JP2009076811A - 半導体装置とその製造方法、およびそれを用いたカメラモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体基板の表裏両面間を貫通配線層で接続した半導体装置において、半導体基板の裏面に設ける絶縁層と半導体基板との界面における剥離を抑制する。
【解決手段】半導体装置1は貫通孔3を有する半導体基板2を備える。半導体基板2の第1の主面2aには、貫通孔3に対応する第1の開口部4aを有する第1の絶縁層4が設けられており、その上に第1の配線層5が設けられている。貫通孔3の内壁面、第1の配線層5で塞がれた貫通孔3の底面、および半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域は、第2の絶縁層6で覆われている。第2の絶縁層6は第1の開口部4aに対応する第2の開口部6aを有する。第2の配線層7は貫通孔3内から半導体基板2の第2の主面2bに亘って設けられている。第2の配線層7は第2の主面2bの配線形成領域に設けられた第2の絶縁層6上に形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】半導体装置1は貫通孔3を有する半導体基板2を備える。半導体基板2の第1の主面2aには、貫通孔3に対応する第1の開口部4aを有する第1の絶縁層4が設けられており、その上に第1の配線層5が設けられている。貫通孔3の内壁面、第1の配線層5で塞がれた貫通孔3の底面、および半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域は、第2の絶縁層6で覆われている。第2の絶縁層6は第1の開口部4aに対応する第2の開口部6aを有する。第2の配線層7は貫通孔3内から半導体基板2の第2の主面2bに亘って設けられている。第2の配線層7は第2の主面2bの配線形成領域に設けられた第2の絶縁層6上に形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は半導体装置とその製造方法、およびそれを用いたカメラモジュールに関する。
半導体集積回路技術を用いたCCDやCMOSイメージセンサ等の半導体装置は、デジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話に広く利用されている。このような半導体装置においては搭載部品の小型・軽量に対応するために、センサチップ(半導体素子)をウェハレベルチップサイズパッケージ(WL−CSP)にすることが提案されている。
センサチップ(半導体素子)をWL−CSP化するにあたって、半導体素子(半導体基板)には表裏両面間を繋ぐ貫通孔が設けられ、この貫通孔内に形成された導電層(貫通配線層)によって、半導体基板の表面に設けられた受光素子を含む集積回路と裏面に設けられた外部接続端子とが電気的に接続される(特許文献1参照)。個片化された半導体装置は、半導体基板上に受光素子を覆うように光透過性保護部材を配置した後、光学レンズ付きケースを装着することでカメラモジュールとして使用される。
このような半導体装置は例えば以下のようにして作製される。まず、表面側絶縁膜と表面側配線層とが順に形成された半導体基板を、その裏面側から表面側絶縁膜が露出するまでエッチングして貫通孔を形成する。次いで、貫通孔の内壁面および半導体基板の裏面に裏面側絶縁膜を形成する。貫通孔の底部に存在する裏面側絶縁膜および表面側絶縁膜を、異方性エッチングを適用してエッチングすることによって、貫通孔内に表面側配線層を露出させる。このようにして、半導体基板の表裏両面間を繋ぐ貫通孔を形成する。
次に、貫通孔を介して表面側配線層と内接するように、貫通孔の内部から半導体基板の裏面に亘る貫通配線層を形成する。貫通配線層は貫通孔内を充填しつつ、半導体基板の裏面に形成される。さらに、半導体基板の裏面を裏面側保護膜で覆った後、裏面側保護膜に貫通配線層を露出させる開口を形成し、この開口に外部接続端子を形成する。半導体装置は半導体ウェハに複数個形成され、最後に切断されて個片化される。
貫通配線層を有する半導体装置(WL−CSP)は直接環境下に配置されるため、例えば高温・高湿下に配置された際に裏面側保護膜を介して裏面側絶縁膜が吸湿・膨潤するおそれがある。裏面側絶縁膜の半導体基板に対する密着力が低いと、吸湿・膨潤した裏面側絶縁膜と半導体基板との界面から剥離が発生し、半導体装置の機械的信頼性が低下する。さらに、半導体ウェハを切断して半導体装置を個片化する際に、裏面側絶縁膜が剥離するおそれがある。これも半導体装置の機械的信頼性を低下させる要因となる。
国際公開第2005/022631号パンフレット
