JP2005089718A - タピオカパールを使った発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物は、澱粉成分として食品用のコーンスターチを用い、プラスチック成分として微粉状のポリプロピレン又はポリエチレンのバージン材を使用しており、材料単価が高価になるという問題点があった。
【解決手段】澱粉成分として無洗米工程で使用されたタピオカパールを使うことにより、プラスチック成分にペットボトルリサイクル工程で発生する廃棄プラスチックの使用が可能となった。又、水分吸着材として、木質系廃材である木粉、紙、茶葉粕等の利用も可能となって、全ての材料に廃棄物が使えることから、大幅なコスト低減と廃棄物発生の抑制が可能となった。
【解決手段】澱粉成分として無洗米工程で使用されたタピオカパールを使うことにより、プラスチック成分にペットボトルリサイクル工程で発生する廃棄プラスチックの使用が可能となった。又、水分吸着材として、木質系廃材である木粉、紙、茶葉粕等の利用も可能となって、全ての材料に廃棄物が使えることから、大幅なコスト低減と廃棄物発生の抑制が可能となった。
Description
本発明は澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物に関するものである。
従来の澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物は、澱粉成分として食品用のコーンスターチを用い、プラスチック成分として微粉状のポリプロピレン又はポリエチレンのバージン材を使用していた。又、水分吸着材として、微粉状の有機質廃材、例えば、オカラ、スソコ、古紙、茶葉絞り粕等の他、炭カル、タルク、フライアッシュ等の微粉状の無機質材料を添加していた。
従来の澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物は、澱粉成分として、安価で、供給も安定している食品用のコーンスターチを用いていた。又、プラスチック成分としてポリプロピレン又はポリエチレンを用いているが、良好な膨化物を得るためには、上記プラスチック材料のバージン材で、微粉末状の物が良いとされ、材料単価が高価になるという問題点があった。
一方、ペットボトルリサイクル工程等では、廃棄プラスチックが大量に発生しており、その再利用が研究されているが、有効利用されているとは言えず、廃棄処理が問題となっている。
又、最近生産量が増加している無洗米加工に使用されるタピオカパールは、繰り返し使用された後、一定粒度以下になると廃棄処分され、堆肥、飼料等に再利用されているが、澱粉成分としての再利用が充分に行われているとは言えないのが現状である。
澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物は、澱粉に水分を与え加熱することにより粘性が発現する、アルファー化現象による粘性と、プラスチックを加熱することにより発現する流動性を合成併用することで、水分が蒸発した時の膨化ガスを受け、丁度ゴム風船のように膨らむ働きをさせていると思われる。澱粉であるコーンスターチのアルファー化時の到達粘度は260BU、タピオカの到達粘度は340BUとされていることから、タピオカパールをコーンスターチの代替材料として使うことが可能である上、コーンスターチより到達粘度が高いことから、加熱時の流動性の劣るプラスチック廃材の使用が可能になることも期待出来る。
しかし、無洗米加工に用いられるタピオカパールについては、パール状であることから、混練り性・分散性が懸念される他、到達粘度が高いことから、機械負荷への影響、添加率の限界等が懸念され、対応技術の開発が課題となる。
又、水を発泡材とした膨化物に用いる水分吸着材としては、水分吸着量が確保出来れば、無機質、有機質何れでも使用可能であり、木質系廃材である木粉、茶葉粕、紙等の利用も可能である。
一方、ダイオキシン対策の強化により、野焼きが禁止されたことから、木質系廃棄物の廃棄処理方法が課題となってきており、平成14年12月にバイオマスニッポン総合戦略が制定されたこともあって、バイオマスの主要資源である木質系廃材の再利用が急がれている。
