JP2009073393A - 車両用電動ダンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタビライザを不要としながら、車体のローリングを抑制するための「ばね」の機能に、ローリング方向の減衰機能を付加した、新たなサスペンション構造を提供する。
【解決手段】車両用電動ダンパ装置30L,30Rは、車体11に対する左の車輪25Lの相対的な上下運動によって回される左の電動モータ35Lと、車体に対する右の車輪25Rの相対的な上下運動によって回される右の電動モータ35Rと、車体に対して左の車輪が上下方向に変位するときの、左の変位量を検出する左の変位量検出部80Lと、車体に対して右の車輪が上下方向に変位するときの、右の変位量を検出する右の変位量検出部80Rと、左右の変位量の差に基づいて、左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御する制御部とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用サスペンション装置に備える車両用電動ダンパ装置に関する。
車体の前部は左右一対のサスペンション装置によって懸架されるとともに、車体の後部も左右一対のサスペンション装置によって懸架されている。左右のサスペンション装置同士は、車幅方向に延びたスタビライザによって互いに連結されている。スタビライザは、車体のローリングを抑制するために左右のサスペンション間を連結する部材であって、トーションバーからなる。
ところで、近年、サスペンション装置において、一般的に用いられていた油圧ダンパ装置(油圧緩衝器)を、電動ダンパ装置に置換する技術の開発が進められている。電動ダンパ装置は、車体に対する車輪の相対的な上下運動を回転運動に変換して電動モータを回転させることにより上下運動を減衰させ、また、車輪の上下運動を減衰させるための減衰力を電動モータが発生するものである。このような電動ダンパ装置としては、各種のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−256921公報
特許文献1で知られている電動ダンパ装置は、上下方向の直線運動をラックアンドピニオン機構によって回転運動に変換して、電動モータを回転させるというものである。この特許文献1で知られている電動ダンパ装置は、車体のローリングを抑制する機能を有していない。当然のことながら、電動ダンパ装置を備えた左右一対のサスペンション装置も、スタビライザによって互いに連結されることになる。
車両には、車幅方向に延びたスタビライザを配置するための、比較的広い配置スペースが必要である。
しかも、車両にスタビライザを配置する場合に、車室に対してスタビライザを迂回させるとともに、排気管、ドライブシャフト、燃料タンクなどの他の搭載部品に対してスタビライザが干渉しないことが求められる。このため、スタビライザは屈曲した複雑な形状にならざるを得ない。この結果、スタビライザを設計するための設計工数が増大するとともに、スタビライザの性能を確認するための確認テストの工数が増大してしまう。
また、スタビライザを設けることは、車両の軽量化を図るとともに、車室のスペースの増大を図る上で、不利である。
また、スタビライザは、車体のローリングを抑制するための「ばね」の機能しか有していない。左右の車輪に働いた横揺れ方向の振動については、左右一対のサスペンション装置における各ダンパ装置によって減衰させる。つまり、各ダンパ装置は、横揺れ方向の振動を減衰させるために、上下方向の減衰性能を大きく設定することになる。これでは、横揺れ方向の振動が少ない場合における、車体の上下方向の振動の減衰効果が大き過ぎる。従って、車両の乗り心地性能を高める上で不利である。
本発明は、スタビライザを不要としながら、車体のローリングを抑制するための「ばね」の機能に、ローリング方向の減衰機能を付加した、新たなサスペンション構造を提供することを課題とする。さらに本発明は、乗り心地性能を高めることができる、新たなサスペンション構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体に対する左の車輪の相対的な上下運動によって回される左の電動モータと、車体に対する右の車輪の相対的な上下運動によって回される右の電動モータと、前記車体に対して前記左の車輪が上下方向に変位するときの、左の変位量を検出する左の変位量検出部と、前記車体に対して前記右の車輪が上下方向に変位するときの、右の変位量を検出する右の変位量検出部と、前記左右の変位量の差に基づいて、前記左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御する制御部とからなる車両用電動ダンパ装置である。
請求項2に係る発明では、請求項1において、前記制御部は、前記左右の変位量の差から、変位差の速度を求め、この差の速度に基づく制御特性により、前記左右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、請求項1又は請求項2において、車速を検出する車速検出部を、更に備え、前記制御部は、前記検出された車速に基づく制御特性により、前記左右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、請求項1、請求項2又は請求項3において、前記車体に対して前記左の車輪が上下方向に変位するときの、左の変位速度を検出する左の変位速度検出部と、前記車体に対して前記右の車輪が上下方向に変位するときの、右の変位速度を検出する右の変位速度検出部と、を更に備え、前記制御部は、前記左の変位速度に基づく制御特性により前記左の電動モータを駆動制御し、前記右の変位速度に基づく制御特性により前記右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、請求項4において、前記制御部は、前記左の変位量と前記左の変位速度の少なくとも一方の値に基づいて、前記左の車輪の変位方向が上下どちらであるかを判断し、前記左の変位方向が上方向の場合と下方向の場合とでは異なる制御特性により前記左の電動モータを駆動制御し、前記右の変位量と前記右の変位速度の少なくとも一方の値に基づいて、前記右の車輪の変位方向が上下どちらであるかを判断し、前記右の変位方向が上方向の場合と下方向の場合とでは異なる制御特性により前記右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、車体に対して左の車輪が上下方向に変位する左の変位量と、車体に対して右の車輪が上下方向に変位する右の変位量との、差に基づいて、左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御することができる。
例えば、左の変位量が右の変位量よりも大きい場合に、車体は右にローリングしている。この場合には、左の電動モータを正転制御するとともに、右の電動モータを逆転制御することによって、車体に作用するローリングの力(遠心力など)を打ち消す。
一方、左の変位量が右の変位量よりも小さい場合に、車体は左にローリングしている。この場合には、左の電動モータを逆転制御するとともに、右の電動モータを正転制御することによって、車体に作用するローリングの力を打ち消す。
このように制御することによって、車体にローリングの力が作用したときに、車体のローリングを抑制することができる。つまり、車両用電動ダンパ装置はスタビライザの機能を兼ね備えている。
従って、請求項1に係る発明によれば、捩ればね等から成るスタビライザが不要である。スタビライザを廃止することによって、車両の軽量化を図るとともに、車室のスペースの増大を図ることができ、しかも、車両のコストダウンを図ることができる。このため、スタビライザを不要としながら、車体のローリングを抑制するための「ばね」の機能に、ローリング方向の減衰機能を付加した、新たなサスペンション構造を提供することができる。
さらには、スタビライザを廃止したので車両が軽量になる。このため、車両用サスペンション装置に備えているコイルスプリングにおける上下動のばね定数を低く設定することができる。この結果、車両の乗り心地性能を高めることができる。
