JP2009079359A - 覆工エレメントの地山への貫入方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】覆工エレメントの断面形状とほぼ同形状に地山を掘削することができ、それにより空洞や地山の緩みが発生するのを確実に抑えることができ、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことのない覆工エレメントの地山への貫入方法を提供する。
【解決手段】長尺の覆工エレメント1の先端部に刃口4を連結し、刃口4の前方の地山を掘削して覆工エレメント1を発進側14から到達側15に向けて地山に貫入させる方法において、刃口4の前方の地山を、ワイヤソー8等の可撓性切削具により、刃口4の外形形状とほぼ同形状に切削しながら、その切削部に刃口4を貫入させ、それによって刃口4の内部に土砂を取り込み、取り込んだ土砂を掘削して覆工エレメント1を地山に貫入させる。
【選択図】 図4
【解決手段】長尺の覆工エレメント1の先端部に刃口4を連結し、刃口4の前方の地山を掘削して覆工エレメント1を発進側14から到達側15に向けて地山に貫入させる方法において、刃口4の前方の地山を、ワイヤソー8等の可撓性切削具により、刃口4の外形形状とほぼ同形状に切削しながら、その切削部に刃口4を貫入させ、それによって刃口4の内部に土砂を取り込み、取り込んだ土砂を掘削して覆工エレメント1を地山に貫入させる。
【選択図】 図4
Description
この発明は、覆工エレメントの地山への貫入方法に関し、さらに詳細には、鉄道線路や道路の下方に多数の鋼製覆工エレメントを用いて地下構造物を構築するに際し、その覆工エレメントを地山に貫入させる技術に関する。
鉄道線路や道路の下方に立体交差する地下構造物(トンネル)を構築する工法の1つとして、長尺の多数の鋼製覆工エレメントを地山に貫入させて覆工を行うJES(Jointed Element Structure )工法が知られている。
この工法は、例えば線路下の地山に構造物の断面を区画するように、長尺の多数の覆工エレメント、具体的には断面矩形の基準覆工エレメント(通常は1つ)と断面コ字形の一般部覆工エレメントとを並列させて地山に順次貫入させ、エレメント内部にコンクリートを打設して覆工壁を構築した後、覆工壁内方の地山を掘削して、覆工壁を箱形ラーメン形式又は円形等の構造物とする工法である。なお、この工法では、隣接するエレメントどうしは、引張荷重の伝達に優れた特殊形状を有する継手(JES継手)により連結される。その連結は、後行エレメントの地山への貫入に伴って、先行エレメントの継手に後行エレメントの継手を嵌合させることによってなされる(例えば特許文献1,2,3参照)。
各エレメントは地山への貫入の際に、その先端部に刃口が連結される。そして、その刃口に内蔵させた掘削機により、あるいは人力掘削により、刃口前方の地山を掘削し、この掘削に伴ってエレメントが地山に貫入される。
しかしながら、上記工法が適用されるのは上述のように一般には線路下や道路下であり、土被りを小さくせざるを得ない。他方、機械掘削あるいは人力掘削いずれの場合も、エレメント外周面に沿って均一に掘削することは困難であり、大きな余掘りが発生することがある。また、砂礫層や岩ズリがエレメント断面の内外に亘って存在する場合には、エレメント断面内の礫や岩ズリのみを掘削することができないことから、断面外の部分まで掘削せざるを得ない。この結果、エレメントの外周に空洞あるいは地山の緩みが生じやすく、これらの地山変状は土被りが小さいことと相俟って軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすおそれがある。
この出願の発明に関連する先行技術情報としては次のようなものがある。
特開2000−120372号公報
特開2000−179282号公報
特開2003−041881号公報
特開2004−204624号公報
特開2005−336865号公報
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、覆工エレメントの外形形状とほぼ同形状に地山を掘削することができ、それにより空洞や地山の緩みが発生するのを確実に抑えることができ、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことのない覆工エレメントの地山への貫入方法を提供することにある。
この発明の目的は、覆工エレメントの外形形状とほぼ同形状に地山を掘削することができ、それにより空洞や地山の緩みが発生するのを確実に抑えることができ、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことのない覆工エレメントの地山への貫入方法を提供することにある。
