JP2009072327A - ホウ素化合物の処理方法及びボラジン化合物の製造法 - Google Patents

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徳春 森
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Abstract

【課題】反応性の高い、ボラジン化合物製造工程から排出される廃棄物を、安全に無害化処理する。
【解決手段】ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアミン塩とを溶媒中で反応させてボラジン化合物を製造する方法において、排出されるB−H結合を有する化合物を含む廃棄物を、プロトン性溶媒存在下で、カルボニル化合物で処理する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボラジン化合物の製造法に関する。ボラジン化合物は、例えば半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層等を形成するために用いられる。
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSIにおいては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因になる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられ得る、新たな低誘電材料の開発が所望されている。また層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
このような要望に対して、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。ボラジン環骨格を有するボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率である。その上、形成される被膜は、耐熱性や機械的強度に優れる。
また、ボラジン化合物は、水素化ホウ素アルカリとアミン塩から合成できることが知られている(例えば特許文献3参照)。
特開2000−340689号公報明細書 特開2003−119289号公報明細書 特開2006−213642号公報明細書
ボラジン化合物を工業的に製造する際には廃棄物が生じる。廃棄物の中には例えば、未回収のボラジン化合物、未反応の水素化ホウ素アルカリや中間体等のB−H結合を有している化合物が含まれることがある。これらB−H結合を有する化合物は、反応性や毒性が高くそのまま廃棄することができないため、無害化処理が必要である。
B−H結合を有する化合物は、例えば水と反応させて分解できることが知られているが、その際急激に水素が発生したり、大きな発熱が生じたりするため、安全に無害化処理が実施できる技術が求められている。
そこで、本発明の目的は、ボラジン化合物を工業的に製造する際に生じる廃棄物を、安全にかつ効率よく無害化処理する方法を提供することである。
少なくとも分子内にB−H結合を有するホウ素化合物を含む混合物における該ホウ素化合物の処理方法であって、該混合物をプロトン性溶媒存在下でカルボニル化合物と接触させることを特徴とするホウ素化合物の処理方法である。
また、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアミン塩とを溶媒中で反応させてボラジン化合物を製造する方法において、排出されるB−H結合を有するホウ素化合物を含む廃棄物を、プロトン性溶媒存在下で、カルボニル化合物で処理することを特徴とするボラジン化合物の製造法でもある。
本発明によって、ボラジン化合物製造過程で排出される廃棄物などの前記ホウ素化合物を含む混合物を、安全にかつ効率的に無害化することが可能となる。
本発明を、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアミン塩とを溶媒中で反応させてボラジン化合物を製造する方法において排出されるB−H結合を有するホウ素化合物を含む廃棄物を処理する方法により、以下に具体的に説明する。
前記ボラジン化合物の製造方法において、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアミン塩とを原料とする反応であり、下記反応式に示すように、ボラジン化合物が生成すると同時に、AXで表される塩と水素が副生する。
Figure 2009072327

ABHで表される水素化ホウ素アルカリにおいて、Aはリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である。水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素カリウムが挙げられる。
