以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加した形態で実施することも可能である。
最初に、ドライブレコーダにおける情報の記録について説明する。
図1は、車両1にドライブレコーダ2を搭載した例を示す図である。
車両1内にドライブレコーダ2が設置され、車両1の前方を撮影する第1カメラ3及び車両1の後方を撮影する第2カメラ4と接続されている。第1カメラ3等による映像情報をドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に循環的に記憶する。所定の記録条件が成立すると、半導体記憶部15に記憶された映像情報がメモリカード6に記録される。所定の記録条件とは、事故等の発生により車両1へ衝撃が加わった場合等を言い、詳細については後述する。
また、ドライブレコーダ2は、映像情報の他に、車両の速度情報などを含む運行情報を取得して、ドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に循環的に記憶する。運行情報は、前述した記録条件が成立した場合には、映像情報と関連付けられて映像情報と供にメモリカード6に記録される。運行情報の詳細については後述する。
図2は、ドライブレコーダ2を車両1に設置した例を示す図である。
ドライブレコーダ2は、例えば、ハンドルの左下方でセンターパネルの端等に固定され、第1カメラ3(及び図2には図示されない第2カメラ4)、GPSセンサ9、不図示の車速センサ10、不図示のバッテリ21、車載用の表示部30等と電気的に接続されている。第1カメラ3は車室内ミラーの裏側のフロントガラス面に取り付けられ、車両前方を撮影し、映像情報をドライブレコーダ2へ送信する。
図3は、ドライブレコーダ2の本体の斜視図である。
ドライブレコーダ2には、マイクロフォン7、撮影スイッチ8、電源スイッチ20、LED25、ブザー26、不図示の開閉センサ27、開閉ノブ31等を有している。
マイクロフォン7は車両1内の音声を集音する。撮影スイッチ8は、映像情報をドライブレコーダ2に記録するタイミングの決定、ドライブレコーダ2の初期化等のための諸入力に利用される。LED25及びブザー26は、発光や警告音等を発生させることによって、ドライブレコーダ2の状況をユーザに知らせる機能を有している。
開閉ノブ31は、メモリカード6が後述するI/F11を構成するスロットに挿入された後に、メモリカード6を保護するようにその上部にスライドされて位置決めされる(図3の状況)。メモリカード6を抜く場合には、開閉ノブ31を矢印Aの方向にスライドさせる。また、ドライブレコーダ2は、開閉ノブ31に連動した開閉センサ27を有しており、開閉ノブ31がメモリカード6の上部にスライドされている状態(図3の状態)で、閉状態を示すOFF信号を出力し、メモリカード6を抜き出せる状態で、開状態を示すON信号を出力するように構成されている。
図4は、再生装置の外観例を示す図である。
メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等はパーソナルコンピュータ等から構成される再生装置400により再生される。メモリカード6はパーソナルコンピュータに接続されたI/Fに挿入され、映像情報及び運行情報等が読み取られる。ユーザは再生された映像情報及び運行情報等を検証することによって、車両の走行状態又は事故原因の究明等を行うことができる。
図5は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。
第1カメラ3は、車両1の前方を撮影してアナログのビデオ信号を第1映像情報500として出力するよう制御され、例えば二次元イメージセンサとしてCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)から構成される。
第2カメラ4は、2台目のカメラとして車両1に設置され、車両後方や車室内等のカメラ3と異なる方向を撮影してアナログのビデオ信号を第2映像情報501として出力するよう制御される。なお、カメラを1台のみ必要とする場合には第2カメラ4をドライブレコーダ2に接続する必要はない。
加速度センサ5は、車両1に加わる衝撃の大きさを重力加速度として検出する、いわゆるGセンサ(Gravity Accelerative Sensor)で構成される。衝撃を受けるとその重力加速度に基づいた電流を発生する半導体からなり、車両の前後方向及び左右方向の重力加速度の大きさを検出して重力加速度情報502をCPU24へ出力する。
メモリカード6は、ドライブレコーダ2から取り外し可能な記録媒体であり、プログラム可能な不揮発性半導体メモリカードであるSDカード(Secure Digital Memory Card)で構成される。メモリカード6には、映像情報及び運行情報が記録される。また、メモリカード6には、後述する記録条件、メモリカード6の固有のID、メモリカード6を利用する利用者(例えば、タクシー乗務員等)のID又は氏名のデータ等の諸情報が別途記録される。さらに、メモリカード6には、ディップスイッチが設けられており、ディップスイッチの操作によってメモリカード6を書き込み禁止状態にすることができるように構成されている。
なお、本実施の形態では取り外し可能な記憶媒体としてSDカードを用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、取り外し可能な他のメモリカード(例えば、CFカード(Compact Flash Card)又はメモリスティック等)、ハードディスク等を利用することもできる。また、メモリカード6の替わりに、ドライブレコーダ2にハードディスクを内蔵して用いることも可能であり、この場合にはドライブレコーダ2に送信回路を設け無線通信によりハードディスクに記録した映像情報及び運行情報を再生装置400へ送信するよう構成すればよい。
マイクロフォン7は、CPU24と電気的に接続され、車両1の車室内または車外の音声を集音して音声情報503としてCPU24へ送信するよう構成される。音声情報503はCPU24内のアナログ/デジタル変換器でデジタル信号に変換される。なお、道路上の騒音を不必要に集音しないように、マイクロフォンの正面の感度が高い単一指向性マイクロフォンを用いることが好ましい。
撮影スイッチ(撮影SW)8は、ユーザにより操作されることにより、電気的に接続されたCPU24へ信号を送信する。これにより、CPU24は第2RAM15に記憶された映像情報及び運行情報をメモリカード6に記録させるよう制御する。すなわち、撮影SW8の操作は記録条件の成立として作用する。なお、撮影SW8が操作された瞬間の映像情報のみをメモリカード6に記録するようにしてもよい。また、撮影SW8は、後述するように、ドライブレコーダ2の他の機能を利用するための操作手段としても利用される。
GPS(Global Positioning System;全地球測位システム)受信機9は、複数のGPS衛星から衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻データを含む電波信号を受信し、受信した電波の時間差により各衛星との相対的距離差を算出して現在地情報を得る。3個の衛星の電波を捉えれば地球上の平面での位置が判別できる。GPS受信機9は、かかる現在地情報を検出すると、位置情報及び時刻情報からなるGPS情報504をCPU24へ送信する。
車速センサ10は、車両1の車輪軸に設けられたローターの回転を回転パルス信号505として出力し、磁気センサまたは光センサにより構成される。なお、CPU24は車速センサ10から受信するパルス信号から単位時間当たりの車輪回転数を算出することで車両1の速度情報を算出している。
インターフェイス(I/F)11は、ドライブレコーダ2に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部をも構成する。I/F11は、ドライブレコーダ2から送信される映像情報及び運行情報を含む記録情報506を、差し込まれたメモリカード6へ転送し、ドライブレコーダ2に予め記憶されている、諸情報507をCPU24へ転送する。
ビデオスイッチ(以下「ビデオSW」)12は、複数のカメラが設けられる場合に撮影するカメラを切り換えるためのスイッチである。本実施の形態では、第1カメラ3及び第2カメラ4が接続され、CPU24からの選択信号508により一方のカメラが選択されるよう構成されている。選択されたカメラからの映像情報を選択映像情報509として画像処理回路13へ出力する。なお、ビデオSW12に計時機能を持たせ、一定の時間間隔で切り換えを行うように構成してもよい。
画像処理回路13は、第1カメラ3及び第2カメラ4からビデオSW12を介して入力される選択映像情報509をデジタル信号に変換し、画像データ510を作成して出力する。画像処理回路13は、JPEG−IC(Joint Photographic coding Experts Group−Integrated Circuit)から構成され、JPEG形式のデータを作成する。この場合、JPEG−ICはアドレスを指定してデータを出力する機能を有さないため、毎秒30ファイルを第1RAM(Random Access Memory)14へ書込み、1ファイル毎に上書き処理を行う。
