JP2009097023A - オゾン水処理方法及びオゾン水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理材の表面形状にかかわらず、表面改質を均一に行うと共に、処理時間の短縮化を図ることができるオゾン水処理方法を提供する。
【解決手段】オゾン水OWに被処理材Wを浸漬させることにより、被処理材Wの表面WSにオゾン水処理を行うオゾン水処理方法であって、オゾン水処理方法は、被処理材OWを浸漬させる際に、浸漬させるオゾン水OWに振動を付与させることにより、少なくとも被処理材OWの表面WS及びその近傍のオゾン水OWに乱流TFを発生させ、被処理材OWの表面WSに対してオゾン水処理を行う。
【選択図】図1
【解決手段】オゾン水OWに被処理材Wを浸漬させることにより、被処理材Wの表面WSにオゾン水処理を行うオゾン水処理方法であって、オゾン水処理方法は、被処理材OWを浸漬させる際に、浸漬させるオゾン水OWに振動を付与させることにより、少なくとも被処理材OWの表面WS及びその近傍のオゾン水OWに乱流TFを発生させ、被処理材OWの表面WSに対してオゾン水処理を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、オゾン水に被処理材を浸漬させることにより、被処理材の表面にオゾン水処理を行うオゾン水処理方法及びその装置であって、被処理材の表面に対して好適にオゾン水処理を行うオゾン水処理方法及びその装置に関する。
従来から、部材の軽量を図りつつ、高導電性や金属光沢等の金属特性を付与することができることから、高分子樹脂からなる部材の表面に、金属めっき処理を行うことがなされている。該金属めっき処理の一例として、生産性やコスト面の観点から無電解めっき処理を行うことがある。
該無電解めっき処理は、溶液中の金属イオンを化学的に還元析出させることにより、電気絶縁体である高分子樹脂の基材の表面に金属被膜を形成する処理である。この処理において、基材表面のめっき付着性の向上、被膜の付着強度の向上等を図るべく基材表面を改質することがなされている。
たとえば、このような改質を行うめっき前処理として、図6,図7に示すオゾン水処理装置90を用いて、基材である被処理材の表面(被処理面)にオゾン水処理を行うことがある。該オゾン水処理を行うにあたり、まず、オゾン水供給源70で、オゾン水を生成する。具体的には、酸素ガス、窒素ガス、及び炭素ガスをオゾンガス生成装置71に供給し、オゾンガスを生成する。次に、生成されたオゾンガスを吸収塔72に送ると共に、ポンプP1を用いて供給水を吸収塔72に送り、吸収塔72内でオゾンガスを水に溶存させオゾン水を生成する。
そして、オゾン水供給源70からオゾン水処理部80にオゾン水OWを供給し、該オゾン水処理部80において、被処理材Wのオゾン水処理を行う。具体的には、図7に示すように、オゾン水供給源70の吸収塔72から所定量のオゾン水OWを、供給配管72aを介して浸漬槽81に貯水する。次に、取り付け冶具82に把持された被処理材Wを浸漬槽81内のオゾン水OWに、所定時間浸漬させる。この際に、浸漬槽81に収容されたオゾン水OWは、浸漬槽81の下部に配設された循環用配管83を介してポンプ84により吸い込まれ、ヘッター管85の複数の開口86を介して浸漬槽81内に放出されて、浸漬槽81内を循環する。
このようにして、浸漬槽81内を循環するオゾン水OWが被処理材Wの表面に接触するので、被処理材Wの表面WSはオゾン水処理されることになる。さらに、浸漬槽81の処理後の液は、オゾンガスと水と廃液に分離され、再利用可能なオゾンガスと水は回収される。一方、廃液は、廃液タンク73に搬送後、所定の処理を行って排水される。
また、別のオゾン水処理方法の一例として、光触媒を含むオゾン水に被処理材を浸漬すると共に、該オゾン水に紫外線を照射しながら、オゾン水を超音波振動器で攪拌し、光触媒を均一に分散させて、被処理材の表面に対してオゾン水処理を行う方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、オゾン水処理を効率よく行うためには、被処理材の表面及びその近傍にある処理に寄与したオゾン水を入れ換える速度(交換速度)を高めることが重要である。すなわち、オゾン水処理に寄与するオゾン水OWが被処理材Wの表面WSを改質する際に水と酸素になりオゾン濃度が低下するため、これらの水と酸素を含むオゾン水を被処理材の表面から素早く取り除いて、オゾン濃度が低下していない新たなオゾン水を、被処理材の表面に送り込むことが重要である。
