JP2009077645A - 真菌含有飼料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 飼料中に含まれるリグニンを分解し、飼料中の植物繊維を有効に利用できる飼料を提供する。
【解決手段】 ルーメン環境で生育可能で、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とする飼料。
【選択図】 なし
【解決手段】 ルーメン環境で生育可能で、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とする飼料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、リグニンに対する消化能を持つ真菌を含有する飼料に関する。本発明の飼料では、該真菌のはたらきにより飼料中の植物繊維の分解が促進されるので、この飼料を摂取した動物は植物繊維を効率的に栄養として利用することができる。
ウシなどの反芻動物には、乾草やサイレージなどの粗飼料のほか、とうもろこしなどの濃厚飼料を与えて飼育するのが一般的である。しかし、濃厚飼料は、粗飼料に比べ一般に高価であり、また、ヒトの食料とも重複することから、食料増産の観点からは、可能な限り粗飼料の比率を高くして飼育していくことが望ましい。
粗飼料からの栄養摂取効率を向上させるため、従来から植物繊維を分解するセルラーゼを飼料中に添加することが行われている(特許文献1)。
粗飼料からの栄養摂取効率を向上させるため、従来から植物繊維を分解するセルラーゼを飼料中に添加することが行われている(特許文献1)。
植物繊維中には、セルロースやヘミセルロースのような多糖のほか、リグニンが含まれている。リグニンは、ヘミセルロースと結合し、セルロース分子を覆い、セルロースの分解を妨げる働きをする。このため、粗飼料中にセルラーゼのみを添加しても、リグニンによってセルロースの分解が妨げられ、植物繊維の分解率はあまり向上しないと考えられる。
本発明は、以上のような技術的背景の下になされたものであり、リグニンを分解し、粗飼料中からの効率的な栄養摂取を可能にする手段を提供することを目的とする。
本発明は、以上のような技術的背景の下になされたものであり、リグニンを分解し、粗飼料中からの効率的な栄養摂取を可能にする手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、エゾシカのルーメン内容物から単離された真菌が、リグニンに対し非常に高い消化能を持つことを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供するものである。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供するものである。
(1)ルーメン環境で生育可能で、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とする飼料。
(2)真菌が、アスペルギルス属に属する真菌であることを特徴とする(1)に記載の飼料。
(3)アスペルギルス属に属する真菌が、アスペルギルス フミガーツスに属する真菌であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の飼料。
(2)真菌が、アスペルギルス属に属する真菌であることを特徴とする(1)に記載の飼料。
(3)アスペルギルス属に属する真菌が、アスペルギルス フミガーツスに属する真菌であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の飼料。
(4)アスペルギルス フミガーツスに属する真菌が、嫌気的条件でリグニンに対する消化能を持つ真菌であることを特徴とする(3)に記載の飼料。
(5)アスペルギルス フミガーツスに属する真菌が、アスペルギルス フミガーツス EB-01株であることを特徴とする(3)に記載の飼料。
(6)真菌が、エゾシカのルーメン内容物から単離された真菌であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の飼料。
(5)アスペルギルス フミガーツスに属する真菌が、アスペルギルス フミガーツス EB-01株であることを特徴とする(3)に記載の飼料。
(6)真菌が、エゾシカのルーメン内容物から単離された真菌であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の飼料。
(7)ルーメン環境でセルロース消化能を有する微生物をも含有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の飼料。
(8)プロトゾアを含まないルーメン内容物の上澄液をも含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の飼料。
(9)反芻動物用の飼料であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の飼料。
(8)プロトゾアを含まないルーメン内容物の上澄液をも含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の飼料。
