JP2009072260A - 浴室ミストサウナ装置 - Google Patents

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幸之助 松下
Kazuhiro Shimoda
和博 下田
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裕子 海老原
Yuzuru Nakamura
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Abstract

【課題】 多様な入浴者のニーズに応えることが可能で、より快適性を追求した浴室ミストサウナ装置を提供すること。
【解決手段】 この浴室ミストサウナ装置MSは、ミストバルブ57,58、暖房ヒータ60,61,62、及びそれらを制御する制御手段としてのCPU40を備え、CPU40は、ミストノズルによる浴室内へのミスト噴出とヒータによる浴室内の温度上昇とを並立させて入浴者に発汗を促す発汗ゾーンを形成すると共に、当該発汗ゾーンの形成に合わせて少なくとも発汗ゾーンにおいて発汗した入浴者に対して清涼感を体感させることが可能な涼感ゾーンを形成するゾーン分離空調制御を行い、当該制御によって、浴室を入浴者が発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間を往来可能なように構成し、入浴者が発汗と清涼感の体感とを交互に体験することができるサイクル入浴を可能としている。
【選択図】 図9

Description

本発明は、実体物によって分離されていない単一空間として構成された浴室内を、入浴者に発汗を促すためのミストサウナ空間とすることのできる浴室ミストサウナ装置に関する。
従来、このような浴室ミストサウナ装置として、下記特許文献1に記載されているようなものが提案されている。下記特許文献1には、ミストサウナ運転の後にクールダウン運転を行うことが可能なミスト式空調システムが記載されている。このミスト式空調システムは、サウナ温度、サウナ入浴時間、サウナ運転及びクールダウン運転のサイクル回数が設定可能なように構成されており、最初のサウナ運転から最後のクールダウン運転の終了までの間に、サウナ運転及びクールダウン運転のサイクルが繰り返されるものである。
特開2002−143265号公報
上述した従来の技術では、サウナ温度、サウナ入浴時間、サウナ運転及びクールダウン運転のサイクル回数を設定することを可能とする設定手段を備えており、その設定手段による設定に基づいてサウナ運転とクールダウン運転とのサイクル運転を行っている。従って、入浴者は予め自らが設定したサイクルでミストサウナ浴を行うことになる。
ところで、ミストサウナ浴の合間にクールダウンしたいとのニーズはあるが、同じ入浴者であってもいかなるサイクルでクールダウンすることが快適かは実際に入浴してみなければ分からない場合もある。しかしながら、上述した従来の技術ではこのようなニーズには応えることができない。
そこで本発明では、多様な入浴者のニーズに応えることが可能で、より快適性を追求した浴室ミストサウナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、多くの入浴者のニーズをヒアリングし、様々な角度から快適な浴室ミストサウナ装置について検討を行った。まず、多様な入浴者のニーズに応えるために、入浴者の指示入力に応じてクールダウンを行ういわゆるマニュアルモードの検討を行った。しかしながら、そもそも上述した従来の技術では浴室全体を暖めたり冷したりすることが必要であり、現実的には実現することが困難であることが判明した。また、浴室空間に比して非常に大掛かりな空調装置を導入することでそれを可能ならしめたとしても、そのような大規模な空調装置で浴室の暖気と涼気とを全て入れ替えて入浴することが必ずしも快適ではないことも判明した。本発明は、このような試行錯誤の結果として得られた新たな課題を解決すべくなされたものである。
本発明に係る浴室ミストサウナ装置は、実体物によって分離されていない一つの空間として構成され、浴槽領域と洗い場領域とを備える浴室空間内に、入浴者に発汗を促すためのミストサウナ空間を形成する浴室ミストサウナ装置であって、浴室空間内に温ミストを噴出する温ミスト噴出手段と、浴室空間内に涼水ミストを噴出する涼水ミスト噴出手段と、空気を加熱する加熱手段によって加熱された温風を浴室空間内に噴出する温風噴出手段と、浴室空間内に涼風を噴出する涼風噴出手段と、前記温ミスト噴出手段と、前記涼水ミスト噴出手段と、前記温風噴出手段と、前記涼風噴出手段とをそれぞれ制御し、温ミスト及び温風を噴出させることで入浴者に発汗を促す高温多湿の発汗ゾーンを形成すると共に、涼水ミスト及び涼風を噴出させることで、発汗した入浴者に対して清涼感を体感させ得る涼感ゾーンを発汗ゾーンと併存形成するゾーン分離空調制御を行って、併存形成された発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間を入浴者が往来することによって、浴室空間内において入浴者が発汗と清涼感の体感とを交互に体験することができるサイクル入浴を可能とする制御手段と、を備え、発汗ゾーンと涼感ゾーンとの境界部の天井側から下方に向けて、入浴者の移動を妨げない程度の長さ延びる仕切り部材が設けられている。