請求項2に係る発明では、左右の変位量の差から、変位差の速度を求め、この差の速度に基づく制御特性により、左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御するので、車体にローリングが発生したときに、ローリングを速く収束させることができる。このため、車両の走行安定性をより高めることができる。
さらには、変位差の速度に基づき左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御するので、車両用電動ダンパ装置による上下動の減衰力(damping force)を低減することができる。この結果、車両の乗り心地性能を一層高めることができる。
請求項3に係る発明では、車速に基づく制御特性により左右の電動モータを駆動制御するので、車体にローリングが発生したときの、車両用電動ダンパ装置のばね定数を、車速に応じて変えることができる。
例えば、中低速走行時におけるばね定数を小さく設定するとともに、高速走行時におけるばね定数を大きく設定するように制御することができる。この結果、通常の中低速走行時には車両の乗り心地をより良好にすることができ、また、高速走行時には車両の操縦性をより良好にすることができる。
請求項4に係る発明では、左の車輪が上下方向に変位するときの変位速度に基づく制御特性により左の電動モータを駆動制御し、また、右の車輪が上下方向に変位するときの変位速度に基づく制御特性により右の電動モータを駆動制御することができる。このため、車両用電動ダンパ装置は、車輪の上下運動を減衰させるという、ダンパ制御を行うことができる。つまり、車両用電動ダンパ装置だけによって、ダンパ制御とローリング制御の両方を行うことができる。従って、車両の軽量化を図るとともに、車両のコストダウンを図ることができる。
請求項5に係る発明では、左右の車輪のそれぞれの変位方向(つまり、車両用電動ダンパ装置の伸縮方向)が上方向の場合と下方向の場合とで、異なる制御特性により各電動モータを駆動制御する。このため、各電動モータによる車両用電動ダンパ装置の減衰力を、変位方向に応じて適切に変えることができる。つまり、車輪の上下運動に対応してきめ細かく電動モータを対応させることができ、ダンパ制御とローリング制御の両方を、より最適に減衰させることができる。この結果、車両の乗り心地を一層高めることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両用サスペンション装置を備えた車両を背面から見て、模式的に示している。車両10は、車体11に左右一対の車両用サスペンション装置20L,20Rを備えている。車体11は左右の上部にダンパハウジング11a,11aを有している。つまり、ダンパハウジング11a,11aは車体11の一部である。左右の車両用サスペンション装置20L,20Rは、車両10(自動車)のフロントサスペンション又はリヤサスペンションとして採用され、車体11に左右の車輪25L,25Rを懸架する。
左の車両用サスペンション装置20Lは、例えば、上側のアッパアーム21及び下側のロアアーム22と、車輪支持部材23と、車両用電動ダンパ装置30Lとから成る、ダブルウィッシュボーン式サスペンションである。
アッパアーム21及びロアアーム22は、車体11の側部に上下スイング可能に連結されている。車輪支持部材23は、車輪25Lを回転可能に支持するためのナックルから成り、アッパアーム21の先端部及びロアアーム22の先端部に上下スイング可能に連結されている。左の車両用電動ダンパ装置30L(以下、単に「電動ダンパ装置30L」と言う。)は、ダンパハウジング11aと車輪支持部材23の下部との間に掛け渡されて、車輪25Lに作用する上下方向の振動を減衰させるものである。
右の車両用サスペンション装置20Rは、左の車両用サスペンション装置20Lと左右対称である他には同じ構成なので、同一符号を付して説明を省略する。なお、右の車両用電動ダンパ装置については符号30Rを付す。また、左の電動モータについては35Lを付し、右の電動モータについては35Rを付する。
図2は、図1に示された左の車両用電動ダンパ装置30Lの断面構造を示している。図3は、図2の3−3線断面を示している。図2及び図3に示すように、電動ダンパ装置30Lは、シリンダ31とロッド32とラックアンドピニオン機構33とロッドガイド34と電動モータ35Lとコイルスプリング36とダストブーツ37とから成る。
シリンダ31は、上下に細長い部材であって、第1シリンダ41と第2シリンダ42とからなる。第1及び第2シリンダ41,42は、互いに同軸に配置された円筒である。第1シリンダ41は、一端に底板41aを有するとともに、他端が開放されている。底板41aは、皿状のインシュレータ43と取付ボルト44を有している。取付ボルト44は、シリンダ側の取付部となる。以下、取付ボルト44のことを「シリンダ側の取付部44」と言う。第2シリンダ42は、両端が開放されている。第2シリンダ42の一端は、第1シリンダ41の開放端に固定されている。第2シリンダ42の他端は、内部にロッド32をスライド可能に支持する軸受45(滑り軸受)を有している。
ロッド32は、シリンダ31と同軸に配置された細長い丸棒から成り、シリンダ31にスライド可能に収納されるとともに、一端部32aがシリンダ31から(第2シリンダ42の他端から)突出している。突出した一端部32aは、先端に環状の連結部47を有している。以下、連結部47のことを「ロッド側の取付部47」と言う。
図1及び図2に示すように、シリンダ側の取付部44はダンパハウジング11aに取り付けられている。ロッド側の取付部47は車輪支持部材23の下部にスイング可能に取り付けられている。なお、ロッド側の取付部47は、ロアアーム22にスイング可能に取り付けられてもよい。このようにして、シリンダ31は車体11に取り付けられ、ロッド32の一端部32aは車輪支持部材23に取り付けられる。
ところで、第1シリンダ41は、底部にバンプストッパ48を有している。バンプストッパ48は、ラバー等の弾性材から成り、シリンダ31の底板41aに対してロッド32の端面が接近したときに、緩やかに干渉させるものである。
図2及び図3に示すように、ラックアンドピニオン機構33は、ラック51と、このラックに噛み合うピニオン52とから成り、第1シリンダ41の内部に配置されている。ロッド32はラック51を有している。ピニオン52を有したピニオン軸53は、ロッド32に対して直角方向へ延び、両端部が軸受54,55を介して第1シリンダ41で回転可能に支持されている。
上述のように、ロッド32は細長い丸棒(円柱状の部材)である。つまり、ロッド32は、ロッド長手方向から見た断面形状が円形の部材である。円形断面のロッド32の外周面にラック51が形成されることになる。
ところで、ラックアンドピニオン機構33は、電動モータ35Lから大出力を受けるとともに、車輪25Lが高速で上下動をした場合には高速で回転運動に変換する。この場合であっても、ラック51とピニオン52の噛み合い状態は確実に維持される必要がある。このため、ラック51とピニオン52の各歯幅は大きく設定される。つまり、ロッド32は大きい歯幅のラック51を有する。
ロッド32に大きい歯幅のラック51を有するには、ロッド32の断面形状(ロッド32を長手方向から見た断面形状)を矩形にすることが考えられる。しかし、矩形断面のロッド32では、ラック51を有していない背面の角の部分が出っ張る。これでは、ロッド32を収納する第1シリンダ41が大型にならざるを得ない。
これに対して、本発明では、円形断面のロッド32の外周面にラック51を有するので、ロッド32を収納する第1シリンダ41を小型にすることができる。
ロッドガイド34は、細長い円柱状のロッド32の背面をピニオン52に押し付けることにより、ピニオン52に対してラック51に予圧(プリロード)を付加するものである。このロッドガイド34は、当て部材61とガイド部62と圧縮コイルばね63と調整ボルト64とロックナット65とから成り、第1シリンダ41に設けられている。
