JP2009103484A - 圧電組成物感圧体を用いた圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来、圧電セラミックス粉末と有機高分子とを混練して圧電組成物感圧体を製造する場合、感度に相当する圧電定数d33が小さく感度が低いという課題を有していた。
【解決手段】平均粒子径が2μmより大きく50nm以下の微細ドメインを有する圧電セラミックス粉末3と、可撓性を有する有機高分子4とを混合してなる圧電組成物感圧体1で構成することにより圧電素子を構成する。このことにより、感度が高く特性バラツキが小さく、優れた信頼性を実現することができる圧電素子を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は有機高分子中に圧電セラミックス粉末を配合してなる圧電組成物感圧体に係わり、特に、可撓性のある感圧センサとして用いられる圧電素子に関するものである。
従来、この種の圧電組成物感圧体は、チタンカップリング剤と、圧電セラミックス粉末と、塩素化ポリエチレンまたはクロロスルホン化ポリエチレンの少なくとも一方とを含んだ材料を混合、混練して構成されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
この圧電組成物感圧体は上記材料をニーダーやロールなどの加工機械を用い、均一に分散混合及び混練して得られるものであり、塩素化ポリエチレンなどの熱可塑性エラストマーを含んでいるため可撓性を有し、シート状やケーブル状に加工されて圧電素子として用いられている。
シート状の圧電素子は、先ずカップリング剤と圧電体粉末と塩素化ポリエチレンをロールで混合、混練した圧電組成物感圧体をホットプレスでシート状に成型し、このシートの両面に銀ペーストを塗布処理もしくはゴムにカーボンを分散させた導電シートを融着させることにより電極が形成され、その後、圧電性を発現させるために数十kVの直流電圧を両電極間に印加しポーリング処理を行うことによって得ることができる。この電極面の一部あるいは全面に圧力が印加されると、その部分の圧電組成物感圧体が歪み、その結果両電極間に電荷が誘起され、この誘起電荷を利用して圧力を検出することができるので圧力センサとして応用されている。また、近年水熱合成されたナノサイズのチタン酸バリウムを用いて、マイクロ波燒結することで、微粒径のセラミックス粒子からなり、50nm程度の微小ドメインを有し、高い圧電性能を示す圧電体バルクが報告されているが、これに関する樹脂との複合圧電体は報告されていない。
特開平11−201835号公報 ジャーナル オブ アプライド フィジックス 45巻、2006年、7405ページ
しかしながら、上記の非特許文献1の微粒子からなり微細ドメインを有した圧電セラミックスのバルク体は、圧電定数が大きいものの、有機高分子と複合化するためには粉砕して粉末にする必要があるが、粉砕により構成される微粒子に粉砕され、有機高分子と複合化することが非常に難しくなり、このために圧電素子としての特性ばらつきも大きくなるという課題があった。
前記従来の課題を解決するために、本発明の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子は、圧電組成物感圧体として、前記圧電セラミックス粉末が概50nm以下のドメインを含んでなり平均粒子径が2μmより大きい圧電セラミックス粉末と可撓性を有する有機高分子とを混合して得られる圧電組成物感圧体である構成を有する。
平均粒子径が2μmより大きいために、表面積が低減されることにより、圧電セラミックス粉末と有機高分子との複合化の困難性が緩和され、これらの複合化の状態が安定し、圧電素子としての特性バラツキも低減される。また、圧電セラミックス粉末が、微小なド
メインを有しているために、高い圧電性能が実現され感度が高くなる。このためノイズも相対的に小さくなり、ノイズを低減するための複雑な回路が必要でなくなる。
本発明の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子は、微小ドメインを有する圧電セラミックス粉末の平均粒子径が2μmより大きいために、圧電セラミックスの表面積が減少する結果、圧電セラミックス粉末と有機高分子との複合化が安定化されるために、高感度で安定な特性が複雑な回路なしで実現でき、優れた信頼性を実現することができる。
