JP2009086337A - 重合性組成物及び平版印刷版原版 - Google Patents

重合性組成物及び平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外照射による重合感度及び保存安定性を向上させ、更に平版印刷における耐刷性を向上させる。
【解決手段】(A)下記一般式(I)で表される化合物と(B)ヨードニウム塩系開始剤と(C)重合性化合物と(D)赤外線吸収剤と(E)バインダーとを含む重合性組成物〔Ar:芳香族基、複素環基;X:−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、−NR−;R〜R:H、非金属原子からなる1価の置換基;Y:−OR、−NR;R:非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基;R〜R:H、非金属原子からなる1価の置換基(R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する)〕である。

Figure 2009086337

【選択図】なし

Description

本発明は、赤外光を吸収して熱重合する重合性組成物及び平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に、波長300nm〜1200nmの紫外光、可視光、赤外光を放射する固体レーザ及び半導体レーザ、ガスレーザは高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっており、特に波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、「赤外線レーザ」という場合がある。)は、特に平版印刷の分野において、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版する際の記録光源として非常に有用である。それに伴い、これら各種レーザ光に感応する平版印刷版原版の記録材料についても種々研究がなされており、感光波長760nm以上の赤外線レーザ対応のポジ型記録材料(例えば、特許文献1参照)、酸触媒架橋型のネガ型記録材料(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
通常、赤外線の露光により記録可能なネガ型の画像形成材料は、赤外光のエネルギーを吸収して熱に変換する赤外線吸収剤と、この赤外線吸収剤から得られた熱によりラジカルを生成するラジカル重合開始剤と、発生したラジカルを開始剤として重合する重合性化合物と、を含有する重合性組成物からなる記録層を有し、露光部において重合性化合物の重合反応が生起・進行することにより記録層が硬化され、画像を形成するといった記録方式を利用している。このようなネガ型の画像形成材料は、赤外光のエネルギーにより記録層の可溶化を起こさせるポジ型に比較して感度が低いという問題があった。従って、このような赤外線記録光源に対し、感応性の高い重合性組成物からなる画像形成材料、すなわち、赤外線の露光により現像液に対する溶解性が大きく低下するネガ型の画像形成材料が求められている。
感度向上を目的とした画像形成材料としては、例えば、化学増幅型感材(例えば、特許文献3参照)や、エチレン性不飽和化合物の重合を利用した感材(例えば、特許文献4参照)など、光や熱に対する反応性に優れる成分を含有するものが知られている。さらに、エチレン性不飽和化合物の重合を利用した感材においては、還元型添加剤を添加した感材(例えば、特許文献5参照)、ジチオ化合物等を添加した感材(例えば、特許文献6参照)などが知られている。
また、レーザ光を吸収する色素及び熱可塑性樹脂と共に、Siを含有し、かつ融点が200℃以下であり、有機溶剤に可溶な低分子有機化合物を主成分として含む画像形成層を有するレーザ製版用オフセット印刷版(例えば、特許文献7参照)や、更には、熱脱炭酸性や脱水性の特定の低分子化合物、赤外線吸収剤、ラジカル重合開始剤、及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する重合性組成物(例えば、特許文献8〜9参照)、キサンテン系色素、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びオルガノシリコーンスルフィドを含有する組成物にUV照射して光重合を行なう方法(例えば、非特許文献1参照)などに関する開示がある。
米国特許第4708925号明細書 特開平8−276558号公報 特開平11−65105号公報 特開2000−89455号公報 特開2002−82429号公報 特開2002−90985号公報 特開平5−138848号公報 特開2004−310000号公報 特開2005−215443号公報 Polymer Bulletin 2006,56(2−3),119−128
しかしながら、上記のいずれの技術を用いても、重合性の組成物を調製した場合に赤外露光重合における感度と保存安定性との両立が難しく、また、平版印刷版原版を作製したときには感度、耐刷性、及び保存安定性の全てを両立することは困難であった。
本発明は、赤外吸収色素とオニウム塩系開始剤を用いた光熱変換重合系に、Si原子を持つ比較的分子量の低い化合物を電子供与剤として存在させると、赤外吸収色素の電子が一旦励起した後に再び安定なエネルギー状態に移動してしまう逆電子移動を防止し、重合反応を促進するのに有効であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、赤外照射による重合感度及び保存安定性に優れた重合性組成物、並びに赤外感度、耐刷性、及び保存安定性に優れた平版印刷版原版を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(I)で表される化合物と、(B)ヨードニウム塩系開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)赤外線吸収剤と、(E)バインダーと、を含む重合性組成物である。
Figure 2009086337

前記一般式(I)において、Arは、芳香族基又は複素環基を表す。Xは、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、又は−NR−を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。Yは、−OR、又は−NRを表す。Rは、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表し、R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。
<2> 前記R、R、及びRの少なくとも1つは、下記一般式(II)で表される基であることを特徴とする前記<1>に記載の重合性組成物である。
Figure 2009086337

前記一般式(II)において、R、R、R、R10、及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。
<3> 支持体上に、(A)下記一般式(I)で表される化合物と、(B)ヨードニウム塩系開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)赤外線吸収剤と、(E)バインダーと、を含有する感光層を有する平版印刷版原版である。
Figure 2009086337