本発明の目的は、半導体基板の表裏両面間を貫通配線層で接続するにあたって、半導体基板の裏面に設ける絶縁膜と半導体基板との界面における剥離を抑制することによって、機械的信頼性を向上させた半導体装置とその製造方法、およびそのような半導体装置を適用したカメラモジュールを提供することにある。
本発明の態様に係る半導体装置は、第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面とを有する半導体基板と、前記第1の主面と第2の主面とを繋ぐように、前記半導体基板に設けられた貫通孔と、前記半導体基板の前記第1の主面に設けられ、前記貫通孔の開口に対応させて形成された第1の開口部を有する第1の絶縁層と、前記貫通孔の開口および前記第1の開口部を塞ぐように、前記半導体基板の前記第1の主面に設けられた第1の配線層と、前記貫通孔の内壁面、前記第1の配線層で塞がれた前記貫通孔の底面、および前記半導体基板の前記第2の主面の配線形成領域のみを覆うように設けられ、前記貫通孔の底面に前記第1の開口部に対応させて形成された第2の開口部を有する第2の絶縁層と、前記第1および第2の開口部を介して前記第1の配線層と接続するように、前記貫通孔内から前記半導体基板の前記第2の主面の前記配線形成領域に亘って、前記第2の絶縁層を介して設けられた第2の配線層とを具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1の主面に第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に第1の配線層を形成する工程と、前記第1の絶縁層を露出させるように、前記半導体基板の前記第1の主面とは反対側の第2の主面から前記第1の主面に向けて、前記半導体基板に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の内壁面、前記第1の絶縁層で塞がれた前記貫通孔の底面、および前記半導体基板の前記第2の主面を覆うように第2の絶縁層を形成する工程と、前記貫通孔の底面に存在する前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層に開口部を形成し、前記貫通孔内に前記第1の配線層を露出させる工程と、前記半導体基板の前記第2の主面に存在する前記第2の絶縁層を、前記第2の主面の配線形成領域を除いて除去し、前記第2の主面を露出させる工程と、前記貫通孔内から前記半導体基板の前記第2の主面の前記配線形成領域に亘って、前記開口部を介して前記第1の配線層と接続する第2の配線層を、前記第2の絶縁層を介して形成する工程とを具備することを特徴としている。
本発明の態様に係るカメラモジュールは、本発明の態様に係る半導体装置と、前記半導体装置を構成する前記半導体基板の前記第1の主面に設けられ、前記第1の配線層と電気的に接続された受光部と、前記半導体基板の前記第1の主面を覆うように、前記受光部上に所定の間隙を介して配置された光透過性保護部材と、前記光透過性保護部材上に設けられたレンズモジュールとを具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る半導体装置とその製造方法では、半導体基板の第2の主面を覆う第2の絶縁層を第2の主面の配線形成領域のみに設けているため、第2の主面上の第2の絶縁層はおおよそ第2の配線層で覆われることになる。これによって、第2の絶縁層の吸湿する領域が減少するため、第2の絶縁層と半導体基板との界面における剥離を抑制することができる。従って、機械的信頼性に優れる半導体装置を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態による半導体装置を示している。図1に示す半導体装置1は半導体基板2を具備している。半導体基板2にはシリコン(Si)基板等が用いられる。半導体基板2は第1の主面2aとそれとは反対側の第2の主面2bとを有している。第1の主面(表面)2aはトランジスタ、抵抗、コンデンサ等の半導体素子やそれらに電気的に接続された導電層の形成面となり、第2の主面(裏面)2bは外部接続端子の形成面となる。
半導体基板2は第1の主面2aと第2の主面2bとを繋ぐ貫通孔3を有している。半導体基板2の第1の主面2aには第1の絶縁層4が形成されており、その上には第1の配線層5が形成されている。第1の配線層5は半導体基板2の第1の主面2a側の能動素子領域に設けられた半導体回路の導電層であり、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の半導体素子(図示せず)と電気的に接続されている。
