JP2009099435A - 色素増感太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの上昇を抑制しつつ光電変換効率の向上に寄与する構造の色素増感太陽電池を提供すること。
【解決手段】本発明に係る色素増感太陽電池は、透光性基板と;前記透光性基板に選択的に埋め込まれた微細金属配線からなる第1の電極と;前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る色素増感太陽電池は、透光性基板と;前記透光性基板に選択的に埋め込まれた微細金属配線からなる第1の電極と;前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は色素増感太陽電池に関する。特に、色素増感太陽電池の電極構造を主としたセル構造の改良に関するものである。
地球全体に降り注ぐ太陽光エネルギーは、全世界が消費する電力の10万倍とも言われる。我々は特別な工業活動を行わなくても、既に膨大なエネルギー資源に囲まれているのである。太陽電池は、この資源(太陽光)を、人類が利用し易い電気エネルギーに変換する為の装置で、50年の歴史がある。
現在生産されている太陽電池の90%以上はシリコン(Si)系太陽電池である。シリコン系太陽電池は、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSiの形態に分類される。これらは変換効率、コスト、加工性能が異なり、搭載製品、用途、設置場所等に応じて選択されている。Si系太陽電池の中では、単結晶Si太陽電池の変換効率が最も高く、実用レベルで20%に達する製品も製造されている。また、人工衛星用向け等の特殊用途においては、超高変換効率や優れた耐放射線劣化特性を有する化合物半導体が用いられる場合もある。
ところで、太陽電池をはじめとした再生可能エネルギーは、環境負荷がほとんどない理想的なエネルギー資源と言われているが、これまでのところ、普及はあまり進んでいない状況にある。大きな理由の1つは、発電コストが高いことにある。このような状況下にて市場をより活性化させ、自然と調和するエネルギー供給システム(社会)を実現していく為には、発電の低コスト化が必要である。そして、これには技術面での進歩が必須で、具体的には2方向からのアプローチがある。
第1は、太陽電池自体の高効率化を実現していくことにある。仮に、同じ製造コストでも発電効率が倍になれば、製品コストは半分になったことと同等である。第2は、材料、製造方法、あるいは構造自体を改良して、製品単価を下げる方法である。現在、主流のSi系太陽電池は、高純度のSi材料を必要とすること以外に、その製造工程にて高温/高真空が必要であることや、大面積基板へのSi材料の生成/加工においては、生産設備の巨大化等に伴い、製造コストを効果的に下げられない状況にある。この為Si系とは別の材料を用いて材料コストを下げ、さらには高温工程や真空工程も極力除外することにより、製造過程でのエネルギー消費も抑え、結果的にトータルコストを大幅に抑えた太陽電池も各種提案されている。この代表が湿式の色素増感型(グレッツェルセル)太陽電池と、乾式の有機薄膜太陽電池である。
色素増感型太陽電池は、構造が簡単で、構成材料としても資源的に豊富な材料を選択することができる。さらに製造工程でのエネルギー消費量が少ない点や、大掛かりな設備も不要な為、発電コストが現在主流のSi系太陽電池に比較して1/5以下に抑えられるとも試算されている。
以下、従来の一般的な色素増感太陽電池の製造方法について説明する。まず、表面にFTOもしくはITOの導電性膜をコーティングしたガラス基板を準備する。次に、スクリーン印刷法、もしくは塗布法にて、TiO2の微粒子を含んだペースト材を塗布する。
次に、アニール処理にて、このチタニアペースト材を焼結する。これによりペーストの溶剤である有機物が飛散して、かつチタニアの微粒子がネッキングして、電子の拡散路を形成する。
次に、Ru金属錯体(代表例:N719)を含んだアルコール溶液中に、この焼成処理を行った基板を半日程度浸漬して、この多孔質構造のTiO2表面にRu金属錯体色素を吸着させる。さらに、アルコールで洗浄した後、暗所にて乾燥させる。
次に、対極として、ピンホールが形成された導電性ガラス基板上に薄いPtをスパッタし、この対極と上記TiO2極板の周辺にハイミランフィルム(三井・ヂュポンケミカル)を形成した後、両極を接着する。