第1の発明の圧電素子は、概50nm以下のドメインを含んでなり、前記圧電セラミックス粉末の平均粒子径が2μmより大きい圧電セラミックス粉末と、可撓性を有する有機高分子とが混合されて構成される。
圧電セラミックス粉末が、微小なドメインを有しているために、高い圧電性能が実現され感度が高くなる。このためノイズも相対的に小さくなり、ノイズを低減するための複雑な回路が必要でなくなる。また、平均粒子径が2μmより大きいために、表面積が低減されることにより、圧電セラミックス粉末と有機高分子との複合化の困難性が緩和され、これらの複合化の状態が安定し、圧電素子としての特性バラツキも低減される。
第2の発明は、特に、第1〜第3の発明の被覆層を形成した圧電セラミックス粉末を周期表第I族の元素、周期表II属の元素の少なくとも1種を含むペロブスカイト構造を有する化合物とすることにより、本来、周期表第I族の元素、周期表II属の元素のアルカリ金属やアルカリ土類金属は水により溶出しやすいが、圧電セラミックス粉末に含有するこれらアルカリ、アルカリ土類成分の溶出を抑制することができるため、電気抵抗の大幅な低下を抑制することができる。
第3の発明は、特に、第1〜第4の発明の被覆層を形成した圧電セラミックス粉末を主成分がチタン酸バリウムを含む化合物とすることにより、特に高感度化が実現されるとともに、圧電素子が廃棄処理され酸性雨などの環境に曝されても鉛の溶出がなく、環境を汚染することがない。また、圧電セラミックス粉末に被覆層を設け、圧電セラミックス粉末成分の溶出を防止しているので鉛以外の金属の溶出も抑制され、安全性を一層向上させることができる。
第4の発明は、特に、第1〜第5の発明の可撓性を有する有機高分子を熱可塑性エラストマー、ゴムの少なくとも1種を含む材料とすることにより、圧電素子に優れた弾性と可撓性を付与することができるので圧電素子は印加された圧力に対して大きな反発力と変位量を得ることができ、圧電特性を向上させることができる。
第5の発明は、特に、第6の発明の熱可塑性エラストマーを塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンの少なくとも1種の材料とすることにより、圧電組成物感圧体中の圧電セラミックス粉末の含有量を多くすることができるので圧電素子の圧電特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるシート状圧電素子の断面図である。図1において、シート状圧電素子はシート状の圧電組成物感圧体1の両面に電極2を形成して構
成される。
図2は、圧電組成物感圧体1の一部断面を示す模式図である。図2において、シート状の圧電組成物感圧体1は圧電セラミックス粉末3と可撓性を有する有機高分子4とから構成され、被覆層を形成された圧電セラミックス粉末3が有機高分子4と均一に分散した状態にある。このとき、圧電セラミックス粉末3が、平均粒径が2μmより大きいこと及び、50nm程度以下の微小ドメインを有することが特長である。
第1の実施の形態におけるシート状圧電素子は以下のように作製される。
先ず、圧電セラミックスと有機高分子との相溶性を高めるために、チタンカップリング剤を圧電セラミックス粉末表面に分散させる。具体的には、圧電セラミックス粉末3を、適切な溶媒で希釈して所定の濃度に調整したチタンカップリング剤を含む溶液に浸漬して乾燥するか、または圧電セラミックス粉末3を所定量の液体のチタンカップリング剤と高速ミキサで混合する。
次に、上記圧電セラミックス粉末3と可撓性を有する有機高分子4とニーダーやロールなどの加工機を用い、圧電セラミックス粉末3が可撓性を有する有機高分子4に均一に混合・分散された状態となるように混練を行なった後、ロールまたはホットプレスなどの加工機を用いて加工し、シート状の圧電組成物感圧体1が作製される。尚、この混練工程時に、さらにチタンカップリング剤を混合してもよい。
シート状の圧電組成物感圧体1の両面に導電性粉末と有機高分子が混合された導電性ペーストまたは導電塗料の塗布、導電性粉末をゴムや熱可塑性エラストマーなどの可撓性を有する有機高分子に混合・分散させた導電シートの融着、導電性材料の蒸着のいずれかの材料と形成方法によって電極2を形成する。
その後、圧電性を発現させるために空気中またはシリコンオイル浴中で電極2間に直流高電圧を印加してポーリング処理を行い、シート状圧電素子を作製する。