(9)反芻動物用の飼料であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の飼料。
(10)飼料が、生草、乾草、サイレージ、又はヘイキューブであることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれかに記載の飼料。
(11)(1)乃至(10)のいずれかに記載の飼料を動物に与えて飼育することを特徴とする動物の飼育方法。
(12)(11)に記載の飼育方法によって飼育された動物から得られる食肉及び乳。
(13)アスペルギルス フミガーツス EB-01株。
(11)(1)乃至(10)のいずれかに記載の飼料を動物に与えて飼育することを特徴とする動物の飼育方法。
(12)(11)に記載の飼育方法によって飼育された動物から得られる食肉及び乳。
(13)アスペルギルス フミガーツス EB-01株。
本発明の飼料は、リグニンに対し高い消化能を持つ真菌が添加されているため、この飼料を摂取した動物は、飼料中の植物繊維を効率的に利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の飼料は、ルーメン環境で生育可能であり、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地(PDA培地)を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とするものである。
本発明の飼料は、ルーメン環境で生育可能であり、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地(PDA培地)を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とするものである。
真菌のリグニン消化能は消化開始から48時間後のリグニン消化率が0.1%以上であればよいが、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。このような真菌はエゾシカのルーメンから得られるが、エゾジカ以外に、野生の反芻動物(カモシカなど)のルーメンから本発明目的に合う真菌が得られる可能性もある。
以上のような性質を持つ真菌としては、アスペルギルス フミガーツス(Aspergillus fumigatus) EB-01株を例示できる。この真菌株は、本発明者によって単離された真菌株であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P-377として寄託されている(受領日:平成19年7月18日)。一般にルーメン内から分離された真菌は、ほとんどが嫌気性の真菌である。しかし、EB-01株は、好気培養及び嫌気培養の両方で生育が可能で、in vitroでも容易に培養できる真菌である。特に好気条件下では生育が著しい。リグニン及びセルロースの資化性が高く、ルーメン内(嫌気条件)において、特にリグニン消化に有用性がある。
本発明の飼料に使用する真菌としては、EB-01株以外のアスペルギルス フミガーツスに属する真菌を使用してもよい。後述するように、IHEM 1363株やNBRC 33022株のようなEB-01株以外のアスペルギルス フミガーツスに属する真菌も高いリグニンン消化能を持つ。従って、アスペルギルス フミガーツス中には高いリグニン消化能を持つ真菌株が多数存在する可能性が高く、当業者であれば容易にそのような真菌株を単離できると考えられる。アスペルギルス フミガーツスに属するリグニンン消化真菌には、EB-01株やNBRC 33022株のように嫌気的条件でもリグニンを消化できるタイプ(好気的条件及び嫌気的条件の両方でリグニンを消化できるタイプ)とIHEM 1363株のように嫌気的条件ではリグニンを消化できないタイプ(好気的条件でのみリグニンを消化できるタイプ)とが存在するが、ルーメン内が嫌気的環境であることを考慮すると、本発明においては前者のタイプを使用するのが好ましい。
また、アスペルギルス フミガーツスだけでなく、この種以外のアスペルギルス属に属する真菌を使用してもよい。アスペルギルス フミガーツス以外のアスペルギルス属中にも高いリグニン消化能を持つ真菌株が多数存在する可能性が高く、当業者であれば容易にそのような真菌株を単離できると考えられる。
更に、EB-01株はエゾシカのルーメン内容物から単離されたので、エゾシカのルーメン内容物中には、EB-01株と同様の性質を示す真菌株が多数存在する可能性が高く、当業者であればエゾシカのルーメン内容物の中から容易にそのような真菌株を単離できると考えられる。
更に、EB-01株はエゾシカのルーメン内容物から単離されたので、エゾシカのルーメン内容物中には、EB-01株と同様の性質を示す真菌株が多数存在する可能性が高く、当業者であればエゾシカのルーメン内容物の中から容易にそのような真菌株を単離できると考えられる。
本発明の飼料は、上記真菌と植物繊維を含む飼料であり、粗飼料や、粗飼料に濃厚飼料を補助的に添加した飼料などを含む。本発明の飼料の具体例としては、生草、乾草、サイレージ、ヘイキューブ、などを挙げることができる。
