JP2009096667A - ファイヤライト焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファイヤライト純度の高い焼結体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末を成型して成型体を得る工程と、得られた成型体を焼結して焼結体を得る工程、を含み、前記成型は、98〜294MPaの圧力で行い、前記焼結は、0.13Pa以下の真空雰囲気で、1000〜1150℃で行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、ファイヤライト相の様々な物性を把握するための測定用試料として用いたり、各種素材として用いることができるファイヤライト焼結体を製造する方法に関するものである。
鉄鋼製品の製造プロセスにおいては、表面に酸化皮膜(スケール)が形成され、製品の品質や性能を劣化させたり、生産歩留まりを低下させる原因となっている。例えば、加熱炉で形成された厚い1次スケールの除去が不完全で、一部が残ったまま圧延に供されると、スケールの破壊や押し込みが生じ、鋼材にスケール疵が発生することがある。また、2次スケールに起因してメカニカルデスケーリング(MD)性が不良となったり、メッキ性が不良になることがある。このようにスケールは、鋼材の表面性状に大きく影響を与えている。そこでスケールに起因する問題を解決するには、圧延プロセス中におけるスケール形成挙動やスケール破壊・変形挙動など動的な挙動を把握すればよい。特に、圧延プロセス過程におけるスケールの破壊・変形挙動を把握するには、高温状態におけるスケールの物性(例えば、物理的特性や機械的特性など)を把握すればよい。
ところで上記スケールは、通常、Fe系酸化物(例えば、FeO,Fe,Feなど)で構成されており、特に鋼材がSi含有鋼の場合は、サブスケールとして、例えば、ファイヤライト(FeSiO)なども形成されている。そこで高温状態におけるスケールの物性を把握するには、こうしたFe系酸化物やサブスケールの単体試料を作製し、高温状態における硬度やヤング率(弾性定数)、線膨張率などの物性を測定すればよいと考えられる。
ところがサブスケールとして形成されるファイヤライトは、Fe系酸化物が形成されるときに副次的に形成されるスケールであるため、単体試料の作製は極めて困難である。というのもFeは、圧延プロセス過程で酸化されると、FeO,Fe,Feなどの比較的安定なFe系酸化物を形成するが、これらのFe系酸化物が形成されるときの平衡酸素圧は、温度によっても異なるが、通常、FeO,Fe,Feの順で高くなっている。そのため酸素ポテンシャル(酸素分圧)の高い鋼材表面には、Feが形成され、表面から地鉄に向かってFe,Fe,FeOの順に層状のスケールが形成される。これらのスケールのうち最も深い位置に形成されるFeO層より内側の地鉄領域では、酸素ポテンシャル(酸素分圧)はFeOが形成されるときの平衡酸素圧よりも更に低くなる。しかしSiOが形成されるときの平衡酸素圧はFeOが形成されるときの平衡酸素圧よりも低いため、FeO層より内側の地鉄領域にSiが存在していると、Siは酸化され、SiOが形成される。形成したSiOは、近傍のFeOと反応して複合化合物、即ち、ファイヤライト(FeSiO)を形成する。この形成したファイヤライトが層状になったものが、サブスケールと呼ばれているのである。このように、ファイヤライトは、外層スケールとしてFe系酸化物が形成されるときに、内層スケールとして副次的に形成されるスケールであり、外層スケールと地鉄との界面に形成されるスケールであるため、ファイヤライト純度の高い単体試料の作製は極めて困難である。
その一方で、ファイヤライトは、内層スケールとして形成されるため、外層スケール(Fe系酸化物)を含めたスケール全体の物性に影響を与えると考えられ、高温状態におけるスケール全体の物性(例えば、物理的特性や機械的特性など)を把握するためには、ファイヤライトの物性(例えば、物理的特性や機械的特性など)を把握することが極めて重要であると考えられる。