図6,7に示すオゾン水処理装置90を用いて被処理材Wの表面に対してオゾン水処理を行った場合には、ポンプ84によりヘッター管85の開口86から流れ出るオゾン水OWは、図示の如く略層流LFとなり循環する。しかし、該層流LFは、層状に整然と流れる流体の流れであるため、被処理材Wの表面WSの細部までオゾン水OWを入れ換えることは難しい。さらに、被処理材Wの表面WSが複雑な形状になるに従って、オゾン水の流れに部分的なよどみ等が発生し、表面WS全体に対してオゾン水OWの入れ換えを行うことはさらに難しくなる傾向にある。
また、特許文献1に示すように、超音波振動器によりオゾン水を攪拌した場合には、オゾン水中に光触媒を分散させることは可能である。しかし、超音波振動器により超音波振動が付与されたオゾン水は、分子レベルで振動が付与されるため、水中に溶存したオゾンが分解若しくは揮発し、オゾン濃度が低下する場合がある。さらに、このような分子レベルの振動の形態では、該振動によりオゾン水は浸漬槽81内を均一に流れ難く、図7に示す装置に比べても、被処理材の表面及びその近傍のオゾン水の入れ換え速度はさらに遅いものとなる。
このような結果、上述したいずれの装置を用いた場合であっても、被処理材の表面改質を均一に行う処理には長時間を要し、場合によっては、オゾン水処理後のめっき処理において、めっき未着の箇所が発生することがあった。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被処理材の表面形状にかかわらず、表面改質を均一に行うと共に、オゾン水に浸漬した被処理材の表面に存在するオゾン水を効率良く入れ換えることにより、処理時間の短縮化を図ることができるオゾン水処理方法及びその水処理装置を提供することにある。
前記課題を解決すべく、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、被処理材が浸漬されたオゾン水全体に低周波振動により三次元的な乱流を発生させることによって、被処理材の表面の細部にまでオゾン水を接触させ、接触させたオゾン水を新たな高濃度のオゾン水に入れ換えることが容易にできるとの新たな知見を得た。
本発明は、前記新たな知見に基づくものであり、本発明に係るオゾン水処理方法は、オゾン水に被処理材を浸漬させることにより、前記被処理材の表面にオゾン水処理を行うオゾン水処理方法であって、該オゾン水処理方法は、前記被処理材を浸漬させる際に、前記浸漬させるオゾン水に低周波振動を付与させることにより、少なくとも前記被処理材の表面及びその近傍の前記オゾン水に乱流を発生させ、前記被処理材の表面にオゾン水処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、オゾンを溶存させたオゾン水に被処理材を浸漬させることにより、オゾン水中のオゾン及びヒドロキラジカル等を被処理材の表面に接触させ、被処理材の表面の改質を行う、オゾン水処理を行うことができる。
この際に、浸漬させるオゾン水に低周波振動を付与させることにより、被処理材の表面及びその表面近傍のオゾン水に乱流を発生させるので、被処理材の形状に関わらずオゾン水全体の各部分で、乱流を発生させることが可能である。
そして、被処理材の表面及びその表面近傍のオゾン水に乱流を発生させることにより、たとえ複雑な表面形状を有した被処理材であっても、被処理材の表面の細部において、処理後のオゾン濃度の低いオゾン水(水及び酸素を含むオゾン水)を、オゾン濃度の高い(濃度が低下してない)オゾン水に入れ換えることができ、被処理材の全表面に対して均一なオゾン水処理を行うことができる。また、低周波振動による乱流は、浸漬させたオゾン水全体に発生するので、オゾン水の入れ換わる速度(交換速度)も、これまでのものに比べて速い。この結果として、短時間で被処理材の表面のオゾン水処理を行うことができる。またオゾン水に付与する振動を低周波振動にすることにより、水中に溶存したオゾンが自己分解、揮発等することを抑制することができる。
本発明にいう「低周波」とは、数Hz〜数百Hz程度の周波数帯を有した振動波のことをいい、「乱流」とは、オゾン水の速度が時間的に不規則な変動をする流れであり、空間的には非一様で三次元的な渦度をもった回転的な流れをいう。
また、本発明に係るオゾン水処理方法は、前記オゾン水が10Hz〜100Hzの振動数の範囲で振動するように、前記オゾン水に前記低周波振動を付与することがより好ましい。
