JP2009089608A - 低カロリー水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低カロリー水中油型乳化物の外観を、マヨネーズに類似させる。
【解決手段】油相原料と加熱膨潤型の化工澱粉を含有する水相原料とから低カロリー水中油型乳化物を製造するにあたり、油相原料として、植物ステロール脂肪酸エステルのみを該水中油型乳化物中、3〜12質量%用いる。
【選択図】なし
【解決手段】油相原料と加熱膨潤型の化工澱粉を含有する水相原料とから低カロリー水中油型乳化物を製造するにあたり、油相原料として、植物ステロール脂肪酸エステルのみを該水中油型乳化物中、3〜12質量%用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、低カロリー水中油型乳化物の製造方法に関し、詳しくは油相原料として植物ステロール脂肪酸エステルのみが使用されていることにより、マヨネーズ様の外観を呈し、更に、油相からのエネルギー摂取が大幅に低減された低カロリー水中油型乳化物の製造方法及び該製造方法により得られる低カロリー水中油型乳化物に関する。
基本的な調味料であるマヨネーズは、食用植物油脂、卵、食酢を主成分とし、それに食酢以外の砂糖、食塩、及び香辛料等の調味料が加えられた水中油型の乳化物である。日本農林規格によれば、マヨネーズは65質量%以上の食用植物油や卵が含まれるため、高カロリーで栄養価の高い食品として知られている。
しかしながら、マヨネーズの様な高カロリー食品は、昨今の健康志向によって敬遠される傾向にあり、この為使用する油脂を低減した低油分マヨネーズや更には油脂を全く使用しない、所謂、ノンオイルマヨネーズが市場で販売されている。特にカロリーを極限まで低減させるためには、油脂を全く使用しないノンオイルマヨネーズがどうしても必要となる。ノンオイルマヨネーズでは、マヨネーズ様の外観状態、テクスチャー、味覚及び保存性等についての品質が必要とされる。
この中で、外観状態がマヨネーズと類似することが、先ず必要とされる。外観状態に関
する品質が満たされていなければ、その他の品質を満たしていたとしても、全体的な評価が劣ったものとなる。水中油型乳化物であるマヨネーズは、分散媒である水相と分散相である油相(油滴)の屈折率が異なる為に、光が当たると乱反射を起こし、乳白色の混濁した様な外観状態を呈する。
する品質が満たされていなければ、その他の品質を満たしていたとしても、全体的な評価が劣ったものとなる。水中油型乳化物であるマヨネーズは、分散媒である水相と分散相である油相(油滴)の屈折率が異なる為に、光が当たると乱反射を起こし、乳白色の混濁した様な外観状態を呈する。
一方、油脂を全く使用しないノンオイルマヨネーズの様に、水相原料のみから構成されている場合は、光があたっても乱反射を起こすことが少ないので、糊の様な透明感のある外観状態を呈する。この外観が、ノンオイルマヨネーズの全体評価を低下させることになっている。
米国内で販売されているノンオイルマヨネーズでは、二酸化チタン(白色色素)を使用することにより、乳化状態を表現しているのが一般的である。二酸化チタンは、添加する食品の下地を隠す色機能があり、即ち透明感をなくす効果があるため、乳化状態に近い外観を付与することが出来る。日本でも、二酸化チタンは使用基準のない食品添加物として許可されており、ホワイトチョコレート、ホワイトチーズなどの菓子類には使用されているものの、名称から連想される化学品のイメージが強いせいか、使用性はそれ程一般的ではない。
こうして、ノンオイルマヨネーズ技術において、二酸化チタンを使用することなく、マヨネーズ様の外観状態を呈するための技術が各種開示されている。例えば、加熱後の膨潤度が小さい架橋米澱粉を油脂代替物として使用する技術が開示されている。即ち、アルファ化しても膨潤度が小さい澱粉粒で、あたかも油滴粒子に類似した形態を利用する技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
又、ペクチン、寒天、コンニャク、ジェランガム、カラギーナン等、ゲル状の炭水化物をせん断したものを、油滴粒子に類似させた油脂代替物として利用する技術が開示されている。(例えば、特許文献2参照)
更に、種実類又は種子類を磨砕したペーストを油脂代替物として利用する技術が開示されている。(例えば、特許文献3参照)しかしながら、前記のような油脂代替物を使用しても、油脂を使用した場合での乳化状態とは異なっており、外観的にはどうしても透明感を解消するには至っていないという問題点があった。