次に、対極に形成されたピンホールからヨウ素を含む電解溶液を注入して、両極間の隙間を電解溶液にて充填した後、ピンホールを塞ぐ。
その後、チタニア極へはマイナス電極配線を結線し、対極側からはプラス極配線を結線することにより平板状の色素太陽電池を構成する。
この太陽電池では、チタニアを形成した側から光を入射させ、チタニア表面に吸着した色素が光を吸収して、電子が励起される。色素の励起順位に対して、チタニアの伝導帯は0.2eV程度のエネルギー順位が低い為、この励起した電子は、チタニア側へ流れて行く。さらにこの電子は、ガラス上の導電性膜を流れて外部負荷を稼動させた後、陽極側に到達する。その後、この電子は電解溶液中へヨウ素イオンとの還元反応にて引き渡され、このヨウ素は拡散して励起した色素へ電子を引き渡す酸化反応が起こる。以上のサイクルが繰り返されることにより、定常的な光照射に伴う、光起電力が発生する。
以上、述べた製造方法とメカニズムにより、安価で高効率の太陽電池が製造できるようになった。常圧、低温、豊富な資源を使用できるため、シリコン太陽電池に比較して、極めて安価な太陽電池を製造することが可能となっている。
下記の特許文献には、色素増感型太陽電池用電極の低抵抗化を図るために、抵抗値の低い電極配線が基材フィルム上に形成され、電極配線を透明導電膜によって覆う構成が開示されている。
特開2004−146425号公報
特開2004−220920号公報
特開2005−197176号公報
特開2005−259478号公報
電極配線を備えた従来の色素増感型太陽電池は、ガラス基板と、当該ガラス基板の上に形成された電極配線と、ガラス基板の上に形成された透明導電膜と、電極配線及び透明導電膜を覆うように形成された酸化物半導体(TiO2)膜12とを備えている。透明導電膜は、ITOやFTOから構成される。
上述のような構成においては、ガラス基板及び透明導電膜を通過した光が酸化物半導体膜に付着した色素(Ru等)に照射されると、電子(e-)が励起される。その後、電子(e-)は、チタニア膜から透明導電膜を介して電極配線へ移動するようになっている。
しかしながら、上述した従来の構造においては、透明導電膜(ITOやFTO)を用いているため、それ自体のコストが高く、結果として電池のコストを引き上げることとなっていた。また、酸化物半導体膜中の粒子と粒子の結合度(ネッキング)を上昇させる(酸化物半導体膜の低抵抗化の)ために、酸化物半導体膜を約400℃〜500℃で焼結した場合、透明導電膜の特性が劣化(抵抗値が上昇)してしまう恐れがある。
ガラス基板上に電極配線を形成することにより、電極配線を有しない場合に比べて電極の低抵抗化を図ることができるものの、更なる変換効率の向上が要求されている。
従って、本発明の目的は、コストの上昇を抑制しつつ光電変換効率の向上に寄与する構造の色素増感太陽電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る色素増感太陽電池は、透光性基板と;前記透光性基板に選択的に埋め込まれた微細金属配線からなる第1の電極と;前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の第2の態様に係る色素増感太陽電池は、透光性基板と;前記透光性基板上に形成された微細金属配線からなる第1の電極と;前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備える。そして、前記第1の電極の側壁には絶縁保護膜が形成されている。
以上のように本発明の第1の態様においては、半導体加工技術を利用して基板を加工することにより、基板中に高アスペクト比の電極配線を埋め込んでいる。基板に埋め込まれた配線は、基板上に形成された配線に比べて、電極の酸化や腐食に対する耐性が高く、かつパターン倒壊などの問題もない。このため、透明導電膜(ITOやFTO)を省略することができる。その結果、光透過率が向上するとともに、内部抵抗が減少し、光・電気変換効率の向上を図ることができる。また、従来用いられていた高価な透明導電膜の省略により、製造コストの低減を図ることができる。
一方、本発明の第2の態様においては、半導体加工技術を利用して基板を加工することにより、透光性基板上に側壁保護膜を有する電極配線を形成している。基板上に単純に形成された露出配線に比べて、電極の酸化や腐食に対する耐性が高く、かつパターン倒壊などの問題も少ない。このため、透明導電膜(ITOやFTO)を省略することができる。その結果、光透過率が向上するとともに、内部抵抗が減少し、光・電気変換効率の向上を図ることができる。