第1RAM14は、画像処理回路13によって変換された画像データ510を一時的に記憶する。なお、第1RAM14はCPU24内のDMA(Direct Memory Access)回路と接続されており、入力された映像のうち3枚に1枚、即ち、毎秒10ファイルがDMAの機能により第2RAM15へ転送されて循環的に記憶される。
第2RAM(半導体記憶部)15は、画像処理回路13により画像データに変換された映像情報、及び運行情報を循環的に記憶する。
なお、第1RAM14及び第2RAM15には、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられる。SDRAMはCPUのクロックに同期して動作するよう設計されているため、入出力の待ち時間が短く、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比較してアクセスを高速に行うことができ、大容量の映像データを高速に処理する制御に適しているためである。
不揮発性ROM16は、ドライブレコーダ2を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム17等を記憶する。不揮発性ROM16には、マスクROMを用いてもよいが、プログラム可能な不揮発性半導体メモリであるフラッシュメモリ、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、強誘電体メモリ等を用いればプログラムの書き込みや消去が可能となる。
制御プログラム17は、不揮発性ROM16内に記憶されドライブレコーダ2の起動時にCPU24に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
アクセサリスイッチ(ACCスイッチ)19は、車両1に備えられたエンジン始動用のキーシリンダと電気的に一体に構成されている。ユーザのキー操作によりスイッチがオンとされるとアクセサリオン信号511をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ドライブレコーダ2はACCスイッチ19のアクセサリオン信号511を受信することにより、電源制御回路22から電源が供給され制御を開始する。なお、ACCスイッチ19の出力信号に代わりに、イグニッションキー出力信号(IGオン信号)を利用することも可能である。
電源スイッチ(電源SW)20は、ユーザによりスイッチ操作がなされると、電源オン信号をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ACCスイッチ17をオンさせずにドライブレコーダ2を動作させたい場合に用いることができる。
バッテリ21は、車両1内に備えられ、ドライブレコーダ2の本体に電源を供給する。また、バッテリは、電源制御回路22へ電源を供給する。なお、バッテリ21は車両に装備可能で12Vの起電力を発生できるものであればよい。
電源制御回路22は、バッテリ21からの電源をCPU24及びドライブレコーダ2の各部へ供給する。電源制御回路22の詳細は後述する。
CPU(Central Processing Unit)24は、ドライブレコーダ2の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU24は、制御プログラム17に基づき、ドライブレコーダ2の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
LED25は、CPU24から電源が供給されることによるドライブレコーダ2の起動中は点灯し、ユーザへ起動中であることを報知する。また、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の点滅を行い、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
ブザー26は、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の警告音を発生し、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
開閉センサ27は、メモリカード6の抜き差しに伴う開閉ノブ31の移動に応じて、開信号及び閉信号を出力するように構成されている。
RTC(Real Time Clock)28は、現在時刻に対応した信号を発生し、CPU24へ送信する。
表示部30は、液晶ディスプレイ等から構成され、後述する所定の状況で、メモリカード6に記録された映像情報を再生する。図2では、車両に搭載されたナビゲーション装置のディスプレイを表示部30として用いる場合を示したが、別体のディスプレイを表示部30として利用するようにしても良い。表示部30の利用によって、事故が発生した場合にその場で事故原因を検証することが可能となる。いずれにしても、ドライブレコーダ2は、映像情報を出力するための出力ポートを有していることが好ましい。
なお、ドライブレコーダ2は映像記録専用の装置として第1カメラ3、第2カメラ4、GPS受信機9、及び/又は表示部30等と同一の筐体内に収容して一体的に構成してもよい。また、ドライブレコーダ2は、車載用ナビゲーション装置の一機能として構成することもできる。
図6は、電源制御回路22の電気的構成を示すブロック図である。
電源制御回路22は、第1電源回路40、第2電源回路41、第3電源回路42、第1検出部43、第2検出部44、第3検出部45、及びバックアップバッテリ46等から構成されている。
第1電源回路40は、ACCスイッチ19又は電源スイッチ20がオンすることにより動作を開始し、12.0V定格のバッテリ21から電力の供給を受け、6.0Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第1電源回路40からの出力は、第1カメラ3及び第2カメラ4等へ供給されている。
第2電源回路41は、6.0V定格の第1電源回路40から電力の供給を受け、3.3Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第2電源回路41からの出力は、画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9、CPU24等へ供給されている。
第3電源回路42は、3.3V定格の第2電源回路41から電力の供給を受け、1.8Vの出力を行う定電圧電源として機能する。第3電源回路41からの出力は、CPU24等へ供給されている。
第1検出部43は、バッテリ21の出力電圧を検出し、バッテリ21からの出力電圧が8.0V以下に低下した場合に、第1減電圧信号S1をCPU24へ出力する。また、第2検出部44は、第1電源回路40の出力電圧を検出し、第1電源回路40からの出力電圧が3.7V以下に低下した場合に、第2減電圧信号S2をCPU24へ出力する。さらに、第3検出部45は、第2電源回路41の出力電圧を検出し、第2電源回路41の出力電圧が3.0V以下に低下した場合に、リセット信号S3を、画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9、CPU24へ出力し、低電圧による誤動作防止のために各要素のリセットを行う。
バックアップバッテリ46は、2つのコンデンサから構成され、バッテリ21の出力電圧が、低下した場合でも、所定時間、少なくとも画像処理回路13を構成するJPEG回路、GPS受信機9及びCPU24が駆動できるように電力を供給できるように構成されている。衝突事故等により車両に衝撃が加わると、バッテリ21の破損やバッテリ21と電源制御回路22と接続線の断線が発生する恐れがあるので、バックアップバッテリ46は、蓄電された電源をCPU24等へ供給することで、そのような場合でも処理中の映像情報等を極力保存できるようにしている。減電圧処理については後述する。
図7は、再生装置400の電気的構成を示すブロック図である。
インターフェイス(I/F)411は、再生装置400に設けられたメモリカード6の差込口、いわゆるスロット部を構成する。I/F411は、メモリカード6に記録された、映像情報及び運行情報等を再生装置400側に転送する。
RAM414は、CPU424がメモリカード6から転送された映像情報の画像処理及び運行情報の情報処理等を行う際に一時的にデータを記憶するために利用される。RAM414には、例えばSDRAMが用いられる。
不揮発性ROM416は、再生装置400を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム417等を記憶する。不揮発性ROM16には、例えば、EEPROM、強誘電体メモリ等が用いられる。
制御プログラム417は、不揮発性ROM416内に記憶され、再生装置400の起動時にCPU424に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
CPU424は、再生装置400の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU424は、制御プログラム417に基づき、再生装置400の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