本発明によれば、ゾーン分離空調制御を実行して涼感ゾーンと発汗ゾーンとを併存形成する場合に、発汗ゾーンと涼感ゾーンとの境界部の天井側から下方に向けて仕切り部材が設けられているので、天井の近傍において発汗ゾーンを形成するための温風及び温ミストと涼感ゾーンを形成するための涼風及び涼水ミストとが混ざり合ってしまうことを抑制できるので、より確実に発汗ゾーンと涼感ゾーンとを併存形成できる。具体的には、温風噴出手段と涼風噴出手段は、浴室空間内の空気を吸引しているため、温風噴出手段から噴出された温風は、浴室内を循環して浴室ミストサウナ装置に再度吸引されるような循環気流が構成される。一方の涼風噴出手段から噴出された涼風も同様に循環してミストサウナ装置に再度吸引されるような循環気流が構成される。本発明では、発汗ゾーンと涼感ゾーンとの境界部の天井側から下方に向けて仕切り部材を設けているので、この仕切り部材が浴室ミストサウナ装置に循環して戻ってきた温風及び涼風が反対側のゾーンに移動するのを抑制するように作用するため発汗ゾーンと涼感ゾーンを確実に分離でき、サイクル入浴させるための双方の環境を早くかつ最適な状態にできる。また、この仕切り板が温風及び涼風の循環気流をガイドするように機能するため、強い安定した気流が生成でき、よって、この点からも温風と涼風の混ざりを抑えて発汗ゾーンと涼感ゾーンを確実に分離でき、サイクル入浴させるための双方の環境を早くかつ最適な状態にできるものである。なお、本発明における仕切り板は、浴室ミストサウナ装置に循環して戻ってきたお互いの気流が反対側に流れて混ざるのを抑制できること、及び気流の生成に関与できる程度のものであれば良いので、入浴者の移動を妨げない極短いもので良いものである。このように仕切り部材は、天井から入浴者の移動を妨げない程度の長さに延びているだけなので、入浴者の移動の観点からは発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間に実体物が設けられていないことになり、入浴者はそれらの間を自由に往来することができる。従って、入浴者は発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間を自らが意図したタイミングで往来することが可能となり、自身にとってより好ましいタイミングでクールダウンすることが可能となる。尚、「実体物を設けることなく併存形成している」とは、発汗ゾーンと涼感ゾーンとが入浴者が自由に往来可能なように形成されていることを示している。換言すれば、天井から床面に渡るような物理的なカーテン等の仕切り部材で仕切っていないことを示しているものである。
また、本願請求項2に係る浴室ミストサウナ装置は、前記温風噴出手段、発汗ゾーン側から浴室空間内の空気を吸い込んで前記温風噴出手段に供給する発汗側空気吸引手段、及び前記温ミスト噴出手段を有する温噴出装置と、前記涼風噴出手段、涼感ゾーン側から浴室空間内の空気を吸い込んで前記涼風噴出手段に供給する涼感側空気吸引手段、及び前記涼ミスト噴出手段を有する涼噴出装置と、を備え、前記温噴出装置と前記涼噴出装置とは前記仕切り部材を挟んで互いに独立して設けられている。この態様によれば、発汗側空気吸引手段と温風噴出手段とを有する温噴出装置と、涼感側空気吸引手段と涼風噴出手段とを有する涼噴出装置とが、仕切り部材を挟み、かつ互いに独立して設けられているので、浴室ミストサウナ装置に循環気流として戻ってきた温風及び涼風は、仕切り部材によって確実に反対側のゾーンへの移動が抑制され、かつこの状態において双方のゾーンに設けた吸込口から確実に吸引される状態にできるため、温風噴出手段には発汗ゾーン側の高温の浴室内空気が供給され、涼風噴出手段には涼感ゾーン側の冷たい浴室内空気が確実に供給される。従って、発汗ゾーンは温度降下が抑えられ、涼感ゾーンは温度上昇が防止でき、双方の環境を最適なものとできるものである。