リグニン資化性の真菌のみを飼料に含ませての使用でも十分効果はあるが、セルロースを消化する真菌またはバクテリア等の微生物とを併用した飼料を給餌することにより、更に繊維消化率の向上が期待できる。
リグニン資化性の真菌のみを飼料に含ませての使用でも十分効果はあるが、セルロースを消化する真菌またはバクテリア等の微生物とを併用した飼料を給餌することにより、更に繊維消化率の向上が期待できる。
また、飼料中には、プロトゾアを含まないルーメン内容物の上澄液を加えてもよい。これにより繊維消化率の更なる向上が期待できる。ルーメン内容物の上澄液の添加量は特に限定されないが、真菌100,000細胞に対し、0.5〜3mlであることが好ましく、1〜3mlであることが更に好ましい。
本発明の飼料の給餌対象動物としては、草食性の動物であれば特に限定されないが、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカなどの反芻動物が好ましく、反芻動物の中でもウシが特に好ましい。但し、ウマ、ウサギなどの反芻動物以外の草食性動物や豚などの雑食性動物に与えてもよい。
本発明の飼料の給餌対象動物としては、草食性の動物であれば特に限定されないが、ウシ、ヤギ、ヒツジ、シカなどの反芻動物が好ましく、反芻動物の中でもウシが特に好ましい。但し、ウマ、ウサギなどの反芻動物以外の草食性動物や豚などの雑食性動物に与えてもよい。
本発明の飼料は、通常の飼料に上述した真菌を添加することによって製造することができる。真菌の添加量は特に限定されないが、例えば、乾草に添加する場合であれば、乾草1kgに対し、真菌を1×104〜1×1010cell程度加えれば効果が見られるが、1×105〜1×1010cell程度加えるのが好ましく、1×107〜1×1010cell加えるのが特に好ましい。
本発明の飼料は、製造後(即ち、真菌添加後)直ちに動物に与えてもよいが、一定時間を置いた後に動物に与えることが好ましい。真菌添加後一定時間置くことにより、真菌の作用によりリグニンやセルロースが分解され、より栄養価の高い飼料になるからである。
本発明の飼料は、製造後(即ち、真菌添加後)直ちに動物に与えてもよいが、一定時間を置いた後に動物に与えることが好ましい。真菌添加後一定時間置くことにより、真菌の作用によりリグニンやセルロースが分解され、より栄養価の高い飼料になるからである。
本発明の飼料では、従来の飼料ではほとんど消化、吸収できなかったリグニンも消化、吸収することが可能になる。リグニンは芳香環を含んでおり、粗飼料中の主成分であるセルロースやヘミセルロースとは化学構造が大きく異なっているため、リグニンを摂取することにより、摂取した動物の肉や乳の性質が変化すると考えられる。従って、本発明の飼料を与えて動物を飼育することにより、その動物の肉や乳の性質を変えることが可能であると予測される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
各種動物のルーメン内容物から、リグニン及びセルロース資化性真菌をスクリーニングによって検索した。動物は、野生種としてニホンシカ及びエゾシカ、家畜化動物としてヤギを用いた。なお、ルーメン内に生息するプロトゾア(原生動物)は、細菌や真菌を栄養捕食し増殖をするため、プロトゾア不在ヤギ(デフォネート)と、プロトゾア存在ヤギ(フォネート)を作出した。スクリーニングによって得られた真菌について、in vitro による消化試験を行った。
〔実施例1〕 リグニン及びセルロース資化性真菌のスクリーニング
(1)実験方法
(1−1)真菌採取源
真菌は、野生エゾシカのルーメン内容物から採取した。ハンターにより仕留められたエゾシカは、ルーメン胃袋ごと冷凍庫内で凍結後、その一部を解凍し実験に供した。内容物には原生動物であるプロトゾアが存在する。
(1)実験方法
(1−1)真菌採取源
真菌は、野生エゾシカのルーメン内容物から採取した。ハンターにより仕留められたエゾシカは、ルーメン胃袋ごと冷凍庫内で凍結後、その一部を解凍し実験に供した。内容物には原生動物であるプロトゾアが存在する。
(1−2)真菌の分離
(1−2−1)粗真菌の作出
野生エゾシカのルーメンから内容物を採取し、二重ガーゼで搾り、その残渣にB-9緩衝液(表1)を加え、超音波(600kw.5秒)処理により残渣中の真菌をB-9緩衝液中に分散させた。次いで、この分散液を二重ガーゼで搾り、その搾り液(真菌区分)をメッシュが25μmと20μmの2枚のトレイからなるステンレス製フルイにかけ、20μmフルイ上の集積真菌区分をB-9緩衝液のスプレーにより回収後、遠心(1000rpm.1分)処理して粗真菌を得た。
(1−2−1)粗真菌の作出
野生エゾシカのルーメンから内容物を採取し、二重ガーゼで搾り、その残渣にB-9緩衝液(表1)を加え、超音波(600kw.5秒)処理により残渣中の真菌をB-9緩衝液中に分散させた。次いで、この分散液を二重ガーゼで搾り、その搾り液(真菌区分)をメッシュが25μmと20μmの2枚のトレイからなるステンレス製フルイにかけ、20μmフルイ上の集積真菌区分をB-9緩衝液のスプレーにより回収後、遠心(1000rpm.1分)処理して粗真菌を得た。
(1−2−2)真菌群の分画