操作部430は、キーボード、マウス等から構成され、ユーザが再生装置400を操作する場合に、CPU424への操作入力を行うための手段として利用する。
表示部440は、液晶表示装置等から構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を適宜表示するために利用される。
地図情報記録部450は、ハードディスク、DVD等の記録媒体によって構成され、道路情報及び制限速度情報等を含んだ地図情報が記録されている。
カード情報記録部460は、ハードディスク等の記録媒体によって構成され、メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等を、記録するために利用される。
図8は、ドライブレコーダ2の全体処理フローを示す図である。
図8に示す処理フローは、主にドライブレコーダ2のCPU24が、制御プログラム17に従って、ドライブレコーダ2の各構成要素と共同して実行する。
ACCスイッチ19のON及び電源スイッチ20のONによって、電源が投入されドライブレコーダ2の動作開始が指示されると、CPU24は、起動処理を行う(S1)。起動処理では、ブートプログラムによる初期化処理及びドライブレコーダ2に関連する各種要素に関する自己診断処理が含まれる。自己診断処理については後述する。
ドライブレコーダ2の起動処理が完了すると、CPU24は、映像情報を循環的に第2RAM15に記憶する(S2)。具体的には、CPU24は、1秒間に10枚の割合で、第1カメラ3及び第2カメラ4によって撮像された静止画データ(640×480ピクセル)を交互に取得し(即ち、カメラ3からの静止画を0.2秒毎、カメラ4からの静止画を0.2秒毎というように交互に取得し)、第1RAM14を介して第2RAM15に循環的に記録する。また、CPU24は、第1カメラ3及び第2カメラ4による静止画データを取得する毎に、運行情報を取得し静止画データに対応づけて第2RAM15に循環的に記録する。なお、上述したCPU24が取得する静止画データの時間間隔や枚数は一例であって、これに限定されるものではない。
次に、CPU24は、後述する記録条件が成立したか否かの判断を行う(S3)。記録条件が成立する場合とは、以下の3つ場合を言う。但し、その内の1つ又は2つであってもよく、また3つ以外の他の条件を定めても良い。
1.G検出:加速度センサ5が、0.40G以上の重力加速度を検出した場合を言う。このような場合を記録条件の成立としたのは、車両1にこのような重力加速度がかかった場合には、事故の発生又は事故の急迫と認識できるからである。なお、上記の設定値(0.40G)は一例であって、他の位を採用することも可能である。詳細については後述する。
2.速度トリガ:車速センサ10から検出した車両1の所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合を言う。具体的には、60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、14km/h以上となった場合に、記録条件が成立したと判断する。このような場合を記録条件の成立としたのは、車両1がこのような速度変化を起こした場合には、事故の発生または事故の急迫と認識できるからである。なお、上記の設定値(60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、14km/h以上)は一例であって、他の値を採用することも可能である。
3.撮影SW:撮影SW8が操作された場合をいう。
次に、CPU24は、記録条件が成立した場合には、記録条件成立前12秒間及び成立後8秒間の合計20秒間の映像情報(1回の記録条件成立毎に200枚分の静止画)及び運行情報を第2RAM15からメモリカード6に転送して記録する(S4)。また、記録条件が成立した場合には、成立した記録条件を示すイベントデータ(上記の3つの内の何れかを示すデータ)を合わせてメモリカード6に記録する。メモリカード6には、少なくとも15イベント分の映像情報等を記録することができる容量を有している。
なお、記録条件が成立した場合には、記録条件成立前12秒及び成立後8秒間の合計20秒間における、マイクロフォン7から取得した音声情報を、映像情報等と供に、更にメモリカード6に記録するように構成しても良い。メモリカード6に記録された映像情報及び運行情報等は、再生装置400にて表示することができるので、ドライブレコーダ2のユーザは、車両1の走行状態及び事故状況を検証することが可能となる。なお、上述したCPU24が、記録条件成立時に、メモリカード6に記録する期間(記録条件成立前12秒及び記録条件成立後8秒)は一例であって、これに限定されるものではない。
運行情報とは、以下の情報を言う。
1.加速度センサ5の各軸で検出した重力加速度情報(G1、G2)。
2.GPS受信機9から検出した車両1の位置情報及び時刻情報。
3.車速センサ10から検出した速度情報。
4.ACCスイッチ19のON/OFF情報。
なお、運行情報の内容は、必ずしも上記の情報に限定されるものではなく、例えばウィンカー等の灯火類の点灯状態やハンドル操舵角のような車両1の運行や走行に関する情報を含めるようにしても良い。
次に、CPU24は、ACCスイッチ19のOFF信号又は電源スイッチ20のOFF信号による終了信号を受信したか否かの判断を行い(S5)、終了信号を受信した場合には、終了処理を行って(S6)、一連の処理を終了する。終了信号を受信していない場合には、S2〜S4を繰り返し実行する。
ドライブレコーダ2の自己診断処理について説明する。
ドライブレコーダ2の自己診断処理は、図8に示す処理フローにおける起動処理(S1)において行われ、対象となるのは、加速度センサ5、画像処理回路13を構成するJPEG−IC、RTC28、及び第1カメラ3及び第2カメラ4の接続状態である。ドライブレコーダ2の自己診断を行うのは、ドライブレコーダ2で記録されたデータが、事故等を検証する上での証拠資料となる可能性があるからである。そのために、ドライブレコーダ2に問題があって適切にデータを記録できない場合や、記録されたデータに問題が生じていないことを事前に確認するためである。
図9は、加速度センサ5の自己診断処理フローを示す図である。
最初に、CPU24は、加速度センサ5の3軸(x軸、y軸及びz軸)の内、予め設定された車両1の前後方向に平行な第1軸の出力G1及び、予め設定された車両1の左右方向に平行な第2軸の出力G2の出力をそれぞれ取得する(S11)。
図10は、ドライブレコーダ2と加速度センサ5との位置関係を示す図である。図10(a)はドライブレコーダ2を立てて車両1に配置した場合を示し(図2参照)、図10(b)をドライブレコーダ2の横にして車両1配置した場合を示し、図10(c)は図10(b)の状態から更に角度θだけドライブレコーダ2を傾けた状態を示した図である。また、図10(a)〜図10(c)では、矢印Bの方向が車両の進行方向を示している。
加速度センサ5は、3つの軸を有しているが、図10(a)のようにドライブレコーダ2を配置した場合には、x軸の出力を第1軸の出力G1と設定し、y軸の出力を第2軸のG2と設定し、z軸の出力は利用しない。また、図10(b)のようにドライブレコーダ2を配置した場合には、z軸の出力を第1軸の出力G1と設定し、x軸の出力を第2軸の出力G2と設定し、y軸の出力は利用しない。このようにドライブレコーダ2は、3軸の出力を有する加速度センサ5を利用しているため、ドライブレコーダ2の配置方向を自由に選択することができる。しかしながら、その為には、どの出力を第1軸及び第2軸の出力とするかを予め設定する必要がある。そのため、ドライブレコーダ2を車両に設置したときに、X、Y、Z軸の内、どの2軸を使用するかを設定しておく。
次に、CPU24は、S11で取得した第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2の何れか一方の出力が、5秒以上1G以上の値を出力しているか否かの判断を行う(S12)。通常の状態であれば、共に0G出力を行うはずであるので、5秒以上1G以上の加速度を検出しているということは加速度センサの素子に何らかの異常が発生していると判断することができる。
次に、CPU24は、ステップ12において、5秒以上1G以上の値を出力していない場合には、加速度センサ5のテストモード端子(ST端子)を切替えて(S13)、電気的に振動が発生したような状況を発生させ、その出力を検出して、出力に変化が生じているか否かの判断を行う(S14)。ST端子を切替えても加速度センサ5の出力が変化しない場合には、正常に動作しない可能性が高いと判断することができる。
