JP2009088394A - 構造体、電極体、およびそれらの製造方法 - Google Patents

構造体、電極体、およびそれらの製造方法 Download PDF

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琢磨 浅利
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泰宏 橋本
Hironori Kumagai
裕典 熊谷
Toshiya Yokogawa
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Abstract

【課題】基板と基板上に配置された複数の微粒子とからなる構造体であって、微粒子の粒子径の増大と微粒子の配置の高密度化とを同時に実現できる構造体を提供する。
【解決手段】本発明の構造体は、基板と、前記基板上に各々が間隔を隔てて面接続されている複数の微粒子とを備え、前記微粒子は、核粒子と前記核粒子の表面を覆う被覆層金属材料で形成されている被覆層とからなり、前記核粒子の表面は、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギーデバイスに有用な構造体、カーボンナノチューブを備える電極体、それらの製造方法、及び電気二重層キャパシタに関する。
エネルギーデバイスは、エネルギー蓄積デバイスとエネルギー発電デバイスに大きく分けることができる。エネルギー蓄積デバイスとして代表的なものに、電気化学キャパシタ、及び電池があり、それぞれの特徴を生かした市場において使用されている。電気化学キャパシタとしては、活性炭を分極性電極として用い、活性炭細孔表面と電解液との界面に形成される電気二重層のみを利用した電気二重層キャパシタや、硝酸ルテニウムなど連続的に価数が変化する遷移金属酸化物やドーピング可能な導電性高分子を用いたレドックスキャパシタなどが挙げられる。電池は、活物質のインターカレーションや化学反応を利用し充放電が可能な二次電池と、基本的に1度放電してしまえば再充電不可能な一次電池に大別される。
このような種々のエネルギー蓄積デバイス全てに共通する最も基本的な構造は、その原理上エネルギーを放出可能な電極活物質であるが、電極活物質に蓄積されたエネルギーを外部に取り出すためには、電子伝導性を持ち、電極活物質と電気的に接続された集電体(導電体)がさらに必要となる。集電体は、電極活物質のエネルギーを高効率で伝播する必要があるため、一般的にアルミニウム、銅、ステンレスなど抵抗の低い金属材料が用いられるが、硫酸水溶液など金属腐食性を持つ電解液を使用する場合には、導電性を付与したゴム系材料などが用いられる場合がある。
エネルギー蓄積デバイスの用途が大きく広がるに従い、より低抵抗で、大電流の放電が可能な優れた特性を持つものが要求されてきている。従来、電気二重層キャパシタ(EDLC)においては、大比表面積を有する活性炭を電極活物質として用いるものが主であった。しかし、活性炭は一般的に電気伝導度が小さく、活性炭のみでは分極性電極の内部抵抗が大きくなって、大電流を取り出せないという問題があった。
近年、基板上にカーボンナノチューブを垂直配向させる技術が見出され、これを電極体に用いたEDLCが研究されるようになった。ここで、基板上のカーボンナノチューブの密度や直径は、上手く合成すると、カーボンナノチューブ合成の核となる触媒の密度や直径にほぼ一致するということがわかってきた。すなわち、垂直配向したカーボンナノチューブを用いたEDLCのエネルギー密度を高めるには、基板上の触媒の面積密度を高める必要があるということになる。触媒にはFe、Ni、Coなどの特定の金属を含むものが知られている。
一方、ナノメートルオーダーの金属や誘電体、あるいは半導体の微粒子の物理化学的特性は、微粒子の径や間隔に大きく依存する。これらの応用において最も重要な技術は粒子と粒子の間隔とその表面密度であるが、従来技術ではこれらを制御することが困難であった。
基板上に金属微粒子を形成する場合、形成方法は大きく分けて加熱凝集法と塗布法とに分けられる。加熱凝集法とは、基板上に触媒物質を含む薄い膜を形成した後にこれを加熱して凝集させる方法(例えば非特許文献1を参照)であり、非常に径の小さな微粒子を形成することに適している。また、膜形成においてさらに数ナノメートル程度の金属を蒸着するだけでも、自然と金属の島状薄膜が形成されることが知られている。塗布法とは、金属を内包する逆ミセル(例えば非特許文献2を参照)、コロイド(例えば非特許文献3を参照)、金属内包たんぱく質(例えば特許文献1を参照)等をスピンコートやディップコート法により基板上に1層程度形成して、加熱により金属以外の物質を蒸発させて金属だけを基板上に残すという方法である。この方法は、共通して溶液処理を用いるために、大面積化に対する大きな課題を有している。
また別の方法として、酸化物微粒子を基板上に塗布して、その上に金属層を蒸着法などにより形成して、金属層で覆われた酸化物微粒子を得る方法(たとえば特許文献2)があるが、これも酸化物微粒子塗布工程に溶液処理を用いるために、大面積化に対する大きな課題を有している。さらに、原子間力顕微鏡などを用いて基板に微粒子を形成する方法などもあるが、膨大なコストと低いスループットという大きな問題がある。
すなわち、製品の製造まで考えると、ドライプロセスである加熱凝集法が有効と考えられる。
アイトリプルイー トランザクションズ オン マグネティクス 第36巻 3021ページ (2000年) : IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, 36、p.3021(2000) アイトリプルイー トランザクションズ オン マグネティクス 第43巻 3799ページ (2006年) : IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, 42, p.3799 (2006) サイエンス 第287巻 1989ぺージ (2000年):Science 287, p.1989 (2000) 特開2001-181842号公報 特開2006-224296号公報