また、本願請求項3に係る浴室ミストサウナ装置は、前記仕切り部材が、ゾーン分離空調制御を実行する際に天井側から下方に向けて突出し、ゾーン分離空調制御を行わない際には格納されている。この態様によれば、格納された状態の仕切り部材が、ゾーン分離空調制御を実行する際に天井側から突出するので、必要なときにのみ仕切り部材が突出することになり、発汗ゾーンと涼感ゾーンとの併存形成に寄与できる。一方、ゾーン分離空調制御を実行しない場合には格納されているので、この仕切り板によって気流を分離させてしまうようなことが防止できるため浴室空間全体に発汗ゾーンを形成するような場合に無用な分離気流が生成されず浴室空間全体を一様な環境に早くできる。
また、本願請求項4に係る浴室ミストサウナ装置は、前記仕切り部材は、浴槽の洗い場領域側の壁面の略延長線上よりも浴槽内側に偏らせて配置されている。洗い場領域に噴出された温風や冷風などの風が浴槽側の反対側のゾーンに侵入することなく洗い場側で綺麗な循環気流を発生させるためには、洗い場側に噴出した温風や冷風が洗い場領域を循環して浴槽の洗い場側の壁面に沿って上昇するように循環させることがゾーン分離を上手に行わせる上で最も好ましい。この場合において、浴槽の洗い場領域側の壁面に沿って上昇した風は、確かに直上に上昇するものの循環気流であるためやはり浴槽側に若干偏って上昇するような形となる。そこで、仕切り部材をその壁面の略延長線上よりも浴槽内側に偏らせて配置することで、仕切り板によって双方の気流を一層上手に分離できるとともに、仕切り板を循環気流の生成に上手機能させることができる。
本発明によれば、多様な入浴者のニーズに応えることが可能で、より快適性を追求した浴室ミストサウナ装置を提供することができるのみならず、快適感と省エネ性能をも両立させることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る浴室ミストサウナ装置を使用する態様について図1を参照しながら説明する。図1は、浴室ミストサウナ装置を構成する浴室空調機本体10を浴室ユニットBRに取り付けた一例を説明するための図である。
浴室ユニットBRは、集合住宅や戸建住宅に浴室を設ける際に用いられるものであり、壁、床、天井、浴槽といった構成部材を組み立てて浴室とするものである。浴室ユニットBRは、床部材20と、壁部材21,22,23と、天井部材24とを備えている。壁部材21,22,23は床部材20の周囲に立設させて取り付けられている。壁部材21と壁部材23とは互いに対向した位置に設けられている。壁部材22は、壁部材21と壁部材23とに隣接して設けられている。尚、図1には明示しないが、壁部材22と対向する位置に壁部材が設けられており、この壁部材は壁部材21と壁部材23とに隣接している。また、床部材20と対向するように天井部材24が設けられている。
壁部材21には、窓211が設けられている。この窓211は、窓ガラスを窓枠によって保持することで構成されている。窓枠は壁部材21にはめ込まれている。壁部材22には、カウンター部分221と収納棚223とが設けられている。カウンター部分221にはシャワー水栓222が取り付けられている。壁部材23には、浴室ユニットBRに出入りするための扉231が設けられている。
床部材20には浴槽BTが設けられている。浴槽BTは直方体を成す升状の形態となっており、浴槽BTを構成する四つの壁のうちの三つの壁が壁部材21,22及び図1に明示しない壁部材に沿って配置されている。従って、浴槽BTの一つの壁は床部材20の略中央付近に立設された状態になっている。
天井部材24は、平坦な天井部分241とドーム型の天井部分242とで構成されている。天井部分241は浴槽BTの略直上に、天井部分242は浴槽BTが設けられていない床部材20の略直上にそれぞれ配置されている。天井部分241には浴室空調機本体10が取り付けられている。浴室空調機本体10から噴出されるミストや風は、ルーバー(図1においては明示しない)によって浴室ユニットBR内の意図した部分に噴出することが可能なように構成されている。
引き続いて、本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御について説明する。ゾーン空調制御とは、浴室空間を意図的に異なるゾーンに分離して空調制御を行うゾーン分離空調制御と、浴室空間を単一ゾーンとして空調制御を行う単一ゾーン空調制御とを含む概念である。図2は、ゾーン空調制御を示す図である。図2の(a)はゾーン空調制御の第1段階を、図2の(b)はゾーン空調制御の第2段階を、図2の(c)はゾーン空調制御の第3段階を、それぞれ示している。
尚、図2においては、浴槽BTのリムの一端にベンチBT1が、浴槽BTの内側にベンチBT2が、それぞれ形成されている。また、図1で説明した浴室ユニットBRとは反対側の壁面にベンチカウンター224が設けられており、ベンチカウンター224が設けられている壁面には鏡225が設けられている。
