しかしながら、従来のものは、リンク機構が必須であり、構造の複雑化を招来するとともに、リンク機構を適用しているため、変形領域の変形量を無段階に調整することができないという不具合があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、構造の簡略化、及び構造簡略化に伴う外観の簡素化を図るとともに、変形領域の変形量を無段階に調整可能な変形領域作動装置を提供することにある。
すなわち、本発明の変形領域作動装置は、家具の面状領域を構成する変形領域を作動させるためのものであって、前記変形領域に配される変形可能な変形部と、当該変形部の後背に配され、且つ一端部を前記変形部に接合した剛性の高い複数のバックアップ本体、及びこれらバックアップ本体間に設けられバックアップ本体同士の相対位置変更を許容し得る相対位置変更許容手段を有するバックアップ部と、前記変形部と前記バックアップ部との間で膨縮自在な流体袋を有し、且つ当該流体袋の膨張動作に伴って、伸縮せず且つ湾曲変形しない前記各バックアップ本体を前記相対位置変更許容手段により相対位置変更を伴いながら作動させることにより、前記変形部のうち前記各バックアップ本体との接合部位を前方に向かって移動させる駆動機構とを具備してなることを特徴とする。
ここで、「面状領域」及び「家具の面状領域」とは上述した意味であり、「変形領域に配される変形部」とは、変形部自体が変形領域の前面部(表面部)に露出する態様、或いは変形部の前面部(表面部)に、変形部の変形に応じて変形し得る張り地やクッション等のオプション部材を設けることにより、変形部自体が変形領域の前面部(表面部)に露出しない態様、これら何れの態様をも包含する概念である。
このようなものであれば、変形部とバックアップ部との間に介在させた流体袋の膨張動作に伴って変形部とバックアップ本体との接合部位を前方へ移動させることにより変形部を変形させることができ、従来のような複雑なリンク機構が不要となり、構造の簡略化、及び構造簡略化に伴う外観の簡素化を有効に図ることができるとともに、流体袋内の流体量に応じて変形部のうちバックアップ本体との接合部位が前方に向かって移動することによって変形部の変形量を変化させる態様であるため、変形部、ひいては変形領域の変形量を無段階で調整することができる。しかも、流体袋の膨張動作に伴って剛性の高いバックアップ本体自体は変形しないが、相対位置変更許容手段により各バックアップ本体同士の相対位置変更を許容するため、流体袋の膨張動作時にバックアップ本体を、変形を伴わずに的確に作動させることができ、変形部のうちバックアップ本体との接合部位を確実に前方へ移動させることができる。さらに、バックアップ部が流体袋を介して変形部の後背に配されるため、変形部自体の強度も有効に向上させることができる。
特に、前記各バックアップ本体の一端部を、前記変形部の端部から変位した箇所に接合すれば、変形部のうち、接合部位より端部側の部分を、接合部位よりもさらに前方へ移動させることができ、各バックアップ本体の一端部を変形部の端部に接合した場合と比較して、接合部位の移動距離に対する変形部の変形量を増大させることができる。
流体袋の膨張動作に伴って変形部を徐々に変形させるようにするには、前記流体袋の膨張動作に伴って、前記変形部と前記各バックアップ本体との前記接合部位が前方に移動しながら相互に接近するにつれて前記変形部の変形量が漸次増大するものとすればよい。
また、前記変形部が、前記流体袋の膨縮動作に伴って伸縮せずに湾曲変形し得るものであれば、変形部が伸縮性に富む素材から成形したものである場合に起こり得る不具合、すなわち、前記流体袋の膨張動作による押圧力を受けた場合に、その押圧力を変形部自体の伸縮によって吸収するという不具合が生じず、流体袋の膨張動作による押圧力に応じた変形部、ひいては変形領域の変形を実現することができる。
特に、前記変形部が、膨張させた前記流体袋を収縮させた際に、湾曲変形前の状態に自己復元し得るものであることが好ましい。
前記相対位置変更許容手段が、前記複数のバックアップ本体間に形成した間隙であれば、流体袋の膨縮動作時に間隙を利用して各バックアップ本体の相対位置を変更させることができる。
また、前記相対位置変更許容手段が、前記複数のバックアップ本体間に設けた伸縮可能な伸縮部材であれば、流体袋の膨縮動作に伴って伸縮部材を伸縮させることによりバックアップ本体同士の相対位置を変更させることができる。
また、図1及び図2に示すように、バックアップ部Y2が、一対のバックアップ本体Y21、Y22を備え、各バックアップ本体Y21、Y22の一端部を変形部Y1における互いに離間した二箇所に接合したものであれば、流体袋Y41の膨張動作に伴って変形部Y1のうち各バックアップ本体Y21、Y22との接合部位YP1、YP2が前方に向かって移動することになり、予め接合部位YP1、YP2間の距離を小さく設定した場合と、予め接合部位YP1、YP2間の距離を大きく設定した場合とで、流体袋Y31の同程度の膨張量に対する変形部Y1全体の変形度合い(窪み量)を異ならせることができ、適用箇所や用途等に応じて変形部Y1全体の変形度合いを容易に調整することができる。なお、図2では初期状態(換言すれば流体袋Y41が収縮している状態)の変形部Y1を想像線で示している。図1及び図2では、各バックアップ本体Y21、Y22の他端部を自由端Y21a、Y22aとしている態様を示している。