前記一般式(I)において、Arは、芳香族基又は複素環基を表す。Xは、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、又は−NR−を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。Yは、−OR、又は−NRを表す。Rは、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表し、R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。
本発明における作用については必ずしも明確ではないが、前記一般式(I)で表される化合物(以下、適宜「特定化合物」ともいう。)を存在させると、赤外露光時、赤外線吸収剤の電子が励起してヨードニウム塩系開始剤を分解、ラジカル発生させる過程で、赤外線吸収剤の励起状態に対して、あるいは励起された赤外線吸収剤がヨードニウム塩系開始剤へ一電子移動した後のカチオンラジカル状態に対して、この特定化合物から一電子供与されることで、赤外線吸収剤の励起状態が開始剤の分解に寄与しないまま、安定なエネルギー状態に移動してしまうことを防止することができ、これによりラジカル発生効率が向上し、重合反応が促進される。また、更にはこの特定化合物から発生したラジカルも重合性化合物の重合反応を促進させるものと推測される。そのため、本発明の重合性組成物は、系全体の重合開始効率が高く、高感度を有しており、露光部の架橋密度を高めて膜形成したときの膜強度を向上させ得るものと考えられる。したがって、本発明の重合性組成物を記録層に用いた場合、感度、及び印刷時の耐刷性に優れる。
また、一般に露光時に赤外線吸収剤や開始剤と相互作用する化合物の多くは、重合性組成物の保存安定性を低下させる弊害を有するものであるが、本発明に係る特定化合物にはそのような弊害がないばかりか、本来保存安定性が悪いとされるラジカル重合型感材の保存安定性をも向上させることができる。この作用についても明確ではないが、該特定化合物と開始剤とが錯体を形成をし、開始剤を熱的に安定化させるためと考えられる。
さらに、露光部においては、既述の重合促進効果に起因する高架橋密度の硬化膜が現像液の浸透を効果的に抑制するため、現像ダメージを受けにくい一方、未露光部においては、該特定化合物が本来親水性化合物であることから、非露光部の現像性が良好になり、現像許容性が向上するものと考えられる。
本発明によれば、赤外照射による重合感度及び保存安定性に優れた重合性組成物、並びに赤外感度、耐刷性、及び保存安定性に優れた平版印刷版原版を提供することができる。
以下、本発明の重合性組成物及び平版印刷版原版について詳細に説明する。
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、(A)以下に示す一般式(I)で表される化合物、(B)ヨードニウム塩系開始剤、(C)重合性化合物、(D)赤外線吸収剤、及び(E)バインダーを含んでなり、必要に応じて、更に他の成分を用いて構成することができる。
以下、本発明の重合性組成物を構成する各成分について詳述する。
(A)一般式(I)で表される化合物
本発明の重合性組成物は、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種(特定化合物)を含有する。この特定化合物を含有することにより、上記推測のように、ラジカル発生効率が向上し、重合反応が促進されると共に、特定化合物から発生したラジカルも重合性化合物の重合反応が促進されるので、感度、膜形成したときの膜強度を高めることができる。
Figure 2009086337

前記一般式(I)において、Arは、芳香族基、又は複素環基を表す。
前記Arで表される芳香族基としては、ベンゼン環又は2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したものやベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものを挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、中でも、フェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
また、これらの芳香族基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものなどを挙げることができる。
また、Arで表される複素環基としては、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられる。中でも、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、インドール環基、アクリジン環基が特に好ましい。
また、これらの複素環基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。例えば、後述のアルキル基、置換アルキル基、又は置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
上記のうち、Arとしては、未露光部の溶解性、他の構成成分との相溶性の点で、無置換もしくは置換基を有するフェニル基もしくはナフチル基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、インドール環基、ピリジル基、カルバゾール環基、又はアクリジン環基が好ましい。
前記一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。
及びRで表される「非金属原子からなる1価の置換基」としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基が好ましい。
前記一般式(I)において、Xは、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、又は−NR−を表し、Rは、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。
で表される「非金属原子からなる1価の置換基」としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基が好ましい。
前記Xとしては、感度、親疎水性の点で、−O−、−S−、−NH−、−NR−である場合が好ましく、−S−、−NH−、−NR−である場合がより好ましく、−NH−、−NR−である場合が最も好ましい。この場合、更にはRがアルキル基である場合が好ましい。
とR、R及びRのいずれかとR、あるいはR及びRのいずれかとAr中の炭素原子は、それぞれ互いに結合して環構造を形成していてもよい。
前記一般式(I)において、Yは、−OR、又は−NRを表す。ここで、Rは、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表し、R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。
なお、Si原子は、−OR、−NR上のO(酸素原子)又はN(窒素原子)のいずれとも直結されておらず、連結基を介して結合されている。
一般式(I)におけるYには、R、R、Rにおいて、RはSi原子を含有しており、R及びRの少なくとも一方はSi原子を含有する。本発明における特定化合物は、ヘテロ原子である酸素原子もしくは窒素原子やカルボニル基の近傍にSi原子が位置し、電子供与能が高まることで電子供与剤として働き、前記推測のように、赤外線吸収剤やヨードニウム塩系開始剤との間で励起電子の逆電子移動が抑えられ、感度を高め得るものと考えられる。
前記R、R、Rで表される「非金属原子からなる1価の置換基」は、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基が好ましい。
中でも、R、R、R、Rで表される「非金属原子からなる1価の置換基」としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロ環基が好ましい。
前記R〜Rで表されるアルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子からなる置換基が挙げられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)およびその共役塩基基(スルホナト基と称する。)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)およびその共役塩基基(ホスホナト基と称する。)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))「alkyl=アルキル基、以下同様」、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))「aryl=アリール基、以下同様」、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))およびその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称する。)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(アリールホスホナト基と称する。)、ホスホノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称する。)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称する。)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称する。)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、上記置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
また、置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基などが挙げられ、置換基におけるアルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基などが挙げられる。
また、置換基におけるアシル基(R01CO)のR01としては、水素原子、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これらの置換基のうち、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
置換基におけるヘテロ環基としては、ピリジル基、ピペリジニル基等が挙げられる。シリル基としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基において置換基を有することで形成されるアルキレン基としては、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
このようなアルキレン基と置換基との組み合わせにより得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
前記R〜Rで表される置換されていてもよいアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
前記R〜Rで表されるアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、並びに置換アルキニル基〔−C(R02)=C(R03)(R04)、並びに−C≡C(R05)〕としては、R02、R03、R04、R05が一価の非金属原子からなる基のものが使用できる。好ましいR02、R03、R04、R05の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R02、R03、R04、R05のより好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子並びに炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。
このようなアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基の好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基を挙げることができる。
前記R〜Rで表される置換されていてもよいヘテロ環基としては、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基等が挙げられる。
前記置換オキシ基(R06)としては、R06が水素原子を除く一価の非金属原子からなる基であるものを用いることができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、並びにアリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基並びに、アリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R07CO)としては、R07が、先の例として挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。好ましい置換オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等が挙げられる。
アミド基も含む置換アミノ基(R08NH−、(R09)(R010)N−)としては、R08、R09、R010が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。なお、R09とR010とは結合して環を形成してもよい。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N’−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R07CO)のR07は前述のとおりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
置換スルホニル基(R011−SO−)としては、R011が一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。このような、置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
スルホナト基(−SO )は、既述の通り、スルホ基(−SOH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンとともに使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、並びに金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換カルボニル基(R013−CO−)としては、R013が一価の非金属原子からなる基のものを使用できる。置換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N’−アリールカルバモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい置換カルボニル基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が挙げられ、さらにより好ましいものとしては、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基並びにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ジメチルアミノフェニルエテニルカルボニル基、メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
置換スルフィニル基(R014−SO−)としては、R014が一価の非金属原子団からなる基のものを使用できる。好ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができる。これらの内、より好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が挙げられる。このような置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙げられる。
置換ホスホノ基とは、ホスホノ基上の水酸基の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキルホスホノ基、並びにジアリールホスホノ基がより好ましい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙げられる。
ホスホナト基(−PO 、−PO)とは、既述の通り、ホスホノ基(−PO)の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるもの、すなわち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類、等)、並びに金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
置換ホスホナト基とは、既述の置換ホスホノ基のうち、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))の共役塩基が挙げられる。
上記のうち、前記R及びRとしては、親疎水性、他の構成成分との相溶性の点で、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、フェニル、トリルが好ましい。
また、前記R、R、R及びRとしては、未露光部の現像性および感度の点で、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、フェニル、2−ヒドロキシエチルなどの水酸基置換アルキル、−CH−COHなどのカルボキシル基置換アルキル、−CH−CO−(アルキル)、−CH−CO−(アリール)などのエステル基置換アルキル、−CH−CONH−(アルキル)、−CH−CONH−(アリール)などのアミド基置換アルキルが好ましい。
前記Yの中でも、本発明の効果(感度、耐刷性、経時安定性)の点で、RとR及び/又はRとの少なくとも一方が、下記一般式(II)で表される基であることが好ましい。
Figure 2009086337

