JP2007024966A - ネガ型画像形成材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 感光層上に保護層が設けられてなる画像形成材料であって、感度及び耐キズ性に優れ、また、保護層を除去することが容易であり、更には、重ねて保存した場合でも隣接する画像形成材料同士や画像形成材料と保護紙(合紙)との接着を抑制することが可能で、優れた画質の画像を形成しうるネガ型画像形成材料を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、(A)ラジカル開始剤及び(B)ラジカル重合性化合物を含有し、光又は熱により硬化反応を生起する感光層と、アミド基及び/又はシアノ基を有する水溶性化合物を含有する保護層と、をこの順に設けてなることを特徴とするネガ型画像形成材料。
【選択図】 なし

Description

本発明はネガ型画像形成材料に関し、詳細には、高感度で記録可能であり、平版印刷版原版として有用なネガ型画像形成材料に関する。
従来より、露光、加熱などのエネルギー付与により硬化する層を有するネガ型画像形成材料は、例えば、走査露光により、デジタルデータから直接画像形成可能であることから、着色された画像を形成しうる画像形成材料のみならず、カラーフィルター、平版印刷版原版など種々の用途に使用されている。
これらの代表的なものとして汎用される平版印刷版原版としては、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられている。その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、その様なデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブロンズテッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、感光層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。特に、親水性支持体上に感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーとを含有する光重合型の感光層、及び必要に応じて酸素遮断性の保護層とを設けた平版印刷版原版が知られており(例えば、特許文献1、2参照。)、かかる平版印刷版原版は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有していた。
しかしながら、重合型の感光層と保護層とを有する平版印刷版原版においては、その保護層の態様によっては、感度の低下、耐キズ性の低下を招く恐れがあった。また、かかる保護層は、現像時に、又は、現像前のプレ水洗により、除去されるが、いずれの工程によって保護層を除去する場合においても、膜重量が多い場合や該保護層を構成する化合物によっては、現像液や水洗液中の保護層成分の濃縮化が起こり、現像装置などの画像形成装置において、汚れや配管つまり等の問題が発生し易いという問題があった。
また、保護層を有する平版印刷版原版であって、感光層の画像部の硬化が不充分であると、保護層を除去する工程としてプレ水洗を必要とすることや、現像時間が増大することに伴い、画像部がダメージを受けてしまい、結果的に保護層を設けることによって耐刷性が低下してしまう問題を抱えているというのが現状である。
また、このような平版印刷版原版は、通常、複数の版を積層してなる積層体の状態で保存、搬送されるが、その際に、感光層面と支持体裏面とが直接接触するため、かかる保護層を設けた原版では、特に高湿度下で保存された場合、支持体と接着してはがれ難くなり、作業性が低下したり、接着したものを剥離しようとする際、感光層側表面の一部が支持体に付着してしまい感光層に欠陥が生じるという問題があった。
このような問題を防止するため、平版印刷版原版を積層する際に保護紙(合紙)を挟み込み、直接接触しないような工夫がなされているが、かかる保護層では、特に高湿度下で保存された場合、保護紙(合紙)と接着してはがれ難くなり、作業性が低下したり、接着したものを剥離しようとする際、感光層側表面の一部が剥離してしまい感光層に欠陥が生じるという問題があった。
特開2000−347398号公報 特開2003−84442号公報
本発明は、前記従来における技術的な問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、感光層上に保護層が設けられてなる画像形成材料であって、感度及び耐キズ性に優れ、また、保護層を除去することが容易であり、更には、重ねて保存した場合でも隣接する画像形成材料同士や画像形成材料と保護紙(合紙)との接着を抑制することが可能で、優れた画質の画像を形成しうるネガ型画像形成材料を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、保護層にアミド基やシアノ基を有する水溶性化合物を含有させることで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を解決するに至った。
即ち、本発明のネガ型画像形成材料は、支持体上に、(A)ラジカル開始剤及び(B)ラジカル重合性化合物を含有し、光又は熱により硬化反応を生起する感光層と、アミド基及び/又はシアノ基を有する水溶性化合物(以下、適宜、「特定水溶性化合物」と称する。)を含有する保護層と、をこの順に設けてなることを特徴とする。
以下、本発明のネガ型画像形成材料を、単に、「画像形成材料」と称する場合がある。
本発明の画像形成材料において、水溶性化合物が重量平均分子量1,000以上の高分子化合物であることが好ましく、更に、この高分子化合物が側鎖に酸基又はその塩を有することが好ましい。
また、本発明の画像形成材料における保護層中に、更に、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを含有することが好ましい態様である。
また、本発明の画像形成材料において、感光層が、更に、(C)増感色素を含有することが好ましい態様である。また、赤外線レーザなどに感光性を有する感光層とする場合には、この(C)増感色素が、赤外領域に吸収を有するものであることがより好ましい態様である。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推測される。
本発明においては、感光層上に設けられる保護層の成分として、アミド基及び/又はシアノ基を有する水溶性化合物を使用することで、アミド基の水素結合性や双極子モーメントの大きいシアノ基の分子間相互作用により高強度な被膜を形成するため、塗膜形成後の膜中溶存酸素量が低く、更に、外部からの酸素遮断性が高いため、ラジカル重合性化合物の酸素による重合阻害が抑制される。そのため、感光層は高感度で重合が起こり、高硬化度な皮膜となるため、本発明のネガ型画像形成材料を平版印刷版原版に適用した場合、形成された画像部は充分に硬化されており、高耐刷な印刷版を形成することができる。
また、保護層が高強度な被膜を形成するため、物理的な保護機能が高く、耐キズ性に優れた画像形成材料を与えることができる。なお、ここでいう「キズ」とは、爪先や針先などで感光層面を機械的に引っ掻いたとき、その部分が現像処理しても膜として残る、或いは保護層が剥がれることにより酸素遮断が低下し、露光部のラジカル重合反応が酸素により阻害され露光部すなわち画像部が現像により除去されてしまうという現象である。この現象が起きると、本発明のネガ型画像形成材料を平版印刷版原版に適用した場合、非画像部であるにも関わらず画像として印刷物に転写されたり、画像部であるにも関わらず印刷物の画像がぬけてしまう。このようにキズが発生しやすい平版印刷版原版を使用すると、刷版搬送時の取り扱いに注意を要したり、露光装置であるプレートセッターの刷版くわえ部分に残膜が出るなど、ハンドリング性の悪い刷版となる。
更に、本発明における保護層は、被膜性に優れ、塗布乾燥後は疎水的で水を呼び込みにくい膜を形成することができる。そのため、本発明のネガ型画像形成材料を平版印刷版原版に適用した場合、平版印刷版原版を重ねて保存した場合でも、隣接する平版印刷版原版同士や平版印刷版原版と保護紙(合紙)との接着を抑制することができるものと推測される。
加えて、本発明に用いられる特定水溶性化合物は、極性基であるアミド基やシアノ基を有し、また、好ましくはカルボキシル基、更に好ましくはカルボン酸塩基を側鎖に有するので、例えば、水のような高極性の媒体に対しての親和性に優れる。そのため、水分散性に優れ、本発明のネガ型画像形成材料を平版印刷版原版に適用した場合、ランニング適性上、問題となる現像カスが発生しにくいという利点をも有する。
本発明によれば、感光層上に保護層が設けられてなる画像形成材料であって、感度及び耐キズ性に優れ、また、保護層を除去することが容易であり、更には、重ねて保存した場合でも隣接する画像形成材料同士や画像形成材料と保護紙(合い紙)との接着を抑制することが可能で、優れた画質の画像を形成しうるネガ型画像形成材料を提供することができる。
以下、本発明のネガ型画像形成材料について説明する。
本発明のネガ型画像形成材料は、支持体上に、(A)ラジカル開始剤及び(B)ラジカル重合性化合物を含有し、光又は熱により硬化反応を生起する感光層と、アミド基及び/又はシアノ基を有する水溶性化合物(特定水溶性化合物)を含有する保護層と、をこの順に設けてなることを特徴とする。
まず、本発明における保護層について説明する。
<保護層>
本発明における保護層は特定水溶性化合物を含有する。
まず、この特定水溶性化合物について説明する。
(特定水溶性化合物)
この特定水溶性化合物としては、アミド基及び/又はシアノ基を有し、かつ、酸性〜中性〜アルカリ性の水に対し、溶解或いは分散されるものであれば特に制限はないが、中性〜アルカリ性の水に対し、溶解或いは分散されるものが好ましく、中でも、水溶性であることがより好ましい。
本発明における特定水溶性化合物は、現像性や現像液中での析出を抑制する点から、構造内に、酸基又はその塩を有することが好ましい。
また、特定水溶性化合物は、保護層中の他の成分との相溶性を向上させて、画像形成の際に用いられる光の透過を均一にする観点から、特定水溶性化合物が、重量平均分子量が1,000以上の高分子化合物であり、該高分子化合物が側鎖に酸基又はその塩を有することが好ましい。
上記のように、特定水溶性化合物が側鎖にアミド基を有する高分子化合物である場合、その側鎖のアミド基としては、下記一般式(1)で表される構造、及び、下記一般式(2)で表される構造が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007024966
(上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、R1とR2、R3とR4が互いに結合して脂環構造を形成してもよい。)
前記R1〜R4で表される1価の有機基としては、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、又は脂環式基が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2:alkyl=アルキル基、以下同)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2:aryl=アリール基、以下同)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基中のアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
上記置換基中のアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、また、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
上記置換基中のアシル基(R01CO−)におけるR01としては、水素原子、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
上記置換基中のヘテロ環基としては、ピリジル基、ピペリジニル基等が挙げられる。
上記置換基中のシリル基としては、トリメチルシリル基等が挙げられる。
これらの置換基の内、更により好ましいものとしては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記のような置換基とアルキレン基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
前記R1〜R4で表される1価の有機基がアリール基である場合、該アリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
前記R1〜R4で表される1価の有機基が置換アリール基である場合、該置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては、前述の置換アルキル基において導入される置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
前記R1〜R4で表される1価の有機基がアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、並びに置換アルキニル基(−C(R02)=C(R03)(R04)、並びにC≡C(R05))である場合、R02、R03、R04、及びR05が、一価の非金属原子団からなる基のものが使用できる。
