JP2009081472A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】III−V族窒化物系単結晶化合物半導体層を、これとは異なる材料系の基板上に結晶成長させ、これを用いて高品質及び高信頼性を有し且つ面状発光を実現する半導体発光素子を提供する。
【解決手段】III−V族窒化物系半導体発光素子は、III−V族窒化物系の少なくとも1種類の化合物半導体材料からなる複数の単結晶半導体成長層が該III−V族窒化物系以外の構成材料からなる基板の上に積層されて構成されている積層構造体を備えている。該積層構造体のうちで該基板に最も近く位置している第1成長層のバルク格子定数a1と、該積層構造体のうちで最も大きな厚さを有する第2成長層のバルク格子定数a2とは、該基板の熱膨張係数がこれらの層の熱膨張係数よりも大きい場合には、a2<a1≦1.005a2なる関係を満たし、該基板の熱膨張係数がこれらの層の熱膨張係数よりも小さい場合には、0.995a2≦a1<a2なる関係を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体発光素子に関し、より詳細には、III−V族窒化物系の化合物半導体材料から構成されている半導体発光素子に関する。
近年、III−V族窒化物系の化合物半導体材料、例えばGaN系化合物半導体材料を用いた高輝度の青色発光ダイオードが商品化されており、III−V族窒化物系化合物半導体材料は、発光デバイスの構成材料として大きく期待されている。
一般に、III−V族窒化物系化合物半導体材料層の結晶成長は、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)、或いは分子線エピタキシー法(MBE法)などによって行われる。一方、III−V族窒化物系化合物半導体材料を結晶成長させる基板としては、III−V族窒化物系化合物半導体材料以外の構成材料からなる基板、例えばサファイア基板やSiC基板などが用いられている。結晶成長用の基板は、本来は成長膜と同種の材料系から構成されていることが理想的であるが、III−V族窒化物系化合物半導体材料の大面積単結晶基板を得ることが困難であるために、このような異種の材料系からなる基板が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平10−150245号公報
GaN層の上にAlGaN或いはInGaNからなるヘテロ成長層を成長させる場合には、窒化物以外のIII−V族化合物半導体層を成長させる場合とは異なり、計算から得られる臨界膜厚を超えた厚さの成長膜がコヒーレント成長する(すなわち、成長面内の格子定数が一致して成長する)ことが、これまでに報告されている(例えば、Mat. Res. Soc. Symp. Proc.、Vol.449、第1143頁を参照)。
しかし、サファイア基板或いはSiC基板など、III−V族窒化物以外の材料からなる基板を用いる場合には、基板とその上に成長するIII−V族窒化物系化合物半導体層との間の格子不整合が大きいために、単結晶III−V族窒化物系化合物半導体層を直接に基板上に良好に成長させることができない。このような場合には、まず非単結晶バッファ層を基板上に成長させて、このバッファ層の上に、III−V族窒化物系の単結晶化合物半導体層を成長させている(例えば、Japanese Journal of Applied Physics、Vol.30、第L1705頁を参照のこと)。
更に、基板と成長膜との間の熱膨張係数の関係が格子定数に及ぼす影響が、これまでに研究報告されている(例えば、日本結晶成長学会誌、Vol.23、第49頁を参照のこと)。
一般にサファイア基板は、その熱膨張係数が、GaNなどのIII−V族窒化物系化合物半導体層の熱膨張係数より大きい。このため、上記のようにバッファ層を介してサファイア基板上に成長させたGaN単結晶膜は、結晶成長温度よりも低い温度下では、成長方向(c軸方向)と垂直である面内方向(a軸方向)に圧縮応力を受けて、面内方向の格子定数がバルク格子定数よりも小さくなる。これに対して、SiC基板は、熱膨張係数がIII−V族窒化物系化合物半導体層の熱膨張係数より小さい。そのため、上記の方法でSiC基板上に成長させたGaN単結晶膜は、結晶成長温度よりも低い温度下で、成長方向(c軸方向)と垂直である面内方向(a軸方向)に引っ張り応力を受けて、面内方向の格子定数がバルク格子定数よりも大きくなる。なお、本願明細書において、「バルク格子定数」とは、素子構造の中に組み込まれて歪みを受けている状態での格子定数値ではなく、歪み無く形成された状態における材料本来の格子定数値を指す。
更に、半導体発光素子の作製時に使用される活性層としては、多くの場合、InGaN層などのInを含む層が用いられる。InGaNはGaNに比べてバルク格子定数が大きいので、特に、熱膨張係数がIII−V族窒化物系化合物半導体層より大きい基板(例えばサファイア基板)の上に前述の方法でGaN単結晶膜を成長させ、更にその上にInを含む活性層(例えばInGaN活性層)を成長させる場合、GaN単結晶膜に対する活性層の面内方向の格子不整合が、バルク結晶時に比べて大きくなる。これは、結晶成長温度よりも低い温度下でGaN単結晶膜が基板から圧縮応力を受けて、面内方向の格子定数がバルク格子定数よりも小さくなるからである。このために、結晶性の良好な活性層を得るためには、そのIn濃度にも依存するが、活性層を薄膜としなければならない(例えば、In0.3Ga0.7Nの場合には数nmの厚さ)。このような薄いInGaN活性層へのInの取り込み効率は、GaN単結晶基板上に成長させたGaN膜の上へ同条件で成長させたInGaN層に比べて、低くなる。更に、InGaN活性層に均一にInが取り込まれず、活性層中でIn濃度の多い部分と少ない部分とが混在するようになる。この結果、上記のようにして作製された半導体発光素子は、輝点の集合の形態で発光する素子となり、面状発光を呈する素子は得られない。
