JP2009086264A - 光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿度変化に伴う収差変動を抑える。
【解決手段】光学素子1は、熱硬化性樹脂と無機微粒子とを含む有機無機複合材料を成形したものであり、前記有機無機複合材料の成形品の吸水率が前記熱硬化性樹脂の吸水率より低く、前記無機微粒子の平均粒子径が1〜30nmである。
【選択図】図1

Description

本発明は光学素子に関し、特に熱硬化性樹脂と無機微粒子とを含む有機無機複合材料を成形した光学素子に関する。
従来から、光学素子は光ピックアップ装置用や眼鏡用、カメラ用等として様々な光学用途に用いられており、安価に製造可能という理由で、ガラス製より樹脂製であることが多い。特に上記光ピックアップ装置用の光学素子は射出成形法を用いて効率よく製造することができるため、通常は熱可塑性樹脂から構成されている(例えば特許文献1参照)。しかし、熱可塑性樹脂で光ピックアップ装置用の光学素子を構成すると、熱による収差変動等が発生する場合がある。そこで、近年では、熱可塑性樹脂に代えて熱硬化性樹脂を用いて光学素子に耐熱性を付与し、上記の問題(熱による収差変動等)を解決している。
特開2005−298717号公報
ところが、熱可塑性樹脂に代えて熱硬化性樹脂を用いた場合でも、光学素子の使用環境の変化に伴って収差変動が発生するという問題が浮上してきており、特に湿度変化に伴って著しい収差変動が発生することがわかってきた。これは眼鏡用等の光学素子においては特に問題とならないレベルのものであるが、非常に精密な光学性能が求められる光ピックアップ装置用の光学素子においては簡単に無視することができるようなものではないと考えられる。
したがって、本発明の主な目的は、湿度変化に伴う収差変動を抑えることができる光学素子を提供することにある。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂と無機微粒子とを含む有機無機複合材料を成形した光学素子であって、
前記有機無機複合材料の成形品の吸水率が前記硬化性樹脂の吸水率より低く、
前記無機微粒子の平均粒子径が1〜30nmであることを特徴とする光学素子が提供される。
好ましくは、前記熱硬化性樹脂がシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂又はエポキシ系樹脂である。
本発明によれば、湿度変化に伴う収差変動を抑えることができる(下記実施例参照)。
以下、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
本実施形態に係る光学素子1は、例えば図1に示すような凸状を呈したレンズであり、特に光ピックアップ装置用のレンズとして好適に使用される。光学素子1は、熱硬化性樹脂と無機微粒子とを含む有機無機複合材料を成形して得られるものである。
以下、(1)熱硬化性樹脂と(2)無機微粒子とについて説明し、その後に(3)光学素子1の製造方法と(4)応用例とについて説明する。
(1)熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂は熱により硬化するものであればその種類に特に制限はないが、好ましくはシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂又はエポキシ系樹脂が使用可能である。
(1.1)シリコーン系樹脂
シリコーン系樹脂は、ケイ素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合−Si−O−を主鎖としているポリマーである。具体的には、シリコーン系樹脂として、所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能である(例えば特開平6−9937号公報参照)。
熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂は、加熱による連続的加水分解−脱水縮合反応によって、シロキサン結合骨格による三次元網状構造となるものであれば、特に制限はなく、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示し、一度硬化すると過熱により再軟化し難い性質を有する。
このようなポリオルガノシロキサン樹脂は、下記一般式(A)が構成単位として含まれ、その形状は鎖状、環状、網状形状のいずれであってもよい。
((R)(R)SiO) … (A)
上記一般式(A)中、「R」及び「R」は同種又は異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、「R」及び「R」として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。「R」及び「R」は水酸基およびアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)中、「n」は50以上の整数を示す。
ポリオルガノシロキサン樹脂は、通常、トルエン、キシレン、石油系溶剤のような炭化水素系溶剤、またはこれらと極性溶剤との混合物に溶解して用いられる。また、相互に溶解しあう範囲で、組成の異なるものを配合して用いても良い。
ポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、オルガノハロゲノシランの一種または二種以上の混合物を加水分解ないしアルコリシスすることによって得ることができ、ポリオルガノシロキサン樹脂は、一般にシラノール基またはアルコキシ基等の加水分解性基を含有し、これらの基をシラノール基に換算して1〜10重量%含有する。
これらの反応は、オルガノハロゲノシランを溶融しうる溶媒の存在下に行うのが一般的である。また、分子鎖末端に水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子を有する直鎖状のポリオルガノシロキサンを、オルガノトリクロロシランと共加水分解して、ブロック共重合体を合成する方法によっても得ることができる。このようにして得られるポリオルガノシロキサン樹脂は一般に残存するHClを含むが、本実施形態の組成物においては、保存安定性が良好なことから、10ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを使用するのが良い。