パーコール(コロイド状シリカゲル:ファルマシア製)による濃度勾配法を用い、粗真菌から純粋な真菌を分画した。すなわち、パーコール濃度が40,30,20%になるようにB-9緩衝液で希釈した溶液を、試験管に順次混ざらないように静かに管壁に沿って注ぎ、パーコール濃度の異なる層を形成させた。20%パーコール溶液の上層部に先ほどの粗真菌を管壁に沿って静かに加え、直ちに遠心(1000rpm.1分)処理を行なった。次いで、20%パーコール区分に集められた真菌層を回収し、B-9緩衝液で希釈、遠心(1000rpm.1分)処理した後、上清区分のパーコールを除去し、真菌群を得た。
パーコール(コロイド状シリカゲル:ファルマシア製)による濃度勾配法を用い、粗真菌から純粋な真菌を分画した。すなわち、パーコール濃度が40,30,20%になるようにB-9緩衝液で希釈した溶液を、試験管に順次混ざらないように静かに管壁に沿って注ぎ、パーコール濃度の異なる層を形成させた。20%パーコール溶液の上層部に先ほどの粗真菌を管壁に沿って静かに加え、直ちに遠心(1000rpm.1分)処理を行なった。次いで、20%パーコール区分に集められた真菌層を回収し、B-9緩衝液で希釈、遠心(1000rpm.1分)処理した後、上清区分のパーコールを除去し、真菌群を得た。
なお、バクテリア除去の目的で真菌群5mlに対し、抗生物質溶液(表2)0.25mlを加え、39℃で30分間滅菌処理を施し、無菌B-9緩衝液で希釈した後、遠心(1000rpm.1分)処理して純粋な真菌群を単離した。
(1−2−3)真菌の単離
分離した真菌群をPotato Dextrose Agar培地(PDA培地; ニッスイ製 表3)の斜面培地試験管に植菌し、39℃、24時間好気培養によりコロニー形成を促した。次いで、コロニーの胞子形状や大きさ、色などの特徴に基づき、鎌形白金耳の先端を一点接触させてPDA平面培地のシャーレ中央部に植菌し、39℃、24時間好気培養した。なお、平面培地による植菌を繰り返すことで、真菌を純粋に単離した。
分離した真菌群をPotato Dextrose Agar培地(PDA培地; ニッスイ製 表3)の斜面培地試験管に植菌し、39℃、24時間好気培養によりコロニー形成を促した。次いで、コロニーの胞子形状や大きさ、色などの特徴に基づき、鎌形白金耳の先端を一点接触させてPDA平面培地のシャーレ中央部に植菌し、39℃、24時間好気培養した。なお、平面培地による植菌を繰り返すことで、真菌を純粋に単離した。
斜面培地:試験管にPDA培地を8ml加え、121℃20分オートクレーブにかけ滅菌して冷却した後、表2の抗生物質を0.4mlずつクリーンベンチ内で加え、試験管を斜めに寝かせた状態で凝固させた。
平面培地:PDA培地を121℃20分オートクレーブにかけて滅菌して冷却した後、表2の抗生物質を5%の濃度になるように加え、シャーレに10mlずつ分注し、静置して凝固させた。
平面培地:PDA培地を121℃20分オートクレーブにかけて滅菌して冷却した後、表2の抗生物質を5%の濃度になるように加え、シャーレに10mlずつ分注し、静置して凝固させた。
(1−2−4)リグニン及びセルロース資化性真菌のスクリーニング
単離された真菌のリグニン及びセルロース資化性の有無を調べる目的でスクリーニングを行なった。2本の50ml容の組織培養管を用意し、一方の組織培養管に基質として不溶性リグニン0.1g(ARDRICH製)を加えてリグニン区とし(表4)、他方の組織培養管にはセルロースパウダー(ADVANTEC製)0.1gを加えてセルロース区とした(表5)。いずれの組織培養管にも、B-9緩衝液10mlと単離した純粋な真菌10,000 cell/mlになるように入れ、39℃72時間好気培養した。なお、両区ともスタート時にグルコース濃度を2%になるように調製し、72時間ごとに1、0.1、0.01、0%になるように減少させ、最終的にグルコースが全く存在しない状態で10日以上生育した真菌をリグニン及びセルロース資化性真菌と判断し実験に供した。
単離された真菌のリグニン及びセルロース資化性の有無を調べる目的でスクリーニングを行なった。2本の50ml容の組織培養管を用意し、一方の組織培養管に基質として不溶性リグニン0.1g(ARDRICH製)を加えてリグニン区とし(表4)、他方の組織培養管にはセルロースパウダー(ADVANTEC製)0.1gを加えてセルロース区とした(表5)。いずれの組織培養管にも、B-9緩衝液10mlと単離した純粋な真菌10,000 cell/mlになるように入れ、39℃72時間好気培養した。なお、両区ともスタート時にグルコース濃度を2%になるように調製し、72時間ごとに1、0.1、0.01、0%になるように減少させ、最終的にグルコースが全く存在しない状態で10日以上生育した真菌をリグニン及びセルロース資化性真菌と判断し実験に供した。
(3)結果および考察
表6に示したように、どの動物のルーメン内にも真菌を捕食するプロトゾアがいるにもかかわらず、野生エゾシカのルーメン内からリグニンとセルロースの両方を資化する真菌と、セルロースのみ資化する真菌を得ることができた。なお、エゾシカ以外の動物として野生ニホンシカ及び家畜化されたヤギについても検索したところ、リグニン資化性真菌はみつからなかった。
