JP2009092880A - 重合体及び感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本樹脂組成物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定される重量平均分子量が1000〜50000であり、重合体全体を100モル%とした場合に、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)を1〜40モル%含有し、フッ素原子を含む繰り返し単位(2)を60〜99モル%含有し、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含まない重合体(A)、酸不安定基を含有する樹脂(B)、感放射線性酸発生剤(C)、窒素含有化合物(D)及び溶剤(E)を含有する。
【選択図】なし
Description
このようなエキシマレーザーによる照射に適したレジストとして、酸解離性官能基を有する成分と、放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生する成分(以下、「酸発生剤」という。)と、による化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」という。)が数多く提案されている。化学増幅型レジストとしては、例えば、カルボン酸のt−ブチルエステル基又はフェノールのt−ブチルカーボナート基を有する樹脂と酸発生剤とを含有するレジストが提案されている。このレジストは、露光により発生した酸の作用により、樹脂中に存在するt−ブチルエステル基或いはt−ブチルカーボナート基が解離して、該樹脂がカルボキシル基或いはフェノール性水酸基からなる酸性基を有するようになり、その結果、レジスト被膜の露光領域がアルカリ現像液に易溶性となる現象を利用したものである。
また、液浸露光用液体として水を用いる場合、レジスト被膜における水の後退接触角が低いと高速スキャン露光時に水の切れが悪いため、ウォーターマーク(液滴痕)が残ったり(ウォーターマーク欠陥)、レジスト被膜への水浸透により、被膜の溶解性が低下し、本来解像するはずのパターン形状が局所的に十分な解像性を実現できず、パターン形状不良となる溶け残り欠陥等の現像欠陥が生じるという問題点がある。
液浸露光装置に使用するレジスト用の樹脂として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の樹脂や、特許文献3に記載の添加剤が提案されている。
しかしながら、これらの樹脂や添加剤を用いたレジストでも、レジスト被膜と水との後退接触角は必ずしも十分ではなく、後退接触角が低いと高速スキャン露光時に水の切れが悪いためにウォーターマーク欠陥等の現像欠陥が生じ易い。また、酸発生剤等の水への溶出物量の抑制も十分とは言えない。
[1]重合体(A)、酸不安定基を含有する樹脂(B)、感放射線性酸発生剤(C)、窒素含有化合物(D)及び溶剤(E)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、前記重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定される重量平均分子量が1000〜50000であり、重合体全体を100モル%とした場合に、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)を1〜40モル%含有し、フッ素原子を含む繰り返し単位(2)を60〜99モル%含有し、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含んでおらず、前記繰り返し単位(1)は、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−2)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であり、前記繰り返し単位(2)は、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
[2]前記重合体(A)の含有量が、本感放射線性樹脂組成物全体を100質量%とした場合に、0.1〜20質量%である前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物。
[3]前記樹脂(B)がラクトン構造を含む繰り返し単位を含有する前記[1]又は[2]に記載の感放射線性樹脂組成物。
[4]前記樹脂(B)における前記酸不安定基が、単環式構造若しくは多環式構造を有する前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
[5]波長193nmにおける屈折率が空気よりも高い液浸露光用液体をレンズとフォトレジスト被膜との間に介して放射線照射する液浸露光を含むレジストパターン形成方法において、前記フォトレジスト被膜を形成するために用いられる感放射線性樹脂組成物に含有される重合体であって、該重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定される重量平均分子量が1000〜50000であり、重合体全体を100モル%とした場合に、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)を1〜40モル%含有し、フッ素原子を含む繰り返し単位(2)を60〜99モル%含有し、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含んでおらず、前記繰り返し単位(1)は、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−2)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であり、前記繰り返し単位(2)は、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする重合体。
本発明における感放射線性樹脂組成物は、重合体(A)、酸不安定基を含有する樹脂(B)、感放射線性酸発生剤(C)、窒素含有化合物(D)及び溶剤(E)を含有するものである。また、この樹脂組成物は、波長193nmにおける屈折率が空気よりも高い液浸露光用液体(例えば、水等)をレンズとレジスト被膜との間に介して放射線照射する液浸露光を含むレジストパターン形成方法において、前記レジスト被膜を形成するために好適に用いられる。
本発明における重合体(A)は、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)〔以下、単に「繰り返し単位(1)」という。〕、及びフッ素原子を含む繰り返し単位(2)〔以下、単に「繰り返し単位(2)」という。〕を含有するものであり、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含まないものである。