また、従来用いられていた高価な透明導電膜の省略により、製造コストの低減を図ることができる。
また、従来用いられていた高価な透明導電膜の省略により、製造コストの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る色素増感太陽電池100の構造を示す断面説明図である。色素増感太陽電池100は、透光性のガラス基板116と、当該ガラス基板116に埋め込まれた電極配線(アノード電極)114と、ガラス基板116を覆うように形成され、かつ、ルテニウム(Ru)等の色素が吸着された酸化物半導体層(チタニアTiO2)112と、酸化物半導体層112の周辺に充填される電解液(ヨウ素)118と、電解液118を封止する封止材料124と、表面にPtコート122を施した金属板(カソード電極)120とを備えている。
次に、上記色素増感太陽電池100の製造方法について図2及び図3を参照して説明する。まず、リソグラフィー技術を用いてガラス基板116上に所望の配線パターンを転写し、レジスト形成を行う。次に、フッ素系ガスを用いたRIE又はHFを用いたウェットエッチング工程により、ガラス基板116に溝150を形成する(図2(A))。溝150の寸法としては、例えば線幅100〜1000nm程度、深さ800nmとする。また、溝150の形状は、後に詳細に説明するが、ストライプ状や格子状、ハニカム形状とすることができる。
次に、図2(B)に示すように、密着層として厚さ100nm程度のTiN層152をガラス基板116上及び溝150内部にスパッタ法により、例えば、RFパワー5kW、圧力4mmTorr、基板加熱100℃という条件で形成する。
次に、図2(C)に示すように、厚さ800nm程度の金属層154をTiN層152上に形成する。金属層154としては、タングステン、イリジウム、チタン、ニッケルなどを使用することができ、スパッタリングやCVD技術によって成膜することができる。ここで、タングステンを埋め込むことによって金属層154を形成する場合には、CVD法を適用したWF6還元ガスにより形成することができる。
次に、図3(D)に示すように、溝150以外の部分(不要部分)のTiN層152及び金属層154を除去する。この除去工程は、CMP又はエッチング技術によって実行することができる。本実施例では、タングステンCMP条件を採用し、スラリーとしてキャボット社製のSEM-SUPERSE-W2000を使用した。圧力、回転数の条件は所望の条件を用いた。上述した電極配線114は、これらTiN層152及び金属層154によって構成される。
その後、電極配線114の酸化耐性、電解質からの腐食耐性を向上させるために、必要に応じてキャップ層(156a)を形成する。キャップ層の成形に際しては、図3(E)に示すように、保護膜156をガラス基板116上に形成する。保護膜156としては、Ti,TiN,TiAlN,WSi,D−polyなどを使用することができ、スパッタリング又はCVD工程により厚さ10〜100nm程度成膜する。続いて、図3(F)に示すように、電極配線114以外の部分の保護膜156を、リソグラフィー及びエッチング工程によって選択的に除去する。電極配線114以外の部分の保護膜156を除去することにより、開口率(光透過率)の低下を最小限に抑えることができる。
金属層154として耐熱性に優れたイリジウムなどを採用した場合には、キャップ層156aを省略可能な場合もある。
次に、直径20nm〜30nm程度のTiO2の微粒子を含んだ分散液(ペースト)を、ガラス基板116上に50μm程度塗布し、約450℃で2時間程度の焼結処理を行うことによって、10μm〜20μm程度の厚さの酸化物半導体層(チタニア膜)を形成する。この時の焼結処理によって、有機物(ポリエチレングリコール)が飛散され、ネッキングされて電子の拡散路が形成される。チタニアペーストとしては、例えば、Solaronix 社製の Ti-Nanooixde D/SP を使用することができる。塗布面積は10×10mm程度とすることができる。
次に、Ru金属錯体(代表例:N719)を含んだアルコール溶液中に、この焼成処理を行った基板を半日程度浸漬して、この多孔質構造のTiO2膜の表面及び内部にRu金属錯体色素を吸着させる。ここで、多孔質チタニア層112に吸着させる色素としては、N3色素、N719色素、ブラックダイ等を使用することができる。
