JP2009079506A - エンジンの冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォータジャケットからタンクに冷却水を抜き取る際に、タンク内からエアを十分に排出し、これにより冷却水の抜き取りを十分に行えるようにして暖機性能の向上を確保できるエンジンの冷却装置を提供することを課題とする。
【解決手段】エンジン2Aに組み込まれた冷却装置1Aは、エンジン本体3の内部に形成されたウォータジャケット4内から抜き取った冷却水を貯留する第一タンク5Aと、第一タンク5Aに連通するとともに、ウォータジャケット4から第一タンク5Aに冷却水を抜き取る際に、第一タンク5Aから流出する流れが形成される第一通路8と、第一タンク5A内に形成された空間の上方と、第一通路5Aとを連通するエア抜き通路13とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン2Aに組み込まれた冷却装置1Aは、エンジン本体3の内部に形成されたウォータジャケット4内から抜き取った冷却水を貯留する第一タンク5Aと、第一タンク5Aに連通するとともに、ウォータジャケット4から第一タンク5Aに冷却水を抜き取る際に、第一タンク5Aから流出する流れが形成される第一通路8と、第一タンク5A内に形成された空間の上方と、第一通路5Aとを連通するエア抜き通路13とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの冷却装置に関し、特に、暖機時にエンジンのウォータジャケットから冷却水を抜き取るエンジンの冷却装置に関する。
従来、エンジンの冷却装置においてウォータポンプによって圧送される冷却水は、シリンダブロック、シリンダヘッドなどの冷却を必要とする部位へ送られ、冷却対象部位から熱を奪う。冷却対象部位から熱を奪った冷却水はラジエータへ送られて、ラジエータにおいて熱を大気中に放出する。このように、エンジンは一般にエンジン内を循環する冷却水の熱交換により冷却されている。ところで冷却水を循環させるエンジンには、暖機の時間を短縮するため、暖機時にエンジン本体への冷却水の流通を抑制する構成のものがある。このような構成のエンジンでは、冷却水による熱の持ち去りが抑制されるため、暖機の促進が見込まれる。
ところが、このようなエンジンの冷却装置のウォータジャケットは常に冷却水で満たされているため、エンジンの暖機時にシリンダブロック、シリンダヘッドとともにウォータジャケット内の冷却水も温めなければならず、暖機に時間を要していた。これに対して暖機時間の短縮を図ったエンジンの冷却装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたエンジンの冷却装置は、暖機運転時にウォータジャケット内の冷却水をタンクへ抜き取り、ウォータジャケット内へエアを供給する。これにより、ウォータジャケット内の冷却水の熱容量を減らすことができ、暖機性能が向上するという効果が得られる。この冷却装置は、暖機が完了すると抜き取った冷却水をウォータジャケットへ戻すとともに、エアをタンクへ戻す。こうしてウォータジャケット内に戻された冷却水は、ウォータポンプの駆動によりエンジン内部を循環する。
上記のようなエンジンの冷却装置では、ウォータジャケットからタンクに冷却水を抜き取る際に、タンクからエアを排出する必要がある。ところが、ウォータジャケットからタンクに冷却水を抜き取る際に、タンク内にエアが残存すると、その分、タンク内に冷却水を貯留することができなくなる。すなわちタンク内にエアが残存すると、ウォータジャケットからの冷却水の抜き取りが不十分となり、この結果、暖機性能の向上が低く制限されてしまう虞があった。
そこで、本発明はウォータジャケットからタンクに冷却水を抜き取る際に、タンク内からエアを十分に排出し、これにより冷却水の抜き取りを十分に行えるようにして暖機性能の向上を確保できるエンジンの冷却装置を提供することを課題とする。