図2の(a)に示すゾーン空調制御の第1段階では、ベンチカウンター224に着座している入浴者Hに発汗を促すように温ミストHM及び温風HWを噴出する。この第1段階では、入浴者Hの近傍を高温多湿の発汗ゾーンHZとするので、温ミストHM及び温風HWは、予め定められた位置であるベンチカウンター224近傍に向けて噴出されている。
ここで、温ミストHM及び温風HWを噴出する様子を図3を参照しながら説明する。図3の(a)は、鏡225が設けられた壁面側から浴室ユニットBRを見通した図である。図3の(b)は、天井側から浴室ユニットBRを見通した図である。図3の(a)及び(b)に示すように、浴室空調機本体10から温ミストHM及び温風HWが噴出されている。温ミストHM及び温風HWは、ベンチカウンター224に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、浴室ユニットBRの略中央付近に立設している浴槽BTの側壁BT3に当たらないような角度で噴出されている。温ミストHM及び温風HWは、洗い場側から浴槽BT側を見る方向において、洗い場の全幅に渡るように噴出されている。
従って、少なくともベンチカウンター224の近傍を含む洗い場一帯が発汗ゾーンHZとなっており、図3の場合には浴室ユニットBR内部のほぼ全域が発汗ゾーンHZとなっている。この場合において、浴室ユニットBR内は単一ゾーン空調制御が行われるモードでゾーン空調制御されており、少なくともベンチカウンター224の近傍に発汗ゾーンHZが形成されると共に、実質的には浴室ユニットBR内部のほぼ全域に発汗ゾーンHZが形成されている。
図2に戻り、図2の(b)に示すゾーン空調制御の第2段階では、浴室空調機本体10から噴出される温ミストHM及び温風HWは、ベンチカウンター224の近傍に絞って噴出されている。より具体的には、図2の(a)に比較して、浴室ユニットBR全体に広がっていた発汗ゾーンを狭め、浴室ユニットBRの洗い場側に含まれる所定の領域内に収め、この発汗ゾーンの集約の結果開放された領域に入浴者Hが清涼感を感じうる涼感ゾーンを形成している。
より具体的に、この第2段階では、温風HWの方向を浴室ユニットBRの洗い場側に含まれる所定の領域に向けて集約させることで発汗ゾーンを集約している。この場合、温ミストHM及び温風HWは、ベンチカウンター224の周辺に向けて噴出されているので、ベンチBT1やベンチBT2の周辺は、ベンチカウンター224の周辺に比較して入浴者Hが清涼感を感じうる涼感ゾーンになっている。従って、ベンチカウンター224に着座してミストサウナ浴を行っていた入浴者Hが息苦しくなどなった場合には、ベンチBT1やベンチBT2に退避して清涼感を感じることができる。ベンチBT1やベンチBT2は、入浴者Hが着座して休息することが可能なように構成されており、入浴者Hにとっての休息領域として設けられている。このゾーン空調制御の第2段階においては、発汗ゾーンを集約して休息領域を開放し、涼感ゾーンに含めている。
上述したように、このゾーン空調制御の第2段階では、浴室ユニットBR内に発汗ゾーンと涼感ゾーンとが形成されるゾーン分離空調制御が行われるモードでゾーン空調制御されている。また、発汗ゾーンはベンチカウンター224の近傍に形成されており、涼感ゾーンはベンチBT1及びベンチBT2の周辺に形成されている。
従って、入浴者Hがミストサウナ浴をして発汗しようとする際にベンチカウンター224に着座する領域は少なくとも、温ミスト雰囲気が維持される発汗ゾーンとなるように継続的に制御されている。従って、図2の(b)に示すように入浴者Hが退避した後に、サイクル入浴(ミストサウナ浴と退避とを交互に行う入浴)のためにベンチカウンター224の発汗ゾーンに戻って来た場合には、即座に快適なミストサウナ浴を楽しむことができる。
続いて、図2の(c)に示すゾーン空調制御の第3段階では、浴室空調機本体10から噴出される温ミストHM及び温風HWは図2の(b)に示す第2段階よりも更に集約されている。この第3段階では、ベンチBT2の領域に向けて涼風CW及び涼水ミストCMを噴出している。従って、ベンチカウンター224に着座してミストサウナ浴を行っていた入浴者Hが息苦しくなったり、特に暑くなったりした場合には、ベンチBT2に退避することでより効果的に清涼感を感じることができる。また、浴槽BTに水Wを張っておくことで入浴者Hの足元を冷やすことができ、更により効果的に清涼感を感じることができる。