ガイド部62は、ラック51の反対側からロッド32を支えるとともに、ロッド32を軸方向にスライド可能に案内する。当て部材61は、ロッド32とガイド部62との間に介在し、ロッド32の外周面に直接に接触して、スライド抵抗を低減する。この当て部材61は、耐摩耗性を有するとともに摩擦抵抗が小さい材料から成る。調整ボルト64は、ガイド部62をロッド32側へ押しつける力を調整するものであり、圧縮コイルばね63(調整ばね63)を介してガイド部62をロッド32側へ押す。ガイド部62と調整ボルト64との間には、調整ボルト64の調整方向に若干の隙間を有する。ロックナット65は、調整ボルト64の位置決めをする。
ロックガイド34によれば、第1シリンダ41にねじ込まれた調整ボルト64で、圧縮コイルばね63を介してガイド部62を適切な押圧力で押すことにより、ガイド部62でラック51に予圧(プリロード)を与えて、ラック51をピニオン52に押し付けることができる。つまり、ピニオン52に対してラック51を噛み合い方向に押すことにより、ピニオン52とラック51との噛み合いの遊び(バックラッシ)を零又は最小限に設定することができる。これにより、ロッド32の微振動のような上下動であっても、確実にピニオン52の回転に変換することができ、電動モータ35Lに減衰力を発生させることができる。
さらに、ロックガイド34は、ロッド32がピニオン軸53の長手方向へ移動することを規制しつつ、ロッド32をスライド可能に支持することができる。
電動モータ35Lは、例えばブラシ付き直流モータから成り、第1シリンダ41の外周部に取り付けられている。電動モータ35Lの出力軸35a(モータ軸35a)は、ピニオン軸53と同軸に配置されるとともに、ピニオン軸53の一端部に連結されている。連結の構成としては、例えば図3に示すようにセレーションによる連結、または、図示せぬカップリングによる連結がある。このようにして、モータ軸35aはピニオン52に連結される。なお、モータ軸35aをピニオン52に連結する構成には、「モータ軸35aにピニオン52を形成する構成」を含む。
図2に示すように、コイルスプリング36は、車輪25L(図1参照)に作用した車体重量を支えつつ、上下方向の振動や衝撃力を吸収するための弾発部材である。このコイルスプリング36は、電動モータ35Lに対してロッド32の長手方向に離れた位置で、ロッド32に対して同軸に配置されている。このコイルスプリング36の両端部36a,36bは、シリンダ31とロッド32とに個別に取り付けられている。
より詳しく述べると、第2シリンダ42は、長手方向の略中間部分に固定された第1ばね受け座71を有する。ロッド32は、ロッド側の取付部47の近傍に固定された第2ばね受け座72を有する。
コイルスプリング36は、第2シリンダ42と、第2シリンダ42から突出しているロッド32とを、囲むように配置されている。このコイルスプリング36は、第1ばね受け座71と第2ばね受け座72の間に介在することにより、シリンダ31とロッド32とを、軸方向へ且つ互いに離反する方向へ付勢する。
ダストブーツ37は、第2シリンダ42の開放端と、開放端から突出しているロッド32とを覆ってシールする部材であり、ロッド32の軸方向へ伸縮自在である。ダストブーツ37でシリンダ31の内部を外部からシールすることによって、異物の侵入を防止するとともに、シリンダ31内を液密に保持できる。
ところで、図1に示すように、左右の電動ダンパ装置30L,30Rは、それぞれ変位量検出部80L,80Rを有している。左の変位量検出部80Lは、車体11に対して車輪25Lが相対的に上下方向に変位する変位量StL(図示せず)を検出するものである。変位量StLは、ストローク量StLとも言う。この左の変位量検出部80Lは、例えば、ロアアーム22が上下にスイングするスイング角を検出することによって、左の車輪25Lの変位量StLを間接的に検出する。
なお、右の変位量検出部80Rは、左の変位量検出部80Lと同じ構成なので、同一符号を付して説明を省略する。
以下、左の変位量検出部80Lについて、詳細に説明する。図4は、図1に示された左の変位量検出部80Lを模式的に示している。図1及び図4に示すように、変位量検出部80Lは、ハウジング81とスイングロッド82とジョイント部83と伝達機構84とポテンショメータ85とから成る。
ハウジング81は、車体11に取り付けられている。スイングロッド82は、ハウジング81に上下スイング可能に取り付けられている。ジョイント部83は、スイングロッド82の先端にねじ込まれるとともに、ロアアーム22に上下にスイング可能に取り付けられている。伝達機構84は、スイングロッド82のスイング運動をポテンショメータ85に伝達するものであり、ハウジング81に内蔵されている。
ポテンショメータ85は、スイングロッド82のスイング角を検出するものであり、ハウジング81に内蔵されている。このポテンショメータ85は、抵抗素子85aと摺動素子85bとから成る。抵抗素子85aの一端は、固定抵抗86を介して定電圧電源87に接続されている。定電圧電源87の端子電圧は一定である。抵抗素子85aの他端は、固定抵抗88を介してアースに接続されている。摺動素子85bは、スイングロッド82のスイング運動に応じて抵抗素子85a上を摺動可能である。摺動素子85bによって得られた電圧信号(変位量検出部80Lの検出信号)は、出力端子85cから出力される。このようにして、変位量検出部80Lは、図1に示す車輪25Lの変位量StLを車輪支持部材23及びロアアーム22を介して検出することができる。
次に、左右の電動ダンパ装置30L,30Rの制御回路について、図1を参照しながら図5に基づき説明する。図5は、図1に示された左右の電動ダンパ装置30L,30Rの制御回路を示している。図5に示すように、制御回路は、バッテリ101(直流電源101)とメインスイッチ102とメインリレー103と車速検出部104と左右2つの変位量検出部80L,80Rと制御部105と左右2つのモータ駆動部106L,106Rとから成る。
メインスイッチ102は、例えばイグニションスイッチから成る。メインリレー103は、例えば、バッテリ101に接続された常開接点103aと、常開接点103aを閉動作させる励磁コイル103bとから成る。車速検出部104は、車両10の走行速度Vs(車速Vs)を検出するセンサである。左右2つの変位量検出部80L,80Rは、各電動ダンパ装置30L,30Rに個別に有している変位量検出部のことである。左右2つのモータ駆動部106L,106Rは、各電動ダンパ装置30L,30Rに個別に有している電動モータ35L,35Rを、制御部105の制御信号に基づいてそれぞれ駆動するものである。
制御部105を、より詳しく説明する。制御部105は、車速検出部104と左右の変位量検出部80L,80Rと左右の電流検出部124L,124R(詳細は後述する。)とから各検出信号を受けて、左右2つのモータ駆動部106L,106Rを制御することにより、左右の電動モータ35L,35Rを駆動制御するものである。この制御部105は、ワンパルス発生回路111と入力インタフェース回路112と制御回路113と出力インタフェース回路114とウォッチドッグタイマ回路115とリレー駆動回路116とから成る。
ワンパルス発生回路111は、メインスイッチ102がオン操作された時点に1パルスの信号を制御回路113に発するものであり、例えば微分回路から成る。制御回路113は、例えばマイクロコンピュータから成り、入力インタフェース回路112を介して入力信号を受けるとともに、制御信号を出力インタフェース回路114を介して発する。ウォッチドッグタイマ回路115は、制御回路113から受ける一定周期の信号を監視し、信号が途絶えたときや信号の周期が乱れたときに異常信号を発して、制御回路113を停止させる。リレー駆動回路116は、制御回路113の制御信号を受けてメインリレー103をオンにし、そして、異常を検出したときには、メインリレー103をオフにする。
左のモータ駆動部106Lは、ゲート駆動回路121とブリッジ回路122と昇圧回路123と左の電流検出部124Lとから成る。
ゲート駆動回路121は、制御回路113から出力インタフェース回路114を介して受けた制御信号に基づいてブリッジ回路122を駆動制御する。ブリッジ回路122は、左の電動モータ35Lに駆動電流を供給して駆動する。