しかしながら、基板上に薄い膜を形成したのちに加熱凝集させる方法では、直径1〜2nm程度の小径粒子の場合は表面密度が2〜3×1012個/cm程度のものまでは得られているが、直径を大きくするために触媒物質膜厚を増加させるか、追加蒸着をして加熱凝集した場合には、微粒子どうしがくっ付き合って密度が低くなってしまう(直径が10nm程度、表面密度が3×1011個/cm程度)という、直径と密度のトレードオフの課題があった。一般に熱凝集による微粒子の間隔を微粒子の直径程度もしくはそれ以下にすることは困難である。
本発明は、上記問題を解決するもので、基板と基板上に配置された複数の微粒子とからなる構造体であって、微粒子の粒子径の増大と微粒子の配置の高密度化とを同時に実現できる構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。また、基板と基板上に配置された複数のカーボンナノチューブとからなる電極体であって、カーボンナノチューブの内径の増大と配置の高密度化を同時に実現できる電極体およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、前記電極体を用いた電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明者らは、金属微粒子の間隔を保ちながらその粒子径を大きくできないのは、凝集プロセスの際に、金属微粒子が基板表面を液滴として移動することによるものであると考えた。そして鋭意研究した結果、基板表面に金属核粒子を形成させ、その表面を酸化または窒化させた後、金属核粒子の表面を構成する酸化物または窒化物の融点より低い温度で金属膜を凝集させ金属核粒子の表面を覆い微粒子を形成することにより、表面が酸化または窒化された金属核粒子はその後の工程において基板表面を移動しなくなるので金属核粒子より大きな微粒子を得ながら、微粒子密度は金属核粒子密度と変わらない構造体が得られることをを見出し本発明に至った。ここにおいて、凝集プロセスでは微粒子は球状ではなく、基板との面接続する半球のような形状となる。
すなわち、本発明は、基板と、前記基板上に各々が間隔を隔てて面接続されている複数の微粒子とを備え、前記微粒子は、核粒子と前記核粒子の表面を覆う被覆層金属材料で形成されている被覆層とからなり、前記核粒子の表面は、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる、構造体である。好ましくは、前記微粒子の粒子径は0.4nm〜20nmである。好ましくは、前記核粒子表面金属材料は、金属単体、酸化金属、窒化金属、またはこれらの組み合わせである。好ましくは、前記被覆層金属材料は、鉄、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、イットリウム、ロジウム、パラジウム、これらの組み合わせからなる合金、またはこれらの組み合わせである。
上記構造体の一形態において、前記基板を導電性基板とすることができ、導電性基板として、シリコン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、炭素、またはこれらの組み合わせからなる材料で形成されるものが例示される。
また、本発明は、上記構造体と、前記基板上に立設された複数のカーボンナノチューブとからなる電極体である。
また、本発明は、上記電極体を一対備え、前記一対の電極体が、前記カーボンナノチューブが非接触で対向するように設けられている、電気二重層キャパシタである。
また、本発明は、基板上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、第1の金属膜を加熱凝集処理し複数の核粒子を形成する核粒子形成工程と、前記基板上に被覆層金属材料からなる第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、第2の金属膜を加熱凝集処理し前記核粒子の表面を覆う被覆層を形成する被覆層形成工程と、を有し、前記核粒子の表面が、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる、構造体の製造方法である。一形態において、前記核粒子形成工程は、前記加熱凝集処理の後に行う酸化処理または窒化処理を含む。
また、本発明は、基板上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、第1の金属膜を加熱凝集処理し複数の核粒子を形成する核粒子形成工程と、前記基板上に被覆層金属材料からなる第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、第2の金属膜を加熱凝集処理し前記核粒子の表面を覆う被覆層を形成する被覆層形成工程と、前記微粒子を介して複数のカーボンナノチューブを合成する合成工程と、を有し、前記核粒子の表面が、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる、電極体の製造方法である。
本発明によると、基板上に複数の微粒子を配置した構造体において、微粒子の粒子径の増大と微粒子の配置の高密度化とを両立させることができる。したがって、かかる微粒子を触媒として用いた場合、触媒粒子の表面積を増大させることができ、触媒機能の増大効果が得られる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.構造体
(実施形態1)
1)構造体の構成
実施形態1は、本発明に係る構造体である。図1は、実施形態1の構造体を概念的に示す模式図である。構造体10は、基板11と、基板11上に設けられた複数の微粒子15とからなる。微粒子15は、核粒子14とその表面を覆う被覆層16とからなる。微粒子15は、基板11上に面接続し、その形状は半球状である。微粒子15の形状は半球状に限定されない。核粒子14の少なくとも表面は核粒子表面金属材料からなり、被覆層16は被覆層金属材料からなる。核粒子表面金属材料の融点は被覆層金属材料の融点より高いものとする。この条件を満たす限り、核粒子表面金属材料および被覆層金属材料は限定されない。なお、本明細書において金属材料とは、金属元素を含む複数種の元素からなる化合物および金属単体を含む。