次に、色素を吸着させた酸化物半導体層112をエタノールで洗浄した後、暗所にて乾燥させる。その後、ピンホールが形成されたガラス基板116と表面にPtコート122が施された金属板(カソード電極)120を封止材料(例えば、光硬化タイプの液状シール剤(スリーボンド製31X-101))124を用いて接合させる。カソード電極120としては、ガラス基板又はプラスチック基板に透明導電膜(FTO又はITO)を形成したものを採用することができる。
次に、ガラス基板116に形成されたピンホールからヨウ素を含む電解溶液118を注入して、両極(アノード、カソード)間の隙間を、この電解溶液118にて充填する。その後、ピンホールを塞ぎ、電極配線114にマイナス電極配線を結線し、カソード電極板120にプラス極配線を結線することにより色素増感太陽電池が構成される。
この太陽電池100においては、ガラス基板116側から光を入射させ、酸化物半導体層(チタニア膜)112の表面に吸着した色素が光を吸収して、電子が励起される。励起した電子は、電極配線114に達した後、陽極側(120)に移動する。その後、電解溶液118中へヨウ素イオンとの還元反応にて引き渡され、このヨウ素は拡散して励起した色素へ電子を引き渡す酸化反応が起こる。以上のサイクルが繰り返されることにより、定常的な光照射に伴う、光起電力が発生する。
上記のような本発明の第1の実施例によれば、基板に埋め込まれた微細金属電極114を採用することにより、透明電極層(FTO,ITO等)を省略することができ、製造コストの低減を図ることができると共に、光透過率が高く低抵抗な電極構造を得ることが可能となる。実際に評価試験を行った結果、波長領域350−800nmにおける光透過率が85%、シート抵抗は0.1Ω/□であった。
図4は、本発明の第2実施例に係る色素増感太陽電池200の構造を示す断面説明図である。色素増感太陽電池200は、透光性のガラス基板216と、当該ガラス基板216上に形成された微細電極配線(アノード電極)214と、ガラス基板216を覆うように形成され、かつ、ルテニウム(Ru)等の色素が吸着された酸化物半導体層(チタニアTiO2)212と、酸化物半導体層212の周辺に充填される電解液(ヨウ素)218と、電解液218を封止する封止材料224と、表面にPtコート222を施した金属板(カソード電極)220とを備えている。
次に、上記色素増感太陽電池200の製造方法について図5及び図6を参照して説明する。まず、図5(A)に示すように、ガラス基板216上に密着層としてTi層(又はTiN層)250を厚さ100nm程度形成する。ここで、Ti層250の形成に際しては、例えば、RFパワー5kW、圧力4mmTorr、基板加熱100℃程度の条件を採用することができる。
次に、図5(B)に示すように、厚さ800nm程度の金属層252をTiN層250上に形成する。金属層252としては、タングステン、アルミニウム、銅、イリジウムなどを使用することができ、スパッタリングやCVD技術によって成膜することができる。
次に、図5(C)に示すように、金属層252上に導電性膜254を10nm程度の厚さで形成する。導電性膜254としては、Ti,TiN,TiAlNなどを使用することができる。
次に、リソグラフィー技術を用いてガラス基板216上に所望の配線パターンを転写し、レジスト形成を行う。次に、ドライエッチング又はウェットエッチング工程により、図6(D)に示すように、微細電極256を成形する。微細電極256の線幅は、0.1−1.0μm程度とする。
次に、図6(E)に示すように、LP炉などを用い、金属微細電極256の全面にシリコン窒化膜(保護膜)258を厚さ10nm程度形成する。
次に、図6(F)に示すように、シリコン窒化膜258に対する全面エッチバック工程により、金属電極256の側壁部にのみシリコン窒化膜258を残し、金属電極256の側壁にサイドウォール260を成形する。ここで、本実施例に係る電極配線214は、金属微細電極256及びサイドウォール260によって構成される。基板を平面的に見たときに、電極配線214の形状はストライプ状や格子状とすることができる。