(1.2)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂としては、特にアダマンタン骨格を有する熱硬化性樹脂が好ましく使用される。アダマンタン骨格を有する熱硬化性樹脂としては、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート(特開2002−193883号公報参照)、3,3’−ジアルコキシカルボニル-1,1’ビアダマンタン(特開2001−253835号公報参照)、1,1’−ビアダマンタン化合物(米国特許第3342880号明細書参照)、テトラアダマンタン(特開2006−169177号公報参照)、2−アルキル−2−ヒドロキシアダマンタン、2−アルキレンアダマンタン、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−tert−ブチル等の芳香環を有しないアダマンタン骨格を有する硬化性樹脂(特開2001−322950号公報参照)、ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類やビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン(特開平11−35522号公報、特開平10−130371号公報参照)等を使用することができる。
(1.3)アリルエステル系樹脂
アリルエステル系樹脂とは、アリルエステル化合物を含有する熱硬化性樹脂である。アリルエステル化合物を含有する熱硬化性樹脂としては、芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
(1.4)エポキシ系樹脂
エポキシ系樹脂は、1分子中にエポキシ基を少なくとも2個以上有するものであれば何れでも使用することができ、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂等を例示することができる。芳香族エポキシ樹脂については、芳香環を核水素化してシクロヘキサン環化した水素添加型エポキシ樹脂としてもよい。これらエポキシ樹脂は1種を単独で用いたりあるいは2種以上を併用したりすることもできる。
また、エポキシ樹脂の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、酸無水物硬化剤やフェノール硬化剤等を例示することができる。
酸無水物硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等を挙げることができる。
また、必要に応じて硬化促進剤が含有される。硬化促進剤としては、硬化性が良好で、着色がなく、熱硬化性樹脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製2E4MZ)等のイミダゾール類、3級アミン、4級アンモニウム塩、ジアザビシクロウンデセン等の双環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン、ホスホニウム塩等を用いることができ、これらを1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
(2)無機微粒子
無機微粒子としては、光学的に透明な(光透過性を有する)もの、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子等が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ケイ素微粒子、酸化アルミ微粒子、リン酸アルミ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、硫化亜鉛微粒子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、酸化ケイ素微粒子(シリカ微粒子)、炭酸カルシウム微粒子である。
これらの微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。
熱硬化性樹脂に対する無機微粒子の混合比(有機無機複合材料に占める無機微粒子の体積比)は1〜50体積%であり、好ましくは10〜40体積%であり、更に好ましくは20〜30体積%である。
無機微粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状などいずれの形状であっても良いが、特に球状のときに光学素子1の機能を有効に発揮できる。また、粒子径の分布に関しても特に制限されるものではないが、光学素子1の機能をより効率よく発揮させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。
無機微粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、金属塩の熱分解、金属塩や金属アルコキシドの加水分解などの方法がよく知られている。金属塩の熱分解としては、金属塩もしくはそれらの溶液を噴霧し、加熱分解することにより得られる。金属塩や金属アルコキシドの加水分解としては、予め金属塩や金属アルコキシド溶液を作製し、この溶液に水を添加することで、加水分解重合を進行させることにより得られる。
無機微粒子として平均粒子径が1〜30nmであるものが使用される。無機微粒子の平均粒子径は1〜20nmであるのがより好ましく、1〜10nmであるのがさらに好ましい。平均粒子径が1nm未満であると、無機微粒子の分散が困難であるため所望の性能が得られない可能性があり、平均粒子径が30nmを超えると、得られる有機無機複合材料が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となる可能性がある。平均粒子径は、無機微粒子体積を球換算した場合の直径を表す。測定粒子個数は、無機微粒子の電子顕微鏡写真の粒子を無差別に100個以上選択し、個々の無機微粒子の粒径の算術平均を平均粒子径とする。