また、前記R2〜R5の炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基としては、例えば、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基;1,4−ノルボルニレン基若しくは2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜12の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基等が挙げられる。
また、前記繰り返し単位(1−2)を与える好ましい単量体としては、例えば、シクロヘキサカルボン酸2−メタクリロイルオキシ、プロピルカルボン酸3−メタクリロイルオキシ等が挙げられる。
更に、前記繰り返し単位(1−3)を与える好ましい単量体としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
また、前記繰り返し単位(1−4)を与える好ましい単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル等が挙げられる。
また、重合体(A)における繰り返し単位(1)の含有率は、重合体全体〔重合体(A)における全繰り返し単位〕を100モル%とした場合に、1〜40モル%であり、好ましくは1〜30モル%、更に好ましくは1〜25モル%である。この繰り返し単位(1)の含有率が1モル%未満の場合には、現像欠陥(特に、溶け残り欠陥)の発生を抑制することができない可能性がある。一方、40モル%を超える場合には、重合体としての撥水性を十分に保つことができない可能性がある。
また、前記R7の炭素数4〜12の脂環式のアルキレン基としては、例えば、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基等の単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基若しくは2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜12の炭化水素環基等の架橋環式炭化水素環基等を挙げることができる。
また、重合体(A)における繰り返し単位(2)の含有率は、重合体全体〔重合体(A)における全繰り返し単位〕を100モル%とした場合に、60〜99モル%であり、好ましくは70〜99モル%、更に好ましくは75〜99モル%である。この繰り返し単位(2)の含有率が60モル%未満の場合には、十分な撥水性を有することができず、液浸液の染み込みから現像欠陥を起こす可能性がある。一方、99モル%を超える場合には、酸性成分の不足による現像欠陥を引き起こす可能性がある。
前記重合における反応温度は、通常、40〜150℃、好ましくは50〜120℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
また、重合体(A)のMwとGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜4である。
また、重合体(A)の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
重合体(A)の含有量は、レジスト被膜が十分な後退接触角を確保し、レジスト被膜からの酸発生剤等の溶出を十分に抑制できるという観点から、本感放射線性樹脂組成物全体を100質量%とした場合に、通常、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%である。この重合体(A)の含有量が0.1質量%未満である場合、重合体(A)の効果(高後退角及び低溶出)が現れずレジスト被膜の後退接触角が低下したり、レジスト被膜からの酸発生剤等の溶出を抑制できない傾向がある。一方、この含有量が20質量%を超える場合には、孤立ラインの焦点深度が小さくなったり、現像欠陥が発生するおそれがある。
本発明における酸不安定基を含有する樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう。)は、本感放射線性樹脂組成物が重合体(A)の効果(高後退角、低溶出、及び現像欠陥の抑制)を発現するために特に限定されないが、酸の作用によりアルカリ可溶性となるアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂を用いることが好ましい。ここでいう「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、樹脂(B)を含有する感放射線性樹脂組成物から形成されたレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、このレジスト被膜の代わりに樹脂(B)のみを用いた被膜を現像した場合に、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
この繰り返し単位(3)を与える好ましい単量体としては、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−6)等が挙げられる。
前記一般式(3−1)のR10における、炭素数1〜4の置換基を有してもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
この繰り返し単位(3)の含有率は、樹脂(B)における全繰り返し単位を100モル%とした場合に、5〜85モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜70モル%、更に好ましくは15〜60モル%である。この繰り返し単位(3)の含有率が5モル%未満の場合、現像性、露光余裕が悪化する傾向がある。一方、この含有率が85モル%を超える場合、樹脂(B)の溶剤への溶解性の悪化、解像度の悪化の傾向がある。
これらの脂環式炭化水素基のうち、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンに由来する脂環族環からなる基や、これらの脂環族環からなる基を前記アルキル基で置換した基等が好ましい。
前記重合における反応温度は、通常、40〜150℃、好ましくは50〜120℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
また、樹脂(B)のMwとGPC法によるMnとの比(Mw/Mn)は、通常1〜5であり、好ましくは1〜3である。
前記単量体由来の低分子量成分としては、モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマーが挙げられ、Mw500以下の成分とすることができる。このMw500以下の成分は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等により除去することができる。また、樹脂の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析することができる。
尚、樹脂(B)は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましく、それにより、レジストとした際の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができる。