本発明によれば、被処理材を浸漬させたオゾン水を10Hz〜100Hzの低周波の振動数の範囲で振動させることにより、より効率的なオゾン水処理を行うことができる。すなわち、オゾン水を10Hzよりも小さい振動数で振動させた場合には、オゾン水の入れ換えが僅かなため効率良く被処理材の表面に対してオゾン水処理を行うことが難しくなり、処理時間が長くなってしまう。一方、オゾン水を100Hzよりも大きい振動数で振動させた場合には、水中に溶存するオゾンが自己分解または揮発し易く、オゾン濃度が低下する可能性が高い。この結果、オゾン水処理時間が長くなってしまう。
また、前記振動数の範囲において、オゾン水に付与するより好ましい振動数は、60Hzよりも大きい振動数である。この範囲の振動数をオゾン水に付与することにより、さらに効率的にオゾン水処理を行うことができる。
さらに前記オゾン水におけるオゾン水濃度は、特に限定されるものではないが、大気圧下、0℃〜40℃の温度条件において飽和濃度でオゾン水処理を行うことを考慮すると、好ましいオゾン水濃度は、15ppm〜45ppmの範囲である。すなわち、オゾン水濃度が15ppmよりも低い場合は、処理時間が長くなってしまい、45ppmよりも高い場合には、オゾン水濃度を維持するためにオゾン水を加圧する必要があり、処理コストが増大する傾向にある。
また、オゾン水処理を行う被処理材の樹脂の材質としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PA(ポリアミド)、POM(ポリオキシメチレン(ポリアセタール))、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PI(ポリイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、さらに熱硬化性のエポキシ樹脂やフェノール樹脂等を、単独で又は二種以上の混合物などを挙げることができ、その樹脂の種類は特に限定されるものではない。
さらに、前記オゾン水処理を好適に行う本発明に係るオゾン水処理装置として、以下のオゾン水処理装置を開示する。本発明に係るオゾン水処理装置は、オゾン水供給源と、該オゾン水供給源から供給されたオゾン水を収容し、該オゾン水に被処理材を浸漬するための浸漬槽と、を少なくとも備えたオゾン水処理装置であって、前記オゾン水処理装置は、前記浸漬槽内のオゾン水に乱流が発生するように、前記浸漬槽内のオゾン水に低周波振動を付与する振動発生装置をさらに備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記振動発生装置を備えることにより、オゾン水に低周波振動を付与させて、浸漬槽内のオゾン水に乱流を発生させることができるので、被処理材の表面及びその近傍のオゾン水に対しても乱流を発生することができる。この結果として、被処理材の表面の細部にまでオゾン水処理に寄与したオゾン水をより濃度の高いオゾン水に効率良く入れ換えることができるので、処理時間の短縮化を図ることができる。
また、前記振動発生装置は、オゾン水を振動させ、乱流を発生させることができるのであれば、特にその装置構成は限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記振動発生装置は、振動発生源と、該振動発生源により軸方向に沿って振動する振動シャフトと、該振動シャフトの軸方向に沿って取り付けられた複数の振動羽根と、を少なくとも備えている。
該振動発生装置を用いることにより、軸方向に沿って振動する振動シャフトの振動により、複数の振動羽根が軸方向に沿って振動し、これによって、空気の巻き込み無く、好適にオゾン水に振動を付与することができる。
さらに、本発明に係るオゾン水処理装置の前記振動発生装置は、少なくとも10Hz〜100Hzの振動数の範囲で前記オゾン水を振動させることが可能であることがより好ましい。前述したように、このような範囲の振動数でオゾン水を振動させることにより、オゾン水処理の更なる効率化を図ることができる。
本発明によれば、被処理材の表面形状にかかわらず、表面改質を均一に行うと共に、オゾン水に浸漬した被処理材の表面に存在するオゾン水を効率良く入れ換えることにより、処理時間の短縮化を図ることができる。
