JP2009102487A - コークスの製造方法、およびコークス製造用装置 - Google Patents

コークスの製造方法、およびコークス製造用装置 Download PDF

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Abstract

【課題】粉コースの除去が行われると共に、高い強度のコークスを製造できるコークスの製造方法、およびこの方法で使用されるコークス製造用装置の提供。
【解決手段】コークスの製造方法は、コークスに衝撃を加えて前記コークスの一部を破壊する工程と、この工程における破壊で生じた粉コークスを除去する工程とを有する。コークス製造用装置は、石炭を乾留するコークス炉1と、コークス炉から窯出しされた赤熱コークスを搬送する第一搬送機2、3、4と、搬送された赤熱コークスを冷却する冷却機5と、冷却後のコークスを搬送する第二搬送機6と、搬送された冷却後のコークスに衝撃を加えてこのコークスの一部を破壊する衝撃負荷機7と、その破壊で生じた粉コークスを除去する粉コークス除去機7とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高炉内における通気性低下を抑えることができ、強度に優れるコークスの製造方法、およびこの製造方法において使用される装置に関するものである。
コークスは、高炉用、鋳物用、燃料用等の用途に使用されており、高炉用に使用されるコークスには、高炉内における通気性確保のためにも、粉コークス含量が少ないことが望まれる。つまり、輸送、高炉装入等の前のコークスから粉コークスが除かれていると共に、輸送、高炉装入等の時の全体的または部分的なコークスの破壊を抑制できるコークス強度が望まれている。
コークスの強度向上のための方法としては、石炭を乾留するコークス製造において、複数種の石炭を配合したコークス原料炭を使用することが一般的である。この石炭配合においては、コークス原料炭中の強粘結炭の比率を高めることが強度向上に適していると言われている。
コークス原料炭の配合以外にもコークス強度を高める方法がある。その方法としては、コークス炉に装入する前の石炭を事前処理する方法、およびコークス炉から取り出されたコークスを事後処理する方法がある。前者の方法としては、粉砕制御法、石炭調湿法、予熱炭装入法、微粉炭塊成化法、成形炭装入法、およびスタンピング法等があり、後者の方法としては、乾式消火(CDQ:Coke Dry Quenching)法がある。これらの方法によれば、コークスの高強度化が可能であるが、コークスの強度を直接的に調整するものではないため、その強度調整に困難性が伴う。
特許文献1、2には、コークスの強度に関する次の技術が開示されている。特許文献1には、所定量の粘結炭および非微粘結炭からなる配合炭を乾留するコークスの製法として、(1)非微粘結炭を予熱後、微粉炭と粗粉炭とに分級し、(2)微粉炭をその軟化開始温度から最高流動温度まで所定速度で急速加熱し、次いでその軟化開始温度から最高流動温度に保持した状態で、所定圧力にて熱間成形し、(3)当該熱間成型炭、予熱した粘結炭、および前記粗粉炭の混合炭を乾留することが開示されている。特許文献2には、非粘結炭、微粘結炭、および結合剤から成る石炭ブリケット用原料に対し、3〜10重量部の炭素繊維を混合し、成形した後に、乾留を行うことが開示されている。
特開平8−209150号公報 特開平6−172756号公報
本発明は、上記事情に鑑み、粉コースの除去が行われると共に、高い強度のコークスを製造できるコークスの製造方法、およびこの方法で使用されるコークス製造用装置の提供を目的とする。
本発明者等は、コークスの強度を向上させるべく鋭意検討した結果、従来のコークス強度向上手段を採用したとしても低強度部がコークスに存在すること、およびこの低強度部の破壊・除去がコークス強度向上に適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るコークスの製造方法は、コークスに衝撃を加えて前記コークスの一部を破壊する工程と、前記破壊で生じた粉コークスを除去する工程とを有することを特徴とする。この方法において除去対象となる粉コークスの粒度は、15mm以下であると良い。
