JP2009087667A - 荷電粒子ビーム用偏向器、荷電粒子ビーム用アセンブリおよび荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム用偏向器、荷電粒子ビーム用アセンブリおよび荷電粒子ビーム装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の荷電粒子ビーム用偏向器は、小型で高寸法精度にできないという問題があった。
【解決手段】 荷電粒子ビーム20が通るビーム路を有する筒状体1の内側に、複数の絶縁体部4および複数の電極部2がある荷電粒子ビーム用偏向器100であって、ビーム路から見通せる位置に、電極部2と、少なくとも表面が半導電性または導電性である遮蔽体10とを配置するとともに、ビーム路から見通せない位置に、絶縁体部4を配置したことにより、帯電を防止しつつ、小型で高寸法精度の荷電粒子ビーム用偏向器を得ることができる。。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子ビームを偏向させるための偏向器、特に静電偏向器である荷電粒子ビーム用偏向器、荷電粒子ビーム用アセンブリおよび荷電粒子ビーム装置に関するものである。
走査型電子顕微鏡や電子線描画装置等の荷電粒子ビーム装置は、電子線を試料上に照射して観察、描画等を行う装置である。例えば、電子線描画装置の場合、電子線源からの電子線を成形用絞り板(アパーチャ)に設けられた開口部に照射して、その開口部のパターン形状に電子線断面形態を成形し、この成形された電子ビームを静電または電磁縮小投影レンズによって縮小投影し、静電偏向器または電磁偏向器によって試料表面上の所望の位置に偏向して照射することにより、試料表面上に所望の形態寸法のパターン露光を行っている。
この荷電粒子ビーム装置に搭載する一般的な偏向器としては、個々の電極は、絶縁体で形成した後、その表面を金属被膜で被覆した後組み立てることにより構成されている。
また、前述の一般的な偏向器とは別に、特許文献1には、小型化することができ、電極を精度よく配置するとともに、チャージアップしてもビームに影響を及ぼさないようにする目的で、次のような荷電粒子ビーム用の偏向器が開示されている。
すなわち、絶縁体からなる円筒体と、円筒体の内側に外径方向に向かって形成された溝と、円筒体の内側端面および溝表面に形成され且つ円筒体の円周方向で絶縁され金属膜で被覆された複数の電極部とからなる偏向器であって、円筒体外径方向側にT字型の溝を設け、T字型の溝の表面に円筒体の中心軸から見通せない部分に絶縁部(電極を形成していない部分)を設けることにより、隣接する複数の電極部を絶縁した偏向器が開示されている。さらに、この偏向器は絶縁体からなる円筒体の内側を、金属膜で被覆された電極部と共に、円筒体の中心軸と平行な方向に円筒体の端部から突出させ、この突出部分に電圧印加用配線を接続することにより、電極部表面に孔が開かないようにしている。
特開平2−247966号公報
従来の一般的な、荷電粒子ビーム用偏向器においては、個々の電極は、絶縁体で形成した後に、その表面を金属被膜で被覆して組み立てることにより構成されているため、以下の問題点があった。
すなわち、個々の絶縁体を組み上げて電極を構成する関係上、電極の取付け精度には限界があり、電極の大きさが一定の場合、電極の極数が増えると対向する電極間距離が大きくならざるを得ない。
したがって、同じ偏向量を得るためには、より高い電圧を印加する必要が生じ、大きな電源が必要になるばかりか、走査速度を遅くする要因となっている。さらに、個々の電極の工作精度は高いものであっても、荷電粒子ビーム用偏向器自体は小さいものであるため、組立に非常に手間を要し、組立精度の向上が図れない。
また、特許文献1に開示された荷電粒子ビーム用偏向器では、絶縁体が露出している部分への帯電を防止する目的で、荷電粒子ビームから見えないようにするためには、溝を円筒体の外径方向に向かって深くし、その終端部分で、円筒体の円周方向の開口幅を大きくする必要があった。