次に、CPU24は、S14で出力に変化が生じている場合には、S11で取得した第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2の何れか一方の出力が、5秒以上0.7G以上の値を出力しているか否かの判断を行う(S15)。このような場合には、加速度センサ5自体は正常に動作する可能性があるが、第1軸及び第2軸として設定されている軸が、初期設定と合致していないような状態である可能性、即ち、図10(a)のように配置されていたはずのドライブレコーダ2が、途中から図10(b)のように移動させられた上に、出力軸の設定が行われていない状態である可能性が高いと判断することができる。例えば図10(a)から図10(b)へ移動させられた場合、第2軸として設定したY軸が垂直方向に変更されたことにより、重力で0.7G以上の出力が生じることになる。
次に、CPU24は、S15において、5秒以上0.7G以上の値を出力していない場合には、正常と判断し第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2のオフセット設定、即ち、S11で取得した値を0とするように処理を行って(S16)、一連の処理を終了する。オフセットが生じる原因としては、ドライブレコーダ2が車両1に対して完全に平行に取り付けされていない場合等が考えられる。例えば、図10(b)のように取り付けるはずが、図10(c)に示すように、傾けて取り付けられた場合等が考えられる。本ドライブレコーダ2では、図10(c)に示す傾き角度θが30度程度までオフセット設定を行うことで適切に動作可能なように構成されている。
S12においてS11で取得した第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2の何れか一方の出力が5秒以上1G以上の値を出力している場合、S14において出力に変化が生じない場合、CPU24は加速度センサ5に異常があると判断して、LED25の点灯及びブザー26から警告音を発生してユーザに異常を通知すると共に、LED25及びブザー26以外の動作を停止し、ACCスイッチ19がOFF又は電源スイッチ20がOFFするまで、上記の動作を継続する(S18)。
S15においてS11で取得した第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2の何れか一方の出力が5秒以上0.7G以上の値を出力している場合、CPU24は、ドライブレコーダ2の取付方向変更後の設定未設定であると判断して、LED25の点灯及びブザー26から警告音を発生してユーザに異常を通知する動作を、ACCスイッチ19がOFF又は電源スイッチ20がOFFするまで継続する(S17)。しかしながら、加速度センサ5自体は正常に動作するので、ドライブレコーダ2の動作は継続させる。
次に、画像処理回路13を構成するJPEG−IC、RTC28、及び第1カメラ3及び第2カメラ4の接続状態の自己診断処理について説明する。
画像処理回路13を構成するJPEG−ICについては、16.7ms毎に、CPU24に入力される割り込み信号を常時監視し、500ms間に1度も割り込みが発生しない場合に、CPU24は、画像処理回路13を構成するJPEG−ICに異常が発生したと判断する。異常が発生したと判断した場合には、CPU24は、LED25の点灯及びブザー26から警告音を発生してユーザに異常を通知すると共に、LED25及びブザー26以外の動作を停止し、ACCスイッチ19がOFF又は電源スイッチ20がOFFするまで、上記の動作を継続する。なお、16.7msの割り込み間隔や500msの監視期間は一例であって、これらに限定されるものではない。
RTC28については、CPU24は、RTC28から受信する年、月、日時、秒等を示すステータス・ビットを監視し、規定の範囲外のデータを受信した場合には、異常が発生したと判断する。異常が発生したと判断した場合には、CPU24は、LED25の点灯及びブザー26から警告音を発生してユーザに異常を通知すると共に、CPU24の内部RTCを所定の値(例えば、2001年1月1日、0時0分0秒)にセットする。なお、他のドライブレコーダ2の動作は継続させる。
第1カメラ3及び第2カメラ4の接続状態については、CPU24は、第1RAM14から第2RAM15へ転送する1枚の画像データのサイズが10秒以上連続して6592バイトであった場合に、異常が発生した(ドライブレコーダ2と、第1カメラ3及び第2カメラ4との接続が切断された)と判断する。6592バイトは、本ドライブレコーダに利用するJPEG−ICが作成する画像データで完全に黒画像である時のサイズに相当する。この場合、JPEG−ICはカメラ3、4からの映像入力がない場合に黒画像を出力するように予め設定されている。従って、所定期間(例えば10秒)連続して完全に黒画像を出力している場合には、ドライブレコーダ2と、第1カメラ3及び第2カメラ4との接続が切断されたと判断することができる。CPU24は、LED25の点灯及びブザー26から警告音を発生してユーザに異常を通知すると共に、LED25及びブザー26以外の動作を停止し、ACCスイッチ19がOFF又は電源スイッチ20がOFFするまで、上記の動作を継続する。なお、検出する6592バイトの画像データのサイズや、10秒の監視期間は一例であって、これに限定されるものではない。また、JPEG−ICが映像入力のない場合に、黒以外の色(例えば青)を出力するように構成されている場合、その青色の画像データサイズで異常を検出すれば良い。
前記の第1カメラ3及び第2カメラ4の接続状態の自己診断処理は、ドライブレコーダ2の起動時のみではなく、ドライブレコーダ2が動作している状態で常に判断するようにしても良い。
このように、本発明に係るドライブレコーダ2では、起動時等に自己診断を行って、正常動作を確認するので、記録した映像情報及び運行情報の信憑性を確保することが可能となった。
図11は、G値検出処理フローを示す図である。
CPU24は、図11に示す処理フローにしたがって、加速度センサ5の出力に基づき、G値を決定する。また、CPU24は、後述するように、図11に示す処理フローに従って、決定されたG値に基づいて、前述したG検出に関する記録条件が成立したか否かの判断を行うこととなる。
最初に、CPU24は、予め設定された加速度センサ5の第1軸の出力G1及び第2軸の出力G2を取得する(S20、S21)。
次に、CPU24は、車速センサ10からの車速パルスに基づいて、車両1の現在速度を検出する(S22)。
次に、CPU24は、GPS受信機9からの車両1の現在位置情報に基づいて、車両1が現在走行中の道路が、急カーブに相当するか否かの判断を行う(S23)。CPU24は、ドライブレコーダ2と接続されたナビゲーションシステム(不図示)から、急カーブか否かの情報を取得しても良いし、ドライブレコーダ2自体に地図情報を記憶する記憶部(不図示)を有していて、地図情報と現在位置情報とを比較することによって、急カーブか否かの情報を取得しても良い。
S23において、急カーブでは無いと判断された場合には、S20及びS21で取得した第1軸の出力G1と第2軸の出力G2との絶対値の合成値(G12+G22)0・5をG値とする(S24)。
また、S24において急カーブであると判断された場合には、S22において取得した車速に基づいた補正値αを取得し、補正値αとS20及びS21で取得した第1軸の出力G1と第2軸の出力G2に基づいて、(G12+(|G2|−α)2)0・5をG値とする(S26)。ここで、補正値αは、例えば、車速60km/h未満の場合には0.1、車速60km/h以上の場合には0.2と経験上定めることができる。
急カーブにおいて、補正値αを車両1の左右方向の出力であるG2の絶対値からマイナスするのは、急カーブでは、左右方向の加速度が発生し易く、事故等が発生した訳では無いのに、記録条件が誤って成立してしまう可能性があるからである。なお、出力G2ではプラスを右方向への加速度、マイナスを左方向への加速度として設定している。
なお、GPS受信機9からの現在位置情報に基づいて、車両1が走行中の道路が急カーブであるか否かの判断を行わずに、G値を(G12+(|G2|−α)2)0・5に基づいて決定するようにしても良い。さらに、車速の如何によらず、補正値αを定めるようにしても良い。更に、急カーブの判定は、ステアリング角センサ等の他の手段によって判定しても良い。
上述したG値の検出処理フローにしたがって、G値を決定することによって、カーブにおいて不必要に多くの記録条件が成立し、不必要な映像情報等がメモリカード6に記録されるのを防止することが可能となる。
図12は、加速度センサ5の出力の確認処理を行うためのフローを示す図である。
前述した例では、加速度センサ5の第1軸及び第2軸は予め設定されていると説明したが、CPU24が、予め設定されている2つの軸を独自に再設定するように構成しても良い。図12は、そのための処理フローを示している。
最初に、CPU24は、車両1が停止したか否かの判別を行う(S30)。停止しているか否かは、例えば、図11の処理フローによって求めされたG値が、3秒以上0.1G以下になった場合とすることができる。あるいは、車速センサにより連速が所定速度(例えば2km/h)以下のときに車両が停止したと判定しても良い。
次に、CPU24は、停止直後の加速度センサ5のからの出力の内、第1軸として設定されている出力G1と第2軸として設定されている出力G2を取得し(S31)、車両1の停止後に車両が再度動き出した時の出力が0.2G以上になった軸を、車両1の進行方向(又は前後方向)と平行にある軸と認定する(S32)。
