JP2009091264A - 大腸癌予防用組成物 - Google Patents
大腸癌予防用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009091264A JP2009091264A JP2007260958A JP2007260958A JP2009091264A JP 2009091264 A JP2009091264 A JP 2009091264A JP 2007260958 A JP2007260958 A JP 2007260958A JP 2007260958 A JP2007260958 A JP 2007260958A JP 2009091264 A JP2009091264 A JP 2009091264A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- colorectal cancer
- composition according
- composition
- dietary fiber
- protein
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Abstract
【課題】コスト及び安全面に優れた大腸癌予防用組成物を提供する。
【解決手段】イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維を有効成分として含有する大腸癌予防用組成物を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維を有効成分として含有する大腸癌予防用組成物を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、イネ科植物の発芽種子由来のタンパク質及び不溶性食物繊維を含有する大腸癌予防用組成物に関する。
大腸癌は、欧米諸国において一般的に見られる悪性腫瘍の一形態である。食生活の欧米化に伴い、日本でも欧米諸国に多い大腸癌が増加している。
大腸癌に罹患する原因の多くは、細胞増殖を制御するDNAの異常などであるが、大腸癌の危険因子として考えられているものは多岐にわたり、個々の要因の寄与は不明である。細胞レベルの異常から癌に発展するには年単位の時間が費やされるので、特定の要因が癌の原因であると突き止めることは出来ない。
現在までに、食品による大腸癌の予防に関する多数の文献が存在する(例えば非特許文献1〜8参照)。
しかし、上記のような食品では、特定の活性画分を回収するのに非常にコストがかかったり、医薬品のように副作用との引き換えで効果を発揮するというリスクがあり、癌のように発症までに非常に長い時間を有する疾病の場合には、コストや安全性に問題のあるものも少なくなかった。
Stoner GD et al.,Cancer prevention with freeze-dried berries and berry components. Semin Cancer Biol. 2007 May 10;
Spychalski M et al., Chemoprevention of colorectal cancer - a new target needed? Colorectal Dis. 2007 Jun;9(5):397-401.
Schatzkin A et al., Dietary fiber and whole-grain consumption in relation to colorectal cancer in the NIH-AARP Diet and Health Study. Am J Clin Nutr. 2007 May;85(5):1353-60.
Glei M et al., Bread enriched with green coffee extract has chemoprotective and antigenotoxic activities in human cells. Nutr Cancer. 2006;56(2):182-92.
Fan K et al., Chemopreventive effects of orange peel extract (OPE). I: OPE inhibits intestinal tumor growth in ApcMin/+ mice. J Med Food. 2007 Mar;10(1):11-7.
Veeriah S et al., Apple polyphenols and products formed in the gut differently inhibit survival of human cell lines derived from colon adenoma (LT97) and carcinoma (HT29). J Agric Food Chem. 2007 Apr 18;55(8):2892-900. Epub 2007 Mar 23.
Delia P et al., Use of probiotics for prevention of radiation-induced diarrhea. World J Gastroenterol. 2007 Feb 14;13(6):912-5.
Singh B. Psyllium as therapeutic and drug delivery agent. Int J Pharm. 2007 Apr 4;334(1-2):1-14. Epub 2007 Jan 21. Review.