かかる課題を解決する本発明のエンジンの冷却装置は、エンジン内部に形成されたウォータジャケット内から抜き取った冷却水を貯留するタンクと、前記タンクに連通するとともに、前記ウォータジャケットから前記タンクに冷却水を抜き取る際に、前記タンクから流出する流れが形成される流通路と、前記タンク内に形成された空間の上方と、前記流通路とを連通するエア抜き通路と、備えたことを特徴とする(請求項1)。このような構成とすることにより、流通路に形成された流れで低下する圧力で、タンク内に形成された空間の上方に残存しようとするエアを吸引し、タンク内からエアを十分に排出できる。これにより冷却水の抜き取りを十分に行えることから、本発明によれば暖機性能の向上を確保できる。
このようなエンジンの冷却装置において、前記流通路を前記タンクに該タンクの下方から連通させた構成とすることができる(請求項2)。このような構成とすることにより、さらにタンクの保温性を高めることができる。この点、このような構成とすると、タンク内にエアが残存し易くなり、残存しようとするエアを排出する必要性が特に高まることから、本発明のエンジン冷却装置でエアを排出するにあたって特に好適であるといえる。
さらにこのようなエンジンの冷却装置において、前記タンク上部に第1のエア溜め部を設けるとともに、前記エア抜き通路の一端部を前記第1のエア溜め部に開口した構成とすることができる(請求項3)。このような構成とすることにより、タンクに傾きが発生した場合や、タンク内の水面が安定していない場合でもタンクからエアを速やかに、且つより確実に排出できる。またこのような構成とすることにより、タンクからエアをほぼ完全に排出できるようになる。これにより冷却水の抜き取りを速やかに、且つ十分に行えることから、好適に暖機性能の向上を確保できる。
さらにこのようなエンジンの冷却装置において、前記流通路に第2のエア溜め部を設けるとともに、前記エア抜き通路の他端部を前記流通路のうち、前記第2のエア溜め部よりも前記タンク側の部分に開口した構成とすることができる(請求項4)。このような構成とすることにより、タンクから排出されたエアが冷却水とともにウォータジャケットに流入した後、再び冷却水とともにタンクに戻ってきてしまうことを抑制できるため、タンクからエアを速やかに排出できる。そしてこれにより冷却水の抜き取りを速やかに行えることから、好適に暖機性能の向上を確保できる。
またこのようなエンジンの冷却装置において、前記第2のエア溜め部と冷却水用のリザーブタンクとを連通する連通路と、前記連通路を連通、遮蔽する連通路開閉手段と、を備えた構成とすることができる(請求項5)。このような構成とすることにより、第2のエア溜め部で捕捉したエアを冷却水用のリザーブタンクに送ることができ、これによりリザーブタンクからウォータジャケットに冷却水と分離したエアだけを供給できるため、タンクからエアを速やかに排出できる。そしてこれにより冷却水の抜き取りを速やかに行えることから、好適に暖機性能の向上を確保できる。
また本発明のエンジンの冷却装置は、エンジン内部に形成されたウォータジャケット内から抜き取った冷却水を貯留する冷却水貯留室と、抜き取った冷却水の代わりに前記ウォータジャケット内に供給するエアを貯留するエア貯留室とを有するとともに、前記冷却水貯留室または前記エア貯留室のうち、いずれか一方の容積が増大すると他方の容積が縮小するように容積を可変にする容積可変装置を備えたタンク、を備えたことを特徴とする(請求項6)。このような構成とすることにより、タンク内で冷却水とエアとを分離できるとともに、抜き取った冷却水で押し出すようにしてエアをタンクから十分に排出できる。そしてこれにより冷却水の抜き取りを十分に行えることから、好適に暖機性能の向上を確保できる。
本発明のエンジンの冷却装置は、ウォータジャケットからタンクに冷却水を抜き取る際に、タンク内からエアを十分に排出する。これにより冷却水の抜き取りを十分に行えることから、暖機性能の向上を確保できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例に係るエンジンの冷却装置(以下、単に冷却装置と称す)1Aを組み込んだエンジン2Aの概略構成を示した説明図である。エンジン2Aは、エンジン本体3を備えている。エンジン本体3の内部には、ウォータジャケット4が形成されている。
