JP2009096032A - セメント混和材包装体、その製造方法、及びセメント混和材の添加方法 - Google Patents
セメント混和材包装体、その製造方法、及びセメント混和材の添加方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に、短繊維を含むセメント混和材を充填したことを特徴とするセメント混和材包装体、及び含水状の短繊維を含むセメント混和材を、外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に充填し、容器の開口部をシールするか又はシールすることなく、集積保管し、短繊維が内包する水分が含水率20%以下になるまで揮散せしめることを特徴とするセメント混和材包装体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
ミキシングプラントにおけるような専用の計量・投入装置を使用せずに繊維を計量し、少量ずつ投入するには人手、手間、時間がかかり、安全性の他、計量や投入時に繊維等の混和材がこぼれたり、飛び散ったりして汚れる等作業環境にも問題がある。そのため前もって所定量の繊維を、スラリー内の水分で溶解ないしは崩壊する高分子等からなるシートで包装しておき、梱包したまま投入する提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
以上、従来においては、含水短繊維、とりわけ短繊維製造工程において15%以上の水分を含む短繊維をセメント混和材としてモルタル又はコンクリートに投入できる包装体とする技術は提案されていない。
すなわち、本発明は、
(1)外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に、短繊維を含むセメント混和材を充填したことを特徴とするセメント混和材包装体、
(2)包装材料の水溶性フィルムがポリビニルアルコール系水溶性樹脂からなる前記(1)記載のセメント混和材包装体、
(3)容器を水溶性フィルムと水解紙を重ね合わせて袋状に形成してなる前記(1)又は(2)記載のセメント混和材包装体、
(4)水溶性フィルムにエンボス加工が施されてなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載のセメント混和材包装体、
(5)含水状の短繊維を含むセメント混和材を、外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に充填し、容器の開口部をシールするか又はシールすることなく、集積保管し、短繊維が内包する水分が含水率20%以下になるまで揮散せしめることを特徴とするセメント混和材包装体の製造方法、及び
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のセメント混和材包装体をモルタル又はコンクリートスラリー内に投入することを特徴とするセメント混和材の添加方法、
を提供するものである。
本発明のセメント混和材包装体の製造方法は、量産に適した湿式延伸法による含水状の短繊維であっても、延伸、短繊維カット後に乾燥工程や計量・梱包工程を経る必要がないので、短繊維や、捲縮を有しない繊維であることによる取り扱い難さを回避して、セメント混和材包装体とすることができ、製造工程の省力化と、エネルギーコストの低減を図ることができる。
本発明のセメント混和材包装体に使用可能な水溶性フィルムとしては、水中で溶解ないし崩壊する材料として、たとえば、水溶性ポリビニルアルコール系材料やポリアクリル酸ナトリウム、プルラン等の微生物多糖類等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
飽和吸水率が高いなどの観点からポリビニルアルコール系水溶性樹脂からなる水溶性フィルムが好ましい。水溶性ポリビニルアルコール系フィルムとしては、5℃の冷水でも可溶な冷水可溶性タイプ(以下、「Aタイプ」ということがある。)や、25℃の温水に可溶な温水可溶タイプ(以下、「Bタイプ」ということがある。)等を挙げることができるが、本発明のセメント混和材包装体においては、いずれも使用することができる。なお、ポリビニルアルコールの溶解温度は、一般に分子量やけん化度等と関連する。