バックアップ部の他の態様としては、前記複数のバックアップ本体を備え、これら複数のバックアップ本体の一端部を変形部における仮想円周上又は当該仮想円周近傍に接合した態様が挙げられる。この場合、隣接するバックアップ本体の一端部同士の離間寸法は適宜変更すればよく、当該離間寸法を小さく設定した場合には、バックアップ部が複数のバックアップ本体によって概略半球状となるようにしても構わない。また、予め仮想円の直径を小さく設定した場合と、予め仮想円の直径を大きく設定した場合とで、流体袋の同程度の膨張量に対する変形部全体の変形度合い(窪み量)を異ならせることができ、用途等に応じて変形部全体の変形度合いを容易に調整することができる。
前記バックアップ本体が、前記流体袋の膨張動作に伴って流体袋に押圧された状態で当該流体袋を保持し得る保持部を備えたものであれば、流体袋の膨張動作に伴う押圧力を保持部が効率良く受けて各バックアップ本体を的確に作動させることができ、変形部のうちバックアップ本体との接合部位を確実に前方へ移動させることができる。
また、前記変形部及び前記各バックアップ本体が概略面状のものであれば、流体袋の膨張動作による押圧力を、変形部及び各バックアップ本体が面で受ける態様となり、流体袋の膨張動作に応じて変形部を的確に変形させることが可能である。
前記変形部の変形特性を方向付けるために当該変形部のうち所定部分を他の部分よりも部分的に変形し易くした変形容易手段を備えたものであれば、変形部における変形量を部分的に異ならせることにより、変形部の変形特性を的確に方向付けることができ、変形部の形状変化を簡単にコントロールすることができる。
前記変形容易手段が、スリット又は切欠又は他の部位よりも厚み寸法を小さく設定した薄肉部であれば、簡単な構成で変形容易手段を実現できる。
適用箇所や用途等によっては、流体袋の膨張動作に伴って、変形部のうちバックアップ本体との接合部位を前方に向かって移動させつつ、変形部のうちバックアップ本体の接合部位に囲まれる部分の形状を流体袋の収縮時と略同形状に保っていることが好ましい場合もある。このような要求に応えるためには、前記変形部の変形特性を方向付けるために当該変形部のうち所定部分を他の部分よりも部分的に変形し難くした変形抑制手段を備えたものとすればよい。このように、変形部における変形量を部分的に異ならせることにより、変形部の変形特性を的確に方向付けることができ、変形部の形状変化を簡単にコントロールすることができる。
変形抑制手段が、前記変形部と前記流体袋との間に配され、且つ当該流体袋の膨張動作によって伸縮せず且つ湾曲変形しない剛性を有する補強材であれば、簡単な構造で変形抑制手段を実現できる。
好適な実施態様としては、前記変形領域が着座者の背を支持し得る背支持領域であり、前記変形部が、前記背支持領域に配される背支持部であり、前記バックアップ部が、背支持部の後背に配される背支持バックアップ部である態様が挙げられる。
異なる好適な実施態様としては、前記変形領域が、座面を形成する座領域であり、前記変形部が、前記座領域に配される座部であり、前記バックアップ部が、前記座部の後端部位に配される座後端部位バックアップ部であり、前記流体袋の膨張動作に伴って前記座部の後端部位を上方に向かって湾曲変形させるようにした態様が挙げられる。このような態様であれば、迫り上がった座部の後端部位によって着座者の骨盤全体をサポートし得る状態と、そのサポート状態を解除した状態とを選択することできる。
また、さらに異なる好適な実施態様としては、前記変形領域が、座面を形成する座領域であり、前記変形部が、前記座領域に配される座部であり、前記バックアップ部が、前記座部のうち下方に向かった湾曲させた前端部位に配される座前端部位バックアップ部であり、前記流体袋の膨張動作に伴って前記座部の前端部位を上方に向かって湾曲変形させることにより、前記座部の奥行き寸法が変更するようにした態様が挙げられる。
さらに異なる好適な実施態様としては、前記変形領域が、座面を形成する座領域であり、前記変形部が、前記座領域に配される座部であり、前記バックアップ部が、前記座部の両側縁部位にそれぞれ配される座側縁部位バックアップ部であり、前記流体袋の膨張動作に伴って座部の両側縁部位を上方に向かって湾曲変形させるようにした態様が挙げられる。このような態様であれば、迫り上がった座部の両側縁部位によって着座者の臀部及び大腿部を両サイドからサポートし得る状態と、そのサポート状態を解除した状態とを選択することできる。
以上説明したように本発明によれば、構造の簡略化、及び構造簡略に伴う外観の簡素化を図るとともに、変形領域の変形量を無段階に調整可能な変形領域作動装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態では、図3及び図4に示すように、本発明に係る変形領域作動装置を、椅子における背支持領域BAの後方への没入量を調整するための背支持領域作動装置Bとして機能させている。
椅子の背凭れは、背シェルBSを用いて構成し、この背シェルBSによって着座者の背中を支持する背支持面を形成している。なお、前述の図3は背シェルBSを背面から見た状態の模式図であり、図4は背シェルBSを側面から見た状態の模式図である。そして、背シェルBSのうち、着座者の背中を支持し得る背支持領域BAに配される部位が、着座者の背中を支持し得る背支持部B1として機能し、着座者の腰部を支持し得るランバーサポート領域LAに配される部位が、着座者の腰部を支持し得るランバーサポート部L1として機能する。なお、本実施形態では、背シェルBSのうちランバーサポート部L1より下方の部分を非背支持部N1としている。この背シェルBSは、例えば、伸縮性に乏しい合成樹脂素材からなり、厚み方向に弾性変形可能な概略板状のものである。