本発明に係るコークスの製造方法における前記コークスの一部の破壊は、筒状ドラムにコークスを装入し、前記ドラムを当該ドラムの軸を中心にして回転させて行うものであると良い。この場合に使用するドラムの周面には、粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔が設けられていることが、前記コークスの一部を破壊する工程と、前記粉コークスを除去する工程とを同時に実行できるので、好ましい。
本発明に係るコークス製造用装置は、石炭を乾留するコークス炉と、前記コークス炉から窯出しされた赤熱コークスを搬送する第一搬送機と、前記赤熱コークスを冷却する冷却機と、前記冷却後のコークスを搬送する第二搬送機と、前記第二搬送機により搬送されたコークスに衝撃を加えて該コークスの一部を破壊する衝撃負荷機と、前記破壊で生じた粉コークスを除去する粉コークス除去機とを備えることを特徴とする。
本発明に係るコークス製造用装置における衝撃負荷機は、コークスが装入される筒状ドラムを有し、前記ドラムが、当該ドラムの軸を中心にして回転自在なものであると良い。当該ドラムの周面に粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔が設けられていることが、衝撃負荷機としての機能だけではなく粉コークス除去機としての機能をも有するドラムとなることから、好ましい。
本発明によれば、衝撃が加えられたコークスにおける低強度部が破壊され、この破壊で生じた粉コークスを除去するので、粉コークスの含量が少なく且つ高強度のコークスを実現できる。また、コークスに加える衝撃については、コークスの低強度部の破壊量を調整するための衝撃回数、衝撃力の制御が容易であることから、コークスの強度調整が容易となる。
(コークスの製造方法)
本発明に係るコークスの製造方法は、コークスに衝撃を加える衝撃負荷工程と、当該衝撃負荷工程で生じた粉コークスを除去する粉コークス除去工程を有する。
衝撃負荷工程で衝撃が加えられる対象となるコークスは、一種の原料炭または二種以上の原料炭を混合した配合炭を乾留後、この乾留で生成した赤熱コークスを消火して製造される。
乾留対象が配合炭である場合、この配合炭は、強粘結炭、粘結炭、弱粘結炭、非微粘結炭、および非粘結炭等から選択された一種または二種以上である。強度の高いコークスを製造するためには、粘結性を有する一種以上の石炭を選択することが好ましい。ここで、石炭が一種であるかの判断は、粘結性だけではなく、産地の異同も基準にして判断される。
上記配合炭を乾留する場合、この配合炭が所定の特性になるように、原料炭の配合比率を定めることが好ましい。上記所定の特性は、配合炭の揮発分、トータルイナート、ギーセラー最高流動度、粒度構成に関するものである。前記配合炭の揮発分は、15〜35質量%であると好ましい。前記配合炭の平均反射率は、0.65〜1.60であると好ましく、1.00〜1.10であるとより好ましい。前記配合炭のトータルイナートは、15〜35質量%であると好ましく、20〜23質量%であるとより好ましい。前記配合炭のギーセラー最高流動度(logMFD)は、0.7(logddpm)〜3.5(logddpm)であると好ましく、2.0(logddpm)〜2.3(logddpm)であるとより好ましい。前記配合炭の粒度構成は、3mm以下のものが50〜90質量%であると好ましく、75〜85質量%であるとより好ましい。
なお、配合炭における強粘結炭の比率を高めることはコークス強度向上に適しているが、その比率が高まると共に乾留炉(コークス炉)内における配合炭の膨張圧が高くなるため、コークス炉内壁の損傷予防に留意が必要である。この損傷予防を完全に行うためには、強粘結炭の配合比率を極端に高めることは避けることが好ましい。
上記配合前の原料炭または配合炭に対しては、衝撃粉砕機等の粉砕機を使用して原料炭または配合炭を粉砕し、その粒度分布を調整することが通常である。粉砕を配合前の原料炭に対して行うか、配合炭に対して行うかは、要求されるコークス特性に応じて選択的に行われる。例えば、配合炭中でも粘結性が低いものをより微細な粒径に粉砕することが、より強度が高いコークスの製造に適しており、その粒径の調整のためには、原料炭を配合する前に粉砕することが簡便である。
コークス炉内で乾留が行われ、当該乾留過程においては、配合炭等の軟化・溶融、再固化、およびコークス化が生じる。
乾留を行う際の条件は、通常の乾留条件を採用することができ、特に限定されない。乾留におけるコークス炉内温度は、950〜1200℃であると好ましい。そして時間は、8〜24時間であると好ましい。
