装置は、液晶セルの表面側及び裏面側に偏光板を接着した基本構造を有している(図7参照)。
液晶セルは、表面側及び裏面側にそれぞれ一定の間隔をおいて基板を配置するとともに、その中間部の周囲をシール材で覆って密封状態とし、この密封空間内に液晶を封入した構造となっている。液晶セルの基板には、これまでガラス基板が主に用いられてきたが、近年、薄型化や軽量化などの目的から一部でガラス基板の代わりにプラスチック基板が用いられてきている。
また、偏光板には、例えば、吸収型偏光板や、反射型偏光板などの種類があり、目的に応じて使い分けられている。吸収型偏光板は、直交する一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を吸収する。一方、反射型偏光板は、直交する一方の直線偏光を透過し、他方の直線偏光を反射する。なお、本明細書では、半吸収(半透過)型反射偏光板を含んで反射型偏光板と称している。
さらに、偏光板は、吸収型偏光板と反射型偏光板をそれぞれ組み合わせて積層構造とすることもある。この種の構造をもつ液晶表示装置は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1及び2に開示された液晶表示装置の概要は次のとおりである。なお、括弧内の英数字は各特許文献中に付された符号である。
特許文献1の液晶表示装置は、入射光のうち平行な振動面p偏光を透過する第1偏光板(PL1)と、この第1偏光板(PL1)と透過軸が平行に配置される反射型偏光板(RPL)と、入射光の一部を反射する半透過反射層(RT)、とを組み合わせて第1光学素子(OD1)を構成している。このような構成とすることで、外光を利用した反射表示、及びバックライト(BL)を利用した透過表示をともに改善することができる。
特許文献2の液晶装置は、第1の吸収型偏光板(101)と、液晶層(104)と、第1の反射型偏光板(107)と、第2の吸収型偏光(108)と、バックライト(109)とを備えた構成である。この液晶装置は、液晶層(104)の背面側が反射型偏光板(107)、吸収型偏光板(108)の順に配置されており、この配置はちょうど特許文献1の第1光学素子(OD1)部分と逆の配置になっている。さらに第1の反射型偏光板(107)は反射軸方向に振動する光の一部を透過し残りを反射する(反透過型反射偏光板)。このような構成により、明るい反射表示と、表示が反転しない透過表示を行うことができる。
特開2007−25228号公報 特開平11−242214号公報
ところで、液晶表示装置の偏光板は、温度変化に伴い伸縮する特性を有している。その伸縮度合いは偏光板の線膨張係数に依存している。ここで、吸収型偏光板と反射型偏光板は、線膨張係数が大きく相違している、すなわち反射型偏光板の方が吸収型偏光板よりも線膨張係数が大きく伸縮しやすい材質であることを本発明者らは確認した。このため、吸収型偏光板と反射型偏光板とを貼り合わせてなる偏光板の積層構造にあっては、温度変化に伴う各偏光板の伸縮量の相違に起因して、反りが生じてしまうおそれがあった。
もっとも、液晶セルがガラス基板を用いた構成の場合は、偏光板の積層部分に反りが発生しようとしても、ガラス基板の剛性により当該反りの発生が抑えられる。よって、従来は反りの問題が顕在化することはなかった。
しかし、液晶セルがプラスチック基板を用いた構成の場合は、プラスチック基板が可撓性を有しているため、温度変化に伴い偏光板の積層部分に発生する反りを液晶セルで規制することができず、液晶表示装置全体としても反りが生じるおそれがあった。
この種の反りは、液晶表示装置ひいては同装置を組み込んだ電子機器の外観品質を低下させるばかりではなく、表示斑が生じるなど表示特性の低下にもつながる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、吸収型偏光板と反射型偏光板を接着してなる積層構造を含んでいても、反りの発生を抑制できる液晶表示装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、可撓性を有する基板間に液晶を挟持した液晶セルと、当該液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された吸収型偏光板と、を含む液晶表示装置において、
前記液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された前記吸収型偏光板に対して前記液晶セルと反対側に配置された第1の反射型偏光板と、
前記液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された前記吸収型偏光板に対して前記液晶セル側に配置された第2の反射型偏光板と、