半導体基板2をCMOSイメージセンサ等のセンサチップとして使用する場合、半導体基板2の第1の主面2a側の能動素子領域にはフォトダイオード等の受光素子を有する受光部が設けられる。受光部は第1の主面2aに照射される光や電子等のエネルギー線を受光してフォトダイオード等に収集するものである。このような受光部はセンサチップの撮像部を構成するものであり、電気信号のインプット・アウトプットや電力の供給等を行う第1の配線層5と電気的に接続される。
半導体基板2の第1の主面2aに設けられた第1の絶縁層4には、貫通孔3の開口より小径の第1の開口部4aが貫通孔3の開口に対応させてほぼ同軸的に形成されており、第1の開口部4aおよび貫通孔3の開口を塞ぐように第1の配線層5が配置されている。すなわち、第1の配線層5は貫通孔3内に露出しており、このような第1の配線層5で貫通孔3の底面が構成されている。さらに、貫通孔3の内壁面(側面)と第1の配線層5で塞がれた貫通孔3の底面は第2の絶縁層6で覆われている。
第2の絶縁層6は貫通孔3内から連続して、半導体基板2の第2の主面2bの一部を覆うように設けられている。すなわち、第2の絶縁層6は貫通孔3の内壁面と第1の配線層5で塞がれた貫通孔3の底面と半導体基板2の第2の主面2bの一部を覆うように設けられている。貫通孔3の底面に存在する第2の絶縁層6には、第1の配線層5を露出させるように、第1の絶縁層4の第1の開口部4aに対応させてほぼ同径の第2の開口部6aが設けられている。これによって、第1の配線層5は第1の絶縁層4の第1の開口部4aおよび第2の絶縁層6の第2の開口部6aを介して貫通孔3内に露出している。
半導体基板2の第2の主面2bにおいて、第2の絶縁層6は図2に示すように、第2の主面2bの配線形成領域のみを覆うように設けられている。すなわち、半導体基板2の第2の主面2bは配線形成領域のみが第2の絶縁層6で覆われており、配線形成領域を除く領域は第2の主面2bが露出している。第2の主面2bの配線形成領域は、貫通孔3による第1の主面2aと第2の主面2bとの接続部から端子形成部までの配線の引き回しに必要な領域のみに設定され、それ以外の領域は第2の主面2bの露出領域となる。
貫通孔3内には第2の配線層7となる導電材料が第2の絶縁層6を介して充填されている。貫通孔3の底面に存在する第2の絶縁層6には第2の開口部6aが設けられており、それと対応して第1の絶縁層4には第1の開口部4aが設けられているため、第2の配線層7は第1および第2の開口部4a、6aを介して第1の配線層5と電気的に接続している。第2の配線層7は貫通孔3内から半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域に亘って設けられている。第2の配線層7は半導体基板2の第1の主面2aと第2の主面2bとを接続する貫通配線層である。
半導体基板2の第2の主面2bにおいて、第2の配線層7は図2に示したように第2の主面2bの配線形成領域に設けられた第2の絶縁層6上に形成されている。第2の配線層7は第2の絶縁層6と同一形状に形成してもよいが、第2の主面2bとの接触によるショートの防止や第2の配線層7の形成精度等を考慮して、第2の配線層7の外周が第2の絶縁層6の外周から若干内側に後退するように形成することが好ましい。第2の配線層7は、後述するように第2の絶縁層6の被覆材として機能させるものであるため、第2の配線層7による被覆面積を増大させるように、第2の配線層7の外周の第2の絶縁層6の外周からの後退距離は1〜5μmの範囲に設定することが好ましい。
第2の配線層7には外部接続端子8が設けられている。半導体基板2の第2の主面2bは外部接続端子8を除いて保護層9で覆われている。第2の主面2b上に存在する第2の絶縁層6および第2の配線層7は保護層9で覆われている。保護層9は少なくとも第2の配線層7を覆うように設ければよい。第1の実施形態の半導体装置1においては、外部接続端子8を除いて、半導体基板2の第2の主面2b全体を保護層9で覆っている。なお、図2では保護層9の図示を省略している。半導体装置1をセンサパッケージ等に適用する場合、半導体基板2上にはガラス基板等からなる光透過性保護部材が接着層を介して配置されるが、図1では説明の簡略化のために図示を省略している。
第1の実施形態の半導体装置1は、例えば以下のようにして作製される。まず、図3に示すように、半導体基板2の第1の主面(表面)2aにCVD法、スプレーコート法、スピンコート法、フィルムラミネート法等を適用して第1の絶縁層4を形成する。第1の絶縁層4は、例えばシリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、SiOF(フッ素ドープSiOx)、ポーラスなSiOC(カーボンドープSiOx)等により構成される。半導体基板2は半導体ウェハとして供給される。