核粒子表面金属材料として、例えば、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、これらの組み合わせが挙げられる。核粒子表面金属材料が金属酸化物、金属窒化物である場合は、酸化前または窒化前の金属単体からなる微粒子を形成し、その後少なくともその表面を酸化または窒化させることにより、核粒子14の少なくとも表面が金属酸化物または金属窒化物からなるように形成することができる。なお、核粒子14は全体が酸化または窒化され全体が金属酸化物または金属窒化物からなるものであってもよい。核粒子表面材料が金属単体である場合、かかる材料を用いて核粒子14を形成することができる。この場合、核粒子14全体が同一の材料からなる。核粒子表面金属材料が金属単体である場合、高融点である白金、クロム、ロジウム、ジルコニウム等が例示される。
被覆層金属材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、イットリウム、ロジウム、パラジウム、これらの組み合わせからなる合金、これらの組み合わせが挙げられる。
核粒子14は、被覆層16の形成工程における温度下において溶融しないものとすることにより、被覆層16の形成工程において核粒子14が基板11上を移動せず、核粒子14と同じ配置密度で微粒子15を配置することができる。なお、核粒子14の溶融温度は、通常、核粒子14を構成している金属材料の融点より低くなり明確な温度の特定は困難である。また、また被覆層16の形成温度についても、通常、被覆層16を構成している金属材料の融点より低くなる。以上の事情があるものの、核粒子表面金属材料の融点が被覆層金属材料の融点より高いことにより、被覆層16の形成工程において核粒子15が溶融し基板11上を移動することを防ぐことができると考えられる。
微粒子15の粒子径は限定されることはないが、微粒子15の量子効果を利用する場合や、水素貯蔵の触媒・カーボンナノチューブなどの合成核としての触媒に用いる場合は、粒子径は0.4nm〜20nmの範囲が好ましい。本明細書でいう粒子径とは、微粒子15の直径をいう。複数の微粒子15の配置は、均一であることが好ましく、最近接する微粒子15同士の最近接点間隔は、好ましくは粒子径より短いものとする。例えば、微粒子15aの粒子径はAで表され、微粒子15aに最近接する微粒子が微粒子15bである場合、最近接点間隔はBで表される。
基板11は特に限定されないが、電極体を構成する場合には導電性基板を用いることが好ましい。導電性基板としては、例えば、シリコン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、炭素、またはこれらの組み合わせからなる材料で形成される基板が例示される。
2)構造体の製造方法
次に、上述の構造体10を製造する方法を説明する。図2は、実施形態1の構造体の一製造方法を模式的に示す断面図である。まず、図2(a)に示すように、基板11を用意する。そして、図2(b)に示すように、基板11の表面に蒸着法あるいはスパッタ法を用いて第1の金属膜22を設ける。次に、図2(c)に示すように、金属膜22を加熱凝集させて複数の金属微粒子23を形成する。このとき、金属膜22が凝集して形成された金属微粒子23は表面張力により半球状の形状をしている。
その後、図2(d)に示すように、金属微粒子23が形成された基板11を加熱炉に入れて、酸化性ガスとともに加熱を行い、金属微粒子23の少なくとも表面を酸化させて核粒子14を形成する。あるいは窒化性ガスとともに加熱を行い金属微粒子23の少なくとも表面を窒化させて、核粒子14を形成する。
次に、図2(e)に示すように、核粒子14の表面を覆うように蒸着法あるいはスパッタ法を用いて被覆層金属材料からなる第2の金属膜25を設け、図2(f)に示すように金属膜25を加熱凝集させて核粒子14を覆う被覆層16を形成する。
以上の工程において、核粒子14の表面を覆う金属酸化物または金属窒化物の融点が被覆層金属材料の融点よりも高くなるように各材料を選択することで、図2(f)に示す工程において核粒子14が基板11上を移動しないようにすることができ、図2(d)における核粒子14の配置密度と、図2(f)における微粒子15の配置密度とが等しいものになる。尚、図2(d)における核粒子14より、図2(f)における微粒子15は被覆層16の厚み分粒子径が大きくなるので、配置密度を維持しながら、基板11の表面積あたりの微粒子15の表面積は増加することになる。本実施形態においては、微粒子15の粒子径よりも短い最近接点間隔で微粒子15が配置された構造体10を得ることができる。
図2に示す方法においては、金属微粒子23を形成した後これを酸化処理または窒化処理することにより核粒子24を形成しているが、第1の金属膜22を核粒子表面金属材料で形成しこれを加熱凝集させることにより、酸化処理または窒化処理の工程を経ることなく、核粒子表面金属材料からなる核粒子14を形成することができる。また、図2(e)においては、核粒子14を完全に覆うように第2の金属膜25を形成したが、核粒子14の一部が露出していてもよい。さらに、図2(f)において、被覆層16は核粒子14の表面を完全に覆うものでなくてもよい。
以下、図2に示す構造体と同程度の粒子径を有する複数の微粒子を基板上に設けた構造体を製造する、従来の方法を比較形態1a、比較形態1bとして説明する。
(比較形態1a)
図6は、比較形態1aにおける構造体の製造方法を模式的に示す断面図である。図6に示す比較形態1aにおいては、微粒子の粒子径を同じにするために金属膜の厚さを薄くしている。まず、図6(a)に示すように、複数の微粒子を設けるための基板61を用意する。次に、図6(b)に示すように、基板61の表面に蒸着法あるいはスパッタ法を用いて金属膜62を形成する。金属膜62の厚さが厚い程、大きな粒子径の微粒子が得られる。そして、図6(c)に示すように、金属膜62を加熱凝集させて複数の金属微粒子63を形成する。この方法によると、金属膜62の膜厚を制御することにより図2に示す微粒子15と同程度の粒子径の金属微粒子63が得られるが、図2に示す方法よりも微粒子63間の間隔が大きく、微粒子63の配置密度が小さくなる。本比較形態においては、微粒子63の粒子径よりも短い最近接点間隔で微粒子63が配列された構造体を得ることは困難である。