好ましいR02、R03、R04、R05の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基並びに置換アリール基を挙げることができる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。R02、R03、R04、R05のより好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子並びに炭素原子数1から10までの直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができる。このようなアルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基の好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基を挙げることができる。
前記R1〜R4で表される1価の有機基がヘテロ環基である場合、該ヘテロ環基としては、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられる。
また、複素環基は置換基を有していてもよく(置換へテロ環基)、この置換ヘテロ環基としては、上記のヘテロ環基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては、前述の置換アルキル基において導入される置換基として示したものを挙げることができる。
前記R1〜R4で表される1価の有機基が脂環式基である場合、該脂環式基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。
また、脂環式基は置換基を有していてもよく(置換脂環式基)、この置換脂環式基としては、上記の脂環式基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては、前述の置換アルキル基において導入される置換基として示したものを挙げることができる。
また、一般式(1)、及び、一般式(2)において、R1とR2、R3とR4が互いに結合して形成される環としては、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピロール、インドリン等が挙げられる。中でも、脂環を形成する場合が好ましい。なお、これらの基は、更に前述のような置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)、及び、一般式(2)において、R1、R2、R3、R4としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましい。中でも、水素原子が、感度、耐キズ性、現像性の点で優れ、最も好ましい。
本発明における特定水溶性化合物は、現像性、及び現像液中での析出(カス発生)が効果的に抑制できる点から、カルボキシル基、スルホン酸基といった酸基若しくはその塩を有することが好ましく、カルボキシル基を有することが好ましい。この酸基やその塩のその含有量は、0.4meq/g以上含まれていることが好ましく、より好ましくは、0.7meq/g〜3.5meq/gの範囲である。
中でも、本発明における特定水溶性化合物は、これらの酸基又はその塩を側鎖に有する高分子化合物であることが好ましい。
特に、本発明における特定水溶性化合物は、現像性向上の点から、側鎖のカルボキシル基が一部或いは全て塩基により中和されている(側鎖カルボン酸塩)高分子化合物であることが好ましい。ここで、側鎖にカルボン酸塩を導入する方法としては、後述のカルボキシル基含有ラジカル重合性化合物を水酸化ナトリウムなどの無機塩基やテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミンなどの有機塩基で中和したものを共重合するか、カルボキシル基含有ラジカル重合性化合物を共重合した後、これらの塩基を用いて中和処理することで合成できる。使用される塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アンモニウム化合物の水酸化物、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は、炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
有機アンモニウム化合物の水酸化物の好ましい例としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。
金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
カルボン酸塩のカウンターカチオンとしては、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、リチウムカチオンなどの1価の金属カチオンや、テトラエチルアンモニウムなどの1価の有機アンモニウムカチオンが好ましい。
側鎖カルボキシル基が中和されてカルボン酸塩になっている割合としては、好ましくは全カルボキシル基量の内、5%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
カルボン酸を含有するラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどがあり、特に好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンである。
ここで、上記のような、本発明における特定水溶性化合物が、高分子化合物であって、側鎖に、酸基又はその塩を有するものは、下記(1)や(2)の方法で製造される。
(1)下記(i)〜(iii)の単量体を、通常のラジカル重合法を用いることにより製造する方法。
(i)アミド基及び/又はシアノ基を含有するラジカル重合性化合物を少なくとも1種
(ii)カルボン酸塩基を含有するラジカル重合性化合物を少なくとも1種
(iii)必要に応じて、(i)、(ii)以外のラジカル重合性化合物
(2)下記(i)〜(iii)の単量体を、通常のラジカル重合法により重合したのち、塩
基を使用して(ii)のカルボン酸をカルボン酸塩にする方法。
(i)アミド基及び/又はシアノ基を含有するラジカル重合性化合物を少なくとも1種
(ii)カルボン酸基を含有するラジカル重合性化合物を少なくとも1種
(iii)必要に応じて、(i)、(ii)以外のラジカル重合性化合物
上記の(i)で用いられる、アミド基及び/又はシアノ基を含有するラジカル重合性化合物の具体例を下記に示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007024966
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また、上記の(ii)で用いられる、カルボン酸基を含有するラジカル重合性化合物の具
体例をとしては、前述のものが用いられる。
更に、上記の(iii)で必要に応じて用いられる、(i)、(ii)以外のラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、アルキルアクリレート(該アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなど);
アリールアクリレート(例えば、フェニルアクリレートなど);
アルキルメタクリレート(該アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレー卜、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど);
アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど);
スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類、(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど);
アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど);
ハロゲンスチレン(例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど);等が挙げられる。
これらは、1種あるいは2種以上用いることができる。
以下、本発明における特定水溶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特定水溶性化合物が(W−1)〜(W−21)のように、共重合体である場合、各ユニットに記載されている数値は、モル%を表す。
Figure 2007024966
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Figure 2007024966
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本発明における特定水溶性化合物が高分子化合物である場合、その分子量は、重量平均分子量にて、1,000以上の高分子化合物であることが好ましく、10,000〜20万の範囲であることが好ましい。
本発明における特定水溶性化合物は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、特定水溶性化合物が低分子化合物である場合には、保護層全固形分中、5〜60質量%の範囲で含有されることが好ましく、5〜30質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
具体的には、特定水溶性化合物が分子量1,000以上の高分子化合物である場合には、保護層全固形分中、5〜95質量%の範囲で含有されることが好ましく、5〜20質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
また、保護層(1g)中のアミド基及び/又はシアノ基の好ましい含有量は、感度、耐キズ性の点で、0.01meq/g以上が好ましく、0.1meq/g以上がより好ましく、0.4meq/g以上が最も好ましい。
ここで、特定水溶性化合物が高分子化合物であり、皮膜形成性を有する場合には、該特定水溶性化合物がバインダー成分となり保護層を形成することができる。また、特定水溶性化合物が低分子化合物である場合には、バインダー成分と併用することで保護層を形成することが好ましい。このときのバインダー成分としては、高分子化合物である前記特定水溶性化合物を用いてもよいし、他の高分子化合物を用いることもできる。
このように、本発明における保護層は、特定水溶性化合物の他に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の高分子化合物を混合して使用することができる。例えば、本発明における特定水溶性化合物が高分子化合物の場合、他の高分子化合物と混合して使用することができ、また、特定水溶性化合物が分子量1,000未満の低分子化合物である場合には、膜性向上のためのバインダー成分として他の高分子化合物を併用することが好ましい。ここで併用可能な他の高分子化合物としては、例えば、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号等に詳細に記載されている公知のものを用いることができる。このような保護層に使用できる材料としては、水若しくはアルカリ水溶液に溶解できる天然高分子化合物及び合成高分子化合物から選ばれ、塗布乾燥された時にフィルム形成できるものが好ましい。具体的には、天然高分子化合物では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等が挙げられ、合成高分子化合物では、ポリビニルアルコール、そのブチラール誘導体、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリウレタン等を挙げることができる。
これらのうち、ポリビニルアルコールを用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性の観点から好ましい。そのようなポリビニルアルコールとしては、無変性のポリビニルアルコールと、カルボン酸又はその塩、或いはスルホン酸塩等により変性された酸変性ポリビニルアルコールと、が挙げられる。中でも、親水性を高めた酸変性ポリビニルアルコールが現像性の観点から好ましく、具体的には、例えば、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコール等の酸変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよく、また、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。
このようなポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、重合度が300から2400の範囲のものを挙げることができる。具体的には、株式会社クラレ製の、KL−504、KL−506、KL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等、日本合成化学工業株式会社製の、NH−26、NH−20、NH−18、N−300、NM−11、NL−05、AH−26、AH−22、AH−17、A−300、C−500、P−610、AL−06、GH−23、GH−20、GH−17、GM−14、GM−14L、GL−05、GL−03、KH−20、KH−17、KM−11、KL−05、KL−03、KP−08、KP−06、NK−05、NH−17Q、NM−11Q、EG−40、EG−30、EG−25、EG−05、NH−18S、GH−20S、GH−17S、GL−05S、T−330、T−330S、T−330H、T−330ST、T−350、T−230、T−215、T−HS−1、K−210、L−7514、L−5407、Z−200、Z−200H、Z−210、Z−100、Z−220、F−78、L−0301、L−0302、L−3266、CKS−50等、電気化学工業株式会社製の、K−24E、K−17C、K−17E、K−05、H−24、H−20、H−17、H−12、B−33、B−24T、B−24、B−20、B−17R、B−17、B−05、B−04、NP−15、NP−20H、EP−120K、EP−240、PC−100、EP−130、D−100、F−300S、D−310、F−510S、MP−10、DR−828、W−100等が挙げられる。