水溶性フィルムの厚みとしては、ポリビニルアルコール系フィルムの場合、厚くなれば取扱易いが、非重量物用の25μm〜50μmの範囲では、取り扱い上の差はほとんどなく、これらの厚みの範囲が包装材料としてのコストの観点からも好ましい。
水解紙のパルプは、モルタルやコンクリート混合物内に残る。その繊維状物(パルプ)がモルタル/コンクリートの硬化後、ひび割れ防止に効果があるとの提案もあるが、できるだけ不純物を除きたい場合もあり、その場合は、取扱いが可能な程度迄水分が放出するまで放置した後、外側の紙を剥がして投入すればよく、その場合は、水解紙の目付けが大きいほど容易に剥がすことができる。
従って、水溶性フィルムが強度を保持できる程度に乾燥した後、すなわち、内部の短繊維を含む混和材を投入する時点では、外側の水解紙は、そのパルプを特にモルタル又はコンクリートの混和材として機能させる場合以外は、取り除いてもよいのである。
また、外装の紙は、膨潤し表面がべとついたフィルムをカバーし、包装体として取り扱い易くする効果もある。
短繊維の含水率は、水溶性フィルムが当該短繊維の水分により破損が発生する含水率が下限、短繊維内に水分を遊離することなく保持できる含水率(最大含水率)が上限である。
含水率15%未満の短繊維の場合は、親水性の劣る合成繊維であっても、界面活性剤等で親水化処理されておれば、繊維表面に水分を薄く保持し、繊維が水溶性フィルムに接触しても特別な外力を加えなければ水溶性フィルムがゾル化して破れることはない。含水量が多くなり、繊維表面での水分保持量を超え、水分が遊離する状況になると、当該遊離水と接触する水溶性フィルムがゾル化してしまうので、外に水解紙を添えても袋は崩壊する。
また、短繊維の水分の影響を受ける混和剤では、水分の影響は受けず、モルタル等の混和水又は撹拌力等で開封する容器につめて、短繊維と一緒に充填すればよい。
外側に水解紙を配した水溶性フィルムが熱融着可能なポリビニルアルコール系樹脂であれば、外側からの熱圧着でフィルム同士、及びフィルムと水解紙の熱融着で容易に袋が作製でき、袋にセメント混和材を充填した後、熱圧着で封をすることができ、充填、シール作業が容易である。
なお、水解紙は、外袋状になっているのが好ましいが、必ずしも水溶性フィルムと一体となっている必要はなく、水溶性フィルムによる袋の外側に添設されているだけでもよい。
エンボスの形態としては、大きさ0.5mm角の凹凸を0.625mm程度の所定ピッチで施したもの(10mm角内に16×16個)を挙げることができる。
さらに、以上の作用から推測されるように、水分が速やかに外部に放散され易くするため及び投入時の扱いも含め(後述)、水溶性フィルム及び水解紙にエンボス加工がなされているこれが望ましい。
本発明のセメント混和材包装体の製造方法では、短繊維が内包する含水率が15%以上のものを対象とするのが好ましい。その理由は、短繊維の含水率が15%未満では、水溶性フィルムのみからの包装体としても袋詰め及び取り扱いが可能であるが、含水率が15%を超えると共に不可能となるからである。
本発明のセメント混和材包装体の製造方法では、外側に水解紙を配する(添える)ことによって、内包する含水率が60%までの短繊維の袋詰めが可能となり、さらに、袋詰め後の取扱いは、短繊維が内包する含水率が20%以下になれば可能となる。
繊維長5〜40mmに切断して短繊維化するためのカッターは、通常の繊維の製造に使用できるロータリー式カッター等を使用できる。
外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器(以下、「本発明の袋等」ということがある。)に、前記含水状の短繊維を充填するには、カッターから落下する短繊維をコンベヤーで受けて、秤量装置で所定重量を計量し、これを空の本発明の袋等に充填し、開口部を熱シールする等して、本発明のセメント混和材包装体とする。
短繊維が充填された包装体は、パレット等に並べて載置され、短繊維の水分が包装材料の表面を通して揮散され、取り扱いが可能な状態になるまで、なるべく静置状態で保管される。