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、長尺の覆工エレメントの先端部に刃口を連結し、前記刃口の前方の地山を掘削して前記覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、
前記刃口の前方の地山を、ワイヤソー等の可撓性切削具により、刃口の外形形状とほぼ同形状に切削しながら、その切削部に前記刃口を貫入させ、それによって刃口の内部に土砂を取り込み、取り込んだ土砂を掘削して前記覆工エレメントを地山に貫入させることを特徴とする覆工エレメントの地山への貫入方法にある。
すなわち、この発明は、長尺の覆工エレメントの先端部に刃口を連結し、前記刃口の前方の地山を掘削して前記覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、
前記刃口の前方の地山を、ワイヤソー等の可撓性切削具により、刃口の外形形状とほぼ同形状に切削しながら、その切削部に前記刃口を貫入させ、それによって刃口の内部に土砂を取り込み、取り込んだ土砂を掘削して前記覆工エレメントを地山に貫入させることを特徴とする覆工エレメントの地山への貫入方法にある。
上記方法において、前記刃口は、その軸方向に接離自在な刃口前部と刃口後部とからなり、これら刃口前後部間には推進ジャッキが配置され、この推進ジャッキの作動により刃口前部を前記切削部に貫入させる構成を採用することができる。この場合、前記覆工エレメントを発進側から押し込むことにより地山に貫入させる。
前記刃口の先端隅部に該隅部から突出するようにガイドプーリがそれぞれ取り付けられ、これらのガイドプーリに刃口の外形形状とほぼ同形状となるように前記可撓性切削具が巻き掛けられている。そして、前記覆工エレメントの地山への貫入に先立ち、発進側と到達側との間に複数のガイドパイプを設置し、これらのガイドパイプに前記各ガイドプーリを配置する。前記可撓性切削具は到達側に設置された駆動プーリに巻き掛けられる一方、前記ガイドパイプ内に導入されて前記ガイドプーリに巻き掛けられる無端状のものである。
この発明によれば、刃口前方の地山を可撓性切削具により刃口の外形形状とほぼ同形状に切削し、その切削部に刃口を貫入して土砂を刃口内部に取り込んで掘削するので、覆工エレメントの外形形状とほぼ同形状に地山を掘削することができる。この結果、空洞や地山の緩みが発生するのを確実に抑えることができ、軌道面や道路面に沈下等の悪影響を及ぼすことことを防止することができる。
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、この発明の貫入方法により多数の覆工エレメントを地山に貫入させ、それによって箱形に構築された地下構造物50を示している。使用する覆工エレメントは断面が矩形の基準覆工エレメント1と、断面がコ字形の一般部覆工エレメント2である。最初に基準覆工エレメント1が地山に貫入され、次いでその両側に一般部エレメント2が順次貫入される。基準覆工エレメント1とその両側に隣接する一般部覆工エレメント2、また互いに隣接する一般部覆工エレメントどうしは、後行エレメントの地山への貫入の際に互いに嵌合される継手3を介して連結される。なお、符合54は閉合エレメントを示す。
地山に変状を与えやすいのは、土被りが小さい上床版51のエレメントの貫入施工時であり、この実施形態では、この上床版51のエレメントを構成する基準覆工エレメント1及び一般部覆工エレメント2(隅角部覆工エレメント2’を含む)の貫入施工時にこの発明が適用される。側壁部52及び下床板53のエレメントの貫入施工方法は、従来と同様であるが、この発明を適用することもできる。
この発明が適用される上床版51の基準覆工エレメント1及びその両側に連設される一般部覆工エレメント2は、高さは従来と同様すなわち側壁部52及び下床板53のエレメントと同様であるが( 850mm 程度)、幅は拡幅されている( 2500mm 程度)。これは、後述するように、刃口での掘削が機械掘削ではなく人力によるからである。
図2は、基準覆工エレメント1の先端に連結される刃口4を示している。刃口4は基準覆工エレメント1の外形形状と同じ外形形状を有している(より詳しくは、エレメント1の4つの継手3によって規定される矩形形状と同形の矩形形状)。この刃口4の4つの先端隅部にはブラケット5(各隅部のブラケットを符合5a〜5dで示す)が突出してそれぞれ設けられている。これらのブラケット5に2つずつのガイドプーリ6,7が設けられている。ガイドプーリ6,7は、そのプーリ軸が互い直交するように設けられ、ガイドプーリ6のプーリ軸は水平方向、ガイドプーリー7のプーリ軸は鉛直方向である。