冷却装置1Aは、第一タンク5A(請求項1記載のタンクに相当)、電動ポンプ6、第二タンク(請求項記載のリザーブタンクに相当)7、第一通路(請求項記載の流通路に相当)8、第二通路9、第三通路(請求項記載の連通路に相当)10、第四通路11、エア抜き通路13、第一電磁弁20及び第二電磁弁(請求項記載の連通路開閉手段に相当)21を有して構成されている。第一タンク5Aは、開口部を下に向けた蓄熱タンクであり、ウォータジャケット4内の冷却水を収容できる容積を有している。また第一タンク5A上部には第1のエア溜め部5bAが設けられている。この第1のエア溜め部5bAは第一タンク5Aの天板5aAに、他の部分よりも上方に向かって突出した形で形成されている。
電動ポンプ6は、ウォータジャケット4内の底部と第一タンク5A内とを接続する第二通路9に配置されている。電動ポンプ6は電気で駆動される圧送ポンプであり、第一タンク5A内の冷却水をウォータジャケット4内へ、或いはウォータジャケット4内の冷却水を第一タンク5A内へ圧送する。この点、電動ポンプ6には容積式ポンプが適用されており、電動ポンプ6は冷却水の圧送方向を切り換えることができるようになっている。第二通路9はウォータジャケット4から第一タンク5Aに冷却水を抜き取る際に、第一タンク5Aに流入する流れが形成される通路となっている。第二通路9のウォータジャケット4と電動ポンプ6との間には第一電磁弁20が配置されている。
第二タンク7はエアと冷却水とを貯留するリザーブタンクであり、ウォータジャケット4よりも上側に配置されている。第一通路8は第一タンク5A内とウォータジャケット4内の上部とを接続している。第一通路8はウォータジャケット4から第一タンク5Aに冷却水を抜き取る際に、第一タンク5Aから流出する流れが形成される通路となっている。第一通路8には第2のエア溜め部8aが設けられており、第三通路10は第2のエア溜め部8aと第二タンク7内とを接続している。第三通路10には第三通路10を連通、遮蔽するための第二電磁弁21が配置されている。
図2は第二タンク7を詳細に示した説明図である。第二タンク7内には、第三通路10と第四通路11とが接続されている。また、第二タンク7の頂部には圧力調整弁7aが配置されている。第三通路10は、第四通路11よりも第二タンク7内の上側で、第二タンク7内の空気層に開口するように接続されている。また、第二タンク7の底部に第五通路12が接続されている。この第五通路12の他端は、ウォータジャケット4内に接続されている。
図3は、第一タンク5A及び第2のエア溜め部8aをその周囲とともに拡大して模式的に示した説明図である。第一通路8の一端部は、第一タンク5Aの底面から(すなわち下方から)第一タンク5の上方に向かって挿入されており、第一タンク5A内に開口するように設置されている。エア抜き通路13はその一端部13aが第一タンク5A内の上方に設置されており、他端部13bが第一通路8内に設置されている。具体的には一端部13aは第1のエア溜め部5bAに開口するように設置されており、他端部13bは第一通路8のうち、第2のエア溜め部8aよりも第一タンク5A側の部分に開口するように設置されている。この状態でエア抜き通路13は第一タンク5A内に形成された空間の上方(具体的には第1のエア溜め部5bA)と、第一通路8とを連通している。
さらに図1に示すように、冷却装置1Aはラジエータ15、ウォータポンプ16を備えている。ラジエータ15には、第一冷却水通路17と第二冷却水通路18とが接続されている。第一冷却水通路17の他端は、第四通路11に接続している。第二冷却水通路18の他端は、第五通路12に接続している。第一冷却水通路18の第四通路11側には、サーモスタット19が配置されている。サーモスタット19は、冷却水の温度がエンジン本体3の暖機が完了する温度となると開弁状態となる開閉弁である。第二冷却水通路18には、第三電磁弁23が配置されている。
ウォータポンプ16は、クランクシャフト(図示しない)の回転を駆動源とする機械式のポンプである。ウォータポンプ16は、第五通路12のウォータジャケット4側に配置され、ウォータジャケット4内へ冷却水を圧送する。