保管には、換気装置、加温装置等を備えた専用室(倉庫)を用いれば、湿度上昇による他の物質や、室環境への影響を回避できるので好ましい。
保管期間は、保管室の湿度にもよるが、調湿することなく室温で保管する場合、含水率50%のポリプロピレン系短繊維で、概ね2〜5日間である。
上記水溶性フィルムと水解紙からなる袋に、含水短繊維を含む混和材を計量、充填し、保管するに際しては、上記作用から考え適切な方法をとることが望ましい。フィルム、紙を通して外部に速やかに水分を放出させる事が重要であり、外気の湿度は低く、水分を吸収・放出し易いように、ダンボールシートや新聞紙の上に置くのが望ましい。
混和材を袋詰したあと、不純物の混入を避けるため、あるいは取扱い易さや、投入時に混和材が飛び散らないように袋を閉じることが好ましい。フィルム全面から水分が放出されるため、封をしてもしなくても水分の放出速度に差はない。
本発明の混和材入りの本発明の包装体をモルタルやコンクリートスラリーに投入する際には、包装体として投入作業ができる程度までに、短繊維の含水率が低下していることが望ましい。
特に、30%を超える高含水率短繊維を袋詰めした時は、含水率が20%以下になるまで乱暴に取り扱わないことが望ましく、従って、モルタルやコンクリートスラリーへの投入は短繊維の含水率が20%以下の段階で投入することが望ましい。
モルタルやコンクリートスラリーに投入して練り混ぜる際に、水溶性フィルムは溶解消滅するが、水解紙のパルプはモルタルやコンクリート混合物内に残る。その繊維状物(パルプ)がモルタル/コンクリートの硬化後、ひび割れ防止に効果があるとの提案もあるが、水解紙のパルプ繊維が、成型体や構造物に悪影響を及ぼす場合には、外側の水解紙を剥がして投入すれば良い。
なお、混和材としての繊維の使用量は、モルタル又はコンクリートスラリーに対して、爆裂防止用で1kg/m3、ひび割れ防止用で200〜300g/m3程度であるから、
混和材包装体として100〜600g/個であれば、添加投入作業の単位として適している。
1)短繊維
i)ポリプロピレン繊維(宇部日東化成(株)製、繊度;17dtex、繊維長;10mm、活性剤付着量0.4%、繊維物性;破断強度 4.0cN/dtex、破断伸度 150%)、含水率10〜45%、ii)ポリプロピレン繊維(宇部日東化成(株)製、、繊度;2.2dtex、繊維長;5mm、活性剤付着量0.5%、繊維物性;破断強度5.5cN/dtex、破断伸度50%)、含水率30〜90%、iii)ナイロン6繊維(アストン(株)製、商品名アストロン)、繊度;10dtex、繊維長;10mm
2)包装材料
水溶性フィルム:ポリビニルアルコールフィルム;i)日本合成化学工業(株)製、商品名ハイセロン、厚み(μm);25及び40(エンボス付き)、50(フラットタイプ)、水溶性のタイプ:Aタイプ;冷水(5℃)可溶性、Bタイプ;温水(25℃)可溶性
ii)(株)クラレ製、商品名クラリア、厚み35μm、フラットタイプ、水溶性のタイプ:Aタイプ
3)水解紙
イ;トイレットペーパー(坪量19g/m2、厚み0.080mm)、ロ;水解紙(坪量32g/m2、厚み0.068mm)
4)袋の大きさ
ニ;内容量約150g、幅18cm×高さ(深さ)13cm、ホ:内容量約300g、幅20cm×高さ(深さ)18cm
湿式延伸法で製造され短繊維化された含水率25%の前記ポリプロピレン繊維375g(正味短繊維質量:300g)を表1に示す水溶性フィルムと水解紙との組み合わせにより作製した袋に充填し、開口部をシールした包装体を作製し、これを3日保管して、包装体の外観、性状を観察した。結果を表1に示す。
繊度17dtex、繊維長10mmの上記実施例と同一のポリプロピレン短繊維の正味150gの包装体とする場合、含水率と包装材料との関係を確認した。先ず、含水率10%の短繊維と水溶性フィルム単独(比較例8、10)、又は水解紙単独の場合(比較例9)の、保管性について、表2に結果を示す。また、含水率を15%の短繊維と水溶性フィルム単独(比較例11、13)、又は水解紙単独の場合(比較例12)の、保管性について表3に結果を示す。
