JP2009096965A - 通気性皮膜を有する膨化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化物を製造・使用する段階で発生する粉末は、粉塵被害面で支障を来たすだけでなく、収率を悪くするため生産コストを押し上げており、粉塵を発生させずに粉末を有効利用する技術を開発することが要望されている。
【解決手段】粉塵被害を防ぎ、粉末の収率を向上するには、炭化物の粉末を通気性のある皮膜で覆った製品を開発すれば良い。
その方法として、粉末状の炭にデンプンと水を加え、造粒機でペレット化した後、熱可塑性樹脂を混合・撹拌したものを2軸押出機に供給し、押出機のシリンダー内で加熱・混練・加圧した後、大気中に吐き出し、水分蒸発に伴い膨張・発泡させる際、皮膜に通気性をもたせることで、内蔵している炭化物にガス・液体を吸着させることを可能とする技術を開発したもので、通気性皮膜は、ガス・液体の吸着を妨げず、内蔵した粉末を漏洩させない機能を持つことを特徴とするものである。
【解決手段】粉塵被害を防ぎ、粉末の収率を向上するには、炭化物の粉末を通気性のある皮膜で覆った製品を開発すれば良い。
その方法として、粉末状の炭にデンプンと水を加え、造粒機でペレット化した後、熱可塑性樹脂を混合・撹拌したものを2軸押出機に供給し、押出機のシリンダー内で加熱・混練・加圧した後、大気中に吐き出し、水分蒸発に伴い膨張・発泡させる際、皮膜に通気性をもたせることで、内蔵している炭化物にガス・液体を吸着させることを可能とする技術を開発したもので、通気性皮膜は、ガス・液体の吸着を妨げず、内蔵した粉末を漏洩させない機能を持つことを特徴とするものである。
Description
この発明は、炭化物の吸着性を活かした製品の課題解決とコスト低減を実現する技術に関するものであり、特に粉末状の炭化物を活用するものである。
炭化物を使った従来品は、炭化物から発生する微粉による影響を避ける必要から、予め粉末を除去するか、吸着性を阻害させない通気性のある袋に収納させる等の対策をとらねばならず、コストの上昇だけでなく、用途面での制約が大きい。
この発明は、上記の課題を解決するために、通気性のある皮膜で炭化物を被覆し、粉末状の炭化物が皮膜から漏洩しない技術を開発することにより、炭化物活用上の問題点を解決すると共に、未利用の粉末状炭化物の有効利用に資するものである。
焼却灰、フライアッシュを原料とした膨化緩衝材が開発されており、炭化物の粉末を適用する技術開発が可能と思われる。
特開2004−57943では、タピオカパールと熱可塑性樹脂が膨化膜として用いられているが、熱可塑性樹脂は膨化物の圧縮・復元性を与えるための添加であり、皮膜に通気性を持たせ且つ内蔵する粉末を漏洩させない機能を持たせるためには、新たな開発が必要となる。
又、特開2004−57943では、焼却灰、フライアッシュが5%程度添加され、吐出・膨化時の発泡核として作用する。一方、粉末状の炭化物も同様に発泡核として作用するから、10%以上を添加する場合は、異常発泡の解決が課題となる。
参考文献として掲げた[特許文献]特開2004−57943と対比して、この発明の要点を説明する。
特開2004−57943は、膨化緩衝材として開発された発明であり、タピオカパールの有する澱粉の膨化特性を活用し、2軸押出機で混練・加熱・加圧して大気中に吐出して発泡物を得る方法である。又、緩衝材としての弾力性を実現させるために熱可塑性樹脂を添加し、吸水・発泡核として炭カル又はタルクを5%程度添加することで、30〜50倍の発泡倍率を実現している。
それに対し、本発明は、粉末状の炭化物を活用することを出発点にしており、炭化物が、澱粉の様な膨化特性を有していないことから、通気性を持った皮膜を生成するには、適切な素材を添加することが必須条件となる。しかし製品の耐久性が求められることから、澱粉に拠らない通気性皮膜が必要となる。
2軸押出機を用いて、水を発泡剤とした膨化物を吐出・膨化させるためには、加熱された条件下で、水の蒸発・膨張を受け、膨張膜となる素材が不可欠であることから、製品の適用環境も考慮し、素材として熱可塑性樹脂を選んだ。
通気性皮膜の生成原理を説明すると、吐出時の蒸気発生を受けて、流動性の高い熱可塑性樹脂成分が主に膨張するから、膨張後自己冷却に従って収縮した皮膜は、樹脂成分が主成分になっている。この皮膜に通気性を持たすためには、蒸気をある程度漏洩させながら、膨張するという矛盾した機能がなければ、通気性を持った膜にならない。