昇圧回路123は、バッテリ101から供給される電力の電圧を昇圧することにより、バッテリ101の電圧よりも約2倍の高電圧を発生させて、ゲート駆動回路121へ供給する。この結果、ゲート駆動回路121は、高電圧の駆動信号をブリッジ回路122に発することにより、ブリッジ回路122をより迅速に且つ確実に駆動することができる。従って、左の電動モータ35Lによるダンパ制御の応答性が高まる。昇圧回路123は、例えば、トランジスタと抵抗とコンデンサの組み合わせから成る。
左の電流検出部124Lは、ブリッジ回路122から左の電動モータ35Lへ供給される実際の駆動電流iaL(実電流iaL)を検出して制御部105へ発するものであり、例えば、ホール素子や抵抗から成る。
右のモータ駆動部106Rは、左のモータ駆動部106Lと実質的に同じ構成であり、ゲート駆動回路121とブリッジ回路122と昇圧回路123と右の電流検出部124Rとから成る。右の電流検出部124Rは、ブリッジ回路122から右の電動モータ35Rへ供給される実際の駆動電流iaR(実電流iaR)を検出して制御部105へ発する。
図6は、図5に示された左のモータ駆動部106Lにおけるブリッジ回路122の具体的な回路を示す。ブリッジ回路122は、Nチャンネルエンハンスメント型の電界効果型トランジスタ(FET)から成る4個のスイッチング素子131〜134をH字状に結線した、いわゆるHブリッジ回路である。左の電動モータ35Lとしてブラシ付き直流モータを採用したので、このような構成のブリッジ回路122にした。つまり、2個の電界効果型トランジスタ131,132を組み合わせて1組のアームを構成し、他の2個の電界効果型トランジスタ133,134を組み合わせて他の1組のアームを構成し、これら2組のアームによってブリッジ回路122を構成した。
なお、モータ駆動部106Lは、少なくとも2個の電界効果型トランジスタによって1組のアームを構成し、少なくとも2組のアームによってブリッジ回路122を構成すればよい。例えば、左の電動モータ35Lとして3相ブラシレスモータを採用した場合には、ブリッジ回路122は3組のアームを用いる必要がある。
4個のスイッチング素子131〜134は、それぞれゲートにゲート駆動回路121の駆動信号を受けて、スイッチ動作(オン、オフ動作)をする。以下、4個のスイッチング素子(FET)131〜134のことを、第1FET131、第2FET132、第3FET133、第4FET134と言う。
詳しく説明すると、左のモータ駆動部106L(図5参照)のブリッジ回路122は、左上段の第1FET131と左下段の第2FET132と右上段の第3FET133と右下段の第4FET134とから成る。
左上段の第1FET131のドレインと、右上段の第3FET133のドレインとは、互いに接続されるとともに、バッテリ101(図5参照)の正極に接続されている。
左下段の第2FET132のソースと、右下段の第4FET134のソースとは、互いに接続され、バッテリ101の負極に接続されるとともに、アースされている。
左上段の第1FET131のソースと、左下段の第2FET132のドレインとは、互いに接続されるとともに、左の電動モータ35Lの一方の端子に接続されている。
右上段の第3FET133のソースと、右下段の第4FET134のドレインとは、互いに接続されるとともに、左の電流検出部124Lを介して左の電動モータ35Lの他方の端子に接続されている。
ところで、一般に、電界効果型トランジスタには、このトランジスタを生産するときに、回生用と同等のダイオードが生成されている。上述した4個の電界効果型トランジスタ131〜134も同様である。このため、上述のブリッジ回路122には、「バイポーラトランジスタを採用した従来のブリッジ回路」のように、外付けの回生用ダイオードを組込む必要がない。
なお、ブリッジ回路122の理解を容易にするために、図6には、4個の電界効果型トランジスタ131〜134にそれぞれ備えている回生用ダイオード135〜138を示した。つまり、第1FET131に第1回生用ダイオード135、第2FET132に第2回生用ダイオード136、第3FET133に第3回生用ダイオード137、第4FET134に第4回生用ダイオード138が、それぞれ接続されている。
図5に示す右のモータ駆動部106Rのブリッジ回路122は、左のモータ駆動部106Lのブリッジ回路122と同様の構成であり、左の電動モータ35Lの代わりに右の電動モータ35Rが接続される。
次に、制御回路113(図5参照)をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図1、図5及び図6を参照しつつ、図7〜図9に基づき説明する。図7〜図9は、図5に示された制御回路113によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの一例を示す制御フローチャートである。
図5に示すように、メインスイッチ102をオンにすると、バッテリ101から制御部105へ電力が供給される。制御部105はメインリレー103の常開接点103aをオン駆動する。バッテリ101から左右のモータ駆動部106L,106Rへ電力が供給される。制御回路113は、メインスイッチ102がオンのときに制御を開始し、メインスイッチ102がオフになると制御を終了する。ワンパルス発生回路111は、メインスイッチ102がオンになった時点に1パルスのリセット信号を制御回路113に発する。
制御回路113は、先ず、ワンパルス発生回路111からのリセット信号を受けてシステムをリセットした上で、制御を開始する(ステップST01)。
次に、左右の変位量検出部80L,80Rが検出した変位量StL,StRと、車速検出部104が検出した車速Vsと、左右の電流検出部124L,124Rが検出した実電流iaL,iaRを読み込む(ステップST02)。
次に、読み込んだ変位量StL,StRと車速Vsと実電流iaL,iaRが、全て正常な値であるか否かを判断する(ステップST03)。つまり、各検出部の故障診断を実施する。例えば、次の3つの条件が全て満たされたときには正常であると判断し、そうでないときには非正常であると判断する。第1の条件は、変位量StL,StRの値が所定の正常範囲に入っていることである。第2の条件は、車速Vsの値が所定の正常範囲に入っていることである。第3の条件は、実電流iaL,iaRの値が制御回路113からの制御信号に基づく所定の正常範囲に入っていることである。
ステップST03において、非正常であると判断した場合には、リレー駆動回路116を介してメインリレー103をオフにする(ステップST04)。つまり、メインリレー103は、励磁コイル103bの駆動を停止させて常開接点103aを開に復帰させる。この結果、バッテリ101から制御部105と左右のモータ駆動部106L,106Rへの電力の供給が遮断されて、モータ駆動制御が終了する。
ステップST03において、正常であると判断した場合には、左の変位量StLから右の変位量StRを減算して両者の差ΔStを算出する(ステップST05)。つまり、ΔSt=StL−StRである。
なお、車体11に対して左の車輪25Lが相対的に下方向へ変位した場合には、左の変位量StLは増大する。一方、車体11に対して右の車輪25Rが相対的に下方向へ変位した場合には、右の変位量StRは増大する。
次に、差ΔStの値の符号が何であるか判断する(ステップST06)。つまり、ΔStの値が0よりも大きい場合には(ΔSt>0)、左の変位量StLが右の変位量StRよりも大きい(右にローリングしている)ので、正の値であると判断する。
ΔStの値が0よりも小さい場合には(ΔSt<0)、左の変位量StLが右の変位量StRよりも小さい(左にローリングしている)ので、負の値であると判断する。
ΔStの値が0の場合には(ΔSt=0)、左の変位量StLに対して右の変位量StRが同じ、つまり変化がない(ローリングしていない)ので、符号なしと判断してステップST11に進む。
以下、差ΔStのことを適宜「左右の変位量の差ΔSt」と言い換える。