また、樹脂(B)の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
本発明における感放射線性酸発生剤(C)(以下、単に「酸発生剤(C)」ともいう。)は、露光により酸を発生するものであり、露光により発生した酸の作用によって、樹脂成分中に存在する繰り返し単位(4)が有する酸解離性基を解離させ(保護基を脱離させ)、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
このような酸発生剤(C)としては、下記一般式(5)で表される化合物(以下、「酸発生剤1」という。)を含むものが好ましい。
また、前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(5)におけるR15の置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブトキシフェニル基等が好ましい。
一般式(5)におけるR16としては、メチル基、エチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2個のR16が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
また、R17における置換されていてもよい炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、有橋脂環式炭化水素基が好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ノルボルニル基、ノルボニルメチル基、ヒドロキシノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
一般式(6−1)又は(6−2)において、R18が、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である場合、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
また、R18が、炭素数2〜10の2価の有機基である場合、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等が挙げられる。
また、他の酸発生剤の使用割合は、酸発生剤1と他の酸発生剤との合計100質量%に対して、通常、80質量%以下、好ましくは60質量%以下である。
窒素含有化合物(D)は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。また、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
前記3級アミン化合物としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;2,2’,2’’−ニトロトリエタノール等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等が好ましい。
この酸拡散制御剤[窒素含有化合物(D)]の配合量は、重合体(A)及び樹脂(B)の合計100質量部に対して、通常、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が15質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向がある。尚、酸拡散制御剤の配合量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、普通、その使用に際して、全固形分濃度が、通常、1〜50質量%、好ましくは1〜25質量%となるように、溶剤に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
これらの溶剤(E)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤を配合することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に化学増幅型レジストとして有用である。前記化学増幅型レジストにおいては、露光により酸発生剤から発生した酸の作用によって、樹脂成分〔主に、樹脂(B)〕中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、該露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、樹脂組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め加熱処理(以下、「PB」という。)を行ったのち、所定のレジストパターンを形成するように、このレジスト被膜に露光する。その際に使用される放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を適宜選定して使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光後に加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。PEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。このPEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
(1)Mw及びMn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
(2)単量体由来の低分子量成分の量
ジーエルサイエンス製Intersil ODS−25μmカラム(4.6mmφ×250mm)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒アクリロニトリル/0.1%リン酸水溶液の分析条件で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
結果は樹脂全体を100質量%とした際、それに対する低分子量の質量%を示す。
各重合体(A)及び樹脂(B)の合成に用いた各単量体を式(M−1)〜(M−10)として以下に示す。
まず、表1に示す組み合わせ及び仕込みモル%となる質量の単量体、及び開始剤(MAIB;ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート)を50gのメチルエチルケトンに溶解した単量体溶液を準備した。仕込み時の単量体の合計量は50gに調製した。尚、各単量体のモル%は単量体全量に対するモル%を表し、開始剤のモル%は単量体全量と開始剤の合計量に対するモル%を表す。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコにエチルメチルケトン50gを加え、30分間窒素パージを行った。その後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
次いで、前記単量体溶液をフラスコ内に滴下漏斗を用いて3hかけ滴下した。滴下後3h熟成させ、その後、30℃以下になるまで冷却して共重合体溶液を得た。