またエンジン2AはECU(Electronic Control Unit)30、壁温センサ31、水温センサ32を備えている。壁温センサ31は、エンジン本体3に配置され、エンジン本体3の温度を測定する。壁温センサ31は、ECU30と電気的に接続し、壁温センサ31で測定されたエンジン本体3の温度情報をECU30へ送信する。水温センサ32は、ウォータジャケット4内に配置され、ウォータジャケット4内の冷却水の温度を測定する。水温センサ32は、ECU30と電気的に接続し、水温センサ32で測定された冷却水の温度情報をECU30へ送信する。ECU30は電動ポンプ6、第一電磁弁20、第二電磁弁21、第三電磁弁22と電気的に接続している。ECU30は、壁温センサ31や水温センサ32から取得される温度情報に基づいて、電動ポンプ6の作動を決定し、電動ポンプ6へ信号を送信する。またECU30は、壁温センサ31や水温センサ32から取得される温度情報に基づいて、第一電磁弁20、第二電磁弁21及び第三電磁弁22の開閉状態を決定し、これらの弁へ信号を送信する。
次に、冷却装置1Aの始動前から暖機完了までの動作の概要を説明する。図4は、始動前から暖機完了までのウォータジャケット4と第一タンク5Aとの間の冷却水の供給状態を示した説明図である。図4(a)はエンジン2Aの始動前の状態(「初期」状態)を示し、図4(b)はエンジン2AにおいてイグニションをONとすることによって第一タンク5Aからウォータジャケット4へ冷却水を供給している状態(「供給」状態)を示し、図4(c)はクランキングを行い、エンジン2Aを始動させた状態(「始動」状態)を示している。図4(d)はエンジン2Aの始動後に、再び、ウォータジャケット4から第一タンク5Aへ冷却水を抜き取る状態(「排水」状態)を示し、図4(e)はエンジン2Aの暖機が完了して、第一タンク5Aからウォータジャケット4へ冷却水が再度供給された状態(「暖機後」状態)を示し、図4(f)は、エンジン2Aを停止した後に、ウォータジャケット4から第一タンク5Aへ冷却水を抜き取る状態(「回収」状態)を示している。
図5は、エンジン2Aの始動前から停止後に亘るシリンダブロックの壁温及び冷却水温度の温度変化を示した説明図である。図5の縦軸は温度、横軸は時間を示し、細線がシリンダブロックの壁温の変化を表し、太線が冷却水温度の変化を表している。図5の横軸上に示した「初期」、「供給」、「始動」、「排水」、「暖機後」、「回収」におけるエンジン2Aの状態は、それぞれ図4(a)の「初期」状態、図4(b)の「供給」状態、図4(c)の「始動」状態、図4(d)の「排水」状態、図4(e)の「暖機後」状態、図4(f)の「回収」状態に対応させて示されている。
次に、時間とともに変化するウォータジャケット4と第一タンク5Aとの冷却水の移送の様子をエンジン2Aの始動前から停止後に亘って詳細に説明する。まず、「初期」状態において、冷却装置1Aは、冷却水を第一タンク5A内に貯留している。このような冷却水は、高温の状態で第一タンク5A内へ回収されており、第一タンク5A内でエンジン2Aの始動まで保温されている。このとき、ウォータジャケット4内の冷却水はほぼ空の状態となっており、エアで満たされている。このような「初期」状態から、イグニションがONとされると「供給」状態に進む。
「供給」状態では、冷却水が電動ポンプ6によって第一タンク5Aからウォータジャケット4へ移送される。このとき、第一タンク5Aで保温されていた冷却水は、ウォータジャケット4内へ供給されることによって、エンジン本体3の温度を上昇させることができる。なお、第一通路8及び第二通路9を第一タンク5Aの下方から挿入したことにより、第一タンク5Aの保温性が高められているため、これによりエンジン本体3の温度をより好適に上昇させることができる。
ここで、「供給」状態における冷却装置1A内の冷却水の流れについて図6を参照しつつ説明する。図6中の実線で示した通路は、冷却水の通る通路を示し、破線で示した通路は、エアの通る通路を示している。また、点線の通路は流れが停止している通路を示している。
「供給」状態となると、ECU30は、電動ポンプ6へ信号を送り、電動ポンプ6を駆動する。また、ECU30は第一電磁弁20を開弁状態とする。駆動された電動ポンプ6は、第一タンク5A内の冷却水を第二通路9へ吸引し、ウォータジャケット4内へ圧送する。このように、ウォータジャケット4内へ冷却水が供給されるとともに、ウォータジャケット4内を占めていたエアが第一通路8へ排出される。このように「供給」状態では、冷却装置1A内において、ウォータジャケット4、第一通路8、第一タンク5Aの順にエアが流れる。