これに対して、熱膨張係数がIII−V族窒化物系化合物半導体層より小さい基板(例えばSiC基板)の上に前述の方法でGaN単結晶膜を成長させ、更にその上にInを含む活性層(例えばInGaN活性層)を成長させる場合、GaN単結晶膜に対する活性層の面内方向の格子不整合が、バルク結晶時に比べて小さくなる。これは、結晶成長温度よりも低い温度下でGaN単結晶膜が基板から引っ張り応力を受けて、面内方向の格子定数がバルク格子定数よりも大きくなるからである。しかし、この場合においても、下地のGaN単結晶膜は格子歪みを受けており、良質のGaN単結晶膜を得ることができないために、このGaN膜上に結晶成長されるInGaN活性層を良質に形成することは困難である。
上記のような方法による結晶成長では、成長条件のわずかなずれにより活性層の混晶比及び格子不整合が変化するので、歩留まり良く且つ再現性良くInGaN活性層を成長させることができない。
このような問題を解決する試みとして、特開平8−264833号公報には、AlInGaN活性層の格子定数に近いInGaNバッファ層をサファイア基板上に成長させることが記載されている。すなわち、活性層とバッファ層との格子定数を近づけることによって、活性層の格子歪を減少させようとするものである。しかし、窒化物以外の基板上にIII−V族窒化物系単結晶半導体層を成長させる場合の格子歪みは、基板と単結晶エピタキシャル成長層との熱膨張係数の差に主に起因するので、バッファ層を改善するだけでは格子歪みを十分に除去することができず、良質のInGaN活性層を得ることは依然として困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、III−V族窒化物系単結晶化合物半導体層を、これとは異なる材料系の基板上に、良質な結晶性を有する状態で歩留まり良く且つ再現性良く結晶成長させ、これを用いて高品質及び高信頼性を有し且つ面状発光を実現する半導体発光素子を提供することである。
本発明のIII−V族窒化物系半導体発光素子は、III−V族窒化物系の少なくとも1種類の化合物半導体材料からなる複数の単結晶半導体成長層が、該III−V族窒化物系以外の構成材料からなる基板の上に積層されて構成されている積層構造体を備えており、該基板の熱膨張係数が、該積層構造体のうちで該基板に最も近く位置している第1成長層の熱膨張係数及び該積層構造体のうちで最も大きな厚さを有する第2成長層の熱膨張係数よりも大きく、該積層構造体の該第1成長層のバルク格子定数a1と該第2成長層のバルク格子定数a2とが、a2<a1≦1.005a2なる関係を満たしており、そのことによって、上記の目的が達成される。
本発明の他のIII−V族窒化物系半導体発光素子は、III−V族窒化物系の少なくとも1種類の化合物半導体材料からなる複数の単結晶半導体成長層が、該III−V族窒化物系以外の構成材料からなる基板の上に積層されて構成されている積層構造体を備えており、該基板の熱膨張係数が、該積層構造体のうちで該基板に最も近く位置している第1成長層の熱膨張係数及び該積層構造体のうちで最も大きな厚さを有する第2成長層の熱膨張係数よりも小さく、該積層構造体の該第1成長層のバルク格子定数a1と該第2成長層のバルク格子定数a2とが、0.995a2≦a1<a2なる関係を満たしており、そのことによって、上記の目的が達成される。
ある実施形態では、前記基板と前記積層構造体との間に、非単結晶のバッファ層が更に形成されている。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明によれば、積層構造体のうちで基板に最も近い第1成長層のバルク格子定数a1と最大の膜厚を有する第2成長層のバルク格子定数a2との間に、基板の熱膨張係数が、積層構造体を構成するIII−V族窒化物系化合物半導体材料の熱膨張係数よりも(より具体的には、第1成長層の熱膨張係数及び第2成長層の熱膨張係数よりも)大きい場合に、
2<a1≦1.005a2
なる関係が満たされる。この結果、第1成長層は、結晶成長よりも低い温度下では、圧縮応力を受けて圧縮歪を生じる。これにより、第1成長層は、面内方向(a軸方向)の格子定数が第1成長層のバルク格子定数よりも小さくなって、第2成長層のバルク格子定数に近づく。
或いは、基板の熱膨張係数が、積層構造体を構成するIII−V族窒化物系化合物半導体材料の熱膨張係数よりも(より具体的には、第1成長層の熱膨張係数及び第2成長層の熱膨張係数よりも)小さい場合には、
0.995a2≦a1<a2
なる関係が満たされる。これによって、第1成長層は結晶成長よりも低い温度下で、引っ張り応力を受けて引っ張り歪を生じる。これにより、第1成長層は、面内方向(a軸方向)の格子定数が第1成長層のバルク格子定数よりも大きくなって、第2成長層のバルク格子定数に近づく。
