JP2009078437A - 平版印刷用湿し水組成物及びヒートセットオフ輪印刷方法 - Google Patents

平版印刷用湿し水組成物及びヒートセットオフ輪印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ブランケットパイリングを改良する手段、特に湿し水組成物の観点からブランケットパイリングを改良する手段を提供する。
【解決手段】OH基を2〜3個有する5〜7員環のシクロアルカン誘導体を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物;該シクロアルカン誘導体がOH基を2個有するシクロヘキサン誘導体であって、炭素原子の総数が8〜12である、上記の平版印刷用湿し水組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷用湿し水組成物に関し、さらに具体的にはオフセット印刷方法に、特にヒートセットオフ輪印刷方法に好ましく使用される、平版印刷用湿し水組成物に関する。
平版印刷は水と油が本質的に混じり合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反撥する領域と、水を反撥し油性インキを受容する領域から成り、前者が非画像領域であり、後者が画像領域である。湿し水によって、非画像領域を湿潤させて画像領域と非画像領域との界面化学的な差を拡大して、非画像領域のインキ反撥性と画像領域のインキ受容性とを増大させることがなされる。
平版印刷機は通常、オフセット印刷方式になっており、版上にインキと湿し水が供給され、画像部にインキが付着し、非画像部に湿し水が付着することによって画像が形成され、その版上の画像がブランケットに転移し、更にブランケットから紙に転移することによって印刷されている。このとき、長時間連続印刷を行うと、インキ成分と紙成分がブランケット上の非画像部分に次第に堆積するという所謂“ブランケットパイリング”の問題が発生する。特に、平版オフセット輪転(オフ輪)印刷は長時間連続運転が可能であり生産性が高いことが特徴であるが、このブランケットパイリングが発生し易く大きな問題であった。
ブランケットパイリングは、特に回転の後ろ側(くわえ尻側)に画像部のインキが押し出されるようにして堆積しやすく、その堆積物がブランケットから紙へのインキ転移を阻害しインキの着肉不良の原因となる。この堆積物を除去するには、印刷を停止してブランケットを清掃しなければならず、損紙の増大、生産性の低下が非常に大きく、改良が望まれていた。
ブランケットパイリングを改良する技術として例えば、酸価が1.0未満のラノリンを1〜5質量%含有する平版オフセット輪転印刷インキ組成物が提案されており(特許文献1参照)、また、特定の接着剤と顔料の比率を規定した塗工液組成物を塗工してなることを特徴とするオフセット印刷用顔料塗工紙が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、多種多様なインキや用紙に印刷したいという要望に対して、特定のインキあるいは用紙を使用しないといけないという制約は満足いくものではなく、未だにブランケットパイリングの改良は大きな問題となっていた。
従来から一般的に知られている湿し水としては、重クロム酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、リン酸又はその塩、例えばアンモニウム塩、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のコロイド物質等を添加した水溶液がある。しかしながら、これらの化合物だけを含む湿し水は、版の非画像部に均一に濡れ難い欠点があり、このため印刷物が時々汚れたり、また湿し水の供給量を調節するのに相当の熟練を要するなど問題となっていた。
この欠点を改良するため、イソプロピルアルコールを約20〜25%加えた水溶液を湿し水として用いるダールグレン方式が提案されている。この方式によると、非画像部への濡れが良くなり、湿し水の量が少なくて済み、印刷インキと水との供給量のバランスの調整が容易であり、印刷インキ中への湿し水の乳化量が少なくなり、更にブランケットへの印刷インキの転移性が良くなる等、作業性の面及び得られた印刷物の精度の面において数々の利点がある。しかしながら、このイソプロピルアルコールは蒸発し易いために、湿し水のイソプロピルアルコール濃度を一定に保つための特殊な装置が必要であり、価格の点において高価なものとなる。また、イソプロピルアルコールは特有の不快臭があることと共に、毒性の面でも問題があって作業環境上好ましくない。また、このイソプロピルアルコールを添加した湿し水を、通常の水棒を用いるオフセット印刷に適用しても、ローラー上及び版面上でイソプロピルアルコールが蒸発するため、その効果を発揮することができないなど問題となっていた。
イソプロピルアルコールを含有しない湿し水として例えば、特定のプロピレングリコール系化合物を含有する湿し水(特許文献3参照)、また、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物を含有する湿し水(特許文献4及び5参照)、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物を含む湿し水(特許文献6参照)が提案されている。しかしながら、これらはいずれも依然としてブランケットパイリングが発生し易く、改善が望まれていた。