以上のように構成されたシート状の圧電素子について、以下その動作、作用を説明する。
圧電素子の圧電特性は、前述したように電極2間に高圧の直流電圧を印加し、圧電組成物感圧体1をポーリング処理することにより発現する。圧電性を発現させたシート状の圧電素子の一部あるいは全面に時間的に変化する圧力が印加されたとき、電極2間にはその部分に生じる加速度に応じた振動電荷が誘起される。この誘起電荷を利用して圧力を検出することができる。したがって、本発明の圧電素子は自動車ドアに設置し、挟み込みを検知するセンサや介護ベッドなどに設置し、体動を検知するセンサなど感圧センサとして利用することができる。
圧電セラミックス粉末が、50nm程度以下の微小なドメインを形成しているために、圧電定数d33が大きくなり、上記の振動電荷も増大する。この結果、感度が上昇し、相対的にノイズが減少するために、ノイズ低減のための特別な回路が不要となる効果が得られる。
また、もともと圧電セラミックス粉末表面は親水性、有機高分子は疎水性であるため、複合化が難しいが、平均粒子径が2μmより大きいために、表面積が低減されることにより、圧電セラミックス粉末と有機高分子との複合化の困難性が緩和される。こうして、これらの複合化の状態が安定し、圧電素子としての特性バラツキも低減される。
また、チタンカップリング剤としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
概50nm以下のドメインを有する圧電セラミックスのバルク体は、水熱合成で作製された100nm程度の粉末を、マイクロ波焼結することで得られる。この際得られる、セラミックスのバルク体は、平均粒子径2μmより大きい微粒子径から構成され、これを強く粉砕するとバルクを構成する粒子に対応する平均粒子径2μm以下の粉末が得られる。これに対し本発明では、弱く粉砕して、その後で分球することにより、平均粒子径2μmより大きい圧電セラミックス粉末を得て用いる。
また、本発明に用いられる圧電セラミックス粉末を構成する化合物は、チタン酸鉛、ジルコン鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ビスマス・ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸アルカリなどのペロブスカイト構造を有する化合物、ビスマス層状構造を有する化合物、タングステンブロンズ構造を有する化合物などポーリング処理によって圧電性を発現するセラミックス材料が挙げられる。
また、圧電セラミックス粉末3として周期表第I族の元素、周期表II属の元素の少なくとも1種を含むペロブスカイト構造を有する化合物の主成分がチタン酸バリウムであることで、特に圧電定数が高く高感度な圧電素子が得られるとともに、圧電素子が廃棄処理され酸性雨などの環境に曝されても鉛の溶出がなく、環境を汚染することがない。
本発明の電極2は、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性粉末とゴムや熱可塑性エラストマーなどの可撓性を有する有機高分子とを混練して作製した可撓性導電組成物を押出成型により形成した導電層、前述の導電性粉末を有機高分子に分散させた導電性塗料(ペースト)を塗布した導電膜、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性材料を圧電組成物感圧体1に真空蒸着、スパッタリング、CVDなどの方法で形成した薄膜の蒸着膜などを用いることができる。
本発明に用いられる可撓性を有する有機高分子4としては、熱可塑性エラストマー、ゴムの少なくとも1種を含む材料が挙げられる。これらの可撓性を有する有機高分子4は圧電素子に優れた弾性と可撓性を付与することができるので圧電素子は印加された圧力に対して大きな反発力と変位量を得ることができ、圧電特性を向上させることができる。
特に、前述の熱可塑性エラストマーとして、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンは圧電組成物感圧体1中の圧電セラミックス粉末3の含有量を多くすることができるので圧電素子の圧電特性を向上させることができる。