乾留により1000〜1100℃程度の赤熱コークスが生じる。この赤熱コークスを冷却(例えば、230℃以下に冷却)するには、公知の赤熱コークスの冷却方法を採用すると良い。窒素等の不活性ガス雰囲気中で赤熱コークスを徐冷するCDQ法を採用することが好ましい。当該CDQ法によれば、コークスの低強度部がある程度脱落するのでコークスの強度向上に適していると共に、湿式消火法よりも粉塵の飛散を抑えることが可能である。
以上のように製造されたコークスが衝撃負荷工程で処理される。衝撃負荷工程では、コークスと外部との衝突、コークス同士の衝突、コークスと外部との摩擦、コークス同士の摩擦等でコークスに衝撃を加えることにより、そのコークスの一部を破壊する。破壊されるコークスの部分は、コークスの中でも比較的強度の低い部分(低強度部)であり、破壊されないコークスの部分は、コークスの中でも比較的強度の高い部分(高強度部)である。つまり、コークスの低強度部は、加えられた衝撃で破壊されて、粉コークス(粒度が、例えば概ね15mm以下)となり、コークスの高強度部は、加えられた衝撃による破壊が生じがたく、強度が高い塊状コークス(粒度が、例えば概ね40mm以上)となる。
なお、本発明におけるコークスの粒度は、所定の目開きの篩いを通過できるか否かで決定される。例えば、目開き15mmの篩いを通過するコークスの粒度は、15mm以下であり、目開き40mmの篩いを通過しない篩上の残存コークスの粒度は、40mm以上である。
コークスに衝撃を加える態様は、特に限定されない。例えば、コークスを落下させる態様、斜面においてコークスを転動させる態様が挙げられる。コークスにおける低強度部の破壊量を調整するためには、コークスへの衝撃負荷回数、コークスの落下開始高さ、コークスの転動斜面の傾斜などを適宜設定すると良い。すなわち、衝撃負荷回数が多いほど、コークスに加わる衝撃が大きいほど、コークスの強度が向上する。
コークスに衝撃を加える好適な態様は、コークスの落下と斜面におけるコークスの転動とが組み合わされた態様である。この好適な態様の一例としては、円筒状、角筒状等の筒状ドラムにコークスを装入し、そのドラムを当該ドラムの軸を中心にして回転させることが挙げられる。ドラムを回転させることで、コークスの落下によるコークスと外部との衝突、およびコークスの転動によるコークスと外部との摩擦だけではなく、コークス同士の衝突、およびコークス同士の摩擦も生じることになるから、コークスの低強度部の破壊を迅速に行うことができる。
粉コークス除去工程では、衝撃負荷工程で得られた粉コークスと塊状コークスとのコークス混合物から、粉コークスの一部または全部を除去する。棒篩、回転篩、揺動篩、旋動篩、振動篩等の公知の分級手段により、粉コークスをコークス混合物から除去することが可能である。
上記のドラムを使用してコークスに衝撃を加えた場合、コークスに衝撃を加えると共に、粉コークスの除去を行うことも可能である。そのためには、周面に粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔が設けられているドラムを使用する必要がある。
粉コークス除去工程を経て得られる塊状コークス、または塊状コークスと残存する粉コークスとのコークス混合物は、衝撃負荷工程前のコークスよりも強度が高いものとなる。この強度向上の確認をするためには、JIS K 2151の6.2に規定されている回転強度試験法(回転数:150、篩目開き:15mm)のDI15 150を比較する。つまり、円筒形容器(直径1500mm、長さ1500mm、羽根の内設数:6、羽根の大きさ:250×250×6mm)の中に粒度25mm以上のコークス試料10kgを装入し、回転速度15rpmで前記円筒容器を当該円筒容器の軸を中心に150回転させた後にコークスを取り出し、目開き15mmの篩上に残るコークス残存量を比較することにより確認できる。ここでのDI15 150は、次式(1)により算出される値である。
Figure 2009102487
本発明に係るコークスの製造方法は以上の通りである。上記衝撃負荷工程と粉コークス除去工程を備えるコークスの製造方法は本発明に該当する。つまり、乾留前の原料炭および/または配合炭の水分を調整する石炭調湿法;乾留前の原料炭および/または配合炭の水分を、加熱(例えば、300℃程度)により減少させる予熱炭装入法;原料炭の微粉と粗粉とからなる原料炭粉を乾燥後、分離した微粉を塊成化する微粉炭塊成化法;コークス炉内に装入する原料炭および/または配合炭の一部を、ピッチ、アスファルト、タール等をバインダーとして使用しつつ、圧縮成形する成形炭装入法;原料炭および/または配合炭の嵩密度を高めるための圧縮を行って成形ケーキとするスタンピング法;等の公知の方法を含むものであっても、上記衝撃負荷工程と粉コークス除去工程を備える限り、本発明に該当する。