このため、荷電粒子ビーム用偏向器を十分に小型化できないという問題があった。さらに、絶縁体からなる円筒体の内側を金属膜で被覆された電極部と共に、円筒体の中心軸と平行な方向に円筒体の端部から突出させて絶縁外筒を形成し、この突出部分に電圧印加用配線を接続することにより、電極部表面に孔が開かないようにした場合には、突出部分に接続した電圧印加用配線の被覆(絶縁体)や絶縁外筒の端部が、隣り合うめっき電極間の隙間から見えてしまう可能性があった。このように、荷電粒子ビームが通る経路から見通せる位置に絶縁部があると帯電が発生するため、放電が発生したり荷電粒子ビームのドリフトが発生する等の問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、帯電を防止しつつ、小型で高寸法精度の荷電粒子ビーム用偏向器、およびそれを用いた荷電粒子ビーム用アセンブリ、並びにこれらを用いた荷電粒子ビーム装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の荷電粒子ビーム用偏向器は、1)荷電粒子ビームが通過するためのビーム路を備えた筒状体の内側において、前記ビーム路から見通せる位置に、複数の電極部と、少なくとも表面が半導電性または導電性の遮蔽体とを配置するとともに、前記ビーム路から見通せない位置に、複数の絶縁体部を配置したことを特徴とする。
また、2)上記1)において、前記複数の電極部は、前記ビーム路側から前記筒状体の外周側へ形成された溝を介して絶縁され、前記溝における前記外周側に前記遮蔽体が設けられていることを特徴とする。
また、3)上記1)または2)において、前記遮蔽体の少なくとも表面が、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、炭素のいずれか1種以上からなることを特徴とする。
また、4)上記1)〜3)のいずれかにおいて、前記絶縁体部がセラミックスからなることを特徴とする。
また、5)上記1)〜4)のいずれかにおいて、前記荷電粒子ビーム用偏向器が前記筒状体の中心軸方向に複数積層され、これら複数の荷電粒子ビーム用偏向器の電極部は互いに絶縁されていることを特徴とする。
また、本発明の荷電粒子ビームアセンブリは、6)上記1)〜5)のいずれかの荷電粒子ビーム用偏向器と、該荷電粒子ビーム用偏向器を保持するための保持体とを備えてなることを特徴とする。
また、本発明の荷電粒子ビーム装置は、7)上記1)〜5)のいずれかの荷電粒子ビーム用偏向器または上記6)の荷電粒子ビーム用アセンブリと、前記荷電粒子ビーム用偏向器または前記荷電粒子ビーム用アセンブリによって制御された荷電粒子ビームを試料に対して照射する照射手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、荷電粒子ビームが通過するためのビーム路を備えた筒状体の内側において、前記ビーム路から見通せる位置に、複数の電極部と、少なくとも表面が半導電性または導電性の遮蔽体とを配置するとともに、前記ビーム路から見通せない位置に、複数の絶縁体部を配置したことにより、帯電を防止しつつ、小型で高寸法精度の荷電粒子ビーム用偏向器、荷電粒子ビーム用アセンブリおよび荷電粒子ビーム装置を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)は本発明の荷電粒子ビーム用偏向器の一実施形態を示す斜視図、(b)は(a)の一部を拡大断面で表した斜視図である。図2は図1(b)の一部を拡大した部分拡大断面図である。図3(a)は、図2から遮蔽体を取り除いた状態で、図2の上面に対して平行方向で切断した断面の一部を示した拡大断面図である。図3(b)は、図2から遮蔽体を取り除いた状態で、図2の一部をその上面に対して垂直方向で切断した断面を示した拡大断面斜視図である。図4は、図3(a)の左の図に遮蔽体が形成された状態を断面で示した拡大断面図である。