本発明は、上記課題の検討の結果なされたものであり、その課題は、無洗米加工に使用されたタピオカパール廃棄物を有効活用することであり、コーンスターチより高い到達粘度を活用して、加熱時の流動性が劣る廃プラスチックの使用を可能にすることにより、膨化物の原料を全て廃棄物に置換することで、廃棄物の発生を抑制すると共に、大幅なコスト低減を実現するものである。
本発明では、先ず、タピオカパールの使用性検討に当たり、水分を発泡材として使用する膨化物の発泡機構を解明した。即ち、水分を蒸気化するための基本的条件は、温度と圧力であり、標準状態で、1モルの水が22.4リットルの水蒸気ガスに気化するとされている。1モルの水を体積で表わせば、18ミリリットルであり、標準状態での膨張倍率は1,244倍ということになる。膨化機構的にはこの発生する蒸気を、弾性・伸び・機密性等を備えた膜質材料が受止めてゴム風船のように膨張・固化するものである。従来、コーンスターチは、プラスチックとの相溶性が良いことから、プラスチック成分の比率低減を目的として用いられているが、発生する水蒸気を受止めて膨化する機能を受持つのは、主としてプラスチック材料であり、伸び易く膨化し易いプラスチック材料を選んできた。逆に言えば、コーンスターチ以外の澱粉は選択肢に入らないので、プラスチック材料で膨化機構を改良しようとしてきたとも言える。
一般に、澱粉に水を加え加熱すると、アルファー化現象が発現し、粘性を示すことが知られており、澱粉とプラスチックに水分吸着材を混練し、水分を添加し、加熱・混練・加圧・吐出・膨化させる膨化物は、まさしく澱粉にアルファー化現象を発現させる条件を備えているから、ゴム風船の役割は、アルファー化された澱粉と軟化温度以上に加熱されたプラスチックの両者が担っていると言うべきである。この複合された機能を加熱時粘性と呼ぶことにすると、加熱時粘性は、アルファー化時発現する澱粉の粘性とプラスチックの持つ固有の温度依存流動性とが合成されているから、澱粉成分をコーンスターチからタピオカパールに変更すれば、加熱時粘性も変わってくるのは、当然である。
コーンスターチのアルファー化時の到達粘度は260BU、タピオカの到達粘度は340BUとされていることから、タピオカをコーンスターチの代替材料として使う場合、コーンスターチより到達粘度が高いから、加熱時粘性も高くなり膨化機構も変わってくることが予測される。
従来の澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とする膨化物として澱粉成分に食品用のコーンスターチを、プラスチック成分に微粉状のポリプロピレンを使用し、水分吸着材としてタルクを用いた膨化物との比較試験を行い、タピオカパールの使用性について検証した結果、タピオカパールの使用が可能であることが判った。
比較試験の条件として、澱粉67%、ポリプロピレン30%、タルク3%の配合比率の混合材を2軸押出機のホッパーに投入し、給水・加熱・混練り・加圧・吐出膨化後、切断して、まゆ状の製品を得た。水分添加率は7%、材料の加熱温度は180度Cとした。
澱粉としてコーンスターチを用いた従来品は、まゆ玉の外径が約25MM、膨化率40倍の製品となった。引き続き、澱粉としてタピオカパールを用いた材料を追加投入した所、外径40MM以上の製品が得られるようになったが、機械負荷を示すモーター電流が上昇を始め、危険範囲に到達、非常停止をした。この時、材料の吐出圧力を示す材料内圧は、コーンスターチを使用した時の圧力を30%以上上回っていた。
以上の結果、タピオカパールの使用に当たっては、先ず機械負荷上昇の対策をすることが前提になることが判ったので、機械負荷を軽くする方策として回転数を下げた所、製品の中にタピオカパールの不溶解物が析出されるようになり、混練り効果が不十分になることが判った。
機械負荷を軽くする根本的対策は、押出機内の摩擦抵抗を下げることであり、コーンスターチを使用した時の加熱時粘性に近ずけることがその第一歩であることから、タピオカパールにコーンスターチを添加させることで加熱時粘性を下げてみた。その結果、最適条件は、タピオカパールとコーンスターチの比率を5:2にした時であることが判った。最適条件とは、機械負荷に影響を与えないこと、吐出された発泡体の膨化率が大きく取れること、そして材料原価がミニマムになることである。コーンスターチの比率を高めれば加熱時粘性は低くなるが、材料単価はコーンスターチの方が、タピオカパール廃材の2倍以上なので、材料原価も高くなってしまう。