また、含水率15%になると、表3に示すように、25μmの水溶性フィルムにエンボスを施した場合のみ、水溶性フィルムのみでも安定保管が可能であった。エンボスが短繊維と水溶性フィルムの密着を阻害し、水分の拡散を容易にすると共に、フィルム表面積増大で空気中への蒸発を速めたことによると思われる。
実施例1〜4と同じ短繊維を使用し、実施例5〜7においては含水率35%、実施例8〜10においては含水率45%の場合の包装材料の構成と保管性について検討した。
結果を表4及び表5に示す。さらに、実施例8〜10については、袋上部を熱シールした場合及び開放した場合の経過日数による質量変化を測定した。結果を表6に示す。
すなわち、水溶性フィルム及び水解紙層を通して水分が揮散していることがわかる。さらに、実施例9と実施例10との比較から、坪量が低い水解紙では、紙が水溶性フィルムと癒着し易いことが判った。
実施例8に使用した包装材料を使用し、正味短繊維重量160gタイプの袋を準備し、2.2dtex、繊維長5mm、界面活性剤処理済のポリプロピレン短繊維(宇部日東化成(株)製)を含水率30%として充填した実施例11、及び10dtexで繊維長10mmのナイロン6繊維(アストン(株)製)を含水率30%として充填した実施例12について、共に袋上部開放状態での保管性を検討した。いずれも、安定保管状態であった。
本発明のセメント混和材包装体において、混和材がポリプロピレン短繊維の場合における含水率の上限を見極めるため、実施例8に使用した包装材料を使用し、正味短繊維重量160gタイプの袋を準備し、17dtex、繊維長10mmで含水率60%の実施例13及び2.2dtexで、繊維長5mmで含水率60%の実施例14、及び2.2dtexで、繊維長5mmで含水率90%の比較例14により安定保管の可否を検討した。
含水率60%のポリプロピレン短繊維において、実施例13、14共に安定保管がされていた。しかし、水溶性フィルムと水解紙とは癒着し、完全には分離できなかった。
一方、含水率90%の比較例14では、水が遊離し、その水分により、水溶性フィルム及び水解紙が破損し、短繊維が一部露出していた。
本発明のセメント混和材包装体の製造方法は、外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に、含水率15%以上の短繊維を含むセメント混和材を直接充填できるので、量産に適した湿式延伸法による含水状の短繊維であっても、延伸、短繊維カット後に乾燥工程や計量・梱包工程を経る必要がないので、短繊維や、帯電した繊維であることによる取り扱い難さを回避して、製造工程の省力化と、エネルギーコストの低減を図ることができるセメント混和材包装体の製造方法として有効に利用できる。
Claims (6)
- 外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に、短繊維を含むセメント混和材を充填したことを特徴とするセメント混和材包装体。
- 包装材料の水溶性フィルムがポリビニルアルコール系水溶性樹脂からなる請求項1記載のセメント混和材包装体。
- 容器を水溶性フィルムと水解紙を重ね合わせて袋状に形成してなる請求項1又は2記載のセメント混和材包装体。
- 水溶性フィルムにエンボス加工が施されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のセメント混和材包装体。
- 含水状の短繊維を含むセメント混和材を、外側に水解紙を配した水溶性フィルムからなる包装材料で形成された容器中に充填し、容器の開口部をシールするか又はシールすることなく、集積保管し、短繊維が内包する水分が含水率20%以下になるまで揮散せしめることを特徴とするセメント混和材包装体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のセメント混和材包装体をモルタル又はコンクリートスラリー内に投入することを特徴とするセメント混和材の添加方法。
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