RNHXで表されるアミン塩において、Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である。アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の有する炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、更に好ましくは1個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これら以外のアルキル基が用いられてもよい。アミン塩の例としては、塩化アンモニウム(NHCl)、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)またはモノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)等が挙げられる。
ボラジン化合物は、下記式で表される化合物である。
Figure 2009072327
式中、Rは、アミン塩について記載した通りであるため、ここでは説明を省略する。ボラジン化合物の例としては、ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(ネオペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジンなどが挙げられる。
使用する水素化ホウ素アルカリおよびアミン塩は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にメチル基が結合しているN−メチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
用いられうる溶媒としては、特に制限されないが、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、テトラリン、デカリン等の脂環式炭化水素類などが挙げられる。中でも、エーテル類が好ましく用いられる。また上記の溶媒を混合して用いてもよい。
反応原料である水素化ホウ素アルカリとアミン塩を溶媒中で反応させることで、ボラジン化合物を合成することができる。水素化ホウ素アルカリとアミン塩との比は、特に限定されないが、アミン塩に対して、水素化ホウ素アルカリの使用量を1〜1.5モル倍であることが好ましい。
水素化ホウ素アルカリとアミン塩の反応条件は特に限定されない。反応温度は好ましくは20℃〜250℃、より好ましくは50〜240℃、さらに好ましくは100℃〜220℃である。
また水素化ホウ素アルカリとアミン塩を一括で反応器に仕込んで反応しても良く、水素化ホウ素アルカリを仕込んだ反応器に、アミン塩を供給しながら反応しても良く、逆にアミン塩を仕込んだ反応器に、水素化ホウ素アルカリを供給しながら反応しても良い。本反応時には、水素が副生するため、水素発生量を制御するために、一方の原料を予め反応器に仕込んでおき、もう一方の原料を供給しながら反応することが好ましい。特にアミン塩を反応器に仕込んでおき、水素化ホウ素アルカリを供給しながら反応することがより好ましい。原料を供給しながら反応する場合には、連続的に供給しても、間欠的に供給しても良い。供給する速度を制御することで、反応温度や水素の発生速度を制御することができる。
反応によって得られたボラジン化合物を含む反応液から、精製工程を経て高純度のボラジン化合物を得ることができる。精製工程は、濾過、蒸発、蒸留、再結晶、晶析等公知の方法で実施できる。
得られた反応液から蒸留によりボラジン化合物を精製する蒸留装置は、多段式蒸留塔のような回分式(バッチ式)蒸留装置又は連続式蒸留装置が好適である。多段式蒸留塔である場合における蒸留塔の段数は、特に限定されるものではないが、塔頂(最上段)と塔底(最下段)とを除いた段数が2段以上であることが好ましい。このような蒸留塔としては、例えばラシヒリング、ポールリング、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、スルーザーパッキング等の充填物が充填された充填塔;泡鐘トレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、多孔板等のトレイ(棚段)を使用した棚段塔等、一般に用いられている蒸留塔が好適である。また、棚段と充填物層とを併せ持つ複合式の蒸留塔も採用することができる。上記の段数とは、棚段塔においては棚段の数を示し、充填塔においては理論段数を示す。上記段数は、好ましくは3〜100段であり、より好ましくは5〜50段である。
蒸留塔の構成としては、リボイラ、コンデンサ等を備えた一般的な構成を採用できる。蒸留塔の本数は限定的でなく、1本又は2本以上の蒸留塔が使用できる。
蒸留塔における操作圧力は、混合物の組成、加熱源・冷却源の温度等によって適宜決定されるものであり、特に制限されるものではないが、副反応の抑制という観点から減圧下で行うことが好ましい。具体的には60kpa以下が好ましく、30kPa以下がより好ましい。また、同様に塔底温度は、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。蒸留塔の塔頂における還流比は限定的ではないが、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.3〜30とすれば良い。その他の操作条件は、公知の蒸留条件に従えば良い。