次に、直径20nm〜30nm程度のTiO2の微粒子を含んだ分散液(ペースト)を、ガラス基板216上に50μm程度塗布し、約450℃で2時間程度の焼結処理を行うことによって、10μm〜20μm程度の厚さの酸化物半導体層(チタニア膜)を形成する。この時の焼結処理によって、有機物(ポリエチレングリコール)が飛散され、ネッキングされて電子の拡散路が形成される。チタニアペーストとしては、例えば、Solaronix 社製の Ti-Nanooixde D/SP を使用することができる。塗布面積は10×10mm程度とすることができる。
次に、Ru金属錯体(代表例:N719)を含んだアルコール溶液中に、この焼成処理を行った基板を半日程度浸漬して、この多孔質構造のTiO2膜の表面及び内部にRu金属錯体色素を吸着させる。ここで、多孔質チタニア層112に吸着させる色素としては、N3色素、N719色素、ブラックダイ等を使用することができる。
次に、色素を吸着させた酸化物半導体層212をエタノールで洗浄した後、暗所にて乾燥させる。その後、ピンホールが形成されたガラス基板216と表面にPtコート222が施された金属板(カソード電極)220を封止材料(例えば、光硬化タイプの液状シール剤(スリーボンド製31X-101))224を用いて接合させる。カソード電極220としては、ガラス基板又はプラスチック基板に透明導電膜(FTO又はITO)を形成したものを採用することができる。
次に、ガラス基板216に形成されたピンホールからヨウ素を含む電解溶液218を注入して、両極(アノード、カソード)間の隙間を、この電解溶液218にて充填する。その後、ピンホールを塞ぎ、電極配線214にマイナス電極配線を結線し、カソード電極板220にプラス極配線を結線することにより色素増感太陽電池が構成される。
この太陽電池200においては、ガラス基板216側から光を入射させ、酸化物半導体層(チタニア膜)212の表面に吸着した色素が光を吸収して、電子が励起される。励起した電子は、電極配線214に達した後、陽極側(220)に移動する。その後、電解溶液218中へヨウ素イオンとの還元反応にて引き渡され、このヨウ素は拡散して励起した色素へ電子を引き渡す酸化反応が起こる。以上のサイクルが繰り返されることにより、定常的な光照射に伴う、光起電力が発生する。
上記のような本発明の第2の実施例によれば、基板上に形成された微細金属配線の側部に保護膜(サイドウォール)を形成した構造の電極214を採用しているため、透明電極層(FTO,ITO等)を省略することができ、製造コストの低減を図ることができると共に、光透過率が高く低抵抗な電極構造を得ることが可能となる。
図7は、色素増感太陽電池100(200)のアノード電極(電極配線)114(214)の配置例を示す説明図である。図7の例においては、電極配線114(214)はストライプ状に成形され、平行に配列される。このような構成とすることにより、チタニア膜等の色素吸着膜の表面積が増大し、変換効率が向上するという効果がある。
図8は、色素増感太陽電池100(200)のアノード電極(電極配線)114(214)の他の配置例を示す説明図である。図8の例においては、電極配線114(214)はメッシュ(網目)状に成形されている。図8の例によれば、アノード電極層に金属メッシュを使用しているため、ストライプ状に形成した場合に比べ、光電変換効率が向上するという効果がある。なぜならば、電流が1方向だけではなく、平面的な金属配線(タングステン線)のネットワークを介して流れるため、内部抵抗が大幅に削減できるからである。なお、図8においては代表的に四角形のメッシュパターンとしているが、均一な多角形の他、不均一なパターンを採用することもできる。すなわち、電流パスが二次元的に分散しているものであれば、他の配置・形状を採用できるのである。
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で適宜、設計変更可能なものである。例えば、電極配線114は、タングステン(W)の他に、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)等のような耐腐食性の高い材料の少なくともいずれか一つを含んだ構造を採用することができる。
カソード金属板120(220)を構成する材料としては、例えば、Cu,SUS,W,Al等の電極を採用し、これらを、触媒能を有する白金(Pt)やカーボン(C)によって覆う。触媒能(ヨウ素イオンを還元させる働き)を有する材料としては、Pt、C、塩化白金酸やPEDOT(導電性高分子のポリエチレン ディオキシジオフェン=Poly(3,4-ethylenedioxythiophene))を使用することができる。