そこで、本発明は、コスト及び安全面に優れた大腸癌予防用組成物を提供することを目的とする。
大腸癌に罹患する危険因子としては、一般的に以下のようなものが知られる:
1)遺伝。特に55歳以前の罹患や癌の多発の場合著明である;
2)家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis;FAP)は、全大腸切除を施されない場合はほぼ100%が癌に進行する;
3)遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)(リンチ症候群とも称する);
4)年齢。大腸癌に進行するリスクは年齢とともに増加する。その多くは60歳代から70歳代で発症する。50歳以下の場合は、遺伝的に若年齢の大腸癌を罹患する家系以外ではあまり見られない;
5)癌の病歴。卵巣癌、子宮癌、乳がんに罹患した女性は、大腸癌に進行するリスクが増大する;
6)慢性化した潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)及び大腸のクローン病(Crohn's disease)。これらの疾患に罹患した患者は、全大腸切除を施されない場合には25年後でおよそ30%が大腸癌となる;
7)喫煙。喫煙者は非喫煙者よりも大腸癌で死亡する傾向がある;
8)食事。過去、新鮮な果物や野菜(食物繊維)をとり、動物性の食肉を減らすと大腸癌のリスクが低減すると言われてきたが、最近の研究調査では否定的な結果が出ている(野菜・果物をよく食べる人の大腸癌発症リスクは食べない人と同じ、肉を良く食べる人でも、大腸癌発症リスクは高くならない)。食物繊維は摂取量が極端に少ない(平均約6g)人に限ればリスクが高くなるものの、それ以外の場合は関係がないと考えられている;
9)ウイルス。ある種のウイルス感染(例えば、ヒトパピローマウイルス)は大腸癌との関連が知られている。
1)遺伝。特に55歳以前の罹患や癌の多発の場合著明である;
2)家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis;FAP)は、全大腸切除を施されない場合はほぼ100%が癌に進行する;
3)遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)(リンチ症候群とも称する);
4)年齢。大腸癌に進行するリスクは年齢とともに増加する。その多くは60歳代から70歳代で発症する。50歳以下の場合は、遺伝的に若年齢の大腸癌を罹患する家系以外ではあまり見られない;
5)癌の病歴。卵巣癌、子宮癌、乳がんに罹患した女性は、大腸癌に進行するリスクが増大する;
6)慢性化した潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)及び大腸のクローン病(Crohn's disease)。これらの疾患に罹患した患者は、全大腸切除を施されない場合には25年後でおよそ30%が大腸癌となる;
7)喫煙。喫煙者は非喫煙者よりも大腸癌で死亡する傾向がある;
8)食事。過去、新鮮な果物や野菜(食物繊維)をとり、動物性の食肉を減らすと大腸癌のリスクが低減すると言われてきたが、最近の研究調査では否定的な結果が出ている(野菜・果物をよく食べる人の大腸癌発症リスクは食べない人と同じ、肉を良く食べる人でも、大腸癌発症リスクは高くならない)。食物繊維は摂取量が極端に少ない(平均約6g)人に限ればリスクが高くなるものの、それ以外の場合は関係がないと考えられている;
9)ウイルス。ある種のウイルス感染(例えば、ヒトパピローマウイルス)は大腸癌との関連が知られている。
本発明者らは、先に、イネ科植物の発芽種子から分離された物質を有効成分として含む組成物が、軽症から中等症の潰瘍性大腸炎を治療する効果を有することを見出し、さらにこれを副作用なく摂取できることを示した(特許3746522号参照)。
本発明者らは今回、この組成物を、化学物質により引き起こされる大腸癌モデル(AOMモデル)ラットに摂取させたところ、前がん状態の指標である異常腺窩巣(ACF)を有意に低下させることを見出した。潰瘍性大腸炎の慢性化が大腸癌への進行の要因になるとの示唆が存在するが、上記の通り、大腸癌は、潰瘍性大腸炎のみならず、種々の危険因子による発症が考えられる。今回上記のような化学物質によって誘導される大腸癌モデルにおいて大腸癌予防効果が認められたことは驚きである。
すなわち本発明は以下の特徴を包含する:
(1)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維とを有効成分として含有する大腸癌予防用組成物。
(2)イネ科植物が、米、大麦およびライ麦から成る群より選択される(1)記載の組成物。
(3)イネ科植物の発芽種子のアロイロン層および胚芽を含む画分を含有する、(1)又は(2)記載の組成物。
(4)タンパク質を10〜70重量%、不溶性食物繊維を20〜70重量%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の組成物。
(5)前記タンパク質と不溶性食物繊維を含有する物質が、ビール粕の圧ぺん粉砕処理物をふるい分けして得られるふるい通過画分であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の組成物。