本実施形態の椅子は、ランバーサポート領域LAを作動させるためのランバーサポート領域作動装置Lを備えている。このランバーサポート領域作動装置Lは、本発明に係る背支持作動装置Bとは異なる原理で変形領域であるランバーサポート領域LAを作動させるものであり、先ず、このランバーサポート領域作動装置Lについて説明する。
ランバーサポート領域作動装置Lは、図3及び図4等に示すように、前記ランバーサポート部L1と、ランバーサポート部L1の後背に配されるランバーサポートバックアップ部L2と、ランバーサポート部L1とランバーサポートバックアップ部L2との間に介在して膨縮自在なランバーサポート用流体袋L31を有するランバーサポート駆動機構L3とを備えたものである。
ランバーサポートバックアップ部L2は、一端部をランバーサポート部L1の上端部近傍に一体的に接合するとともに、他端部をランバーサポート部L1の下端部近傍に一体的に接合した面板状のものである。本実施形態では、ランバーサポートバックアップ部L2の両端部をランバーサポート部L1に溶着等の適宜の手段により固定している。以下の説明では、ランバーサポートバックアップ部L2の一端部とランバーサポート部L1との接合部位を「ランバーサポート第1接合部位LP1」とし、ランバーサポートバックアップ部L2の他端部とランバーサポート部L1との接合部位を「ランバーサポート第2接合部位LP2」とする。このランバーサポートバックアップ部L2は、ランバーサポート用流体袋L31の膨張動作に伴って伸縮せずに湾曲変形し得るものである。本実施形態のランバーサポートバックアップ部L2は、弾性に富むエラストマーから成形している。
ランバーサポート駆動機構L3は、ランバーサポート部L1とランバーサポートバックアップ部L2との間に配したランバーサポート用流体袋L31と、ランバーサポート用流体袋L31の流出入口に一端部を接続したチューブ等の管路L32と、管路L32の他端部に接続されランバーサポート用流体袋L31内へ流入される流体を供給する流体供給源L33とを備えたものである。
ランバーサポート用流体袋L31は、ランバーサポート部L1とランバーサポートバックアップ部L2との間に抜落不能に配されている。本実施形態では、流体供給源L33としてエアポンプを適用し、ランバーサポート用流体袋L31として、内部の空気量の変化に伴って膨縮動作可能なエアバッグを適用している。図3等に示す前記エアポンプは手動式のものであり、着座者が当該エアポンプを直接握ることによって、ランバーサポート用流体袋L31内の流体量を調整することが可能である。また、流体供給源として、例えば伸縮可能なピストンタイプ又は回転可能な握り玉タイプ(ノブタイプ)のエアコンプレッサを適用してもよく、エアコンプレッサを作動させるためのスイッチやボタン等の操作部を適宜設ければよい。また、ランバーサポート駆動機構L3は、管路L32等の適宜箇所に、流体の逆流を規制する状態と、流体の逆流を許容する状態との間で切替可能な切替弁を設けている。
そして、図4に示す初期状態において、流体供給源L33たるエアポンプを握る操作を行うことによって、ランバーサポート用流体袋L31に流体(本実施形態では圧縮空気)が供給され、ランバーサポート用流体袋L31が膨張した場合、このランバーサポート用流体袋L31の膨張動作に伴って、図5に示すように、ランバーサポート部L1及びランバーサポートバックアップ部L2が相互に厚み方向(換言すれば椅子の奥行き方向)に離間する方向へ押圧される。これにより、ランバーサポート部L1のうちランバーサポート第1接合部位LP1及びランバーサポート第2接合部位LP2が、これら接合部位LP1、LP2間の部分よりも相対的に後方へ移動し、これら接合部位LP1、LP2間の部分が相対的に前方へ突出するように撓みながら弾性変形する。そして、ランバーサポート部L1の撓み変形により、ランバーサポート領域LA全体が側面視凸状に変形する。
一方、このようにランバーサポート領域LAを前方に突出させた状態において、エアポンプに設けられ、且つ前記切替弁を逆流規制状態から逆流許容状態に切り替えるための操作部に対して所定の操作を行うことにより、ランバーサポート用流体袋L31内の流体量を減少させた場合には、このランバーサポート用流体袋L31が収縮し、この収縮動作に伴って、ランバーサポート部L1及びランバーサポートバックアップ部L2が相互に厚み方向に近付く方向へ弾性復帰し、ランバーサポート領域LAの前方への突出量が小さくなる。
しかして、本実施形態に係る背支持領域作動装置Bは、上述した通り、ランバーサポート領域作動装置Lとは異なる原理で変形領域である背支持領域BAを作動させるものである。
背支持領域作動装置Bは、図3、図4、及び図8等に示すように、背シェルBSのうち前記背支持領域BAに配される背支持部B1と、背支持部B1の後背に配されるバックアップ部(以下、「背支持バックアップ部B2」と称す)と、背支持部B1と背支持バックアップ部B2との間に介在して膨縮自在な流体袋(以下、「背支持用流体袋B31」と称す)を有する駆動機構(以下、「背支持駆動機構B3」と称す)とを備えたものである。
本実施形態では、背シェルBSを単一の面板状のものから構成し、背シェルBSのうち着座者の背中を支持し得る部位を背支持部B1として機能させている。なお、本実施形態では、背支持部B1の変形特性を方向付けるために背支持部B1のうち所定部分を他の部分よりも部分的に変形し易くした変形容易手段B11を設けている。変形容易手段B11として、背シェルBSの両側縁からそれぞれ巾方向中央に向かって延びる一対の切込部B11aを適用している(図3参照)。