無機微粒子は、その表面に表面処理が施されていることが好ましい。表面処理する方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。
無機微粒子の表面処理に用いる表面処理剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルフェノキシシラン、シクロペンチルトリメトキシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物等が挙げられ、更に、シランに代わってアルミニウム、チタン、ジルコニア等を用いることもでき、その場合は例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロキシド等である。
また、イソステアリン酸、ステアリン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンプロピオン酸、オクチル酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸などの脂肪酸やそれらの金属塩、さらに有機リン酸系表面処理剤のいずれの表面処理剤が使用可能であり、これらを単独、または二種以上を混合して用いることができる。
これらの化合物は、反応速度などの特性が異なり、表面処理の条件などに適した化合物を用いることができる。また、1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい。さらに、用いる化合物によって得られる表面処理微粒子の性状は異なることがあり、有機無機複合材料を得るにあたって用いる熱硬化性樹脂との親和性を、表面処理する際に用いる化合物を選ぶことによって図ることも可能である。表面処理の割合は特に限定されるものではないが、表面処理後の無機微粒子に対して、表面処理剤の割合が10〜99質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
(3)光学素子の製造方法
(3.1)有機無機複合材料の調製
本実施形態に係る光学素子1の製造にあたっては、始めに光学素子1の原料となる有機無機複合材料を調製(作製)する。
有機無機複合材料は、溶融中の熱硬化性樹脂に対して、無機微粒子を添加、混練することで作製されてもよいし、溶媒に溶解した熱硬化性樹脂と、無機微粒子とを混合し、その後有機溶媒を除去することで作製されてもよい。
特に本実施形態では、有機無機複合材料は溶融混練法で作製することが望ましい。熱硬化性樹脂を無機微粒子の存在下で重合したり、熱硬化性樹脂の存在下で無機微粒子を作製することも可能であるが、熱硬化性樹脂の重合や無機微粒子の作製において特殊な条件が必要になるからである。溶融混練法では、既成の手法で作製した熱硬化性樹脂や無機微粒子を混合することで有機無機複合材料を作製できるため、通常安価な有機無機複合材料の作製が可能になる。
溶融混練において、有機溶剤の使用も可能である。有機溶剤の使用で、溶融混練の温度を下げることができ、熱硬化性樹脂の劣化が抑制しやすくなる。その場合、溶融混練後に脱揮を行い、有機無機複合材料中から有機溶剤を除去することが好ましい。
溶融混練に用いることのできる装置としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を挙げることができる。また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いることもできる。
処理後の無機微粒子と熱硬化性樹脂の混合方法として、具体的な混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ポリラボシステム(HAAKE社製);ナノコンミキサー(東洋精機製作所社製);ナウターミキサーブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
有機無機複合材料の製造方法において、溶融混練を用いる場合、熱硬化性樹脂と無機微粒子とを一括で添加し混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。この場合、押出機などの溶融混練装置では、段階的に添加する成分をシリンダーの途中から添加することも可能である。
溶融混練による複合化を行う場合、無機微粒子は粉体ないし凝集状態のまま添加することが可能である。あるいは、液中に分散した状態で添加することも可能である。液中に分散した状態で添加する場合は、混練後に脱揮を行うことが好ましい。
液中に分散した状態で添加する場合、あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して添加することが好ましい。分散には各種分散機が使用可能であるが、特にビーズミルが好ましい。ビーズは各種の素材があるがその大きさは小さいものが好ましく、特に直径0.001〜0.1mmのものが好ましい。
無機微粒子は表面処理された状態で加えられることが好ましいが、表面処理剤と無機微粒子とを同時に添加し、熱硬化性樹脂との複合化を行うインテグラルブレンドのような手法がありどのような手法を用いることも可能である。
(3.2)有機無機複合材料の成形
上記のように有機無機複合材料を調製したら、有機無機複合材料中の熱硬化性樹脂を熱で硬化させることで有機無機複合材料を所定形状に成形し、光学素子1を製造することができる。具体的には、有機無機複合材料を、圧縮成形やトランスファー成形、射出成型等により硬化成形させればよい。特に、成形品の原材料として熱硬化性樹脂を用いるのは、光学面が球面や非球面の形状を呈したり、光学面に微細な構造を有する光学素子1(例えば対物レンズ)を製造する場合に好適である。
成形品は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れ、下記のような種々の光学部品として好適に使用される。
以上のように得られた光学素子1では、特に有機無機複合材料の成形品(すなわち光学素子1そのもの)の吸水率が熱硬化性樹脂の吸水率より低くなっている。