一方、食用油脂を5〜50質量%含有するマヨネーズ様食品に関する技術が開示されている。(例えば、特許文献4〜7参照。)これらは、食用油脂を含有する水中油型乳化食品である為、殆どマヨネーズに近い外観状態を呈するものであるが、食用油脂を使用していることにより、エネルギーを大幅に増加させているという問題点があった。
特開2005−295821号公報
特開平5−3767号公報
特開平7−46968号公報
特開平2001−25222042号公報
特開2001−252041号公報
特開平7−39341号公報
特開平7−31414号公報
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、油脂原料として植物ステロール脂肪酸エステルのみを使用することにより、エネルギーを大幅に低減でき、マヨネーズ様の外観状態を呈する低カロリー水中油型乳化物の製造方法と、該製造方法により得られる低カロリー水中型乳化物とを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、加熱後の膨潤度が小さい架橋米澱粉、炭水化物類をせん断したものや種実類又は種子類を磨砕したペーストを油脂代替物として使用することなく、又、食用油脂を使用することなく、食用植物油に比べて大幅にエネルギーの低い植物ステロール脂肪酸エステルを用いることによって、エネルギーを大幅に低減でき、マヨネーズ様の外観状態を呈する低カロリー水中油型乳化物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明(1)は、油相原料と加熱膨潤型の化工澱粉を含有する水相原料とから低カロリー水中油型乳化物を製造するにあたり、油相原料として、植物ステロール脂肪酸エステルのみを該水中油型乳化物中、3〜12質量%用いることを特徴とする低カロリー水中油型乳化物の製造方法を提供するものである。
本発明(2)は、水相原料として用いる加熱膨潤型の化工澱粉含有量が、乳化物中3〜10質量%であることを特徴とする本発明(1)記載の低カロリー水中油型乳化物の製造方法である。
本発明(3)は、油相原料量に用いる植物ステロール脂肪酸エステルの純度が70質量%以上である本発明(1)又は本発明(2)記載の低カロリー水中油型乳化物の製造方法である。
本発明(4)は、本発明(1)〜(3)いずれかに記載の製造方法により得られる低カロリー水中油型乳化物を提供するものである。
本発明によれば、油相原料として植物ステロール脂肪酸エステルのみを用いることにより、エネルギーを大幅に低減でき、マヨネーズ様の外観状態を呈する低カロリー水中油型乳化物の製造方法及び該製造方法により得られる低カロリー水中油型乳化物が提供される。しかも、本発明によれば、加熱後の膨潤度が小さい架橋米澱粉、炭水化物類をせん断したものや種実類又は種子類を磨砕したペーストを油脂代替物に用いたノンオイル・マヨネーズの場合に見られる、透明感を呈するといった問題点や、食用油脂を含有するマヨネーズ様食品の場合に見られるエネルギーを大幅に増加させるといった問題点もない。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、油相原料と水相原料とから低カロリー水中油型乳化物を製造するにあたり、油相原料として、植物ステロール脂肪酸エステルのみを用いることにより、マヨネーズ様の外観状態を呈する低カロリー水中油型乳化物の製造方法と該製造方法により得られる低カロリ―水中油型乳化物とに関するものである。
本発明においては、低カロリー水中油型乳化物の油相を構成する原料、即ち油相原料としては植物ステロール脂肪酸エステルのみを用いる。本発明における植物ステロール脂肪酸エステルとは、植物由来のステロールと脂肪含有物質との、エステル化反応、若しくはエステル交換反応物である。
植物ステロールとして、シトステロール(sitosterol)、カンペステロール(campesterol)、スティグマステロール(stigmasterol)等が比較的多量に含有される成分であることが知られている(油脂Vol.59,No.8,2006,P91-100;植物ステロールの生化学と応用(1))。植物ステロールは、現在、植物油の製造の際の副産物として製造されている。即ち、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ゴマ油等のサラダ油の製造の際の脱臭工程で排出される廃棄物(脱臭留出物)中に、植物ステロールが比較的多く含有されており、これらは回収、精製されて、純度の高い植物ステロールとして使用される。油相原料として用いる植物ステロールとしては、特には限定されないが、前記のように回収、精製された純度の高いものを使用することが望ましい。