本発明のタピオカパールを使った膨化物は、無洗米工程に使われるタピオカパールの廃棄物を澱粉成分として活用することに注目し、従来使用されてきたコーンスターチとの差別化を徹底検証することにより、澱粉とプラスチックに水分吸着材を混練した後、水分を添加し、加熱・混練・加圧・吐出・膨化させる従来の膨化物が、高価な食品用コーンスターチとプラスチックのバージン材を使用していることに対し、使用済みの澱粉及び廃プラスチック、古紙、鋸屑、茶葉粕等の廃材のみを使用して同等の品質を実現可能にするもので、大幅なコスト低減と廃棄物発生の削減に寄与しようとするものである。
[請求項1]については、従来品が澱粉成分として、食品用コーンスターチを用いていることに対し、無洗米工程で使用されたタピオカパールを使用することで、廃棄物の有効活用と澱粉成分の原価低減を可能としたに止まらず、タピオカの特性であるアルファー化時での高粘度を活かすことにより、従来品では、部分的な添加しか出来なかった廃プラスチックの添加割合を100%まで高めることが可能となりプラスチック成分の原価低減も可能としたものである。
[請求項2]については、水分吸着材として、よく使われている炭カル又はタルクを用いる場合に、タピオカの特性であるアルファー化時の高粘度により、機械負荷が高まり、運転が困難になるので、タピオカの一部をコーンスターチに置き換えることにより、安定的な連続運転を可能にするものである。このことは、コーンスターチの到達粘度が、タピオカの到達粘度より低い事から説明される。
[請求項3]については、水分吸着材として、木粉、茶葉粕、紙等の木質系廃材の粉体を使用する場合には、加熱時粘性の低減が可能となり、澱粉成分としてタピオカパールを100%使用することが可能で、全成分に廃棄物を利用することが可能となり、廃棄物の有効活用と合わせ、原料原価が大幅に低減出来るものである。又、これら木質系廃材の粉体に予め水分を吸着させた後に押出機に投入することにより、木質系廃材が押出機内で破砕され易くなるので、微粉砕の必要性がなくり、木質系廃材の原価も低減出来るものである。但し、一般に木質系粉末は、無機質粉末より粒度が大きいので、発泡密度が粗く、膨化率も大きくなるので、その特性を活かしたい発泡体に適した製造方法である。
上記、予め水分を吸着させた後押出機に投入することにより、木質系廃材が破砕され易くなる理由については、木質を構成している繊維成分が水分を含浸させることによって、軟化し引き裂き等により破砕され易くなることと、押出機先端から大気中に吐出された時に、100度C以上に加熱されている含有水分が急激な蒸発・膨化を惹起し、いわゆる爆砕現象を起こしていることから説明される。爆砕現象は、細胞膜内に浸透している水分の蒸発・膨化により、細胞レベルでの破砕が生じ、微粉化現象が起きることを指しているが、従来の製造方法では、押出機投入後に水分を添加しているため、細胞膜内まで水分が浸透しているとは言えず、急激な蒸発・膨化現象にも拘らず爆砕効果が充分とは言えなかった。下記に述べる[実施例4]の如く、いわゆる生木から削り出された鋸屑は、本来樹木が保有している細胞内の水分をそのまま爆砕効果として利用していることになり、押出機に投入する前に予め水分を吸着させることは、この本来樹木が保有している細胞内の水分を再現することに他ならない。
[請求項4]については、[請求項3]で述べた製造方法で得られる発泡体の膨化密度を任意に調整したい場合に、炭カル、タルク、フライアッシュ等の無機質粉末を追加添加することによって、より発泡密度の細かい発泡体を得ることを可能とするものである。このことは、標準状態において、水分が1,244倍の水蒸気になるという現象から、水分吸着材の個体数と個々の吸着材が吸着している水分量によって発泡密度と膨化率が決まってくる現象を活用する製造方法であり、目的に沿った発泡体を容易に製造することが可能になる。