次いで、図4に示すように、第1の絶縁層4上にスパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法等を適用して第1の配線層5を形成する。第1の配線層5には、例えば高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)が用いられる。これらは単層構造もしくは複数の材料層を積層した多層構造で導電層を構成する。また、絶縁層を介して導電層を積層した多層構造膜等を配線層5に適用してもよい。
次に、図5に示すように、半導体基板2の第2の主面2b側から第1の主面2aに向けて貫通孔3を形成して第1の絶縁層4を露出させる。貫通孔3は半導体基板2の第2の主面2b側に配置された所定パターンのマスク(図示せず)を用いて、半導体基板2をプラズマエッチング法等でエッチングして形成する。貫通孔3は第1の絶縁層4に向けて断面形状がテーパー状とされていることが好ましい。貫通孔3の形成にあたって、第1の絶縁層4に比べて半導体基板2が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガスを導入してプラズマエッチングを行う。エッチング用のガスとしては、例えば半導体基板2がSi基板である場合にはSF6とO2とArの混合ガスを使用する。
次いで、図6に示すように、貫通孔3の内壁面、第1の絶縁層4で塞がれた貫通孔3の底面、および半導体基板2の第2の主面2bを覆うように、CVD法、スプレーコート法、スピンコート法、フィルムラミネート法等を適用して第2の絶縁層6を形成する。第2の絶縁層6には、例えばシリコン酸化物(SiOx)やシリコン窒化物(SiNx)等の無機絶縁物、あるいはポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂、エポキシ樹脂等の有機絶縁物で構成される。
次に、図7に示すように、貫通孔3の底部に相当する第1および第2の絶縁層4、6を、所定パターンのマスク(図示せず)を用いてプラズマエッチングし、第1の開口部4aと第2の開口部6aを同軸的に形成する。これら開口部4a、6aを形成することによって、貫通孔3内に第1の配線層5を露出させる。第1および第2の開口部4a、6aの形成と同時に、同じマスクを利用して半導体基板2の第2の主面2bに存在する第2の絶縁層6を配線形成領域を除いてエッチングし、第2の主面2bを露出させる。半導体基板2の第2の主面2bにおいて、第2の絶縁層6は配線形成領域のみに配置される。
第1および第2の絶縁層4、6をエッチングするにあたって、第1の配線層5に比べて第1および絶縁層4、6が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガスを導入してプラズマエッチングを行う。エッチング用のガスとしては、例えば第1および絶縁層4、6がSiO2膜で、第1の配線層5がTiNやAlで構成されている場合にはC5F8とO2とArの混合ガスを使用する。
なお、半導体基板2の第2の主面2bに存在する第2の絶縁層6のエッチング工程は、第1および第2の開口部4a、6aの形成工程の前工程もしくは後工程として、別のマスクを用いて別途実施してもよい。ただし、半導体装置1の製造工数や製造コストの低減を図る上で、第1および第2の開口部4a、6aの形成工程と第2の主面2bに存在する第2の絶縁層6のエッチング工程は同一工程で実施することが好ましい。
続いて、図8に示すように、貫通孔3内から半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域に亘って第2の配線層7を形成する。第2の配線層7は第2の絶縁層6を介して貫通孔3内および半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域に形成される。貫通孔3の底部に存在する第1および第2の絶縁層4、6には、予め第1および第2の開口部4a、6aが設けられているため、第2の配線層7は第1および第2の開口部4a、6aを介して第1の配線層5と電気的に接続される。
第2の配線層7は所定パターンのマスク(図示せず)を用いて、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法、印刷法等を適用して形成される。第2の配線層7は半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域に設けられた第2の絶縁層6上に形成される。第2の配線層7には、例えば高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)が用いられる。これらは単層もしくは多層構造で導電層を構成する。