(比較形態1b)
図7は、比較形態1bにおける構造体の製造方法を模式的に示す断面図である。図7に示す比較形態1bにおいては、微粒子の粒子径を大きくするために追加蒸着をして再加熱凝集を行っている。まず、図7(a)に示すように基板71を用意し、図7(b)に示すように基板71の表面に蒸着法あるいはスパッタ法を用いて図2に示す方法と同様に第1の金属膜72を設ける。次に、図7(c)に示すように金属膜72を加熱凝集させて複数の金属微粒子73を形成する。さらに、図7(d)に示すように金属微粒子73の表面を覆うように蒸着法あるいはスパッタ法を用いて第1の金属膜72を形成する金属材料と融点が近い金属材料を用いて第2の金属膜75を形成し、図7(e)に示すように金属膜75を再び加熱凝集させて金属微粒子76を形成する。この場合、金属膜72と金属膜75の厚さを調整することで、図2の方法と同程度の粒子径の金属微粒子76が得ることが出来るが、金属微粒子76の間隔は図2に示す方法で製造した場合よりも大きくなる。これは、金属層75の加熱凝集時に金属微粒子73も溶融し基板71上を移動し、いくつかの粒子は合体して、粒子径が大きくなった微粒子76として安定な位置に固定されるためであると解される。
2.電極体
(実施形態2)
1)電極体の構成
実施形態2は、本発明にかかる電極体である。図3は、実施形態2の電極体を概念的に示す模式図である。電極体30は、構造体10の微粒子15を介して基板11上に複数のカーボンナノチューブ17が立設されている構成である。構造体10の構成は、図1の示す実施形態1の構造体と同様なので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。電極体30において、微粒子15の被覆層16はカーボンナノチューブ17の合成における触媒として機能する。したがって、カーボンナノチューブ17は、微粒子15を介して基板11上に形成され、構造体10における微粒子15の配置密度と、カーボンナノチューブ17の配置密度がほぼ一致することになる。したがって、構造体10における微粒子15の配置密度を高くすることにより、カーボンナノチューブ17の配置密度を高くすることができる。また、微粒子15の粒子径とほぼ同一の内径のカーボンナノチューブ17を形成するこができる。実施形態1の構造体10においては、微粒子15の粒子径を大きくしつつ、微粒子の配置密度を高いものとすることができるので、カーボンナノチューブ17について、内径が大きく、かつ高い配置密度で立設することが可能となる。
電極体30を構成するに際し、基板11としては好ましくは導電性基板を用いる。例えば、シリコン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、炭素、またはこれらの組み合わせからなる材料で形成される基板が例示される。また微粒子15の被覆層16はカーボンナノチューブを合成する触媒として機能する材料を用いて形成する。このような材料として、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、イットリウム、ロジウム、パラジウム、これらの組み合わせからなる合金、これらの組み合わせが挙げられる。
電極体30において、カーボンナノチューブ17は、単層すなわち単一のチューブであってもよいし、多層すなわち同心状の複数の異径チューブからなるものであってもよい。カーボンナノチューブ17は、その一端は基板11の表面に接続されており、他端や側面は基板11から実質的に遊離するように立設されていることが好ましい。1本のカーボンナノチューブにより形成される表面積を最大とすることができるからである。カーボンナノチューブ17の直径は限定されることはなく、例えば0.1nm〜10μmの範囲の値を取りうるが、カーボンナノチューブ上部が開口しているときに、イオン半径0.074nmのリチウムイオンや、イオン半径約0.5nm程度の電解質溶媒和がその内部に進入することを考えると、内径は0.4nm〜20nmの範囲が好ましい。本実施形態においては、このような内径を有するカーボンナノチューブ17を高密度で配置することができる。カーボンナノチューブ17の長さは特に限定されないが、重量当たりのエネルギー密度を増大させる点から、長い方が望ましい。図3においては、微粒子15がそのまま基板11上に配設されている電極体30が示されているが、微粒子15の位置は限定されることなく、例えばカーボンナノチューブ17の合成工程において、カーボンナノチューブ17の基板11側とは異なる側の一端に移動したものであってもよい。
実施形態2に係る電極体は、電気二重層キャパシタ、電気化学キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン二次電池、有機電池等を含むエネルギー蓄積デバイス全般において適用可能である。電気二重層キャパシタまたは電気化学キャパシタでは、本発明に係るカーボンナノチューブ構造体を、正極・負極の電極体として用いることができる。リチウムイオン二次電池では、従来、正極としてコバルト酸リチウム等のリチウム酸化金属、シリコン化合物、またはリチウム金属等が担持された電極体が用いられ、負極としてグラファイト等が担持された電極体が用いられている構成があるが、本発明にかかる構造体は負極の電極体として用いることができる。リチウムイオンキャパシタでは、正極として活性炭が担持された電極体、負極としてグラファイトが担持された電極体を用いることが提案されているが、本発明に係るカーボンナノチューブ構造体は正極・負極の電極体として用いることができる。
実施形態2の電極体30は、基板11に金属触媒を介してカーボンナノチューブ17が形成されているので、導電性接着剤等で接合された電極体と比べて内部抵抗が低いことが特徴である。
2)電極体の製造方法