前記一般式(II)において、R、R、R、R10、及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。
nは、15以下の整数であるのが好ましく、1以上8以下の整数がより好ましく、1以上5以下の整数が最も好ましい。
及びRで表される「非金属原子からなる1価の置換基」は、上記のR〜Rにおける「非金属原子からなる1価の置換基」と同義であり、好ましい態様も同様である。中でも、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールを表す場合が好ましい。
また、R、R10、及びR11で表される「非金属原子からなる1価の置換基」は、上記のR〜Rにおける「非金属原子からなる1価の置換基」と同義であり、好ましい態様も同様である。中でも、R、R10、及びR11はそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ビニル基を表す場合が好ましい。
以下、前記一般式(I)で表される特定化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−21)を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
Figure 2009086337
上記の中でも、前記一般式(I)で表される特定化合物は、高感度が得られる点で、以下に示す組合せ態様である場合が好ましい。すなわち、
赤外光に対する感度をより向上させる点で、Arが、無置換もしくは置換基を有するフェニル基もしくはナフチル基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、インドール環基、ピリジル基、カルバゾール環基、又はアクリジン環基であって、Xが−O−、−S−、−NH−、又は−NR−(R:アルキル基)であって、R及びRがともに水素原子、メチル基であって、Yが−OR(R:前記一般式(II)で表される基)、又は−NR(R及び/又はR:前記一般式(II)で表される基)である場合が好ましい。
更には、同様の理由から、Arが、無置換もしくは置換基を有するフェニル基もしくはナフチル基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、インドール環基、ピリジル基、カルバゾール環基、又はアクリジン環基であって、Xが−NH−、−S−、又は−NR−(R:アルキル基)であって、R及びRがともに水素原子、メチル基であって、Yが−OR(R:前記一般式(II)で表される基)である場合が好ましい。
更には、同様の理由から、Arが、無置換もしくは置換基を有するフェニル基もしくはナフチル基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、インドール環基、ピリジル基、カルバゾール環基、又はアクリジン環基であって、Xが−NH−又は−NR−(R:炭素数1〜12の直鎖状アルキル基もしくは炭素数3〜12の分岐状アルキル基もしくは炭素数5〜10の環状アルキル基)であって、R及びRがともに水素原子であって、Yが−OR(R:前記一般式(II)で表される基、R〜R:水素原子、R〜R11:炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ビニル基)である場合が好ましい。
(A)一般式(I)で表される化合物の分子量としては、分子量 未露光部現像性の点で、重量平均分子量で1000未満の比較的低分子量であることが好ましい。
(A)一般式(I)で表される化合物(本発明における特定化合物)の重合性組成物中における含有量としては、赤外光に対する感度を向上させる観点から、赤外線吸収剤の量に対して、5〜1000質量%が好ましく、10〜500質量%がより好ましい。特定化合物の含有量は、5質量%以上であると高い赤外感度が得られ、1000質量%以下であると他の構成成分(バインダー、重合性化合物)などの添加量を損なわずに本発明の効果(感度、耐刷性、経時安定性)を向上させることができる。
(B)ヨードニウム塩系開始剤
本発明の重合性組成物は、ヨードニウム塩系開始剤の少なくとも1種を含有する。ヨードニウム塩系開始剤は、光及び/又は熱のエネルギーによってラジカルを発生し、後述の(C)重合性化合物の重合反応を開始、促進させる化合物である。
本発明では、ラジカル重合開始剤として、オニウム塩であるヨードニウム塩系の開始剤を含有するので、高感度、高耐刷な平版印刷版が得られる。
ヨードニウム塩化合物としては、下記一般式(a)で表される化合物が挙げられる。
<一般式(a)>
Ar −I− Ar ・ Z
〔一般式(a)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、Zは対アニオンを表す。〕
Ar及びArで表される、無置換又は置換基を有する炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基などが挙げられ、実露光部の現像性、他の構成成分との相溶性の点で、アリール基の炭素数は6〜14が好ましい。
Ar及びArで表されるアリール基が置換基を有する場合、該置換基としては、電子供与性基が好ましい。電子供与性基を導入することで、経時での水や求核剤による分解や、熱による電子移動が抑制され、安定性が向上する。
アリール基には置換基として電子供与性基を2個以上有することが好ましく、電位供与性基を3個以上有することがより好ましい。
前記「電子供与性基」としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ウレア基、アルコキシアルキル基、アシロキシアミノ基、シクロアルキル基、アリル基が挙げられ、電子供与性を失わない範囲で、アルキル基、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、チオール基、チオアルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
上記の中でも、好ましい電子供与性基としては、アルキル基、アルコキシ基が挙げられ、最も好ましい電子供与性基はアルコキシ基である。
電子供与性基の好ましい具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、ドデシル基など)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘテロキシ基、オクチロキシ基、ドデシロキシ基、シクロヘキシロキシ基など)が挙げられる。
電子供与性基が複数存在する場合、複数の電子供与性基は同一でも互いに異なるものであってもよい。
電子供与性基はヨードニウム塩のアリール基に導入されるが、その好ましい置換位置としては、パラ位、オルト位が挙げられる。電子供与性基はヨードニウム塩における2つのアリール基の双方に1個以上導入されていてもよく、また、片方のみに2個以上導入されていてもよい。
電子供与性基を導入するにあたっての物性値としての目安を挙げれば、置換基(アリール基に導入される電子供与性基)のハメット値の総和が、−0.27以下であることが好ましく、−0.54以下がより好ましく、−0.84以下であることが最も好ましい。
なお、ハメット値はジアリールヨードニウム塩構造における置換基の電子吸引性の程度を表すものであり、本発明におけるハメット値としては、日本化学会編、化学便覧 基礎編II(1984年、丸善(株)発行)に記載の数値を参照することができる。
ハメット値は通常、置換位置がメタ位、パラ位の値で計算される。本発明においては、電子的な効果としてオルト位の値は、パラ位の値と同値として計算する。
は、対アニオンであり、アニオン構造を有するものであれば制限はない。具体的には、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、スルホンアミドアニオン、ボレートアニオン、燐酸アニオン、スルフィン酸アニオン、硫酸アニオン、PF 、BF 、SbF 、ハロゲンアニオン、過塩素酸アニオンが挙げられ、フルオロアルキルを有するスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオン、PF 、BF 、過塩素酸アニオンが好ましい。
上記のうち、ヨードニウム塩系開始剤は、感度、保存安定性の点で、以下に示す組合せ態様である場合が好ましい。すなわち、
開始剤としては、前記Ar及び/又はArが炭素数6〜14のアリール基であって、該アリール基は置換基として2個以上の電子供与性基を有するヨードニウム塩化合物が好ましく、より好ましくは、前記Ar及び/又はArが炭素数6〜10のアリール基であって、該アリール基は炭素数1〜20のアルキル基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる少なくとも2個の置換基を有するヨードニウム塩化合物であり、更に好ましくは、前記Ar及び/又はArが、置換基として炭素数1〜10のアルコキシ基を2個以上有し、該置換基のハメット値の総和が−0.27であるフェニル基であるヨードニウム塩化合物である。
本発明においては、更に、前記一般式(I)で表される特定化合物が上記の好ましい組合せ態様であって、前記ヨードニウム塩系開始剤が上記の好ましい組合せ態様である場合がより好ましい。
以下、ヨードニウム塩系開始剤の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−23)〕を、アリール基に導入された電子供与性基のハメット値の総和〔カッコ内の数値〕とともに挙げる。但し、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、ハメット値の総和を計算するにあたり、アルコキシ基はメトキシ基と同値で計算する。また、アルキル基の数値として、エチル基よりも高級アルキル基は、エチル基と同値として計算する。
Figure 2009086337
Figure 2009086337
Figure 2009086337
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ヨードニウム塩系開始剤の重合性組成物中における含有量としては、重合性組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%であり、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。ヨードニウム塩系開始剤の含有量が前記範囲内であると、良好な感度が得られ、印刷したときには非画像部の汚れ難さをより向上できる。
ヨードニウム塩系開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の重合性組成物には、上記のヨードニウム塩系開始剤以外の他の開始剤を併用してもよい。
他の開始剤としては、特開2005−215443号公報の段落番号[0117]〜[0193]に記載のヨードニウム塩以外のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