その後、得られた共重合体溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサン(溶剤A)でその重合溶液を均一に希釈し、600gのメタノール(溶剤B)を投入して混合した。次いで、30gの蒸留水を投入し、更に攪拌して30分静置した。その後、下層を回収し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液とした。こうして得られた各共重合体のMw、Mw/Mn、収率、残低分子量を測定した。それらの結果を表2に示す。
前記単量体(M−4)53.93g(50モル%)、単量体(M−2)35.38g(40モル%)、及び単量体(M−5)10.69g(10モル%)を、2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した前記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74g、収率74%)。
この重合体はMwが6900、Mw/Mn=1.70であった。この重合体を樹脂(B−1)とする。尚、樹脂(B−1)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
前記単量体(M−4)55.44g(50モル%)、単量体(M−3)33.57g(40モル%)、及び単量体(M−5)10.99g(10モル%)を、2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.74gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した前記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(72g、収率72%)。
この重合体はMwが9100、Mw/Mn=1.56であった。この重合体を樹脂(B−2)とする。尚、樹脂(B−2)中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.02質量%であった。
表3に示す割合で、重合体(A)、樹脂(B)、酸発生剤(C)、含窒素化合物(D)及び溶剤(E)を混合し、実施例1〜12及び比較例1、2の感放射線性樹脂組成物を調製した。
<酸発生剤(C)>
(C−1):トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(C−2):1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート
(C−3):4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(C−4):トリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート
(C−5):1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2’−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート
<含窒素化合物(D)>
(D−1):N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
<溶剤(E)>
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):ガンマ−ブチロラクトン
(E−3):乳酸エチル
(E−4):シクロヘキサノン
実施例1〜12及び比較例1、2の各感放射線性樹脂組成物について、以下のように下記(1)〜(5)の各種評価を行った。これらの評価結果を表4に示す。
(1)溶出量の測定
図1に示すように、予めCLEAN TRACK ACT8(東京エレクトロン株式会社製)にてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)31処理(100℃、60秒)を行った8インチシリコンウェハ3上の中心部に、中央部が直径11.3cmの円形状にくり抜かれたシリコンゴムシート4(クレハエラストマー社製、厚み;1.0mm、形状;1辺30cmの正方形)を載せた。次いで、シリコンゴム中央部のくり抜き部に10mLホールピペットを用いて10mlの超純水5を満たした。
その後、予めCLEAN TRACK ACT8により、膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)61を形成し、次いで、表3のレジスト組成物を前記CLEAN TRACK ACT8にて、前記下層反射防止膜61上にスピンコートし、ベーク(115℃、60秒)することにより膜厚205nmのレジスト被膜62を形成したシリコンウェハ6を、レジスト塗膜面が前記超純水5と接触するようあわせ、且つ超純水5がシリコンゴム4から漏れないように、前記シリコンゴムシート4上に載せた。
そして、その状態のまま10秒間保った。その後、前記8インチシリコンウェハ6を取り除き、超純水5をガラス注射器にて回収し、これを分析用サンプルとした。尚、実験終了後の超純水の回収率は95%以上であった。
次いで、前記で得られた超純水中の光酸発生剤のアニオン部のピーク強度を、LC−MS(液体クロマトグラフ質量分析計、LC部:AGILENT社製 SERIES1100、MS部:Perseptive Biosystems,Inc.社製 Mariner)を用いて下記の測定条件により測定した。その際、光酸発生剤の1ppb、10ppb、100ppb水溶液の各ピーク強度を前記測定条件で測定して検量線を作成し、この検量線を用いて前記ピーク強度から溶出量を算出した。また、同様にして、酸拡散制御剤の1ppb、10ppb、100ppb水溶液の各ピーク強度を前記測定条件で測定して検量線を作成し、この検量線を用いて前記ピーク強度から酸拡散制御剤の溶出量を算出した。溶出量が、5.0×10−12mol/cm2/sec以上であった場合は、「不良」、以下であった場合は「良好」とした。
使用カラム;「CAPCELL PAK MG」、資生堂株式会社製、1本
流量;0.2ml/分
流出溶剤;水/メタノール(3/7)に0.1質量%のギ酸を添加したもの
測定温度;35℃
後退接触角の測定は、KRUS社製「DSA−10」を用いて、各感放射線性樹脂組成物による被膜を形成した基板(ウェハ)を作成した後、速やかに、室温:23℃、湿度:45%、常圧の環境下で、下記のように測定した。
<1>ウェハステージ位置を調整する。
<2>ウェハをステージにセットする。
<3>針へ水を注入する。
<4>針の位置を微調整する。
<5>針から水を排出してウェハ上に25μLの水滴を形成する。
<6>水滴から針を一旦引き抜く。
<7>針を前記<4>で調整した位置へ再度引き下げる。
<8>針から水滴を10μL/minの速度で90秒間吸引する。同時に接触角を毎秒(計90回)測定する。
<9>接触角が安定した時点から計20点の接触角について平均値を算出し後退接触角とする。
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。尚、この反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。