本発明の荷電粒子ビーム用偏向器100は、荷電粒子ビームが通過するためのビーム路を備えた筒状体の内側において、前記ビーム路から見通せる位置に、複数の電極部と、少なくとも表面が半導電性または導電性の遮蔽体とを配置するとともに、前記ビーム路から見通せない位置に、複数の絶縁体部を配置している。また、前記複数の電極部は、前記ビーム路側から前記筒状体の外周側へ形成された溝を介して絶縁され、前記溝における前記外周側に前記遮蔽体が設けられている。特に、前記筒状体が図示されているように円筒体である場合は、前記複数の電極部は、前記円筒体の中心軸(または、ビーム路の中心軸)から径方向へ形成された溝を介して絶縁され、前記溝における前記径方向の外側に前記遮蔽体が設けられている。なお、図示されているように、高さが低いものでも便宜上、筒状体というものとし、必ずしも円筒体のような連続体だけではなく、複数の分割部分を組み合わせた筒状体も含むものとする。
具体的には、本発明の荷電粒子ビーム用偏向器100は、例えば絶縁体からなる両端開放の円筒体1の内側に、複数の絶縁体部7および複数の電極部2が形成されている。そして、円筒体1の荷電粒子ビーム20が通過するための内側空間(ビーム路)から見通せる位置に、電極部と、該電極部(以下、電極2と記載する。)における内側端面より円筒体1の外周側(外径方向側)に設けた、少なくとも表面が半導電性または導電性である遮蔽体(帯電防止ピン10)と、を配置するとともに、円筒体1の荷電粒子ビーム20が通過するためのビーム路から見通せない位置に、絶縁体部(絶縁縦溝7b)を配置したものである。ここで、半導電性とは、電気抵抗が1×10〜1×1012Ω・cmであることをいい、導電性とは、電気抵抗が1×10Ω・cm未満であることをいうものとする。
図1(a)、(b)および図2に示すように、荷電粒子ビーム用偏向器100は、中央の中空部(ビーム路)に荷電粒子ビーム20を通過させるための円筒体1と、円筒体1の内周面30に形成された電極2と、外周面に形成されたザグリ穴3aと、ザグリ穴3aに配された第1接続部材3bと、電極2および第1接続部材3bを、少なくとも一部が円筒体1中に配される導電ピン5を介して電気的に接続されている。
円筒体1は、樹脂または無機物から形成されるが、真空中での発塵、放出ガスが少なく、荷電粒子ビーム20が照射されても電気的性質が変化しない等の理由から、無機物からなることが好ましく、セラミックスからなることがさらに好ましく、アルミナ質焼結体からなることが特に好ましい。なぜなら、このアルミナ質焼結体は、焼結体中のアルカリ元素などの含有量をコントロールすることにより、電圧印加による焼結体中のイオンのマイグレーションを抑制することができるため、長期間にわたり円筒体1の電気特性の安定化を確保することができるからであり、さらに、アルミナ質焼結体は、ヤング率が280MPa以上、3点曲げ強度が300MPa以上と機械的特性に優れているため、研削加工を行っても割れなどが発生しにくく高い寸法精度を得ることができるからである。
円筒体1の内周面30に形成する電極2は、金、銅、チタン、銀および白金などから選択される導体から形成され、円筒体1の内周面30にメッキ法、蒸着法によりコーティングされる薄膜でもよく、金属などの導体を筒状に形成した後に、内周面30に接合することにより形成してもよい。
この電極2は、外部から印加される電圧に応じて電界を変化させることができ偏向電極として使用される。また、電極2は、後述するように、複数の荷電粒子ビーム用偏向器100を円筒体1の中心軸(ビーム路の中心軸)方向に積層した場合には、各荷電粒子ビーム用偏向器100間をシールドするための接地電極として使用できる。
円筒体1の内周側表面には、金、銅、チタン、銀および白金などから選択される導体がメッキ法、蒸着法等によりコーティングされ、内周側導電膜8が形成されている。内周側導電膜8は導体により電極2に電気的に接続している。
円筒体1の外周側表面には、金、銅、チタン、銀および白金などから選択される導体をメッキ法、蒸着法等によりコーティングしてもよく、その場合外周側導電膜9が形成され、外周側導電膜9は接地される。
円筒体1の内周面30には、各電極2間を分極(絶縁)することを目的として分極溝7を形成する。分極溝7は、例えば図3に示すような形状が好ましい。分極溝7は内周側溝7a、絶縁縦溝7b、外周側溝7cにより構成される。内周側溝7aおよび外周側溝7cには、金、銅、チタン、銀および白金などから選択される導体がメッキ法、蒸着法等によりコーティングされている。内周側溝7aは導体により内周側導電膜8と電気的に接続されており、外周側溝7cは導体により外周側導電膜9に電気的に接続されている。絶縁縦溝7bは内周側溝7aと外周側溝7cを絶縁し、また、絶縁周溝4に接続することにより、個々の電極2間および外周側導電部7c間との絶縁を確保している。