以下に、図面を参照して、本発明に係るオゾン水処理方法の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るオゾン水処理方法を行うに好適なオゾン水処理装置のオゾン水処理部の模式図であり、図2は、図1に示すオゾン水処理部に配設された振動発生装置の斜視図を示している。なお、本実施形態は、図7に示すオゾン水処理装置90のオゾン水処理部80のみが相違しており、その他の構成機器は同じであるため、その構成機器については、その説明を省略する。
オゾン水処理装置1は、前述した図7に示したオゾン水供給源70と、図1に示すオゾン水処理部10とを少なくとも備えている。図1に示すオゾン水処理部10は、浸漬槽11と、取付け冶具12と、振動発生装置20とを少なくとも備えている。
浸漬槽11は、オゾン水供給源70から供給されたオゾン水OWを収容し、オゾン水OWに被処理材Wを浸漬するための貯槽である。浸漬槽11は、オゾン水供給源70で生成されたオゾン水OWを供給可能なように、供給配管72aに接続されており、浸漬槽11の下部には、処理後の廃液を排水する排水口(図示せず)が形成されている。
取付け冶具12は、オゾン水処理すべき被処理材Wを把持し、浸漬槽11内のオゾン水OWに被処理材Wを浸漬するための冶具であり、被処理材Wを把持するための把持部15が形成されている。また、浸漬槽11と取付け冶具の材質は、ポリテトラフルオロエチレン、ステンレス鋼など、オゾン水に接触しても変質することがない材質からなることが好ましい。
振動発生装置20は、10Hz〜100Hzの低周波の出力で発生する振動を多段式の振動羽根に伝達し、その振動数の範囲となるようにオゾン水OWに低周波振動を付与し、浸漬槽11に収容されたオゾン水OWに対して三次元乱流を発生せしめるための装置であり、浸漬槽11の上部に取り付けられている。
具体的には、図2に示すように、振動発生装置20は、浸漬槽11の上部に締着固定されるベース22と、該ベース22の上に載置されたボックス形の振動発生源21と、振動発生源21より垂下する2本の振動シャフト23、23と、該振動シャフト23、23間においてシャフトの軸方向に沿って等間隔に羽根固定具24aにより固定された複数の振動羽根24と、を少なくとも備えている。また、振動発生源21は、振動シャフト23、23を軸方向沿って所定の低周波で振動させることができるように接続されており、低周波の周波数帯(振動数)を変更し調整する調整機構(図示せず)が設けられている。
このように構成された振動発生装置20は、振動発生源21を起動させることにより、10Hz〜100Hzの低周波の出力で発生した軸方向に沿った振動を、多段に配置された振動羽根24に伝達する。これにより、振動羽根24は軸方向に沿って振動するので、略前記振動数の範囲にオゾン水が振動し、オゾン水に三次元乱流を発生させることができる。また、該振動発生装置20は、軸方向に沿った振動をオゾン水に付与するので、オゾン水の空気の巻き込みはほとんどない。
以下の本実施形態に係るオゾン水処理装置を用いたオゾン水処理方法について以下に述べる。まず、前述したように、オゾン水供給源70によりオゾン水OWを生成し、該生成したオゾン水OWを供給配管72aを介してオゾン水処理部10の浸漬槽11に収容する。この際、少なくとも、振動発生装置20の振動羽根24が全てオゾン水に浸漬するように、オゾン水OWを収容する。
次に、取付け冶具12の把持部15に処理されるべき表面(被処理面)WSが露出するように、被処理材Wを取り付ける。取り付けられた被処理材Wを、浸漬槽11内のオゾン水OWに所定時間浸漬させる。この際に、振動発生装置20を駆動させ、浸漬させるオゾン水に10Hz〜100Hzの範囲の低周波振動を付与する。該振動の付与により、図1に示すように、被処理材Wの表面WS及びその近傍を含む、収容されたオゾン水全体の各部分に乱流TFを発生させ、被処理材Wの表面(被処理面)WSにオゾン水処理を行う。
このようにして、被処理材Wの表面WS及びその表面WS近傍のオゾン水OWの乱流TFにより、複雑な表面形状を有した被処理材Wであっても、被処理材Wの表面WSの細部において、処理後のオゾン濃度の低いオゾン水OW(水及び酸素を含むオゾン水)を、濃度の高い未反応の新たなオゾン水OWに入れ換えることができ、被処理材Wの全表面に対して均一なオゾン水処理を行うことができる。
また、低周波振動により乱流TFは、浸漬槽11内のオゾン水全体に発生し、オゾン水OWの入れ換わる速度(交換速度)も、これまでのものに比べて速い。このようにして、振動による液揺動で被処理面とオゾン水との接触量を稼ぐことができるので、被処理材Wの表面のオゾン水処理の処理時間の短縮を図ることができる。