(6)大腸癌予防が異常腺窩巣低下作用に基づくことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の組成物。
(7)大腸癌予防が正常状態から前癌状態への進行を抑制することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の組成物。
(8)機能性食品であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載の組成物。
(9)医薬品であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載の組成物。
(10)大腸癌予防剤を製造するための(1)〜(7)のいずれか記載の組成物の使用。
(11)大腸癌予防用機能性食品を製造するための(1)〜(7)のいずれか記載の組成物の使用。
(1)イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維とを有効成分として含有する大腸癌予防用組成物。
(2)イネ科植物が、米、大麦およびライ麦から成る群より選択される(1)記載の組成物。
(3)イネ科植物の発芽種子のアロイロン層および胚芽を含む画分を含有する、(1)又は(2)記載の組成物。
(4)タンパク質を10〜70重量%、不溶性食物繊維を20〜70重量%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の組成物。
(5)前記タンパク質と不溶性食物繊維を含有する物質が、ビール粕の圧ぺん粉砕処理物をふるい分けして得られるふるい通過画分であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の組成物。
(6)大腸癌予防が異常腺窩巣低下作用に基づくことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の組成物。
(7)大腸癌予防が正常状態から前癌状態への進行を抑制することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の組成物。
(8)機能性食品であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載の組成物。
(9)医薬品であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載の組成物。
(10)大腸癌予防剤を製造するための(1)〜(7)のいずれか記載の組成物の使用。
(11)大腸癌予防用機能性食品を製造するための(1)〜(7)のいずれか記載の組成物の使用。
本発明の大腸癌予防用組成物は、正常状態から前癌状態への進行を抑制するという作用効果を有し、かつ安価で、有意な副作用なく長期に摂取又は服用が可能である。
本発明の大腸癌予防用組成物は、イネ科植物の胚芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維を含んだ画分からなる物質(以下、「タンパク質−不溶性食物繊維含有物質」という。)を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明において、タンパク質−不溶性食物繊維含有物質とは、前述のようにイネ科植物の発芽種子から得られる成分である。イネ科植物とは、植物分類表において、イネ科に分類されるすべての植物を指す。具体的には米、大麦、小麦、ライ麦、あわ、ひえ、とうもろこし等が例示されるが、これに限定されるものではない。このうち、米、大麦およびライ麦などが好ましい。このイネ科植物の発芽種子を原料にして、タンパク質の含量が10〜70重量%で、不溶性食物繊維の含量が20〜70重量%のタンパク質−不溶性食物繊維含有物質を分離すればよい。ここでいうタンパク質の含量とは、ケルダール法を用いて得られた窒素量に、タンパク質換算係数として6.25を乗じて得た数値から求めたものである。また、食物繊維の含量は、印南、桐山編集の「食物繊維」(pp38-pp40第一出版1989)に示されている方法に基づいて求めた各食物繊維の和とした。
このような、タンパク質−不溶性食物繊維含有物質を製造する具体的な方法としては、次の方法があげられる。つまり、イネ科植物の発芽種子を穀皮表面から徐々に削り穀皮を除去した(重量がもとの原料の重量の90%前後になるまで)後、アロイロン層や胚芽を含んだ画分を徐々に削り、胚乳だけになったところ(重量がもとの原料の重量の約80%前後になるまで)で終了し、アロイロン層−胚芽画分を分取すればよい。なお、この際の重量はあくまで目安であり、電子顕微鏡などでアロイロン層等の観察を行って分画を行うことが望ましい。