これらのガイドプーリ6,7にワイヤソー8が巻き掛けられている。ワイヤソー8は無端状のものであり、ブラケット5aのガイドプーリ6→ブラケット5bのガイドプーリ6,7→ブラケット5cのガイドプーリ7,6→ブラケット5dのガイドプーリ6,7→ブラケット5aのガイドプーリ7の順で各プーリに巻き掛けられる。巻き掛けられたワイヤソー8は、全体として刃口4の外形形状と同じ矩形となっている。このワイヤソー8を走行移動させることにより刃口4の前方の地山を刃口4の外形形状と同形に、すなわち基準覆工エレメント1の外形形状と同形に切削することが可能である。
このワイヤソー8をガイドプーリ6,7群に導くために、またガイドプーリ6,7群を地山内で移動させるために複数のガイドパイプ9が地山に設置されている。ガイドパイプ9はエレメントの地山への貫入に先立って発進側と到達側との間に設置され、その設置位置は図1に示すように、刃口4の4つの隅部に対応する位置であり、各エレメントの継手3による連結位置である。ガイドパイプ9としては、ワイヤソー8によりガイドパイプ9の一部もその長手方向に沿って切断されることになるので、切断が容易な塩化ビニル管が用いられる。地山を切削するための可撓性切削具としては、ワイヤソーに代えてチェーンソーを用いることもできる。
図3は刃口4の詳細を示す断面図である。刃口4は軸方向に接離自在な刃口前部4aと刃口後部4bとからなるテレスコピック方式のものである。前述したガイドプーリ6,7のブラケット5は、刃口前部4aに設けられている。刃口後部4bはエレメント1の先端に固定部材21により固定される。刃口4の内部において、刃口前部4aと刃口後部4bとの間には油圧による複数の推進ジャッキ10が配置されている。この推進ジャッキ10を作動させることにより、刃口4を図3(a)の短縮状態から図3(b)のように伸長させ、ワイヤソー8に地山を切削するための押し付け力を加えるとともに、ワイヤソー8により切削された切削部(切削溝)に刃口前部4aを貫入させることができる。このときの刃口前部4aのストロークSは 200 〜600 mm 程度である。
なお、後述するように、刃口4は推進ジャッキ10をフリーとし(もしくは油圧により引き戻しながら)、エレメント1を地山に貫入させることにより図3(a)の短縮状態に戻るが、このとき刃口前部4aの後端と刃口後部4bの前端との間に所定大きさの隙間dが形成されるようになっている。これは、刃口前部4aに衝撃を与えることを防止してワイヤソー8を保護するためである。また、刃口内部に土砂が侵入するのを防止するために、外周において刃口前部4aと刃口後部4bとの間を閉鎖する薄鋼板からなる遮蔽プレート12が設けられている。
次に、覆工エレメントの具体的な貫入施工方法について図4及び図5を参照しながら説明する。エレメントは土留壁13,13間の地山に貫入される。発進側14には反力壁16とエレメントの推進ジャッキ17が設置される。この推進ジャッキ17には押し輪18が取り付けられる。他方、到達側15にはワイヤソー8の駆動プーリ19を含む駆動装置20が設置される。無端状のワイヤソー8は、この駆動プーリ19に巻き掛けられる一方、ガイドパイプ9内に導入されて前述のガイドプーリ6,7群に巻き掛けられる。
図4(a)は初期状態にあり、刃口4は短縮状態にある。この状態において、駆動プーリ19によりワイヤソー8を稼働させ、そして同図(b)に示すように、刃口4の推進ジャッキ10の作動により刃口4を伸長作動させ、刃口前部4aを前進させる。すなわち、ワイヤソー8により地山を刃口4の外形形状と同形状に切削しながら、その切削部に刃口前部4aを貫入させる。これにより、刃口4の内部には土砂が取り込まれる。なお、この刃口4を前進させている際は、エレメント1の地山への貫入はなされず、エレメント1の継ぎ足しが必要な場合は、エレメント1の後端に継ぎ足しエレメント1aの継ぎ足しを行う。
次に、図5(c)に示すように、ワイヤソー8の稼働を停止し、刃口4の内部に取り込んだ土砂の掘削をする。掘削は人力でなされ、掘削土砂はエレメント1の内部を通って発進側14に排出される。また、この掘削に伴って、エレメントの推進ジャッキ17の作動によりエレメント1を刃口後部4bとともに地山に貫入させる。これにより、刃口4は短縮状態となる。
以上のようにして、刃口4の1ストローク分の地山切削、掘削、エレメント貫入が終了したら、同図(d)に示すように、再びワイヤソー8を稼働させ、刃口4を伸長作動させて、次のストローク分の地山切削、掘削、エレメント貫入を行う。以下、これを繰り返す。