次に、上述の電極体30を形成する方法を、図4を用いて説明する。まず、図4(a)に示すように、実施形態1の製造方法(図2(a)〜(d))と同様にして、基板11の表面に核粒子14を形成する。次に、図4(b)に示すように核粒子14の表面を覆うように蒸着法あるいはスパッタ法を用いて被覆層金属材料からなる第2の金属膜25を設け、金属膜25を再び加熱凝集させて、被覆層16を形成する。そして被覆層16を触媒として、図4(d)に示すように炭素系ガスを用いた気相化学蒸着法によりカーボンナノチューブ17を合成する。
カーボンナノチューブ17を合成する方法としては、気相化学蒸着(CVD)法のほか、レーザーアブレーション法、アーク放電法、溶液中電解合成法などがあるが、基板11上に直接垂直に合成する本実施形態においてはCVD法を採用する。CVD法の主な種類として、原料ガスを熱分解する熱CVD法、および原料ガスをプラズマで分解するプラズマCVD法の2種類がある。カーボンナノチューブはプラズマCVD法により600℃〜750℃の温度、200〜200000Paの圧力で合成することが出来る。チャンバー内に炭素源としてメタン、エタン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素系ガスまたはメタノールなどのアルコールを供給して、プラズマで分解した炭素源を基板11上に堆積させることによりカーボンナノチューブ17を合成する。カーボンナノチューブ17の内径や密度は上述のように触媒である被覆層16の直径と密度で制御し、長さは目的とするカーボンナノチューブの長さに応じて合成時間により制御する。なお、成長温度、ガス圧力などは用いる炭素源の種類により成長速度に差があるために一概には言えないが、合成速度は0.1ミクロン/分〜100ミクロン/分をとりうる。
3.電気二重層キャパシタ
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係る電気二重層キャパシタを模式的に示す垂直断面図である。本実施形態の電気二重層キャパシタはコイン型のものである。電気二重層キャパシタ50は、分極性電極である正極52と負極53とを備え、正極52および負極53は、実施形態2の電極体30と同様の構成である。すなわち、それぞれ導電性基板52a(11),53a(11)と、カーボンナノチューブ層52b(17),53b(17)とからなる。電気二重層キャパシタ50は、ケース51と蓋55とが対向して配置され、ケース51の上面に固定されている正極52と、蓋55の下面に固定されている負極53とが、互いのカーボンナノチューブ層52b,53bがセパレータ54を介して対向するように配置されている。ケース51と蓋55とは、ガスケット57を用いてかしめ封口されている。ケース51と蓋55とによって形成される空間は、電解液56で満たされている。
セパレータ54は、エネルギーデバイスの種類には原理的に依存しないが、特にリフロー対応が必要とされる場合には、耐熱性が要求される。耐熱性が必要な場合にはセルロース系のものを、耐熱性が要求されない場合にはポリプロピレン等を、用いることができる。
電解液56は、エネルギーデバイスの種類によって異なる材料を選ぶ必要がある。溶媒としては、使用電圧範囲によって電気化学的分解が起こらないよう、適切な電位窓を持ったものを選択する。一般的なプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ヘキサン、純水、エチレン、エチレングリコール、あるいはそれらの混合溶媒を用いることができるが、リフロー対応が必要となる場合には、リフロー時に電解液が沸騰しないよう、スルフォランなどの高沸点溶媒を用いる。
電解液56の電解質としては、様々な公知の材料、例えば電気二重層キャパシタ用途としてはテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、リチウムイオン二次電池用途としてはリチウムペンタフルオロフォスフェート等を用いることができる。これらイオン性電解質のイオン直径に対応する大きさの直径を有するカーボンナノチューブを合成することにより、単位重量あたりのエネルギー密度が最大に近くなるエネルギー蓄積デバイスを作製することが可能になる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。
1.構造体
1−1.構造体の作製
(実施例1a)
実施例1は、実施形態1に係る構造体10である。実施例1の構造体10における核粒子14は、その表面が金属酸化物からなる。図2を参照しながら、実施例1の構造体10の作製工程を説明する。まず、基板11上に金属膜を形成する。基板11として、厚さ0.35mmのSi基板を用い、電子ビーム(EB)蒸着装置を用い、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.02nmとなるように室温で基板11上にアルミニウム(Al)を供給し、Alからなる第1の金属膜22を形成する。
次にこれを真空加熱炉に入れて、真空中で400℃で3分間加熱する。この工程によりAlが凝集して1.5nm径のAl微粒子23が7nm間隔(中心間隔)で形成される。このAl微粒子23は基板11上に面接続している半球状の形状である。
次に、温度を200℃に下げ、酸素ガスを50cc/分の流量で基板11上に30分間供給する。このときの真空度は1Paである。この工程により、基板11上のAl微粒子23は、形状はそのままで少なくとも表面が酸化されAl23である核粒子14となる。
続いて、再びEB蒸着装置に上記基板11を装填する。基板11の温度は室温とし、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.18nmとなるように基板11上に鉄(Fe)を供給し、Feからなる第2の金属膜25を形成する。更に真空中で400℃とし3分間加熱する。この工程によりFeが凝集して4nm径で中心間隔が7nmの表面がFe層16に覆われた微粒子15が形成される。この微粒子15も全体が基板11上に面接続している半球状の形状である。