熱可塑性樹脂は、樹脂種毎に固有の弾性限界温度を持っている。即ち、限界温度で最大の弾性伸びを示すが、その温度を超えると急激に粘性を失って弾性を失い、復元しなくなる。蒸気発生時の温度域では、各樹脂の流動性に差があり、膨張膜の一体化が阻害された状態で膨張・収縮をするので、複数樹脂と蒸気発生温度を適正に選ぶことで、通気性を持った皮膜を得ることが可能となるものであり、試行錯誤の上、最適条件を求める必要がある。
又、2軸押出機を用いて、水を発泡剤とした膨化物を吐出・膨化させるためには、膨張膜となる素材に加え、水を吸着したままで加熱・加圧され、大気中に吐出された時に吸着している水分を瞬間的に蒸発させ、爆砕現象を惹き起こす吸着材(吸水核又は発泡核と称す)が必要である。
この吸水核は、水分の吸着を妨げない素材であることに加え、他の素材との混練性も必要になることから、粉末であることが前提となる。
又、吸水核は[0014]に述べた如く、大気中に吐出した時に水分を蒸発させる発泡核となることから、含有水分率が同一であれば、発泡核の数が多ければ微細発泡となり、少なければ粗大発泡となるが、微細発泡か粗大発泡かの区別なく同一嵩比重になる。
通常用いられる吸水核素材は、タルク、炭カル他、超微粒子の粉末で、重量的には10%以下の添加で十分である。従って、粉末状炭化物の含有率を10%以上にする場合には、発泡核数が過多となり、超微細発泡または異常発泡となり、生産が不可能となるので、特別の工夫が必要となる。
炭を粉末のまま添加する場合、10%以下であれば膨化径も大きく正常な膨張となるが、10%〜20%の範囲では精密発泡状となり、膨化径が細くなり、皮膜に通気性が発現しなくなる。20%を超えると超精密発泡状態となるだけでなく、異常膨張と蒸気噴出を断続的に繰り返し、生産不能状態になる。
この現象を分析すると、炭粉末の添加率が10〜20%の場合は、精密発泡の影響で吐出速度が速くなり、膨化径が細くなる現象を示すが、20%を越えると異常発泡と蒸気噴出の現象が起こり始めるのは、発泡核数過多だけが主要因であるとは考えられない。
測定の結果、炭粉末と熱可塑性樹脂の嵩比重は、1.0であった。発泡膜として機能する熱可塑性樹脂は、配合原料の40%になる様設定しているので、炭粉末の添加率が10%の場合の容積比率は、熱可塑性樹脂と0.4:0.1となり、20%では0.4:0.2、30%では0.4:0.3となる。又、炭粉末の粒度別分布を調べて見ると、平均粒度は、0.25mmであるが、0.1mm以下が30%を占めていることが判った。熱可塑性樹脂の粒度は3mmなので、熱可塑性樹脂1粒:1,700粒以上の割合ということなる。炭粉末の添加率に応じてこの割合が変化するから、10%の場合では、熱可塑性樹脂の400倍、20%で850倍、30%で1,200倍ということになる。この熱可塑性樹脂の炭粉末に対する隠蔽率の低下が、熱可塑性樹脂の溶融不足と炭粉末との混練不足を招き、異常発泡を惹き起こすと考えられる。
熱可塑性樹脂を微粉化すれば、隠蔽率が向上するが、粉末状の熱可塑性樹脂は、バージン材でしか入手出来ないという問題がある。
熱可塑性樹脂の隠蔽率の高めるためには、逆に炭粉末粒を大きくして、粒数を減らせば良い。しかし、[0020]に述べた様な粒度別分布になっているから、篩によって適正粒度のものだけを選ぶのは実用的ではない。そこで、膨化材料であるデンプンと水を炭粉末に添加した3mm径のペレットを造粒機により作成した。このペレットを使用した場合は、炭粉末の添加率30%で、熱可塑性樹脂4粒:3粒となり、熱可塑性樹脂による隠蔽率が高く保てることになる。
このペレットを熱可塑性樹脂と混合し、2軸押出機に投入して膨化させた結果、異常発泡現象を防ぐことが判った。この時、2軸押出機に投入した混合物の含水率は約12%であった。
この場合、炭粉末ペレットの挙動を解析すると、3mm大で投入されたペレットは2軸押出機のシリンダー内でスクリューにより圧砕・混練されて、実質的に微粉化されながらシリンダー先端へ送り出される。この過程で重要なのは、隠蔽率の高い熱可塑性樹脂が先行して溶融・流動化されることで、炭粉末ペレットを熱可塑性樹脂が包み込んだ形で、圧砕・混練・分散が進むことにより、異常発泡が防止された、ということが推定される。
本発明では、[0022][0023]に述べた如く、炭粉末にデンプンを加えた混合物に水を添加した後、造粒機により吐出・切断したペレットを使用することで、炭粉末の添加率を10%〜40%にすることが可能となった。この時、水の添加量を2軸押出機投入時の含水率が10〜15%の範囲に収まる様に設定することで、2軸押出機での水分調整が不要になるから、ペレット工程と押出膨化工程の連続生産が可能となる。