(C)重合性化合物
本発明の重合性組成物は、重合性化合物の少なくとも1種を含有する。重合性化合物を含有することで、組成物をネガ型に構成することができる。
本発明における重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選択することができる。このような化合物群は、本発明の産業分野において広く知られているものがあり、これらから限定なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにこれらの共重合体などの化学的形態を持つ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとして、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとして、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載の、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載のウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載の、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載の、ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、特開昭61−22048号公報に記載の、ペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に用いられる。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、その利用目的、例えば、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版の記録材料として用いる場合には、最終的な平版印刷版原版の性能設計に合わせて任意に設定することができる。例えば、次のような観点から選択される。
感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述のオーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。記録層中の重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
上記の観点から、重合性化合物の含有量は、重合性組成物中の不揮発性成分に対して、5〜80質量%が好ましく、更に好ましくは25〜75質量%である。「不揮発性成分」とは、溶媒以外の本発明に必須の成分および他に含有しても良い添加剤が含まれる。
また、重合性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から、適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
(D)赤外線吸収剤
本発明の重合性組成物は、赤外光を吸収し、熱エネルギーに変換する赤外線吸収剤の少なくとも1種を含有する。赤外線吸収剤を含有することにより、赤外線吸収剤が吸収し得る波長の光により開始剤のラジカル発生反応やそれによる重合性化合物の重合反応が促進することができる。
赤外線吸収剤としては、公知の分光増感色素又は光を吸収して光ラジカル重合開始剤と相互作用する染料あるいは顔料が挙げられる。
<分光増感色素、染料>
赤外線吸収剤として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類、例えば(アントラキノン)、スクアリウム類、例えば(スクアリウム)、例えば、下記化合物等が挙げられる。
Figure 2009086337
より好ましい分光増感色素又は染料としては、特公昭40−28499号公報に記載のピリリウム塩類、例えば、
Figure 2009086337
特公昭46−42363号公報に記載のシアニン類、例えば、
Figure 2009086337
特開平2−63053号公報に記載のベンゾフラン色素、例えば、
Figure 2009086337
特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報に記載の共役ケトン色素、例えば、
Figure 2009086337
特開昭57−10605号公報に記載の色素、特公平2−30321号公報に記載のアゾシンナミリデン誘導体、例えば、
Figure 2009086337
特開平1−287105号公報に記載のシアニン系色素、例えば、
Figure 2009086337
特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報に記載のキサンテン系色素、例えば、
Figure 2009086337
特公昭59−28325号公報に記載のアミノスチリルケトン、例えば、
Figure 2009086337
等を挙げることができる。
また、増感色素として特に以下の赤外線吸収剤(染料あるいは顔料)も好適に使用される。好ましい前記染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、英国特許434,875号明細書に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
その他、本発明において好適に用いることのできるシアニン色素としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。また、具体例としては、以下に例示するものも挙げられる。
Figure 2009086337
Figure 2009086337
Figure 2009086337
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、さらに、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料、EP916513A2号明細書に記載のフタロシアニン系染料も好ましい染料として挙げることができる。
さらに、特願平10−79912号公報に記載のアニオン性赤外線吸収剤も、好適に使用することができる。アニオン性赤外線吸収剤とは、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造がなく、アニオン構造を有するものを示す。例えば、(イ)アニオン性金属錯体、(ロ)アニオン性カーボンブラック、(ハ)アニオン性フタロシアニン、さらに(ニ)下記一般式(21)で表される化合物などが挙げられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン、あるいは多価の陽イオンである。
Figure 2009086337
ここで、(イ)アニオン性金属錯体とは、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属及び配位子全体でアニオンとなるものを示す。
(ロ)アニオン性カーボンブラックは、置換基としてスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基が結合しているカーボンブラックが挙げられる。これらの基をカーボンブラックに導入するには、カーボンブラック便覧第三版(カーボンブラック協会編、1995年4月5日、カーボンブラック協会発行)第12頁に記載されるように、所定の酸でカーボンブラックを酸化する等の手段をとればよい。
(ハ)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン骨格に、置換基として、先に(ロ)の説明において挙げたアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなっているものを示す。
次に、前記(ニ)一般式(21)で表される化合物について詳細に説明する。前記一般式(21)中、Gはアニオン性置換基を表し、G10は中性の置換基を表す。(X10は、プロトンを含む1〜m価のカチオンを表し、mは1ないし6の整数を表す。Mは共役鎖を表し、この共役鎖Mは置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖Mは、下記式で表すことができる。
Figure 2009086337
式中、R80、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。
前記一般式(21)で表されるアニオン性赤外線吸収剤のうち、以下のIRA−1〜IRA−5のものが、好ましく用いられる。
Figure 2009086337
また、以下のIRC−1〜IRC−44に示すカチオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2009086337
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Figure 2009086337
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前記構造式中、T-は、1価の対アニオンを表し、好ましくは、ハロゲンアニオン(F、Cl、Br、I)、ルイス酸アニオン(BF4 、PF6 、SbCl6 、ClO4 )、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオンである。
前記アルキルスルホン酸のアルキルとは、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
また前記アリールスルホン酸のアリールとは、1個のベンゼン環からなるもの、2又は3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを表し、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらの中でも、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、以下のIRN−1〜IRN−9に示す非イオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2009086337
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前記例示化合物中、特に好ましいアニオン性赤外線吸収剤としてはIRA−1が、カチオン性赤外線吸収剤としてはIRC−7、IRC−30、IRC−40、及びIRC−42が、非イオン性赤外線吸収剤としてはIRN−9が挙げられる。
<顔料>
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
なお、本発明の重合性組成物の硬化反応を促進するために添加される赤外線吸収剤は組成物中に他の成分とともに直接添加してもよいが、これに隣接する別の層を設けて、そこへ添加しても同様の効果を得ることができる。