図4は、ゾーン空調制御の第3段階を説明するための図である。図4の(a)は、鏡225が設けられた壁面側から浴室ユニットBRを見通した図であり、図4の(b)は、浴室ユニットBRを天井側から見通した図である。図4の(a)に示すように、浴室空調機本体10から温ミストHM及び温風HWが、ベンチカウンター224に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、浴槽BTの側壁BT3に当たらないような角度で噴出されている。また、涼水ミストCM及び涼風CWは、浴槽BT内に向けて噴出され、浴槽BT内及びその上部空間に滞留している。従って、ベンチBT2の近傍において、入浴者Hを取り囲んで、入浴者Hを略内包するような大きさの空間としての涼感ゾーンCZを確実に形成するように制御されている。入浴者を略内包するような大きさとは、入浴者がそこに入ったことを実感可能な程度の大きさであれば足り、必ずしも入浴者全体を内包する必要はない。例えば、上半身のみを内包してもよく、上半身及び膝から上の下半身を内包してもよい。
図4の(b)に示すように、涼感ゾーンCZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の図中左上方に形成され、発汗ゾーンHZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の図中右下方に形成されている。従って、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の対角方向に引き離されて形成されている。このように引き離して形成することにより、温ミストHM及び温風HWと、涼水ミストCM及び涼風CWとが混ざり合いにくく、発汗ゾーンHZと涼感ゾーンCZとが混ざり合うことなく効果的に形成できる。
なお、本実施形態では、浴槽BT内に水Wを張ることで、足元まで涼水ミストCM及び涼風CWで涼感を与える必要がないように工夫をしている。これは、浴室ユニットBR内に涼水ミストCM及び涼風CWを噴出する量を増やすのに応じて浴室ユニットBR内の温度は必然的に低下し、発汗ゾーンHZの温ミスト雰囲気を維持するためにエネルギー消費が過大に起こるので、涼水ミストCM及び涼風CWの噴出量を極力増やさないようにするためである。また、足元を冷やすことで強い涼感を人間は得ることができるためでもある。いずれにしても、涼水ミストCM及び涼風CWの噴出量を極力増やさずに適度で快適な涼感を得ることができるようにすることで、発汗ゾーンHZの温度降下を抑制し、発汗ゾーンHZのミスト環境確保のための無駄なエネルギー消費を抑制して快適なサイクル入浴を提供できるようにしている。
上述したゾーン空調制御の第3段階の別例について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5及び図6は、洗い場側に涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとを併存形成する例を示す図である。図7及び図8は、洗い場側に涼感ゾーンCZを、浴槽側に発汗ゾーンHZをそれぞれ対角形成する例を示す図である。
まず、洗い場側に涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとを併存形成する例について図5及び図6を参照しながら説明する。図5に示す例では、浴室空調機本体10から噴出される温ミストHM及び温風HWは図2の(b)に示す第2段階よりも更に集約されており、図2の(c)と同様である。また、ベンチBT1の領域に向けて涼水ミストCM及び涼風CWを噴出している。涼水ミストCM及び涼風CWの噴出は、涼水ミストCM及び涼風CWが床近傍に届かない程度に抑制されている。従って、ベンチカウンター224に着座してミストサウナ浴を行っていた入浴者Hが息苦しくなったり、特に暑くなったりした場合には、ベンチBT1に退避することでより効果的に清涼感を感じることができる。ベンチBT1に退避した場合であっても、涼水ミストCM及び涼風CWが床近傍に届かない程度に噴出されているので、退避した入浴者Hの足元が冷えすぎることがなく、快適に清涼感を感じることができる。
図6の(a)は、鏡225が設けられた壁面側から浴室ユニットBRを見通した図であり、図6の(b)は、浴室ユニットBRを天井側から見通した図である。図6の(a)に示すように、涼水ミストCM及び涼風CWは、ベンチBT1に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、ベンチBT1のやや上方を通り過ぎるような角度で噴出されている。一方、温ミストHM及び温風HWは、図4の(a)に示したのと同様に、ベンチカウンター224に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、浴槽BTの側壁BT3に当たらないような角度で噴出されている。