を有することを特徴とする。
一般に、反射型偏光板は吸収型偏光板よりも線膨張係数が高く、容易に伸縮して吸収型偏光板との偏光層に反りを生じさせる原因となっていた。しかし上記の構成によれば、偏光板の線膨張係数の違いにより、吸収型偏光板に第1の反射型偏光板を接着してなる偏光層では、偏光層が第1の反射型偏光板側に凸になるよう反ろうとする。一方、吸収型偏光板に第2の反射型偏光板を接着してなる偏光層では、偏光層が第2の反射型偏光板側に凸になるよう反ろうとする。すなわち本発明では、逆向きの反りを発生しようとする各反射偏光層が、吸収型偏光板を中心として対の関係をもって形成することになり、互いの反りが相殺される。その結果、装置全体として反りの発生を抑制することができる。
また液晶表示装置は、第2の反射型偏光板が吸収型偏光板と液晶セルとの間に配置されることになる。これにより液晶セルに対する偏光機能が反射型となり、且つ第1の反射型偏光板との組み合わせによって、反りが生じにくい積層構造が形成される。
また、吸収型偏光板と液晶セルと第1及び第2反射型偏光板とが接触している面は接着固定されていることが好ましい。したがって吸収型偏光板は、第1の反射型偏光板と第2の反射型偏光板とに接着されていることになる。このように積層構造が第1の反射型偏光板、吸収型偏光板、第2の反射型偏光板の順に接着にしてある場合、吸収型偏光板に対し第1の反射型偏光板と第2の反射型偏光板が曲げ応力を逆方向にかけるように働き、積層構造全体として反りのを抑制することができる。
また、第1及び第2の反射型偏光板はともに同じ材料で形成されており、第2の反射型偏光板は第1の反射型偏光板よりも厚みが薄い構成とすることが好ましい。
かかる構成によれば、反射型偏光板の板厚が厚い第1の反射偏光板と吸収型偏光板との反りは、板厚が薄い第2の反射偏光層板と吸収型偏光板との反りよりも大きくなる。この差分が、さらに第2の反射型偏光板と液晶セルとの間の反りに影響して、相互に相殺されるため、装置全体として反りを抑制することが可能となる。なお、第1及び第2の反射型偏光板の板厚の調整は、装置全体の反りを考慮して当該反りを抑制するように適宜行われることが好ましい。
さらに第1及び第2の反射型偏光板は、吸収型偏光板よりも線膨張係数の高い材料から形成されることができる。このように線膨張係数が高い第1及び第2の反射型偏光板の間に吸収型偏光板を配置することで、線膨張係数が高い偏光板同士の反りが互いに作用し、より相殺しやすくなる。これにより、装置の他の構成部分に反りの影響を及ぼすおそれがなくなり、特に液晶セルの耐久性を向上させることができる。
第1及び第2の反射型偏光板の少なくとも一方は、波長分散特性に応じて色調が異なる金属調の光を表面側に反射する構成であってもよい。反射型偏光板は、多層膜が干渉し反射方向に対して決まった波長光だけを反射する機能を有しており、これにより色調が異なる金属調の光を表面側に反射することができる。その結果、美観の優れた液晶表示装置を提供することが可能となる。
以上説明したように、本発明の液晶表示装置によれば、液晶セルがプラスチック基板からなり、しかも吸収型偏光板と反射型偏光板を接着してなる積層構造を含んでいても、反りの発生を抑制して高い品質を維持することが可能となる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図6は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、同じく全体構成を概略的に示す側面断面図である。
図1及び図2に示すように、液晶表示装置は、液晶セル1と、この液晶セル1の表面側に配設された第1偏光手段2と、液晶セル1の裏面側に配設された第2偏光手段3と、を含んでいる。
液晶セル1は、一定の間隔をおいて平行に配置された表面側プラスチック基板10及び裏面側プラスチック基板11と、各プラスチック基板10、11の間の空間を密封するシール部材12と、各プラスチック基板10、11の間に注入される液晶層13とによって主要部が構成されている。また図示してはいないが、表面側プラスチック基板10と裏面側プラスチック基板11の内面にはスペーサが配設してあり、二枚のプラスチック基板10、11の間隔を保持している。
本実施形態の各プラスチック基板10、11は、ポリカーボネイト樹脂によって形成されており、可撓性を有した光学的透明基板となっている。ただし、各プラスチック基板10、11は、これに限定されるものではなく、例えば、変性アクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ノルボルテン樹脂等により形成することもできる。