なお、本発明に係るコークスの製造方法において、上記で例として挙げた石炭調湿等を採用する場合、以下の必要点、利点、注意点等がある。石炭調湿法を使用する場合、水分が低下した配合炭等からは石炭微粉が多く発生することがあるため、配合炭等の水分調整設備および/または発生した石炭微粉対策設備が必要である。予熱炭装入法を使用する場合、炭化時間が大幅に減少して生産性が増大する上に、低コークス化性または酸素含有量の多い石炭を使用することが可能であるが、配合炭等が加熱されることによる発火、および配合炭等の酸化劣化を予防するために、窒素雰囲気中で配合炭等の予熱が実行される必要がある。更に、予熱炭装入法を使用する場合には、発生ガスに同伴する石炭微粉がタール中に混入し、タール品質を低下させること、および、配合炭等の高膨張圧がコークス炉内壁を破損することがないように注意が必要である。微粉炭塊成化法を使用する場合、塊成化させた石炭が壊れると石炭粉塵の発生およびその堆積が起こるので、高強度の塊成化が必要であり、水分量が少ない堆積石炭粉塵は自然発火しやすいので、その予防策を講じる必要がある。成型炭装入法を使用する場合、コークス炉内への石炭装入を増量できる上に、強粘結炭使用量節約の利点があるが、コークス炉内のへの石炭装入偏差が大きくならないように留意しなければならない。スタンピング法を使用する場合、成形ケーキがコークス炉内で自由膨張し、コークスの局部的な品質低下を招かないように、コークス炉内壁と成形ケーキとの間の間隔を十分に取る必要がある。
本発明に係るコークスの製造方法で得られたコークスは、公知のコークスと同様に、高炉用コークス、鋳物用コークス、燃料用コークス等として使用できるものである。
(コークス製造用装置)
本発明に係るコークス製造用装置は、石炭を乾留するコークス炉と、コークス炉から窯出しされた赤熱コークスを搬送する第一搬送機と、赤熱コークスを冷却する冷却機と、その冷却後のコークスを搬送する第二搬送機と、第二搬送機により搬送されたコークスに衝撃を加えて該コークスの一部を破壊する衝撃負荷機と、その破壊で生じた粉コークスを除去する粉コークス除去機とを備える。
図1は、本発明に係るコークス製造用装置の一実施形態の全体構成を表す概略図である。図1に表す装置は、コークス炉1と、コークス炉1から窯出しされた赤熱コークスを受骸するバケット2と、バケット2を積載して搬送するバケット車3と、バケット車3に積載されているバケット2を搬送自在なクレーン4と、赤熱コークスを消火・冷却するCDQ設備5と、消火・冷却されたコークスを搬送するためのベルトコンベア6と、コークスに衝撃を加えると共に粉コークスを除去するためのトロンメル7と、高炉に向けてコークスを搬送するベルトコンベア8と、を備えている。なお、図示の装置では、バケット2、バケット車3、およびクレーン4が本発明に係る装置における第一搬送機に該当し、ベルトコンベア6が本発明にかかる装置における第二搬送機に該当する。
図1に示す装置における各部とその動作について、更に説明する。
コークス炉1は、蓄熱室の上部に、炭化室と燃焼室が交互に並べられたものである。炭化室では原料炭の乾留が行われ、この乾留のために必要な熱が、燃焼室内の燃料ガス燃焼で生じる。また、燃焼室内への燃料ガスは、蓄熱室を介して導入されるようになっている。このようなコークス炉1の炭化室における乾留により、石炭から赤熱コークスが生じ、押し出し機等によって、赤熱コークスがコークス炉1の炭化室から窯出しされる。
コークス炉1から窯出しされた赤熱コークスは、バケット2に受骸される。バケット2は、上部に開口部を有する有底容器であって、底部が開閉自在な機構を具備している。バケット2がバケット車3の上部に積載されている状態で、バケット2に赤熱コークスが受骸される。その受骸後、バケット車3が、クレーン4で引き上げられる位置にまでバケット2を搬送する。そして、バケット2は、クレーン4により、引き上げられた後にCDQ設備5の上端に搬送される。