このように、保護層中に、高分子化合物である場合の特定水溶性化合物と、他の高分子化合物とを混合して含有させる場合には、他の高分子化合物は、全高分子化合物中で90質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは50質量%以下である。
保護層の他の組成物(添加物)として、グリセリン、ジプロピレングリコール等をポリアミド樹脂に対して数質量%相当量添加することができる。かかる添加物により保護層に可撓性を付与することができる。また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤;をポリアミド樹脂に対して数質量%添加することができる。
また、保護層と感光層との密着性も、画像形成材料の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性成分(特定水溶性化合物やポリビニルアルコールを含む)からなる親水性の層を新油性の重合層(感光層)に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これらの2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層(感光層)の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、感光層との密着性の向上させるこれらの公知の技術をいずれも適用することができる。
また、本発明における保護層は、耐キズ性、酸素遮断性、現像除去性に観点から、塗布量が0.5g/m2以上であることが好ましい、更に好ましくは1.0〜3.0g/m2であり、より好ましくは、1.2〜2.0g/m2である。
なお、本発明において、保護層の塗布量とは乾燥後の被覆量を表すこととする。
また、本発明における保護層は、本発明の画像形成材料を高照度の赤外レーザで露光する場合はアブレーション防止層としての機能を果たしてもよい。
このような場合、本発明における保護層に望まれる特性としては、上記以外に、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れていることが好ましい。
本発明において保護層の組成成分(特定水溶性化合物の選択、併用する水溶性高分子化合物の選択、添加剤の種類や使用の有無)、塗布量は、特定水溶性化合物の含有量及び塗布量が上記の範囲内であれば、所望する、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐キズ性を考慮して、適宜、選択することができる。
本発明に用いられる保護層は、通常、保護層用塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、感光層上に塗布・乾燥して形成される。
ここで使用する溶媒としては、水を主成分として用いるが、塗布液の表面張力、粘度等の塗布物性制御や感光層の溶解性制御の点から、メタノール等のアルコール類、グリセリン等のグライコール類、エタノールホルムアミドなどのアマイド類、ジメチルスルホキシドを混合し使用できるが、これに限定されたものではない。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは0.01〜50質量%、更に好ましくは1〜20質量%である。
本発明に係る保護層用塗布液には、塗布性を良化するために界面活性剤を添加してもよい。そのような界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、グリセロールモノウラレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、アルキルアリルエーテルホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸テルホルマリン縮合物等が挙げられる。
これらの界面活性剤の好ましい添加量は、溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)中、0.01〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布、エクストリュージョン塗布等を挙げることができる。
更に、本発明における保護層に、無機質の層状化合物を添加することも好ましい態様である。無機質の層状化合物を添加することにより、酸素遮断性や感光層との密着性を低下させることなく、接着抑制をより向上させることが可能である。
好適に使用できる無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、一般式A(B,C)2−5D410(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、一般式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3(AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si410)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F2、Na又はLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明において使用される無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明において使用される無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による画像形成材料における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
無機質の層状化合物の保護層に含有される量は、無機質の層状化合物の添加効果発現、及び塗膜のひび割れ発生の観点から、保護層に使用される、特定水溶性化合物を含む全高分子化合物の量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。
複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これらの無機質の層状化合物の合計の量が上記の質量比であることが好ましい。
保護層に用いる無機質の層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
<感光層>
本発明における感光層は、(A)ラジカル開始剤及び(B)ラジカル重合性化合物を含有し、光又は熱により硬化反応を生起することを特徴とする。
以下、感光層を構成する上記必須成分に加え、任意成分についても説明する。
[(A)ラジカル開始剤]
本発明における感光層に含有されるラジカル開始剤とは、光及び/又は熱のエネルギーによってラジカルを発生し、後述する(B)ラジカル重合性化合物の重合反応を開始、促進させる化合物を指す。
本発明において、好ましいラジカル開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)芳香族ケトン類
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類には、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、
Figure 2007024966
が挙げられる。中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公昭47−22326記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公昭47−23664記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公昭60−26403、特開昭62−81345記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公平1−34242、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開平2−211452記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公平2−9597記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公平2−9596記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
また、特公昭63−61950記載のチオキサントン類、特公昭59−42864記載のクマリン類等を挙げることもできる。
(b)オニウム塩化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物には、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
式(1)中、Ar1とAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z2-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
式(2)中、Ar3は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z3-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z4-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、本願出願人が先に提案した特願平11−310623号明細書の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものや特願2000−160323号明細書の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたもの、また、特願2000−266797号、特願2001−号177150号、特願2000−160323号、特願2000−184603号、特願2000−310808号、特願2002−265467号、特願2002−366539号記載の特定の芳香族スルホニウム塩化合物などを挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
(c)有機過酸化物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(c)有機過酸化物には、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(d)チオ化合物
本発明で用いられるラジカル開始剤として好ましい(d)チオ化合物には、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
(ここで、R26はアルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R27は水素原子又はアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄及び窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
上記一般式(4)におけるアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。またアリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物には、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物には、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(g)ボレート化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例には、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007024966
(ここで、R28、R29、R30及びR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30及びR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30及びR31のうち、少なくとも1つは置換若しくは非置換のアルキル基である。(Z5+はアルカリ金属カチオン又は第4級アンモニウムカチオンを示す。)
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
Figure 2007024966
(ここでR35、R36は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ。置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、S及びOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物及び以下に示すものが挙げられる。
Figure 2007024966