図6の(b)に示すように、涼感ゾーンCZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の右上方に形成され、発汗ゾーンHZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の右下方に形成されている。従って、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZは、洗い場領域に併存形成されている。
図6の(a)に示すように、涼水ミストCM及び涼風CWは、床面まで届かないような強さで噴出されている。従って、浴室ユニットBRを平面視した場合に涼感ゾーンCZが形成されている場所であっても、その床面付近には温ミストHM及び温風HWが流れ込み、涼感ゾーンCZにいる入浴者Hの足元が冷えすぎないように構成されている。
続いて、洗い場側に涼感ゾーンCZを、浴槽側に発汗ゾーンHZをそれぞれ対角形成する例について図7及び図8を参照しながら説明する。
図7に示す例では、浴室空調機本体10から噴出される温ミストHM及び温風HWは、浴槽BTのベンチBT2の領域に向けて噴出されている。また、涼水ミストCM及び涼風CWは、ベンチカウンター224に向けて噴出されている。従って、ベンチBT2に着座してミストサウナ浴を行っていた入浴者Hが息苦しくなったり、特に暑くなったりした場合には、ベンチカウンター224に退避することで効果的に清涼感を感じることができる。
図8の(a)は、鏡225が設けられた壁面側から浴室ユニットBRを見通した図であり、図8の(b)は、浴室ユニットBRを天井側から見通した図である。図8の(a)に示すように、涼水ミストCM及び涼風CWは、ベンチカウンター224に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、浴槽BTの側壁BT3に当たらないような角度で噴出されている。一方、温ミストHM及び温風HWは、ベンチBT1に着座した入浴者Hに効果的に当たるように、浴槽BT内に向けて噴出されている。
図8の(b)に示すように、涼感ゾーンCZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の右下方に形成され、発汗ゾーンHZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の左上方に形成されている。従って、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZは、浴室ユニットBRを平面視した場合の対角方向に引き離されて形成されている。従って、温ミストHM及び温風HWと、涼水ミストCM及び涼風CWとが混ざり合いにくく、発汗ゾーンHZと涼感ゾーンCZとが効果的に形成できる。
引き続いて、本実施形態である浴室ミストサウナ装置について説明する。図9は、浴室ミストサウナ装置MSのブロック構成図である。
図9に示すように、浴室ミストサウナ装置MSは、CPU40(制御手段)と、ROM・RAMからなる記憶部41(制御手段)と、洗面所リモコン42と、浴室内リモコン43と、第1水温センサー44と、第2水温センサー45と、第1温度センサー46と、第2温度センサー47と、浴室湿度センサー48と、洗面所湿度センサー49と、第1可動ルーバー用モータ50(洗い場側風向調整部)と、第1可動ルーバー501(洗い場側風向調整部)と、第2可動ルーバー用モータ51(浴槽側風向調整部)と、第2可動ルーバー511(浴槽側風向調整部)と、給水・給湯装置52と、循環ファン駆動モータ53と、循環ファン531と、ポンプ駆動モータ54と、ミストポンプ541と、ダンパー駆動モータ55と、循環・換気切替ダンパー551と、メインバルブ56と、第1ミストバルブ57と、第2ミストバルブ58と、排水バルブ59と、暖房ヒータ60と、スイッチ601と、暖房ヒータ61と、スイッチ611と、暖房ヒータ62と、スイッチ621と、ミストヒータ63と、スイッチ631と、ミストヒータ64と、スイッチ641と、を備えている。引き続いて、各構成要素について説明する。
CPU40は、他の各構成要素から出力される指示信号や状態表示信号を受信し、その受信した信号に基づいて所定の情報処理を行う演算装置である。CPU40は、記憶部41に格納されているソフトウェアを読み込んで情報処理を行う。
洗面所リモコン42は、浴室ミストサウナ装置MSが取り付けられる住宅の洗面所に配置されるリモコンである。洗面所リモコン42に入力される指示は、指示信号としてCPU40に送信される。
洗面所リモコン42の操作パネルの一例を図10に示す。図10に示すように、洗面所操作パネル421は、操作・表示領域42aと、操作領域42bとを備えている。操作領域42bは、蓋42cによって覆うことが可能なように構成されている。