複数の電極2は、円筒体1の中心軸(ビーム路の中心軸)から径方向へ形成された分割溝7で絶縁され、すなわち内周側溝7aを介しかつ絶縁縦溝7cで絶縁され、内周側溝7aの径方向外側に遮蔽体である帯電防止ピン10が設けられている。
図2〜4では、絶縁縦溝7bは、隣接する電極2間を絶縁縦溝7bが絶縁する構造となっているが、これ以外の構造で、隣接する電極2間が絶縁されていてもよい。例えば、絶縁縦溝7bを形成せずに、外周側溝7cの表面の一部に、導体が形成されていない部分(絶縁体部)を設け、隣接する電極2間をこの部分(絶縁体部)で絶縁する構造でもよい。また、例えば、絶縁縦溝7bを形成せず、外周側溝7cの表面に導体を形成せずに外周側溝7cを絶縁体部とし、この絶縁体部で隣接する電極2間を絶縁する構造でもよい。ただし、これらの構造であっても、絶縁体部は、円筒体1の荷電粒子ビーム20が通るためのビーム路から見通せない位置に形成される。
分極溝7内には、分極溝7内の絶縁部7bへの荷電粒子ビーム20入射による帯電を防止するため、図4に示すように、遮蔽体である帯電防止ピン10を、円筒体1と接触しない位置、大きさで、円筒体1の中心軸(ビーム路の中心軸)に平行な方向に配置する。
帯電防止ピン10の大きさおよび位置は、荷電粒子ビーム20がどのような角度で入射してきても、帯電防止ピン10、内周側導電部7a、外周側導電部7cのいずれかの導電部に入射するようにする。帯電防止ピン10の長手方向に垂直な方向の断面形状は多角形でもよいが、製作、取付けの容易さから円形であることが好ましい。
帯電防止ピン10の表面は、半導電性または導電性の物質からなる。なぜなら、この帯電防止ピン10に荷電粒子ビームが入射したときに、反射電子が飛び出して絶縁部に帯電する可能性を少なくするためである。つまり、帯電防止ピン10の表面は、好ましくは反射電子の量を少なくすることができる材質からなり、さらに好ましくは原子番号の小さい原子からなる物質からなり、特に好ましくは、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、炭素からなる。また、反射電子は表面から深さ方向に0.1μm以内の領域で発生すると考えられるため、半導電性または導電性の物質が帯電防止ピン10の表面から内部の深さ方向に0.1μmを上回るように形成されていることが好ましい。帯電防止ピン10は全て同じ材質からなるものであってもよいが、例えば研削加工を行っても割れなどが発生しにくく高い寸法精度を得ることができるアルミナ質焼結体で製作し、表面のみを半導電性または導電性の物質からなるものとすることで、表面材質の加工性によらず所望の形状、精度が得られる。
円筒体1の内周面30は、真円度が2μm以下であることが好ましく、これにより、荷電粒子ビーム20が、荷電粒子ビーム用偏向器100を通り、電気的に位置の補正を行わなくても試料上において光軸中心に近い位置に照射される。また、電気的な補正を行わなくても、成形された荷電粒子ビーム20が意図した形状に近い形となる。
特に、内周面30の真円度が小さい荷電粒子ビーム用偏向器100は、電子線描画装置等の荷電粒子ビーム装置に好適に搭載され、荷電粒子ビームを高い精度で試料に照射することができる。円筒体1の内周面30の真円度を1μm以下とすることがより好ましい。
また、円筒体1の内周面は、円筒度が2μm以下であることが好ましく、円筒体1の軸方向にわたって、上述同様に、荷電粒子ビーム20が、電気的な位置の補正を行わなくても試料上において光軸中心に近い位置に照射され、電気的に補正を行わなくても成形された荷電粒子ビーム20が意図した形状に近い形となる。
なお、円筒体1の内周面30を真円度、円筒度を2μm以下とするには、例えば、センタレス研削等により外周面の真円度、円筒度が2μm以下となるように加工後、この外周面を基準とし、円筒研削盤等により円筒体1の内周面を加工する。上述のように、円筒体1の内周面30とは、電極2が形成された表面、電極2が形成されていない面等、中空部に露出する面全てを示すものであるため、電極2が形成された面の真円度を2μm以下とするには、詳細を後述するように第1接続部材の円筒体1の中空部側の端面と内周面30とを同時に加工し、両者の境界を微小なものとした後に、電極2を形成すればよい。