本発明のチタンカップリング剤としてイソプロポキシトリイソステアロイルチタネート、イソプロポキシトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、ジイソプロポキシジイソステアロイルチタネート、イソプロポキシトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネートとの他、高速ミキサによる圧電セラミックスとの均一被覆の容易さから、溶液化のための溶媒を必要としない液体のチタンカップリング剤を好適に用いることが好ましい。
可撓性を有する有機高分子4として塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンを用いた場合は、圧電セラミックス粉末3との相溶性が一層改善されるので混練加工時間の短縮化、圧電特性の向上、圧電特性の安定化、可撓性の向上を実現することができるとともに、シート状、ケーブル状など任意の形状に容易に成型することができる。
なお、上記の相溶性が良い理由は、イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート、イソプロポキシトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネートのSP値(溶解性パラメーター)が8〜9の値を有し、一方塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンのSP値は9〜9.5の値であり、類似したSP値を有していることにあると考えられる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるケーブル状圧電素子の一部断面図である。図3(図2参照)において、ケーブル状圧電素子は芯電極5の外表面に可撓性の圧電組成物感圧体6を形成し、この圧電組成物感圧体6の外表面に可撓性外電極7を形成し、さらに電気絶縁性の弾性体からなる保護層8を形成している。圧電組成物感圧体6中の圧電セラミックス粉末3は、実施の形態1と同様、概50nm以下のドメインを含んでなり、平均粒子径が2μmより大きいことが特徴である。
芯電極5は、単数または複数の金属線、あるいは多数のポリエステル繊維の収束線に銅などの金属を巻回した構成のものが用いられ、圧電組成物感圧体6は、前述の第1の実施の形態で述べた材料が用いられる。
可撓性外電極7は、ポリエチレンテレフタレ−トなどの高分子フィルムの両面にC、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の箔を接着した導電性フィルムをケーブル状の圧電組成物感圧体6に巻回して形成した導電層、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性粉末とゴムや熱可塑性エラストマーなどの可撓性を有する有機高分子とを混練して作製した可撓性導電組成物を押出成型により形成した導電層、前述の導電性粉末を有機高分子に分散させた導電性塗料(ペースト)を塗布した導電膜、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性材料を圧電組成物感圧体6に真空蒸着、スパッタリング、CVDなどの方法で形成した薄膜の蒸着膜などが用いられる。
保護層8には、弾性を有する有機高分子が用いられ、熱可塑性エラストマやゴム材料が適している。保護層8は、これらの材料の押出成型により形成される。
第2の実施の形態におけるケーブル状圧電素子は以下のように作製される。先ず、圧電セラミックス粉末3と、チタンカップリング剤とを高速ミキサで混合する。この圧電セラミックス粉末3と可撓性を有する有機高分子4をニーダーやロールなどの加工機を用い、セラミックス粉末3が可撓性を有する有機高分子4に均一に混合・分散された状態となるように混練を行った後、ロールの加工機でシート状の圧電組成物感圧体を作製し、さらにこのシート状の圧電組成物感圧体をペレタイザーなどの加工機を用いてペレット状に加工する。次に、芯電極5を芯材とし、ペレット状の圧電組成物感圧体を押出成型の加工機を用いて押し出し、芯電極5の周囲に圧電組成物感圧体6を形成する。