また、回分式の蒸留を行う際に、除去したい軽沸点成分の濃度が低い場合には、蒸留塔を全還流で保持して還流槽に軽沸点成分を濃縮し、還流槽の組成が安定したところで、槽内の液を短時間で抜き出す方式で軽沸点成分を除去してもよい。この操作を複数回繰り返すことで、軽沸点成分をさらに除去することができる。全還流にて保持する時間は、装置によって異なるが、還流槽の液量に対して、2倍の液が塔頂より留出する時間以上に保持することが望ましい。本操作の終了後に、塔底から残存する液を抜き出すか、塔頂から留出させることで、軽沸点成分を低減した液を得ることができる。
前述した方法で、ボラジン化合物を製造することができるが、その際に各工程から廃棄物が出ることがある。例えば、反応で生成した固体を分別したもの、蒸留時の初留や後留、蒸留後の塔底液あるいは、ボラジン化合物の製造設備(反応器、蒸留塔、タンク、配管等)の洗浄液等が挙げられる。これら廃棄物にB−H結合を有するホウ素化合物が含まれることがある。B−H結合を有するホウ素化合物としては、例えばボラジン化合物、原料の水素化ホウ素アルカリ、反応中間体のシクロボラザン類、アミンボラン類等が挙げられる。また前記廃棄物中には、B−H結合を有するホウ素化合物以外にも、溶媒や副生成物、あるいは設備の洗浄に使用する溶剤等が含まれていることがある。これらの廃棄物は、各種類ごとあるいは各廃棄物を混合してから無害化処理を行う必要がある。
前記B−H結合を有するホウ素化合物を含む廃棄物は、反応性が高く、そのまま廃棄することができない。また前記B−H結合を有するホウ素化合物は、水等で分解することが知られているが、反応速度が遅く、また大きな発熱や水素の急激な発生起こる場合があるため、安全で効率の良い無害化処理が必要である。
また、廃棄物中に複数のB−H結合を有するホウ素化合物が含まれる場合、それぞれ反応性や無害化における最適条件が異なるが、全てのB−H結合を有するホウ素化合物を効率よく無害化できる方法が望ましい。
以下、本発明にかかる無害化処理について説明する。
本発明は、ボラジン化合物製造過程で排出されるB−H結合を有するホウ素化合物を含む廃棄物(以下、単に廃棄物と称することがある)を、プロトン性溶媒の存在下、カルボニル化合物と接触させることで無害化処理を行うものである。
カルボニル化合物不存在下で廃棄物とプロトン性溶媒とを接触させると、反応による発熱や水素の発生が急激に起こり、加熱による液の沸騰や揮発成分の蒸発、圧力の上昇、水素による爆発といった危険性がある。また、プロトン性溶媒不存在下で廃棄物とカルボニル化合物とを接触させた場合、その反応は非常に遅く、添加したカルボニル化合物はなかなか消費されず、系内に蓄積する。その後、ある濃度に達したときに、一気に反応が進行し、急激に温度が上昇する危険性がある。
ところが、ある特定の割合のプロトン性溶媒の存在下にカルボニル化合物を添加した場合、B−H結合を有するホウ素化合物とカルボニル化合物との反応がプロトン性溶媒との反応よりも早く進行し、しかもカルボニル化合物の消費速度は非常に速くなって対応するアルコールが生成し、B−H結合を有する化合物を安全に迅速に無害化できることを本発明者らは見出した。
本発明の方法によれば、廃棄物中に含まれるB−H結合を有するホウ素化合物は、プロトン性溶媒存在下で、カルボニル化合物と接触すると、カルボニル化合物を還元し対応するアルコールを生じ、B−H結合を有するホウ素化合物は分解されて、急激な発熱や大量の水素の発生等の恐れが無くなり、安全に無害化することが出来る。
本発明におけるプロトン性溶媒とは、分子内に酸素原子や窒素原子に結合した水素原子を持つプロトン供与性を有する化合物であり、具体的には水、またはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールといったアルコール類が挙げられ、水、メタノール、エタノールが好適である。
本発明におけるカルボニル化合物とは、分子内にC=Oを有する化合物であり、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類が挙げられる。中でも、アルデヒド類、ケトン類が好ましく、ケトン類がより好ましい。
前記カルボニル化合物は、廃棄物中のB−H結合1モルに対して、1〜10モルが好ましく、1.5〜7モルがより好ましい。1モル以下であると、廃棄物の処理が完全には終了せず、そのまま廃棄すると安全性に問題がある場合がある。一方10モルを超えても、処理の効率はそれほどよくならず、前記カルボニル化合物が無駄になるほか、スケールが大きくなる分、費用がかさむ場合がある。
前記プロトン性溶媒の総量は、前記カルボニル化合物に対して1〜10モル倍が好ましく、より好ましくは1〜5モル倍である。1モル倍以下であると、廃棄物と前記カルボニル化合物の反応速度が遅く、処理に膨大な時間がかかったり、系内に前記カルボニル化合物が蓄積し、一気に反応が進行したりする恐れがある。一方、10モル倍以上使用しても、反応速度向上効果はあまりなく、前記プロトン性溶媒が無駄になり、使用量が増加する分、処理にかかる費用が増加する。