上記の通り、「供給」状態では、初期状態で第一タンク5A内に貯留されていた冷却水が、ウォータジャケット4内へ供給される。このように供給された冷却水は、エンジン本体3よりも温度が高いので、エンジン本体3を暖機する。ウォータジャケット4内が冷却水で満水になると、ECU30は、電動ポンプ6を停止し、第一電磁弁20を閉弁状態とする。なお、この「供給」状態では、サーモスタット19は閉弁状態であって、第一冷却水通路17内、ラジエータ15内、第二冷却水通路18内の冷却水の流れは停止された状態である。また、サーモスタット19は、ラジエータ15側へのエアの流入を遮断している。また、ECU30は、第二電磁弁21及び第三電磁弁22を閉弁状態とするので、第三通路10及び第四通路11内のエアと、第五通路12内の冷却水はともに流れを停止した状態となっている。
「供給」状態において、冷却水がウォータジャケット4内へ供給され、しばらく経過した後、例えば、30秒後に、冷却装置1Aはエンジン2Aの「始動」状態へ進む。このように冷却水の供給とエンジン2Aの始動との間に時間差を設けることにより、エンジン本体3の温度が上昇してからエンジン2Aを始動することができる。これにより、エンジン2Aの始動直後の燃焼ガス内に含まれる有害成分の排出量を減少することができる。また、温度の上昇に伴い潤滑性が向上するので、エンジン2Aの燃費を改善することができる。
「始動」状態では、スタータ(図示しない)を回転させて、エンジン2Aを始動させる。エンジン2Aが始動してしばらく経過すると、エンジン本体3は燃焼熱によって冷却水よりも高温となる。ECU30は、壁温センサ31と水温センサ32から取得する温度情報から、エンジン本体3の温度がウォータジャケット4内の冷却水の温度を超えたと判断すると、「排水」状態に進む。
「排水」状態では、ウォータジャケット4から第一タンク5Aへ冷却水を抜き取る。エンジン2Aが始動して、エンジン本体3の温度が冷却水の温度よりも高温となると、冷却水からエンジン本体3への熱の伝達が無くなるだけでなく、エンジン2Aの燃焼で発生する熱量が却って冷却水に奪われることになるため、暖機遅延の一因となる。このため「排水」状態では、冷却水をウォータジャケット4から第一タンク5Aへ抜き取り、暖機時間を短縮させる。
ここで、「排水」状態における冷却装置1A内の冷却水の流れについて図7を参照しつつ説明する。図7中の実線で示した通路は、冷却水の通る通路を示し、破線で示した通路は、エアの通る通路を示している。また、点線の通路は流れが停止している通路を示している。
「排水」状態では、ECU30は第一電磁弁20を開弁状態とする。これにより、ウォータジャケット4内と第一タンク5A内とが連通する。またこのときECU30は電動ポンプ6を駆動する。駆動された電動ポンプ6は、ウォータジャケット4内の冷却水を第二通路9へ吸引し、第一タンク5A内へ圧送する。このようにして、ウォータジャケット4内から冷却水が抜き取られるとともに、冷却水が第一タンク5A内に流入することで、第一タンク5A内を占めていたエアが第一通路8から排出される。
その後、冷却水が第一タンク5A内に流入することで、第一通路8の一端部8aは水没する。水没時には、冷却水がエアの一部を巻き込みながら第一通路8から流出するが、これだけでは第一タンク5A内からエアを十分に排出することができないため、エアが第一タンク5A内に残存してしまうことになる。この点、冷却装置1Aでは、エア抜き通路13の一端部13aが第1のエア溜め部5bAに開口しているとともに、他端部13bが第一通路8のうち、第2のエア溜め部8aよりも第一タンク5A側の部分に開口している。
そして水没時には第一通路8を冷却水が流通することで、第一通路8内では圧力が低下するが、第一タンク5A内ではエアがほぼ停滞した状態となっている。このため、第一タンク5A内の空気層の圧力は第一通路8内の圧力よりも圧力が高くなる。このため、第一通路8の一端部8aが水没した後には、第1のエア溜め部5bAの圧力と第一通路8内の圧力との差圧によって、エア抜き通路13からエアを排出できる。