上記によって、本発明によれば、基板の熱膨張係数が積層構造体の熱膨張係数(第1及び第2成長層の熱膨張係数)よりも大きい場合及び小さい場合の何れであっても、第2成長層の格子歪が低減され、第2成長層の結晶性が向上する。これによって、活性層の結晶性が向上して、歩留まり良く且つ再現性良く、良質の活性層を得ることができる。
更に、基板の熱膨張係数が、積層構造体のうちで基板に最も近い第1成長層の熱膨張係数及び最大膜厚を有する第2成長層の熱膨張係数よりも大きい場合には、第2成長層の上に形成される活性層は、下地層である第2成長層のa軸にコヒーレントに成長するので、第2成長層の格子定数歪に等しい格子定数を有する活性層を形成し得る。この結果、活性層の格子歪みが小さくなり、十分な厚さを有する活性層の成長が可能になる。また、活性層中へのInの取り込み効率が向上され得るとともに、活性層内のIn濃度の面内均一性が向上され、結果として歩留まり及び再現性の向上した良質の厚い活性層の成長が可能になる。これより、高輝度で面状発光を呈するIII−V族窒化物系単結晶半導体発光素子が実現される。
更に、第1成長層の構成材料、組成比、及び厚さを適切に選択すると、第1成長層の面内方向の格子定数を、第2成長層のバルク格子定数に一致させることが可能になる。このような場合には、第2成長層として、無歪みで高品質のIII−V族窒化物系単結晶化合物半導体層の成長が可能になる。
上記のように、本発明のIII−V族窒化物系半導体発光素子では、III−V族窒化物系化合物半導体材料よりも大きい熱膨張係数を有する基板を使用する場合は、最大膜厚を有するIII−V族窒化物系化合物半導体層と基板との間に、最大膜厚層よりもバルク格子定数の大きい他のIII−V族窒化物系化合物半導体層を挿入する。また、III−V族窒化物系化合物半導体層よりも小さい熱膨張係数を有する基板を使用する場合は、最大膜厚層を有するIII−V族窒化物系化合物半導体層と基板との間に、最大膜厚層よりもバルク格子定数の小さい他のIII−V族窒化物系化合物半導体層を挿入する。これによって、最大膜厚層に対する基板からの格子歪みの影響が抑えられ、活性層の結晶性の向上したIII−V族窒化物系化合物半導体層、及びそれを使用した半導体発光素子の作製が可能になる。
以上によって、本発明によれば、歩留まり及び再現性が向上した、高品質及び高信頼性を有し、且つ面状発光を実現するIII−V族窒化物系半導体発光素子が、実現される。
本発明の第1の実施形態におけるLED素子の構成を模式的に示す断面図である。 図1のLED素子における、第2成長層(最大膜厚層)の厚さと輝度との関係を示す図である。 図1のLED素子における、第1成長層と第2成長層(最大膜厚層)との間のバルク格子不整合率εと、輝度との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態におけるLED素子の構成を模式的に示す断面図である。 図4のLED素子における、第2成長層(最大膜厚層)の厚さと輝度との関係を示す図である。 図4のLED素子における、第1成長層と第2成長層(最大膜厚層)との間のバルク格子不整合率εと、輝度との関係を示す図である。 本発明の第3の実施形態におけるLD素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態におけるLD素子の構成を模式的に示す断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、サファイア基板上にLED(発光ダイオード)素子が形成されている構成を説明する。
図1は、本実施形態のLED素子100の構成を模式的に示す断面図である。
LED素子100では、サファイア(0001面)基板10の上にIn0.01Ga0.99Nバッファ層11が形成され、さらにその上に、In0.01Ga0.99N第1成長層12(約0.5μm)、Siドープn型GaN第2成長層(最大膜厚層)13(約5μm)、In0.35Ga0.65N活性層14(約2nm)、Al0.1Ga0.9N層15(約10nm)、及びMgドープp型GaN層16(約0.4μm)を含む積層構造体が形成されている。バッファ層11からGaN層16までの総膜厚は、約5.9μmである。ここで、Al0.1Ga0.9N層15は、In0.35Ga0.65N活性層14からのInの蒸発を防止する蒸発防止層である。
上記の素子構造の一部は、Siドープn型GaN第2成長層13が露出するまで部分的に切開されており、その露出した面上にn型電極17が形成されている。一方、Mgドープp型GaN層16の上には、p型電極18が形成されている。
ここで、サファイア基板10の熱膨張係数(7.50×10-6/deg)は、上記のIII−V族窒化物系単結晶半導体層からなる積層構造体の熱膨張係数(GaNの熱膨張係数は5.45×10-6/deg)よりも大きい。加えて、In0.01Ga0.99N第1成長層12のバルク格子定数a1とSiドープn型GaN第2成長層(最大膜厚層)13のバルク格子定数a2とは、それぞれa1=3.193Å及びa2=3.189Åであり、a2<a1≦1.005a2なる関係が満たされている。
以下、このLED素子100の製造方法、及び素子特性の測定結果について説明する。