またオゾン水に付与する振動を低周波振動にすることにより、水中に溶存したオゾンが自己分解、揮発等することを抑制することができ、オゾン濃度を維持した状態でオゾン水処理を行うことができる。
ところで、よりオゾン処理時間を短縮するためには、オゾンが溶存するオゾン濃度がより高いオゾン水を用いて、オゾン水処理をすることが望ましく、発明者らは、前記オゾン水処理を行うに前に、大気圧下における水中に溶存することが可能なオゾン濃度(水中オゾン平衡濃度)とオゾン水の温度との関係を測定した。この結果を図3に示す。
図3に示す結果から、大気圧下において、室温近傍(0℃〜40℃)で、より効率的にオゾン水処理を行う場合には、オゾン水濃度は、15ppm〜45ppmの範囲にあることが望ましいことがわかる。
[実施例1]
図1に示すオゾン水処理部を有したオゾン水処理装置を用いて、以下に示す被処理材のオゾン水処理を行った。被処理材として、平板状(10cm×5cm×2mm)のABS樹脂からなる被処理材を3体準備した。次に、オゾン水供給源により、20℃の蒸留水に30ppmのオゾン濃度となるようにオゾンを溶存させたオゾン水を生成した。そして、振動発生装置(日本テクノ株式会社製の2軸型α−攪拌機)を起動させ、オゾン水の振動数が40Hzになるように振動数を調整して、3体の被処理材のそれぞれに対して、2分間、4分間、8分間浸漬させた。
図1に示すオゾン水処理部を有したオゾン水処理装置を用いて、以下に示す被処理材のオゾン水処理を行った。被処理材として、平板状(10cm×5cm×2mm)のABS樹脂からなる被処理材を3体準備した。次に、オゾン水供給源により、20℃の蒸留水に30ppmのオゾン濃度となるようにオゾンを溶存させたオゾン水を生成した。そして、振動発生装置(日本テクノ株式会社製の2軸型α−攪拌機)を起動させ、オゾン水の振動数が40Hzになるように振動数を調整して、3体の被処理材のそれぞれに対して、2分間、4分間、8分間浸漬させた。
[評価方法]
<めっき析出性>
前記オゾン水処理を施した被処理材の表面(被処理面)に対して、無電解Niめっき処理を施し、0.5μm厚さの無電解Niめっき被膜を形成した。そして、樹脂表面に形成されたNiめっきの被覆状態を目視観察した。この結果を表1の上段に示す。なお、表中の○は、めっきが被処理面の全面に析出している良好な状態を示しており、×は、めっき未着部分が発生している状態を示している。
<めっき析出性>
前記オゾン水処理を施した被処理材の表面(被処理面)に対して、無電解Niめっき処理を施し、0.5μm厚さの無電解Niめっき被膜を形成した。そして、樹脂表面に形成されたNiめっきの被覆状態を目視観察した。この結果を表1の上段に示す。なお、表中の○は、めっきが被処理面の全面に析出している良好な状態を示しており、×は、めっき未着部分が発生している状態を示している。
<めっき密着力>
無電解Niめっき処理後、さらに、硫酸銅系Cu電気めっき浴にて無電解めっき被膜の表面に銅めっきを100μm析出させ、2時間の熱処理を施した後、引張り試験機を用いてJIS H 8630に規定のピール剥離試験を実施した。この結果を表1の下段に示す。
無電解Niめっき処理後、さらに、硫酸銅系Cu電気めっき浴にて無電解めっき被膜の表面に銅めっきを100μm析出させ、2時間の熱処理を施した後、引張り試験機を用いてJIS H 8630に規定のピール剥離試験を実施した。この結果を表1の下段に示す。
[実施例2及び3]
実施例1と同じようにして、オゾン水処理を行った。実施例2及び3が実施例1と相違する点は、オゾン水に付与する振動の振動数を、順次100Hz、10Hzにした点である。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。
実施例1と同じようにして、オゾン水処理を行った。実施例2及び3が実施例1と相違する点は、オゾン水に付与する振動の振動数を、順次100Hz、10Hzにした点である。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同じようにして、被処理材のオゾン水処理を行った。実施例1と相違する点は、図7に示す装置を用いて、オゾン水処理を行った点である、具体的には、オゾン水を循環させるポンプ84を6リットル/分で駆動し、実施例1と同じ被処理材Wを取付け冶具82に取付け、実施例1と同じ浸漬時間となるようにそれぞれの被処理材Wをオゾン水に浸漬した。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。なお、めっき未着部分が発生したものに対しては、ピール剥離試験は行っていない。