背支持バックアップ部B2は、背支持用流体袋B31の膨縮動作によって伸縮せず且つ湾曲変形しない剛性を有する一対の背支持バックアップ本体(第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22)と、これら一対の背支持バックアップ本体(第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22)間に形成され、且つ背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴う背支持バックアップ本体(第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22)同士の相対位置変更を許容し得る相対位置変更許容手段B23とを備えたものである(図8参照)。
第1背支持バックアップ本体B21は、背支持部B1の巾方向略中央部を境にした一方の領域に配されるものであり、第2背支持バックアップ本体B22は、他方の領域に配されるものである。第1背支持バックアップ本体B21及び第2背支持バックアップ本体22はそれぞれ面板状をなし、背支持部B1の巾方向略中央部を境にした各領域にそれぞれ個別に設けたものである。
各背支持バックアップ本体B21、B22は、一端部を、背支持部B1の巾方向略中央部から巾方向に変位させた箇所に一体的に強固に接合するとともに、他端部を、背支持部B1の巾方向略中央部を境に相互に略向かい合わせた自由端B21a、B22aに設定したものである。本実施形態では、各背支持バックアップ本体B21、B22の一端部を背支持部B1に溶着等の適宜の手段により固定している。以下の説明では、第1背支持バックアップ本体B21の一端部と背支持部B1との接合部位を「背支持第1接合部位BP1」とし、第2背支持バックアップ本体B22の一端部と背支持部B1との接合部位を「背支持第2接合部位BP2」とする。本実施形態の第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22は、剛性の高い板金から成形している。また、各背支持バックアップ本体B21、B22は、背支持用流体袋B31の膨張時に背支持用流体袋B31に直接押圧される部位を、背支持用流体袋B31を保持し得る保持部B211、B221として機能させている(図9参照)。本実施形態では、対をなす第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22を、背支持部B1の高さ方向に沿って複数列(図示例では3列)設けている。
相対位置変更許容手段B23は、第1背支持バックアップ本体B21の自由端B21aと第1背支持バックアップ本体B21の自由端B22との間に形成した間隙B2sによって構成されるものである。
背支持駆動機構B3は、背支持部B1と第1背支持バックアップ本体B21及び第2背支持バックアップ本体B22との間に配した背支持用流体袋B31と、背支持用流体袋B31の流出入口に一端部を接続したチューブ等の管路B32と、管路B32の他端部に接続され背支持用流体袋B31内へ流入される流体を供給する流体供給源B33とを備えたものである。
背支持用流体袋B31は、背支持部B1と第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22との間に抜落不能に配されている。本実施形態では、流体供給源B33としてエアポンプを適用し、背支持用流体袋B31として、内部の空気量の変化に伴って膨縮動作可能なエアバッグを適用している。図3等に示す前記エアポンプは手動式のものであり、着座者が当該エアポンプを直接握ることによって、背支持用流体袋B31内の流体量を調整することが可能である。また、流体供給源として、例えば伸縮可能なピストンタイプ又は回転可能な握り玉タイプ(ノブタイプ)のエアコンプレッサを適用してもよく、エアコンプレッサを作動させるためのスイッチやボタン等の操作部を適宜設ければよい。なお、背支持駆動機構B3の流体供給源B33と、ランバーサポート駆動機構L3の流体供給源L33とを共用しても構わない。また、背支持駆動機構B3及びランバーサポート駆動機構L3の各操作部(流体供給源L33が手動式エアポンプの場合は当該エアポンプ自体)は、着座者が着座した姿勢でも操作可能な位置に設けておくことが好ましい。
また、背支持駆動機構B3は、管路B32等の適宜箇所に、流体の逆流を規制する状態と、流体の逆流を許容する状態との間で切替可能な切替弁を設けている。
このような構成を有する背支持駆動機構B3の作用によって背支持部B1、ひいては背支持領域BAの形状を変形させることができる。
具体的には、図4及び図8に示す初期状態(換言すれば背支持用流体袋B31が収縮している状態)において、流体供給源B33たるエアポンプを直接握ることによって、背支持用流体袋B31に流体(本実施形態では圧縮空気)が供給され、背支持用流体袋B31が膨張する。この背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って、図6及び図9に示すように、背支持部B1及び背支持バックアップ部B2が相互に厚み方向に離間する方向へ押圧される。この際、背支持バックアップ部B2の各背支持バックアップ本体B21、B22は、背支持用流体袋B31の膨張動作による押圧力によっても弾性変形しない剛性を有するため、その押圧力が、各背支持バックアップ本体B21、B22の自由端B21a、B22a同士を相互に離間する方向に作用する。その結果、各背支持バックアップ本体B21、B22の自由端B21a、B22a同士が相互に離間するとともに、背支持部B1のうち背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2が、これら接合部位BP1、BP2間の部分よりも相対的に前方へ移動し、これら接合部位BP1、BP2間の部分が相対的に後方へ没入するように撓みながら弾性変形する。より具体的には、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2が後方へ移動しながら相互に接近する方向に移動し、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2が相互に接近するにつれて、背支持第1接合部位BP1と背支持第2接合部位BP2との間の部分の後方への変形量、換言すれば後方への没入量が漸次増大する。