ファイヤライトの物理的特性を評価した技術として、非特許文献1には、Si添加鋼を加熱して鋼材表面にスケールを形成させ、露出させたスケール断面のうちファイヤライト(FeSiO)が形成されている層のビッカース硬度を1000℃で測定することが開示されている。しかしこの非特許文献1は、ファイヤライト純度の高い単体試料を作製する技術を開示するものではないため、ファイヤライトの機械的特性(例えば、ファイヤライトのヤング率や線膨張率など)を測定することはできない。
なお、ファイヤライト単体試料としては、鉄カンラン石が入手可能であるが、入手可能な鉄カンラン石は、1辺が10〜20mm程度の石膏状であり、小さ過ぎるためヤング率や線膨張率などの機械的特性を測定することはできない。
Materials Science Forum Vols.522-523 (August 2006) pp.469-476
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファイヤライト純度の高い焼結体を製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係るファイヤライト焼結体の製造方法とは、150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末を成型して成型体を得る工程と、得られた成型体を焼結して焼結体を得る工程、を含み、前記成型は、98〜294MPaの圧力で行い、前記焼結は、0.13Pa以下の真空雰囲気で、1000〜1150℃で行う点に要旨を有する。
前記鉄カンラン石粉末としては、鉄カンラン石を粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級を行い、篩を通過する粉末を回収したものを用いるとよい。前記焼結は、10〜120分で行うことが好ましい。
本発明によれば、原料として鉄カンラン石粉末を用い、これを成型した成型体を適切な条件で焼結することによって、ファイヤライト純度の高い焼結体を製造できる。このファイヤライト焼結体を用いれば、ファイヤライトの機械的特性(例えば、ファイヤライトのヤング率や線膨張率など)を測定することができる。
本発明者らは、ファイヤライト純度の高い焼結体を製造するために、鋭意研究を重ねてきた。その結果、原料として鉄カンラン石粉末を用い、これを成型した成型体を適切な条件で焼結すれば、ファイヤライト純度の高い焼結体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
上記非特許文献1に記載されているように、Si添加鋼を加熱すれば、表面にファイヤライトを含むスケールを形成させることができ、ファイヤライトの硬度を測定することができる。しかしこの方法では、ファイヤライトのバルク材を作製することができないため、機械的特性(例えば、ファイヤライトのヤング率や線膨張率など)を測定することはできない。
また、ファイヤライト(FeSiO)は、FeOとSiOが反応して形成される複合酸化物であるが、Si添加鋼を加熱してFeSiOを形成させても、室温に冷却する途中で、FeOとSiOの2相に分離する可能性がある。例えば、FeSiOを形成させた後、室温までの冷却速度を大きくしてFeSiOの凍結準安定相を作製しようとしても、冷却途中でその一部が2相分離を起こす可能性もある。
ファイヤライト自体は、鉄カンラン石として市販されているが、市販品は小さく、ファイヤライトの機械的特性を測定できる程度の大きさのファイヤライト単体試料は市販されていなかった。
そこで本発明者らは、粉末冶金技術に着目し、粉末を成型した成型体を焼結することで、ファイヤライト焼結体を製造できないかという線に沿って研究を重ねてきた。その結果、
(1)150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末を成型して成型体を得る工程と、
(2)得られた成型体を焼結して焼結体を得る工程、
を含み、前記成型は、98〜294MPaの圧力で行い、前記焼結は、0.13Pa以下の真空雰囲気で、1000〜1150℃で行えば、ファイヤライト純度の高い焼結体を製造できることが明らかとなった。
(1)成型体を得る工程
本発明では、原料として、鉄カンラン石粉末を用いることが重要である。鉄カンラン石粉末を成型して得られた成型体を所定の条件で焼結することで、高純度のファイヤライト焼結体を製造できるからである。