実施例1と同じようにして、被処理材のオゾン水処理を行った。実施例1と相違する点は、図7に示す装置を用いて、オゾン水処理を行った点である、具体的には、オゾン水を循環させるポンプ84を6リットル/分で駆動し、実施例1と同じ被処理材Wを取付け冶具82に取付け、実施例1と同じ浸漬時間となるようにそれぞれの被処理材Wをオゾン水に浸漬した。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。なお、めっき未着部分が発生したものに対しては、ピール剥離試験は行っていない。
[比較例2]
実施例1と同じようにして、被処理材のオゾン水処理を行った。実施例1と相違する点は、図4に示す装置(高周波洗浄器(日邦産業株式会社製のW−357HP))を用いて、オゾン水処理を行った点である。具体的には、実施例1と同じオゾン水を供給配管72aから浸漬槽61に供給すると共に、浸漬槽61の底部に配置された超音波振動装置63を起動させ、オゾン水に1MHzの振動を付与した。
実施例1と同じようにして、被処理材のオゾン水処理を行った。実施例1と相違する点は、図4に示す装置(高周波洗浄器(日邦産業株式会社製のW−357HP))を用いて、オゾン水処理を行った点である。具体的には、実施例1と同じオゾン水を供給配管72aから浸漬槽61に供給すると共に、浸漬槽61の底部に配置された超音波振動装置63を起動させ、オゾン水に1MHzの振動を付与した。
その後、実施例1と同じ被処理材Wを取付け冶具62に取付け、実施例1と同じ浸漬時間となるようにそれぞれの被処理材Wを前記オゾン水に浸漬した。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1と同じようにして、オゾン水処理を行った。比較例3が実施例1と相違する点は、オゾン水に付与する振動の振動数を、1Hz(超低周波)にした点である。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。
実施例1と同じようにして、オゾン水処理を行った。比較例3が実施例1と相違する点は、オゾン水に付与する振動の振動数を、1Hz(超低周波)にした点である。そして、実施例1と同様の方法により、めっき析出性及びめっき密着力を確認した。この結果を表1に示す。
[結果]
表1に示すように、実施例1〜3はすべて、被処理材の被処理面全面にめっきが析出しており、ピール剥離試験の結果から、めっき密着力は良好であった。
表1に示すように、実施例1〜3はすべて、被処理材の被処理面全面にめっきが析出しており、ピール剥離試験の結果から、めっき密着力は良好であった。
比較例1及び2のうちオゾン水処理時間が2分,4分と短いものは、めっき未着部分が発生していた。また、比較例3のうちオゾン水処理時間が2分と短いものも、めっき未着部分が発生していた。さらに、比較例3のオゾン水処理時間が8分のものは、めっきが全面析出していたが、他に比べてピール強度の値が小さかった。
[考察]
実施例1〜3の場合には、オゾン水に低周波振動を付与することにより、被処理材の表面及びその表面近傍を含むオゾン水全体に乱流を発生させたので、図5(a)に示すように、被処理材の被処理面の全体に対して、処理後のオゾン濃度の低いオゾン水(水及び酸素を含むオゾン水)を、オゾン濃度の高いオゾン水に入れ換えることができ、オゾン水の入れ換わる速度(交換速度)も、比較例1〜3のものに比べて速いと考えられる。この結果、被処理材の全表面に対して均一にかつ短時間でオゾン水処理を行うことができたと考えられる。
実施例1〜3の場合には、オゾン水に低周波振動を付与することにより、被処理材の表面及びその表面近傍を含むオゾン水全体に乱流を発生させたので、図5(a)に示すように、被処理材の被処理面の全体に対して、処理後のオゾン濃度の低いオゾン水(水及び酸素を含むオゾン水)を、オゾン濃度の高いオゾン水に入れ換えることができ、オゾン水の入れ換わる速度(交換速度)も、比較例1〜3のものに比べて速いと考えられる。この結果、被処理材の全表面に対して均一にかつ短時間でオゾン水処理を行うことができたと考えられる。