CDQ設備5は、上部には赤熱コークスを装入するためのホッパーが設けられ、内部には、不活性ガスである窒素ガスが循環するクーリングチャンバーが設けられている。バケット2の底部が開口することにより、赤熱コークスがCDQ設備5のホッパーに送り出される。なお、赤熱コークスを送り出した後のバケット2は、クレーン4により再びバケット車3に積載され、このバケット車3は、コークス炉1から窯出しされた赤熱コークスを受骸する位置にまで戻ることになる。上記ホッパーを介してCDQ設備5の内部に装入された赤熱コークスは、クーリングチャンバー内で窒素ガスにより消火・冷却され、その後、CDQ設備5の下部から送り出される。
CDQ設備5から送り出されたコークスは、ベルトコンベア6によってトロンメル7(回転式ふるい)の内部に搬送される。トロンメル7には、コークスが装入される円筒状ドラムDRが内設されている。このドラムDRは、当該ドラムDRの軸を中心にして回転自在であり、当該軸の傾斜角度、回転速度を任意に制御できるものである。
図2は図1のドラムDRの構造を説明するための図であり、図2(a)はドラムDRをその開口部方向から見た図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図であり、図2(c)は図2(b)のB部分の拡大図である。図2(a)に表している通り、ドラムDRの外周端部には、被動歯車9aが設けられている。この被動歯車9aは、ドラムDR外部に設置され且つ回転速度を制御可能な駆動歯車10と噛合する歯車である。ドラムDRの内周面には、ドラムDRの回転方向にコークスを移動させるための複数の板状リフター9bが、回転軸と略平行になって突設されている。図2(b)に示す通り、隣接する各リフター9bは、非直線上に配置されている。ドラムDRの周面には、図2(c)に表されている通り、粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔9cが設けられている。
上記図2に表されるドラムDRに装入されたコークスは、先ず、当該ドラムDRの回転方向に移動する。このときリフター9bの上面にコークスが乗ることになるから、コークスの移動後の位置は、リフター9bがない場合よりも、高い位置になる。ある程度の高さまで移動したコークスは落下すると共にドラムDRの内周面を転動し、コークスとドラムDRの内周面との衝突および/または摩擦、コークス同士の衝突および/または摩擦が生じ、コークスの低強度部が破壊されて粉コークスが生じる。そして、この粉コークスが貫通孔9cを通じてドラムDRの外部に排出されることになるから、コークスからの粉コークスの除去が達成される。なお、除去された粉コークスを後に使用するかは任意である。ドラムDRの回転軸が傾斜している場合、低強度部が破壊された後のコークス(塊状コークス)は、ドラムDRの下側開口から導出されることになる。この導出されたコークスは、ベルトコンベア8により高炉に向けて搬送される。
なお、ドラムDRの回転軸の傾斜角度、ドラムDRの回転速度、ドラムDRの長さ、およびドラムDRの直径の何れかを適宜設定すれば、コークス強度の調整を行うことが可能となる。例えば、ドラムDRの傾斜角度を大きくとればコークスの落下距離が長くなって、コークスの低強度部の破壊が進み易くなり、コークスの強度向上が促進する。この傾向は、ドラムDRの回転速度を高めた場合、ドラムDRの長さを長くした場合、およびドラムDRの直径を長くした場合も同様である。
本実施形態に係る装置は、以上の通りである。上記の通り、本実施形態の装置は本発明に係る装置の一例を示すものに過ぎず、本発明に係る装置は本実施形態に係る装置に限定されない。
本実施形態に係る装置におけるトロンメル7を、他の衝撃負荷機および粉コークス除去機に置き換えた装置も本発明の装置に該当する。
例えば、衝撃負荷機として、シューター(コークスの転動路となる内部空間を備える筒体)を採用し、粉コークス除去機として、公知の篩を採用した装置が、本発明に係る装置の一実施形態として挙げられる。このシューターが採用された装置では、シューターの上部開口から導入されたコークスが、シューター内を転動・落下することで、コークスとシューター内面との衝突および/または摩擦と、コークス同士の衝突および/または摩擦が起こり、コークスの低強度部が破壊される。シューター長さ、その傾斜角度等を適宜設定すれば、コークスの低強度部の破壊量増減を制御できる。