なお、円筒体1の内周面30の真円度、円筒度はJIS B 0621で規定され、例えば、JIS B 7451に準拠した真円度測定器により測定することができる。
円筒体1の外周面に形成するザグリ穴3aは、荷電粒子ビーム用偏向器100の利用目的に応じて適宜形成され、その形成方法としては、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工、焼成前加工(切削加工)等がある。またザグリ穴3aの断面形状は、円形だけではなく、多角形等でもよく、底面から開口部にかけて広がるテーパー状であってもよい。
ザグリ穴3a内に配される第1接続部材3bは、銅、チタン等の金属からなり、後述する組立および信号ケーブルとの接続を確保するため、ネジ加工、穴加工等が施されている。また、第1接続部材3bは、円筒体1に接着剤、ロウ付け等により固定されるが、荷電粒子ビーム用偏向器100は高真空環境下において使用されるため、放出ガスが少なく、経年変化の少ないロウ付けにより固定することが好ましい。また、第1接続部材3bは、絶縁体の表面に導電膜を付けたものであってもよい。さらに、円筒体1外周面に直接穴加工、ネジ加工等を施し、導電膜を付けてもよい。
第1接続部材3bは、導電ピン5を介して電極2と電気的に接続される。
導電ピン5は、円筒体1の外周面から内周面に向けて形成された接続穴6に配置され、その一方端は第1接続部材3bと接続され、他端は電極2と接続される。また、接続穴6は、ザグリ穴3aと一体的に形成されている。また、より確実に電極2と第1接続部材3bを接続するために、導電ピン5をロウ付け部5aにより円筒体1に接続することが好ましい。このように、電極2と第1導電パターン3を接合することで電気的に接続することができる。これにより、第1接続部材3bと円筒体1、導電ピン5と円筒体1の間には隙間が形成されることなく、円筒体1の気密性もしくは高真空度を保つことができるため、安定した荷電粒子ビーム20を得ることができる。ここで、導電ピン5は、銅、純チタン、白金などの非磁性金属からなり、円柱形状のロッドからの研削により得ることができる。
接続穴6は、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工、焼成前加工(切削加工)等により形成される。
第1接続部材3bと導電ピン5は一体的に形成されていてもよい。
導電ピン5は、円筒体1の内周面30と同一面上に配置されていることが好ましい。詳細には、図2の部分拡大断面図に示すように、導電ピン5の端面のうち電極2が形成される側の端面と電極2を形成する前の円筒体1の内周面が同一面上に形成されているものであり、導電ピン5と円筒体1との境界部に微小な段差等はない。この内周面30に薄膜から成る電極2を形成する。この、薄膜はほぼ均一に膜付けされる。この結果、円筒体1の電極2の表面を含む内周面30の真円度を2μm以下の小さなものとして、円筒体1の内周面のうち電極2が形成された面における真円度、電極が形成されていない面における真円度の差も小さくすることができる。また、円筒体1の中空部を通過する荷電粒子ビーム20の位置精度を高精度に調整することができる。一方、導電ピン5の端面が円筒体1の内周面30と同一面上に配置されない場合、即ち導電ピン5と円筒体1との境界部に段差が生じている場合、電極2を形成する際に薄膜はほぼ均一に膜付けされるため、段差の形状は保持され、円筒体1の内周面30の真円度を小さくすることができず、中空部を通過する荷電粒子ビームの位置精度が低いものとなってしまう。
ここで、導電ピン5の端面と円筒体1の内周面30とが同一面上に配置されているとは、導電ピン5を含む領域の円筒体1の内周面の真円度が2μm以下の状態をいう。
このように、導電ピン5の端面を円筒体1の内周面30と同一面上に配置するには、導電ピン5をロウ付け等により円筒体1に接続した後に、円筒体1の内周面、導電ピン5の端面を同時に加工することによって得られ、詳細は上述のように真円度を2μm以下とする際と同様である。