さらに経済的には、ビール原料として利用した後の大麦麦芽であるビール粕を利用するのが好ましい。このビール粕からタンパク質−不溶性食物繊維含有物質を得る具体的な方法の例としては特公平4−31666号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、湿体状態にあるビール粕を圧ぺん粉砕処理し、得られた圧ぺん粉砕処理物を水の存在下においてふるい分け処理すればよい。タンパク質−不溶性食物繊維含有物質はそのふるいを通過した画分である。詳細には、まず、湿体状態のビール粕を圧ぺん粉砕処理する。ビール粕の圧ぺん処理には被処理原料に圧縮力を与える構造の粉砕機であればいかなる物でも使用可能であるが、特にロールミルの使用が望ましい。ロール間の間隙は0.05〜2mm、好ましくは0.1〜0.3mmである。ビール粕を圧ぺん処理する際に、ビール粕中の水分を65%以上に調整することが望ましい。次に、得られた圧ぺん粉砕処理物を水の存在下においてふるい分け処理する。このふるい分け処理により、穀皮画分がふるい上に残り、タンパク質−食物繊維含有画分がふるいを通過する。ふるい目の寸法は5〜50メッシュ、好ましくは20〜50メッシュとする。タンパク質−食物繊維含有画分を効率よく得るために、前記の圧ぺん処理とこのふるい分けを2〜5回繰り返して行うのがよい。上記のようにして得られるふるいを通過した画分は、通常、乾燥させてから用いられる。乾燥方法は特に限定されないが具体例としては、50〜100℃の温度の温風乾燥する方法、あるいは凍結乾燥による方法などがあげられる。また、場合によっては、湿体状態で用いることもできる。その場合の含水率は、通常、10〜90%程度に調整するとよい。
このタンパク質−不溶性食物繊維含有物質を、例えば経口投与することで大腸癌予防効果を達成することができる。この目的のためには、このタンパク質−不溶性食物繊維含有物質を、例えば成人(60kg)1日あたり、20g以上、好ましくは30g以上摂取することが望ましい。タンパク質−不溶性食物繊維含有物質はイネ科植物の発芽種子から得られた成分であるので、過剰摂取は何等問題がなく、日常の食生活に取り入れることができる。また、投与ないしは摂取の時期は、食前、食間および食後のいずれの時期でもよい。
大腸癌予防効果には、例えば、前癌状態を示す指標であるACFの低下、乳酸菌などの腸内有用菌の増加、特に正常状態から前癌状態への進行の抑制などを挙げることができる。
本発明の組成物は、前記タンパク質-不溶性食物繊維含有物質の他、本発明の大腸癌予防作用を阻害しない限りにおいて、乳糖、マルチトール、ソルビトール、デキストリン、グルコース、果糖、スクラロース、ショ糖、異性化糖、パラチノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムK、ステビアなどの甘味料;セルロース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、乳糖、糖、トウモロコシデンプン、ソルビトール、グリシンなどの充填剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸などのpH調整剤;果糖、麦芽デキストリン、麦芽糖、メントール、はっか油、オレンジ油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、ユーカリ油、サリチル酸メチル、バニラ抽出物、ガーリック油、アセト酢酸エチル、アニスアルデヒド、エチルバニリン、桂皮酸、酢酸シトロネリル、シトラール、バニリン、酢酸ブチル、エステル類などの香料;メチルセルロース、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、乳糖、白糖などの結合剤;エリソルビン酸、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、トコフェロール、ルチンなどの抗酸化剤;硝酸カリウム、L−アスコルビン酸、硫酸第一鉄、亜硝酸ナトリウムなどの発色剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、モノステアリン酸グリセリン、タルク、カオリン、ショ糖脂肪酸エステル、セタノール、糖類(乳糖、マンニトール等)、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、酸化チタン、ベンガラなどのコーティング助剤、水などの他の成分を含んでもよい。
本発明の組成物の形状は特に限定されるものではなく、例えば粉末状、顆粒状、ペレット状、液体状又はカプセル状とすることができる。
本発明の組成物は、医薬品又は飲食品(例えば、機能性食品)として提供することができる。
本発明の組成物が医薬品として提供される場合、本発明の組成物は薬学的に許容される担体とともに含んでなる医薬品として提供することができる。この医薬品は具体的には、大腸癌の予防剤又は抑制剤として適用される。
この場合、前記タンパク質-不溶性食物繊維含有物質は、上記医薬品又は飲食品において0.1〜100重量%の間で適宜設定できる。
本発明の医薬品は、前記タンパク質-不溶性食物繊維含有物質は、例えば経口投与経路で、ヒト又はヒト以外の動物に経口投与することができる。また、投与経路に応じて適当な剤形とすることができる。具体的には主としてカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠などの経口剤等、各種製剤形態に調製することができる。
これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、浸潤剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、着色料、香味剤、及び安定化剤などを用いて常法により製造することができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ソルビット及び結晶セルロースなどが、崩壊剤としては、例えば澱粉、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、炭酸マグネシウム及び合成ケイ酸マグネシウムなどが、結合剤としては、例えばメチルセルロース又はその塩、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンなどが、滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール及び硬化植物油などが、その他の添加剤としては、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硝酸ソーダ及びリン酸ナトリウムなどがそれぞれ挙げられる。
本発明の組成物が飲食品として提供される場合、飲食品に前記タンパク質-不溶性食物繊維含有物質を添加して、大腸癌を予防するための飲食品とすることができる。
飲食品の形態としては特に制限はなく、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵飲食品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。なお、飲食品には動物の飼料も含まれる。
飲食品の好ましい例は機能性食品である。上記の賦形剤等と、前記タンパク質-不溶性食物繊維含有物質とを組合せて、ドリンク、タブレット、顆粒、粉末、ゲルなどの任意の形態とすることができる。容器には、大腸癌の予防に有効である旨のラベルを貼付することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
タンパク質と不溶性食物繊維を有効成分として含有する大腸癌予防用組成物の製造
調製例
湿体状態のビール粕(水分:77.6重量%)をロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.1mm)で圧ぺんした後、水中で50メッシュふるいを用いてふるい分けし、その通過画分を殺菌(90℃30分保持)し、凍結乾燥した後、粉砕してタンパク質-不溶性食物繊維含有物質を得た。この分析値は表1に示すとおりである。
調製例
湿体状態のビール粕(水分:77.6重量%)をロールミル(ロール回転数:100rpm、ロール間隙:0.1mm)で圧ぺんした後、水中で50メッシュふるいを用いてふるい分けし、その通過画分を殺菌(90℃30分保持)し、凍結乾燥した後、粉砕してタンパク質-不溶性食物繊維含有物質を得た。この分析値は表1に示すとおりである。
表1に示した粗タンパク質はケルダール法を用いて(窒素のタンパク質換算係数は6.25とした)、粗脂肪はジエチルエーテルを抽出溶媒としたソックスレー抽出法を用いて、灰分は当該試料をるつぼに入れて直接灰化法で測定し、食物繊維はTDF(AOAC法)として示した。炭水化物は以下の式:100−(水分+タンパク質+脂質+灰分+食物繊維)に従って算出した。
上記のようにして製造した試料(以下、「GBF」と称する。)の組成を下記表2に示す。
上記のようにして製造した試料(以下、「GBF」と称する。)の組成を下記表2に示す。
本発明のGBFの大腸癌予防効果の評価
本実施例では、大腸癌モデルラットとしてAOMモデルラットを用いた。AOM(アゾキシメタン、和光純薬社)はマウスやラットにおける大腸癌を強力に誘発させる物質で、肝臓でメチルアゾキシメタンのグルクロン酸抱合体となり、それが腸内でβグルクロニダーゼにより分解されて遺伝毒性を示す(Inhibitory effects of lemon grass (Cymbopogon citratus stapf) on formation of azoxymethane-induced DNA adducts and aberrant crypt foci in the rat colon Ratchada Suaeyunら, Carcinogenesis 18 949-955 (1997)参照)。
本実施例では、大腸癌モデルラットとしてAOMモデルラットを用いた。AOM(アゾキシメタン、和光純薬社)はマウスやラットにおける大腸癌を強力に誘発させる物質で、肝臓でメチルアゾキシメタンのグルクロン酸抱合体となり、それが腸内でβグルクロニダーゼにより分解されて遺伝毒性を示す(Inhibitory effects of lemon grass (Cymbopogon citratus stapf) on formation of azoxymethane-induced DNA adducts and aberrant crypt foci in the rat colon Ratchada Suaeyunら, Carcinogenesis 18 949-955 (1997)参照)。
このAOMモデルラットを用いて大腸の異常腺窩巣(ACF)の個数、盲腸内容物中の有機酸、グルクロニダーゼ活性及びグルコシダーゼ活性を評価した。