ここで、Feの融点が1535℃であるのに対して、核粒子14の表面を形成するAlの融点は2020℃であり十分に高い。上記はバルクの値であり、凝集化の温度はこれらの温度よりも低く、超薄膜、超微粒子状態での融点はどの程度になるかは十分把握できていないが、温度の上下関係は保たれ、第2の金属膜25の凝集化処理温度において核粒子14は溶融しないものであると解される。これにより、金属膜25の凝集処理温度400℃においてAlで表面が覆われている核粒子14は基板11上を動かないと考えられる。このために、微粒子15同士がくっ付いて一体化することがなく、微粒子15において核粒子14の中心間隔(表面密度)はそのままで、核粒子14より被覆層16の厚さ分粒子径の大きな微粒子15が得られる。
なお、Al微粒子23の酸化処理において、上述の酸素ガスの変わりに、H2O、HO2 又はCO2が混入した酸化性ガスを使っても良い。この場合でも同様にAl微粒子23の少なくとも表面を酸化させAl23とすることができる。
また、本実施例では、酸化性ガスを加熱状態の基板11表面に供給して酸化を行なっているが、このほか放電現象や光励起を用いた方法で酸化を促進させる方法でも同様に金属微粒子23表面を酸化させることができる。
また、金属微粒子23の金属材料としてアルミニウムを用いたが、その酸化物の融点が、表面を覆う被覆層16の原料である金属材料の融点よりも大きな金属材料であれば使用することができる。具体的には、In、Ni、Co、Y、Ti、Zr、Crは、その酸化物が1800℃以上の融点を有するので、本実施例の被覆層16を形成するFeに対しては特に有効と考えられる。
(実施例1b)
実施例1bは、実施形態1に係る構造体10である。実施例1bの構造体10における核粒子14は、その表面が金属窒化物からなる。図2を参照しながら、実施例1bの構造体10の作製工程を説明する。実施例1aと同様に、基板11上にクリスタル振動子型膜厚計の指示が0.02nmとなるように室温でアルミニウム(Al)を供給し、Alからなる第1の金属膜22を形成する。次にこれを真空加熱炉に入れて、真空中加熱して1.5nm径のAl微粒子23を形成する。このときの微粒子の中心間隔は7nmになっている。
次に、温度を200℃に下げ、アンモニアガスを高周波放電させて50cc/分の流量で基板21上に30分間供給する。このときの真空度は1Paである。この工程により、基板上のAl微粒子23は、形状はそのままで少なくとも表面が窒化されAlNである核粒子14となる。
続いて、再びEB蒸着装置に上記基板11を装填し、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.18nmとなるように基板11上にFeを供給し、Feからなる第2の金属層25を形成する。更にそのまま真空中で400℃とし、3分間加熱する。この工程によりFeが凝集して4nm径で中心間隔が7nmの表面がFeからなる被覆層16に覆われた微粒子15が形成される。この微粒子15も全体が基板11上に面接続している半球状の形状である。
ここで、Feの融点が1535℃であるのに対して、AlNの融点は2200℃であり十分に高い。上記はバルクの値であり、凝集化の温度はこれらの温度よりも低く、超薄膜、超微粒子状態での融点はどの程度になるかは十分把握できていないが、温度の上下関係は保たれ、第2の金属膜25の凝集化処理温度400℃において核粒子14は溶融しないものであると解される。これにより、金属膜25の凝集化処理温度400℃においてAlNで表面が覆われている核粒子14は基板11上を動かないと考えられる。このために、微粒子15同士がくっ付いて一体化することがなく、微粒子15において核粒子14の中心間隔(表面密度)はそのままで、核粒子14より被覆層16の厚さ分粒子径の大きな微粒子15が得られる。
なお、Al微粒子23の窒化処理において、上述のアンモニアガスの変わりに、窒素ガスやシアン化物ガス、アンモニアガスが混入した窒素化性ガスを使ってもよい。この場合でも同様にAl微粒子23の少なくとも表面を窒化し、AlNとすることができる。
また、本実施例では、アンモニアガスを高周波放電させて窒化を行なっているが、このほか加熱や光励起を用いた方法で窒化を促進させる方法でも同様に金属粒子23表面を窒化させることができる。
また、金属微粒子23の金属材料としてアルミニウムを用いたが、その窒化物の融点が、表面を覆う被覆層16を形成する金属材料の融点よりも大きな材料であれば使用することができる。具体的には、Ti、Siは、その窒化物が1800℃以上の融点を有するので、本実施例の被覆層16のFeに対しては特に有効と考えられる。
(比較例1)
比較例1の構造体の作製工程は、実施例1aとはAl微粒子23の酸化処理を行わない点のみ異なる。すなわち、図7に示す作製工程により作製される。図7を参照しながら、比較例1の構造体の作製工程を説明する。Si基板71上に、EB蒸着装置を用い、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.02nmとなるように室温で基板上にアルミニウム(Al)を供給し、Alからなる第1の金属膜72を形成する。
次にこれを真空加熱炉に入れて、真空で400℃とし3分間加熱する。この工程によりAlが凝集して1.5nm径のAl微粒子73が中心間隔7nmで形成される。この微粒子74は基板71上に面接続している半球状の形状である。
次に、酸化、窒素化工程を行わずに再びEB蒸着装置に上記基板71を装填する。基板71の温度は室温で、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.08nmとなるように基板71上にFeを供給し、Feからなる第2の金属膜75を形成する。更にそのまま真空で400℃とし3分間加熱する。この工程によりFeが凝集して、実施例1aと同じ4nm径の微粒子76が形成される。しかしながら、微粒子の間隔は10nmと広いものになってしまう。Feの凝集工程において、Al微粒子23は少なくとも一部が溶融し基板11上を移動したと解される。
1−2.構造体の特性確認