一方、水溶性有機ポリマーとして弱酸性水性媒質に可溶な天然コラーゲン/エラスチンを含む湿し水により、版胴に対するぬれ性を改善する技術が提案されている(特許文献7参照)。更にこの中で、長鎖(n≧6)状非ポリマーアルコール及び/又は(1,2)-もしくは(1,3)-位置にヒドロキシル基を含有するアルカンジオールを含むことでより一層ぬれ性が改善されることが開示されている。しかしながら、ブランケットパイリングに関する改良について注目されていない。
特開2006−328299号公報 特開2006−322114号公報 特開2001−138655号公報 特開2007−50665号公報 特開2007−168124号公報 特開2007−55182号公報 特開昭61−189997号公報
本発明は、ブランケットパイリングを改良する手段を提供することを目的とし、特に湿し水組成物の観点からブランケットパイリングを改良する手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定のシクロアルカン誘導体を湿し水に添加すると、ブランケットパイリングが著しく改良されることを見出した。
従って、本発明は、OH基を2〜3個有する5〜7員環のシクロアルカン誘導体を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物である。ここで、該シクロアルカン誘導体はエチレンオキシド及びプロピレンオキシド基を有していないものである。
本発明の実施態様として、該シクロアルカン誘導体が、OH基を2個有するシクロヘキサン誘導体であって、炭素原子の総数が8〜12であるシクロアルカル誘導体から選ばれる態様がある。
本発明の平版印刷用湿し水組成物の別の実施態様として、さらに、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種、及び下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する、上記平版印刷用湿し水組成物がある。
1-O−(CH2CHR2O)m−H (I)
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
HO−(CH2CH(CH3)O)n−H (II)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
本発明の平版印刷用湿し水組成物の別の実施態様として、さらに、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物、及びジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、上記平版印刷用湿し水組成物がある。
本発明の平版印刷用湿し水組成物は、ヒートセットオフ輪印刷方式に好ましく使用することができ、従って、本発明はさらに、ヒートセットタイプのオフ輪用インキ、及び上記湿し水組成物を用いたヒートセットオフ輪印刷方法に向けられている。
本発明の湿し水組成物によれば、ブランケットパイリングの発生を抑制し、長時間連続印刷しても良好な印刷品質を安定して得られる。更に本発明の湿し水組成物によれば、従来、湿し水に用いられるイソプロピルアルコールのような揮発性有機溶剤を使用することなく、よって、湿し水の供給量の調節などを簡便に行うことができ、また、作業環境上好ましい上、給水ローラー汚れなどの悪化も見られず、良好な印刷性能が得られる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するシクロアルカン誘導体は、2〜3個のOH基を有する5〜7員環のシクロアルカン誘導体であり、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド基を有さず、好ましくは、2個のOH基を有するシクロヘキサン誘導体であって、総炭素数が8〜12であり、より好ましくは、総炭素数が9〜10である。総炭素数が8〜12の範囲にあると、本発明の効果が十分に発揮されるとともに、該化合物の溶解性が良好である。
以下に本発明で使用するシクロアルカン誘導体の具体例(1)〜(14)を示すが、これらに限定されるものではない。
























Figure 2009078437

















Figure 2009078437
本発明で使用するシクロアルカン誘導体の上記具体例のうち、ブランケットパイリングの低減効果が優れている観点から、(4)〜(10)が好ましく、より好ましくは(6)〜(9)である。
本発明の湿し水組成物において、該シクロアルカン誘導体を2種以上併用してもよい。
本発明においてシクロアルカン誘導体の添加量は、使用時の湿し水組成物の全量に対して、0.05〜1.0質量%が適当であり、この範囲にあると、本発明の効果が十分に得られるとともに溶解不良や水棒汚れなどが発生せず、適当である。該添加量は、より好ましくは0.1〜0.7質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。
湿し水組成物は、通常使用時に濃縮液を適宜希釈し使用することが、輸送コスト、保管スペース、包材も含めた製造コストなどの観点から好ましい。希釈率は10〜200倍が好ましく、20〜150がより好ましく、30〜100倍が特に好ましく、希釈して上記使用時の湿し水組成物の濃度になるように濃縮液中の濃度を設定する。濃縮率は高いほどコストの観点から好ましいが、高すぎると濃縮液中での析出、液分離などの問題が発生し好ましくない。