(h)アジニウム化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物には、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号並びに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(i)メタロセン化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物には、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物、並びに特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン、
ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチル−(4−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ベンジル−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(2−エチルヘキシル)−4−トリル−スルホニル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3−オキサヘプチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロアセチルアミノ)フェニル〕チタン、
ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(2−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(4−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,7−ジメチル−7−メトキシオクチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−シクロヘキシルベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
(j)活性エステル化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物には、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物には、下記一般式(6)から(12)のものを挙げることができる。
Figure 2007024966
(式中、X2はハロゲン原子を表わし、Y1は−C(X23、−NH2、−NHR38、−NR38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またR37は−C(X23、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基、を表わす。)
Figure 2007024966
(ただし、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、X3はハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
Figure 2007024966
(ただし、R40は、アリール基又は置換アリール基であり、R41は、以下に示す基又はハロゲンであり、Z6は−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−であり、X3はハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
Figure 2007024966
(R42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。)
Figure 2007024966
(ただし、式中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R46は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
Figure 2007024966
(式(10)は、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物を表す。L7は水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X43)rの置換基であり、Q2はイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又は−N−R−基であり、M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は、炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、X4は塩素、臭素又はヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)
Figure 2007024966
(式(11)は、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体を表す。X5はハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R49は水素原子又はCH3-t5 t基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
Figure 2007024966
(式(12)は、2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体を表す。X6はハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R51は水素原子又はCH3-v6 v基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2007024966
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、例えば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。更に特開昭62−58241号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2007024966
更に特開平5−281728号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2007024966
或いは更にM.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2007024966
(l)アゾ系化合物
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明におけるラジカル開始剤の更により好ましい例としては、上述の(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(i)メタロセン化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、を挙げることができ、更に最も好ましい例としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、チタノセン化合物、一般式(6)であらわされるトリハロメチル−S−トリアジン化合物を挙げることができる。
これらのラジカル開始剤は、感光層の全固形分に対し、0.1〜50質量%、好ましくは、0.5〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%の割合で添加することができる。
本発明におけるラジカル開始剤は単独若しくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
[(B)ラジカル重合性化合物]
本発明における感光層に含有されるラジカル重合性化合物としては、以下に述べる従来公知の重合性化合物、即ち、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いることができる。
従来公知の付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、へキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。更に、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加した1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (A)
(但し、R及びR’は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
また、重合性化合物の他の好ましい例として、特開2001−290271公報の第13〜14頁に記載の下記一般式で表される、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する多官能スチレン架橋剤が挙げられる。このような多官能スチレン架橋剤を使用すると、ラジカル開始剤より発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うことができ、一層の高感度化を実現できる。
Figure 2007024966
前記一般式中、Z2は連結基を表し、R21、R22及びR23は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R24は置換可能な基又は原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
ここで、Z2で表される連結基としては、−O−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C=(O)−O−、−C(R6)=N−、−C=(O)−、スルホニル基、複素環基等、及び、これらが2以上結合してなる連結基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。なお、これらの連結基は、更に、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
2で表される連結基が複素環基を含む場合、その複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらは更に上記した如き置換基を有していてもよい。
前記一般式で表される多官能スチレン架橋剤の特に好ましいものは、R21及びR22が水素原子であり、R23は水素原子若しくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であり、mが2〜10である化合物が好ましい。以下に前記一般式で表される多官能スチレン架橋剤の具体例〔(C−1)〜(C−11)〕を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
Figure 2007024966
本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
以上説明した重合性化合物の中でも、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の現像性及び耐刷性の観点から、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが好ましく、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルが最も好ましい。
このような重合性化合物の使用量は、皮膜形成性、保存安定性、更には、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の耐刷性の観点からは、感光層の全固形分に対し、5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%、更に好ましくは20〜75質量%である。
[(C)増感色素]
本発明における感光層には、感度の向上のために、増感色素が含有されていることが好ましい。この増感色素が吸収し得る波長の露光により、既述の(A)ラジカル開始剤のラジカル発生反応や、それによる(B)ラジカル重合性化合物の重合反応が促進されるものである。
本発明において好ましい増感色素としては、(1)350〜450nmの領域に吸収を有するもの、(2)赤外領域に吸収を有するものが挙げられる。
(1)350〜450nmの領域に吸収を有する増感色素
このような増感色素の例としては、下記一般式(XIV)〜(XVIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
(式(XIV)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に一般式(XIV)で表される化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
(式(XV)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(XIV)に示したものと同義である。)
一般式(XV)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
(式(XVI)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(XVI)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
(式(XVII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−又は−NR63−又は−NR64−を表し、R63、R64はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R61、R62はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