本発明で用いる植物ステロール脂肪酸エステルの製造方法として、上記の精製された植物ステロールと、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪酸、脂肪酸メチル等の脂肪酸含有物質とのエステル化反応、もしくはエステル交換反応による方法を用いることができる。なお、脂肪酸含有物質は、単独あるいは混合物として用いることができる。
脂肪酸含有物質に含有される脂肪酸としては、炭素数が10〜18の飽和あるいは不飽和のものであり、具体的にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられ、単独あるいは混合物として用いることができる。
炭素数が18である脂肪酸の植物ステロール脂肪酸エステルでは、植物ステロールと脂肪酸との質量割合がほぼ6:4であり、又、植物ステロール部分は代謝されないことから、等質量の一般的な植物油脂と比べてエネルギーは最大40%となる。但し、これは植物ステロール脂肪酸エステルの体内での消化率が100%とした場合での仮定であり、実際には100%以下の消化率であることや、炭素数が18以下の脂肪酸を用いた場合には、同質量の一般的な植物油脂と比べて、植物ステロール脂肪酸エステルのエネルギーは40%以下となる。こうして植物ステロール脂肪酸エステルを用いた場合では、植物油脂に比べて大幅なエネルギー低下が図れることが判る。
なお、前記エステル化反応もしくはエステル交換反応後には、エステル化されなかった未反応の植物ステロールが残存する場合がある。この未反応の植物ステロールは、植物ステロール脂肪酸エステルと同様な外観物性上の挙動を示すため、植物ステロール脂肪酸エステルの精製後、少量の植物ステロールが含有されていても、その含有量が水中油型乳化物中0.1%以下であれば問題なく使用できる。
本発明において、このような植物ステロール脂肪酸エステルが3〜12質量%及び植物ステロールが0.1質量%以下になるように、油相原料を用いることが好ましく、特に植物ステロール脂肪酸エステルが5〜12質量%及び植物ステロールが0.05質量%以下になるように、油相原料を用いることが更に好ましい。
一方、油相原料としての植物ステロール脂肪酸エステルが3質量%未満であると、得られる低カロリー水中油型乳化物の外観状態が透明感を呈し、マヨネーズの様な乳白色の外観状態を呈さないことから好ましくない。又、植物ステロールが0.1質量%を超えると油相である植物ステロール脂肪酸エステルと植物ステロールとの混合物の融点が高くなり、ハンドリング適性が低下することから、好ましくない。油相である植物ステロール脂肪酸エステルの添加量が12質量%を超えても、得られる低油分水中油型乳化物の外観状態の改善効果が得られないことから、経済的にも好ましくない。
油相原料としての植物ステロール脂肪酸エステルには、精製度により前記の脂肪酸含有物質等が含有されるが、請求項2に記載している如く油相原料に対して、植物ステロール脂肪酸エステル又は植物ステロール脂肪酸エステルの純度は、70質量%以上が好ましく、更には80質量%以上がより好ましい。油相原料に対して、植物ステロール脂肪酸エステルが70質量%未満ではカロリー低下が十分に図れず、又、風味への影響も受けることから好ましくない。
次に、本発明の低カロリー水中油型乳化物の水相原料について説明する。本発明の低カロリー水中油型乳化物のテクスチャーを形成する主原料として、加熱膨潤型の化工澱粉が必須原料として用いられるが、これらは架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉又は架橋エステル化澱粉等の種類が用いられる。原料となる澱粉としては、馬鈴薯澱粉、米澱粉、ワキシーコーン澱粉、デントコーン澱粉、タピオカ澱粉等が用いられる。用いられる加熱膨潤型の化工澱粉の性質としては、糊化後の澱粉粒が略球状をとり、更に、粘度を充分に発現し、シェア(shear)耐性のあるものが好ましい。加熱膨潤型化工澱粉の含有量は、該乳化物中、3〜10質量%、更に好ましくは4〜8質量%であることがマヨネーズに類似した物性を発現させる点から好ましい。3質量%未満では、粘度が低すぎてマヨネーズに類似した物性が出ず、一方、10質量%を越えると口中でもたつくなどの食感上の欠点が出るため、いずれも好ましくない。