実施例1a、1bの構造体の特性を以下のように確認することができる。実施例1a、1bの構造体の単位面積あたりの微粒子の表面積は、いずれも直径4nmの半球が7nm間隔に最密格子形状で並んでいるので、0.59と計算される。実施例1a、1bにおいて、被覆層16を形成しない場合、Al微粒子23が直径1.5nmの半球状で7nm間隔に最密格子形状で配列されることになるので上記表面積は0.083となる。また、比較例1の構造体において、微粒子76が直径4nmの半球状で10nm間隔に最密格子形状で配列されているので、上記表面積は0.29となる。実施例1a、1bにおける0.59との値は、これらに比べると非常に大きい値をとる。
このように、実施例1a、1bの構造体において金属微粒子の表面積は従来の酸化物や窒化物や高融点物質を核として用いずに形成した金属微粒子よりも大きいので、これを燃料電池や排気ガス分解などの触媒として用いた場合に大きな触媒効果が得られる。
2.電極体
2−1.電極体の作製
(実施例2)
実施例2は、第2の実施形態に係る電極体30である。図4を参照しながら、実施例2の電極体30の作製工程を説明する。まず、実施例1aと同様の作製方法で構造体10を作製する。基板11として、導電性基板である厚さ0.05mmのCu基板を用い、EB蒸着装置を用い、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.02nmとなるように室温で基板11上にアルミニウム(Al)を供給し、Alからなる第1の金属膜を形成する。次にこれを真空加熱炉に入れて、真空中で400℃で3分間加熱する。この工程によりAlが凝集して1.5nm径のAl微粒子が7nm間隔で形成される。次に、温度を200℃に下げ、酸素ガスを50cc/分の流量で基板11上に30分間供給する。このときの真空度は1Paである。この工程により、基板11上のAl微粒子14は、形状はそのままで表面が酸化された核粒子14となる(図4(a))。
続いて、再びEB蒸着装置に上記基板11を装填する。基板11温度は室温で、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.18nmとなるように基板11上に鉄(Fe)を供給し、Feからなる金属膜を形成する。更にそのまま真空中で、400℃で3分間加熱する。この工程によりFeが凝集して4nm径で中心間隔が7nmの表面がFeからなる被覆層16に覆われた微粒子15が形成される。
次に、そのまま600℃に昇温し、エチレンをアルゴンで5倍に希釈したガスを1リットル/分の流量で導電性基板11上に5分間供給する。この工程により、導電性基板11表面に垂直方向に長さ約5μmの複数本のカーボンナノチューブ17が形成される。カーボンナノチューブ17は、微粒子15の被覆層16を触媒として形成される。
ここで、基板11にはCu箔を用いているが、このような導電性基板を用いることにより、カーボンナノチューブ17を有する電極体として低い内部抵抗を得られる点で好ましい。導電性基板として、シリコン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、炭素及びこれらの組み合わせからなる材料から構成されるものを用いることが好ましい。
また、本実施例では、触媒の機能をなす被覆層16としてFeを用いているが、鉄、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、イットリウム、ロジウム、パラジウム、これらを含む合金、これらの組み合わせから選択される材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、カーボンナノチューブを速い速度で合成できるほか、カーボンナノチューブと導電性基板との接触抵抗を低くすることができる。
(比較例2)
比較例2の電極体は、基板として実施例2と同様に厚さ0.05mmのCu基板を用い、EB蒸着装置を用い、クリスタル振動子型膜厚計の指示が0.10nmとなるように室温で基板上にFeを供給し、Feらなる金属膜を形成する。これをそのまま真空中で、400℃で3分間加熱すると、Feが凝集して実施例2と同じ4nm径の微粒子が形成される。しかしながら、微粒子の間隔は10nmと広いものになってしまう。この微粒子は基板上に面接続している半球状の形状をしている。この構造体を、そのまま600℃に昇温し、エチレンをアルゴンで5倍に希釈したガスを1リットル/分の流量で5分間供給する。この工程により、基板表面に形成されたFeの微粒子を触媒とし長さ約5μmの複数本のカーボンナノチューブが形成される。
2−2.電極体の特性確認
実施例2の電極体の特性について電気分解速度により確認する。実施例2、比較例2の電極体ともに4nm径のカーボンナノチューブが立設されている。7nm間隔でカーボンナノチューブが立設されている実施例2は、10nm間隔でカーボンナノチューブが立設されている比較例2の約2倍の本数密度である。すなわち、カーボンナノチューブが電解液に接する表面積は約2倍になる。これらの電極体を用いて水の電気分解を行うと、同じ電圧をかけた場合に流れる電流が実施例2は比較例2に比べてほぼ2倍となり、水素および酸素の発生量も実施例2は比較例2に比べて約2倍となることを確認することができる。
このように、実施例2の電極体は高い密度でカーボンナノチューブが立設されているので、電気二重層キャパシタやLiイオン二次電池や燃料電池などの電気のやり取りをする電極体として用いた場合高い特性が得られる。
3.電気二重層キャパシタ
3−1.電気二重層キャパシタの作製
(実施例3)
実施例3は、3実施形態の電気二重層キャパシタである。図5を参照しながら実施例3の電気二重層キャパシタの作製工程を説明する。実施例2の電極体30を二つ用意し、それぞれ分極性電極である正極52および負極53とする。正極52の導電性基板52a(11)のカーボンナノチューブ層52b(17)が形成されていない側の面をステンレス製容器のケース51の上面に導電性接着剤を用いて接着する。負極53の導電性基板53a(11)のカーボンナノチューブ層53b(17)が形成されていない側の面をステンレス製容器の蓋55の下面に導電性接着剤を用いて接着する。