一般式(XVII)で表される化合物の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
(式(XVIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
一般式(XVIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2007024966
これらの増感色素に関しては、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)と、を共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
更に、感光層の(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、これらの増感色素に対し、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基若しくは極性基)の導入が有効である。特に、エステル型の親水性基は、該感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。
その他、例えば、該感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために、増感色素に対し、適宜、置換基を導入することができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入することで、結晶析出が著しく抑制できる。
また、増感色素に対し、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させることができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
これらの(1)350〜450nmの領域に吸収を有する増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版用原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。又はレーションの影響により低解像度となる。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。また、吸光度が3以上の様な高い領域では、上記感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば、平版印刷版原版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版原版としての使用に際しては、(1)350〜450nmの領域に吸収を有する増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。
本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用する場合には、これは、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(2)赤外領域に吸収を有する増感色素
本発明においては、赤外領域に吸収を有する増感色素として、赤外光を吸収し、熱エネルギーに変換する赤外線吸収剤を含有することが好ましい。このような赤外線吸収剤としては、公知の分光増感色素、又は光を吸収して光ラジカル開始剤と相互作用する染料或いは顔料が挙げられる。
<分光増感色素或いは染料>
本発明に用いられる赤外線吸収剤として好ましい分光増感色素又は染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)等が挙げられる。
Figure 2007024966
より好ましい分光増感色素又は染料としては、下記に示す各公報に記載の化合物が挙げられる。
特公昭40−28499号記載のピリリウム塩類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公昭46−42363号記載のシアニン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開平2−85858号、特開平2−216154号の共役ケトン色素、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開昭57−10605号記載の色素、特公平2−30321号記載のアゾシンナミリデン誘導体、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開平1−287105号記載のシアニン系色素、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号記載のキサンテン系色素、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
特公昭59−28325号記載のアミノスチリルケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2007024966
また、増感色素として、特に、以下の赤外線吸収染料或いは顔料も好適に使用される。好ましい前記染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
その他、本発明において好適に用いることのできるシアニン色素としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。また、具体例としては、以下に例示するものも挙げられる。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
Figure 2007024966
また、増感色素としては、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、更に、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料、EP916513A2号明細書に記載のフタロシアニン系染料も好ましい染料として挙げることができる。
更に、特願平10−79912号公報に記載のアニオン性赤外線吸収剤も、好適に使用することができる。アニオン性赤外線吸収剤とは、実質的に赤外線を吸収する色素の母核にカチオン構造がなく、アニオン構造を有するものを示す。例えば、(イ)アニオン性金属錯体、(ロ)アニオン性カーボンブラック、(ハ)アニオン性フタロシアニン、更に(ニ)下記一般式(i)で表される化合物などが挙げられる。これらのアニオン性赤外線吸収剤の対カチオンは、プロトンを含む一価の陽イオン、或いは多価の陽イオンである。
Figure 2007024966
ここで、(イ)アニオン性金属錯体とは、実質的に光を吸収する錯体部の中心金属及び配位子全体でアニオンとなるものを示す。
(ロ)アニオン性カーボンブラックは、置換基としてスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸基等のアニオン基が結合しているカーボンブラックが挙げられる。これらの基をカーボンブラックに導入するには、カーボンブラック便覧第三版(カーボンブラック協会編、1995年4月5日、カーボンブラック協会発行)第12頁に記載されるように、所定の酸でカーボンブラックを酸化する等の手段をとればよい。
(ハ)アニオン性フタロシアニンは、フタロシアニン骨格に、置換基として、先に(ロ)の説明において挙げたアニオン基が結合し、全体としてアニオンとなっているものを示す。
次に、前記(ニ)一般式(i)で表される化合物、について、詳細に説明する。前記一般式(i)中、G9はアニオン性置換基を表し、G10は中性の置換基を表す。(X10+は、プロトンを含む1〜m価のカチオンを表し、mは1ないし6の整数を表す。M5は共役鎖を表し、この共役鎖M5は置換基や環構造を有していてもよい。共役鎖M5は、下記式で表すことができる。
Figure 2007024966
式中、R80、R81、R82はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基を表し、これらは互いに連結して環構造を形成していてもよい。nは、1〜8の整数を表す。
前記一般式(i)で表されるアニオン性赤外線吸収剤のうち、以下のIRA−1〜IRA−5のものが、好ましく用いられる。
Figure 2007024966
また、以下のIRC−1〜IRC−44に示すカチオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2007024966
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Figure 2007024966
Figure 2007024966
前記構造式中、T-は、1価の対アニオンを表し、好ましくは、ハロゲンアニオン(F−,Cl−、Br−、I−)、ルイス酸アニオン(BF4−、PF6−、SbCl6−、ClO4−)、アルキルスルホン酸アニオン、アリールスルホン酸アニオンである。
前記アルキルスルホン酸のアルキルとは、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
また、前記アリールスルホン酸のアリールとは、1個のベンゼン環からなるもの、2又は3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを表し、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、これらの中でも、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
また、以下のIRN−1〜IRN−9に示す非イオン性赤外線吸収剤も好ましく使用できる。
Figure 2007024966
Figure 2007024966
Figure 2007024966
前記例示化合物中、特に好ましいアニオン性赤外線吸収剤としてはIRA−1が、カチオン性赤外線吸収剤としてはIRC−7、IRC−30、IRC−40、及びIRC−42が、非イオン性赤外線吸収剤としてはIRN−9が挙げられる。
<顔料>
本発明において使用される赤外線吸収顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、感光層塗布液中の分散物の安定性や、感光層の均一性の観点から、中の0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
以上のような(2)赤外領域に吸収を有する増感色素は、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用する場合、該感光層の波長670nm〜1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが、感度の観点から好ましい。光学濃度は前記増感色素の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。感光層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
なお、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用する場合には、(2)赤外領域に吸収を有する増感色素は、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは1.0〜10質量部の範囲である。
本発明において、重合反応(硬化反応)を促進するために添加される、(1)350〜450nmの領域に吸収を有する像間色素、及び、(2)赤外領域に吸収を有する増感色素増感色素は、感光層中に他の成分とともに直接添加してもよいが、これに隣接する別の層を設けて、そこへ添加しても同様の効果を得ることができる。
[(D)バインダーポリマー]
本発明における感光層には、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、(D)バインダーポリマーを使用することができる。このバインダーポリマーとしては、感度の観点から、側鎖に下記一般式(a)〜(c)で表わされるエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。中でも、感度、保存安定性の点で、下記一般式(a)で表されるエチレン性不飽和結合を有する化合物が最も好ましい。
Figure 2007024966
上記一般式(a)〜(c)中、R1〜R11は、それぞれ独立して、1価の有機基を表す。また、X、Yは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、−N−R12を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R12又はフェニレン基を表す。R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
前記一般式(a)において、Rl〜R3は、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、Rlとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
また、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR12−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入しうる置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