またエア抜き通路13で吸い出されたエアは、第2のエア溜め部8aで捕捉され、冷却水とともにウォータジャケット4に流入することが抑制される。これにより、エアを巻き込んだ状態で冷却水が再び第一タンク5A内に流入することを抑制できることから、第一タンク5A内からエアを速やかに排出できる。一方「排出」状態では、ECU30が第二電磁弁21を開弁状態にする。このため、第2のエア溜め部8aで捕捉されたエアは第三通路10を介して第二タンク7に送り込まれ、さらに第四通路11を介してウォータジャケット4に流入する。これにより、ウォータジャケット4に冷却水と分離したエアだけを供給できるため、第一タンク5A内からエアを速やかに排出できる。
またエア抜き通路13の一端部13aが第1のエア溜め部5bAに開口していることで、第一タンク5Aに傾きが発生した状態や、第一タンク5A内の水面が安定しない状態であってもエア抜き通路13を介してエアを排出できる。また第1のエア溜め部5bAは第一タンク5A内に残存しようとするエアが最後まで溜まる場所となっていることから、エア抜き通路13を介したエアの排出で第一タンク5A内のエアをほぼ完全に排出できる。なお、「排水」状態では、サーモスタット19は閉弁状態である。このため、第一冷却水通路17内、ラジエータ15内、第二冷却水通路18内の冷却水の流れは停止された状態である。さらに、サーモスタット19は、ラジエータ15側へのエアの流入を遮断している。また、ウォータポンプ16は駆動されているが、ECU30が第三電磁弁22を閉弁状態としているので、第二タンク7内の冷却水は、第五通路12内からウォータジャケット4内へ向かって流れない。すなわち、ウォータジャケット4内に冷却水は供給されていない。
上記のとおり、「排水」状態では、ウォータジャケット4内の冷却水が排出され、エアがウォータジャケット4内に流入する。ウォータジャケット4内の冷却水が排出されることにより、エンジン2Aは、第一タンク5Aへ抜き取った冷却水に相当する熱容量が減少する。これにより、エンジン本体3の暖機が促進される。またこのとき第一タンク5A内に残存しようとするエアをほぼ完全に排出できるようにしたことで、エンジン本体3の暖機性能の向上を確保できる。
「排水」状態において、ECU30が、壁温センサ31から取得されるエンジン本体3の温度が暖機完了の温度に到達したと判断すると、冷却装置1Aは、第一タンク5A内の冷却水をウォータジャケット4へ再度供給する。ここでの冷却水の流れは図6の「供給」状態と共通する。冷却装置1Aは、この冷却水の供給が完了すると、「暖機後」状態へ進む。ここで、「暖機後」状態における冷却装置1A内の冷却水の流れについて図8を参照して説明する。
「暖機後」状態では、ウォータジャケット4内は冷却水で満たされている。また、このとき、冷却水の温度が暖機完了と判断される温度に到達しているので、サーモスタット19が開弁状態となり、第一冷却水通路17へ冷却水が流通する。さらにECU30は、第三電磁弁22を開弁状態として、第五通路12内に冷却水を流通させる。これにより、第二冷却水通路18内の冷却水も流れ始め、ラジエータ15内を冷却水が流通する。すなわち、「暖機後」状態は、ウォータジャケット4とラジエータ15とを冷却水が循環する。このようにエンジン2Aの暖機後では、ラジエータ15で冷却された冷却水がエンジン2A内を循環し、エンジン本体3を運転状態に適した温度に冷却する。
このように運転されたエンジン2Aが停止状態となると、「回収」状態へ進む。「回収」状態では、冷却装置1Aは、電動ポンプ6を駆動して、ウォータジャケット4内の加熱された状態の冷却水を第一タンク5Aへ移送する。移送された冷却水は第一タンク5Aにおいて次のエンジン始動まで保温される。以上のように冷却装置1Aでは、ウォータジャケット4から第一タンク5Aに冷却水を抜き取る際に、第一タンク5A内からエアを十分に排出できるため、冷却水の抜き取りを十分に行うことができる。これにより冷却装置1Aでは暖機性能の向上を確保することができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。図9は本実施例に係る冷却装置1Bを組み込んだエンジン2Bの概略構成を示した説明図である。冷却装置1Bは、第一タンク5Aの代わりに第一タンク5B(請求項5記載のタンクに相当)を備えている点と、これに伴い以下に示すように流通経路の構成が変更されている点以外、冷却装置1Aと実質的に同一のものとなっている。すなわち、冷却装置1Bは第一通路8の代わりに第一タンク5Bと第二タンク7とを接続する第六通路14を備えており、また第三通路10とエア抜き通路13と第二電磁弁21とを備えていない点で冷却装置1Bとは流通経路の構成が異なるものとなっている。なお、エンジン2Bは冷却装置1Aの代わりに冷却装置1Bを組み込んだ点以外、エンジン1Aと実質的に同一のものとなっている。