操作・表示領域42aには、「止」ボタン、「換気」ボタン、「衣類乾燥」ボタン、「暖房」ボタン、「涼風」ボタン、「24時間換気」ボタン、「温ミスト」ボタン、「浴室乾燥」ボタン、表示部、「予約」ボタン、「+」ボタン、「−」ボタンが設けられている。
「止」ボタンは、他のボタンを押下することによって作動中の動作を停止させるためのボタンである。「換気」ボタンは、洗面所内の換気を行うためのボタンであって、このボタンを押下することで、洗面所に設置されている換気装置(図示しない)の動作が開始される。また、「換気」ボタンの押下を繰り返すと、換気装置による換気量が多くなったり、浴室側の換気を停止したりすることができる。この動作の切り替えに応じて、「換気」ボタンの上側に設けられている「強」ランプや「浴室止」ランプが点灯する。
「衣類乾燥」ボタンは、浴室において衣類乾燥を行うためのボタンであって、このボタンを押下することで、ダンパー駆動モータ55が駆動されて、循環・換気ダンパー551が換気側に移動する。また、循環ファン駆動モータ53が駆動されて、循環ファン531が回転する。「衣類乾燥」ボタンの押下を繰り返すと、循環ファン駆動モータ53の回転数が上昇したり下降したりする。この回転数の切り替えに応じて、「衣類乾燥」ボタンの上側に設けられている「強」ランプや「弱」ランプが点灯する。
「暖房」ボタンは、浴室内において暖房を行うためのボタンであって、このボタンを押下することで、スイッチ601,611,621が閉じられて、暖房ヒータ60,61,62にそれぞれ通電される。「暖房」ボタンの押下を繰り返すと、スイッチ601,611,621のいずれかが開かれて、暖房ヒータ60,61,62への通電が制御される。この通電制御の切り替えに応じて、「暖房」ボタン」上側に設けられている「強」ランプや「弱」ランプが点灯する。
「涼風」ボタンは、浴室内に涼風を噴出させるためのボタンであって、このボタンを押下することで、スイッチ601,611,621が開かれて、暖房ヒータ60,61,62への通電が停止されると共に、ダンパー駆動モータ55が駆動されて循環・換気切替ダンパー551が循環側に移動する。また、循環ファン駆動モータ53が駆動されて循環ファン531が回転する。「涼風」ボタンの押下を繰り返すと、循環ファン駆動モータ53の回転数が上昇したり下降したりする。この回転数の切り替えに応じて、「涼風」ボタンの上側に設けられている「強」ランプや「弱」ランプが点灯する。
「24時間換気」ボタンは、「換気」ボタンによる換気を常に行うためのボタンである。「24時間換気」ボタンの押下を繰り返すと、通常モードの24時間換気と、暖房ヒータ60,61,62に通電される冬季モードの24時間換気とが切り替えられる。この切り替えに応じて、「24時間換気」ボタンの上側に設けられている「通常」ランプや「冬季」ランプが点灯する。
「温ミスト」ボタンは、浴室内に温ミストを噴出させるためのボタンである。「温ミスト」ボタンを押下すると、スイッチ631,641が閉じられてミストヒータ63,64に通電される。また、ポンプ駆動モータ54が回転してミストポンプ541が駆動され、メインバルブ56、第1ミストバルブ57及び/又は第2ミストバルブ58が開かれて浴室内に温ミストが噴出される。
「浴室乾燥」ボタンは、浴室内を乾燥させるためのボタンである。「予約」ボタンは、上記各動作を行わせる時刻を予約するモードに切り替えるためのボタンである。「+」ボタン「−」ボタンは、予約モードにおける時刻を調整するためのボタンである。「浴室乾燥」ボタンと「予約」ボタンとの間に配置されている表示部は、予約動作の開始時刻等を表示するための部分である。
操作領域42bには、「温度」ボタン、「風向」ボタン、「音量」ボタン、「時計」ボタンが配置されている。
「温度」ボタンは、温ミストの温度を調整するためのボタンである。「温度」ボタンを押下すると、ミストヒータ63,64への通電が制御されて温ミストの温度が調整される。「温度」ボタンを繰り返し押下すると、温ミストの温度が高温、中温、低温と切り替わり、この切り替えに応じて「温度」ボタンの上側に配置されている「高」ランプや「中」ランプや「低」ランプが点灯する。
「風向」ボタンは、暖房風や涼風の噴出し方向を変えるためのボタンである。「風向」ボタンを押下すると、第1可動ルーバー用モータ50や第2可動ルーバー用モータ51が回転し、第1可動ルーバー501や第2可動ルーバー511が駆動される。
「音量」ボタンは、音響装置(図示しない)の音量を調整するためのボタンである。「時計」ボタンは、操作・表示領域42aの表示部に表示される時計を調整するためのボタンである。