濃縮液を作成する際の可溶化剤として、下記一般式(I)の化合物を少なくとも1種、及び下記一般式(II)の化合物を少なくとも1種使用することが好ましく、これらの化合物により本発明の効果が相乗的に高まる。
一般式(I)の化合物
1-O−(CH2CHR2O)m−H (I)
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
一般式(I)の化合物において具体的には、式中、R1は炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基があり、本発明で使用するシクロアルカン誘導体の溶解性を高め、かつブランケットパイリングを抑制する観点から、n−ブチル基あるいはt−ブチル基が特に好ましい。また、R2は水素原子またはメチル基を表し、メチル基がより好ましく、mは1〜3の整数を表し、1が特に好ましい。
一般式(I)の化合物の具体例は、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテルなどである。
これらの化合物を1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
中でも、プロピレングリコールのn−ブチル、又はt−ブチルエーテルが好ましく使用できる。一般式(I)で示される化合物の添加量は、使用時の湿し水組成物の全質量に対して0.05〜5.0質量%が適当であり、この範囲にあると、ブランケットパイリングを抑制する効果が十分であるとともにローラストリップ又は印刷版の耐刷不良等の問題が起こらず適当である。該添加量は、より好ましくは0.1〜3.0質量%である。
一般式(II)の化合物
HO−(CH2CH(CH3)O)n−H (II)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
一般式(II)の化合物において具体的には、式中、nは1が好ましい。
従って、一般式(II)の化合物の具体例として、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及びペンタプロピレングリコールがある。これらの化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。中でも、シクロアルカン誘導体の溶解性を高めるために、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが好ましく、プロピレングリコールが最も好ましい。
一般式(II)で示される化合物の湿し水組成物における含有量は、使用時の湿し水組成物の全質量に対して、0.05〜5.0質量%が適当であり、この範囲にあると本発明で使用するシクルアルカン誘導体の溶解性が十分となり、またブランケットパイリングの抑制効果も十分である上、インキ濃度が安定してローラストリップなどが起きにくい。該含有量は、より好ましくは0.1〜3.0質量%である。
本発明の湿し水組成物にはさらに、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物、及びジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることができる。
以下にこれらの化合物を説明する。
[エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜20000のものであり、好ましくは500〜5000、より好ましくは800〜1500であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。
該化合物においてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができ、例えばエチレンジアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを反応させる。
本発明で使用される、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、具体的に下記の式(III)にて示される。
Figure 2009078437
(式中、A及びBはそれぞれ独立に−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、A及びBは互いに異なる基であって、a〜hは各々0〜50の整数を表し、但しa、c、e及びgのうち少なくとも一つは1以上であり、及びb、d、f及びhのうち少なくとも一つは1以上である。a〜hは化合物全体の分子量が500〜20000となるような値である。なお、各共重合鎖はブロック構造でも、ランダム構造でもよい。)
該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
式(III)の内、より好ましくは下記の式(IV)にて示される。
Figure 2009078437
(式中、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ、0〜50の整数を表し、但しa、c、e及びgのうち少なくとも一つは1以上であり、及びb、d、f及びhのうち少なくとも一つは1以上である。)
上記式(IV)で表される化合物は、その重量平均分子量が500〜20000の範囲が適当であり、好ましくは重量平均分子量が500〜5000のものであり、さらに好ましくは800〜1500である。a〜hは化合物全体の分子量が500〜20000となるような値であるが、1〜10が好ましく、2〜4が特に好ましい。