「光学素子1の吸水率」とは、成形品を、85℃の乾燥環境下に3日間置いて質量測定し(得られた値をAグラムとする。)、その後60℃で湿度90%の高湿環境下に3週間置いて質量測定し(得られた値をBグラムとする。)、得られた質量測定結果から下記の数式により算出したものである。
吸水率(%)=(B−A)/A×100
なお、「熱硬化性樹脂の吸水率」は熱硬化性樹脂の種類に対応する固有な値である。
光学素子1の吸水率は熱硬化性樹脂に対し無機微粒子を添加することで低下させることができ、その低下量は無機微粒子の添加量で制御することができる。本実施形態では、光学素子1の吸水率は、熱硬化性樹脂の吸水率に対し、好ましくは0.04〜2.0%低く、より好ましくは1.0〜2.0%低い。
(4)応用例
光学素子1は、上記の作製方法により得られるが、例えば下記のような光学部品に応用される。
例えば、光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
(1)有機無機複合材料の調製
下記の熱硬化性樹脂に対して下記の無機微粒子を下記表1の組合せの通りに溶融混練し、複数の有機無機複合材料(A1〜A4,B1〜B4,C1〜C4,D1〜D4参照)を調製した。なお、熱硬化性樹脂に対する無機微粒子の混合比(有機無機複合材料に占める無機微粒子の体積比)を25体積%とし、溶融混練ではポリラボシステム(HAAKE社製)を用いた。また、上記有機無機複合材料のうち、試料A1,B1,C1,D1に相当する材料は熱硬化性樹脂のみで構成し、無機微粒子は含んでいない。
シリコーン:信越化学社製シリコーンLPS-L402,吸水率0.12%
メタクリレート:特開2002−193883号公報に従って作製した2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート,吸水率1.2%
アリルエステル:ダイセル化学 特開平5−286896号公報に従って作製した アリルエステル,吸水率0.9%
エポキシ:ダイセル化学社製セロキサイド,吸水率1.1%
シリカ:日本アエロジル社製RX300,平均粒子径7nm
炭酸カルシウム:白石工業株式会社製白艶華O,平均粒子径30nm
シリカ:日本アエロジル社製RY50,平均粒子径40nm
(2)試料の作製
調製済みの各有機無機複合材料を160℃、13.3Paの減圧下でプレスし、Φ11mm、厚さ3mmの成形体とした後、表面を研磨して光学素子を作製した。これら光学素子を熱硬化性樹脂と無機微粒子との組合せに応じて「試料A1〜A4,B1〜B4,C1〜C4,D1〜D4」とした。
なお、下記(3.2)の項目の評価においては、有機無機複合材料を成形して厚さ1mm,NA=0.85のレンズとした。
(3)試料の評価
(3.1)吸水率の測定
各試料を、85℃の乾燥環境下に3日間置いて質量測定し(得られた値をAグラムとする。)、その後60℃で湿度90%の高湿環境下に3週間置いて質量測定した(得られた値をBグラムとする。)。得られた質量測定結果から、各試料の吸水率を下記の数式により算出した。その算出結果を下記表1に示す。
吸水率(%)=(B−A)/A×100
(3.2)収差変動の測定
各試料の成形直後の収差(3次の球面収差)を測定してその測定値を基準値とした。収差の測定には干渉計(Zygo株式会社製Zygo DVD400Pro)を用いた。その後、各試料を60℃で湿度90%の高湿環境下に3時間置き、成形直後と同様に各試料の収差を測定し、試料ごとに上記基準値に対する収差変動を算出した。その算出結果を下記表1に示す。なお、各試料においては、熱硬化性樹脂のみで構成した試料(A1,B1,C1,D1)の収差変動を100%とした。
(3.3)光線透過率の測定
各試料において、ASTM D−1003に従って可視光線の入射光量に対する全透過光量を測定した。その測定結果を下記表1に示す。
(3.4)dn/dTの測定
各試料において、最小偏角法を用いた自動屈折計(カルニュー光学社製KPR-200)を用
い波長588nmで測定温度を25℃から60℃変化させて屈折率を測定し、屈折率の変化率dn/dTを測定した。その測定結果を下記表1に示す。なお、試料A4,B4,C4,D4においては、光線透過率の値が低く、dn/dTの値を測定することができなかった。
Figure 2009086264
(4)まとめ
表1に示す通り、試料A1〜A4に関しては、試料A3は試料A2,A4に比べて収差変動が小さくて光線透過率が高く、更にはdn/dTの値も低く抑えられている。他の試料B1〜B4,C1〜C4,D1〜D4についても、試料A1〜A4と同様の関係を有している。以上から、有機無機複合材料の成形品の吸水率を熱硬化性樹脂の吸水率より低くし、無機微粒子の平均粒径を1〜30nmとすることは、湿度変化に伴う収差変動を抑えるのに有用であり、光線透過率やdn/dTといった光学素子そのものに要求される本来の光学特性を高く維持することができることがわかった。
本発明の好ましい実施形態に係る光学素子の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
1 光学素子

Claims (5)

  1. 熱硬化性樹脂と無機微粒子とを含む有機無機複合材料を成形した光学素子であって、
    前記有機無機複合材料の成形品の吸水率が前記熱硬化性樹脂の吸水率より低く、
    前記無機微粒子の平均粒子径が1〜30nmであることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記熱硬化性樹脂がシリコーン系樹脂であることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記熱硬化性樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする光学素子。
  4. 請求項1に記載の光学素子において
    前記熱硬化性樹脂がアリルエステル系樹脂であることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記熱硬化性樹脂がエポキシ系樹脂であることを特徴とする光学素子。
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