野性エゾシカから得られた真菌について、それぞれ形成する胞子の色から、EB-01株(E:エゾシカ B:黒、ブラック)、EW株(W:白、ホワイト)と名づけた。EB-01株の光学顕微鏡写真を図1に、EW株の光学顕微鏡写真を図2に示す。リグニンとセルロースの両方に資化性を持ち、好気培養と嫌気培養の両方で成育可能なEB-01株の増殖曲線を図3、図4に示した。なお、EW株は、嫌気条件下では増殖を示さなかった。
〔実施例2〕 真菌の同定
リボソームRNA(rRNA)はすべての生物に普遍的に存在し、進化の過程で保存性が高いことが明らかにされている。特に、26S rRNAをコードする遺伝子(26S rDNA)のD1/D2 domainのDNA塩基配列は、菌類の種の分類指標として有用であることが明らかにされている。そこで、リグニン資化性糸状菌の種の同定を目的として26S rDNAのD1/D2 domainのDNA塩基配列を決定し属と種を決定した。
リボソームRNA(rRNA)はすべての生物に普遍的に存在し、進化の過程で保存性が高いことが明らかにされている。特に、26S rRNAをコードする遺伝子(26S rDNA)のD1/D2 domainのDNA塩基配列は、菌類の種の分類指標として有用であることが明らかにされている。そこで、リグニン資化性糸状菌の種の同定を目的として26S rDNAのD1/D2 domainのDNA塩基配列を決定し属と種を決定した。
(1)方法
(1−1)使用菌株
EB-01株
(1−2)ゲノムDNAの分離
液体培地で好気的に培養したEB-01株の菌体を滅菌蒸留水で洗浄後、物理的破砕、フェノール/クロロホルム処理、イソプロパノール沈殿によりゲノムDNAを分離した。
(1−1)使用菌株
EB-01株
(1−2)ゲノムDNAの分離
液体培地で好気的に培養したEB-01株の菌体を滅菌蒸留水で洗浄後、物理的破砕、フェノール/クロロホルム処理、イソプロパノール沈殿によりゲノムDNAを分離した。
(1−3)26S rDNAのD1/D2 domainの増幅および精製
EB-01株のゲノムDNAを鋳型として、菌類の26S rDNAのD1/D2 domainを特異的に増幅するプライマー(P1およびLR6)を用いてPCRを行い、アガロースゲル電気泳動によりD1/D2 domainの増幅を確認後、この目的DNAバンドを切り出し精製を行った。
EB-01株のゲノムDNAを鋳型として、菌類の26S rDNAのD1/D2 domainを特異的に増幅するプライマー(P1およびLR6)を用いてPCRを行い、アガロースゲル電気泳動によりD1/D2 domainの増幅を確認後、この目的DNAバンドを切り出し精製を行った。
(1−4)26S rDNAのD1/D2 domainの塩基配列決定
精製したD1/D2 domainのDNAを鋳型として、菌類のD1/D2 domainの塩基配列決定に一般的に用いられる4つのプライマー(NL-1、NL-2A、NL-3A、NL4)を用いて塩基配列を決定し、解析を行った。
精製したD1/D2 domainのDNAを鋳型として、菌類のD1/D2 domainの塩基配列決定に一般的に用いられる4つのプライマー(NL-1、NL-2A、NL-3A、NL4)を用いて塩基配列を決定し、解析を行った。
(1−5)プライマー配列
P1:5’-ATCTGGTTGATCCTGCCAGT-3’
LR6: 5’-CGCCAGTTCCTGCTTACC-3’
NL-1:5’-GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3’
NL-2A:5’-CTTGTTCGCTATCGGTCTC-3’
NL-3A:5’-GAGACCGATAGCGAACAAG-3’
NL4:5’-GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’
(2)結果および考察
EB-01株の26S rDNAのD1/D2 domainのDNAは635 bpであった。BLAST programを用いたDNA塩基配列相同性検索の結果、EB-01株のD1/D2 domainのDNA塩基配列はアスペルギルス フミガーツスIHEM 1363 (AJ438344)のD1/D2 domainと全く同一のDNA塩基配列であることが明らかになった。また、国際微生物学会連合(IUMS)の委員会であるICPA(The International Commission on Penicillium and Aspergillus)により選定されたアスペルギルス フミガーツスの標準菌株であるアスペルギルス フミガーツスNBRC 33022のD1/D2 domainのDNAの5’側から594 bpまでの塩基配列が全く同じであることが明らかになった。
P1:5’-ATCTGGTTGATCCTGCCAGT-3’
LR6: 5’-CGCCAGTTCCTGCTTACC-3’
NL-1:5’-GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3’
NL-2A:5’-CTTGTTCGCTATCGGTCTC-3’
NL-3A:5’-GAGACCGATAGCGAACAAG-3’
NL4:5’-GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’
(2)結果および考察