このような化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能であるが、ブランケットパイリングや水棒汚れを悪化させる傾向にある。本発明で使用するシクロアルカン誘導体と併用することにより、ブランケットパイリング及び水棒汚れを悪化させること無くイソプロピルアルコールを代替することが可能となる。
該化合物においてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
[ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物]
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、重量平均分子量が500〜3000の範囲が適当であり、好ましくは800〜2000であり、最適なのは重量平均分子量1000付近のものである。
このような分子量を有する上記化合物は、印刷機停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮されて残ったときでも、画像領域にダメージを与えることがない。上記化合物はまた、揮発性を有する有機溶剤と併用することなしに、イソプロピルアルコールを代替することが可能である。
該化合物においてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの付加モル数比率は、充分な印刷性が得られる観点から5:95〜50:50の範囲が適当であり、より好ましくは20:80〜35:65の範囲である。
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの結合構造としては、先にエチレンオキサイドを付加し、その後プロピレンオキサイドを付加したブロック構造、先にプロピレンオキサイドを付加し、その後エチレンオキサイドを付加したブロック構造、同時にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加したランダム構造があるが、いずれの構造のものもほぼ同様の効果が得られる。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、常法に従って製造することができる。例えばジエチレントリアミンに触媒の存在下でエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドを反応させて、製造することができる。また、具体的にジエチレントリアミンをアセトニトリルとともに、氷水浴で冷却しながら、プロピレンオキサイドをそこへ滴下し反応させ、その後、更にエチレンオキサイドを滴下し反応させ、この混合物からろ過して析出物を取り出し、そこからジエチレントリアミンのプロピレンオキシアド/エチレンオキサイド付加物を得ることができる。
本発明で使用される、ジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物は、具体的に下記の式(V)にて示される。
Figure 2009078437
(式中、A及びBはそれぞれ独立に−CH2CH2O−又は−CH2CH(CH3)O−を表し、A及びBは互いに異なる基であって、a〜jは各々1以上の整数を表す。各共重合鎖はブロック構造でも、ランダム構造でもよい。)
式中、a〜jは化合物全体の分子量が500〜3000となるような値であることが適当であり、1〜6が好ましく、2〜3が特に好ましい。
なお、該化合物の分子量やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、例えば水酸基価及びアミン価の測定、NMR測定などにより決定することができる。
上記化合物を使用時の湿し水組成物において0.01〜1質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%含有させることによって、イソプロピルアルコールを代替しても、良好な印刷適性を発揮する。また、該湿し水を適用した後、印刷停止時に版上に残った水滴が放置により水が蒸発し、濃縮された状態になっても、版の画像領域を侵すことがない。しかしながら、上記化合物はブランケットパイリングや水棒汚れを悪化させる傾向にあり、本発明で使用するシクロアルカン誘導体と併用することにより、ブランケットパイリング及び水棒汚れを悪化させること無くイソプロピルアルコールを代替することが可能となる。
本発明の湿し水組成物のその他の成分としては、以下のものを含ませることができる。
(a)濡れ性向上の助剤
(b)水溶性高分子化合物
(c)pH調整剤
(d)キレート化剤
(e)臭気マスキング剤
(f)その他((i)防腐剤、(ii)着色剤、(iii)防錆剤、(iv)消泡剤など)
(a)濡れ性向上の助剤として、界面活性剤や他の溶剤を使用することができる。界面活性剤のうち、例えばアニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
非イオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又はフッ素誘導体等の界面活性剤も挙げられる。界面活性剤を使用する場合、その含有量は発泡の点を考慮すると、使用時の湿し水組成物において1.0質量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%が適当である。また、2種以上併用することもできる。