またシール部材12は、例えば、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、ポリオール樹脂、無機充填材を含む主剤と、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む硬化剤とを混合して得られた二液混合式の組成物によって構成されている。
液晶セル1の液晶層13は、誘電異方性が正のネマティック液晶が注入されてなり、液晶分子の配列方向が各プラスチック基板10、11の間で90°捩れるようにしたTN(ツイステッドネマティック)配向セルとしている。なお液晶層1もTN配向セルに限定されるものではなく、例えばSTN(スーパーツイステッドネマティック)配向、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向等を用いることができる。
また液晶セル1は、各プラスチック基板10、11上の液晶層13に面する側に、透明電極(図示せず)がそれぞれ形成されている。この透明電極は、例えばITO膜等の導電膜から構成される。液晶層13は、透明電極を介してしきい電圧よりも充分に大きな電圧が印加されると、正の誘電異方性によって液晶分子が電解方向に並んだホメオトロピック配向となって90°のねじれが解消されることになる。
次に、第1偏光手段2には、吸収型偏光板(以下、第1の吸収型偏光板20という)を適用している。第1の吸収型偏光板20は、例えば、ポリビニルアルコールなどの高分子材料にヨウ素を吸着させて一定方向に延伸して偏光フィルムを形成し、この偏光フィルムの両面にトリアセチルロースなど複屈折性が小さい光学的な特性を持つ基板を貼り合わせ一体化した構造となっている。第1の吸収型偏光板20は、互いに直交する透過軸T及び吸収軸Aを有しており、透過軸Tが液晶表示装置の液晶層13の配向に対して所定方位となるように配置されている。本実施形態の第1の吸収型偏光板20は、入射光のうち入射面に平行な振動面を有する偏光成分を透過するとともに、入射面に直交する偏光成分を吸収するように配置してある(図1、図5参照)。
なお、吸収型偏光板20は、このような構成に限定されるわけではなく、例えば、分離された不要な偏光成分を必要な偏光成分に変換し利用効率を向上させる偏光変換子(PCS)などを適用することもできる。
また、第2偏光手段3には、第2の反射型偏光板30、第2の吸収型偏光板31、第1の反射型偏光板32が液晶セル1側から順に並べて配置されている。また第2偏光手段3の裏面側には、所定間隔をあけてバックライト40が設けられている。このうち第2の吸収型偏光板31は、上記した第1の吸収型偏光板20と同じ素材によって形成したものを適用している。
液晶表示装置のバックライト40は、光源と導光板(ともに図示せず)を備えており、この導光板は背面に反射層41を有している。光源は白色LEDを用いており、導光板側面から照射し、液晶セルに対し面発光源となるようにしてある。なお光源には、この他にもEL(エレクトロルミネセンス)などを適用することが可能である。
一方、第1及び第2の反射型偏光板32、30は、例えば、複屈折性の誘電体多層膜、他にもコレステリック液晶相を呈する液晶ポリマーを用いることができる。各反射型偏光板30、32は、互いに直交する透過軸Tおよび反射軸Rを有しており、入射光のうち振動面が透過軸Tにそった偏光成分を透過し、振動面が反射軸Rにそった偏光成分を反射する機能を備えている。本実施形態の各反射型偏光板30、32は、住友3M社製の商品名D−BEFの輝度上昇フィルムを適用している。
第2偏光手段3の第2の反射型偏光板30、第2の吸収型偏光板31、第1の反射型偏光板32は、各透過軸Tがともに平行に配置されている。また各偏光板30、31、32は、光透過性を有する接着剤によって互いに接着されている。すなわち第2偏光手段3は、第2の吸収型偏光板31の表面側に第2の反射型偏光板30を接着してなる表面側反射偏光層33と、第2の吸収型偏光板31の裏面側に第1の反射型偏光板32を接着してなる裏面側反射偏光層34とにより積層構造を形成している。
一般に、吸収型偏光板及び反射型偏光板は、温度が上昇すると、それぞれの配向方向に向かって延伸する特性を有している。また液晶表示装置に適用した液晶セル1の各プラスチック基板10、11と、各吸収型偏光板20、31と、反射型偏光板30、32とは、それぞれ線膨張係数が異なっており、例えば、板厚が100μmのプラスチック基板と、板厚が100μmの吸収型偏光板と、板厚が210μmの反射型偏光板と、を比較した場合、プラスチック基板、吸収型偏光板、反射型偏光板の順に線膨張係数が大きくなる。このような線膨張係数の違うプラスチック基板10、11、吸収型偏光板20、31、反射型偏光板30、32がそれぞれ接着してある場合、温度上昇に伴い、接着面を基点に曲げ応力が発生する。