ケース51を正極52とともに、蓋55を負極53とともに乾燥させた後、正極52および負極53に電解液56を含浸させる。電解液56には1mol/lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液を用いる。電解液56を含浸させた正極52および負極53をセルロース系の不織布かなるセパレータ54を介して対向させ、ケース51と蓋55とをガスケット57を用いてかしめ封口する。こうして、実施例3のコイン型の電気二重層キャパシタ50を作製する。
(比較例3)
比較例3の電気二重層キャパシタは、実施例2の電極体に代えて、比較例2の電極体を用いる以外、実施例3の電気二重層キャパシタと同様の方法で作製する。
3−2.電気二重層キャパシタの容量確認
実施例3の電気二重層キャパシタの特性を以下のように確認することができる。実施例3と比較例3の電気二重層キャパシタの容量を比較する。電極体におけるカーボンナノチューブが7nm間隔で形成されている実施例3の電気二重層キャパシタは、10nm間隔で形成されている比較例3の電気二重層キャパシタと比較してカーボンナノチューブの本数密度で2倍である。すなわち、カーボンナノチューブが電解液に接する表面積は2倍になる。したがって、キャパシタの容量は、実施例2は比較例2に比べてほぼ2倍であるとことを確認することができる。
このように、実施例2の電気二重層キャパシタは電極体におけるカーボンナノチューブの本数密度を高くすることが出来るために、高エネルギー密度を達成することが出来る。
本発明に係る構造体、カ電極体は、高密度触媒担持体や大きな表面積を持つ電極体として、化学反応促進材やセンサ、エネルギー蓄電デバイス用途等に有用である。
本発明の実施形態1に係る構造体を概念的に示す模式図である。 本発明の実施形態1に係る構造体の製造方法を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る電極体を概念的に示す模式図である。 本発明の実施形態2に係る電極体の製造方法を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る電気二重層キャパシタを模式的に示す図である。 比較形態1aの構造体の製造方法を模式的に示す断面図である。 比較形態1bの構造体の形成方法を模式的に示す断面図である。
符号の説明
10 構造体
11 基板
14 核粒子
15 微粒子
16 被覆層
17 カーボンナノチューブ
22 第1の金属膜
23 金属微粒子
25 第2の金属膜
30 電極体
50 電気二重層キャパシタ
51 ケース
52 正極
53 負極
52b、53b カーボンナノチューブ層
54 セパレータ
55 蓋
56 電解液
57 ガスケット

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板上に各々が間隔を隔てて面接続されている複数の微粒子とを備え、
    前記微粒子は、核粒子と前記核粒子の表面を覆う被覆層金属材料で形成されている被覆層とからなり、
    前記核粒子の表面は、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる構造体。
  2. 前記微粒子の粒子径は0.4nm〜20nmである、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記核粒子表面金属材料は、金属単体、酸化金属、窒化金属、またはこれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の構造体。
  4. 前記被覆層金属材料は、鉄、ニッケル、コバルト、白金、金、銀、銅、イットリウム、ロジウム、パラジウム、これらの組み合わせからなる合金、またはこれらの組み合わせである、請求項1乃至3いずれかに記載の構造体。
  5. 前記基板が導電性基板である請求項1乃至4いずれかに記載の構造体。
  6. 前記基板が、シリコン、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、炭素、またはこれらの組み合わせからなる材料で形成される請求項5に記載の構造体。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の構造体と、前記基板上に立設された複数のカーボンナノチューブとからなる電極体。
  8. 請求項7に記載の電極体を一対備え、
    前記一対の電極体が、前記カーボンナノチューブが非接触で対向するように設けられている、電気二重層キャパシタ。
  9. 基板上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、
    第1の金属膜を加熱凝集処理し複数の核粒子を形成する核粒子形成工程と、
    前記基板上に被覆層金属材料からなる第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、
    第2の金属膜を加熱凝集処理し前記核粒子の表面を覆う被覆層を形成する被覆層形成工程と、を有し、
    前記核粒子の表面が、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる、構造体の製造方法。
  10. 前記核粒子形成工程は、前記加熱凝集処理の後に行う酸化処理または窒化処理を含む、請求項9に記載の構造体の製造方法。
  11. 基板上に第1の金属膜を形成する第1の金属膜形成工程と、
    第1の金属膜を加熱凝集処理し複数の核粒子を形成する核粒子形成工程と、
    前記基板上に被覆層金属材料からなる第2の金属膜を形成する第2の金属膜形成工程と、
    第2の金属膜を加熱凝集処理し前記核粒子の表面を覆う被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    前記微粒子を介して複数のカーボンナノチューブを合成する合成工程と、を有し、
    前記核粒子の表面が、前記被覆層金属材料の融点よりも高い融点を有する核粒子表面金属材料からなる、電極体の製造方法。
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