EB-01株の26S rDNAのD1/D2 domainのDNAは635 bpであった。BLAST programを用いたDNA塩基配列相同性検索の結果、EB-01株のD1/D2 domainのDNA塩基配列はアスペルギルス フミガーツスIHEM 1363 (AJ438344)のD1/D2 domainと全く同一のDNA塩基配列であることが明らかになった。また、国際微生物学会連合(IUMS)の委員会であるICPA(The International Commission on Penicillium and Aspergillus)により選定されたアスペルギルス フミガーツスの標準菌株であるアスペルギルス フミガーツスNBRC 33022のD1/D2 domainのDNAの5’側から594 bpまでの塩基配列が全く同じであることが明らかになった。
以上の結果から、EB-01株はアスペルギルス フミガーツスであると考えられた。
〔実施例3〕 in vitro法によるEB-01株とEW株のリグニン及びセルロース消化
スクリーニングで得られた真菌のうち、リグニン及びセルロースの資化性を示したEB-01株及び、セルロースの資化性を示したEW株についてリグニン及びセルロース消化試験を行なった。
スクリーニングで得られた真菌のうち、リグニン及びセルロースの資化性を示したEB-01株及び、セルロースの資化性を示したEW株についてリグニン及びセルロース消化試験を行なった。
(1)実験方法
2本のスクリューキャップ付試験管を用意し、一方の試験管には、基質として不溶性リグニン0.1gを加え、リグニン区とし、他方の試験管には、ペーパーディスク(No.2ろ紙打抜きφ6.6mm 厚さ0.01mm:東洋ろ紙製)0.1gを加え、セルロース区とした。いずれの試験管にもB-9緩衝液5mlと真菌のスクリーニングで得られたEB-01株又はEW株0.3ml(100,000 cell/ml)を入れ、39℃48時間好気培養により消化を促した。培養残渣中のリグニン及びセルロースの含有量をAOAC法で測定し、リグニン及びセルロースの消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
2本のスクリューキャップ付試験管を用意し、一方の試験管には、基質として不溶性リグニン0.1gを加え、リグニン区とし、他方の試験管には、ペーパーディスク(No.2ろ紙打抜きφ6.6mm 厚さ0.01mm:東洋ろ紙製)0.1gを加え、セルロース区とした。いずれの試験管にもB-9緩衝液5mlと真菌のスクリーニングで得られたEB-01株又はEW株0.3ml(100,000 cell/ml)を入れ、39℃48時間好気培養により消化を促した。培養残渣中のリグニン及びセルロースの含有量をAOAC法で測定し、リグニン及びセルロースの消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
(2)試料の前処理及び分析方法
培養前のリグニン及びペーパーディスクを一定量秤量した後、F-57バッグ(ANKOM製)に詰め、封入口をヒートシーラーにより閉じて分析に供した。
培養前のリグニン及びペーパーディスクを一定量秤量した後、F-57バッグ(ANKOM製)に詰め、封入口をヒートシーラーにより閉じて分析に供した。
また、培養後の消化されたリグニン及びペーパーディスクは、F-57バッグにそれぞれ、蒸留水で洗い込み、105℃で乾燥後、封入口をヒートシーラーで閉じて分析に供した。
(2−1)リグニン分析法
500ml容トールビーカー内に試料を封入したF-57バッグと5%硫酸200ml加え、冷却器付煮沸装置で2時間煮沸後、水洗いし、一昼夜乾燥させた。次いで、200ml容ビーカー内で72%硫酸20mlを加え、その中に3時間浸した後、水洗いし、105℃で乾燥させて恒量値を求め、さらに600℃で灰化恒量値を求めリグニン含量を測定し、下式によりリグニン消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
500ml容トールビーカー内に試料を封入したF-57バッグと5%硫酸200ml加え、冷却器付煮沸装置で2時間煮沸後、水洗いし、一昼夜乾燥させた。次いで、200ml容ビーカー内で72%硫酸20mlを加え、その中に3時間浸した後、水洗いし、105℃で乾燥させて恒量値を求め、さらに600℃で灰化恒量値を求めリグニン含量を測定し、下式によりリグニン消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
リグニン消化率(%)=[1−(L1−L2)/ L]×100
L:消化前のリグニン重量(g)
L1:消化後のリグニン重量(g)
L2:リグニン中の灰分重量(g)
(2−2)セルロース分析法
500ml容トールビーカー内に試料を封入したF-57バッグと1.25%硫酸200mlを加え、冷却器付煮沸装置(三紳工業製)で30分間煮沸後、水洗いした。次いで、そのバッグは1.25%水酸化ナトリウム溶液に馴染ませてトールビーカー内に入れ、1.25%水酸化ナトリウム溶液200mlを加え、冷却器付煮沸装置で30分間煮沸後、水洗いした。その後、105℃で恒量を求め、さらに600℃で灰化恒量値を求め、セルロース含量を測定し、下式によりセルロース消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
L:消化前のリグニン重量(g)
L1:消化後のリグニン重量(g)