上記ステップST06において、Sv>0(正の値)であると判断した場合には、第1ロール制御電流マップ(図10参照)に基づいて、左右の変位量の差ΔStに応じた第1ロール制御電流Fr1を求める(ステップST07)。
図10は、横軸を左右の変位量の差ΔStとし、縦軸を第1ロール制御電流Fr1として、差ΔStに応じた第1ロール制御電流Fr1を求める第1ロール制御電流マップの説明図である。この第1ロール制御電流マップは、ΔSt=0のときにFr1=0であり、ΔStが増大するにつれてFr1も増大する特性を有した特性の直線によって示される。
次に、上記ステップST07において得られた第1ロール制御電流Fr1に基づき、左右の第1基準ロール制御電流irL1,irR1を求める(ステップST08)。具体的には、Fr1に+1を乗算することによって左の第1基準ロール制御電流irL1を求める。Fr1に−1を乗算することによって右の第1基準ロール制御電流irR1を求める。
ステップST08で求められた左の第1基準ロール制御電流irL1はモータ正転電流であり、右の第1基準ロール制御電流irR1はモータ逆転電流である。
一方、上記ステップST06において、Sv<0(負の値)であると判断した場合には、第1ロール制御電流マップ(図10参照)に基づいて、左右の変位量の差ΔStの絶対値に応じた第1ロール制御電流Fr1を求める(ステップST09)。
次に、ステップST09において得られた第1ロール制御電流Fr1に基づき、左右の第1基準ロール制御電流irL1,irR1を求める(ステップST10)。具体的には、Fr1に−1を乗算することによって左の第1基準ロール制御電流irL1を求める。Fr1に+1を乗算することによって右の第1基準ロール制御電流irR1を求める。
ステップST10で求められた左の第1基準ロール制御電流irL1はモータ逆転電流であり、右の第1基準ロール制御電流irR1はモータ正転電流である。
なお、上記ステップST06において、ΔSt=0であると判断した場合には、左右の第1基準ロール制御電流irL1=0,irR1=0である。何故なら、図10から明らかなように、ΔSt=0のときにFr1=0となるからである。この結果、左右の第1基準ロール制御電流irL1=0,irR1=0である。
次に、第1車速補正マップ(図11参照)に基づいて、車速Vsに応じた第1車速補正係数Kv1を求める(ステップST11)。
図11は、横軸を車速Vsとし、縦軸を第1車速補正係数Kv1として、車速Vsに応じた第1車速補正係数Kv1を求める第1車速補正マップの説明図である。この第1車速補正マップは、例えば、次の特性を有した特性曲線によって示される。車速Vsが0において、第1車速補正係数Kv1は0.5である。車速Vsが0から所定のVnまで増大する範囲において、第1車速補正係数Kv1は0.5から1.0まで比例して増大する。車速VsがVnを超えて増大する範囲において、第1車速補正係数Kv1は1.0の一定値である。
次に、左右の第1基準ロール制御電流irL1,irR1の値を第1車速補正係数Kv1によって補正する(ステップST12)。具体的には、ステップST08,ST10で得られた左右の第1基準ロール制御電流irL1,irR1に第1車速補正係数Kv1を乗算して、補正された第1基準ロール制御電流irL1,irR1を求める(irL1=irL1・Kv1、irR1=irR1・Kv1)。
次に、左右の変位量StL,StRの値から車輪25L,25Rの上下方向の変位速度SvL,SvRを算出する(ステップST13)。例えば、左の変位量StLの値を時間で微分することによって左の変位速度SvLを求める。右の変位量StRの値を時間で微分することによって右の変位速度SvRを求める。左右の変位速度SvL,SvRは、ストローク速度とも言う。
次に、左の変位速度SvLの値に基づいて、車体11に対する左の車輪25Lの変位方向が上下どちらであるかを判断する(ステップST14)。車体11に対して左の車輪25Lが相対的に上方向へ変位した場合には、左の電動ダンパ装置30Lが縮む(電動ダンパ装置30Lの全長Ldが減少する)。車体11に対して左の車輪25Lが相対的に下方向へ変位した場合には、左の電動ダンパ装置30Lが伸びる(電動ダンパ装置30Lの全長Ldが増大する)。
左の変位速度SvLの値が正の場合には(SvL>0)、左の車輪25Lが下方向へ変位したと判断して、ステップST15に進む。
左の変位速度SvLの値が負の場合には(SvL<0)、左の車輪25Lが上方向へ変位したと判断して、ステップST16に進む。
左の変位速度SvLの値が0の場合には(SvL=0)、左の車輪25Lが上下に変位していないと判断して、ステップST18に進む。なお、SvL=0の場合には、左の基準ダンパ制御電流idL=0である。
上記ステップST14において、SvL>0(正の値)であると判断した場合には、ダンパ伸び側の基準ダンパ制御電流マップ(図12参照)に基づいて、左の変位速度SvLに応じた左の基準ダンパ制御電流idLを求める(ステップST15)。ステップST15で求められた左の基準ダンパ制御電流idLはモータ正転電流である。
図12は、横軸を左右の変位速度SvL,SvRとし、縦軸を左右の基準ダンパ制御電流idL,idRとして、変位速度SvL,SvRに応じた基準ダンパ制御電流idL,idRを求める、ダンパ伸び側の基準ダンパ制御電流マップの説明図である。
このダンパ伸び側の基準ダンパ制御電流マップは、電動ダンパ装置30L,30Rが伸びる場合(変位方向が下方向の場合)のマップであって、例えば、SvL,SvR=0のときに基準ダンパ制御電流idL,idR=0であり、SvL,SvRが増大するにつれてidL,idRも増大する特性を有した特性曲線によって示される。この特性曲線によれば、SvL,SvRの値に応じてidL,idRが3段階に変化する特性を有していることが判る。つまり、SvL,SvRが0から所定のSv1まで増大する範囲におけるidL,idRの増大特性と、SvL,SvRがSv1を超えて所定のSv2まで増大する範囲におけるidL,idRの増大特性と、SvL,SvRがSv2を超えて増大する範囲におけるidL,idRの増大特性とが異なる。
上記ステップST14において、SvL<0(負の値)であると判断した場合には、ダンパ縮み側の基準ダンパ制御電流マップ(図13参照)に基づいて、左の変位速度SvLに応じた左の基準ダンパ制御電流idLを求める(ステップST16)。
次に、上記ステップST16において得られた左の基準ダンパ制御電流idLに−1を乗算することによってidLの符号を反転する(ステップST17)。つまり、「idL=−1・idL」である。ステップST17で求められた左の基準ダンパ制御電流idLはモータ逆転電流である。
図13は、横軸を左右の変位速度SvL,SvRとし、縦軸を左右の基準ダンパ制御電流idL,idRとして、変位速度SvL,SvRに応じた基準ダンパ制御電流idL,idRを求める、ダンパ縮み側の基準ダンパ制御電流マップの説明図である。
このダンパ縮み側の基準ダンパ制御電流マップは、電動ダンパ装置30L,30Rが縮む場合(変位方向が上方向の場合)のマップであって、例えば、SvL,SvR=0のときに基準ダンパ制御電流idL,idR=0であり、SvL,SvRが増大するにつれてidL,idRも増大する特性を有した特性曲線によって示される。この特性曲線によれば、SvL,SvRの値に応じてidL,idRが2段階に変化する特性を有していることが判る。つまり、SvL,SvRが0から所定のSv3まで増大する範囲におけるidL,idRの増大特性と、SvL,SvRがSv3を超えて増大する範囲におけるidL,idRの増大特性とが異なる。
以上の説明から明らかなように、図13に示すダンパ縮み時の基準ダンパ制御電流マップは、上記図12に示すダンパ伸び時の基準ダンパ制御電流マップと特性が異なる。
次に、第2車速補正マップ(図14参照)に基づいて、車速Vsに応じた第2車速補正係数Kv2を求める(ステップST18)。