次に、CPU24は、今回の判定において、第2RAM15に車両1の進行方向と平行な軸として認定した軸を履歴情報として記憶する(S33)。
次に、CPU24は、S32で認定された軸以外の軸の出力を第2軸、即ち、車両1の左右方向の出力と認定して(S34)、一連の処理を終了する。
図12に示す処理は、車両1が停止したと判断される毎に繰り返して実行される。所定回数だけ図12に示す処理フローが実行されると、履歴情報が収集されるので、軸の認定に際しては、履歴情報に基づいて行うようにしても良い。CPU24は、図12に示す、軸方向の再設定によって、更に車両1の左右方向の軸出力を明確に特定した後に、図11に示すように、カーブ走行時の誤検出を防止するための、加速度センサ5の第2軸(車両の左右方向)の出力G2の絶対値から所定の補正値αをマイナスするように補正することができる。このような複合処理によって、更にカーブ走行時の誤検出を防止することが可能となる。尚、軸の設定は停止時ではなく発進時に行ってもよい。その場合、S30は車速に基づき例えば5km/h以上になったことを検出して発進したと判断すればよい。またS32では発進と判断された直後に0.2G以上になった軸を車両1の進行方向と平行な軸として決定すればよい。さらに、履歴情報は、ドライブレコーダ2への電源投入時にリセットされ、電源投入毎に繰り返し情報を集めるようにしても良い。
図13は、記録条件成立の1つの基準であるG検出の処理フローを示す図である。
最初にCPU24が、図11の処理フローによって検出されたG値が、一旦第1の閾値(0.1G)以下の値を取った後に、第2の閾値(0.4G)以上の値を取ったか否かの判断を行い(S40)、そのような場合にG検出の記録条件が成立したと判断する(S41)。第1の閾値(0.1G)及び第2の閾値(0.4G)は、G検出のために予め設定されている値である。また、第1の閾値以下に下がった後に、第2の閾値以上の値を取った場合のみを記録条件の成立として判断するのは、連続して第2の閾値以上の値を検出する場合には、加速度センサ5の異常や、車両1が横転してしまった状態など、新たなに記録条件の成立によって映像情報等を記録する必要性に乏しい場合が多いと考えられるからである。
次に、CPU24は、後述するように通常の映像情報の記録(記録条件の成立前12秒及び成立後8秒)が延長されているか否かの判断を行う(S42)。
S42において、延長がなされていない場合には、前回記録条件が成立してからの経過時間を検出し、経過時間に合わせて次の処理を進める(S43)。
S43において、前回記録条件が成立してからの時間が、0秒より大きく、T1秒(例えば4秒)未満の場合には、記録条件の成立による新たな記録も、映像情報の記録時間の延長もしない(S44)。即ち、検出した記録条件の成立を無視する。急ブレーキ後の衝突といった一連のイベントであると考えられ、またあまりに短時間で連続して記録条件が成立した場合に、それぞれについて映像情報等の記録を行ったのでは、重複して映像記録を記録することとなり望ましくないからである。
S43において、前回記録条件が成立してからの時間が、T1秒(例えば4秒)以上、T2秒(例えば8秒)未満の場合には、記録条件を所定時間(例えば、4秒間)延長する(S45)。映像情報を記録中に再度記録条件が成立した場合であって、前回の記録条件の成立後8秒間の後半に、更に記録条件が成立した場合には、その後記録される映像情報が少なくなることから、映像情報等の記録を延長する。これによって、S45の場合の1回の記録は、記録条件の成立の前12秒と後12秒の合計24秒となる。
S43において、前回記録条件が成立してからの時間が、T2秒(例えば8秒)以上の場合には、新たな記録条件の成立として、その記録条件の成立の前12秒及び後8秒の間の映像情報等の記録を行う(S46)。なお、例外的に、ドライブレコーダ2の起動後初めて記録条件が成立した場合も、S46において、その記録条件の成立の前12秒及び後8秒の間の映像情報等の記録を行うものとする。
S42において、既に延長中(S45)であると判断された場合、更に前回の記録条件の成立からの経過時間が考慮される(S47)。
S47において、前回の記録条件の成立からの時間が、T2秒(例えば8秒)以上T3秒(例えば12秒)未満の場合は、再度延長を行わない(S48)。即ち、検出した記録条件の成立を無視する。連続して延長を続けると、1つのイベントに関する映像情報等の記録を長時間に渡って記録し過ぎることになるからである。
S47において、前回の記録条件の成立からの時間が、T3秒(例えば12秒)以上の場合には、新たな記録条件の成立として、その記録条件の成立の前12秒及び後8秒の間の映像情報等の記録を行う(S49)。
図13の処理フローに従って、映像情報等を記録する具体例を図14〜図17を用いて以下に説明する。
図14はG検出による映像情報の記録例(1)を示す図である。図14(a)は図11の処理フローによって求められたG値50のグラフが示されており、図14(b)は第2RAM15に循環的に記録されている映像情報が示されており、図14(c)はメモリカード6に記録される映像情報が示されている。
t0において、初めて一旦第1の閾値以下になった後に第2の閾値以上のG値が検出され、その後、再度第1の閾値以下に下がった後に、t1において、2回目の第2の閾値以上のG値が検出されたものとする。また、t0からt1は、T2秒以上である。
図13のS46に従い、t0における記録条件の成立によって、t0の前12秒及び後8秒間の映像情報52が、メモリカード6に1つのイベント53として記録される。また、t1は前回のt0からT2秒以上後であり、t1の発生時において延長はなされていないので、図13のS46に従い、t1における記録条件の成立によって、t1の前12秒及び後8秒間の映像情報54が、メモリカード6に別のイベント55として記録される。イベント53とイベント55には、図14(b)に示すように、重複する映像情報が含まれることとなる。
図15はG検出による映像情報の記録例(2)を示す図である。図15(a)は図11の処理フローによって求められたG値60のグラフが示されており、図15(b)は第2RAM15に循環的に記録されている映像情報が示されており、図15(c)はメモリカード6に記録される映像情報が示されている。
t0において、初めて一旦第1の閾値以下になった後に第2の閾値以上のG値が検出され、その後、再度第1の閾値以下に下がった後に、t1において、2回目の第2の閾値以上のG値が検出され、その後、再度第1の閾値以下に下がった後に、t2において、3回目の第2の閾値以上のG値が検出されたものとする。また、t0からt1は、T2秒未満であり、t0からt2はT3秒以上である。
図13のS46に従い、t0における記録条件の成立によって、t0の前12秒及び後8秒間の映像情報62が、メモリカード6に1つのイベント64として記録される。また、t1は前回のt0からT2秒未満であり、t1の発生時において延長はなされていないので、図13のS45に従い、t1の記録条件の成立によって、4秒分の映像情報63が、メモリカード6に延長分65として記録される。さらに、t2は、延長中であって、t0からT3秒以上であるので、図13のS49に従い、t2における記録条件の成立によって、t2の前12秒及び後8秒間の映像情報等66が、メモリカード6に別のイベント67として記録される。イベント64とイベント67には、図15(b)に示すように、重複する映像情報が含まれることとなる。
図16はG検出による映像情報の記録例(3)を示す図である。図16(a)は図11の処理フローによって求められたG値70のグラフが示されており、図16(b)は第2RAM15に循環的に記録されている映像情報が示されており、図16(c)はメモリカード6に記録される映像情報が示されている。
t0において、初めて一旦第1の閾値以下になった後に第2の閾値以上のG値が検出され、その後、それぞれ再度第1の閾値以下に下がった後に、t1、t2、t3及びt4において、第2の閾値以上のG値が検出されたものとする。また、t0からt1は、T1秒未満であり、t0からt2はT2秒未満であり、t0からt3はT3秒未満であり、t0からt4はT3秒以上である。
図13のS46に従い、t0における記録条件の成立によって、t0の前12秒及び後8秒間の映像情報72が、メモリカード6に1つのイベント74として記録される。また、t1はT1秒未満であるので、図13のS44に従い、無視される。さらに、t2はt0からT2秒未満であり、t2の発生時において延長はなされていないので、図13のS45に従い、t2の記録条件の成立によって、4秒分の映像情報73が、メモリカード6に延長分75として記録される。さらに、t3は、延長中であって、t0からT3秒未満であるので、図13のS48に従い、無視される。さらに、t4は、延長中であって、t0からT3秒以上であるので、図13のS49に従い、t4における記録条件の成立によって、t4の前12秒及び後8秒間の映像情報76が、メモリカード6に別のイベント77として記録される。イベント74とイベント77には、図16(b)に示すように、重複する映像情報が含まれることとなる。
図17はG検出による映像情報の記録例(4)を示す図である。図17(a)は図11の処理フローによって求められたG値80のグラフが示されており、図17(b)は第2RAM15に循環的に記録されている映像情報が示されており、図17(c)はメモリカード6に記録される映像情報が示されている。