次に、ケーブル状の圧電組成物感圧体6に、ポリエチレンテレフタレ−トなどの高分子フィルムの両面にC、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の箔を接着した導電性フィルムを巻回するか、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性粉末と有機高分子とを混練して作製した可撓性導電組成物を押出成型により形成するか、前述の導電性粉末を有機高分子に分散させた導電性塗料(ペースト)を塗布するか、C、Pt、Au、Pd、Ag、Cu、Al、Niの少なくとも1種の導電性材料を真空蒸着、スパッタリング、CVDなどの方法で形成した薄膜を形成するかのいずれかによって可撓性外電極7を形成する。さらに、電気絶縁性の弾性体を押出成型の加工機を用いて保護層8を形成する。その後、圧電性を発現させるために空気中またはシリコンオイル浴中で芯電極5と可撓性外電極7の間に直流高電圧を印加してポーリング処理を行う。なお
、保護層8は前述のポーリング処理を行った後、設けてもよい。
このようにして作製された圧電ケーブルセンサは、その一端の保護層8と電組成物感圧体6を取り除き、芯電極5と可撓性外電極7を露出させることにより制御回路に接続され、感圧センサとして使用される。
以上のように構成されたケーブル状圧電素子について、以下その動作、作用を説明する。
圧電素子の圧電性は、芯電極5と可撓性外電極7の間に直流電圧を印加し、圧電組成物感圧体6をポーリング処理することにより発現する。圧電組成物感圧体6に圧電性を発現することにより、ケ−ブル状圧電素子の一部あるいは全面に時間的に変化する圧力が印加されたとき、芯電極5と可撓性外電極7間には、その部分のケーブル状圧電素子に生じる加速度に応じた振動電荷が誘起される。この誘起電荷を利用して圧力を検出することができる。
本実施の形態でも、実施の形態1同様、圧電セラミックス粉末が、50nm程度以下の微小なドメインを形成しているために、圧電定数d33が大きくなり、感度が上昇して、相対的にノイズが減少するために、ノイズ低減のための特別な回路が不要となる効果が得られる。
また、実施の形態1と同様に、圧電セラミックス粉末3のドメインが小さいにもかかわらず、平均粒子径が2μmより大きいために、圧電セラミックス粉末と有機高分子との複合化の困難性が緩和される。こうして、これらの複合化の状態が安定し、圧電素子としての特性バラツキも低減される効果が得られる。
なお、ケーブル状圧電素子は可撓性を有しかつ形状がケーブル状であるので屈曲した部位を含んだ配設や取り付け幅に制限を有する省スペースの配設に対応可能であり、かつ高温高湿環境下で使用されても初期の電気的特性、圧電特性、機械的強度を維持できる優れた特性を有している。したがってこのような配設条件や特性が要求される屋外用のセンサや、自動車のドアなどに組み込まれる挟み込みを検知のセンサとして最も適している。
また、介護用ベッドなどの使用される体動センサは大面積の検知を確保する必要があるが、本発明のケーブル状圧電素子はベッドの上に蛇行させて配設することにより、大面積の検知を可能とすることができるので、好適に用いることができる。
(実施例1)
まず圧電セラミックス粉末として、水熱合成により作製されたチタン酸バリウム粉末をマイクロ波焼結により得られたチタン酸バリウムのバルクを、アトマイザで粉砕後、さらにジェットミルで粉砕した後に分球することにより、平均粒子径2.5、3、5μmのチタン酸バリウムを得た。また、上記圧電セラミックスは、SEM観察により50nm程度のドメインが形成されていることが確認された。
次に、これを用い、下記に述べるチタンカップリング剤を圧電セラミックス粉末の表面に分散した。
具体的には、チタンカップリング剤としてイソプロポキシトリイソステアロイルチタネートを用い、このチタンカップリング剤を圧電セラミックス粉末に対して1.5wt%を高速ミキサで混合した。
次に、圧電セラミックス粉末が約60体積%、塩素化ポリエチレンが約35体積%となるように、上記圧電セラミックス粉末と可撓性を有する有機高分子として塩素化ポリエチレンとをロール機で混練し、圧電組成物感圧体を作製し、ホットプレス機を用いて厚み約0.5mmの圧電組成物感圧体のシートを作製した。
次に、塩素化ポリチレンにカーボンを充填し導電性を付与した厚み0.2mmの導電シートを圧電組成物感圧体のシートの両面に融着し、電極を形成し、圧電性を発現させるために100℃の空気中で電極間に直流高電圧を印加してポーリング処理を行い、幅20mm、長さ120mmのシート状圧電素子を10個作製し、感度に相当する圧電定数をd33メータ(ピエゾメータシステム PM300/ピエゾテスト社)により評価した。