上述の造粒機は、スクリュータイプの押出機を用いて、先端から吐出・切断すれば良く、加熱する必要はないが、ペレット工程と押出膨化工程を連続生産しない場合には、貯蔵中にペレットが腐敗する可能性があるので、低温保管するか、含有水分率を10%以下に下げる必要がある。尚、後日、押出膨化工程に投入する場合には、含水率を調整しなければならない。
しかし、2軸押出機内での圧砕・混練過程を考えると、ペレット工程と押出工程を連続させる方が、ペレットの圧砕効率と混練性が優れているので連続生産が望ましい。
発明の効果を述べると、通気性皮膜に覆われているから、ガス及び液体の吸着を妨げない上、内蔵する炭化物粉末が漏洩しないので粉塵が発生しない。
粉末状の炭化物は、副次的に発生するものだけでなく、粉砕機等で所定の寸法に粉砕したものが使える。この場合の粉砕粒の大きさは、概ね3mm以下が望ましく、微粉状の木廃材を炭化したものを使用することも出来、建築廃木材等の炭化利用が可能となる。
又、2軸押出機により吐出・膨化させることで、約30〜50倍の発泡体が得られることから、製品が軽量化され、粉体化による表面積アップとの相乗効果で、必要重量が大幅に軽減される効果もある。
[請求項1]に述べた如く、粉末状の炭にデンプンと水を加へた後、造粒機によりペレット状とした後、複数の熱可塑性樹脂を混合・撹拌する。この時の混合物の含水率が10〜15%になる様、水の添加量を調整した場合に膨化率が最大になる。
均一に混合されたことを確認した後、2軸押出機のホッパーへ投入し、フィードスクリューにより、2軸押出機のスクリューへ計量供給する。供給された材料は2軸押出機のスクリュー回転によりシリンダー内で圧砕・加熱・混練・加圧され、シリンダー先端部のダイスから大気中に吐出され、いわゆる爆砕現象により、発泡と同時に気化熱で自己冷却される。
この場合に重要なのは、発泡した時に炭粉末の表面から、熱可塑性樹脂が分離され細孔部が開放されていることで、予め粉末状の炭に水分を含浸させることが必須条件となる。
次いで、先端部の吐出ダイスの内圧を適正に保つため、原料供給量と2軸押出機のスクリュー回転数のバランスを取る必要がある。特に大切なのは、皮膜に通気性を発現させるための条件設定で、[請求項3]に述べた、複数の熱可塑性樹脂による弾性限界温度に固有値があることから、現品を確認しながら、蒸気発生温度域を微調整しなければならない。
複数の熱可塑性樹脂を組み合わせるに当り、[請求項3]に述べた様に、ペットボトルリサイクル過程で発生する本体、キャップ及びラベルの粉砕加工品を用いることで、ペットボトルリサイクルの促進にも資することが可能となる。勿論、バージン材が使えることは当然である。
尚、炭化物が有する細孔の大きさ、総表面積は、素材と炭化条件により変化するとされているから、単一素材の炭化物では、吸着するガス・液体が限定される。[請求項2]は、複数の炭化物粉末を組み合わせることで、任意の細孔径範囲を実現することが可能となり、対象とする吸着物に最適な細孔の大きさ、総面積が得られるものである。
又、[0025]に述べた如く、炭粉末の添加率を10%以上とする場合は、造粒機で炭粉末をペレット化することで、熱可塑性樹脂の隠蔽率を高め、熱可塑性樹脂の溶融・流動を促進することにより、異常発泡を防ぐ必要がある。この際、ペレットの含水率を適正にすることで、押出膨化工程との連続生産が可能となる。
炭粉末の添加率を変えた配合テストを実施するに当り、熱可塑性樹脂の添加率を40%に固定して試験した。この場合の各種樹脂の比率は、ペットボトルキャップ粉砕品10%、ペットボトルラベル粉砕品10%、ポリプロピレンバージン材10%、オフグレード品10%とした。尚、使用した吐出ダイスの口径は、3.6φmmであった。又、デンプン素材としてタピオカ糠を使用した。タピオカ糠は、タピオカパールを用いた無洗米加工で発生する米糠で、特開2004−57943でも安価なデンプン素材として採用している。炭粉末については、備長炭、竹炭の塊状のものを入手し、プラスチック用粉砕機で粉砕した。スクリーン径3φmmを通ったものを分析した結果を[0020]に記載した。発泡テストでは、備長炭と竹炭の差がなかったので、備長炭由来の炭を用いた。
配合比率として、炭粉末10%にタピオカ糠45%と古紙粉末5%を加えたものに、水分を添加して撹拌した後、熱可塑性樹脂40%を加えて撹拌・混合したものを2軸押出機に投入した。この時の水分率は12%になる様水分添加率を調整しておいた。得られた発泡体は発泡倍率約40倍で膨化径が30mmあり、表面色がややグレーであった。特徴として、糠臭が残っていた。