一方、比較例1の場合には、循環ポンプによりオゾン水を循環させた場合には、オゾン水内に層流が生成されるため、実施例1〜3に比べて被処理材の表面の細部においてオゾン水を入れ換える速度が遅くなる箇所もあり(図5(b)参照)、被処理材Wの表面全体を均一に処理する時間が長く要すると考えられる。
また、実施例1〜3は、被処理材を浸漬させたオゾン水を少なくとも10Hz〜100Hzの振動数の範囲で振動させることにより、より効率的なオゾン水処理を行うことができたと考えられる。すなわち、図5(b)に示すように、比較例3の結果に示す如くオゾン水を1Hzの振動数で(10Hzよりも小さい振動数で)振動させた場合には、オゾン水の入れ換え速度(交換速度)が遅くなり、処理時間が長くなると考えられる。一方、図5(c)に示すように、比較例2の結果に示す如くオゾン水を1MHzの振動数で(100Hzよりも大きい振動数で)振動させた場合には、水中に溶存するオゾンが自己分解または揮発し易く、オゾン濃度が低下する可能性が高い。この結果、オゾン水処理時間が長くなると考えられる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、振動発生装置を浸漬槽に対して一台配置したが、オゾン水に低周波振動を付与し、乱流を発生することができるのであれば、浸漬槽内に収容されるオゾン水の量に合わせて、最適な数量設置することができる。
また、本実施形態では、振動発生装置は、2本の振動シャフトを備えた2軸型のものであったが、前記振動をオゾン水に適宜付与できるのであれば、振動シャフトが一本の単軸型のものであってもよく、特にその本数は限定されるものではない。
また、本実施形態では、浸漬槽にオゾン水を貯水してからオゾン水処理を行ったが、浸漬槽にオゾン水の供給しつつ、浸漬槽内のオゾン水を廃液しながらオゾン水処理を行ってもよく、オゾン水に低周波振動を付与しつつ浸漬槽内のオゾン水を循環させながらオゾン水処理を行ってもよい。
1:オゾン水処理装置、10:オゾン水処理部、11:浸漬槽、12:取付け冶具、20:振動発生装置、21振動発生源、22:ベース、23:振動シャフト、24:振動羽根、24a:羽根固定具、70:オゾン水供給源、71:オゾンガス生成装置、72:吸収塔、73:廃液タンク、OW:オゾン水、W:被処理材、WS:被処理材の表面(被処理面)
Claims (4)
- オゾン水に被処理材を浸漬させることにより、前記被処理材の表面に対してオゾン水処理を行うオゾン水処理方法であって、
該オゾン水処理方法は、前記被処理材を浸漬させる際に、前記浸漬させるオゾン水に低周波振動を付与することにより、少なくとも前記被処理材の表面及びその近傍の前記オゾン水に乱流を発生させ、前記被処理材の表面にオゾン水処理を行うことを特徴とするオゾン水処理方法。 - 前記オゾン水が10Hz〜100Hzの振動数の範囲で振動するように、前記オゾン水に前記低周波振動を付与することを特徴とする請求項1に記載のオゾン水処理方法。
- オゾン水供給源と、該オゾン水供給源から供給されたオゾン水を収容し、該オゾン水に被処理材を浸漬するための浸漬槽と、を少なくとも備えたオゾン水処理装置であって、
前記オゾン水処理装置は、前記浸漬槽内のオゾン水に乱流が発生するように、前記浸漬槽内のオゾン水に低周波振動を付与する振動発生装置をさらに備えることを特徴とするオゾン水処理装置。 - 前記振動発生装置は、少なくとも10Hz〜100Hzの振動数の範囲で前記オゾン水を振動させることが可能であることを特徴とする請求項3に記載のオゾン水処理装置。
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JP2011127152A (ja) * | 2009-12-16 | 2011-06-30 | Kakihara Kogyo Kk | ポリスチレン系樹脂の無電解めっき処理方法 |
JP2012162765A (ja) * | 2011-02-04 | 2012-08-30 | Kanto Gakuin | 無電解めっき方法及び金属張積層板の製造方法 |
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2007
- 2007-10-12 JP JP2007267021A patent/JP2009097023A/ja active Pending
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