図3は、従来の偏光板の接着によって生じる反りを概略的に示した側面断面図である。
例えば、液晶セル1の表側プラスチック基板10と第1の吸収型偏光板20が接着してある場合、図3(a)に示すように、線膨張係数が大きい吸収型偏光板20側に湾曲する。また第2の吸収型偏光板31と第2の反射型偏光板30、または第1の反射型偏光板32が接着してある場合、図3(b)(c)に示すように、線膨張係数が大きい反射型偏光板30、32側に湾曲する。なお吸収型偏光板と反射型偏光板の接着において生じる曲げ応力は、液晶セルと吸収型偏光板の接着において生じる曲げ応力よりも大きく、その湾曲量も必然的に大きくなる。
したがって、このような線膨張係数の異なる板間を接着した積層構造により、液晶表示装置には反りが発生することになる。例えば、図3(d)に示すように、液晶表示装置が第1の吸収型偏光板20、液晶セル1、第2の反射型偏光板30、第2の吸収型偏光板31の順に積層して接着してある場合は、温度上昇に伴い、液晶表示装置全体の中央部分が表面側方向に湾曲する。この反りの発生により、液晶表示装置は、表示面に表示ムラが生じるなど表示装置としての性能に支障が出るおそれがあった。
図4は、本実施形態に係る液晶表示装置の各偏光板の組合せによる作用を概略的に示す側面断面図である。
図4(a)に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置は、第1偏光手段2である第1の吸収型偏光板20、液晶セル1、第2偏光手段3である第2の反射型偏光板30、第2の吸収型偏光板31、第1の反射型偏光板32を順に積層した構成となっている。このため液晶セル1の表面側では、第1の吸収型偏光板20と液晶セル1が接着していることによって、図3(a)に示すように第1の吸収型偏光板20側に曲げ応力が働いている。
一方、液晶セル1の裏面側、すなわち第2偏光手段3側では、第2の吸収型偏光板31を挟んで表面側反射偏光層33と裏面側反射偏光層34とが対の関係となっている。また第2の反射型偏光板30は、第1の反射型偏光板32と同じ素材を用いているが、第1の反射型偏光板32よりも板厚が薄いものを適用している。具体的には、第1の反射型偏光板の板厚が130μm、第2の反射型偏光板の板厚が210μmとなっている。なお、これら各反射型偏光板30、32の板厚の関係は特に限定されるものではなく、例えば第2の反射型偏光板30の板厚は、およそ130〜60μmの範囲内のものを用いることが好ましい。
このため第2偏光手段3は、図4(b)に示すように、板厚が薄い第2の反射型偏光板30、第2の吸収型偏光板31、板厚が厚い第1の反射型偏光板32による積層構造となっており、このような積層構造により第1の反射型偏光板32側に曲げ応力が働いている。
したがって、第1偏光手段2、液晶セル1、第2偏光手段3が積層した液晶表示装置は、液晶セル1の表面側の曲げ応力に対し、液晶セル1の裏面側の曲げ応力が対抗し合うことになり、液晶表示装置全体としては曲げ応力が平衡化した状態となっている(図4(c)参照)。これにより本実施形態の液晶表示装置は、反りの発生を防止することが可能となり、したがって表示性能の優れた液晶表示装置を提供することができる。
図5は、本実施形態に係る液晶表示装置の動作を説明するための図である。
液晶表示装置による視認側への表示は、バックライト40の点灯の有無、液晶層13へのしきい電圧の印加の有無によって異なった作用を得ることができる。次に、液晶表示装置の各状態における表示パターンについてそれぞれ説明していく。
図5(a)は、液晶表示装置のバックライト40が非点灯状態(以下オフ状態という)で、かつ液晶層13に電圧が印加していない状態(以下オフ状態という)の場合を示している。この場合、液晶表示装置に入射した外光L1は、第1の吸収型偏光板20によって、透過軸Tと平行方向(同図の左右方向)の偏光成分のみが透過して液晶セル1に入射する。液晶セル1はオフ状態においてTN配向となっているため、液晶セル1に入射した平行方向の偏光成分は、通過時に90°ねじれて、垂直方向(同図の前後方向)の偏光成分に旋光して透過する。液晶セル1の裏面側にある第2の反射型偏光板30は透過軸Tが第1の吸収型偏光板20と同一方向であり、したがって液晶セル1を透過して90°捩れた垂直方向の偏光成分は第2の反射型偏光板30に入射し、そこで反射軸Rと平行になるので反射される。さらに反射された垂直方向の偏光成分は再度液晶セル1に入射し、通過時に90°ねじれて平行方向の偏光成分なって透過する。そしてこの平行方向の偏光成分は、第1の吸収型偏光板20をそのまま透過して外部に射出する。これにより、液晶表示装置の視認側の表示はシルバー表示となる。