特に、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版のネガ型記録層の材料として使用する場合、該記録層と同一の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加してもよいが、ネガ型平版印刷版原版を作製した際に、記録層の波長300nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが、感度の観点から好ましい。光学濃度は前記増感色素の添加量と記録層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。記録層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの記録層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
また、赤外線吸収剤の含有量については、感度及び均一な層形成性の観点から、重合性組成物の全固形分中、0.01〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%である。特に、染料の場合は、0.5〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、顔料の場合は、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%の割合である。
上記のうち、赤外線吸収色素としては、高感度化の観点から、シアニン系色素が好ましく、特にヘプタメチン鎖を有するシアニン色素が好ましく、また、上記段落[0120]〜[0123]、上記段落[0137]〜[0145]に記載した色素などが好ましい。更には、これと、前記一般式(I)で表される特定化合物(好ましくは、一般式(I)で表される特定化合物の前記好ましい組合せ態様)とを組み合わせた場合が特に好ましい。最も好ましくは、前記好ましい赤外線吸収色素と、前記一般式(I)で表される特定化合物の前記好ましい組合せ態様と、前記ヨードニウム塩系開始剤の前記好ましい組合せ態様とを組み合わせた場合である。
(D)赤外線吸収剤の重合性組成物中における含有量としては、重合性組成物の全固形分に対して、1〜80質量%が好ましく、3〜60質量%がより好ましい。赤外線吸収剤の含有量は、1質量%以上であると赤外照射されたときの光熱変換が良好になり、熱重合反応を良好に進行させることができ、80質量%以下であると露光部の現像液溶解性を抑制し、強固な硬化膜を形成可能である。
(E)バインダー
本発明の重合性組成物は、バインダーの少なくとも1種を含有する。バインダーを含有することで、皮膜特性向上などを向上させることができる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。
線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは、水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする点から、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性を有する線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、記録層などの皮膜形成材料としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているもの、すなわちメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。また同様に、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。このほか、水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
これらの中でも特に、膜強度、感度、現像性のバランスに優れる点で、ベンジル基又はアリル基とカルボキシル基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62648号公報、特願2001−253217号、特願2002−287920号、特開2002−62648号公報などに記載の、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂が好適である。
また、特公平7−12004号公報、特公平7−120041号公報、特公平7−120042号公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−287944号公報、特開昭63−287947号公報、特開平1−271741号公報、特願平10−116232号等に記載の酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
さらに、水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げる点から、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
バインダーポリマーの重量平均分子量については、好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、また、数平均分子量については、好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲である。
多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
本発明におけるバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
バインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成の際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
また、合成の際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
バインダーポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に、本発明の重合性組成物を平版印刷版原版を構成する記録層の形成に用いる場合には、バインダーポリマーの添加量は、画像形成性及び画像部の強度の観点から、記録層全固形分に対して20〜95質量%が好ましく、より好ましくは30〜90質量%である。
また、前記重合性化合物とバインダーポリマーとは、質量比で1/9〜7/3の範囲で用いられるのが好ましい。
(E)バインダーの重合性組成物中における含有量としては、組成物の全固形分に対して、3〜95質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
本発明の重合性組成物は、例えば、3次元光造形やホログラフィー、平版印刷用版材、フレキソ印刷に用いられる合成樹脂凸版、カラープルーフ、フォトレジスト、及びカラーフィルター等の画像形成材料、インク、塗料、並びに、接着剤等の用途に好適であり、特に、コンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用いて直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なネガ型の画像形成材料の記録層用の材料として好適である。
<平版印刷版原版>
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に少なくとも感光層を設けて構成されたものであり、感光層の少なくとも一層は、少なくとも、(A)既述の一般式(I)で表される化合物、(B)ヨードニウム塩系開始剤、(C)重合性化合物、(D)赤外線吸収剤、及び(E)バインダーを用いて構成されており、好ましくは、既述の本発明の重合性組成物を用いて形成することができる。また、本発明の平版印刷版原版は、記録層以外に更に、必要に応じて、中間層、保護層等の他の層を設けて構成することができる。
本発明の平版印刷版原版は、既述の一般式(I)で表される化合物を(B)ヨードニウム塩系開始剤及び(D)赤外線吸収剤と共に用いるので、感度、及び高い保存安定性を有し、印刷時の耐刷性に優れる。
本発明の平版印刷版原版の記録層を構成する(A)一般式(I)で表される化合物、(B)ヨードニウム塩系開始剤、(C)重合性化合物、(D)赤外線吸収剤、及び(E)バインダーの詳細については、既述の通りである。
記録層中における(A)〜(E)の各成分の含有量については、下記の通りである。
(A)一般式(I)で表される化合物の記録層中における含有量としては、既述の重合性組成物における場合と同様の理由から、赤外線吸収剤の量に対して、5〜1000質量%が好ましく、10〜500質量%がより好ましい。
(B)ヨードニウム塩系開始剤の記録層中における含有量としては、既述の重合性組成物における場合と同様の理由から、記録層の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%であり、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。ヨードニウム塩系開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けて添加してもよい。
(C)重合性化合物の記録層中における含有量としては、不揮発性成分に対して、5〜80質量%が好ましく、25〜75質量%がより好ましい。
(D)赤外線吸収剤の記録層中における含有量としては、既述の重合性組成物における場合と同様の理由から、記録層の全固形分に対して、1〜80質量%が好ましく、3〜60質量%がより好ましい。
(E)バインダーの記録層中における含有量としては、記録層の全固形分に対して、3〜95質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
(支持体)
平版印刷版原版を構成する支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のように金属がラミネート又は蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルム同志の積層シート等が含まれる。
支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は、高々10質量%以下である。本発明において、特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