また、本発明に係る微細電極構造は、色素増感太陽電池以外の太陽電池や、ディスプレイ、センサー、電子ペーパー、フォトニックネットワークなどの従来の透明導電膜が適用されている分野にも適用可能である。
100,200:色素増感太陽電池
112,212:酸化物半導体層(チタニア膜)
114,214:電極配線
116,216:ガラス基板
118,218:電解液
120,220:カソード電極
112,212:酸化物半導体層(チタニア膜)
114,214:電極配線
116,216:ガラス基板
118,218:電解液
120,220:カソード電極
Claims (8)
- 透光性基板と;
前記透光性基板に選択的に埋め込まれた微細金属配線からなる第1の電極と;
前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;
前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;
前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備えたことを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 前記第1の電極上に選択的に形成された保護層を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記第1の電極はメッシュ状に配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記透光性基板はガラス基板であり、
前記酸化物半導体層はチタニア層であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の色素増感型太陽電池。 - 透光性基板と;
前記透光性基板上に形成された微細金属配線からなる第1の電極と;
前記電極を覆うように前記透光性基板上に形成された酸化物半導体層と;
前記酸化物半導体層に対向して形成された第2の電極層と;
前記酸化物半導体層と前記第2の電極層との間に充填された電解溶液とを備え、
前記第1の電極の側壁には絶縁保護膜が形成されていることを特徴とする色素増感型太陽電池。 - 前記絶縁保護膜はSiN膜であることを特徴とする請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記第1の電極はメッシュ状に配列されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記透光性基板はガラス基板であり、
前記酸化物半導体層はチタニア層であることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の色素増感型太陽電池。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011192631A (ja) * | 2010-11-15 | 2011-09-29 | Dainippon Printing Co Ltd | 色素増感型太陽電池 |
JP2012113839A (ja) * | 2010-11-19 | 2012-06-14 | Kobe Steel Ltd | 色素増感型太陽電池用金属薄膜、及び色素増感型太陽電池素子 |
US10090468B2 (en) | 2015-03-25 | 2018-10-02 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Photoelectric conversion element and method for manufacturing the same |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004146425A (ja) * | 2002-10-22 | 2004-05-20 | Fujikura Ltd | 電極基板、光電変換素子、並びに色素増感太陽電池 |
-
2007
- 2007-10-18 JP JP2007270976A patent/JP2009099435A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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