t0において、初めて一旦第1の閾値以下になった後に第2の閾値以上のG値が検出され、その後、再度第1の閾値以下に下がった後、t1において2回目の第2の閾値以上のG値が検出されるが、その後はG値が連続して高い数値を示している。
図13のS46に従い、t0における記録条件の成立によって、t0の前12秒及び後8秒間の映像情報等81が、メモリカード6に1つのイベント82として記録される。また、t1はT1秒未満であるので、図13のS44に従い、無視される。さらに、その後は、第1の閾値以下に下がっていないので、図13のS40に従い、第2閾値以上のG値が検出されても、記録条件の成立とは見なされない。図17の例は、例えば、t0において急ブレーキ操作を行ったが衝突が回避できず、t1において車両1が横転し、その後加速度センサ5が、横転によって高いG値を出力し続けているような状態に相当する。
以上、図13〜図17に基づいて説明したように、所定の閾値以上のG値が検出された場合であっても、連続的に記録条件が成立した場合や、連続的に高いG値が検出された場合等、不必要に映像情報が記録されないように制御されていることから、容量の決まっているメモリカード6を効率良く利用することが可能となった。
ドライブレコーダ2の減電圧処理について図18〜図20を用いて説明する。
減電圧処理とは、車両1が事故等による破損等により、バッテリ21からの出力電圧が低下した場合等に、記録中の映像情報を適切に保護するため等に行う処理である。
図18は、減電圧処理フロー(1)を示す図である。
CPU24は、第1検出部43からの第1減電圧信号S1がHからLになるか否かの監視を常時行っている(S50)。図6において説明したように、第1検出部43は、バッテリ21の出力電圧が8.0V以下に低下すると第1減電圧信号S1をHからLに変更する。
S50において、第1減電圧信号S1がHからLに変化すると、CPU24は、ブザー26から警告音を発生させる(S51)。
次に、CPU24は、現在、記録条件が成立して、映像情報等がメモリカード6へ書き込まれているかの判断を行い(S52)、またS50において第1減電圧が検出された時点が記録条件の成立から所定時間(例えば、8秒)以上経過しているか否かの判断を行う(S53)。
映像情報の書き込み中であり、さらに記録条件の成立から所定時間経過していない場合には、メモリカードへの書き込みを中断し、トリガ発生10秒前からトリガ発生までの映像情報を記録する。その際、記録枚数を減らす。第1減電圧が検出される10秒前から第1減電圧が検出されるまでの映像情報を、1秒間に5枚(通常は1秒間の10枚)に減らして、メモリカード6へバックアップ専用フォルダを作成して書き込みを行う(S54)。第1減電圧が検出されると、その後新たな映像情報を取得することが困難である可能性が高いので、それまでに取得した映像情報をバックアップ専用フォルダに記録して、できるだけそれまでの情報が失われないように制御している。なお、映像情報と供に運行情報もバックアップ専用フォルダへ記録することが好ましい。
S53で、所定時間経過している場合には、特に特別なバックアップ処理は行わない。これは、ほぼ、通常の記録時間(記録条件の成立前12秒及び記録条件の成立後8秒)の映像情報は取得済みであるので、通常通りメモリカード6への記録が可能であると考えられるからである。
その後、CPU24は、第1カメラ3、第2カメラ4、画像処理回路13を構成するJPEG−IC、GPS受信機9への電力供給を遮断する消費電力低減処理を行って、予定するメモリカード6への映像情報6への書き込みのための電力を確保する(S55)。なお、S54におけるバックアップ処理を行うための電力は、バックアップバッテリ46によって、確保されるように構成されている。
次に、CPU24は、バックアップ処理終了後、ウオッチドックタイマを停止して、リブートを行い(S56)、一連の処理を終了する。
図19は、減電圧処理フロー(2)を示す図である。
CPU24は、第2検出部44からの第2減電圧信号S2がHからLになるか否かの監視を常時行っている(S60)。図6において説明したように、第2検出部44は、第1電源回路40の出力電圧(又はバックアップバッテリ46の出力電圧)が3.7V以下に低下すると第2減電圧信号S2をHからLに変更する。
S60において、第2減電圧信号S1がHからLに変化すると、CPU24は、クローズド処理の開始時期の決定を行う(S61)。
図20は、電圧低下状態を示す図である。図20の曲線90は、8.0Vから3.7Vに電圧が低下するまでT4秒間(第1減電圧検出から第2減電圧検出までの時間)、3.7Vから3.0VまでT5秒間(第2減電圧検出からリセット信号出力までの時間)かかった場合を示し、図20の曲線は、8.0Vから3.7Vに電圧が低下するまでT6秒間、3.7Vから3.0VまでT7秒間かかった場合を示している。CPU24等の誤動作を防止するためのリセット信号が3.0Vで第3検出部45から出力されてしまうことから、第2減電圧検出からリセット信号が出力されるまでどのくらい時間があるかが重要となる。図20に示すように、第1減電圧検出から第2減電圧検出までの時間に応じて、第2減電圧検出からリセット信号が出力されるまでの時間の大よその予測を付けることができる。また、クローズ処理には、約500ms必要である。
そこで、8.0Vから3.7Vに電圧が低下するまでの時間が1秒以上の場合には、リセット信号が発生するまでしばらく時間がかかると考えられるため、第2減電圧検出から1秒後にクローズ処理を開始することとし、8.0Vから3.7Vに電圧が低下するまでの時間が1秒未満の場合には、リセット信号が早く発生する可能性が高いため第2減電圧検出直後にクローズ処理を開始するようにした。なお、上記の時間設定は一例であって、それに限定されるものではない。
次に、CPU24は、S61で決定された開始時間にクローズ処理を開始する(S62)。クローズ処理とは、現在オープン中の全てのファイルをクローズするための処理を言い、これにより、メモリカード6への映像情報の記録が終了される。クローズ処理後は、メモリカードへの書き込みを禁止する。なお、クローズ処理が適切に実施されないと、ファイルに記録された映像情報を後で適切に利用することができなくなるので、クローズ処理は、図18に示すバックアップ処理の最中であってもバックアップ処理を中断して実行される。
その後、CPU24は、クローズ処理終了後、ウオッチドックタイマを停止して、リブートを行い(S63)、一連の処理を終了する。
図18〜図20に示した、減電圧処理を適切に行うことによって、事故等によって、バッテリ21が破損したり、ドライブレコーダ2とバッテリ21との接続が遮断されたりした場合でも、できる限り多くの映像情報等をメモリカード6に記録することが可能となる。
図21は、モード切替フローを示す図である。
ドライブレコーダ2は、表示部30と接続するための出力ポートを有しており、事故等が発生した場合、その場でメモリカード6に記録された内容を検証できるように構成されている。即ち、本発明に係るドライブレコーダ2は、メモリカード6に映像情報等を記録する記録モードと、メモリカード6に記録された映像情報を再生する再生モードを有している。図21を用いて、記録モードと再生モードとの切替フローについて説明する。
最初にCPU24は、ドライブレコーダ2の開閉ノブ31が一旦開状態となったことを開閉センサ27によって検出すると(S70)、ドライブレコーダ2の初期化のためのブートプログラムを起動する(S71)。
次に、メモリカード6がI/F11に挿入されていることと、メモリカード6が書き込み禁止に設定されているか否かを判断し(S72)、そうであることを検出した場合、CPU24は不揮発性ROMから再生モード用のプログラムをダウンロードして起動させ、それによって、ドライブレコーダ2を再生モードで動作させる(S73)。なお、メモリカード6が書き込み禁止に設定されている場合には、メモリカード6の接続端子の内の1つのポートが特定の出力となるためI/F11を介してCPU24において、メモリカード6が書き込み禁止に設定されているか否かの判別をできる。
次に、CPU24は、LED25及び/又はブザー26によって、ドライブレコーダ2が再生モードで動作していることを示して(S74)、一連の動作を終了する。
一方、S72において、メモリカード6がI/F11に挿入されているが、メモリカード6が書き込み禁止に設定されていない場合には、CPU24は不揮発性ROMから記録モード用のプログラムをダウンロードして起動させ、それによって、ドライブレコーダ2を記録モードで動作させる(S75)。
即ち、通常はメモリカード6を書き込み可の状態でドライブレコーダ2に挿入し、記録モードに設定して、前述したような、記録条件の成立による映像情報等の記録を行う。しかしながら、事故等によって、その場で記録内容を検証したい場合には、一旦メモリカード6を抜いて、メモリカード6を書き込み禁止に設定してから、再度ドライブレコーダ2に挿入すると、メモリカード6に記録された映像情報を再生することができる再生モードに変更させることができる。なお、ドライブレコーダ2と表示部30とが接続されていない場合や、表示部30が損傷している場合等には、携帯用の表示装置をドライブレコーダ2の出力スロットに接続すれば良い。また、再生モードの設定方法はこれに限るものではない。例えば、電源投入後所定時間内に撮影スイッチ8を所定操作すれば再生モードに移行させ、所定操作されなければ記録モードに移行させる等種々の方法が考えられる。