また、その他の助剤あるいは湿潤溶剤として、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン等を用いることができる。これらの溶剤は単独でもよいが、2種以上併用してもよい。一般にこれらの溶剤は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.1〜3質量%の範囲で使用するのが適当で、好ましくは0.3〜2質量%である。
本発明の湿し水組成物に使用する(b)水溶性高分子化合物としては、例えばアラビアガム、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース)等の天然物及びその変性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成物が挙げられる。水溶性高分子化合物の含有量は、使用時の湿し水組成物に対して0.0001〜0.1質量%が適しており、より好ましくは、0.0005〜0.05質量%である。
本発明では、上記水溶性高分子化合物の中でも、ポリビニルピロリドンが特に好ましく使用できる。湿し水組成物に含有させるポリビニルピロリドンは、ビニルピロリドンのホモポリマーを意味する。ポリビニルピロリドンは分子量200〜3,000,000のものが適当であり、好ましくは300〜500,000、より好ましくは300〜100,000のものである。特に好ましくは300〜30,000のものである。
これらポリビニルピロリドンは1種単独でも、又は分子量の異なるものを2種以上組み合わせて使用することもできる。また、低分子量のポリビニルピロリドン、例えば重合度3〜5のビニルピロリドンオリゴマーと組み合わせることができる。
このようなポリビニルピロリドンとしては、市販品を使用することができる。例えば、ISP社製のK−15、K−30、K−60、K−90、K−120などの各種グレートのものを使用することができる。
使用時の湿し水組成物におけるポリビニルピロリドンの含有量は、0.001〜0.3質量%が適当であり、好ましくは0.005〜0.2質量%である。
本発明の湿し水組成物にはまた、糖類から選ばれる少なくとも1種を含ませることが好ましい。使用する糖類としては、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類などから選択することができ、水素添加によって得られる糖アルコールもこれに含まれる。具体例としてD−エリトロース、D−スレオース、D−アラビノース、D−リボース、D−キシロース、D−エリスロ−ペンテュロース、D−アルロース、D−ガラクトース、D−グルコース、D−マンノース、D−タロース、β−D−フラクトース、α−L−ソルボース、6−デオキシ−D−グルコース、D−グリセロ−D−ガラクトース、α−D−アルロ−ヘプチュロース、β−D−アルトロ−3−ヘプチュロース、サッカロース、ラクトース、D−マルトース、イソマルトース、イヌロビオース、ヒアルビオウロン、マルトトリオース、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシット、マルチトール、還元水あめなどが挙げられる。これらの糖類は1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
使用時の湿し水組成物において、糖類から選ばれる少なくとも1種の含有量は0.01〜1質量%が適当であり、好ましくは0.1〜0.8質量%である。
本発明の湿し水組成物に用いられる(c)pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整あるいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。これらpH調整剤の本発明の湿し水組成物への添加量は0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、湿し水組成物のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜11のアルカリ性領域で用いることもできる。
本発明の湿し水組成物には、さらに、(d)キレート化剤を添加することができる。湿し水組成物は、使用時に通常濃縮液を水道水、井戸水などを加えて希釈して調製されるが、この際、希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもある。このような場合、キレート化剤を添加することにより、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化剤としては例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記のキレート化剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代わりに、有機アミンの塩も有効である。これらのキレート化剤は使用時の湿し水組成物中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。使用時の湿し水組成物中のキレート化合物の含有量としては、0.001〜0.5質量%が適当で、好ましくは0.002〜0.25質量%である。
(e)臭気マスキング剤としては、従来香料としての用途が知られているエステルを含む。例えば下記一般式(IV)で示されるものがある。
2−COOR3 (IV)