前記一般式(b)において、R4〜R8は、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R4〜R8は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、一般式(a)において挙げたものが例示される。
また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R12を表す。R12としては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(c)において、R9〜R11は、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R9としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、一般式(a)においてあげたものが例示される。
また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−NR12−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
また、本発明におけるバインダーポリマーとしては、非画像部の現像除去性に優れる点から、側鎖にカルボキシル基を有するものが好ましく、中でも、現像性及び本発明の保護層との接着性に優れる点から、下記一般式(d)で表される側鎖カルボキシル基含有ポリマーが好ましい。以下、側鎖カルボキシル基含有ポリマーについて詳細に説明する。
Figure 2007024966
一般式(d)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
まず、一般式(d)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好ましい。
一般式(d)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。
より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(d)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
一般式(d)におけるR2で表される連結基として、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(d)におけるR2で表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の耐刷性の点で、R2は、縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
2で表される連結基として最も好ましくは、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものであり、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(d)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよい置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(d)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
また、一般式(d)におけるnは、1〜5の整数を表し、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の耐刷の点で好ましくは1である。
更に、本発明のバインダーポリマーとしては、現像性、保存安定性、及び保護層との接着性に優れる点から、側鎖にアミド基を有するものが好ましく、中でも、側鎖に、下記一般式(e)で表されるアミド基を有するポリマーがより好ましい。
Figure 2007024966
一般式(e)中、Zは−CO−、−SO2−を表し、Rは、水素原子又は1価の有機基を表す。また、Zとしては、特に、−CO−が好ましく、Rとしては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、脂環基、ヘテロ環基が好ましい。
また、本発明におけるバインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることもできる。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、感光層の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で、ベンジル基又はアリル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62648号、特願2001−253217号、特願2002−287920号、特開2002−62648号などに記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点と、本発明の画像形成材料を平版印刷版原版に適用した際の耐刷性の点で有利である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性や感度の観点から、好ましくは60〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
本発明で使用されるバインダーポリマーの重量平均分子量については好ましくは5000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1000以上であり、更に好ましくは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
本発明で使用されるバインダーポリマーは従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明で使用されるポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
本発明で使用されるバインダーポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。本発明における感光層に対するこれらバインダーポリマーを添加量は、全固形分に対し20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%の割合で添加される。添加量が20質量%未満の場合は、画像形成した際、画像部の強度向上効果が充分に得られない。また添加量が95質量%を越える場合は、画像形成されない。また、(B)ラジカル重合性化合物とバインダーポリマーとの含有比は、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
[その他の成分]
本発明における感光層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層塗布液全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
また、本発明においては、感光層塗布液の調製中或いは保存中においてラジカル重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
<画像形成材料>
本発明の画像形成材料は、支持体上に、上述した感光層と保護層とをこの順に有することを特徴とする。以下、本発明の画像形成材料について、好適な態様用途である平版印刷版原版を参照して、詳細に説明する。
本発明の画像形成材料としての平版印刷版原版は、上記感光層の構成成分を溶媒に溶かして感光層塗布液を調製し、それを適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。
感光層塗布液に使用される溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版についていえば、感度や皮膜特性の観点から、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
また、感光層塗布液には、そのような感光層の現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記各界面活性剤の感光層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
更に、本発明に係る感光層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
(支持体)
平版印刷版原版の支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルムの積層シート等が含まれる。
前記支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。
前記アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、所望により、アルカリエッチング処理、中和処理を経て、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施すことができる。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化被膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は平板印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化被膜が形成されるのが一般的である。
支持体表面の親水化処理は、上記陽極酸化処理の後に施されるものであり、従来より知られている処理法が用いられる。このような親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号公報に開示されているようなアルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号公報に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
これらの中で、本発明において特に好ましい親水化処理は珪酸塩処理である。珪酸塩処理について、以下に説明する。
上述の如き処理を施したアルミニウム板の陽極酸化皮膜を、アルカリ金属珪酸塩が0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%であり、25℃でのpHが10〜13である水溶液に、例えば15〜80℃で0.5〜120秒浸漬する。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し13.0より高いと酸化皮膜が溶解されてしまう。本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。
珪酸塩処理により、アルミニウム板表面上の親水性が一層改善されるため、印刷の際、インクが非画像部に付着しにくくなり、汚れ性能が向上する。
(バックコート層)
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
(中間層)
本発明における平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特願平8−225335号、特願平8−270098号、特願平9−195863号、特願平9−195864号、特願平9−89646号、特願平9−106068号、特願平9−183834号、特願平9−264311号、特願平9−127232号、特願平9−245419号、特願平10−127602号、特願平10−170202号、特願平11−36377号、特願平11−165861号、特願平11−284091号、特願2000−14697号等に記載のものを挙げることができる。
(露光、現像及び印刷)
本発明における平版印刷版原版は、上述の本発明における感光層を有するため、赤外線レーザーによる露光、紫外線ランプによる露光、また、サーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。本発明においては、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
赤外線レーザにより露光した後、平版印刷版原版は、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液にて現像される。
現像液及び補充液として、アルカリ性水溶液を用いる場合、従来公知のアルカリ性水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
更に、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液と同じもの又は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくはその誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビット、マンニット等の非還元糖を添加することもできる。
更に、現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸又は亜硫酸水素酸のナトリウム塩及びカリウム塩等の無機塩系還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
以上記述した現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明における平版印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に補充することもできる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以上、本発明の画像形成材料の用途として最も好適な平版印刷版原版について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3次元光造形やホログラフィー、カラープルーフ、フォトレジスト及びカラーフィルター等にも適用される。