次に、再生モードにおける映像情報の再生方法について説明する。
図21のS74において、LED25及びブザー26によって、ドライブレコーダ2が再生モードで動作されていることが示された後、ユーザが撮影スイッチ8を押下すると、ブザー26が停止し、最後に記録したイベントの再生が開始される。仮に、この時点で15個のイベントがメモリカード6に記録されていた場合には、最後の15イベント目の再生が開始され、表示部30に記録されている、通常であれば(延長されない場合)20秒間分の映像情報が表示される。表示部30には、映像情報と共に、少なくとも、その映像情報が何番目のイベントであるか、及び記録条件が成立した時刻を表示することが好ましい。
イベントの映像情報を再生中に、再度撮影スイッチ8を押下すると、再生を停止する。また、再生の停止中に再度、撮影スイッチ8を押下すると、停止した箇所の1秒前から再生が再開される。さらに、1つのイベントに関する映像情報の再生が完了後は、その状態を維持し、再度、撮影スイッチ8が押下されると、同じイベントに関する映像情報の再生を再開する。さらに、撮影スイッチ8を長押しすると、次のイベント、即ち、1つ前に記録されたイベントに関する映像情報の再生を開始する。撮影スイッチ8の長押しを続けることによって、メモリカード6に記録されている全てのイベントに関する映像情報を再生することができる。上記は、ドライブレコーダ2に一つしか備えられていない操作手段である撮影スイッチ8を効果的に利用するための工夫であるが、ドライブレコーダ2に他の操作手段を設けることも可能である。
また、CPU24は、再生モードに入った後一定時間(例えば、30秒以上)、撮影スイッチが操作されなかった場合、再度ブート処理(S7)を行って再起動することが好ましい。これにより、再起動後、再生モードのブザー(S)を鳴らすことで再生モード解除をユーザに促すことができる。
図22は、再生順序を示す図である。
図22に示すように、撮影スイッチ8の長押しによって、最後に記録された15イベント目(S80)の再生から、最初に撮影された1イベント目(S85)までの再生を制御することが可能である。なお、1イベント目の再生中に再度、撮影スイッチ8を長押しすると、15イベント目の再生が開始される。
再生装置400におけるメモリカード6の利用について説明する。
図23は、メモリカード6の運用例のフローを示した図である。
最初に、ユーザは、利用するメモリカード6を書き込み可能に設定し、再生装置400のI/F411に挿入してカードの初期化を行う(S1)。カードの初期化では、CPU424によってそれまでにメモリカード6に記録されていたデータ等が削除され、メモリカード6を利用して運行を行う利用者(例えば、タクシー乗務員)のIDが、メモリカード6の所定のアドレスに書き込まれる。
次に、ユーザは、車両1の運行の開始時に(例えば、タクシー乗務員が、日勤勤務(7:45〜17:15)の開始時に)、書き込み可能に設定され、初期化されたメモリカード6を車両1に配置されたドライブレコーダ2のI/F11に挿入して、ドライブレコーダ2を記録モードとして、データ記録を開始する(S2)。前述したように、CPU24は、記録条件が成立した場合には、所定の期間(例えば、20秒間)の映像情報及び運行情報をメモリカード6に記録する。
次に、車両1の運行の終了時に(例えば、タクシー乗務員が、日勤勤務の終了時に)、データ記録を終えたメモリカード6をドライブレコーダ2のI/F11から取り出す。ユーザは、さらに、メモリカード6を再生装置400のI/F411に挿入して、メモリカード6に記録された映像情報、運行情報、メモリカードのID、及び利用者のID等を再生装置400側に読み込ませる(S3)。
再生装置400側では、CPU424により1車両の1運行に対応してメモリカード6に記録された映像情報、運行情報、メモリカードのID、及び利用者のIDを読み込む。再生装置400では、メモリカード毎のデータの解析を個別に行うことも可能であるし、複数の車両の複数の運行に対応したデータを複数のメモリカード6から読み込んだ後に、データの解析をまとめて行うことも可能である。更に、1枚のメモリカード6を、複数の車両に用いたり、複数の運行に兼用したりしても良い。
再生装置400における視野領域の表示について説明する。
ドライブレコーダ2では第1カメラ3及び第2カメラ4が映像情報を取得しているが、実際に運転者が周囲を見回している視野とカメラが有する固有の視野とは異なる。
人の視野とは、人が目の位置を変えずに見渡せる範囲を言い、通常、車両1の静止時の視野は、両眼合わせて左右方向が200度程度、垂直方向が112度程度と言われている。また、車両1の速度が変化すると、近くがぼやけ、遠くだけを見るようになり、その結果運転者の視野が狭くなる。さらに、視野は年齢とともに狭くなる傾向にあるので、高齢の運転者と若年者では視野が異なる。高齢者(例えば60歳以上)の視野は、若年者(例えば、60歳未満)の視野に対してその範囲が狭まると言われている。その例として、視野範囲が20%狭まると考えることができる。図24は、再生装置400で利用される水平方向と垂直方向の視野角と車両1の速度の対応表を示す図である。水平方向と垂直方向の視野角によって規定される領域、即ち運転者が目を動かさずに見ることができる領域を視野領域とする。
そこで、再生装置400では、ドライブレコーダで取得された映像情報を再生する場合に、運転者が実際に見えている視野範囲を特定し、事故等がどのように発生するか等を検証することを可能としている。また、視野範囲を特定することによって、運転者への安全教育を行う上での利用も可能となる。
再生装置400では、CPU424が、制御プログラム417に基づいて、各イベントに関する映像情報を表示部440に表示する際に、運行情報における車速データから車両の速度を検出して、図24に示す対応表(マップとして再生装置400に記録されている)から視野角を求め、画面上に視野範囲を表示できるように構成されている。
なお、再生装置400では、以下の5つの視野範囲再生モードを有しており、操作部430の操作によって、ユーザはその内の1つのモードによって、映像情報を再生することができるように構成されている。
1.固定角度モード:操作部430によって指定された水平方向及び垂直方向の視野角度に対応した視野領域のみを表示する。
2.検出の瞬間の車速モード:記録条件が成立した時点での車速に対応する水平方向及び垂直方向の視野角度に対応した視野領域のみを表示する。
3.再生位置の車速モード:再生される静止画像毎の車速に対応する水平方向及び垂直方向の視野角度に対応した視野領域を順次表示する。
4.固定速度モード:操作部430によって指定された速度に対応する水平方向及び垂直方向の視野角度に対応した視野領域のみを表示する。
5.通常モード:視野領域を表示しない。
また、上記の検出の瞬間の車速モード(2)、再生位置の車速モード(3)及び固定速度モード(4)では、高齢者補正との組み合わせが可能となっている。
図25は、メモリカード6に記録された映像情報を表示するための画面例を示す図である。なお、図25の画面の表示処理及び画面上でのユーザの操作に基づく処理は、CPU424が、制御プログラム417にしたがい、カード情報記憶部460に記憶されているデータに基づいて、表示部440に表示するものである。
図25に示すように、表示部440に表示された画面140には、メモリカード6のID番号データ141、運行情報に含まれる時刻情報142、成立した記録条件を示す種類情報143、位置情報の内の緯度データ144、位置情報の内の経度データ145、及び図11のフローに従って求められたG値146、表示される静止画像が撮影されたときの後述する運転状況情報147、第1カメラ3で撮像した静止画を順次表示する領域148−1、第2カメラ4で撮像した静止画を順次表示する領域148−2、第1カメラ3及び第2カメラ4で撮像した静止画の制御をするための操作ボタン149(巻き戻し、再生、停止、早送り)、表示される静止画像が撮影されたときの車速情報150、選択された視野範囲再生モードの種別を表示する領域151、高齢者補正あり・なしを示す領域152等が表示されている。
また、領域148−1には、視野範囲を示す第1枠153−1及び高齢者補正を行った視野範囲を示す第2枠153−2が表示されている。同様に、領域148−2には、視野範囲を示す第1枠154−1及び高齢者補正を行った視野範囲を示す第2枠154−2が表示されている。なお、図25の例では、領域152に示すように、高齢者補正ありとなっているが、高齢者補正を行わない場合には、第2枠153−2及び154−2は表示されない。なお、第1枠及び第2枠の内外で表示方法を異ならせることによってより視野範囲を明確に表示することができる。