鉄カンラン石は、例えば、和光純薬工業などから入手できる。なお、市販されている鉄カンラン石は、通常、1辺が10〜20mm程度の石膏状であり、小さ過ぎるためヤング率や線膨張率などの機械的特性を測定することはできない。
本発明では、上記鉄カンラン石粉末として、150メッシュの篩を通過する粉末を用いる。150メッシュの篩を通過しない粉末を用いると、粉末自体が大きいため、成型したときに粉末間の空隙が大きくなり、成型体の密度が小さくなる。そのため高密度の焼結体を製造することができない。従って本発明では、鉄カンラン石粉末として、150メッシュの篩を通過する粉末を用いる。
150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末は、鉄カンラン石を粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級を行い、篩を通過する粉末を回収することで得ることができる。
鉄カンラン石は常法に従って粉砕すればよく、乳鉢やボールミル、ジェットミル、オートミルなどを用いて粉砕すればよい。
150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末は、成型して成型体を得るが、成型荷重は98〜294MPa(1.0〜3.0tonf/cm)とすることが重要である。成型荷重が98MPa(1.0tonf/cm)を下回ると、荷重不足となり、成型体を形成することができない。従って成形荷重は98MPa(1.0tonf/cm)以上とする。しかし成型荷重が294MPa(3.0tonf/cm)を超えると、成型体に残留する応力が大きくなり、後の焼結工程において焼結体にクラックが発生して焼結体を得ることができない。従って成型荷重は294MPa(3.0tonf/cm)以下とする。
成型する際に用いる型の種類は特に限定されず、金型を用いてもよいし、ゴム製の型を用いてもよい。ゴム製の型を用いる場合は、CIP成型を行ってもよい。例えば、円柱状の成型体を作製する場合は、ネオプレンゴム製のチューブを所望の長さに切断し、これに鉄カンラン石粉末をできるだけ均一かつ高密度に充填し、チューブの両端をネオプレンゴム製の栓で止めてシールする。この試料を静水圧98〜294MPa(1.0〜3.0tonf/cm)でCIP成型すれば、円柱状の成型体を作製することができる。
なお、成型体の形状は特に限定されるものではなく、各種試験片の形状であってもよいし、板状やブロック状であってもよい。
(2)焼結体を得る工程
得られた成型体は、焼結して焼結体を製造するが、この焼結は、0.13Pa(1×10−3Torr)以下の真空雰囲気で、1000〜1150℃で行うことが重要である。
焼結雰囲気を0.13Pa(1×10−3Torr)以下の真空雰囲気とすることによって、酸素との接触を遮断し、FeSiOがFeOとSiOの2相に分離するのを防止できる。例えば、酸素を遮断するには、焼結雰囲気をAr雰囲気やN雰囲気とすることが考えられる。しかし後述する実施例から明らかなように、焼結雰囲気をAr雰囲気やN雰囲気としただけでは、雰囲気中に不可避的に酸素が僅かに残るため、FeSiOがFeOとSiOの2相に分離したり、FeSiOが更に酸化されてFe,Fe,SiOが形成される。従って焼結雰囲気は、0.13Pa(1×10−3Torr)以下の真空雰囲気とする。真空度は、好ましくは0.0013Pa(1×10−5Torr)以下である。
また、本発明では、焼結温度を1000〜1150℃で行う必要がある。焼結温度が1000℃未満では、焼結不充分となり、焼結体の密度を高めることができず、機械的特性を測定できない。従って焼結温度は1000℃以上とする。好ましくは1050℃以上であり、より好ましくは1100℃以上である。しかし焼結温度が1150℃を超えると、FeSiOが溶融して焼結体を形成することができない。従って焼結温度は1150℃以下とする。好ましくは1140℃以下である。なお、焼結するに当っては、焼結温度に到達するまでの昇温速度は、例えば、100〜1200℃/hとすればよい。