図5(b)は、液晶表示装置のバックライト40がオフ状態で、かつ液晶層13にしきい電圧より充分に大きな電圧を印加した状態(以下オン状態という)の場合を示している。この場合、液晶表示装置に入射した外光L1は、第1の吸収型偏光板20によって、透過軸Tと平行方向(同図の左右方向)の偏光成分のみが透過して液晶セル1に入射する。液晶セル1はオン状態においてホメオトロピック配向となるため、液晶セル1に入射した平行方向の偏光成分はそのまま透過する。さらに液晶セル1を透過した平行方向の偏光成分は、同一方向の透過軸Tを持つ第2の反射型偏光板30を透過する。また第2の吸収型偏光板31、第1の反射型偏光板32も、透過軸Tが第2の反射型偏光板30と同一方向となっていることから、平行方向の偏光成分はそのまま第2の吸収型偏光板31、第1の反射型偏光板32を透過する。第1の反射型偏光板32を射出した偏光成分は、バックライト40の反射層41に入射しそこで反射される。反射された平行方向の偏光成分は、そこから再度第1の反射型偏光板32、第2の吸収型偏光板31、第2の反射型偏光板30、液晶セル1、第1の吸収型偏光板20の順に透過して外部に射出する。しかしながら、第1及び第2の反射型偏光板32、30と、第2の吸収型偏光板31と、バックライト40の導光板とをそれぞれ2回通過することによる損失と、反射層41による損失で、(a)に比べ(b)は暗い表示となる。
図5(c)は、液晶表示装置のバックライト40が点灯状態(以下オン状態という)で、かつ液晶層13がオフ状態の場合を示している。この場合、バックライト40から射出した灯光L2が第1の反射型偏光板32に入射する。第1の反射型偏光板32に入射した灯光L2は、平行方向の偏光成分は透過するが、垂直方向の偏光成分は反射される。透過した平行方向の偏光成分は、そのまま第2の吸収型偏光板31、第2の反射型偏光板30を透過する。さらに液晶セル1はオフ状態となっていることから、液晶セルに入射した平行方向の偏光成分は、通過時に90°ねじれて、垂直方向(同図の前後方向)の偏光成分に旋光して透過する。この垂直方向の偏光成分は第1の吸収型偏光板20に入射するが、第1の吸収型偏光板20は透過軸Tが平行方向になっており、したがってこの第1の吸収型偏光板20において吸収される。これにより、液晶表示装置の視認側の表示は暗い表示となる。
図5(d)は、液晶表示装置のバックライト40がオン状態で、かつ液晶層13がオン状態の場合を示している。この場合、バックライト40から射出した灯光L2が第1の反射型偏光板32に入射する。第1の反射型偏光板32に入射した灯光L2は、平行方向の偏光成分は透過するが、垂直方向の偏光成分は反射される。透過した平行方向の偏光成分は、そのまま第2の吸収型偏光板31、第2の反射型偏光板30を透過する。さらに液晶セル1はオン状態となっていることから、液晶セル1に入射した平行方向の偏光成分はそのまま透過する。そして平行方向の偏光成分は、第1の吸収型偏光板20をそのまま透過して外部に射出する。これにより、液晶表示装置の視認側の表示は明るい表示となる。
図6は、本実施形態に係る液晶表示装置のバックライトと第2の反射型偏光板の関係を示す側面断面図である。
次に液晶表示装置において、第1及び第2の反射型偏光板32、30を使用することによって可能となる作用について説明する。第1の反射型偏光板32は、既述したように、バックライト40から射出した灯光L2に対し、平行方向の偏光成分を透過し、垂直方向の偏光成分を反射する。この垂直方向の偏光成分は、ほとんど吸収されることなく、バックライト40側へ反射されて、バックライト40の反射層41に入射する。この垂直方向の偏光成分は、反射層41によって反射され、再び第1の反射型偏光板32に入射する。これら第1の反射型偏光板32と反射層41との間において反射を繰り返すことによって、垂直方向の偏光成分は徐々に平行方向に偏光成分を変えていき、ほとんどの灯光L2が第1の反射型偏光板32を透過していくこととなる。このように液体表示装置は、バックライト40の表面に第1の反射型偏光板32を適用することによって、輝度を向上させ、消費電力等を抑制することができる。