図14は、横軸を車速Vsとし、縦軸を第2車速補正係数Kv2として、車速Vsに応じた第2車速補正係数Kv2を求める第2車速補正マップの説明図である。この第2車速補正マップは、例えば、次の特性を有した特性曲線によって示される。車速Vsが0において、第2車速補正係数Kv2は0.3である。車速Vsが0から所定のVnまで増大する範囲において、第2車速補正係数Kv2は0.3から1.0まで比例して増大する。車速VsがVnを超えて増大する範囲において、第2車速補正係数Kv2は1.0の一定値である。
次に、左の基準ダンパ制御電流idLの値を第2車速補正係数Kv2によって補正する(ステップST19)。具体的には、ステップST15,ST17で得られた左の基準ダンパ制御電流idLに第2車速補正係数Kv2を乗算して、補正された左の基準ダンパ制御電流idLを求める(idL=idL・Kv2)。
次に、右の変位速度SvRの値に基づいて、車体11に対する右の車輪25Rの変位方向が上下どちらであるかを判断する(ステップST20)。車体11に対して右の車輪25Rが相対的に上方向へ変位した場合には、右の電動ダンパ装置30Rが縮む。車体11に対して右の車輪25Rが相対的に下方向へ変位した場合には、右の電動ダンパ装置30Rが伸びる。
右の変位速度SvRの値が正の場合には(SvR>0)、右の車輪25Rが下方向へ変位したと判断して、ステップST21に進む。
右の変位速度SvRの値が負の場合には(SvR<0)、右の車輪25Rが上方向へ変位したと判断して、ステップST22に進む。
右の変位速度SvRの値が0の場合には(SvR=0)、右の車輪25Rが上下に変位していないと判断して、ステップST24に進む。なお、SvR=0の場合には、右の基準ダンパ制御電流idR=0である。
ステップST20において、SvR>0(正の値)であると判断した場合には、ダンパ伸び側の基準ダンパ制御電流マップ(図12参照)に基づいて、右の変位速度SvRに応じた右の基準ダンパ制御電流idRを求める(ステップST21)。ステップST21で求められた右の基準ダンパ制御電流idRはモータ正転電流である。
ステップST20において、SvR<0(負の値)であると判断した場合には、ダンパ縮み側の基準ダンパ制御電流マップ(図13参照)に基づいて、右の変位速度SvRに応じた右の基準ダンパ制御電流idRを求める(ステップST22)。
次に、上記ステップST22において得られた右の基準ダンパ制御電流idRに−1を乗算することによってidRの符号を反転する(ステップST23)。つまり、「idR=−1・idR」である。ステップST23で求められた右の基準ダンパ制御電流idRはモータ逆転電流である。
次に、右の基準ダンパ制御電流idRの値を、ステップST18で得られた第2車速補正係数Kv2によって補正する(ステップST24)。具体的には、ステップST21,ST23で得られた右の基準ダンパ制御電流idRに第2車速補正係数Kv2を乗算して、補正された右の基準ダンパ制御電流idRを求める(idR=idR・Kv2)。
なお、上記ステップST14において、SvL=0であると判断した場合には、基準ダンパ制御電流idL=0である。上記ステップST20において、SvR=0であると判断した場合には、基準ダンパ制御電流idR=0である。何故なら、図12及び図13から明らかなように、SvL=0のときにidL=0、SvR=0のときにidR=0となるからである。
次に、左の電動モータ35Lに供給する左の目標駆動電流imLと、右の電動モータ35Rに供給する右の目標駆動電流imRを設定する(ステップST25)。具体的には、左の第1基準ロール制御電流irL1に左の基準ダンパ制御電流idLを加算することによって、左の目標駆動電流imLを設定する(imL=irL1+idL)。また、右の第1基準ロール制御電流irR1に右の基準ダンパ制御電流idRを加算することによって、右の目標駆動電流imRを設定する(imR=irR1+idR)。
次に、左の目標駆動電流imLの値の符号が何であるか判断する(ステップST26)。ステップST26において、imLの値が0よりも大きい場合には(imL>0)、正の値であると判断して、左の電動モータ35Lを正転制御する(ステップST27)。つまり、左の電動モータ35Lの実電流iaLが左の目標駆動電流imLとなるように、例えば、PI動作(比例動作及び積分動作による制御)によるフィードバック制御をして正転させる方向に電流を流す。但し、必ずしも正転するとは限らず逆転させられる場合もある。
ステップST26において、imLの値が0よりも小さい場合には(imL<0)、負の値であると判断して、左の電動モータ35Lを逆転制御する(ステップST28)。つまり、左の電動モータ35Lの実電流iaLが左の目標駆動電流imLとなるように、例えば、PI動作によるフィードバック制御をして逆転させる方向に電流を流す。但し、必ずしも逆転するとは限らず正転させられる場合もある。
ステップST26において、imLの値が0の場合には(imL=0)、正の値でも負の値でもないと判断して、左の電動モータ35Lを制御することなく、ステップST29に進む。
次に、右の目標駆動電流imRの値の符号が何であるか判断する(ステップST29)。ステップST29において、imRの値が0よりも大きい場合には(imR>0)、正の値であると判断して、右の電動モータ35Rを正転制御した(ステップST30)後に、ステップST02へ戻って一連の制御を繰り返す。つまり、右の電動モータ35Rの実電流iaRが右の目標駆動電流imRとなるように、例えば、PI動作によるフィードバック制御をして正転させる方向に電流を流す。但し、必ずしも正転するとは限らず逆転させられる場合もある。
ステップST29において、imLの値が0よりも小さい場合には(imL<0)、負の値であると判断して、右の電動モータ35Rを逆転制御した(ステップST31)後に、ステップST02へ戻って一連の制御を繰り返す。つまり、右の電動モータ35Rの実電流iaRが右の目標駆動電流imRとなるように、例えば、PI動作によるフィードバック制御をして逆転させる方向に電流を流す。但し、必ずしも逆転するとは限らず正転させられる場合もある。
ステップST29において、imRの値が0の場合には(imR=0)、正の値でも負の値でもないと判断して、右の電動モータ35Rを制御することなく、ステップST02へ戻って一連の制御を繰り返す。
以上の説明から明らかなように、図7に示されるステップST05は、左右の変位量StL,StRの差ΔStを求める「変位量差演算部」を構成している。
図7に示されるステップST06〜ST10は、左右の変位量StL,StRの差ΔStに基づく制御特性(図10に示された第1ロール制御電流マップの特性)により、車体11のローリングを抑制するためのモータ制御電流irL1,irR1(第1基準ロール制御電流irL1,irR1)を設定する「第1ローリング抑制電流設定部」を構成している。
図7に示されるステップST11及びST12は、車速Vsに基づく制御特性(図11に示された第1車速補正マップの特性)により、第1基準ロール制御電流irL1,irR1を補正する「第1車速補正部」を構成している。
図8に示されるステップST13は、左右の変位量StL,StRの値から車輪25L,25Rの上下方向の変位速度SvL,SvRを算出することによって、検出する「左右の変位速度検出部」を構成している。すなわち、左右の変位速度検出部ST13は、車輪25L,25Rが上下方向に変位する変位速度を算出する。このような左右の変位速度検出部ST13は「左右の変位速度演算部」と言うこともできる。
図8に示されるステップST14は、左の変位速度SvLの値に基づいて、左の車輪25Lの変位方向が上下どちらであるかを判断する「左の変位方向判断部」を構成している。
図8に示されるステップST15〜ST17は、左右の変位速度検出部ST13で得られた左の変位速度SvLに基づく制御特性(図12及び図13に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)により、車体11のダンピングを抑制するためのモータ制御電流idL(左ダンパ制御電流idL)を設定する「左のダンピング抑制電流設定部」を構成している。