アルミニウム板を用いる場合のアルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度が好ましく、より好ましくは0.15〜0.4mmであり、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行なわれる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行なうことができるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法、及び化学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的な粗面化法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法がある。また、電気化学的な粗面化法としては、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行なう方法がある。また、特開昭54−63902号公報に記載のように、両者を組合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、所望により、アルカリエッチング処理、中和処理を経て、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施すことができる。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般には電解質の濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。
陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/mの範囲である。陽極酸化被膜が1.0g/m未満であると、耐刷性が不充分になったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなり、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は、平板印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/mの陽極酸化被膜が形成されるのが一般的である。
支持体表面の親水化処理は、上記陽極酸化処理の後に施されるものであり、従来より知られている処理法が用いられる。このような親水化処理としては、米国特許第2,714,066号明細書、同第3,181,461号明細書、同第3,280,734号明細書、及び同第3,902,734号明細書に記載のアルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に記載のフッ化ジルコン酸カリウム、及び米国特許第3,276,868号明細書、同第4,153,461号明細書、同第4,689,272号明細書に記載のポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
これらの中で、特に好ましい親水化処理は、珪酸塩処理である。珪酸塩処理について、以下に説明する。
上記のように処理を施したアルミニウム板の陽極酸化皮膜を、アルカリ金属珪酸塩が0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%であり、25℃でのpHが10〜13である水溶液に、例えば15〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し、13.0より高いと酸化皮膜が溶解されてしまう。前記アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IVB族金属塩を配合してもよい。前記アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。前記第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。
これら金属塩の好ましい範囲は、0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。
珪酸塩処理により、アルミニウム板表面上の親水性が一層改善されるため、印刷の際、インクが非画像部に付着しにくくなり、汚れ性能が向上する。
(記録層の形成)
支持体上に記録層を設ける方法としては、前記成分(A)〜(E)を含む所望の成分、好ましくは既述の本発明の重合性組成物を溶媒を用いて記録層形成用の塗布液(記録層用塗布液)とし、これを支持体上に塗布することによって製造することができる。
前記溶媒としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。溶媒中の前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版を作製する場合は一般に0.5〜5.0g/mが好ましい。
塗布量が少なくなるにつれて見かけの感度は大きくなるが、記録層の皮膜特性は低下する。
塗布方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
記録層用塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載のフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全記録層の材料固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
本発明の平版印刷版原版には、後述するバックコート層、中間層、保護層などを設けてもよく、前記記録層と同様にして形成することができる。
(種々の添加剤)
本発明の平版印刷版原版の記録層には、以下に示す種々の添加剤を加えてもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号公報に記載の染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加することが好ましい。添加する場合の添加量は、記録層用塗布液の全固形分に対して、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
また、本発明においては、重合性組成物の調製中あるいは保存中あるいは平版印刷版原版の保存中における重合性化合物の不要な熱重合を阻止するため、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、組成物の全質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
また、記録層の現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載の非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載の両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤及び前記両性界面活性剤の記録層用塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
さらに、本発明における記録層用塗布液中には、必要に応じて、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
(バックコート層)
本発明の平版印刷版原版の支持体の記録層が設けられる側と反対側(裏側)には、必要に応じて、バックコート層が設けられる。バックコート層としては、特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物、及び特開平6−35174号公報に記載の、有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OCなどの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
(中間層)
本発明の平版印刷版原版には、記録層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層を設けてもよい。
中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号等の公報や、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等の明細書に記載のものを挙げることができる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版には、通常、露光を大気中で行なうため、前記記録層の上に更に、保護層を設けることが好ましい。保護層は、露光時に記録層中で進行する画像形成反応を阻害する大気中の酸素や塩基性物質等の低分子化合物の記録層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。したがって、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、記録層との密着性に優れ、かつ露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
このような保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては、例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることがよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーが知られている。これらのうち、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的に最も良好な結果を与える。保護層に用いるポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性とを有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。特に、ポリビニルアルコールに対してポリビニルピロリドンを15〜50質量%の範囲で置き換えた混合物が保存安定性の観点から好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の記録層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許第292,501号明細書、米国特許第44,563号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、記録層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。保護層の塗布方法については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書、特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
(露光、現像および印刷)