まず、サファイア基板10の上にIn0.01Ga0.99Nバッファ層11を成長させ、更にその上に、基板温度約900℃でIn0.01Ga0.99N第1成長層12を成長させる。その後、In0.01Ga0.99N第1成長層12の上に、GaN層を成長させながら基板温度を約1100℃まで上昇させて、最終的には基板温度約1100℃でSiドープGaN第2成長層13を成長させる。次に、基板温度を約760℃まで降下させた後にIn0.35Ga0.65N活性層14を成長させ、更にその上に、同温度でAl0.1Ga0.9N層15を成長させる。その後、基板温度を約1050℃まで上昇させ、MgドープGaN層16を成長させる。なお、上記の成長プロセスには、例えばMOCVD法を使用する。
以上のようにして形成された素子構造について、X線解析及び透過電子顕微鏡(TEM)解析により、SiドープGaN第2成長層13、In0.35Ga0.65N活性層14、Al0.1Ga0.9N層15、及びMgドープGaN層16の各々の格子定数を解析した。その結果、SiドープGaN第2成長層13及びMgドープGaN層16の格子定数はGaNのバルク格子定数値に等しく、成長したGaN層13及び16が格子緩和していて歪のない状態であることが判明した。一方、In0.35Ga0.65N活性層14及びAl0.1Ga0.9N層15のa軸方向の格子定数はGaNのバルク格子定数と一致しており、これらの層14及び15は面内方向(a軸方向)に歪んだ状態で、SiドープGaN第2成長層13の上にコヒーレント成長していることが判明した。
上記の現象は、以下のようなメカニズムによって生じていると考えられる。
結晶成長温度から基板温度が低下すると、積層構造体及びIn0.01Ga0.99Nバッファ層11とサファイア基板10との間の熱膨張係数の差異によって、In0.01Ga0.99Nバッファ層11とサファイア基板10との界面で応力が生じる。この応力は、サファイア基板10のほうが積層構造体よりも熱膨張係数が大きいことから、圧縮応力である。一方、積層構造体とIn0.01Ga0.99Nバッファ層11とは同じIII−V族窒化物系の材料からなるので、ほぼ同一の熱膨張係数を有する。従って、上記のような圧縮応力は、In0.01Ga0.99Nバッファ層11を介して、積層構造体の中でサファイア基板10に最も近く位置するIn0.01Ga0.99N第1成長層12に伝搬する。これより、In0.01Ga0.99N第1成長層12が圧縮応力を受けて、その格子定数は、バルク格子定数よりも小さくなって、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しくなる。
更に、SiドープGaN第2成長層13をこのようなIn0.01Ga0.99N第1成長層12の上に成長させると、下地層のIn0.01Ga0.99N第1成長層12がGaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するので、SiドープGaN第2成長層13における格子歪の発生が低減され、好ましくは格子緩和する。また、In0.35Ga0.65N活性層14は、最大膜厚を有するSiドープGaN第2成長層13の上にコヒーレント成長するので、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するように形成され得る。加えて、このIn0.35Ga0.65N活性層14の上に形成されるAl0.1Ga0.9N層15及びMgドープGaN層16は、同様にコヒーレント成長して、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するように形成される。
次にp型ドーパントであるMgを活性化させるために、窒素雰囲気中にて約800℃で約20分間、上記のような素子構造が形成された基板をアニールする。その後に、MgドープGaN層16の上面からSiドープGaN第2成長層13の内部に至る部分を部分的にエッチングで除去して、第2成長層13の一部表面を露出させる。次に、n型GaN層13の露出面の上にn型電極17、及びp型GaN層16の表面にp型電極18を、それぞれ形成する。以上によって、LED素子100が作製される。
本実施形態のLED素子100の輝度を測定したところ、駆動電流20mAで発光波長470nm、輝度3.5cdを示し、従来の1.5倍の輝度が得られた。更に、LED素子100の発光パターンを顕微鏡で観察したところ、均一な面状の発光が実現されていることが確認された。一方、比較のために、In0.01Ga0.99N第1成長層12を省略し、それ以外は上記と同様にして作製した比較用LED素子について、その発光パターンを顕微鏡で観察したところ、輝点の集まりで発光していることが判明した。
更に、積層構造体の中の最大膜厚層であるSiドープGaN第2成長層13の膜厚を種々に変化させ、それ以外は上記と同様にして作製した幾つかの比較用LED素子について、それらの輝度を測定した。その測定結果を図2に示す。
図2より、第2成長層(最大膜厚層)13の膜厚が1μm以上の場合において、図中に点線で示すIn0.01Ga0.99N第1成長層12を形成しなかったLED素子における値に比べて、輝度が強くなった。これより、本実施形態のように、基板の熱膨張係数が積層構造体の熱膨張係数よりも大きい場合は、第2成長層13の膜厚は1μm以上に設定する必要がある。
加えて、第1成長層12及び第2成長層13の構成材料及び/或いは組成比を様々に変化させることによってそれらの格子定数を変化させ、それ以外は上記と同様にして作製した幾つかの比較用LED素子について、それらの輝度を測定した。その測定結果を図3に示す。具体的には、これらの比較用LED素子は、第1層をInGaN、及び第2層をGaNで構成し、且つInGaNの混晶比を変化させて作成した。