左のダンピング抑制電流設定部ST15〜ST17は、左の車輪25Lの変位方向が、上方向の場合の制御特性(図12に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)と、下方向の場合の制御特性(図13に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)とで、互いに異なる制御特性により、左ダンパ制御電流idLを設定する。
図8に示されるステップST20は、右の変位速度SvRの値に基づいて、右の車輪25Rの変位方向が上下どちらであるかを判断する「右の変位方向判断部」を構成している。
図8に示されるステップST21〜ST23は、左右の変位速度検出部ST13で得られた右の変位速度SvRに基づく制御特性(図12及び図13に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)により、車体11のダンピングを抑制するためのモータ制御電流idR(右ダンパ制御電流idR)を設定する「右のダンピング抑制電流設定部」を構成している。
右のダンピング抑制電流設定部ST21〜ST23は、右の車輪25Rの変位方向が、上方向の場合の制御特性(図12に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)と、下方向の場合の制御特性(図13に示された基準ダンパ制御電流マップの特性)とで、互いに異なる制御特性により、右ダンパ制御電流idRを設定する。
図8に示されるステップST18、ST19及びST24は、車速Vsに基づく制御特性(図14に示された第2車速補正マップの特性)により、左右のダンパ制御電流idL,idRを補正する「第2車速補正部」を構成している。
図7に示されるステップST05〜ST10と、図9に示されるステップST25〜ST31は、左右の変位量StL,StRの差ΔStに基づいて、左右の電動モータ35L,35Rを互いに逆回転する方向に駆動制御する「ローリング抑制制御部」を構成している。
次に、図7〜図9に示された電動モータ駆動制御ルーチンの変形例について、図15及び図16に基づき説明する。図15及び図16は、図5に示された制御回路113によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの変形例を示す制御フローチャートである。
図15に示すように、変形例の制御フローチャートは、図7に示すステップST12と図8に示すステップST13の間に、新たなステップST12A〜ST12Hを追加したことを特徴とする。
ステップST12を実行した後に、左右の変位量の差ΔStの値から変位差の速度ΔSvを算出する(ステップST12A)。例えば、左右の変位量の差ΔStの値を時間で微分することによって変位差の速度ΔSvを求める。
次に、変位差の速度ΔSvの値の符号が何であるか判断する(ステップST12B)。
つまり、ΔSvの値が0よりも大きい場合には(ΔSv>0)、正の値であると判断する。
ΔSvの値が0よりも小さい場合には(ΔSv<0)、負の値であると判断する。
ΔSvの値が0の場合には(ΔSv=0)、符号なしと判断してステップST12Gに進む。
ステップST12Bにおいて、ΔSv>0(正の値)であると判断した場合には、第2ロール制御電流マップ(図17参照)に基づいて、変位差の速度ΔSvに応じた第2ロール制御電流Fr2を求める(ステップST12C)。
図17は、横軸を変位差の速度ΔSvとし、縦軸を第2ロール制御電流Fr2として、差ΔSvに応じた第2ロール制御電流Fr2を求める第2ロール制御電流マップの説明図である。この第2ロール制御電流マップは、ΔSv=0のときにFr2=0であり、ΔSvが増大するにつれてFr2も増大する特性を有した特性の直線によって示される。
次に、ステップST12Cにおいて得られた第2ロール制御電流Fr2に基づき、左右の第2基準ロール制御電流irL2,irR2を求める(ステップST12D)。具体的には、Fr2に+1を乗算することによって左の第2基準ロール制御電流irL2を求める。Fr2に−1を乗算することによって右の第2基準ロール制御電流irR2を求める。
ステップST12Dで求められた左の第2基準ロール制御電流irL2はモータ正転電流であり、右の第2基準ロール制御電流irR2はモータ逆転電流である。
一方、ステップST12Bにおいて、ΔSv<0(負の値)であると判断した場合には、第2ロール制御電流マップ(図17参照)に基づいて、変位差の速度ΔSvの絶対値に応じた第2ロール制御電流Fr2を求める(ステップST12E)。
次に、ステップST12Eにおいて得られた第2ロール制御電流Fr2に基づき、左右の第2基準ロール制御電流irL2,irR2を求める(ステップST12F)。具体的には、Fr2に−1を乗算することによって左の第2基準ロール制御電流irL2を求める。Fr2に+1を乗算することによって右の第2基準ロール制御電流irR2を求める。
ステップST12Fで求められた左の第2基準ロール制御電流irL2はモータ逆転電流であり、右の第2基準ロール制御電流irR2はモータ正転電流である。
なお、上記ステップST12Bにおいて、ΔSv=0であると判断した場合には、左右の第2基準ロール制御電流irL2=0,irR2=0である。何故なら、図17から明らかなように、ΔSv=0のときにFr2=0となるからである。この結果、左右の第2基準ロール制御電流irL2=0,irR2=0である。
次に、第3車速補正マップ(図18参照)に基づいて、車速Vsに応じた第3車速補正係数Kv3を求める(ステップST12G)。
図18は、横軸を車速Vsとし、縦軸を第3車速補正係数Kv3として、車速Vsに応じた第3車速補正係数Kv3を求める第3車速補正マップの説明図である。この第3車速補正マップは、例えば、次の特性を有した特性曲線によって示される。車速Vsが0において、第3車速補正係数Kv3は0.5である。車速Vsが0から所定のVnまで増大する範囲において、第3車速補正係数Kv3は0.5から1.0まで比例して増大する。車速VsがVnを超えて増大する範囲において、第3車速補正係数Kv3は1.0の一定値である。
次に、左右の第2基準ロール制御電流irL2,irR2の値を第3車速補正係数Kv3によって補正した(ステップST12H)後に、ステップST13に進む。具体的には、ステップST12D,ST12Fで得られた左右の第2基準ロール制御電流irL2,irR2に第3車速補正係数Kv3を乗算して、補正された第2基準ロール制御電流irL2,irR2を求める(irL2=irL2・Kv3、irR2=irR2・Kv3)。
図16に示すように、変形例の制御フローチャートは、図9に示すステップST25を、ステップST25Aに変更したことを特徴とする。
ステップST25Aは、左の電動モータ35Lに供給する左の目標駆動電流imLと、右の電動モータ35Rに供給する右の目標駆動電流imRを設定するものである。
具体的には、左の第1基準ロール制御電流irL1に左の第2基準ロール制御電流irL2と左の基準ダンパ制御電流idLとを加算することによって、左の目標駆動電流imLを設定する(imL=irL1+irL2+idL)。
また、右の第1基準ロール制御電流irR1に右の第2基準ロール制御電流irR2と右の基準ダンパ制御電流idRを加算することによって、右の目標駆動電流imRを設定する(imR=irR1+irR2+idR)。
以上の説明から明らかなように、図15に示されるステップST12Aは、左右の変位量の差ΔStから変位差の速度ΔSvを求める「変位差速度演算部」を構成している。
図15に示されるステップST12B〜ST12Fは、変位差の速度ΔSvに基づく制御特性(図17に示された第2ロール制御電流マップの特性)により、車体11のローリングを抑制するためのモータ制御電流irL2,irR2(第2基準ロール制御電流irL2,irR2)を設定する「第2ローリング抑制電流設定部」を構成している。
図15に示されるステップST12G及びST12Hは、車速Vsに基づく制御特性(図18に示された第3車速補正マップの特性)により、第2基準ロール制御電流irL2,irR2を補正する「第3車速補正部」を構成している。