また、衝撃負荷機として、サイロ(コークスの貯蔵塔)を採用し、粉コークス除去機として、公知の篩を採用した装置も、本発明に係る装置の一実施形態として挙げられる。サイロ上部からコークスを落下させ、当該落下の間には、コークスとサイロの内面との衝突および/または摩擦と、コークス同士の衝突および/または摩擦が起こり、コークスの落下完了時にも、再度コークスに衝撃が加わるから、コークスの低強度部が破壊されることになる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(コークスの製造)
配合炭(揮発分:26.6%,灰分:11.8%,粒度:3mm以下のものが80%)を、コークス炉内で、炉内温度:1100℃、乾留時間:約19時間の条件で乾留した。この乾留で生成した赤熱コークスを、CDQ内で消火、冷却した。
JIS K2151の6.2のコークス回転強度試験法に準じ、ドラム寸法:直径1500mm×長さ1500mm、ドラム内周面に設けられた板状リフター数:6、リフターの大きさ:250×250×6mm、ドラムの回転軸:ドラムの軸、ドラム回転数:150回、コークスの大きさ(初期値):25mm以上、篩いの目開き:15mmの条件で、コークスへの衝撃負荷および粉コークスの除去を行った。二回目のコークスへの衝撃負荷および粉コークスの除去は、一回目の粉コークス除去における篩を通過しなかったコークスを対象とし、一回目の衝撃負荷および粉コークスの除去と同じ処理を行った。更に、三回目の衝撃負荷および粉コークスの除去を、二回目の衝撃負荷および粉コークスの除去と同様とした。
(コークス強度の評価)
JIS K2151に規定されているDI15 150を上記式(1)により算出し、当該DI15 150に基づいてコークス強度を評価した。DI15 150が大きな程、コークス強度に優れているものと評価される。
コークス強度の評価結果を表1に示す。
Figure 2009102487
表1において、ドラムの回転数(コークスへの衝撃負荷回数)が増えるにつれてコークス強度が向上したことを確認することができる。つまり、コークスの強度は、そのコークスがCDQで消火・冷却されたものであっても、向上する余地が残っており、表1は、コークスに衝撃を加えればその強度が向上することを示している。また、衝撃負荷回数に応じて、コークス強度を制御できたことを表1は示している。
本発明に係るコークス製造用装置の一実施形態の全体構成概略図である。 図1のドラムDRの構造を説明するための図である。
符号の説明
1 コークス炉
2 バケット
3 バケット車
4 クレーン
5 CDQ設備
6 ベルトコンベア
7 トロンメル
8 ベルトコンベア
9a 被動歯車
9b リフター
9c 貫通孔
10 駆動歯車
DR ドラム

Claims (7)

  1. コークスに衝撃を加えて前記コークスの一部を破壊する工程と、
    前記破壊で生じた粉コークスを除去する工程とを有することを特徴とするコークスの製造方法。
  2. 前記粉コークスの粒度が、15mm以下である請求項1に記載のコークスの製造方法。
  3. 前記コークスの一部の破壊を、筒状ドラムにコークスを装入し、前記ドラムを当該ドラムの軸を中心にして回転させて行う請求項1または2に記載のコークスの製造方法。
  4. 前記ドラムの周面には、粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔が設けられている請求項3に記載のコークスの製造方法。
  5. 石炭を乾留するコークス炉と、
    前記コークス炉から窯出しされた赤熱コークスを搬送する第一搬送機と、
    前記赤熱コークスを冷却する冷却機と、
    前記冷却後のコークスを搬送する第二搬送機と、
    前記第二搬送機により搬送されたコークスに衝撃を加えて該コークスの一部を破壊する衝撃負荷機と、
    前記破壊で生じた粉コークスを除去する粉コークス除去機と
    を備えることを特徴とするコークス製造用装置。
  6. 前記衝撃負荷機が、コークスが装入される筒状ドラムを有し、前記ドラムが、当該ドラムの軸を中心にして回転自在なものである請求項5に記載のコークス製造用装置。
  7. 前記衝撃負荷機および粉コークス除去機として、コークスが装入され、かつ、周面に粉コークスを篩い分けるための複数の貫通孔が設けられている筒状ドラムを備え、前記ドラムが、当該ドラムの軸を中心にして回転自在なものである請求項5に記載のコークス製造用装置。
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