加熱膨潤型の化工澱粉の代わりに冷水膨潤型の化工澱粉を用いた場合、水相に添加すると直ちにゲル化し均一に分散させることが難しく、更に、加熱膨潤型の加工澱粉に比べ冷水膨潤型の化工澱粉では、膨潤後の澱粉粒が球状よりも不定形をとりやすい為か、透明感が出てマヨネーズ様の外観状態を呈し難くなるため、好ましくない。尚、化工澱粉だけでなく、その他の原料も併用して使用され得る。
化工澱粉以外、本発明の低油分水中油型乳化物のテスクチャーを形成する副原料としては、卵白、ホエー蛋白等のゲル形成性のある蛋白質類、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ペクチン等の増粘多糖類、又、ボディー感を与える水飴等の糖類が用いられ、マヨネーズに類似したチキソトロピック(thixotropic)な性質を付加することができる。その他、味覚用の主原料として食酢、食塩等の調味料類が用いられ、更に、着色料、水等が用いられる。これら副原料の使用量は、通常のマヨネーズ製造に準ずることができる。
本発明の低カロリー水中油型乳化物の製造方法は、一例として次の様にして行われる。まず、配合量の化工澱粉類、増粘多糖類、水飴、卵白、食酢、着色料、水等を十分混合して、均一な水相原料のスラリーを調製する。ここで、スラリーを調製する機械としては、市販の万能混合攪拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を使用することができる。
次いで、40〜60℃に加温した植物ステロール脂肪酸エステルを、攪拌下でスラリーに添加混合する。次に、このスラリーを80〜100℃に加熱して化工澱粉を糊化した後、室温付近まで急冷する。ここで、加熱する際の機械としては、ジャケット付の攪拌機、クッカー、チューブラー型の熱交換機等を使用することができる。更に、急冷する際の機械としては、チューブラー型の熱交換機等を使用することができる。
上記の様にして得られた低カロリー水中油型乳化物を、次にホモジナイザー、ホモミキ
サー及びコロイドミルなどの乳化機により、仕上げ乳化を行って本発明の低カロリー水中
油型乳化物を調製することができる。
サー及びコロイドミルなどの乳化機により、仕上げ乳化を行って本発明の低カロリー水中
油型乳化物を調製することができる。
このようにして製造された低カロリー水中油型乳化物は、油相原料として植物ステロール脂肪酸エステルを3〜12質量%使用することにより、マヨネーズに類似した外観状態を呈し、更に通常の食用油を添加する場合に比べて、エネルギーが大幅に低減される。なお、植物ステロール脂肪酸エステルを用いて低カロリー水中油型乳化物を調製することにより、マヨネーズに類似した外観状態となる理由は、通常の食用油を添加するのと同じ理由である。即ち、低カロリー水中油型乳化物中の油相(油滴)と水相との屈折率が異なることにより、光があたった際に乱反射を起こし、マヨネ−ズに類似した乳白色の外観状態をとるためである。油滴粒子がマヨネーズの油滴粒径に類似する程、更に類似してくる。
この様に低カロリー水中油型乳物の外観に対する植物ステロール脂肪酸エステルの効果は、通常の食用油と同じであるが、植物ステロール脂肪酸エステルは、同質量の食用油に比べて、エネルギーが40%以下と大幅に低減されていることが最大の特徴点である。
次に、本発明を実施例等により詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらにより何ら制限されるものではない。
実施例1〜4
(1)低カロリー水中油型乳化物の調製
表1に示す配合組成の原料を水中油型に乳化し、植物ステロール脂肪酸エステル含量の異なる本発明品1〜4の低カロリー水中油型乳化物を調製した。即ち、水相原料である加熱膨潤型の化工澱粉(Staley社製:ドレッスン400)、キサンタンガム、水飴(DE50)、殺菌卵白、食酢(10%酸度)、食塩、着色料(β―カロチン製剤)をホモジナイザーを用いて、均一なスラリー(約30℃)を調製した。
(1)低カロリー水中油型乳化物の調製
表1に示す配合組成の原料を水中油型に乳化し、植物ステロール脂肪酸エステル含量の異なる本発明品1〜4の低カロリー水中油型乳化物を調製した。即ち、水相原料である加熱膨潤型の化工澱粉(Staley社製:ドレッスン400)、キサンタンガム、水飴(DE50)、殺菌卵白、食酢(10%酸度)、食塩、着色料(β―カロチン製剤)をホモジナイザーを用いて、均一なスラリー(約30℃)を調製した。