支持体の上に既述の本発明の重合性組成物を用いて記録層を形成した平版印刷版原版は、赤外線レーザで記録することができる。また、紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。本発明においては、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
赤外線レーザにより露光した後、重合性組成物(又は記録層)は、好ましくは水又はアルカリ性水溶液にて現像される。
前記現像液として、アルカリ性水溶液を用いる場合、現像液及びその補充液としては、従来公知のアルカリ性水溶液を使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
さらに、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液と同じもの又は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及びその補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、及び両性界面活性剤が挙げられる。好ましい有機溶剤としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールもしくはその誘導体、又はポリプロピレングリコールもしくはその誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビット、マンニット等の非還元糖を添加することもできる。
さらに、現像液及びその補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸又は亜硫酸水素酸のナトリウム塩及びカリウム塩等の無機塩系還元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
前記現像液及びその補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の重合性組成物を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布した後、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合には、バーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.8g/m(乾燥質量)が適当である。
整面液が塗布された平版印刷版は、必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士フイルム(株)製のバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
このような処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機等にかけられ、耐刷性に優れることから多数枚の印刷に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
−支持体の作製−
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti 0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理を行なった。鋳造法はDC鋳造法で行なった。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように、550℃で10時間均質化処理を行なった。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒間、中間焼鈍した後、冷間圧延を行なって、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に、平版印刷版支持体とするための表面処理を行なった。
まず、アルミニウム板(以下、アルミウェブともいう。)表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行ない、30%硫酸水溶液で50℃で30秒間、中和、スマット除去処理を行なった。次いで、支持体と記録層との密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる砂目立て処理を行なった。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミとを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dmを与えることで電解砂目立てを行なった。その後、10%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、エッチング処理を行ない、30%硫酸水溶液を用いて50℃で30秒間、中和、スマット除去処理を行なった。
さらに、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dmの直流で電解処理を行なうことで2.5g/mの陽極酸化皮膜を作製した。
以上のようにして、アルミニウム支持体を得た。
−記録層の形成−
下記組成の記録層用塗布液1を調製し、上記のようにして得られたアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥させて記録層を形成した。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/mの範囲内であった。さらに、記録層上に下記組成のオーバーコート層用塗布液を、スライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥させて、本発明のネガ型の平版印刷版原版を得た。オーバーコート層の塗布量は2.3g/mであった。
<記録層用塗布液1の組成>
・既述の例示化合物A−1(既述の一般式(I)で表される、本発明における特定化合物) ・・・0.15g
・下記(B−1)で表されるヨードニウム塩系開始剤 ・・・0.35g
・下記(C−1)で表される重合性化合物 ・・・2.00g
・下記(D−1)で表される赤外線吸収剤 ・・・0.08g
・下記(E−1)で表されるバインダーポリマー ・・・2.0g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 ・・・0.04g
・フッ素系界面活性剤 ・・・0.01g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン ・・・9.0g
・メタノール ・・・10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・8.0g
<オーバーコート層用塗布液の組成>
・ポリビニルアルコール ・・・2.5g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン ・・・0.5g
(K30、東京化成工業(株)製、重量平均分子量:4万)
・非イオン性界面活性剤 ・・・0.05g
(EMAREX NP−10、日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 ・・・96.95g
−露光−
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210r.p.m.、版面エネルギー100mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光した。
−現像処理−
露光後、富士フイルム(株)製の自動現像機スタブロン900Nを用いて現像処理した。現像液は、仕込み液、補充液ともにDV−2(富士フイルム(株)製)の1:4水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、FN−6(富士フイルム(株)製)の1:1水希釈液(pH=10.8)を用いた。
−評価−
上記で得られた平版印刷版原版の感度、保存安定性、及び得られた平版印刷版の耐刷性について下記の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
〔1.感度の評価〕
露光(波長830〜850nm程度の赤外線レーザによる)及び現像により得られた画像の線幅とレーザ出力、光学系でのロス及び走査速度をもとに、記録に必要なエネルギー量を算出した。感度は、数値が小さいほど高感度であることを示す。
〔2.保存安定性の評価〕
平版印刷版原版を45℃、湿度75%RHの環境下に3日間放置して強制処理を行なった後、上記と同様にして印刷を行ない、非画像部の汚れの程度を観察し、下記評価基準にしたがって保存安定性を評価する指標とした。
<評価基準>
○:非画像部への汚れは無かった。
△:非画像部に僅かに汚れがみられた。
×:非画像部に汚れが発生した。
〔3.耐刷性の評価〕
得られた平版印刷版について、ローランド社製の印刷機R201により大日本インキ化学工業(株)製のインキGEOS−G(N)を用いて印刷を行なった。印刷された印刷物のベタ画像部を観察し、画像がかすれはじめた枚数を求め、耐刷性を評価する指標とした。耐刷性は、かすれずに印刷された枚数が多いほど良好であることを示す。
(実施例2〜15)
実施例1において、(A)本発明における特定化合物(一般式(I)で表される化合物)、(B)ヨードニウム塩系開始剤、(C)重合性化合物、(D)赤外線吸収剤、(E)バインダーポリマーの種類を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、記録層用塗布液を調製し、平版印刷版原版を作製すると共に、平版印刷版の作製及び評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、(A)本発明における特定化合物である例示化合物A−1(一般式(I)で表される化合物)を、Si原子を含まない下記化合物HA−1に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、記録層用塗布液を調製し、平版印刷版原版を作製すると共に、平版印刷版の作製及び評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、(B)ヨードニウム塩系開始剤B−1を、下記化合物HA−2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、記録層用塗布液を調製し、平版印刷版原版を作製すると共に、平版印刷版の作製及び評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
Figure 2009086337
前記表1中に示す各成分の詳細を以下に示す。
Figure 2009086337
Figure 2009086337
Figure 2009086337
Figure 2009086337