上記の説明は、基準覆工エレメントの貫入施工についてであるが、一般部覆工エレメントの施工についても、刃口が一般部覆工エレメントと同様のコ字形である点及びワイヤソーの巻き掛け形態がコ字形である点を除けば、ほぼ同様である。図6は、一般部覆工エレメントの貫入施工の際のワイヤソーの8の巻き掛け形態の一例を示している。プーリ軸が水平方向のガイドプーリ6及びプーリ軸が鉛直方向のガイドプーリ7を、図示のようにコ字形の2つの隅部及びコ字形の2つの開放端にそれぞれ配置することにより、地山をコ字形に切削することができる。
上記実施形態は例示にすぎず、この発明は種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施形態では、刃口を刃口前部と刃口後部に分離してテレスコピック構造のものとしたが、分離されない一体構造のものを使用することもできる。また、覆工エレメントの地山への貫入についても、上記実施形態では発進側からの押込みとしているが、到達側からの牽引とすることもできる。この場合、牽引するためのPC鋼撚り線等の引張材は、ガイドパイプ内を通して刃口後部の先端に固定され(テレスコピック式)、あるいは刃口の先端に固定される(一体構造)。
1 基準覆工エレメント
2 一般部覆工エレメント
3 継手
4 刃口
4a 刃口前部
4b 刃口後部
5 ブラケット
6,7 ガイドプーリ
8 ワイヤソー
8 刃口
9 ガイドパイプ
10 刃口用推進ジャッキ
13 土留壁
14 発進側
15 到達側
16 反力壁
17 推進ジャッキ
17 エレメント用推進ジャッキ
18 押し輪
19 駆動プーリ
20 駆動装置
50 地下構造物
51 上床版
2 一般部覆工エレメント
3 継手
4 刃口
4a 刃口前部
4b 刃口後部
5 ブラケット
6,7 ガイドプーリ
8 ワイヤソー
8 刃口
9 ガイドパイプ
10 刃口用推進ジャッキ
13 土留壁
14 発進側
15 到達側
16 反力壁
17 推進ジャッキ
17 エレメント用推進ジャッキ
18 押し輪
19 駆動プーリ
20 駆動装置
50 地下構造物
51 上床版
Claims (6)
- 長尺の覆工エレメントの先端部に刃口を連結し、前記刃口の前方の地山を掘削して前記覆工エレメントを発進側から到達側に向けて地山に貫入させる方法において、
前記刃口の前方の地山を、ワイヤソー等の可撓性切削具により、刃口の外形形状とほぼ同形状に切削しながら、その切削部に前記刃口を貫入させ、それによって刃口の内部に土砂を取り込み、取り込んだ土砂を掘削して前記覆工エレメントを地山に貫入させることを特徴とする覆工エレメントの地山への貫入方法。 - 前記刃口は、その軸方向に接離自在な刃口前部と刃口後部とからなり、これら刃口前後部間には推進ジャッキが配置され、この推進ジャッキの作動により刃口前部を前記切削部に貫入させることを特徴とする請求項1記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
- 前記覆工エレメントを発進側から押し込むことにより地山に貫入させることを特徴とする請求項2記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
- 前記刃口の先端隅部に該隅部から突出するようにガイドプーリがそれぞれ取り付けられ、これらのガイドプーリに刃口の外形形状とほぼ同形状となるように前記可撓性切削具が巻き掛けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
- 前記覆工エレメントの地山への貫入に先立ち、発進側と到達側との間に複数のガイドパイプを設置し、これらのガイドパイプに前記各ガイドプーリを配置することを特徴とする請求項4記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
- 前記可撓性切削具は到達側に設置された駆動プーリに巻き掛けられる一方、前記ガイドパイプ内に導入されて前記ガイドプーリに巻き掛けられる無端状のものであることを特徴とする請求項5記載の覆工エレメントの地山への貫入方法。
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JP2007247343A JP2009079359A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | 覆工エレメントの地山への貫入方法 |
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2007
- 2007-09-25 JP JP2007247343A patent/JP2009079359A/ja active Pending
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