図25の例では、領域151に示すように検出の瞬間の車速モードが選択されているので、記録条件が成立した時点での車速(例えば、40km/h)に対応する、水平方向の視野角(140度)及び垂直方向の視野角(78度)に対応した視野領域が第1の枠153−1として領域148−1内に表示されている(図24参照)。また、記録条件が成立した時点での車速(例えば、40km/h)に対応する、高齢者補正をした場合の水平方向の視野角(112度)及び垂直方向の視野角(63度)に対応した視野領域が第2の枠153−2として領域148−1内に表示されている(図24参照)。また、領域148−2についても同様である。
図25に示す画面140では、ユーザが、操作ボタン149を制御することによって、第1カメラ3で撮像した10秒分の100枚の静止画及び第2カメラ4で撮像した10秒分の100枚の静止画が、表示領域148−1及び148−2に順次切換わりながら表示される。また、同時に、表示された静止画に対応した情報が、表示・入力領域141〜147,150に表示される。なお、図25に示す画面140は一例であって、他の画面構成を選択することができる。
本実施の形態では、図25に示すように、メモリカード6に記録された映像情報に視野範囲を重ねて表示しているので、運転者が実際に視野に入れている領域とそうでない領域を区別しながら、ドライブレコーダで取得された映像情報を検証することが可能となった。また、年齢に応じて視野範囲を修正する場合には、さらに運転者の視野範囲を実際の状況に近づけることが可能となった。
尚、図25では記録条件と映像情報を同じ画面上に表示するようにしたが、必ずしも両者を同じ画面上に表示する必要はなく、例えば記録条件を表示させるための操作ボタンを画像と同じ画面に表示させ、その操作ボタンを操作すると記録条件を別ウィンドとして表示させるようにしてもよい。
図26は運転状況分類処理フローを示す図である。
メモリカード6には、前述したように、所定の記録条件が成立した場合のイベントに関する映像情報等が記録されている。しかしながら、どのような運転がなされて、記録条件が成立したかを分類することは、再生装置400において、記録された映像情報等を検証する場合に重要である。そこで、再生装置400では、記録された映像情報及び運行情報を利用して、図26に示す処理フローに従い、各イベントを自動的に分類する機能を持たせている。
分類を行う運転状況は、「急発進」、「急ブレーキ」、「通常ブレーキ」、「左急ハンドル」及び「右急ハンドル」の5つである。
最初に、CPU424は、所定のイベントを選択し、一方のカメラに関する、記録条件が成立した時点の前後30枚の静止画像のそれぞれに対応するG1値(加速度センサ5における車両1の前後方向に平行な軸の出力)、G2値(加速度センサ5における車両1の左右方向に平行な軸の出力)、及び車速データをサンプルデータとして取得する(S90)。
次に、CPU424は、各サンプル毎に、そのサンプルの前後10点の値に最小二乗法を適用し、各サンプルにおける変化の傾きを算出する(S91)。さらに、記録条件が成立した前後における、各サンプルの傾き波形のピークを特定する(S92)。
次に、CPU424は、後述する予め定められた各運転状況を特定するピークマスタファイルとS92で求められたピークとの関係から、対象とするイベントの運転状況を特定して(S93)、一連の処理を終了する。なお、各イベントについて特定された運転状況は、各イベントに関する映像情報が表示部440に表示する際に表示される(図25の領域147参照)。また、特定された運転状況は各運転状況毎に設定されたアイコンとして画像上の例えば右上隅に画像と重ねて表示される。これにより再生中のイベントの運転状況を適切に把できる。また運転状況の分類でイベントを検索し、絞り込むことができる。これにより、確認したい運転状況のみを抽出し画像を再生することができる。
図27は、サンプル列等を示す図である。縦軸はG1値、横軸は時間を示し、t=0の時点が記録条件が成立した時刻に対応している。
図27には、図26のS90に従って取得された所定のイベントに関するG1値のサンプル列200が示されている。また、波形210は、図26のS91に従って求めた、サンプル列200を構成する各サンプルの傾きを結んだ傾き波形である。さらに、点220は記録条件の成立前における波形210のピークを示し、点230は記録条件の成立後における波形210のピークを示している。
図28は、ピークマスタファイルの一例を示す図である。
図28に示すように、前述した5つの運転状況に対応した、G1値、G2値及び車速に関するピーク値(図26のS92参照)がとりうる範囲、即ち上限及び下限が、記録条件の成立時の前後において規定されており、図26のS92で特定したピーク値が図28の各運転状況のどの上下限内の範囲に入っているかを特定することにより、運転状況を特定する(図26のS93)。なお、図28において、網掛け部分がピークが規定されている部分であって、他の箇所ではピーク値は規定されていない。
例えば、図27の例において、G1値に関する波形210の点220の値が1.5、点230の値が−1.5であったとすると、図28のピークマスタファイルに基づいて、「急ブレーキ」の運転状況であったと判断される。
なお、図28に示すピークマスタファイルに規定される各値は、図29に示す表示部440に表示する編集画面160を利用して修正することができるようにすることが好ましい。なお、図29に示す編集画面160は、急発進に関する条件を修正するためのものである。また図28に示すピークマスタファイルに規定される値は一例であって、他の値を採用することも可能であり、また条件として車速を加味することも可能である。
図30は、急発進の運転状況を示す典型的なパターンを示す図である。
図30(a)はG2値のサンプル列300を示し、図30(b)はG1値のサンプル列301を示し、図30(c)は車速のサンプル列302を示している。いずれの図においても、記録条件の成立時刻をT=0としている。
G1値、G2値及び車速のサンプル列からそれぞれ各サンプルの傾き波形を求め、それらの記録条件成立前後のピーク値に基づいて、運転状況が判断される。図30の場合では、G1値のサンプル列301から各サンプルの傾き波形303を求め、その記録条件の成立前のピーク値304が、−0.2〜−2.0の間にあることから急発進と判断された。
図31は、急ブレーキの運転状況を示す典型的なパターンを示す図である。
図31(a)はG2値のサンプル列310を示し、図31(b)はG1値のサンプル列311を示し、図31(c)は車速のサンプル列312を示している。いずれの図においても、記録条件の成立時刻をT=0としている。
G1値、G2値及び車速のサンプル列からそれぞれ各サンプルの傾き波形を求め、それらの記録条件成立前後のピーク値に基づいて、運転状況が判断される。図31の場合では、G1値のサンプル列311から各サンプルの傾き波形313を求め、その記録条件の成立前のピーク値314が、3.0〜0.5の間であり、その記録条件の成立後のピーク値315が−0.4〜−3.0の間であることから急ブレーキと判断された。
図32は、通常ブレーキの運転状況を示す典型的なパターンを示す図である。
図32(a)はG2値のサンプル列320を示し、図32(b)はG1値のサンプル列321を示し、図32(c)は車速のサンプル列322を示している。いずれの図においても、記録条件の成立時刻をT=0としている。
G1値、G2値及び車速のサンプル列からそれぞれ各サンプルの傾き波形を求め、それらの記録条件成立前後のピーク値に基づいて、運転状況が判断される。図32の場合では、G1値のサンプル列321から各サンプルの傾き波形323を求め、その記録条件の成立前のピーク値324が、0.5〜0.05の間であり、その記録条件の成立後のピーク値325が−0.05〜−0.5の間であることから通常ブレーキと判断された。
図33は、左急ハンドルの運転状況を示す典型的なパターンを示す図である。
図33(a)はG2値のサンプル列330を示し、図33(b)はG1値のサンプル列331を示し、図33(c)は車速のサンプル列332を示している。いずれの図においても、記録条件の成立時刻をT=0としている。
G1値、G2値及び車速のサンプル列からそれぞれ各サンプルの傾き波形を求め、それらの記録条件成立前後のピーク値に基づいて、運転状況が判断される。図33の場合では、G2値のサンプル列330から各サンプルの傾き波形333を求め、その記録条件の成立前のピーク値334が、2.0〜0.1の間であることから左急ハンドルと判断された。
図34は、右急ハンドルの運転状況を示す典型的なパターンを示す図である。
図34(a)はG2値のサンプル列340を示し、図34(b)はG1値のサンプル列341を示し、図33(c)は車速のサンプル列342を示している。いずれの図においても、記録条件の成立時刻をT=0としている。
G1値、G2値及び車速のサンプル列からそれぞれ各サンプルの傾き波形を求め、それらの記録条件成立前後のピーク値に基づいて、運転状況が判断される。図34の場合では、G2値のサンプル列340から各サンプルの傾き波形343を求め、その記録条件の成立前のピーク値344が、−0.1〜−2.0の間であることから右急ハンドルと判断された。
上述したように、各イベントに関して、映像情報等が記録された場合の運転状況を分類することが可能となるので、再生装置400において、より定量的に、データの検証を行うことが可能となった。