なお、本発明では、車両10が、前後左右に4つの車輪を有した自動車から成る場合において、左右の電動ダンパ装置30L,30Rは、左右2つのフロントサスペンションだけに採用、左右2つのリヤサスペンションだけに採用、又は、4つ全てのサスペンションに採用することができる。
また、車両用サスペンション装置20L、20Rは、ダブルウィッシュボーン式サスペンションに限定されるものではなく、例えば、ストラット式サスペンションに適用してもよい。
また、電動モータ35L,35Rは、ブラシ付き直流モータに限定されるものではなく、例えば、ブラシレスモータであってもよい。ブラシレスモータは、モータ自体の機械的な内部損失や、モータ自体のロータの慣性による損失が小さい。
また、変位量検出部80L,80Rは、車体11に対して車輪25L,25Rが相対的に上下方向に変位する変位量StL,StRを検出するものであればよい。
このため、スイングロッド82は、ロアアーム22に連結する構成に限定されるものではなく、例えば、アッパアーム21、車輪支持部材23または電動ダンパ装置30L、30Rに連結する構成であってもよい。
また、変位量検出部80L,80Rは、図4に示される可変抵抗式の構成に限定されるものではなく、例えば、ロータリエンコーダ式の構成や、電動モータ35L,35Rに発生する逆起電圧から求める構成であってもよい。この逆起電圧は、電動モータ35L,35Rの回転速度に比例する。この回転速度は、車輪25L,25Rの変位速度SvL,SvRに比例する。このため、回転速度から変位速度SvL,SvRを求めることができる。
また、変位量検出部80L,80Rは、電動モータ35L,35Rに設けられているレゾルバ(回転角検出手段)によって、回転角を求める構成であってもよい。この回転角から変位量StL,StRを求めることができる。この場合には、新たな変位量検出部を設ける必要がないので、構成を単純化して、低コスト、高信頼性、軽量化を図ることができるとともに、検出精度が高い。
また、変位速度検出部は、変位量検出部80L,80Rのポテンショメータ85,85の出力値(変位量StL,StRの値)から変位速度SvL,SvRを算出した(ステップST13で実行する)構成に限定されるものではない。例えば、ポテンショメータ85の代わりに直流発電機(タコジェネレータ)などを用い、変位速度SvL,SvRに応じて直流発電機から出力された電圧を検出することにより、変位速度SvL,SvRを直接に検出する構成であってもよい。
また、ステップST12Aにおいて、変位差の速度ΔSvは、左右の変位量の差ΔStの値から算出する構成に限定されるものではない。例えば、変位速度検出部によって検出された左右の変位速度SvL,SvRの差から、変位差の速度ΔSvを求める構成であってもよい(ΔSv=SvL−SvR)。
また、左右の変位方向判断部(図8のステップST14、ST20に相当)は、車輪25L,25Rの変位方向が上下どちらであるかについて、変位量StL,StRと変位速度SvL,SvRの少なくとも一方の値に基づいて判断すればよい。
例えば、変位量StL,StRによって変位方向を判断する場合には、図8に示すステップST14、ST20は、変位量StL,StRが増大したときに車輪25L,25Rが下方向へ変位したと判断し、変位量StL,StRが減少したときに車輪25L,25Rが上方向へ変位したと判断する。
また、電動モータ35L,35Rの回転方向によって、車輪25L,25Rの変位方向を判断することができる。
本発明の車両用電動ダンパ装置30L,30Rは、自動車の各サスペンション装置に用いるのに好適である。
本発明に係る車両用サスペンション装置を備えた車両の模式図である。 図1に示された左の車両用電動ダンパ装置の断面図である。 図2の3−3線断面図である。 図1に示された左の変位量検出部の模式図である。 図1に示された左右の電動ダンパ装置の制御回路図である。 図5に示されたモータ駆動部におけるブリッジ回路の回路図である。 図5に示された制御回路によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの一例を示す制御フローチャート(その1)である。 図5に示された制御回路によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの一例を示す制御フローチャート(その2)である。 図5に示された制御回路によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの一例を示す制御フローチャート(その3)である。 図7に示された第1ロール制御電流マップの説明図である。 図7に示された第1車速補正マップの説明図である。 図8に示されたダンパ伸び側の基準ダンパ制御電流マップの説明図である。 図8に示されたダンパ縮み側の基準ダンパ制御電流マップの説明図である。 図8に示された第2車速補正マップの説明図である。 図5に示された制御回路によって実行される電動モータ駆動制御ルーチンの変形例を示す制御フローチャートである。 図9に示された制御フローチャートの変形例図である。 図15に示された第2ロール制御電流マップの説明図である。 図15に示された第3車速補正マップの説明図である。
符号の説明
10…車両、11…車体、20L,20R…左右の車両用サスペンション装置、25L,25R…左右の車輪、30L,30R…左右の車両用電動ダンパ装置、35L,35R…左右の電動モータ、80L,80R…左右の変位量検出部、104…車速検出部、105…制御部、ST13…左右の変位速度検出部、StL,StR…左右の変位量、SvL,SvR…左右の変位速度、Vs…車速、ΔSt…左右の変位量の差、ΔSv…変位差の速度。

Claims (5)

  1. 車体に対する左の車輪の相対的な上下運動によって回される左の電動モータと、
    車体に対する右の車輪の相対的な上下運動によって回される右の電動モータと、
    前記車体に対して前記左の車輪が上下方向に変位するときの、左の変位量を検出する左の変位量検出部と、
    前記車体に対して前記右の車輪が上下方向に変位するときの、右の変位量を検出する右の変位量検出部と、
    前記左右の変位量の差に基づいて、前記左右の電動モータを互いに逆回転する方向に駆動制御する制御部と、
    からなる車両用電動ダンパ装置。
  2. 前記制御部は、前記左右の変位量の差から、変位差の速度を求め、この差の速度に基づく制御特性により、前記左右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とした請求項1記載の車両用電動ダンパ装置。
  3. 車速を検出する車速検出部を、更に備え、
    前記制御部は、前記検出された車速に基づく制御特性により、前記左右の電動モータを駆動制御する構成であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の車両用電動ダンパ装置。
  4. 前記車体に対して前記左の車輪が上下方向に変位するときの、左の変位速度を検出する左の変位速度検出部と、
    前記車体に対して前記右の車輪が上下方向に変位するときの、右の変位速度を検出する右の変位速度検出部と、を更に備え、
    前記制御部は、前記左の変位速度に基づく制御特性により前記左の電動モータを駆動制御し、前記右の変位速度に基づく制御特性により前記右の電動モータを駆動制御する構成である、
    ことを特徴とした請求項1から請求項3までに記載のいずれか1項に記載の車両用電動ダンパ装置。
  5. 前記制御部は、
    前記左の変位量と前記左の変位速度の少なくとも一方の値に基づいて、前記左の車輪の変位方向が上下どちらであるかを判断し、前記左の変位方向が上方向の場合と下方向の場合とでは異なる制御特性により前記左の電動モータを駆動制御し、
    前記右の変位量と前記右の変位速度の少なくとも一方の値に基づいて、前記右の車輪の変位方向が上下どちらであるかを判断し、前記右の変位方向が上方向の場合と下方向の場合とでは異なる制御特性により前記右の電動モータを駆動制御する構成である、
    ことを特徴とした請求項4記載の車両用電動ダンパ装置。
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