Figure 2009086337
Figure 2009086337
前記表1に示すように、実施例では、赤外照射による重合感度及び保存安定性に優れており、耐刷性も良好であった。これに対し、比較例では、感度、保存安定性、及び耐刷性の全てを満足することは困難であった。

Claims (3)

  1. (A)下記一般式(I)で表される化合物と、
    (B)ヨードニウム塩系開始剤と、
    (C)重合性化合物と、
    (D)赤外線吸収剤と、
    (E)バインダーと、
    を含む重合性組成物。
    Figure 2009086337


    〔式中、Arは、芳香族基又は複素環基を表す。Xは、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、又は−NR−を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。Yは、−OR、又は−NRを表す。Rは、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表し、R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。〕
  2. 前記R、R、及びRの少なくとも1つは、下記一般式(II)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
    Figure 2009086337


    〔式中、R、R、R、R10、及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。nは、1以上の整数を表す。〕
  3. 支持体上に、
    (A)下記一般式(I)で表される化合物と、
    (B)ヨードニウム塩系開始剤と、
    (C)重合性化合物と、
    (D)赤外線吸収剤と、
    (E)バインダーと、
    を含有する感光層を有する平版印刷版原版。
    Figure 2009086337


    〔式中、Arは、芳香族基又は複素環基を表す。Xは、−O−、−S−、−SO−、−NH−、−CO−、又は−NR−を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表す。Yは、−OR、又は−NRを表す。Rは、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は非金属原子からなる1価の置換基を表し、R及びRの少なくとも一方は、非金属原子からなり、少なくとも1つのSi原子を含有する1価の置換基を表す。〕
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