第一タンク5Bは内部に容積可変装置としての容器50を有している。容器50の材質には、例えば高温時の冷却水温(例えば90℃)で熱変形による機能障害が生じない程度に耐熱性の高い樹脂を適用できる。容器50は第一タンク5B内で伸縮自在に変形するように構成されており、その一端部50aは第一タンク5B内に固定されている。このため容器50の他端部50bが第一タンク50B内で可動する。また容器50は内部にエア貯留室51を形成するとともに、第一タンク5B内の外部に冷却水貯留室40を形成している。冷却水貯留室40はウォータジャケット4内から抜き取った冷却水を貯留するための構成であり、エア貯留室51は、抜き取った冷却水の代わりにウォータジャケット4内に供給するエアを貯留するための構成である。容器50は、他端部50bの移動により、冷却水貯留室40またはエア貯留室51のうち、一方の容積が増大すると他方の容積が縮小するように容積を可変にする。
第六通路14の一端部14aは、第一タンク5Bのうち、エア貯留室51内に設置及び開口されている。また第二通路9の一端部9aは、第一タンク5Bのうち、冷却水貯留室40内に設置及び開口されている。このため冷却装置1Bでは「供給」状態において、図10に示すようにエア及び冷却水が流通する。なお、図10及び後述する図11中の実線で示した通路は、冷却水の通る通路を示し、破線で示した通路は、エアの通る通路を示している。また、点線の通路は流れが停止している通路を示している。
「供給」状態において、ECU30が電動ポンプ6を駆動すると、駆動された電動ポンプ6は、第一タンク5B内の冷却水貯留室40から冷却水を第二通路9へ吸引し、ウォータジャケット4内へ圧送する。このようにして、ウォータジャケット4内へ冷却水が供給されると、ウォータジャケット4内を占めていたエアは第四通路11に排出される。第四通路11に排出されたエアは、さらに第二タンク7及び第六通路14を介して第一タンク5B内のエア貯留室51に流入する。こうして他端部50bがエアによって押し出されるとともに、冷却水貯留室40の冷却水が電動ポンプ6によって吸引されることで、容器40が伸張し、これによりウォータジャケット4内のエアと入れ替えるようにして冷却水を供給できる。
また冷却装置1Bでは「排出」状態において、図11に示すようにエア及び冷却水が流通する。「排出」状態において、ECU30が電動ポンプ6を駆動すると、駆動された電動ポンプ6は、ウォータジャケット4内の冷却水を第二通路9へ吸引し、第一タンク5B内の冷却水貯留室40へ圧送する。このようにして、冷却水がウォータジャケット4内から抜き取られるとともに、冷却水貯留室40に流入することで、他端部50bが冷却水によって押し出される。これによって容器50が縮むと、エア貯留室51内のエアが第六通路14から排出される。また第六通路14から排出されたエアは、第二タンク7を介してウォータジャケット4に供給される。これにより第一タンク5Bからエアを十分に排出できるとともに、ウォータジャケット4から冷却水を十分に抜き取ることができる。したがって暖機性能の向上を確保することができる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。例えば容積可変装置は容器50のように第一タンク5B内で冷却水とエアとを完全に分離できるものであることが好ましいが、第一タンク5B内で可動するとともに、第一タンク5B内を冷却水貯留室とエア貯留室とに分割するピストンを容積可変装置とすることなども可能である。
1 冷却装置
3 エンジン本体
4 ウォータジャケット
5 第一タンク
5b 第1のエア溜め部
6 電動ポンプ
7 第二タンク
8 第一通路
8a 第2のエア溜め部
10 第三通路
13 エア抜き通路
14 第六通路
21 第二電磁弁
3 エンジン本体
4 ウォータジャケット
5 第一タンク
5b 第1のエア溜め部
6 電動ポンプ
7 第二タンク
8 第一通路
8a 第2のエア溜め部
10 第三通路
13 エア抜き通路