さらに、本実施形態では、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2を、背支持部B1の巾方向両端部よりも内方(巾方向中央部側)に変位させた位置に設定している。そして、本実施形態に係る背支持領域作動装置Bが、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って、背支持部B1のうち、各接合部位BP1、BP2より両側端部側の部分を、各接合部位BP1、BP2よりもさらに前方へ移動させるものである。そのため、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って、各接合部位BP1、BP2よりも端部側の部分、すなわち背支持部B1の両側端部近傍領域がそれぞれ各接合部位BP1、BP2よりもさらに前方へ移動し、背支持部B1の巾方向中央部位が背支持部B1の両側端部近傍領域よりも確実に後方へ没入する(図9参照)。そして、背支持部B1の撓み変形により、背支持領域BA全体が平面視凹状に変形する。なお、図9において初期状態(撓み変形前)の背支持部B1を想像線で示している。また、図7は、背支持領域BA及びランバーサポート領域LAを撓み変形させた状態を示す図である。
一方、このように背支持領域BAを後方に没入させた状態において、エアポンプに設けられ、且つ前記切替弁を逆流規制状態から逆流許容状態に切り替えるための操作部に対して所定の操作を行うことにより、背支持用流体袋B31内の流体量を減少させた場合には、この背支持用流体袋B31が収縮し、この収縮動作に伴って、背支持部B1が弾性復帰するとともに、各背支持バックアップ本体B21、B22が自由端B21a、B22a同士を相互に近付ける方向に移動し、背支持領域BAの後方への没入量が小さくなる(図8参照)。なお、背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴う背支持バックアップ本体B21、B22同士の相対位置変更は、各背支持バックアップ本体B21、B22の自由端B21a、B22a間に形成した間隙B2sによって許容され、各背支持バックアップ本体B21、B22が、背支持用流体袋B31が収縮した状態にとる初期姿勢と、背支持用流体袋B31が膨張した状態にとる被押圧姿勢との間の姿勢変更を円滑に行えるようにしている。
このように、本実施形態に係る背支持領域作動装置Bは、背支持部B1と、対をなす第1背支持バックアップ本体B21及び第2背支持バックアップ本体B22との間に介在させた背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴って背支持部B1を変形させることができ、従来のように複雑なリンク機構等の機械的な機構が不要となり、構造の簡略化、及び構造簡略化に伴う外観の簡素化を有効に図ることができるとともに、背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴って背支持部B1のうち第1背支持バックアップ本体B21、第2背支持バックアップ本体B22との接合部位である背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2を相対的に前方へ移動させることによって背支持部B1、ひいては背支持領域BAを凹形に容易に変形させることができ、変形動作の安定性も向上する。さらに、背支持用流体袋B31内の流体量に応じて背支持部B1の撓み量を無段階に調整することができる。しかも、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って剛性の高い各背支持バックアップ本体B21、B22自体は変形しないが、相対位置変更許容手段B23により各背支持バックアップ本体B21、B22同士の相対位置変更を許容するため、背支持用流体袋B31の膨張動作時に各背支持バックアップ本体B21、B22を、変形を伴わずに的確に作動させることができ、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2を確実に前方へ移動させることができる。加えて、背支持部B1の後背に第1背支持バックアップ本体B21及び第2背支持バックアップ本体B22を配設しているため、背支持領域BA自体の強度も有効に向上させることができる。また、背支持用流体袋B31を膨張させた場合には、背支持用流体袋B31自体によって良好なクッション性をも得ることが可能である。
特に、各背支持バックアップ本体B21、B22の一端部をそれぞれ背支持部B1の端部から変位した箇所に接合しているため、各背支持バックアップ本体B21、B22の一端部をそれぞれ背支持部B1の端部に接合した場合と比較して、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2の移動距離に対する背支持部B1の変形量を増大させることができ、背支持部B1、ひいては背支持領域BAを効率良く変形させることが可能である。