5週令の雄のF344ラット(チャールズリバージャパン社)を各群10匹用いた。群は対照群とGBF群の2群とした。飼料原料は上記表1に示したとおりであり、飼料原材料はすべてオリエンタルバイオサービス社より購入した。1週間の環境馴化後に、体重で組分けした。その後2週間各飼料で飼育し、AOMをPBSで希釈して、直ちに実験動物に皮下投与で15mg/kg体重で与えた。1週間に1度で連続2回の投与を終了した後にさらに4週間飼育してウレタン麻酔下で放血させて、大腸をサンプリングした。既報に従い(Effects of Indole-3-carbinol and phenetyl isothiocyanate on colon carginogenesis induced by azoxymethane in rats Andrea Y.A.Plate及びDaniel D.Gallaher Carcinogenesis 27 287-292 (2006)参照)、4%ホルマリン緩衝固定液で組織を固定し、0.2%メチレンブルー染色液で染色し、脱塩水で過剰な色素を除去後、顕微鏡(100倍)にて大腸すべてを観察し、ACFの個数を計測した。解剖時に盲腸内容物をサンプリングし、有機酸測定、グルクロニダーゼ、グルコシダーゼ活性を測定した(Inhibitory effects of lemon grass (Ratchada Suaeyunら, 前掲(1997)参照)。
有機酸はHPLCを用いてイオン排除クロマト法で分析を行った。盲腸内容物を脱塩水で適宜希釈して、遠心分離上清を集めフィルターろ過を行い、分析に供した。腸内細菌叢の変動を検出するために、大腸菌やバクテロイデス属の菌が分泌するグルクロニダーゼ活性を、乳酸菌等が分泌するグルコシダーゼ活性を既報(Ratchada Suaeyunら, 前掲(1997)参照)に従い測定した。測定に必要な試薬であるp-ニトロフェノール、p-ニトロフェニル-β-D-グルコピラノシド(Sigma)、p-ニトロフェニル-β-D-グルクロニド (Fulka)はそれぞれカッコ内のメーカーから購入した。
上記の実験の結果、図1及び3に示されるように、GBF群において、対照群と比較し、有意なACFの発生個数の減少、および盲腸内容物における酪酸、酢酸の増加が認められた。また図2に示されるように、盲腸内容物におけるグルクロニダーゼ活性は、GBF群と対照群で有意な差が認められなかったが、グルコシダーゼ活性はGBF群において有意な増加が認められた。
考察
ACFは陰窩が異型を示し、いわゆる前癌状態を示す指標とされ、実験でもまた臨床でもよく使用されている指標である。したがって、ACFの低下は前癌状態の改善を意味し、上記結果からGBFの大腸癌予防効果が示された。
ACFは陰窩が異型を示し、いわゆる前癌状態を示す指標とされ、実験でもまた臨床でもよく使用されている指標である。したがって、ACFの低下は前癌状態の改善を意味し、上記結果からGBFの大腸癌予防効果が示された。
グルクロニダーゼは大腸菌やパクテロイデス属などのいわゆる悪玉菌に多い酵素で、グルコシダーゼは乳酸菌などに多い酵素であり、腸内環境の間接的な指標となる。また腸内容物の有機酸組成も腸内環境の状況を示す間接的な指標であり、酪酸や酢酸が多いということは善玉菌が多いということを示す(E.limosumによる実験腸炎の発症抑制作用機構の検討 金内理ら., 消化器と免疫41号 Page123-126(2005.05)参照)。図2に示されるように、グルクロニダーゼ活性に差がなかったことから、ラット体内においてAOMが有害物質に変換される程度には差がないと考えられ、投与したAOMは両群で同程度の毒性を示したにもかかわらず、GBF群で有意な大腸癌抑制作用を示した。一方、グルコシダーゼ活性に有意差を認めたことから、有用菌であるラクトバチルス(Lactobacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属等の有用菌が腸内で増加し、腸内環境が改善されていることを示唆している(The association of yogurt starters with Lactobacillus casei DN 114.001 in fermented milk alters the composition and metabolism of intestinal microflora in germ-free rats and in human flora-associated rats. Douzi Z, Andrieux C, Degivry MC, Bouley C, Szylit O. J Nutr. 1997 Nov;127(11):2260-6参照)。
Claims (11)
- イネ科植物の発芽種子から分離された物質であって、タンパク質と不溶性食物繊維とを有効成分として含有する大腸癌予防用組成物。
- イネ科植物が、米、大麦およびライ麦から成る群より選択される請求項1記載の組成物。
- イネ科植物の発芽種子のアロイロン層および胚芽を含む画分を含有する、請求項1又は2記載の組成物。
- タンパク質を10〜70重量%、不溶性食物繊維を20〜70重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
- 前記タンパク質と不溶性食物繊維を含有する物質が、ビール粕の圧ぺん粉砕処理物をふるい分けして得られるふるい通過画分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