なお、図3では、第1成長層12(バルク格子定数:a1)と第2成長層(最大膜厚層)13(バルク格子定数:a2)との間の理論上のバルク格子不整合率εを、
ε=(a1−a2)/a1×100
と定義し、このバルク格子不整合率εをパラメータに用いている。
図3より、0<ε≦0.5の範囲内、すなわちa2<a1≦1.005a2の範囲内で、図中に点線で示した第1層としてのIn0.01Ga0.99N第1成長層12を形成しなかったLED素子に比べて、輝度が強くなった。
これより、本実施形態のように基板の熱膨張係数が積層構造体の熱膨張係数よりも大きい場合は、a2<a1≦1.005a2の範囲内でLED素子の輝度が向上した。
なお、上記の実施形態におけるInGaNの混晶比は、上記で述べた特定の値に限られるものでは無く、GaxAlyInzN(x、y、z≧0、x+y+z=1)と表現される混晶であっても良い。
また、基板に関しても、サファイア基板に限るものでは無く、積層構造体を構成するIII−V族窒化物系化合物半導体材料よりも大きい熱膨張係数を有する材料からなる基板であれば良い。
更に、各層の成長プロセスにおいて、MOCVD法に代えてMBE法やHPPE法など、半導体技術で使用される周知の他のプロセスを用いても、本実施形態と同様の効果を奏することを確認している。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、SiC基板上にLED素子が形成されている構成を説明する。
図4は、本実施形態のLED素子200の構成を模式的に示す断面図である。
LED素子200は、SiC(0001面)基板20の上にAl0.01Ga0.99Nバッファ層21が形成され、更にその上に、Al0.01Ga0.99N第1成長層22(約0.3μm)、Siドープn型GaN第2成長層(最大膜厚層)23(約4μm)、In0.35Ga0.65N活性層24(約2nm)、Al0.1Ga0.9N層25(約10nm)、及びMgドープp型GaN層26(約0.4μm)を含む積層構造体が形成されている。バッファ層21からGaN層26までの総膜厚は、約4.7μmである。ここで、Al0.1Ga0.9N層25は、In0.35Ga0.65N活性層24からのInの蒸発を防止する蒸発防止層である。
上記の素子構造の一部は、Siドープn型GaN第2成長層23の一部が露出するまで部分的に切開されており、その露出した面上にn型電極17が形成されている。一方、Mgドープp型GaN層26の上には、p型電極18が形成されている。
ここで、SiC基板20の熱膨張係数(5.0×10-6/deg)は、上記のIII−V族窒化物系単結晶半導体層からなる積層構造体の熱膨張係数(GaNの熱膨張係数は5.45×10-6/deg)よりも小さい。加えて、Al0.01Ga0.99N第1成長層22のバルク格子定数a1とSiドープn型GaN第2成長層(最大膜厚層)23のバルク格子定数a2とは、それぞれa1=3.188Åびa2=3.189Åであり、0.995a2≦a1<a2なる関係が満たされている。
以下、このLED素子200の製造方法、及び素子特性の測定結果について説明する。
まず、SiC基板20上にAl0.01Ga0.99Nバッファ層21を成長させ、更にその上に、基板温度約1100℃でAl0.01Ga0.99N第1成長層22を成長させる。その後、Al0.01Ga0.99N第1成長層22の上に、基板温度約1100℃でSiドープGaN第2成長層23を成長させる。次に、基板温度を約760℃まで降下させた後にIn0.35Ga0.65N活性層24を成長させ、更にその上に、同温度でAl0.1Ga0.9N層25を成長させる。その後、基板温度を約1050℃まで上昇させ、MgドープGaN層26を成長させる。なお、上記の成長プロセスには、例えばMOCVD法を使用する。
以上のようにして形成された素子構造について、X線解析及びTEM解析により、SiドープGaN第2成長層23、In0.35Ga0.65N活性層24、Al0.1Ga0.9N層25、及びMgドープGaN層26の各々の格子定数を解析した。その結果、SiドープGaN第2成長層23及びMgドープGaN層26の格子定数は、第1の実施形態の場合と同様にGaNのバルク格子定数値に等しく、成長したGaN層23及び26が格子緩和していて歪のない状態であることが判明した。一方、In0.35Ga0.65N活性層24及びAl0.1Ga0.9N層25のa軸方向の格子定数はGaNのバルク格子定数と一致しており、これらの層24及び25は面内方向(a軸方向)に歪んだ状態で、SiドープGaN第2成長層23の上にコヒーレント成長していることが判明した。
上記の現象は、以下のようなメカニズムによって生じていると考えられる。