また第2の反射型偏光板30は、バックライト40と液晶層13とをオフ状態にしたとき、偏光成分を反射する機能を有している。この第2の反射型偏光板30は、多層膜構造を適用することによって、多層膜が干渉し反射方向に対して決まった波長光だけを反射することができる。したがって、本実施形態では第2の反射型偏光板30をシルバー表示(鏡面反射)となる構成としたが、波長分散特性に応じて色調が異なる金属調の光を表面側に反射する反射型偏光板を適用することができる。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置は、外光L1を利用した透過表示とバックライト40の灯光L2を利用した透過表示をともに行うことができる。またバックライト40及び液晶層13をオフ状態にしておけば金属調の光を反射することになり、美観に優れた表示装置を提供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例が可能なことは勿論である。
例えば、液晶表示装置は、液晶セル1の表面側と裏面側の少なくとも一方に吸収型偏光板が配置されており、第1及び第2の反射型偏光板32、30によりこの吸収型偏光板を挟むように積層構造が形成されていればよい。このような積層構造が反りを抑制することにより、液晶セル1を介して反対にある側にも、同じような反りの抑制力を発揮することができる。
したがって、このような積層構造を液晶セル1の裏面側に備えている場合は、液晶セル1の表面側に適用する偏光板の線膨張係数が極端に高くないかぎり、装置全体に反りを発生させることがなく、安定的な表示性能を有した液晶表示装置となる。
本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。 本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を概略的に示す側面断面図である。 従来の偏光板の接着によって生じる反りを概略的に示した側面断面図である。 本実施形態に係る液晶表示装置の各偏光板の組合せによる作用を概略的に示す側面断面図である。 本実施形態に係る液晶表示装置の動作を説明するための図である。 本実施形態に係る液晶表示装置のバックライトと第2の反射型偏光板の関係を示す側面断面図である。 液晶表示装置の一般的な構成を示す概略斜視図である。
符号の説明
1:液晶セル、2:第1偏光手段、3:第2偏光手段
10:表面側プラスチック基板、11:裏面側プラスチック基板、12:シール部材、13:液晶層
20:第1の吸収型偏光板、
30:第2の反射型偏光板、31:第2の吸収型偏光板、32:第1の反射型偏光板、33:表面側反射偏光層、34:裏面側反射偏光層、
40:バックライト、41:反射層
A:吸収軸、T:透過軸、R:反射軸
L1:外光、L2:灯光

Claims (7)

  1. 可撓性を有する基板間に液晶を挟持した液晶セルと、当該液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された吸収型偏光板と、を含む液晶表示装置において、
    前記液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された吸収型偏光板に対して前記液晶セルと反対側に配置された第1の反射型偏光板と、
    前記液晶セルの表面側と裏面側の少なくとも一方に配置された吸収型偏光板に対して前記液晶セル側に配置された第2の反射型偏光板と、
    を有することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記第2の反射型偏光板は、前記吸収型偏光板と前記液晶セルとの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記吸収型偏光板と前記液晶セルと前記第1及び第2反射型偏光板とが接触している面は接着固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記吸収型偏光板は、前記第1の反射型偏光板と前記第2の反射型偏光板とに接着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第1及び第2の反射型偏光板はともに同じ材料で形成されており、前記第2の反射型偏光板は前記第1の反射型偏光板よりも厚みが薄いことを特徴とする請求項4記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1及び第2の反射型偏光板は、前記吸収型偏光板よりも線膨張係数の高い材料から形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1及び第2の反射型偏光板の少なくとも一方は、波長分散特性に応じて色調が異なる金属調の光を表面側に反射するものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
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