〔合成例〕
(特定水溶性化合物(W−1)の合成)
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、2−プロパノール85gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、アクリルアミド49.8g、アクリル酸21.6g、重合開始剤V−601(和光純薬製)1.15g、及び2−プロパノール85gからなる溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温に冷却して、水酸化ナトリウム12.0gを水400mlに溶解した水溶液を滴下した。1時間撹拌した後、有機溶媒を減圧留去し、特定水溶性化合物(W−1)を得た。その後、固形分量が10重量%になるように水を加え調整し、特定水溶性化合物(W−1)を含む溶液を得た。
(特定水溶性化合物(W−2)の合成)
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、2−プロパノール70gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、アクリロニトリル18.0g、アクリル酸39.8g、重合開始剤V−601(和光純薬製)1.00g、及び2−プロパノール70gからなる溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温に冷却して、水酸化ナトリウム10.0gを水250mlに溶解した水溶液を滴下した。1時間撹拌した後、有機溶媒を減圧留去し、特定水溶性化合物(W−2)を得た。その後、固形分量が10重量%になるように水を加え調整し、特定水溶性化合物(W−2)を含む溶液を得た。
なお、特定水溶性化合物(W−3)〜(W−21)は、合成例1又は合成例2と同様の方法を用い、適宜、原料を代えて、合成した。
〔実施例1〜4、比較例1、2〕
(支持体の作成)
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti 0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A 1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に、平版印刷版用支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
次いで、支持体と感光層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
更に、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
(感光層の形成)
下記組成の感光層塗布液1を調製し、上記のようにして得られたアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
<感光層塗布液1>
・(A)ラジカル開始剤「S−1」 0.30g
・(B)ラジカル重合性化合物「M−1」 1.00g
・(C)増感色素(赤外線吸収剤)「IR−1」 0.08g
・(D)バインダーポリマー「B−1」 1.20g
・エチルバイオレットのクロライド塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.02g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 8.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
各実施例及び比較例で用いた、(A)ラジカル開始剤「S−1」〜「S−5」の構造を以下に示す。
Figure 2007024966
なお、各実施例及び比較例で用いた、(B)ラジカル重合性化合物「M−1」〜「M−4」の構造を以下に示す。
Figure 2007024966
各実施例及び比較例で用いた、(C)増感色素「IR−1」、及び「DY−1」〜「DY−4」の構造を以下に示す。
Figure 2007024966
各実施例及び比較例で用いた、(D)バインダーポリマー「B−1」〜「B−4」の構造を以下に示す。
Figure 2007024966
各実施例及び比較例で用いた、ε−フタロシアニン「F−1」、増感助剤「G−1」、「G−2」の構造を以下に示す。
Figure 2007024966
更に、得られた感光層上に、下記組成の保護層塗布液1をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は2.0〜2.2g/m2であった。
<保護層塗布液1>
・下記表2に記載の保護層用高分子化合物 2.5g(固形分量)
・非イオン性界面活性剤 0.05g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 96.9g
〔感度評価〕
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VXにて、解像度175lpi、外面ドラム回転数150rpm、出力0〜8Wの範囲でlogEで0.15ずつ変化させて露光した。
露光後、水道水による水洗により保護層を除去した後、富士写真フイルム社製自動現像機LP−1310HIIを用い、30℃12秒で現像した。現像液は、富士フイルム(株)社製DV−2の1:4水希釈水を用い、フィニッシャーは、富士フイルム(株)社製FP−2Wの1:1水希釈液を用いた。
上記露光及び現像により得られた画像の線幅とレーザー出力、光学系でのロス及び走査速度を基に、記録に必要なエネルギー量を算出した。数値が小さいほど高感度であることを表す。結果を下記表2に併記する。
〔耐キズ性の評価〕
上記感光層及び保護層を有する平版印刷版原版の耐キズ性についての評価を行った。機器としては、HEIDON社製Scratching TESTER HEIDON−14を用い、引っ掻き針として0.4mmRダイヤ針を用い、針上の荷重を変化させながら、400mm/minの速さで保護層表面を引っ掻いた。引っ掻いた後の平版印刷版原版に対し、上述の現像処理を行い、残膜が目視で観測された荷重の大きさを評価した。荷重が大きいほど、キズ残膜が生じにくく、耐キズ性に優れることになる。結果を下記表2に併記する。
〔接着性の評価〕
得られた平版印刷版原版の保護層と、隣接する平版印刷版原版の支持体と、が接触するように積み重ね、500kg/m2の荷重がかかるようにし、30℃75%RHの環境下で10日間放置した。
その後、保護層と支持体裏面との接着状態を確認した。その際の接着状態について、接着して剥離し難いレベルの1から、接着の問題なく剥離しうるレベルの5までの1〜5の5段階の官能評価を行い、結果を下記表2に併記する。評価結果の3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルである。
なお、比較例2のように保護層がない場合には、平版印刷版原版の感光層と、隣接する平版印刷版原版の支持体と、が接触するように積み重ねて、同様の評価を行った。
Figure 2007024966
表2に明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例1〜4の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例1及び2の平版印刷版原版と比較するに、感度及び耐キズ性に優れることがわかった。また、実施例1〜4の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がないことがわかった。
〔実施例5〜12、比較例3〕
(感光層の形成)
下記組成の感光層塗布液2を調整し、実施例1と同様のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の感光層の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
<感光層塗布液2>
・(A)ラジカル開始剤「S−1」 0.25g
・(B)ラジカル重合性化合物「M−2」 1.00g
・(C)増感色素(赤外線吸収剤)「IR−1」 0.08g
・(D)バインダーポリマー「B−2」 1.00g
・エチルバイオレットのクロライド塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.02g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 8.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
更に、感光層上に、下記組成の保護層塗布液2をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は2.0〜2.2g/m2であった。
<保護層塗布液2>
・下記表3に記載の保護層用高分子化合物 0.1g(固形分量)
・ポリビニルアルコール 1.0g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・非イオン性界面活性剤 0.04g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 96.9g
〔感度、耐キズ性、及び密着性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例1と同様の方法で感度、耐キズ性、及び密着性の評価をそれぞれ行った。結果を下記表3に併記する。
〔現像性の評価〕
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
露光後、富士写真フイルム(株)社製自動現像機スタブロン900Nを用いて現像処理した。ここで、現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DV−2の1:4水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液(pH=10.8)を用いた。
このような現像条件において、自動現像機の搬送速度のみを変えて現像を行い、平版印刷版原版の非画像部が取りきれるのに必要な現像液浸漬時間を測定した。数値が小さいほど現像性に優れることを示す。
また、得られた平版印刷版原版を、それぞれ、60℃で3日間保存、及び、45℃、湿度75%RHで3日間保存して強制経時させた後、同様の現像性の評価を行った。結果を下記表3に併記する。
Figure 2007024966
表3に明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例5〜12の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例3の平版印刷版原版と比較するに、感度、耐キズ性、及び現像性(強制経時後の現像性を含む)のいずれにも優れることがわかった。また、実施例5〜12の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がないことがわかった。
〔実施例13〜24、比較例4〜6〕
(下塗り層の形成)
実施例1と同様のアルミニウム支持体上に、下記下塗り液1をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
<下塗り液1>
・エチルアクリレートと
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩と
のモル比75:15の共重合体 0.1g
・2−アミノエチルホスホン酸 0.1g
・メタノール 50g
・イオン交換水 50g
(感光層の形成)
下記組成の感光層塗布液3を上記の下塗り済みのアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
<感光層塗布液3>
・(A)ラジカル開始剤「S−1」 0.30g
・(B)ラジカル重合性化合物「M−2」 1.10g
・(C)増感色素(赤外線吸収剤)「IR−1」 0.07g
・(D)バインダーポリマー(下記表4に記載の化合物) 1.20g
・エチルバイオレットのクロライド塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.02g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 8.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
更に、得られた感光層上に、下記組成の保護層塗布液3をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は1.3〜1.6g/m2であった。
<保護層塗布液3>
・下記表4に記載の保護層用高分子化合物 0.5g(固形分量)
・ポリビニルアルコール 1.5g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・非イオン性界面活性剤 0.03g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 96.9g
〔感度、耐キズ性、及び密着性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例1と同様の方法で感度、耐キズ性、及び密着性の評価をそれぞれ行った。結果を下記表4に併記する。
〔耐刷性の評価〕