14 第六通路
21 第二電磁弁
Claims (6)
- エンジン内部に形成されたウォータジャケット内から抜き取った冷却水を貯留するタンクと、
前記タンクに連通するとともに、前記ウォータジャケットから前記タンクに冷却水を抜き取る際に、前記タンクから流出する流れが形成される流通路と、
前記タンク内に形成された空間の上方と、前記流通路とを連通するエア抜き通路と、
を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1記載のエンジンの冷却装置において、
前記流通路を前記タンクに該タンクの下方から連通させたことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1又は2記載のエンジンの冷却装置において、
前記タンク上部に第1のエア溜め部を設けるとともに、前記エア抜き通路の一端部を前記第1のエア溜め部に開口したことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1から3いずれか1項記載のエンジンの冷却装置において、
前記流通路に第2のエア溜め部を設けるとともに、前記エア抜き通路の他端部を前記流通路のうち、前記第2のエア溜め部よりも前記タンク側の部分に開口したことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項4記載のエンジンの冷却装置において、
前記第2のエア溜め部と冷却水用のリザーブタンクとを連通する連通路と、
前記連通路を連通、遮蔽する連通路開閉手段と、
を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - エンジン内部に形成されたウォータジャケット内から抜き取った冷却水を貯留する冷却水貯留室と、抜き取った冷却水の代わりに前記ウォータジャケット内に供給するエアを貯留するエア貯留室とを有するとともに、前記冷却水貯留室または前記エア貯留室のうち、いずれか一方の容積が増大すると他方の容積が縮小するように容積を可変にする容積可変装置を備えたタンク、
を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007248206A JP2009079506A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | エンジンの冷却装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007248206A JP2009079506A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | エンジンの冷却装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009079506A true JP2009079506A (ja) | 2009-04-16 |
Family
ID=40654450
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007248206A Pending JP2009079506A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | エンジンの冷却装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009079506A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014066241A (ja) * | 2012-09-24 | 2014-04-17 | Hyundai Motor Company Co Ltd | 車両のエンジン冷却システムおよび方法 |
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2007
- 2007-09-25 JP JP2007248206A patent/JP2009079506A/ja active Pending
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