[実施例1]の配合の内、炭粉末を20%、タピオカ糠を35%に変更したものを同様に2軸押出機に投入した。得られた発泡体は発泡倍率が約40倍であったが、膨化径が15mmとなり、表面色はブラックであった。糠臭は完全に消えていたが、表面層が固い感じで、通気性能が劣っていると思われた。
上記の結果、炭粉末のままで、これ以上比率を増やすのは不能と判断し、炭粉末をペレット加工することとした。炭粉末30%を基準にして、タピオカ糠と水分を添加しながら、最適条件を探した結果、炭粉末30:タピオカ糠20の混合物で水分率25%のものが良いと判ったので、1軸スクリュータイプの造粒機に投入し、3φmm×3mm長のペレットを作成した。このペレット比率50%にタピオカ糠5%と古紙粉砕品5%及び熱可塑性樹脂40%を加えたものを2軸押出機に投入した。得られた発泡体の発泡倍率は約40倍、膨化径35mm、表面色ブラックで表面層の通気性も十分であった。
炭粉末40%を基準にして、最適条件を探した結果、炭粉末40:タビオカ糠15:古紙粉砕品5の混合物で水分率40%の材料でペレットを作成した。このままでは、含水率がオーバーするので、水分率が25%になるまで乾燥した後、ペレット比率60%に熱可塑性樹脂40%を加えたものを2軸押出機に投入した。得られた発泡体の発泡倍率は約40倍、膨化径30mm、表面層の通気性も十分であった。
炭粉末50%を基凖にすると、熱可塑性樹脂40%では、タピオカ糠比率が10%となり、ペレット作成時の粘性が不足するので、熱可塑性樹脂の比率を30%とし、内訳をポリプロピレンバージン20%、オフグレード10%とした。炭粉末50:タピオカ糠20の混合物で水分率40%の材料でペレットを作成した。水分率が20%になるまで乾燥した後、ペレット比率70%に熱可塑性樹脂30%を加えたものを2軸押出機に投入した。得られた発泡体の発泡倍率は約40倍、膨化径25mm、表面層がやや硬く、通気性が劣ると思われた。
[実施例1]〜[実施例5]を通じて、炭粉末の添加率と、通気性皮膜の生成及び発泡倍率、膨化径との相関を追求した結果、吸着性能面からは[実施例4]、生産性に優れる組み合わせは[実施例3]であった。
Claims (3)
- 粉末状の炭にデンプンと水を加えペレット状とした後に複数の熱可塑性樹脂と混合して、2軸押出機に供給し、シリンダー内で加熱・混練・加圧して、大気中に吐出・発泡させた通気性の皮膜を有する膨化物の製造方法
- 粉末状の炭として、木炭、竹炭、オカラ炭の内から1種類又は、複数種類を組み合わせることにより、目的とする細孔径を実現する[請求項1]による炭粉末を主成分とする膨化物
- 熱可塑性樹脂として、ペットボトルのリサイクル過程で発生する本体、キャップ及びラベルの粉砕加工品を組合せ使用する[請求項1]による炭粉末を主成分とする膨化物
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JP2007296095A JP2009096965A (ja) | 2007-10-18 | 2007-10-18 | 通気性皮膜を有する膨化物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014185204A (ja) * | 2013-03-22 | 2014-10-02 | Doshisha | 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 |
US9850362B2 (en) | 2013-08-30 | 2017-12-26 | Industrial Technology Research Institute | Modified starch compositions, starch composite foam materials and method for preparing the starch composite foam material |
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2007
- 2007-10-18 JP JP2007296095A patent/JP2009096965A/ja active Pending
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