さらに、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って、背支持第1接合部位BP1及び背支持第2接合部位BP2が相互に接近するにつれて背支持部B1の変形量が漸次増大するため、背支持部B1が略直線状をなす初期状態から徐々に湾曲変形する態様となり、着座者が着座した状態で背支持B1を変形させた場合であっても、着座者に無理な負荷が掛かることを回避できる。
加えて、背支持部B1が、背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴って伸縮せずに湾曲変形し得るものであるため、背支持部B1が伸縮性に富む素材から成形したものである場合に起こり得る不具合、すなわち、背支持用流体袋B31の膨張動作による押圧力を受けた場合に、その押圧力を背支持部B1自体の伸縮によって吸収してしまうという不具合が生じず、背支持用流体袋B31の膨張動作による押圧力に応じた背支持部B1の撓み変形、ひいては背支持領域BA全体の撓み変形を実現することができる。
また、第1背支持バックアップ本体B21及び第2背支持バックアップ本体B22が、背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴って且つ厚み方向に変形しない剛性を有するものであるため、背支持用流体袋B31の膨張動作による押圧力が、各背支持バックアップ本体B21、B22の他端部B21a、B22a同士を相互に離間する方向に作用し、その結果、背支持部B1と各背支持バックアップ本体B21、B22との接合部位BP1、BP2が前方へ移動し、背支持部B1、ひいては背支持領域BAを確実に変形させることができる。
特に、背支持部B1が、膨張させた背支持用流体袋B31を収縮させた際に、湾曲変形前の状態に自己復元し得るものであるため、背支持用流体袋B31の収縮動作に伴って背支持部B31が自動的に湾曲変形前の状態(初期状態)に戻り、この背支持部B31の復元動作に伴って各背支持バックアップ本体B21、B22を初期姿勢に戻すことが可能となる。
また、相対位置変更許容手段B23が、第1支持バックアップ本体B21と第2背支持バックアップ本体B22との間に形成した間隙B2sであるため、相対位置変更許容手段B23を極めて簡単な構造で実現することができるとともに、当該間隙B2sを利用して背支持用流体袋B31の膨縮動作に伴う各背支持バックアップ本体B21、B22の相対位置変更をスムーズ且つ的確に行うことができる。
さらに、背支持バックアップ本体B21、B22が、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴って背支持用流体袋B31に押圧された状態で背支持用流体袋B31を保持し得る保持部B211、B221を備えたものであるため、背支持用流体袋B31の膨張動作に伴う押圧力を保持部B211、B221が効率良く受けて各背支持バックアップ本体B21、B22を的確に作動させることができ、背支持部B1のうち背支持バックアップ本体B21、B22との接合部位BP1、BP2を確実に前方へ移動させることができる。
また、背支持部B1及び各背支持バックアップ本体B21、B22が概略面状のものであるため、背支持用流体袋B31の膨張動作による押圧力を、背支持部B1及び各背支持バックアップ本体B21、B22が面で受ける態様となり、背支持用流体袋B31の膨張動作に応じて背支持部B1を的確に変形させることが可能である。
殊に、支持部B1の変形特性を方向付けるために背支持部B1のうち所定部分を他の部分よりも部分的に変形し易くした変形容易手段B11を設けているため、背支持部B1をより容易且つ確実に変形させることができる。さらに、変形容易手段B11が切欠B11aであるため、変形容易手段B11を極めて簡単な構成で実現できる。
なお、本発明に係る変形領域作動装置は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
例えば、変形部は、流体袋の膨張動作に伴って伸縮せず湾曲変形するものであり、且つ流体袋の収縮動作に伴って元の形状に自己復元可能なものであればよく、厚み方向に撓み変形可能な板バネであってもよい。一方、バックアップ本体は、流体袋の膨張動作に伴って伸縮せず且つ湾曲変形しないものであればよく、剛性の高い樹脂素材からなるものであっても構わない。
また、前記実施形態では、一の変形部に対して、一対のバックアップ本体を複数組接合した態様を例示したが、一の変形部に対して一対のバックアップ本体のみを接合してもよい。なお、一の変形部に対して、一対のバックアップ本体を複数組接合する場合、変形部と一組(一対)のバックアップ本体との間にそれぞれ個別の流体袋を設けもよく、或いは前記実施形態で示すように複数組のバックアップ本体に対して単一の流体袋を設けてもよい。すなわち、駆動機構が、単一の流体袋を備えたものである態様、又は複数の流体袋を備えたものである態様の何れであっても構わない。