上記、水分吸着材の個体数が発泡密度と膨化率に影響を与えることは、次の様に説明される。使用する澱粉成分、プラスチック成分、水分吸着材が同一条件であって、吸着させる水分量が増減する場合、水分が1,244倍の水蒸気になるという原理から、減少した場合には膨化率が下がって硬質の発泡体となり、増加した場合には膨化率が高くなり軟質化した発泡体となるが、限度以上の水分を添加すると均一な発泡状態を保てず、部分的に大きな空気溜りが発生し始め遂には発泡形態を維持出来なくなってしまう。これは前述した加熱時粘性による膜質材料が蒸気ガスを受止める限界を越えることから発現すると思われる。この様に吸着させる水分量は、目標とする膨化率だけではなく、加熱時粘性による膜質材料の性能によって適宜設定されるものである。
又、使用する澱粉成分、プラスチック成分、吸着水分量が同一条件であって、水分吸着材の個体数を増減した場合には、充分な混練り状態の元では、水分を吸着している吸着材各個体はそれぞれ独立した状態で存在しており、各個体毎に蒸気ガスを発生・膨化しようとして周囲の膜質材料に作用するから、全水分量が同一でも吸着材の個体数が多くなれば、独立して発泡しようとする個体数が増えると同時に、各個体が吸着している水分量が減少しているので、膨化しようとする作用もそれだけ小さいことになり、結果として発泡密度が小さくなるものである。この現象は、まゆ玉状の膨化物の場合には、吸着材の個体数を増やすとまゆ玉の外径が小さくなり、吐出速度が増して、切断長さの大きいまゆ玉が得られる様になる。しかし体積は殆ど変わらないことから、水分量が同じであれば、発泡密度は変わっても膨化率は変わらないことを証明している。
本発明の実施例においては、廃棄物再利用の収集コスト低減のためには、地産地消が有利になることに注目し、国内に分散立地する無洗米加工工場及びペットボトルリサイクル工場から排出されるタピオカパール、廃プラスチック、及び、製材工場、飲料水工場、事務所等から排出される書類屑等を含む木質系廃棄物を立地に応じて選択出来る様、澱粉成分にタピオカパールを使用する膨化物、プラスチック成分にペットボトルリサイクル工程で発生する廃棄プラスチックを使用する膨化物、水分吸着材に木粉・茶葉粕、紙等の木質系廃材を使用する膨化物の実施例を下記に述べる。勿論、澱粉、プラスチック、水分吸着材に未使用原料を利用した生産も可能である。
以下に具体的な実施例を説明する。従来品の原料を廃棄物に置き換え、原料価格を低減すると同時に、廃棄物の発生量を抑制する目的に沿った形で、順次記述する。
無洗米工程で使用されるタピオカパールとコーンスターチ及び微粉状のポリプロピレンにタルクを加えた後、2軸押出機により、給水・加熱・混練り・加圧・吐出し、膨化物を作成した。配合比率は、タピオカパール50%、コーンスターチ17%、ポリプロピレン30%、タルク3%、給水した水分は約7%(重量比)であった。得られた膨化物は、均一な発泡状態で約40倍の膨化率で圧縮後の復元性も良好であった。
上記[実施例1]の配合の内、微粉状のポリプロピレンの代わりに、同量のペットボトルリサイクル工程で発生しているラベル部分等の廃材をプラスチック用粉砕機のフィルター粗さ4Φmmのもので粉砕した材料を用いた。得られた膨化物は、均一な発泡状態で約40倍の膨化率で圧縮後の復元性も良好であった。色調は緑色になっており、ラベル部分の着色顔料等によって着色されたものと思われる。
上記[実施例2]の配合の内、コーンスターチとタルクの代わりに、粉体粒度が30〜100μmの古紙粉砕品を使用した。配合比率は、タピオカパール45%、白色の古紙粉砕品25%、ペットボトルリサイクル工程の廃材30%であった。[請求項3]にある如く、押出機投入前に水分を吸着させた後、押出機に投入し、加熱・混練り・加圧・吐出し膨化物を作成した。得られた膨化物は、均一な発泡状態で約40倍の膨化率で圧縮後の復元性も良好であった。色調は緑色になっており、ラベル部分の着色顔料によって着色されたものと思われる。
上記[実施例3]の配合の内、古紙粉砕品の代わりに木粉を使用した。木粉は杉材の製材工場から排出される鋸屑を用い、先ず2Φmmの篩で選別した後、含有水分率を測定した所、45%であることが判ったのでそのまま使用することとした。配合比率は、タピオカパール45%、鋸屑木粉15%、ペットボトルリサイクル工程の廃材40%であった。鋸屑木粉の比率は、鋸屑の含有する水分が全重量の約7%になる様にした。得られた膨化物は均一な発泡状態で、約50倍の膨化率で、発泡密度が粗く、圧縮後の復元性がやや劣っていた。