この後、図9に示すように、半導体基板2の第2の主面2bを覆うように保護層9を設け、さらに保護層9に端子形成用の開口を形成した後、この開口に第2の配線層7と接続する外部接続端子8を形成する。外部接続端子8は例えば半田材で形成され、保護層9はポリイミド樹脂やエポキシ樹脂、あるいはソルダーレジスト材等で形成される。これら一連の工程(ウェハ工程)が終了した後、半導体基板2をブレードで切断して個片化することによって、図1に示す半導体装置1が作製される。半導体基板2上に光透過性保護部材を配置する場合には、半導体基板2を光透過性保護部材と共に切断して個片化する。
第1の実施形態の半導体装置1においては、半導体基板2の第2の主面2bの配線形成領域を除いて第2の絶縁層6を除去しているため、第2の絶縁層6は第2の主面2b上で第2の配線層7にほぼ覆われた状態となる。このため、第2の絶縁層6の吸湿領域を低減することができ、第2の絶縁層6と半導体基板2との界面における剥離を抑制することが可能となる。従って、半導体装置1の機械的信頼性を向上させることができる。
第2の絶縁層6による吸湿領域の低減のみを考慮した場合、半導体基板2の第2の主面2b上に存在する第2の絶縁層6は第2の配線層7で完全に覆われることが好ましい。ただし、この場合には第2の配線層7が第2の絶縁層6からはみ出して半導体基板2と接触するおそれがある。そこで、第2の配線層7は第2の絶縁層6の被覆面積を保ちつつ、半導体基板2との接触を防止する上で、第2の配線層7の外周が第2の絶縁層6の外周から1〜5μmの範囲で内側に後退するように形成することが好ましい。第2の配線層7の後退距離が1μm未満であると半導体基板2と接触するおそれが高まり、後退距離が5μmを超えると第2の絶縁層6の被覆面積が減少する。
さらに、第2の絶縁層6は第2の主面2bの配線形成領域のみに配置されているため、第2の主面2bの周縁部は第2の絶縁層6が除去されている。第2の主面2bの周縁部に存在する第2の絶縁層6は、半導体基板2を切断して個片化する際に剥離して製造歩留りや機械的信頼性を低下させるおそれがある。そのような部分の第2の絶縁層6を除去しておくことによって、半導体基板2の切断時における第2の絶縁層6の剥離、また半導体装置1の使用時における端面からの剥離等を抑制することができる。従って、半導体装置1の機械的信頼性をさらに向上させることが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態による半導体装置について、図10を参照して説明する。図10は第2の実施形態による半導体装置21の構成を示している。同図に示す半導体装置21においては、半導体基板2の第2の主面2bに第2の絶縁層6と同様なパターンを有する保護層9を形成している。半導体基板2の第2の主面2bは保護層9の形成領域を除いて露出している。それ以外の構成については第1の実施形態と同様とされている。図10において、図1と同一部分には同一符号を付している。
半導体基板2の第2の主面2bにおいて、保護層9は外部接続端子8を除いて第2の絶縁層6とその上に形成された第2の配線層7のみを覆うように形成されている。保護層9は少なくとも第2の配線層7を覆うように形成すればよく、第2の絶縁層6の吸湿防止の観点からは第2の配線層7のみを覆うように形成することが好ましい。ただし、この場合には保護層9の形成精度によっては第2の配線層7の被覆性が低下するおそれがあるため、実用的には保護層9を第2の絶縁層6とその上に形成された第2の配線層7を覆うように形成することが好ましい。
第2の実施形態の半導体装置21は、例えば以下のようにして作製される。まず、第1の実施形態と同様にして、半導体基板2に対して第1の絶縁層4の形成工程、第1の配線層5の形成工程、貫通孔3の形成工程、第2の絶縁層6の形成工程、第1および第2の開口部4a、6aの形成工程、第2の配線層7の形成工程を実施する。この状態は図11に示した通りである。次いで、図12に示すように、半導体基板2の第2の主面2bに保護層9を設け、さらに保護層9に端子形成用の開口を形成した後、この開口に第2の配線層7と接続する外部接続端子8を形成する。
この際、保護層9は所定パターンのマスクを用いて、リソグラフィーや印刷法で第2の主面2b上の第2の絶縁層6と同様なパターンで形成される。また、保護層9を第2の主面2bに一様に形成した後、マスクを用いずにレーザエッチング法で第2の絶縁層6と同様なパターンにエッチングしてもよい。保護層9は半導体基板2の第2の主面2bに存在する第2の絶縁層6と第2の配線層7を覆うようなパターンで形成されるため、それ以外の領域は第2の主面2bが露出する。これら一連の工程が終了した後、半導体基板2をブレードで切断して個片化することによって、図10に示す半導体装置21が作製される。