次に、図5〜7を用いて、本発明の荷電粒子ビーム用偏向器を複数積層してなる荷電粒子ビーム用アセンブリの実施形態について説明する。
本発明の荷電粒子ビーム用アセンブリ200は、図5に示すように、図1〜4に示すような荷電粒子ビーム用偏向器100を円筒体1の中心軸(ビーム路の中心軸)方向の複数積層されたものであり、外周面に荷電粒子ビーム用偏向器100の第1接続部材3bと接続する第2接続部材13bと、筒状の保持体11を備えている。
保持体11は、金属、樹脂、無機物のいずれかから選択されるが、真空中での発塵、放出ガスが少なく、荷電粒子ビーム20が照射されても、電気的性質が変化しないなどの理由から無機物であることが好ましく、特にアルミナ質焼結体であることが好ましい。アルミナ質焼結体は、焼結体中のアルカリ元素などの含有量をコントロールすることにより、電圧印加による焼結体中のイオンのマイグレーションを抑制することができるので、長時間にわたり保持体11の電気特性を安定化することができる。
複数の円筒体1を組み立てる場合、各々の円筒体1内電極2の同軸度のズレは、各々の円筒体1の内部を通過する電子線20の精度に直接影響を及ぼす。ここで、本実施形態のように、保持体11によって円筒体1の位置決めを行うことが可能になり、円筒体1の組立精度を高めることができる荷電粒子ビーム用アセンブリ200を得ることができる。また、メンテナンス等の際に、保持体11から円筒体1を取り出し分解することがある。本発明の構成では、前述の通り保持体11によって、円筒体1の位置決めを行うことが可能なため、再度組み立てた際に、高い再現性が得られる。
図5に示すように、保持体11の外周面に形成するザグリ穴3aおよび接続穴6は、円筒体1に形成された第一接続部材3bに接続するように適宜形成される。ザグリ穴13aおよび接続穴6を形成する方法としては、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工、焼成前加工(切削加工)等がある。またザグリ穴3a、接続穴6の断面形状は、円形だけではなく、多角形等でもよく、底面から開口部にかけて広がるテーパー状であってもよい。
第2接続部材13bには、電圧印加用のケーブルが接続されるため、保持体11の外周側部分には、接続用ネジ、ピンを挿入するための穴等が設けられていることが好ましい。ケーブルを直接ハンダ付けなどしてもよい。
円筒体1に形成された第1接続部材3bと、保持体11、第2接続部材13bの接合方法について図6を用いて説明する。
図6は、本発明の荷電粒子ビーム用アセンブリ200における第1接続部材3bと第2接続部材13bとの接続を示す部分拡大断面図である。
図6に示すように、円筒体1に形成した第1接続部材3bは、保持体11に形成された、ザグリ穴13aおよび接続穴6を介し、第2接続部材13bと接続される。
荷電粒子ビーム偏向器100を複数積層した荷電粒子ビーム用アセンブリ200は、その同軸度を2μm以下とすることが好ましい。これにより、電子銃から放出された荷電粒子ビーム20が、荷電粒子ビーム用アセンブリ200を通り、電気的な位置の補正を行わなくても試料上において光軸中心に近い位置に照射される。また、電気的に補正を行わなくても成形された電子線を意図した形状に近似した形状とすることができる。特に、同軸度が小さい荷電粒子ビーム用アセンブリ200は、電子線描画装置等の荷電粒子ビーム装置に好適に搭載され、荷電粒子ビームを高い精度で試料に照射することができる。
同軸度を2μm以下とするには、円筒体1の内周面、外周面の同軸度を2μm以下とすればよく、保持体11の内周面の円筒度を1μm以下とし、さらに保持体11の内径と円筒体1の外径の隙間を2μm以下とした上で保持体11内に円筒体1を挿入すればよい。
なお、同軸度はJIS B 0621で規定され、例えば、JIS B 7451に準拠した真円度測定器により測定することができる。
図7は荷電粒子ビーム用アセンブリ200の部分拡大断面図である。図7に示すように、円筒体1に形成された絶縁周溝4に入射しようとする電子線20は、円筒体1に隣接する接地体12と円筒体1の内周側導電膜8によって形成される微小な隙間により遮断され、絶縁周溝4に電子が帯電することがない。