次いで、表3のレジスト組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表4の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚205nmのレジスト被膜を形成した。このレジスト被膜に、ArFエキシマレーザー露光装置(「NSR S306C」、ニコン製、照明条件;NA0.78シグマ0.93/0.69)により、マスクパターンを介して露光した。その後、表4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で30秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅90nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。尚、この測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
前記(3)における90nmライン・アンド・スペースパターンの断面形状を、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」にて観察し、図2に示すように、レジストパターンの中間での線幅Lbと、膜の上部での線幅Laを測り、0.9≦(La−Lb)/Lb≦1.1の範囲内である場合を「良好」とし、範囲外である場合を「不良」とした。
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。尚、この反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。
次いで、表3のレジスト組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表4の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚120nmのレジスト被膜を形成した。その後、純水により90秒間リンスを行った。このレジスト被膜に、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S306C」、NIKON製)をNA=0.75、σ=0.85、1/2Annularにより、マスクパターンを介して露光した。露光後、純水により90秒間、再度リンスを行い、表4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅1000nmのホールパターンを形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量にてウェハ全面に幅1000nmのホールパターンを形成し、欠陥検査用ウェハとして使用した。尚、この測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
その後、幅1000nmのホールパターン上の欠陥数を、KLA−Tencor社製、「KLA2351」を用いて測定した。更に、「KLA2351」にて測定された欠陥を、走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、レジスト由来と見られるものと、外部由来の異物とみられるものとを分類した。そして、レジスト由来と見られる欠陥数の合計が100個/wafer以上であった場合を「不良」とし、100個/wafer未満であった場合を「良好」とした。
尚、レジスト由来と見られる欠陥とは、現像時の溶け残りに由来する残渣状欠陥、レジスト溶剤中の樹脂溶け残りに由来する突起状欠陥等であり、外部由来と見られる欠陥とは、大気中の塵に由来するゴミ及び塗布むら、泡等、レジストに関与しないタイプの欠陥である。
Claims (5)
- 重合体(A)、酸不安定基を含有する樹脂(B)、感放射線性酸発生剤(C)、窒素含有化合物(D)及び溶剤(E)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
前記重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定される重量平均分子量が1000〜50000であり、重合体全体を100モル%とした場合に、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)を1〜40モル%含有し、フッ素原子を含む繰り返し単位(2)を60〜99モル%含有し、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含んでおらず、
前記繰り返し単位(1)は、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−2)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であり、
前記繰り返し単位(2)は、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
- 前記重合体(A)の含有量が、本感放射線性樹脂組成物全体を100質量%とした場合に、0.1〜20質量%である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記樹脂(B)がラクトン構造を含む繰り返し単位を含有する請求項1又は2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 前記樹脂(B)における前記酸不安定基が、単環式構造若しくは多環式構造を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物。
- 波長193nmにおける屈折率が空気よりも高い液浸露光用液体をレンズとフォトレジスト被膜との間に介して放射線照射する液浸露光を含むレジストパターン形成方法において、前記フォトレジスト被膜を形成するために用いられる感放射線性樹脂組成物に含有される重合体であって、
該重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定される重量平均分子量が1000〜50000であり、重合体全体を100モル%とした場合に、フッ素原子を含まず且つ親水性基として−OH基を含む繰り返し単位(1)を1〜40モル%含有し、フッ素原子を含む繰り返し単位(2)を60〜99モル%含有し、且つ酸不安定基を含む繰り返し単位を含んでおらず、
前記繰り返し単位(1)は、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−2)で表される繰り返し単位、下記一般式(1−3)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であり、
前記繰り返し単位(2)は、下記一般式(2−1)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(2−2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする重合体。
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