L2:リグニン中の灰分重量(g)
(2−2)セルロース分析法
500ml容トールビーカー内に試料を封入したF-57バッグと1.25%硫酸200mlを加え、冷却器付煮沸装置(三紳工業製)で30分間煮沸後、水洗いした。次いで、そのバッグは1.25%水酸化ナトリウム溶液に馴染ませてトールビーカー内に入れ、1.25%水酸化ナトリウム溶液200mlを加え、冷却器付煮沸装置で30分間煮沸後、水洗いした。その後、105℃で恒量を求め、さらに600℃で灰化恒量値を求め、セルロース含量を測定し、下式によりセルロース消化率を算出した(培養前の消化率を0%とした。)。
セルロース消化率(%)=[1−(C1−C2)/ C]×100
C:消化前のペーパーディスク重量(g)
C1:消化後のペーパーディスク重量(g)
C2:ペーパーディスク中の灰分重量(g)
(3)結果及び考察
39℃48時間培養後のリグニン及びセルロースの消化率をそれぞれ図5及び図6に示す。
C:消化前のペーパーディスク重量(g)
C1:消化後のペーパーディスク重量(g)
C2:ペーパーディスク中の灰分重量(g)
(3)結果及び考察
39℃48時間培養後のリグニン及びセルロースの消化率をそれぞれ図5及び図6に示す。
EB-01株のリグニン消化率は7.5%と高い値を示した(図5)が、EW株についてはリグニン消化を示さなかった。セルロースの消化はEB-01及びEW株の両区に見られ、消化率はそれぞれ8%及び12%であった(図6)。
なお、ルーメン細菌によるリグニン及びセルロースの消化率を測定した結果、セルロースでは5%、リグニンでは消化は認められなかった。
なお、ルーメン細菌によるリグニン及びセルロースの消化率を測定した結果、セルロースでは5%、リグニンでは消化は認められなかった。
〔実施例4〕 in vitro法による登録菌株のリグニン及びセルロース消化
野生エゾシカのルーメン内から採取した真菌EB-01株は、同定の結果アスペルギルス フミガーツスであることが明らかになった。同じ菌種でも採取場所が異なれば生理作用もことなる可能性が考えられるので、NBRCに登録されているNBRC 33022株(日本:単離源不明)、BCCMに登録されているIHEM 1363株(ベルギー:大麦から単離)についてリグニン及びセルロース消化率を測定し、EB-01株の消化率と比較した。
野生エゾシカのルーメン内から採取した真菌EB-01株は、同定の結果アスペルギルス フミガーツスであることが明らかになった。同じ菌種でも採取場所が異なれば生理作用もことなる可能性が考えられるので、NBRCに登録されているNBRC 33022株(日本:単離源不明)、BCCMに登録されているIHEM 1363株(ベルギー:大麦から単離)についてリグニン及びセルロース消化率を測定し、EB-01株の消化率と比較した。
また、セルロースの消化能を高める手段としてデフォネートヤギ※1のルーメンからセルロース消化率が高く、好気及び嫌気培養の両方で生育できる真菌GB株※2を選び、EB-01株との混合培養(1:1)を行い、リグニン及びセルロース消化率をEB-01株単一の場合と比較した。
(1)実験方法
培養に関して、培養器、基質、接種真菌数は実施例3と同様とした。培養条件は、B-9緩衝液を用い、好気及び嫌気培養の両区を設け、72時間培養とした。なお、B-9緩衝液5mlの代わりにルーメンリッカー(RL;プロトゾアを除いたルーメン内容物の上澄液)に置き換え、嫌気培養で72時間培養した場合の消化率についても比較した。ルーメンリッカーは、通常飼育しているヤギのカニューレから採取したルーメン内容物を二重のガーゼでしぼり、搾出した液を遠心(3000rpm.5分)処理してプロトゾアや余分な残渣を沈めた後、上澄液を採取し、この上澄液をルーメンリッカーとした。ルーメンリッカーは特に調整をすることなくそのまま培養に使用した。
培養に関して、培養器、基質、接種真菌数は実施例3と同様とした。培養条件は、B-9緩衝液を用い、好気及び嫌気培養の両区を設け、72時間培養とした。なお、B-9緩衝液5mlの代わりにルーメンリッカー(RL;プロトゾアを除いたルーメン内容物の上澄液)に置き換え、嫌気培養で72時間培養した場合の消化率についても比較した。ルーメンリッカーは、通常飼育しているヤギのカニューレから採取したルーメン内容物を二重のガーゼでしぼり、搾出した液を遠心(3000rpm.5分)処理してプロトゾアや余分な残渣を沈めた後、上澄液を採取し、この上澄液をルーメンリッカーとした。ルーメンリッカーは特に調整をすることなくそのまま培養に使用した。
※1 ルーメン内のプロトゾアを除去する作業(デフォネーション)を施した特別なヤギ。天然には存在しない。
※2 デフォネーションを行なわない通常飼育のヤギからはこのような好気及び嫌気培養の両方で成育できる真菌は得られなかった。ヤギ(Goat)から採取し、黒い胞子(Black)を形成することから、GBと名づけた。
※2 デフォネーションを行なわない通常飼育のヤギからはこのような好気及び嫌気培養の両方で成育できる真菌は得られなかった。ヤギ(Goat)から採取し、黒い胞子(Black)を形成することから、GBと名づけた。
(2)結果及び考察
表7にin vitro 法における39℃72時間培養におけるリグニン及びセルロース消化率を示す。