結晶成長温度から基板温度が低下すると、積層構造体及びAl0.01Ga0.99Nバッファ層21とSiC基板20との間の熱膨張係数の差異によって、Al0.01Ga0.99Nバッファ層21とSiC基板20との界面で応力が生じる。この応力は、SiC基板20のほうが積層構造体よりも熱膨張係数が小さいことから、引っ張り応力である。一方、積層構造体とAl0.01Ga0.99Nバッファ層21とは同じIII−V族窒化物系の材料からなるので、ほぼ同一の熱膨張係数を有する。従って、上記のような引っ張り応力は、Al0.01Ga0.99Nバッファ層21を介して、積層構造体の中でSiC基板20に最も近く位置するAl0.01Ga0.99N第1成長層22に伝搬する。これより、Al0.01Ga0.99N第1成長層22が引っ張り応力を受けて、その格子定数は、バルク格子定数よりも大きくなって、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しくなる。
更に、SiドープGaN第2成長層23をこのようなAl0.01Ga0.99N第1成長層22の上に成長させると、下地層のAl0.01Ga0.99N第1成長層22がGaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するので、SiドープGaN第2成長層23における格子歪の発生が低減され、好ましくは格子緩和する。また、In0.35Ga0.65N活性層24は、最大膜厚を有するSiドープGaN第2成長層23の上にコヒーレント成長するので、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するように形成され得る。加えて、このIn0.35Ga0.65N活性層24の上に形成されるAl0.1Ga0.9N層25及びMgドープGaN層26は、同様にコヒーレント成長して、GaN層のバルク格子定数とほぼ等しい格子定数を有するように形成される。
次にp型ドーパントであるMgを活性化させるために、窒素雰囲気中にて約800℃で約20分間、上記のような素子構造が形成された基板をアニールする。その後に、MgドープGaN層26の上面からSiドープGaN第2成長層23の内部に至る部分を部分的にエッチングで除去して、第2成長層23の一部表面を露出させる。次に、n型GaN層23の露出面の上にn型電極17、及びp型GaN層26の表面にp型電極18を、それぞれ形成する。以上によって、LED素子200が作製される。
本実施形態のLED素子200の輝度を測定したところ、駆動電流20mAで発光波長470nm、輝度3.4cdを示し、従来の1.5倍の輝度が得られた。更に、LED素子200の発光パターンを顕微鏡で観察したところ、均一な面状の発光が実現されていることが確認された。一方、比較のために、Al0.01Ga0.99N第1成長層22を省略し、それ以外は上記と同様にして作製した比較用LED素子について、その発光パターンを顕微鏡で観察したところ、輝点の集まりで発光していることが判明した。
更に、積層構造体の中の最大膜厚層であるSiドープGaN第2成長層23の膜厚を種々に変化させ、それ以外は上記と同様にして作製した幾つかの比較用LED素子について、それらの輝度を測定した。その測定結果を図5に示す。
図5より、第2成長層(最大膜厚層)23の膜厚が0.5μm以上の場合において、図中に点線で示すAl0.01Ga0.99N第1成長層22を形成しなかったLED素子における値に比べて、輝度が強くなった。これより、本実施形態のように、基板の熱膨張係数が積層構造体の熱膨張係数よりも小さい場合は、第2成長層23の膜厚は0.5μm以上に設定する必要がある。
加えて、第1成長層22及び第2成長層23の構成材料及び/或いは組成比を様々に変化させることによってそれらの格子定数を変化させ、それ以外は上記と同様にして作製した幾つかの比較用LED素子について、それらの輝度を測定した。その測定結果を図6に示す。具体的には、これらの比較用LED素子は、第1層をAlGaN、及び第2層をGaNで構成し、且つAlGaNの混晶比を変化させて作成した。
なお、図6では、第1の実施形態においてと同様に、第1成長層22(バルク格子定数:a1)と第2成長層(最大膜厚層)23(バルク格子定数:a2)との間の理論上のバルク格子不整合率ε=(a1−a2)/a1×100をパラメータに用いている。
図6より、−0.5≦ε<0の範囲内、すなわち0.995a2≦a1<a2の範囲内で、図中に点線で示した第1層としてのAl0.01Ga0.99N第1成長層22を形成しなかったLED素子に比べて、輝度が強くなった。
これより、本実施形態のように基板の熱膨張係数が積層構造体の熱膨張係数よりも小さい場合は、0.995a2≦a1<a2の範囲内でLED素子の輝度が向上した。
なお、上記の実施形態におけるInGaNの混晶比は、上記で述べた特定の値に限られるものでは無く、GaxAlyInzN(x、y、z≧0、x+y+z=1)と表現される混晶であっても良い。
また、基板に関しても、サファイア基板に限るものでは無く、積層構造体を構成するIII−V族窒化物系化合物半導体材料よりも大きい熱膨張係数を有する材料からなる基板であれば良い。
更に、各層の成長プロセスにおいて、MOCVD法に代えてMBE法やHPPE法など、半導体技術で使用される周知の他のプロセスを用いても、本実施形態と同様の効果を奏することを確認している。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態として、サファイア基板上にLD(レーザダイオード)素子が形成されている構成を説明する。
図7は、本実施形態のLD素子300の構成を模式的に示す断面図である。