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理し、平版印刷版を得た。ここで、現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DV−2の1:4水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液(pH=10.8)を用いた。
得られた平版印刷版を、ローランド社製R201の印刷機で、大日本インキ社製GEOS−G(N)のインキを用いて印刷を行った。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。枚数が多い程、耐刷性に優れる。結果を下記表4に併記する。
〔現像性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例5と同様の方法で現像性の評価を行った。結果を下記表4に併記する。
Figure 2007024966
表4に明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例13〜24の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例4〜6の平版印刷版原版と比較するに、感度や対刷性の低下が見られず、また、耐キズ性及び現像性(強制経時後の現像性を含む)のいずれにも優れていることがわかった。また、実施例13〜24の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がないことがわかった。
〔実施例25〜29、比較例7、8〕
(下塗り層の形成)
実施例1と同様のアルミニウム支持体上に、下記下塗り液2をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて80℃で20秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は2mg/m2であった。
<下塗り液2>
・下記構造のポリマー「P−1」 0.3g
・純粋 60.0g
・メタノール 939.7g
・イオン交換水 50g
Figure 2007024966
(感光層の形成)
下記組成の感光層塗布液4を上記の下塗り済みのアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて100℃で1分間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.1g/m2の範囲内であった。
<感光層塗布液4>
・(A)ラジカル開始剤「S−2」 0.12g
・(B)ラジカル重合性化合物「M−3」 1.50g
・(C)増感色素「DY−1」 0.15g
・(D)バインダーポリマー「B−4」 1.00g
・ε−フタロシアニン(F−1)分散物 0.02g
(ε−フタロシアニンの含有割合:10質量%)
・増感助剤「G−1」 0.5g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.02g
(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 26.3g
更に、得られた感光層上に、下記組成の保護層塗布液4をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は1.8〜2.0g/m2であった。
<保護層塗布液4>
・下記表5に記載の保護層用高分子化合物 0.8g(固形分量)
・ポリビニルアルコール 2.0g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・非イオン性界面活性剤 0.03g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 95.0g
〔感度評価〕
得られた平版印刷版原版上に、富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(ΔD=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルターを通したキセノンランプにより既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。
その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数を読み、その露光エネルギー量を求め、感度を算出した(単位、μJ/cm2)。エネルギー量が小さい程、高感度であると評価する。短波半導体レーザーへの露光適性を見積もる目的で、光学フィルターとしてケンコーBP−40を用い、400nmのモノクロミックな光で露光を行った。結果を下記表5に併記する。
(現像液)
下記組成からなるpH12.0の水溶液
・水酸化カリウム 0.2g
・1Kケイ酸カリウム 2.4g
(SiO2/K2O=1.9)
・下記化合物 5.0g
・エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
・水 91.3g
〔耐キズ性、及び接着性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例1と同様の方法で耐キズ性、及び接着性の評価をそれぞれ行った。結果を下記表5に併記する。
〔耐刷性の評価〕
得られた平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd製Violet半導体レーザセッターVx9600(InGaN系半導体レーザ405nm±10nm発光/出力30mW)に装填し、90μJ/cm2の露光量、かつ、解像度2438dpiで、2ピクセル線を描画した。露光後の版は自動的に、接続されている自動現像機LP1250PLXに送られ、150℃で10秒間加熱後、PVA保護層を水洗除去し、引き続いて28℃で20秒間、現像処理される。現像液は富士写真フィルム(株)製現像液DV−2を水で5倍に希釈したものを仕込んだ。現像後の版は、リンス浴で水洗され、続いて、ガム引き浴へ送られる。ここで、ガム液としては、富士写真フィルム(株)製ガム液FP−2Wを水で2倍に希釈したものを用いた。ガム引き後の版は、熱風乾燥後、自動現像機から排出される。
このようにして得られた平版印刷版を、ローランド社製R201の印刷機で、大日本インキ社製GEOS−G(N)のインキを用いて印刷を行った。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。枚数が多い程、耐刷性に優れる。結果を下記表5に併記する。
〔現像カスの評価〕
未露光状態の平版印刷版原版を、G&J社製自動現像機IP85HDを用い、加熱部分を作動させずに、ライン速度(搬送速度)1.5m/分で計1000m2分の現像処理を行った。なお、現像処理には、実施例5と同じ現像液を利用した。その後、現像液タンクの汚れを目視にて観察した。評価は、官能評価により、汚れが著しいレベルの1から汚れが全く観察されないレベルの5までの1〜5の5段階で行い、2以下は実用不可、3は実用下限レベルである。結果を下記表5に併記する。
Figure 2007024966
表5から明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例25〜29の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例7及び8の平版印刷版原版と比較するに、感度、耐キズ性及び耐刷性のいずれにも優れていることがわかった。また、実施例25〜29の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がなく、また、現像カスの発生も抑制されていることが分かった。
〔実施例30〜34、比較例9〜13〕
(感光層の形成)
下記組成の感光層塗布液5を、実施例1と同様のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.5〜1.7g/m2の範囲内であった。
<感光層塗布液5>
・(A)ラジカル開始剤(下記表6に記載の化合物) 0.20g
・(B)ラジカル重合性化合物「M−4」 1.50g
・(C)増感色素(下記表6に記載の化合物) 0.15g
・(D)バインダーポリマー「B−4」 1.00g
・ε−フタロシアニン(F−1)分散物 0.02g
(ε−フタロシアニンの含有割合:10質量%)
・増感助剤「G−2」 0.5g
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.02g
(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 26.0g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 26.3g
更に、得られた感光層上に、下記組成の保護層塗布液5をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は1.8〜2.0g/m2であった。
<保護層塗布液5>
・下記表6に記載の保護層用高分子化合物 1.0g(固形分量)
・ポリビニルアルコール 1.2g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・非イオン性界面活性剤 0.03g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 95.0g
〔感度評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例25と同様の方法で感度の評価を行った。結果を下記表6に併記する。
〔耐キズ性、及び接着性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例1と同様の方法で感度、耐キズ性、及び接着性の評価をそれぞれ行った。結果を下記表6に併記する。
Figure 2007024966
表6から明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例30〜34の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例9〜13の平版印刷版原版と比較するに、感度、及び耐キズ性の評価が優れていることがわかった。また、実施例30〜34の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がないことが分かった。
〔実施例35〜38、比較例14〕
(感光層の形成)
実施例1と同様のアルミニウム支持体に、上記感光層塗布液1に下記構造の化合物(J−1)を0.10g加えた感光層塗布液1’を、ワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成した。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
Figure 2007024966
更に、得られた感光層上に、下記組成の保護層塗布液6をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して、平版印刷版原版を得た。保護層の塗布量は1.8〜2.0g/m2であった。
<保護層塗布液6>
・下記表7に記載の保護層用高分子化合物 1.2g(固形分量)
・ポリビニルアルコール 1.2g
(ケン化度98.5モル%、重合度500)
・雲母分散物 6.00g
・非イオン性界面活性剤 2.00g
(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製)
・イオン交換水 190.0g
(雲母分散物の調製)
水184gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)の16gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)3μmになるまで分散し、雲母分散液を得た。
なお、下記表7中、雲母分散液「あり」とは、前記保護層塗布液6に雲母分散液を加えたものを用いたことを指し、「なし」とは、雲母分散液を加えなかった保護層塗布液6を用いたことを指す。
〔感度、耐キズ性、及び接着性の評価〕
得られた平版印刷版原版に対し、実施例1と同様の方法で感度、耐キズ性、及び接着性の評価をそれぞれ行った。結果を下記表7に併記する。
Figure 2007024966
表7から明らかなように、特定水溶性化合物を含有する保護層を備えた実施例35〜38の平版印刷版原版(本発明の画像形成材料)は、比較例14の平版印刷版原版と比較するに、感度、及び耐キズ性に優れることがわかった。また、実施例35〜38の平版印刷版原版は、重ねて保存した場合でも保護層表面と支持体裏面との間の接着の問題がないことが分かった。
更に、実施例35と実施例37との対比、実施例36と実施例38との対比により、保護層に雲母を添加することで、高感度を維持しながら、耐キズ性や接着抑制効果が一層向上することが分かった。

Claims (4)

  1. 支持体上に、
    (A)ラジカル開始剤及び(B)ラジカル重合性化合物を含有し、光又は熱により硬化反応を生起する感光層と、
    アミド基及び/又はシアノ基を有する水溶性化合物を含有する保護層と、
    をこの順に設けてなることを特徴とするネガ型画像形成材料。
  2. 前記水溶性化合物が重量平均分子量1,000以上の高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載のネガ型画像形成材料。
  3. 前記高分子化合物が側鎖に酸基又はその塩を有することを特徴とする請求項2に記載のネガ型画像形成材料。
  4. 前記保護層中に、更に、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のネガ型画像形成材料。
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