焼結時間は、焼結温度に影響を受けるため一律に規定することはできず、機械的特性を測定できる程度の密度となるように焼結温度を考慮しつつ焼結すればよい。焼結時間は、例えば、10〜120分とすればよい。焼結時間が短過ぎると焼結不足となる傾向があり、焼結時間が長過ぎても経済的に無駄となるからである。焼結時間のより好ましい下限は15分であり、より好ましい上限は90分である。
なお、焼結後、室温まで冷却するに当っては、焼結炉内で放冷すればよい。
こうして得られたファイヤライト焼結体を用いれば、ファイヤライトの硬度を測定できる他、ヤング率や線膨張率を測定することができ、ファイヤライトの機械的特性を調べることができる。ファイヤライトの機械的特性を詳細に調べることで、圧延プロセス中におけるスケール破壊・変形挙動などを把握することができるようになる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
[実験1]
市販されている塊状の鉄カンラン石(和光純薬工業製のFAYALITE試薬)を乳鉢で粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級し、篩を通過した鉄カンラン石粉末を得た。得られた鉄カンラン石粉末を、円筒状の金型(φ10mm×10mm)と角状の金型(55mm×55mm×8mmt)に各々仕込み、圧力をかけて成型した。成型圧力は、49MPa(0.5tonf/cm2)、98MPa(1.0tonf/cm2)、196MPa(2.0tonf/cm2)、294MPa(3.0tonf/cm2)、または392MPa(4.0tonf/cm2)とした。その結果、成型時の圧力を49MPa(0.5tonf/cm2)とした場合は、円筒状金型と角状金型のいずれの金型を用いても、金型から取り出した時点で成型体が崩れた。
一方、成型時の圧力を98MPa(1.0tonf/cm2)以上とした場合は、円筒状金型と角状金型のいずれの金型を用いて成型しても、金型から取り出した成型体は崩壊せず、安定な成型体が形成されたことを確認した。
次に、金型から取り出した成型体を、真空雰囲気0.13Pa以下(1×10−3Torr以下)中で、1130℃で1時間加熱して焼結し、焼結体を得た。焼結に当たっては、1130℃に昇温する際の昇温速度は100℃/hで行い、1130℃で1時間焼結した後の冷却は焼結炉内で放冷することによって行った。得られた焼結体を目視にて観察した結果、成型時の圧力を392MPa(4.0tonf/cm2)として得られた焼結体には、クラックが発生しており、一部、焼結体の崩壊も目視にて確認された。
一方、成型時の圧力を98〜294MPa(1.0〜3.0tonf/cm2)として得られた焼結体には、クラックの発生は認められず、良好な焼結体が作製できたことを目視にて確認した。
[実験2]
市販されている塊状の鉄カンラン石(和光純薬工業製のFAYALITE試薬)を乳鉢で粉砕し、16メッシュ、35メッシュ、80メッシュ、150メッシュの篩を用いて、次の4種類の粉末に分級した。
粉末A:16メッシュの篩を通過したが35メッシュの篩上の残った粉末。
粉末B:35メッシュの篩を通過したが80メッシュの篩上に残った粉末。
粉末C:80メッシュの篩を通過したが150メッシュの篩上に残った粉末。
粉末D:150メッシュの篩を通過した粉末。
得られた鉄カンラン石粉末(粉末A〜D)を、角状の金型(55mm×55mm×8mmt)に各々仕込み、圧力147MPa(1.5tonf/cm2)をかけて成型した。その結果、金型から取り出した成型体はいずれも崩壊せず、安定な成型体が形成されたことを確認した。
次に、金型から取り出した成型体を、上記実験1と同じ条件で焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を目視にて観察した結果、クラックの発生は認められず、良好な焼結体が作製できた。なお、得られた焼結体を後述する実験3と同じ条件でXRD(X線回折)測定し、焼結体を構成する酸化物種を調べた。その結果、焼結体からは、酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピークのみが検出され、ファイヤライト(FeSiO)焼結体が得られていることを確認している。