LD素子300では、サファイア(0001面)基板30の上にIn0.01Ga0.99Nバッファ層31が形成され、さらにその上に、In0.01Ga0.99N第1成長層32(約0.5μm)、Siドープn型GaNコンタクト第2成長層(最大膜厚層)33(約5μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、Siドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層34(約0.4μm)、Siドープn型GaN光ガイド層35(約0.1μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、In0.35Ga0.65N(約2nm)/In0.05Ga0.95N(約4nm)の10周期からなる多重量子井戸活性層36(総厚さ約60nm)、Al0.1Ga0.9N層37(約10nm)、Mgドープp型GaN光ガイド層38(約0.1μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層39(約0.4μm)、及びMgドープp型GaNコンタクト層40(約0.5μm)を含む積層構造体が形成されている。バッファ層31からGaNコンタクト層40までの総膜厚は、約7.1μmである。ここで、Al0.1Ga0.9N層37は、多重量子井戸活性層36からのInの蒸発を防止する蒸発防止層である。
上記の素子構造の一部は、Siドープn型GaNコンタクト第2成長層33が露出するまで部分的に切開されており、その露出した面上にn型電極41が形成されている。一方、Mgドープp型GaNコンタクト層40の上には、p型電極42が形成されている。
ここで、サファイア基板30の熱膨張係数(7.50×10-6/deg)は、上記のIII−V族窒化物系単結晶半導体層からなる積層構造体の熱膨張係数(GaNの熱膨張係数は5.45×10-6/deg)よりも大きい。加えて、In0.01Ga0.99N第1成長層32のバルク格子定数a1とSiドープn型GaNコンタクト第2成長層(最大膜厚層)33のバルク格子定数a2とは、それぞれa1=3.193Å及びa2=3.189Åであり、a2<a1≦1.005a2なる関係が満たされている。
以下、このLD素子300の製造方法、及び素子特性の測定結果について説明する。
まず、サファイア基板30の上に、例えばMOCVD法によって、In0.01Ga0.99Nバッファ層31、In0.01Ga0.99N第1成長層32、Siドープn型GaNコンタクト第2成長層33、Siドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層34、Siドープn型GaN光ガイド層35、In0.35Ga0.65N(約2nm)/In0.05Ga0.95N(約4nm)の10周期からなる多重量子井戸活性層36、Al0.1Ga0.9N層37、Mgドープp型GaN光ガイド層38、Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層39、及びMgドープp型GaNコンタクト層40を、順次積層して形成する。
次にp型ドーパントであるMgを活性化させるために、窒素雰囲気中にて約800℃で約20分間、上記のような素子構造が形成された基板をアニールする。その後に、p型GaNコンタクト層40の上面からSiドープGaNコンタクト第2成長層33の内部に至る部分を、幅約200μmのストライプ状にエッチングで除去して、第2成長層33の一部表面を露出させる。次に、n型GaN層33の露出面の上にn型電極41、及びp型GaNコンタクト層40の表面にp型電極42を、それぞれ形成する。以上によって、LD素子300が作製される。
本実施形態のLD素子300は、室温でレーザ発振する。また、その発振しきい値電流及びしきい値電圧は、それぞれ約160mA及び約5.8Vである。
一方、比較のために、In0.01Ga0.99N第1成長層32を省略し、それ以外は上記と同様にして比較用LD素子を作製したところ、レーザ発振しなかった。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態として、SiC基板上にLD素子が形成されている構成を説明する。
図8は、本実施形態のLD素子400の構成を模式的に示す断面図である。
LD素子400は、SiC(0001面)基板50の上にAl0.01Ga0.99Nバッファ層51が形成され、更にその上に、Al0.01Ga0.99N第1成長層52(約0.7μm)、Siドープn型GaNコンタクト第2成長層(最大膜厚層)53(約5μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、Siドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層54(約0.4μm)、Siドープn型GaN光ガイド層55(約0.1μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、In0.35Ga0.65N(約2nm)/In0.05Ga0.95N(約4nm)の10周期からなる多重量子井戸活性層56(総厚さ約60nm)、Al0.1Ga0.9N層57(約10nm)、Mgドープp型GaN光ガイド層58(約0.1μm、キャリア濃度:約1×1018cm-3)、Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層59(約0.4μm)、及びMgドープp型GaNコンタクト層60(約0.5μm)を含む積層構造体が形成されている。バッファ層51からGaNコンタクト層60までの総膜厚は、約7.3μmである。ここで、Al0.1Ga0.9N層57は、多重量子井戸活性層56からのInの蒸発を防止する蒸発防止層である。