表7にin vitro 法における39℃72時間培養におけるリグニン及びセルロース消化率を示す。
表7に示した通り、B-9緩衝液培地で好気培養を行った場合には、EB-01株だけでなく、NBRC 33022株、及びIHEM 1363株もリグニンを消化した。このことから、リグニンの消化は、EB-01株だけでなく、アスペルギルス フミガーツス一般にみられる性質であると考えられる。
B-9緩衝液培地で嫌気培養を行った場合には、EB-01株、及びNBRC 33022株では、好気培養の場合よりもリグニン消化率が低下し、IHEM 1363株ではリグニンの消化が全く行われなかった。しかし、EB-01株とGB株を混合培養した場合には、好気培養の場合よりもリグニン消化率が向上した。
ルーメンリッカー培地で嫌気培養を行った場合には、いずれの菌株も、B-9緩衝液培地の場合よりもリグニン消化率が増加した。その増加率はEB-01株とGB株を混合培養では1.7倍、EB-01株では7.1倍、NBRC 33022株では9.1倍となった。B-9緩衝液培地ではリグニン消化性を示さなかったIHEM 1363株もルーメンリッカー培地ではリグニン消化性を示した。
なお、一般にルーメンバクテリアはリグニンを消化できない。したがって、ルーメンリッカーで培養することによるリグニン消化の向上は、真菌のリグニン消化機能がルーメンリッカーの影響を受けたものと考えられる。
セルロースの消化は、各菌株とも好気、嫌気、又はルーメンリッカーなどの培養条件に関わらず、消化率に大きな差は認められなかった。
なお、一般にルーメンバクテリアはリグニンを消化できない。したがって、ルーメンリッカーで培養することによるリグニン消化の向上は、真菌のリグニン消化機能がルーメンリッカーの影響を受けたものと考えられる。
セルロースの消化は、各菌株とも好気、嫌気、又はルーメンリッカーなどの培養条件に関わらず、消化率に大きな差は認められなかった。
Claims (13)
- ルーメン環境で生育可能で、リグニンに対する消化能を持つ真菌であってPotato Dextrose Agar培地を用い、該真菌濃度100,000cell/ml、リグニン濃度1%、温度39℃、pH6.8で48時間培養したときのリグニン消化率が0.1%以上である真菌を含有することを特徴とする飼料。
- 真菌が、アスペルギルス属に属する真菌であることを特徴とする請求項1に記載の飼料。
- アスペルギルス属に属する真菌が、アスペルギルス フミガーツスに属する真菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の飼料。
- アスペルギルス フミガーツスに属する真菌が、嫌気的条件でリグニンに対する消化能を持つ真菌であることを特徴とする請求項3に記載の飼料。
- アスペルギルス フミガーツスに属する真菌が、アスペルギルス フミガーツス EB-01株であることを特徴とする請求項3に記載の飼料。
- 真菌が、エゾシカのルーメン内容物から単離された真菌であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の飼料。
- ルーメン環境でセルロース消化能を有する微生物をも含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飼料。
- プロトゾアを含まないルーメン内容物の上澄液をも含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の飼料。
- 反芻動物用の飼料であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の飼料。
- 飼料が、生草、乾草、サイレージ、又はヘイキューブであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の飼料。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の飼料を動物に与えて飼育することを特徴とする動物の飼育方法。
- 請求項11に記載の飼育方法によって飼育された動物から得られる食肉及び乳。
- アスペルギルス フミガーツス EB-01株。
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2011244769A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Kurita Water Ind Ltd | デハロコッコイデス属細菌培養液の調製方法、塩素化エチレンの浄化剤及び浄化方法 |
CN106086087A (zh) * | 2016-08-18 | 2016-11-09 | 吉林中之林农业科技有限公司 | 一种微生物共培养制备生物质单体的系统 |
WO2018033146A1 (zh) * | 2016-08-18 | 2018-02-22 | 侯哲生 | 一种微生物共培养制备生物质单体的系统 |
-
2007
- 2007-09-26 JP JP2007248654A patent/JP2009077645A/ja active Pending
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