次に、得られたファイヤライト焼結体のかさ密度(見かけ密度)を、アルキメデス法により測定した。(ファイヤライト焼結体の見かけ密度)÷(ファイヤライトの真密度)により算出される値を、焼結体の焼結密度とした。なお、ファイヤライトの真密度は3.4g/cm3である。下記表1に、用いた粉末の粒度と算出した焼結密度を示す。
表1から明らかなように、150メッシュの篩を通過した粉末(粉末D)、即ち、粒子径が小さい粉末を用いると、焼結密度を95%以上とすることができ、高密度の焼結体を得られることが分かる。一方、150メッシュの篩を通過しない粉末(粉末A〜C)、即ち、粒子径が大きい粉末を用いると、焼結密度を95%以上とすることができない。
Figure 2009096667
[実験3]
市販されている塊状の鉄カンラン石(和光純薬工業製のFAYALITE試薬)を乳鉢で粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級し、篩を通過した鉄カンラン石粉末を得た。得られた粉末を、円筒金型(φ10mm×10mm)に仕込み、147MPa(1.5tonf/cm2)の圧力をかけて成型した。
金型から取り出した成型体を、下記表2に示す雰囲気中で、下記表2に示す温度で、下記表2に示す時間加熱して焼結し、焼結体を得た。
なお、表2において、焼結雰囲気が「真空」とは、圧力0.13Pa(1×10-3Torr)以下で焼結を行ったことを意味する。焼結雰囲気が「Ar」とは、常圧のArガス雰囲気中で焼結を行ったことを意味する。焼結雰囲気が「N」とは、常圧のNガス雰囲気中で焼結を行ったことを意味する。焼結雰囲気が「大気」とは、常圧の大気雰囲気中で焼結を行ったことを意味する。
焼結に当たっては、下記表2に示す焼結温度に昇温する際の昇温速度は100℃/hとし、焼結した後の冷却は焼結炉内で放冷することによって行った。得られた焼結体をXRD(X線回折)測定し、焼結体を構成する酸化物種を調べた。各焼結体について、検出された酸化物種を下記表2に示す。表2において、「○」は、酸化物種を同定できる程度に回折ピークが検出されたことを意味し、「−」は、酸化物種を同定できる程度に回折ピークが検出されなかったことを意味する。なお、本実験で用いた焼結体には、Fe23、Fe34、SiO2、Fe2SiO4の酸化物種が検出されたが、これら以外の酸化物種は検出されなかった。
下記表2から次のように考察できる。No.2〜6,9の焼結体からは、酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピークのみが検出され、ファイヤライト(FeSiO)焼結体が得られた。
No.1は参考例であり、焼結体からは酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピークのみが検出され、ファイヤライト(FeSiO)焼結体が得られているが、焼結時間がやや短いため焼結不充分となり、焼結体の強度が若干低くなって機械的特性の測定用試験片としては用いることができなかった。
No.7の焼結体からは、酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピークのみが検出され、ファイヤライト(FeSiO)焼結体が得られているが、焼結温度が高過ぎるために一部が溶解した結果変形を起こしており、機械的特性の測定用試験片には用いることができなかった。
一方、No.8,10〜13の焼結体からは、酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピーク以外に、他の酸化物種に由来する回折ピークも検出された。ピーク強度比から、ファイヤライト(FeSiO)の純度は低かった。なお、No.8は、焼結温度が高過ぎるために一部が溶解した結果変形を起こしており、機械的特性の測定用試験片には用いることができなかった。
表2に示したNo.5の焼結体のXRDチャートを図1に、No.14の焼結体のXRDチャートを図2に示す。図1から明らかなように、No.5の焼結体では、Fe2SiO4に由来する回折ピークのみが確認された。
一方、図2から明らかなように、No.14の焼結体では、Fe2SiO4に由来する回折ピークは検出されず、Fe23に由来する比較的強い回折ピークに加え、Fe34に由来する回折ピークと、SiO2に由来する回折ピークも認められた。