上記[実施例4]の配合の内、鋸屑木粉にタルクを添加したものを使用した。配合比率は、タピオカパール45%、タルク入り鋸屑木粉20%、ペットボトルリサイクル工程の廃材35%であった。タルクの添加割合は、全重量の3%になる様にした。得られた膨化物は、均一な発泡状態で、約40倍の膨化率で発泡密度は細かく[実施例1]で得られた膨化物と同等の製品となった。
上記[実施例3]の配合の内、古紙粉砕品の代わりに茶葉絞粕を使用した。茶葉絞粕は清涼飲料水を製造した後の茶葉絞粕を乾燥・粉砕したものを2Φmmの篩で選別して用い[実施例4]と同様、含有水分率が45%になる様に水分を添加した。配合比率は、タピオカパール45%、茶葉粕15%、ペットボトルリサイクル工程の廃材40%であった。茶葉粕は含有する水分が全重量の約7%になる様にした。得られた膨化物は、約30倍の膨化率で、発泡密度は細かいが、縦方向に割れが混じった製品となったが、配合比率その他の微調整で実用化が期待出来る製品であった。
上記[実施例6]の配合の内、茶葉粕の代わりにシュレッダー処理された書類粉砕品を使用した。シュレッダーはクロスカット方式のもので、プラスチック用粉砕機のフィルター粗さ4Φmmのもので粉砕した後、含有水分率が45%になる様に水分を添加した。配合比率は、タピオカパール45%、書類粉砕品15%、ペットボトルリサイクル工程の廃材40%であった。書類粉砕品の比率は、含有水分率が全重量の約7%になる様にした。得られた膨化物は、均一な発泡状態で約60倍の膨化率で、発泡密度が粗く、圧縮後の復元率がやや劣っていた。
澱粉及びプラスチックを主原料とし、水分を発泡材とした膨化物は、発泡スチロールに代わる素材として開発され、主に緩衝材として使用されている。発泡スチロールがプラスチック100%であるため、使用済み後の廃棄処理方法に問題があり、機能・コスト面では評価されながら、容器包装リサイクル法等の制約があり、特に輸出規制の問題があることから、その代替品として開発・使用されているが、環境に優しいという一面、性能・コスト面で弱点があるため、あまり普及していないのが現状である。
本発明は上記の様な性能上の弱点を改良し、廃棄物を原料として再利用することでコストの大幅低減を実現するとともに、廃棄物の発生を抑制するという効果も有するものである。
性能面の改良点について述べると、従来の発泡スチロールによる膨化物は、緩衝材として使う場合、圧縮性が劣るため、定められた空間に隙間なく充填させなければならず、予め金型等によって専用寸法のものを作っておく必要があった。本発明による発泡体は、圧縮性と復元性を兼ね備えているので、必要に応じて充填させることが容易に出来るので、汎用性があり、使用後回収し他用途にも転用が可能である。又、地球環境への配慮から、焼却時の発熱量も1キログラム当たり4,500キロカロリー以下になっている。
又、[請求項4]及び[実施例]に述べた如く、水分吸着材の選択によって、発泡密度と膨化率を任意に設定出来るので、新たな用途開発が可能である。又、プラスチック比率を少なくすることによって、いわゆる硬質の発泡体とすることも可能で、プラスチック比率をゼロとした生分解性発泡体の製造も可能である。
Claims (4)
- ペットボトルリサイクル工程で発生する廃棄プラスチックと精米工程で発生する廃澱粉であるタピオカパールに無機質又は有機質の水分吸着材を加えて構成する発泡性組成物に、水分を発泡材として用い、押出機で給水・混練り・加熱・加圧・吐出・膨化させて作る圧縮性と復元性を有する発泡体。
- 水分吸着材として、炭カル、タルク、フライアッシュ等の無機質粉末を用いる場合、タピオカパールにコーンスターチを添加して、加工性を改良する[請求項1]の発泡体の製造方法。
- 水分吸着材として、木粉、茶葉粕、紙等の木質系粉末を用いる場合、これら水分吸着材に対し、押出機投入前に水分を吸着させ、熟成させた後に押出機に投入することを特徴とする[請求項1]の発泡体の製造方法。
- 水分吸着材として、炭カル、タルク、フライアッシュ等の無機質粉末と木粉、茶葉粕、紙等の木質系粉末の両者を併用することにより、任意の発泡密度と膨化倍率を得ることを可能とする[請求項3]の発泡体の製造方法。
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