荷電粒子ビーム用偏向器100および荷電粒子ビーム用アセンブリ200は、荷電粒子ビーム20を加速・減速するために使用され、内周が分割されていない単一の電極を有する円筒体と組み合わせることにより、荷電粒子ビーム20の成形、縮小、投影等を行う電子光学コラムとして使用することができる。
本発明の荷電粒子ビーム用偏向器を説明するための図であり、(a)は斜視図、(b)は一部断面拡大斜視図である。 本発明の荷電粒子ビーム用偏向器の部分拡大断面斜視図である。 (a)は本発明の荷電粒子ビーム用偏向器における分極溝の3つの態様を示す部分拡大断面図、(b)は分極溝の部分拡大断面斜視図である。 本発明の荷電粒子ビーム用偏向器における分極溝と帯電防止ピンを示す部分拡大断面図である。 本発明の荷電粒子ビーム用積層偏向器を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は一部断面拡大斜視図である。 本発明の荷電粒子ビーム用積層偏向器における第1接続部材と第2接続部材との接続を示す部分拡大断面斜視図である。 本発明の荷電粒子ビーム用積層偏向器における筒体と接地体の接続部分を示す部分拡大断面図である。
符号の説明
1:円筒体(筒状体)
2:電極(電極部)
3a:ザグリ穴
3b:第1接続部材
4:絶縁周溝(絶縁体部)
5:導電ピン
5a:ロウ付部
6:接続穴
7:分極溝
7a:内周側溝
7b:絶縁縦溝(絶縁体部)
7c:外周側溝
8:内周側導電膜
9:外周側導電膜
10:帯電防止ピン(遮蔽体)
11:保持体
12:接地体
13a:ザグリ穴
13b:第2接続部材
16:接続穴
20:荷電粒子ビーム
100:荷電粒子ビーム用偏向器
200:荷電粒子ビーム用アセンブリ

Claims (7)

  1. 荷電粒子ビームが通過するためのビーム路を備えた筒状体の内側において、前記ビーム路から見通せる位置に、複数の電極部と、少なくとも表面が半導電性または導電性の遮蔽体とを配置するとともに、前記ビーム路から見通せない位置に、複数の絶縁体部を配置したことを特徴とする荷電粒子ビーム用偏向器。
  2. 前記複数の電極部は、前記ビーム路側から前記筒状体の外周側へ形成された溝を介して絶縁され、前記溝における前記外周側に前記遮蔽体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム用偏向器。
  3. 前記遮蔽体の少なくとも表面が、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、炭素のいずれか1種以上からなることを特徴とする請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム用偏向器。
  4. 前記絶縁体部がセラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の荷電粒子ビーム用偏向器。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の前記荷電粒子ビーム用偏向器が前記筒状体の中心軸方向に複数積層され、これら複数の荷電粒子ビーム用偏向器の電極部は互いに絶縁されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の荷電粒子ビーム用偏向器。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の荷電粒子ビーム用偏向器と、該荷電粒子ビーム用偏向器を保持するための保持体とを備えてなることを特徴とする荷電粒子ビーム用アセンブリ。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の荷電粒子ビーム用偏向器、または請求項6に記載の荷電粒子ビーム用アセンブリと、荷電粒子ビームを照射する照射手段とを備えることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
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