さらに、図10に示すように、一の変形部Y1における巾方向中央部を境界にした一方の領域に一対のバックアップ本体Y21、Y22の一端部をそれぞれ接合するとともに、他方の領域にも一対のバックアップ本体Y21、Y22の一端部をそれぞれ接合する態様を採用しても構わない。この場合、変形部Y1の巾方向に沿って計4箇所の接合部位(YP1a、YP2a、YP1b、YP2b)が存在することになり、流体袋Y31の膨張動作に伴って、これら接合部位のうち変形部Y1の巾方向中央部側に位置する2箇所の接合部位(図示例ではYP1a、YP1b)よりも、変形部Y1の端部側に位置する2箇所の接合部位(図示例ではYP2a、YP2b)を前方へ大きく移動させるように設定すれば、変形部Y1全体が効率良く凹形状に変形する。なお、図10では、撓み変形後の変形部Y1を想像線で示している。また、図10において、変形部Y1の前面に張り地Y5を張設し、変形部Y1の変形に応じて張り地Y5も変形するようにしている。このように、変形部の前面(表面)に、変形部の変形に応じて変形可能な張り地やクッション等のオプション部材を設けてもよい。
また、変形部とバックアップ本体とを一体に接合した態様、すなわち変形部とバックアップ本体とが一体品である態様を採用しても構わない。
また、各バックアップ本体の一端部を、変形部の端部又は端部近傍に接合した態様を採用しても構わない。
また、変形容易手段を設ける箇所は、変形部の端部に限らず、例えば変形容易手段として機能するスリットを変形部全体に所定ピッチで多数設けた態様であっても構わない。変形容易手段として、ヒンジ(樹脂ヒンジ含む)や他の部分より薄肉に設定した薄肉部を適用してもよい。
また、変形部の変形特性を方向付けるために当該変形部のうち所定部分を他の部分よりも部分的に変形し難くした変形抑制手段を備えたものとしてもよい。変形抑制手段としては、図11及び図12に示すように、変形部Y1と流体袋Y31との間に配され、且つ流体袋Y31の膨張動作によって湾曲変形しない剛性を有する補強材Y4(例えば鋼板)が挙げられる。このようなものであれば、流体袋Y31の膨張動作に伴って、変形部Y1のうちバックアップ本体Y21、Y22との接合部位YP1、YP2を後方に向かって移動させつつ、変形部Y1のうちバックアップ本体Y21、Y22の接合部位YP1、YP2に囲まれる領域の形状を流体袋Y31の収縮時と略同形状に保つことができる。したがって、例えば背支持部と背支持用流体袋との間に補強材Y4を介在させた場合には、着座者の背に当たる形状を保ったまま背支持領域全体を前方へ突出させることが可能である。なお、変形抑制手段が、複数の補強材からなるものであっても構わない。
変形容易手段及び変形抑制手段の何れをも備えた態様であれば、変形部の変形態様がバリエーションに富むものとなり、要求される複雑な変形態様にも対応可能なものとなる。
また、流体袋が圧縮空気以外の流体の流出入によって膨縮自在なものであってもよい。
また、前記実施態様では、背支持部とランバーサポート部とが連続性を有する一体品の背シェルを例示したが、背支持部とランバーサポート部とが連続性のない別体のものからなる態様であってもよい。また、変形部がシェルではなく、フレームであっても構わない。
さらに、背支持領域以外の領域、例えば座やヘッドレスト、或いは肘掛けやフットレストが変形可能な領域である場合、本発明の変形領域作動装置を、これら各変形領域を作動させるためのものとして活用することもできる。また、一対のバックアップ本体の一端部を変形部における高さ方向に沿って互いに離間した二箇所にそれぞれ接合し、流体袋の膨張動作に伴って接合部位同士が前方に移動しながら変形部の高さ方向に相互に接近する態様を採用しても構わない。このような一例として、図13及び図14に示すように、本発明の変形領域作動装置を、ヘッドレスト領域HAを作動させるためのヘッドレスト領域作動装置Hとして適用した態様が挙げられる。この場合、一対のヘッドレストバックアップ本体H21、H22(本発明の「バックアップ本体」に相当)の一端部を変形部であるヘッドレスト部H1における高さ方向に沿って互いに離間した二箇所にそれぞれ接合し、ヘッドレスト駆動機構H4のヘッドレスト用流体袋H41(本発明の「駆動機構」の「流体袋」に相当)の膨張動作に伴って、各ヘッドレストバックアップ本体H21、H22の自由端H21a、H22a同士が相互に離間する方向に押圧力が作用し、各接合部位HP1、HP2同士が前方に移動しながらヘッドレスト部H1の高さ方向に相互に接近し、ヘッドレスト部H1が側面視凹状に変形する(図14参照)。その結果、ヘッドレスト領域HA全体が側面視凹状に変形する。なお、図14では、背凭れ全体の後傾動作に連動して、ヘッドレスト用流体袋H41及びランバーサポート用流体袋L31をそれぞれ膨張させ、ヘッドレスト部H1及びランバーサポート部L1をそれぞれ側面視凹状、側面視凸状に変形させるようにしている。そして、背凭れ全体が後傾姿勢から通常姿勢に戻ると、ヘッドレスト用流体袋H41及びランバーサポート用流体袋L31をそれぞれ収縮させ、ヘッドレスト部H1及びランバーサポート部L1をそれぞれ撓み変形前の状態に復帰させるようにしている。
また、他の一例として、図15及び図16に示すように、本発明の変形領域作動装置を、座領域ZAの後端部近傍領域を作動させるための座後端領域作動装置Zとして適用した態様が挙げられる。この場合、変形領域が、座面を形成する座領域ZAであり、変形部が、座領域ZAに配される座部Z1であり、バックアップ部が、座部Z1の後端部位に配される座後端部位バックアップ部Z2であり、流体袋Z31の膨張動作に伴って座部Z1の後端部位を上方に向かって湾曲変形させるようにすればよい。このような態様であれば、流体袋Z31の膨張動作に伴って、座部Z1のうち座後端部位バックアップ部Z2の座後端部位バックアップ本体Z21、Z22との接合部材ZP1、ZP2が移動することにより、座部Z1の後端部位が着座者の骨盤全体を包み込むように上方に向かって湾曲変形し、着座者に良好な座り心地を与えることが可能である。