一方、油相原料である植物ステロール脂肪酸エステルを40〜50℃に加温して、十分に溶解させた後、上記水相を攪拌しながら、植物ステロール脂肪酸エステルを添加して、予備乳化物を調製した。なお、ここで用いた植物ステロール脂肪酸エステルとしては、植物ステロール脂肪酸エステルを98.7質量%及び植物ステロールを0.5質量%含有するものを使用した。又、油相原料のステロール組成としては、シトステロール43.6質量%、カンペステロール24.6質量%、スティグマステロール20.6質量%及びブラシカステロール0.9質量%のものである。
次いで、予備乳化物をクッカーに移し、緩やかに攪拌しながら、80〜95℃付近まで加熱した後、急速に室温まで冷却した。冷却した予備乳化物を十分攪拌した後、コロイドミル(クリアランス:15/1,000インチ、回転数:3,000rpm)により、仕上げ乳化を行って、低カロリー水中油型乳化物を調製した。得られた低カロリー水中油型乳化物の色差について、色差計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(2)低カロリー水中油型乳化物の外観の評価
上記(1)で得られた低カロリー水中油型乳化物の外観状態を、以下の3段階で目視観察し、外観状態の評価を行った。外観状態の評価は、経験豊かな5名のパネラーによる視覚観察の平均値で示した。なお、この評価において、「酷似」と「類似」であれば、マヨネーズの外観に類似しているということができる。対照とするマヨネーズは市販品(味の素株式会社製、ピュアセレクトマヨネーズ)を使用した。結果を表1に示す。
上記(1)で得られた低カロリー水中油型乳化物の外観状態を、以下の3段階で目視観察し、外観状態の評価を行った。外観状態の評価は、経験豊かな5名のパネラーによる視覚観察の平均値で示した。なお、この評価において、「酷似」と「類似」であれば、マヨネーズの外観に類似しているということができる。対照とするマヨネーズは市販品(味の素株式会社製、ピュアセレクトマヨネーズ)を使用した。結果を表1に示す。
(外観の評価)
・酷似:マヨネーズの外観と区別がつかないほどに酷似している。
・類似:マヨネーズの外観にほぼ類似している。
・類似せず:透明感があり、マヨネーズの外観に類似していない。
・酷似:マヨネーズの外観と区別がつかないほどに酷似している。
・類似:マヨネーズの外観にほぼ類似している。
・類似せず:透明感があり、マヨネーズの外観に類似していない。
比較例1:実施例2において、加熱膨潤型の化工澱粉を用いず、その代わりに冷水膨潤型の化工澱粉(Staley社製:ミラシック606)を用いて比較例1の低カロリー水中油型乳化物を調製した。即ち、冷水膨潤型の化工澱粉を除いた水相原料をホモジナイザー等で十分混合・溶解(約30℃)した後、油相原料である植物ステロール脂肪酸エステル及び植物ステロールの混合物(約40〜50℃加温)を徐々に添加し、予備乳化物を調製した。
次いで、冷水膨潤型の化工澱粉を予備乳化物に少量ずつ添加・混合した後、コロイドミル(クリアランス:15/1,000インチ、回転数:3,000rpm )により、仕上げ乳化を行って、低カロリー水中油型乳化物を調製し、更に実施例2と同様にして、色差の測定及び外観の評価を行った。結果を表2に示す。
比較例2:実施例1〜4において、植物ステロール脂肪酸エステルを油相原料として用いず、全体が100質量%となるように、水で調整したこと以外は、実施例1〜4と同様にして比較例2の低カロリー水中油型乳化物を調製し、更に実施例1〜4と同様にして、色差の測定及び外観の評価を行った。結果を表2に示す。
比較例3:実施例1〜4において、植物ステロール脂肪酸エステルを油相原料として1質量%用い、全体が100質量%となるように、水で調整したこと以外は、実施例1〜4と同様にして比較例3の低カロリー水中油型乳化物を調製し、更に実施例1〜4と同様にして、色差の測定及び外観の評価を行った。結果を表2に示す。
参考例1:実施例1において、植物ステロール脂肪酸エステルを油相原料として使用する代わりに、菜種油を用いたこと以外は、実施例1〜4と同様にして参考例1の低カロリー水中油型乳化物を調製し、更に実施例1〜4と同様にして、色差の測定及び外観の評価を行った。結果を表2に示す。
参考例2:実施例2において、植物ステロール脂肪酸エステルを油相原料とする代わりに、菜種油を用いたこと以外は、実施例1〜4と同様にして、参考例2の低カロリー水中油型乳化物を調製し、更に実施例1〜4と同様にして、外観の評価を行った。結果を表2に示す。
参考例3:実施例1〜4において、植物ステロール脂肪酸エステルと植物ステロールの混合物である油相原料を用いず、二酸化チタンを0.2質量%用い、全体が100質量%となるように水で調整したこと以外は、実施例1〜4と同様にして、参考例3の低カロリ-水中油型乳化物を調製し、更に、実施例1〜4と同様にして、色差の測定及外観の評価を行った。結果を表2に示す。