一般式(IV)の化合物において、式中R2は炭素原子数1〜15のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基である。アルキル基又はアルケニル基の場合、その炭素原子数は好ましくは4〜8である。R2がアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す場合、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルケニル基は特に二重結合を1個有するものが適当である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。なお、R2で示されるアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基、あるいはフェニル基の1以上の水素原子が、水酸基又はアセチル基で置換されていてもよい。R3は炭素原子数3〜10のアルキル基、アラルキル基又はフェニル基であって、それらは直鎖でも分岐鎖でもよい。アルキル基の場合、その炭素原子数は好ましくは3個から9個である。アラルキル基としては、ベンジル基やフェニルエチル基が挙げられる。
使用できる(e)臭気マスキング剤として具体的に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル吉草酸、ヘキサン酸(カプロン酸)、4−メチルペンタン酸(イソヘキサン酸)、2−ヘキセン酸、4−ペンテン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、2−デセン酸、ラウリン酸又はミリスチン酸のエステルが挙げられる。その他、フェニル酢酸ベンジル、アセト酢酸エチルやアセト酢酸2−ヘキシルといったアセト酢酸エステル等もある。中でも好ましいものとして、酢酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、酪酸n−ブチル、酪酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチルが挙げられ、特に酪酸n−ブチル、酪酸n−ペンチル及び酪酸イソペンチルが好適である。これらの酸エステル類の湿し水組成物における含有量は、使用時の湿し水組成物の全質量に基づいて0.0001〜10質量%が適当で、より好ましくは0.001〜1質量%である。これらを使用することにより、作業環境をより改善することができる。また。バニリン、エチルバニリン等とを併用してもよい。
本発明の湿し水組成物に使用する(f)(i)防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグアニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロアルコール系のブロモニトロプロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等が挙げられる。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時の湿し水組成物に対し、0.001〜1.0質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
本発明に使用する(f)(ii)着色剤としては、食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCINo. 19140、15985、赤色色素としてはCINo. 16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo. 42640、青色色素としてはCINo. 42090、73015、緑色色素としてはCINo. 42095、等が挙げられる。本発明に使用できる(f)(iii)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本発明に使用できる(f)(iv)消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。
本発明の湿し水組成物の成分として残余は、水である。湿し水組成物は、通常商業ベースとするときは濃縮化して商品化するのが一般的である。従って、水、好ましくは脱塩水、即ち、純水を使用して、上記の各種成分を溶解した水溶液として濃縮液を得ることができる。このような濃縮液を使用するときに、通常使用時に水道水、井戸水等で10〜200倍程度に希釈し、使用時の湿し水組成物とする。
本発明の湿し水組成物は、種々の平版印刷版に対して使用することができるが、特にアルミニウム板を支持体とし、その上に感光層を有する感光性平版印刷版(予め感光性を付与した印刷板で、PS版と呼ばれる。)を画像露光及び現像して得られた平版印刷版に対して好適に使用できる。かかるPS版の好ましいものは、例えば、英国特許第 1,350,521号明細書に記されているようなジアゾ樹脂(p−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物の塩)とシエラックとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたもの、英国特許第 1,460,978号及び同第 1,505,739号の各明細書に記されているようなジアゾ樹脂とヒドロキシエチルメタクリレート単位またはヒドロキシエチルアクリレート単位を主なる繰り返し単位として有するポリマーとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたもの、また特開平2−236552号、特開平4−274429号に記載のジメチルマレイミド基を含有する感光性ポリマー系をアルミニウム板上に設けたもののようなネガ型PS版、および特開昭50−125806号公報に記載されているようなO−キノンジアド感光物とノボラック型フェノール樹脂との混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたポジ型PS版が含まれる。またバーニング処理されたポジ型PS版にも用いることができる。