Figure 2009096667
[実験4]
市販されている塊状の鉄カンラン石(和光純薬工業製のFAYALITE試薬)を乳鉢で粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級し、篩を通過した鉄カンラン石粉末を得た。得られた粉末を、角状の金型(55mm×55mm×8mmt)に仕込み、147MPa(1.5tonf/cm2)の圧力をかけて成型した。その結果、金型から取り出した成型体はいずれも崩壊せず、安定な成型体が形成されたことを確認した。
次に、金型から取り出した成型体を、上記実験1と同じ条件で焼結し、焼結体を得た。得られた焼結体を目視にて観察した結果、クラックの発生は認められず、良好な焼結体が作製できた。得られた焼結体を上記実験3と同じ条件でXRD(X線回折)測定し、焼結体を構成する酸化物種を調べた。その結果、焼結体からは、酸化物種のうちFeSiOに由来する回折ピークのみが検出され、ファイヤライト(FeSiO)焼結体が得られていることが分かった。
得られた焼結体の硬度(ビッカース硬度)を、室温または1000℃で測定した。硬度測定には日本光学製MQ型高温顕微硬度計を使用し、JIS Z 2244に従い測定を行った。
比較対象として、Cを0.11質量%、Siを1.5質量%含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を、10mm×20mm×3mmの大きさに切断した供試材を用い、この供試材を1000℃で30分間、酸素雰囲気中で加熱することにより、表面を酸化させた比較用試料を作製した。比較用試料には、厚さ約400μmのスケールが生成していた。
比較用試料を断面加工してスケール断面を露出させ、FeSiOが層状に形成されている部分において、室温または1000℃で硬度(ビッカース硬度)測定を行った。測定結果を下記表3に示す。
下記表3から次のように考察できる。室温と1000℃のいずれの条件で測定した場合でも、ファイヤライト焼結体の硬度は、比較用試料に生成したスケールのうち、FeSiOが層状に形成されている部分の硬度にほぼ近い値となっていた。従って硬度測定の結果からも、得られたファイヤライト焼結体は、高密度であり、高純度のファイヤライトで構成されていることが分かる。
Figure 2009096667
[実験5]
実験4と同様にして得られたファイヤライト焼結体を、3.5mm×3.5mm×20mmの大きさに機械加工して、供試体を得た。得られた供試体について、熱機械分析(TMA)装置を用いて、室温から1000℃までの線膨張率を測定し、熱膨張係数を算出した。算出した熱膨張係数の結果を図3に示す。また、参考データとして、Fe23焼結体を作成し、同様の方法で線膨張率を測定して熱膨張係数を算出した結果を図3に示す。図3中、ファイヤライト焼結体の結果を「●:FeSiO」と表示し、Fe23焼結体の結果を「○:Fe23」と表示した。
図3から明らかなように、ファイヤライト焼結体とFe23焼結体では、線膨張率の温度変化に差異があることが認められ、これらの材料の熱膨張係数は相互に異なることが確認できた。
図1は、表2のNo.5で得られた焼結体のXRDチャートである。 図2は、表2のNo.14で得られた焼結体のXRDチャートである。 図3は、熱膨張係数を算出した結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 150メッシュの篩を通過する鉄カンラン石粉末を成型して成型体を得る工程と、
    得られた成型体を焼結して焼結体を得る工程、を含み、
    前記成型は、98〜294MPaの圧力で行い、
    前記焼結は、0.13Pa以下の真空雰囲気で、1000〜1150℃で行うことを特徴とするファイヤライト焼結体の製造方法。
  2. 前記鉄カンラン石粉末として、鉄カンラン石を粉砕し、150メッシュの篩を用いて分級を行い、篩を通過する粉末を回収したものを用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記焼結は、10〜120分で行う請求項1または2に記載の製造方法。
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