第2の実施形態の半導体装置21においては、第1の実施形態と同様な効果(第2の絶縁膜6の吸湿による剥離抑制効果)に加えて、保護層9と半導体基板2の第2の主面2bとの界面形成領域が少なくなるため、保護層9と半導体基板2との間の剥離も抑制することができる。従って、半導体装置21の機械的信頼性をさらに高めることが可能となる。加えて、第2の主面2bの周縁部には保護層9が存在していないため、半導体基板2を切断する際の保護層9の剥離による歩留りや機械的信頼性の低下を抑制することができる。
次に、本発明のカメラモジュールの実施形態について、図13を参照して説明する。図13は本発明の実施形態によるカメラモジュールの構成を示している。図13に示すカメラモジュール31は、BGA(Ball Grid Array)タイプのパッケージ形態を有しており、その主要部として前述した実施形態の半導体装置1(21)を具備している。半導体装置1を構成する半導体基板2の第1の主面(表面)2a側の能動領域には、フォトダイオード等の受光素子を有する受光部(例えばCCD型撮像素子やCMOS型撮像素子等)32が設けられている。
半導体基板2上には受光部32をキズや埃から保護するための光透過性保護部材33が配置されている。光透過性保護部材33は半導体基板2の第1の主面2aを覆うように配置されている。光透過性保護部材33は、第1の主面2aの周縁部に配置された接着層34を介して、半導体基板2の第1の主面2aに接着されている。光透過性保護部材33と半導体基板2の第1の主面2aとの間には、接着層34の厚さに基づいて形成された間隙35が介在されている。すなわち、半導体基板2の第1の主面2aに設けられた受光部32上には間隙35を介して光透過性保護部材33が配置されている。
光透過性保護部材33としては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等からなるガラス基板が用いられる。接着層34には、例えば感光性や非感光性のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が適用される。受光部32上には、一般的に集光用のマイクロレンズ36が形成されており、マイクロレンズ36の集光効果を損なわないように、光透過性保護部材33と受光部32との間には間隙(キャビティ)35が設けられている。
光透過性保護部材33の表面には、受光部32を覆うように、赤外光を遮断するIR(カット)フィルタ37が形成されている。さらに、受光部32を避けた領域には接着層(図示を省略)を介して、レンズホルダ38に集光用レンズ39を装着したレンズモジュール40が取り付けられている。なお、図13では集光用レンズ39を1枚しか図示していないが、集光用レンズ39は必要に応じて複数枚で構成される。
さらに、半導体装置1とレンズモジュール40とは、電気的なシールドや機械的補強を目的としたシールドキャップ41で覆われている。シールドキャップ41は、例えばアルミニウム、ステンレス材、Fe−Ni合金(42アロイ等)で構成される。これらによって、カメラモジュール31が構成されている。半導体装置1は第2の配線層7および外部接続端子8を介して、配線(図示せず)が形成された基板42上に実装され、さらに基板42の配線と電気的に接続される。
このようなカメラモジュール31においては、撮像対象物から到来する光をレンズ39で集光し、この集光した光を受光部32で受光する。受光部32で受光した光を光電変換し、その出力をセンサ信号として能動領域に形成された制御IC(図示せず)に入力する。制御ICはディジタルシグナルプロセッサを含み、それによってセンサ信号を処理して静止画あるいは動画のデータを作成し、第2の配線層7および外部接続端子8を介して基板42に出力する。基板42は図示しない記憶装置や表示装置に接続され、静止画あるいは動画のデータが記憶装置に記憶され、あるいは表示装置に表示される。
この実施形態のカメラモジュール31では、半導体装置1を構成する半導体基板2の第2の主面2b側の保護層9を介して水分が浸入しても、第2の絶縁層6(図13では図示を省略している)がほぼ第2の配線層7に覆われているため、第2の絶縁層6の吸湿・膨潤による半導体基板2の第2の主面2bからの剥離を抑制することができる。従って、カメラモジュール31の組立工程での歩留まりを高めることができると共に、機械的信頼性を向上させたカメラモジュール31を安定して提供することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、半導体基板の表裏両面間を貫通配線層で接続すると共に、半導体基板の第2の主面(裏面)に絶縁層や配線層を形成する各種の半導体装置に適用することができる。そのような半導体装置も本発明に含まれる。また、本発明の実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1,21…半導体装置、2…半導体基板、2a…第1の主面、2b…第1の主面、3…貫通孔、4…第1の絶縁層、4a…第1の開口部、5…第1の配線層、6…第2の絶縁層、6a…第2の開口部、7…第2の配線層、8…外部接続端子、9…保護層、31…カメラモジュール、32…受光部、33…光透過性保護部材、35…間隙、38…レンズホルダ、39…集光用レンズ、40…レンズモジュール。