上記感光層を形成する組成物には、上記のアルカリ可溶性ノボラック樹脂以外の、アルカリ可溶性樹脂を必要に応じて配合することができる。例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、メチルメタアクリレート−メタクリル酸共重合体、アルカリ可溶性ポリウレタン樹脂、特公昭52−28401号公報記載のアルカリ可溶性ビニル系樹脂、アルカリ可溶性ポリブチラール樹脂等を挙げることができる。更に米国特許第 4,072,528号及び同第 4,072,527号の各明細書に記されているような光重合型フォトポリマー組成物の感光層をアルミニウム板上に設けたPS版、英国特許第 1,235,281号及び同第 1,495,861号の各明細書に記されているようなアジドと水溶性ポリマーとの混合物からなる感光層をアルミニウム板上に設けたPS版も好ましい。
さらに、可視や赤外線のレーザーで直接露光するCTPプレートにも好適に使用することができる。具体例としてはフォトポリマータイプデジタルプレート(例えば富士写真フイルム(株)製LP−NX)や、サーマルポジタイプデジタルプレート(例えば富士写真フイルム(株)製LH−PI)、及びサーマルネガタイプデジタルプレート(例えば富士写真フイルム(株)製LH−NI)などが挙げられる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、%は特に指定のない限り質量%を示す。
[実施例1〜6及び比較例1〜9]
シクロアルカン誘導体化合物を下記の表1のように変更した以外は等質量用いて、全く同様にして、以下の処方で各種湿し水組成物を調製した。該処方において単位はグラムであり、最後に水を加えて100グラムに調整した場合の添加量であり、質量%と同意である。
使用時の湿し水組成物(使用液)の処方
成分 添加量
プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 0.4g
プロピレングリコール 0.6g
表1のシクロアルカン誘導体 0.3g
硝酸アンモニウム 0.05g
クエン酸 0.01g
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール 0.002g
2-メチル-5-クロロ-4-イソチアゾリン-3-オン 0.002g
ベンゾトリアゾール 0.001g
水を加えて 100gとする
各湿し水組成物に対して、(株)小森コーポレーション製のLithron26 印刷機を用いて、東洋インキ(株)のインキ:スーパーレオエコーSOY墨L、王子製紙(株)の微塗工紙:OKトップコート+、富士フイルム(株)の版:PN-Vにて、各20000枚印刷を行った後、以下の評価を行った。
(1)ブランケットパイリング評価
印刷終了後、ブランケットを取り外し、非画像部上の堆積物の高さを触針式表面粗さ計測器(サーフコーダー)にて測定し、シクロアルカン誘導体無添加の湿し水に対する相対値で評価した。値が小さいほどパイリングの高さが低く好ましいことを示す。
(2)網点面積の低下率
40%網点面積率の画像部において、スタート時及び20000枚印刷終了時の印刷物において、網点面積率をグレタグマクベス社製の反射濃度計D19Cにて測定し、スタート時に対する印刷終了時の網点面積率の低下率を求めた。
低下率=(スタート時の網点面積率−印刷終了時の網点面積率)/スタート時の網点面積率 × 100
低下率が小さいほど安定的に印刷性能が得られることを示し、好ましい。
(3)給水ローラー汚れ
印刷終了後、給水ローラーの汚れを目視にて観察し、以下のようにランク付けした。
○・・・ほとんど汚れ無し
△・・・やや汚れが見られる
×・・・明らかに汚れが見られる
結果を表1に示す。




































表1(実施例で用いたシクロアルカン誘導体の符号は前述の具体例の符号を表す。)
Figure 2009078437
比較化合物(1)
Figure 2009078437

比較化合物(2) 比較化合物(3)
Figure 2009078437

特開平2−48996号に記載のジオールにエチレンオキシドを付加せしめた化合物。
表1の結果から、本発明に従ってシクロアルカン誘導体を添加すると、ブランケットパイリングが著しく抑制され、印刷後の網点面積率の低下も小さくなることが判る。また、給水ローラーの汚れも悪化させることがない。本発明で使用するシクロアルカン誘導体の中でも(8)と(9)の化合物が特に好ましい。
実施例3及び4において、使用液の50〜200濃縮液を作成し、水道水で希釈して使用液を作成して用いたところ、上記と同様の効果が得られることを確認した。
[実施例7〜16]