前記プロトン性溶媒は、予め廃棄物に添加していても良いし、前記カルボニル化合物と同時に添加しても良く、あるいは、予め前記プロトン性溶媒と前記カルボニル化合物とを混合しておき、その混合物を廃棄物に添加しても良い。
また、プロトン性溶媒とカルボニル化合物とB−H結合を有する化合物を含有する廃棄物とを混合させる方法として、前記カルボニル化合物に前記プロトン性溶媒と廃棄物とを供給する、前記プロトン性溶媒に前記カルボニル化合物と廃棄物を供給する、前記プロトン性溶媒と前記カルボニル化合物の混合物に廃棄物を供給する、前記プロトン性溶媒や前記カルボニル化合物を廃棄物に逐次供給して反応を制御すること等が挙げられる。
但し、前記プロトン性溶媒の量が少ないと、前記カルボニル化合物とB−H結合を有するホウ素化合物との反応速度が遅く、前記カルボニル化合物が系内に蓄積し、ある濃度を超えたところで一気に反応する危険があるため、廃棄物と接触させる前記カルボニル化合物に対する前記プロトン性溶媒の量は、1モル倍以上となるように調整することが好ましい。
廃棄物中のB−H結合の定量は、ガスクロマトグラフィーや、水素やホウ素のNMR等により実施できる。また廃棄物を少量取り、希塩酸を添加して発生する水素の量を測定することにより求めることができる。このようにして求めた廃棄物中のB−H結合1モルに対して、前記プロトン性溶媒存在下で前記記載の量の前記カルボニル化合物を接触させればよい。
前記カルボニル化合物を、前記プロトン性溶媒の存在下に廃棄物と接触させる際の処理条件は特に限定されない。処理を行う際の液温は0〜200℃が好ましく、10〜150℃がより好ましく、10〜100℃が更に好ましい。0℃以下では、反応速度が遅く、前記カルボニル化合物が系内に蓄積する可能性がある。また200℃以上では、処理液が沸騰したり、前記プロトン性溶媒と廃棄物との反応が一気に進み、発熱や水素の発生が急激に起こったりする恐れがある。処理時には、反応熱による液温の上昇があるため、必要に応じて、液を冷却する操作をしても良い。
処理にかかる時間は、特に限定されないが、前記カルボニル化合物の供給速度は、前記カルボニル化合物が大量に蓄積しない速度が好ましい。例えば、処理中の液を経時的にサンプリングし、液中の前記カルボニル化合物の濃度を測定して、大量に蓄積が起こらない供給速度を決定することができる。前記カルボニル化合物を供給しない状態で前記プロトン性溶媒と廃棄物とが長時間接触すると、急激な発熱や水素の発生が進行することがあるので、適宜、前記カルボニル化合物を供給するか、一時的に温度を下げて反応の進行を抑制するのが好ましい。
また、処理により発生した熱を除去する場合には、装置の除熱能力に見合った発熱量とするように供給速度を制御すればよい。また、カルボニル化合物やプロトン性溶媒の供給終了後、そのまま熟成して、処理を完結させることも好ましい。熟成時間は、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。
このように、反応速度が早い条件で無害化処理を行うことで、前記カルボニル化合物の系内への蓄積を抑制し、急な発熱や水素の発生を押さえることができる。また仮に急な発熱や水素の発生が見られた場合には、前記カルボニル化合物の供給を停止するとともに温度を下げることで、発熱や水素の発生を抑制することができ、安全に無害化処理を実施することができる。
また、無害化処理終了後の液に、塩酸や硝酸といった無機酸を添加し、水素の発生の有無を確認することで、処理が完了しているか確認することができる。本発明において、無害化処理の終了後には、処理後の液に無機酸を添加し、発生する水素のモル数が、処理前の廃棄物に含まれていたB−H結合のモル数に対して、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
もし、上記の無機酸を添加して、処理の進行程度を確認した際に、水素の発生量が多く、処理前の廃棄物に含まれていたB−H結合のモル数に対して、残存しているB−H結合のモル数が10%以上であった場合、前記カルボニル化合物と前記プロトン性溶媒の追加、熟成時間の延長等の処理条件の変更を行えばよい。
製造されたボラジン化合物は、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際にはボラジン化合物がそのまま用いられてもよいし、ボラジン化合物に改変を加えた化合物が用いられてもよい。ボラジン化合物またはボラジン化合物の誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。以下、「ボラジン化合物」、「ボラジン化合物の誘導体」および「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層やハードマスク層を形成する手法としては、例えば、ボラジン環含有化合物を含む溶液状またはスラリー状の組成物を調製し、これを所望の部位に塗布することによって、塗膜を形成する手法や化学気相成長製膜法(CVD法)等が用いられうる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