Claims (5)
- 第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面とを有する半導体基板と、
前記第1の主面と第2の主面とを繋ぐように、前記半導体基板に設けられた貫通孔と、
前記半導体基板の前記第1の主面に設けられ、前記貫通孔の開口に対応させて形成された第1の開口部を有する第1の絶縁層と、
前記貫通孔の開口および前記第1の開口部を塞ぐように、前記半導体基板の前記第1の主面に設けられた第1の配線層と、
前記貫通孔の内壁面、前記第1の配線層で塞がれた前記貫通孔の底面、および前記半導体基板の前記第2の主面の配線形成領域のみを覆うように設けられ、前記貫通孔の底面に前記第1の開口部に対応させて形成された第2の開口部を有する第2の絶縁層と、
前記第1および第2の開口部を介して前記第1の配線層と接続するように、前記貫通孔内から前記半導体基板の前記第2の主面の前記配線形成領域に亘って、前記第2の絶縁層を介して設けられた第2の配線層と
を具備することを特徴とする半導体装置。 - 請求項1記載の半導体装置において、
少なくとも前記第2の配線層を覆うように、前記半導体基板の前記第2の主面に設けられた保護層を具備することを特徴とする半導体装置。 - 半導体基板の第1の主面に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に第1の配線層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層を露出させるように、前記半導体基板の前記第1の主面とは反対側の第2の主面から前記第1の主面に向けて、前記半導体基板に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内壁面、前記第1の絶縁層で塞がれた前記貫通孔の底面、および前記半導体基板の前記第2の主面を覆うように第2の絶縁層を形成する工程と、
前記貫通孔の底面に存在する前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層に開口部を形成し、前記貫通孔内に前記第1の配線層を露出させる工程と、
前記半導体基板の前記第2の主面に存在する前記第2の絶縁層を、前記第2の主面の配線形成領域を除いて除去し、前記第2の主面を露出させる工程と、
前記貫通孔内から前記半導体基板の前記第2の主面の前記配線形成領域に亘って、前記開口部を介して前記第1の配線層と接続する第2の配線層を、前記第2の絶縁層を介して形成する工程と
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板の前記第2の主面に、少なくとも前記第2の配線層を覆うように保護層を形成する工程を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または請求項2記載の半導体装置と、
前記半導体装置を構成する前記半導体基板の前記第1の主面に設けられ、前記第1の配線層と電気的に接続された受光部と、
前記半導体基板の前記第1の主面を覆うように、前記受光部上に所定の間隙を介して配置された光透過性保護部材と、
前記光透過性保護部材上に設けられたレンズモジュールと
を具備することを特徴とするカメラモジュール。
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JP2012059881A (ja) * | 2010-09-08 | 2012-03-22 | Toshiba Corp | 撮像素子、撮像モジュール及び撮像素子の製造方法 |
US8580652B2 (en) | 2009-09-24 | 2013-11-12 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Semiconductor device and manufacturing method thereof |
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2007
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