(比較例1)
比較のため、実施例と同様にして得られた平均粒子径1.5μmのチタン酸バリウムを用いて、同様なシート状圧電素子も作製し、同様に評価を実施した。上記圧電セラミックス粉末は、SEM観察により50nm程度のドメインが形成されていることが確認された。
(比較例2)
また、比較のために水熱合成、マイクロ波焼結を用いない従来法により作製された圧電体バルクを粉砕して平均粒径3μm、SEM観察により、100nm以下の微細ドメインを有さないチタン酸バリウム粉末を得た。これ以外は、実施例と同様にしてシート状圧電素子を作製し、評価を実施した。
評価により圧電定数d33(実施例1の圧電セラミックス粉末の平均粒子径5μmの場合の圧電定数d33の平均値を100とした相対値で示した。)と、各10個作製した圧電素子のd33とそのCv値は順に、実施例1(圧電セラミックス粉末粒子径2.5、3、5μm)、比較例1(平均粒子径1.5μm)、比較例2(平均粒子径3μm)の順に、(圧電定数d33(相対値)、d33のCv値)=(81、7%)、(92、6%),(100、5%)(44、20%)、(41%、6%)であった。
実施例の圧電定数d33のCv値が 、比較例1に比べて小さいのは、平均粒子径が大きく、比較的圧電セラミックス粉末と有機高分子との混練分散状態が安定となり、圧電定数のバラツキも小さくなったと考えられる。また、比較例1の圧電定数d33が実施例よりも低くなるのは、混練分散状態にバラツキが生じるために、混練時に微細気泡を形成する等して、ポーリング処理で圧電セラミックスに効果的に電圧が印加されず、残留分極が小さくなったためではないかと考えられる。
また、実施例1の圧電定数d33が、比較例2に比べて大きいのは、実施例1で用いた圧電セラミックス粉末が50nm以下の微細なドメインを有するために、比較例2に比べて圧電セラミックス自体の圧電定数d33が上昇したためと考えられる。
以上のように、本発明にかかる圧電素子は、高感度であるために相対的にノイズが低減され、ノイズを低減するための回路が不要となる効果が得られる。また、圧電セラミックスと有機高分子との混練状態が安定となるために、安定した圧電特性が、信頼性を実現することができるものである。したがって、信頼性の要求される自動車のドアやウィンドウの挟み込みを防止する感圧センサや介護ベッドで人の体動を検知して在床を判断する圧力検出装置など幅広い用途に適用できるものである。
本発明の実施の形態1におけるシート状圧電素子の断面図 本発明の実施の形態1における圧電組成物感圧体の一部断面を示す模式図 本発明の実施の形態2ケーブル状圧電素子の一部断面図
符号の説明
1、6 圧電組成物感圧体
2 電極
3 圧電セラミックス粉末
4 可撓性を有する有機高分子
5 芯電極
7 可撓性外電極
8 保護層

Claims (5)

  1. 圧電セラミックス粉末と、可撓性を有する有機高分子とを混合してなり、前記圧電セラミックス粉末が概50nm以下のドメインを含んでなり、前記圧電セラミックス粉末の平均粒子径が2μmより大きい圧電組成物感圧体を用いた圧電素子。
  2. 圧電セラミックス粉末は、周期表第I族の元素、周期表II属の元素の少なくとも1種を含むペロブスカイト構造を有する化合物である請求項1記載の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子。
  3. 圧電セラミックス粉末は、チタン酸バリウムを含んでなる化合物である請求項1〜2のいずれか1項に記載の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子。
  4. 可撓性を有する有機高分子は、熱可塑性エラストマー、ゴムの少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子。
  5. 熱可塑性エラストマーは、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンの少なくとも1種を含む請求項4に記載の圧電組成物感圧体を用いた圧電素子。
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