また、さらに異なる他の一例として、図17及び図18に示すように、本発明の変形領域作動装置を、座領域ZAの前端部近傍領域を作動させるための座前端領域作動装置Zとして適用した態様が挙げられる。この場合、変形領域が、座面を形成する座領域ZAであり、変形部が、座領域ZAに配される座部Z1であり、バックアップ部が、座部Z1のうち下方に向かった湾曲させた前端部位に配される座前端部位バックアップ部Z3であり、流体袋Z31の膨張動作に伴って座部Z1の前端部位を上方に向かって湾曲変形させるようにすればよい。このような態様であれば、流体袋Z31の膨張動作に伴って、座部Z1のうち座前端部位バックアップ部Z2の座前端部位バックアップ本体Z21、Z22との接合部材ZP1、ZP2が移動することにより、座部Z1の前端部位を上方に向かって湾曲変形し、着座者の体型や着座姿勢等に応じて座部Z1の奥行き寸法を変更することができる。
また、さらに異なる他の一例としては、図19及び図20に示すように、本発明の変形領域作動装置を、座領域ZAの両側縁部近傍領域を作動させるための座側縁領域作動装置Zとして適用した態様が挙げられる。この場合、変形領域が、座面を形成する座領域ZAであり、変形部が、座領域ZAに配される座部Z1であり、座部Z1の両側縁部位にそれぞれ座側縁部位バックアップ部Z2を配し、流体袋Z31の膨張動作に伴って座部Z1の両側縁部位を上方に向かって湾曲変形させるようにすればよい。このような態様であれば、流体袋Z31の膨張動作に伴って、座部Z1のうち各座側縁部位バックアップ部Z2の座側縁部位バックアップ本体Z21、Z22との接合部材ZP1、ZP2が移動することにより、座部Z1の両側縁部位が着座者の臀部及び大腿部を両サイドからサポートするように迫り上がった状態となり、着座者に良好な座り心地を与えることが可能である。
また、椅子に限らず、例えば、ソファやベッドの面状領域を構成する変形領域を作動させるための変形領域作動装置として活用することも可能である。ベッドに適用する一例としては、図21及び図22に示すように、本発明の変形領域作動装置を、ベッドに横たわる使用者の身体を支持し得る身体支持領域DAのうち使用者の上半身を支持し得る上半身支持領域を作動させるための上半身支持領域作動装置Dとして適用した態様が挙げられる。この場合、変形部が、使用者の身体を支持し得る身体支持部D1であり、バックアップ部が身体支持部D1のうち使用者の上半身を支持し得る上半身支持部に配した上半身支持部バックアップ部D2であり、身体支持部D1と上半身支持部バックアップ部D2との間に介在させた流体袋D31の膨張動作に伴って上半身支持部D1を上方に向かって湾曲変形させるようにすればよい。このような態様であれば、流体袋D31の膨張動作に伴って、身体支持部D1のうち上半身支持部バックアップ部D2の上半身支持部バックアップ本体D21、D22との接合部材DP1、DP2が移動することにより、これら接合部材DP1、DP2間の部分が上方に迫り上がり、ベッドに横たわる使用者の上半身を起こすことができる。
また、一の家具において、複数の変形領域が存在する場合に、本発明の変形領域作動装置を各変形領域に関連付けて複数設けてもよい。さらには、これら各変形領域作動装置を相互に関連付け、各変形領域作動装置の流体袋の膨縮動作を同時又は時間差で連動させるようにしても構わない。異なる変形領域作動装置の流体袋同士を管路等を介して接続し、各流体袋の内部空間同士を連通させた状態と、遮断した状態との間で切替可能にしてもよい。
また、変形部が、湾曲変形するものではなく、屈曲変形するものであってもよい。
また、相対位置変更許容手段として、複数のバックアップ本体間に設けた伸縮可能な伸縮部材を適用しても構わない。図23及び図24に示す相対位置変更許容手段として機能する伸縮部材Y2sは、一対のバックアップ本体Y21、Y22の他端部同士を接続するものである。伸縮部材としては、弾性素材からなるものが好ましく、ゴムやバネ等が挙げられる。弾性素材以外のものからなる伸縮部材であってもよく、一例としては、折り畳んだ状態と展開した状態との間で変更可能なものが挙げられる。
また、図25に示すように、各バックアップ本体Y21、Y22が略直線状をなし、これらバックアップ本体Y21、Y22を相互に対向配置させ、バックアップ本体Y21、Y22間に流体袋Y31を介在させる態様や、図26及び図27に示すように、バックアップ部Y2が、3以上のバックアップ本体Y21を備えたものであり、これら3以上のバックアップ本体Y21の一端部を変形部Y1における仮想円周Y1s上又は仮想円周Y1s近傍に接合した態様を採用してもよい。後者の場合、隣接するバックアップ本体Y21の一端部同士の離間寸法は、図26に示すように、流体袋Y31が収縮している状態において隣接するバックアップ本体Y21同士が当接し得ない寸法に設定してもよく、或いは、図27に示すように、流体袋Y31が収縮している状態において隣接するバックアップ本体Y21同士が当接又は近接し得る寸法に設定してもよい。特に、隣接するバックアップ本体Y21の一端部同士の離間寸法を、流体袋Y31が収縮している状態において隣接するバックアップ本体Y21同士が当接又は近接し得る寸法に設定した場合には、バックアップ部Y2が複数のバックアップ本体Y21によって概略半球状となるようにしても構わない。なお、図26及び図27は、流体袋Y31が収縮している状態を示すものであり、各バックアップ本体Y21のうち変形部Y1に接合する一端部にパターンを付している。
その他、各部の具体的な形状や構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。