表1の結果から明らかなように、植物ステロール脂肪酸エステルと植物ステロールの混合物である油相原料を3質量%及び5質量%使用した実施例1及び実施例2の低カロリー水中油型乳化物では、マヨネーズ様の外観状態を呈し、更に7質量%及び12質量%使用した実施例3及び4の低カロリー水中油型乳化物では、マヨネーズと区別が付かない程、酷似していることが判る。
なお、色差値のL値では、実施例1の低カロリー水中油型乳化物では、76.3を示し、更に、実施例2〜4でのL値はより高くなる傾向を示しており、L値が指標値であることが推測される。a値及びb値については、明瞭な関連性が見られない。こうして、少なくともL値が約76を超えるとマヨネーズ様の外観に近づいてくることが判る。なお、L値が80付近では、外観上、マヨネーズと殆ど区別の付かないことが理解される。
又、表2の結果から明らかなように、加熱膨潤型の化工澱粉を用いず、その代わりに冷水膨潤型の化工澱粉を用いた比較例1の低カロリー水中油型乳化物では、マヨネーズの外観に類似せず、又、色差値のL値も74.9と76以下の値をとっており、冷水膨潤型の化工澱粉は不適であることが判る。更に、植物ステロール脂肪酸エステルを全く使用しない比較例2の低カロリー水中油型乳化物及び1質量%使用した比較例3の低カロリー水中油型乳化物では、マヨネーズの外観に類似せず、又、色差値のL値もそれぞれ、61.6及び69.0といった低い値をとり、植物ステロール脂肪酸エステルの油相原料が不足していることが理解される。
こうして、比較例2及び比較例3と実施例1〜4との低カロリー水中油型乳化物を比較すると、植物ステロール脂肪酸エステルを3質量%以上用いることが必須な理由が容易に理解される。
一方、通常の植物油である菜種油を3質量%及び5質量%使用した参考例1及び参考例2の低カロリー水中油型乳化物では、L値や外観の評価から、実施例1及び2とほぼ同様な効果が得られる。但し、前記したように、植物油を使用した油相に対し、植物ステロール脂肪酸エステルの油相では、エネルギーが約40%以下に低減されたものであり、エネルギー的に優位性を持つものであることが理解される。
更に、白色色素である二酸化チタンを使用した参考例3の低カロリー水中油型乳化物では、マヨネーズの外観と殆ど区別が付かないものであり、又、色差値のL値も80.9と比較的高い値を示している。二酸化チタンは食品衛生法上、使用制限のない安全な食品添加物ではあるものの、消費者にとって馴染みが薄いと考えられているものである。
本発明によれば、油相原料として植物ステロール脂肪酸エステルのみを3〜12質量%用いることにより、食用油を用いた場合に比べてエネルギーが大幅に低減され、且つ、マヨネーズの外観に類似する低カロリー水中油型乳化物の製造方法及び該製造方法により得られる低カロリー水中油型乳化物を提供することを可能にする。従って、本発明は、食品産業分野において有効に利用できる。
Claims (4)
- 油相原料と加熱膨潤型の化工澱粉を含有する水相原料とから低カロリー水中油型乳化物を製造するにあたり、油相原料として、植物ステロール脂肪酸エステルのみを該水中油型乳化物中、3〜12質量%用いることを特徴とする低カロリー水中油型乳化物の製造方法。
- 水相原料として用いる加熱膨潤型の化工澱粉の含有量が、乳化物中3〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載の低カロリー水中油型乳化物の製造方法。
- 油相原料に用いる植物ステロール脂肪酸エステルの純度が70質量%以上である請求項1又は2記載の低カロリー水中油型乳化物の製造方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の製造方法により得られる低カロリー水中油型乳化物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011021537A1 (ja) * | 2009-08-19 | 2011-02-24 | キユーピー株式会社 | 酸性水中油型乳化状調味料およびその製造方法、ならびに酸性水中油型乳化状調味料を含むサラダ |
JP4681691B2 (ja) * | 2009-08-19 | 2011-05-11 | キユーピー株式会社 | 酸性水中油型乳化状調味料およびその製造方法、ならびに酸性水中油型乳化状調味料を含むサラダ |
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