冷却管を備えた反応器を窒素置換した後、アミン塩として乾燥したメチルアミン塩酸塩8.38kg、トリグライム30.0kgを仕込み、150℃まで昇温した。その後、水素化ホウ素アルカリである水素化ホウ素ナトリウム5.25kgとトリグライム22.2kgとの混合物を、7.5時間かけて反応器に供給した。その後、170℃に昇温し2時間保持して反応を完結させた。反応中に生成した水素は還流管にて冷却した後、系外へ除去した。
反応液を分析したところ、生成したN,N’,N”−トリメチルボラジンのメチルアミン塩酸塩に対する収率は89モル%であった。
次にこの反応液を圧力13kPaで単蒸留し、N,N’,N”−トリメチルボラジンが濃縮された留分を得た。反応器に残った残渣(廃棄物)中には、未反応の水素化ホウ素ナトリウム0.54kg、N,N’,N”−トリメチルボラジン0.19kg、シクロボラザン0.09kg、メチルアミンボラン0.07kgが含まれていた他、溶媒のトリグライム54.7kg、副生した塩化ナトリウム7.3kgが含まれていた。
上記廃棄物1kgをフラスコに入れ、攪拌しながら50℃まで昇温した。水70g、アセトン113gの混合液(水/アセトン=2 モル比)を2時間かけてフラスコに供給し、廃棄物の無害化処理を行った。供給開始後10分から液温の上昇が観察されたが、急激な発熱やガスの発生は見られなかった。液温の上昇は最大5℃であった。処理終了後の液の分析によりイソプロパノール50gが生成していることが分かった。
処理終了後、希塩酸を滴下したが、ガスの発生は認められず、処理が完了していることを確認した。
<比較例1>
実施例1で得られた廃棄物1kgをフラスコに入れ、攪拌しながら50℃まで昇温した。アセトン113gを2時間かけてフラスコに供給し、廃棄物の無害化処理を行った。供給開始1時間後に、急激な発熱が見られ、液温が30℃上昇した。
<実施例2>
実施例1の単蒸留で得られたN,N’,N”−トリメチルボラジンが濃縮された留分を精留して、高純度のボラジン化合物を得た。上記留分を、20段のオルダーショウを有する蒸留装置に仕込み、塔頂圧力50mmHg、還流比5で精留を実施した。本留として、N,N’,N”−トリメチルボラジンが99.9%の留分を得た。
実施例1の廃棄物1kgに、上記の蒸留の際に得られた初留の一部(N,N’,N”−トリメチルボラジンを96質量%含有)50gを混合して無害化処理を行った。前記混合物をフラスコに入れ、攪拌しながら50℃まで昇温した。水158g、アセトン255gの混合液(水/アセトン=2 モル比)を4時間かけてフラスコに供給した。供給開始後10分から液温の上昇が観察されたが、急激な発熱やガスの発生は見られなかった。液温の上昇は最大6℃であった。処理終了後の液の分析によりイソプロパノールが95g生成していることが分かった。
処理終了後、希塩酸を滴下したが、ガスの発生は認められず、処理が完了していることを確認した。
<比較例2>
実施例1で得られた廃棄物1kgをフラスコに入れ、攪拌しながら50℃まで昇温した。水70gを2時間かけてフラスコに供給し、廃棄物の無害化処理を行った。水添加後、20分まででガスの発生と、内温の上昇が観察された。しかし水の供給終了後、1時間保持したが、ガスが少しずつ発生し続けていた。この液に希塩酸を滴下すると一気にガスが発生し、無害化処理が完了していなかった。
本発明の方法によりボラジン化合物を製造する工程より排出される廃棄物を処理することにより、安全にかつ効率的に廃棄物の処理を実施することができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも分子内にB−H結合を有するホウ素化合物を含む混合物における該ホウ素化合物の処理方法であって、該混合物をプロトン性溶媒存在下でカルボニル化合物と接触させることを特徴とするホウ素化合物の処理方法。
  2. 前記プロトン性溶媒が前記カルボニル化合物に対して1〜10倍モルであることを特徴とする請求項1に記載のホウ素化合物の処理方法。
  3. 前記混合物に前記カルボニル化合物及び/または前記プロトン性溶媒を逐次的に供給しながら処理することを特徴とする請求項1または2に記載のホウ素化合物の処理方法。
  4. 処理後の液に無機酸を接触させたときに発生する水素のモル数が、処理前のホウ素化合物中のB−H結合のモル数に対して、10%以下になるまで処理を続けることを特徴とする請求項1から3に記載のホウ素化合物の処理方法。
  5. ホウ素化合物ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、RNHX(Rは水素原子またはアルキル基であり、Xはハロゲン原子である)で表されるアミン塩とを溶媒中で反応させてボラジン化合物を製造する方法において、排出されるB−H結合を有する化合物を含む廃棄物を、請求項1から4記載のホウ素化合物の処理方法を用いて処理することを特徴とするボラジン化合物の製造法。
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