- 大腸癌予防が異常腺窩巣低下作用に基づくことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 大腸癌予防が正常状態から前癌状態への進行を抑制することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
- 機能性食品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
- 医薬品であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
- 大腸癌予防剤を製造するための請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物の使用。
- 大腸癌予防用機能性食品を製造するための請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物の使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007260958A JP2009091264A (ja) | 2007-10-04 | 2007-10-04 | 大腸癌予防用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007260958A JP2009091264A (ja) | 2007-10-04 | 2007-10-04 | 大腸癌予防用組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009091264A true JP2009091264A (ja) | 2009-04-30 |
Family
ID=40663601
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007260958A Pending JP2009091264A (ja) | 2007-10-04 | 2007-10-04 | 大腸癌予防用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009091264A (ja) |
-
2007
- 2007-10-04 JP JP2007260958A patent/JP2009091264A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR20080030633A (ko) | 스트레스의 치료 또는 처치방법 | |
JP2014196260A (ja) | 慢性閉塞性肺疾患の予防又は治療用組成物 | |
EP3991739A1 (en) | Novel probiotic composition for regulation of intestinal immunity | |
EP3970511A1 (en) | Strain showing liver function improving activity, and use thereof | |
JP2003342185A (ja) | リパーゼ活性阻害剤 | |
JP2007519715A (ja) | ケンボナシ抽出物、ダンコウバイ抽出物、またはその混合生薬抽出物を有効成分として含む組成物 | |
JP4990352B2 (ja) | アレルギー疾患及び自己免疫疾患に有効な医薬 | |
CN103781371B (zh) | 固体状组合物 | |
JP2016199491A (ja) | 気分状態改善剤 | |
WO2024106501A1 (ja) | Gabaを有効成分とする乳腺組織の健康維持剤 | |
JPWO2005074961A1 (ja) | 体脂肪調整剤 | |
JP2008063332A (ja) | 未成熟柿果実粉末組成物とその製造方法 | |
JP7423731B2 (ja) | 疲労感、意欲低下または眠気の改善剤 | |
JP5969529B2 (ja) | 抗炎症剤 | |
JP6976030B2 (ja) | 非アルコール性脂肪肝疾患の予防または改善用組成物 | |
KR20170053536A (ko) | 도라지를 유효성분으로 포함하는 기관지질환 및 고지혈증 예방 효능의 도라지 함유 음료 및 이의 제조방법 | |
JP2012131760A (ja) | 脂肪酸吸収抑制剤 | |
JP2009091264A (ja) | 大腸癌予防用組成物 | |
KR101644607B1 (ko) | 흑미 추출물을 유효성분으로 함유하는 헬리코박터 파이로리 유래 질환의 예방 또는 치료용 약학적 조성물 및 건강식품 | |
EP2956136B1 (en) | D-fagomine for preventing the onset of autoimmune diseases | |
JP2017119641A (ja) | Nashの可能性の試験方法並びに経口組成物 | |
TWI832945B (zh) | 血糖值上昇抑制用、血中三酸甘油酯上昇抑制用組成物 | |
JP2018168119A (ja) | がん細胞増殖抑制剤 | |
JP7201164B2 (ja) | Keap1-Nrf2システムによる生体防御遺伝子発現の活性化用剤 | |
KR100904862B1 (ko) | 레드킹밸리 감자의 생즙 및 전분을 이용한 위염, 위궤양 및십이지장궤양 환자를 위한 건강기능식품 |