実施例3において、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールを、以下の表2の化合物に置き換えた以外は全く同様にして実験を行った。実施例16では、イソプロピルアルコールを用い、その添加量を、他の例で使用する化合物の量(0.5%)の15倍に増やした(すなわち7.5%)。実施例16では、このようにイソプロピルアルコールの添加量を増やさないと、水目盛りを増やしても印刷物上の非画像部にインキが付着し汚れが発生してしまう傾向があった。結果を表2に示す。
表2
Figure 2009078437
表2において、一般式(I)の化合物を使用したのは実施例3、7〜9、12〜15であり、一般式(II)の化合物を使用したのは実施例3、7〜13である。これらの結果から、シクロアルカン誘導体化合物の添加効果は、一般式(I)の化合物及び一般式(II)の化合物を併用したときに顕著に見られることが判る。
また、使用液の50倍濃縮液を作成し、その溶解安定性からも一般式(I)及び(II)の化合物を使用することが好ましいことが判った。
[実験例1]
実施例3において、シクロアルカン誘導体(8)の添加量のみを変更して同様の印刷実験を実施した。その結果、添加量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.1%以上、特に好ましくは0.2%以上であることが分かった。また、添加量が1%を超えると給水ローラー汚れが悪化する傾向が見られた。
[実施例17〜21]
以下の湿し水組成物の処方において、表3のように一般式(IV)または(V)の化合物を変動させて、各種湿し水組成物を調製した。
使用時の湿し水組成物(使用液)の処方
成分 添加量
一般式(IV)または(V)の化合物 0.08g
ポリビニルピロリドンK-15 0.02g
カルボキシメチルセルロース 0.04g
シクロアルカン誘導体(8) 0.40g
D−ソルビット 0.40g
硝酸アンモニウム 0.02g
グルコン酸 0.02g
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール 0.002g
2−メチル−5−クロロ−4−
イソチアゾリン−3−オン 0.002g
水を加えて 100gとする
これらの湿し水組成物を用いて、実施例1と同様に実験を行った。結果を表3に示す。
表3
Figure 2009078437
また、実施例17において、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールをそれぞれ0.2gずつ添加したところ、優れた効果が確認された。
[実験例2]
実施例3において、印刷実験に使用したインキを以下のように変更した以外は全く同様にして印刷実験を実施し、本発明の湿し水組成物の効果を確認した。
東洋インキ(株)製 スーパーレオエコーSOY 藍、紅、黄
〃 レオエコー SOY 墨、藍、紅、黄
〃 レオエコー LTDプロ 墨、藍、紅、黄
東京インキ(株)製 ウエブアクタスSOY メジャー 墨、藍、紅、黄
大日本インキ機材(株)製 ニューアドバン 墨、藍、紅、黄
ザ・インクテック(株)製 SOYBI VISTA 墨、藍、紅、黄
上記全てのヒートセットタイプのオフ輪用インキに対しても、実施例3と同様の結果が観察された。本発明の湿し水組成物が使用される印刷におけるインキは、これらに限定されるものではなく、蛍光インキ、マットインキ、各種中間職のインキなどに対しても有効である。
また、ヒートセットタイプのオフ輪用インキ以外にも、新聞印刷に用いられるノンヒートタイプオフ輪用インキ、枚葉プロセス用インキに対しても、本発明の湿し水組成物は有用であり、特にヒートセットタイプのオフ輪用インキで、本発明の湿し水組成物の効果が顕著に発揮され好ましい。
[実験例3]
実施例3において、印刷機を小森コーポレーション(株)製の SYSTEM35Sに変更した以外は同様にして50000枚印刷実験を行ったところ、実施例3と同様の結果が得られた。

Claims (5)

  1. OH基を2〜3個有する5〜7員環のシクロアルカン誘導体を含有することを特徴とする平版印刷用湿し水組成物。
  2. 該シクロアルカン誘導体がOH基を2個有するシクロヘキサン誘導体であって、炭素原子の総数が8〜12である、請求項1記載の平版印刷用湿し水組成物。
  3. さらに、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種、及び下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載の平版印刷用湿し水組成物。
    1-O−(CH2CHR2O)m−H (I)
    (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、mは1〜3の整数を表す。)
    HO−(CH2CH(CH3)O)n−H (II)
    (式中、nは1〜5の整数を表す。)
  4. さらに、エチレンジアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物、及びジエチレントリアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷用湿し水組成物。
  5. ヒートセットタイプのオフ輪用インキ、及び請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿し水組成物を用いたヒートセットオフ輪印刷方法。
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