上記の素子構造の一部は、Siドープn型GaN第2成長層53の一部が露出するまで部分的に切開されており、その露出した面上にn型電極41が形成されている。一方、Mgドープp型GaNコンタクト層60の上には、p型電極42が形成されている。
ここで、SiC基板50の熱膨張係数(5.0×10-6/deg)は、上記のIII−V族窒化物系単結晶半導体層からなる積層構造体の熱膨張係数(GaNの熱膨張係数は5.45×10-6/deg)よりも小さい。加えて、Al0.01Ga0.99N第1成長層52のバルク格子定数a1とSiドープn型GaNコンタクト第2成長層(最大膜厚層)53のバルク格子定数a2とは、それぞれa1=3.188Å及びa2=3.189Åであり、0.995a2≦a1<a2なる関係が満たされている。
以下、このLD素子400の製造方法、及び素子特性の測定結果について説明する。
まず、SiC基板50上に、例えばMOCVD法によって、Al0.01Ga0.99Nバッファ層51、Al0.01Ga0.99N第1成長層52、Siドープn型GaNコンタクト第2成長層53、Siドープn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層54、Siドープn型GaN光ガイド層55、In0.35Ga0.65N(約2nm)/In0.05Ga0.95N(約4nm)の10周期からなる多重量子井戸活性層56、Al0.1Ga0.9N層57、Mgドープp型GaN光ガイド層58、Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層59、及びMgドープp型GaNコンタクト層60を、順次積層して形成する。
次にp型ドーパントであるMgを活性化させるために、窒素雰囲気中にて約800℃で約20分間、上記のような素子構造が形成された基板をアニールする。
その後に、p型GaNコンタクト層60の上面からSiドープGaNコンタクト第2成長層53の内部に至る部分を、幅約200μmのストライプ状にエッチングで除去して、第2成長層53の一部表面を露出させる。次に、n型GaN層53の露出面の上にn型電極41、及びp型GaNコンタクト層60の表面にp型電極42を、それぞれ形成する。以上によって、LD素子400が作製される。
本実施形態のLD素子400は、室温でレーザ発振する。また、その発振しきい値電流及びしきい値電圧は、それぞれ約150mA及び約5.5Vである。
一方、比較のために、In0.01Ga0.99N第1成長層52を省略し、それ以外は上記と同様にして比較用LD素子を作製したところ、レーザ発振しなかった。
なお、上記の各実施形態の構成において、基板と積層構造体(第1成長層)との間に形成されるバッファ層は、単結晶層である必要はなく、多結晶層などの非単結晶層であってもよい。
また、上記で説明した本発明の効果は、基板の上に形成されるバッファ層及び積層構造体の全体の厚さが約100μm以下である場合に、特に顕著に得られる。
本発明の半導体発光素子は、最大膜厚層に対する基板からの格子歪みの影響が抑えられ、活性層の結晶性の向上したIII−V族窒化物系化合物半導体層、及びそれを使用した半導体発光素子の作製が可能になるという効果を有し、半導体発光素子、より詳細には、III−V族窒化物系の化合物半導体材料から構成されている半導体発光素子に有用である。
また、本発明の半導体発光素子は、歩留まり及び再現性が向上した、高品質及び高信頼性を有し、且つ面状発光を実現するIII−V族窒化物系半導体発光素子が、実現されるという効果を有し、半導体発光素子、より詳細には、III−V族窒化物系の化合物半導体材料から構成されている半導体発光素子に有用である。
10、30 サファイア基板
20、50 SiC基板
11、21、31、51 バッファ層
12、32 InGaN第1成長層
22、52 AlGaN第1成長層
13、23、33、53 n型GaN第2成長層
14、24、36、56 活性層
15、25、37、57 蒸発防止層
16、26、40、60 p型GaNコンタクト層
34、54 n型AlGaNクラッド層
35、55 n型GaNガイド層
38、58 p型GaNガイド層
39、59 p型AlGaNクラッド層
17、41 n型電極
18、42 p型電極
100、200 LED素子
300、400 LD素子

Claims (1)

  1. III−V族窒化物系の少なくとも1種類の化合物半導体材料からなる複数の単結晶半導体成長層が、該III−V族窒化物系以外の構成材料からなる基板の上に積層されて構成されている積層構造体を備えたIII−V族窒化物系半導体発光素子であって、
    該基板の熱膨張係数が、該積層構造体のうちで該基板に最も近く位置している第1成長層の熱膨張係数及び該積層構造体のうちで最も大きな厚さを有する第2成長層の熱膨張係数よりも大きく、
    該積層構造体の該第1成長層のバルク格子定数a1と該第2成長層のバルク格子定数a2とが、a2<a1≦1.005a2なる関係を満たす、III−V族窒化物系半導体発光素子。
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