図9に戻り、浴室内リモコン43は、浴室ミストサウナ装置MSが取り付けられる住宅の浴室に着脱自在で入浴者が取り外して手元で操作が可能なように設置されている。浴室内リモコン43に入力される指示は、無線電波を利用して指示信号としてCPU40に送信される。
浴室内リモコン43の操作パネルの一例を図11に示す。図11に示すように、浴室操作パネル431は、表示領域43aと、操作領域43bと、タッチパネル式のクールダウン操作・表示領域43cと、ミスト操作領域43dとを備えている。
表示領域43aには、時刻の表示や浴室ミストサウナ装置MSの運転状況の表示がなされる。運転状況の表示としては、「クールダウン中」であるとの表示や、発汗ゾーンの温度の表示や、涼感ゾーンの温度の表示が含まれる。
操作領域43bには、「電源」ボタン43ba、「止」ボタン43bb、「暖房」ボタン43bc、「換気」ボタン43bd、「ミストサウナ」ボタン43be、「温冷ミスト」ボタン43bf、「足湯給湯」ボタン43bgが設けられている。
「電源」ボタン43baは、浴室ミストサウナ装置MSの主電源を投入するためのボタンである。「電源」ボタン43baを押下すると主電源が投入され、再度押下すると主電源を切ることができる。「止」ボタン43bbは、他のボタンを押下することによって作動中の動作を停止させるためのボタンである。
「暖房」ボタン43bcは、浴室内において暖房を行うためのボタンであって、このボタンを押下することで、スイッチ601,611,621が閉じられて、電気式の暖房ヒータ60,61,62にそれぞれ通電される。また、循環ファン駆動モータ53が駆動されて、循環ファン531が駆動される。
「換気」ボタン43bdは、浴室の湿度や温度の状態に応じて換気時間を設定して最適な時間自動的に換気を行うためのボタンであって、このボタンを押下することで、ダンパー駆動モータ55が駆動されて、循環・換気ダンパー551が換気側に移動する。また、循環ファン駆動モータ53が駆動されて、循環ファン531が上記設定された時間だけ回転する。
「ミストサウナ」ボタン43beは、ミストサウナ浴を行う際に用いるボタンであって、このボタンを押下すると、スイッチ631が閉じられてミストヒータ63に通電される。また、ポンプ駆動モータ54が回転してミストポンプ541が駆動され、メインバルブ56、第1ミストバルブ57及び第2ミストバルブ58が開かれて浴室内に温ミストが噴出される。また、前記した暖房が行われる。
「温冷ミスト」ボタン43bfは、温ミストと涼水ミストを交互に噴出するためのボタンである。このボタンを押下すると、スイッチ631,641が断続的に開閉されてミストヒータ63,64がON、OFFされる。また、ポンプ駆動モータ54が回転してミストポンプ541が駆動され、メインバルブ56、第1ミストバルブ57及び/又は第2ミストバルブ58が開かれて浴室内に温ミスト及び涼水ミストが単一のノズルから交互に噴出される。この温冷ミストは、素肌に熱冷刺激を与えてお肌を引き締めたり、リラックスしたりするために行うものである。
「足湯給湯」ボタン43bgは、浴槽へ給湯するためのボタンである。このボタンを押下すると、給水・給湯装置52から浴槽へ20センチ程度給湯され、浴槽を足湯として用いることができる。これは、ミストサウナ入浴中の発汗を高める為に足湯状態でミストサウナが楽しめるようにしたものである。また、これにより、温ミストHM及び温風HWを足元まで噴出させる必要がなくなるため、発汗ゾーンの形成を速くできるとともに、温ミストHM及び温風HWの噴出量を抑制できるためランニングコストを抑制できるという効果を奏することができる。
クールダウン操作・表示領域43cはタッチパネル構造として構成されており、タッチ操作することで色が反転するように構成されている。操作ボタンとしては、「涼風」ボタン43caと、「涼水ミスト」ボタン43cbと、「足水給水」ボタン43ccと、「エスケープモード」ボタン43cdと、「頭寒足熱モード」ボタン43ceと、「露天風呂モード」ボタン43cfとが設けられている。例えば、図11に現在示されている状態では、「エスケープモード」ボタン43cdが操作されていることがわかるようにボタンの色が反転しており、エスケープモードを運転していることが見て取れる。エスケープモードとは、上記説明した涼感ゾーンを形成するモードである。これによって、表示領域43aにクールダウン中であることが表示され、エスケープモードであるため、発汗ゾーンが36℃に設定され、涼感ゾーンが25℃に設定され、かつクールダウンするための涼感ゾーンの構築時間が1分と設定されていることが読み取れる。
「涼風」ボタン43caは、ミストサウナや入浴中において、クールダウンするために予め決定されている涼感ゾーンに強制的に涼風だけを高回転で噴出させるためのボタンであって、このボタンを押下することで、スイッチ601が開かれて、暖房ヒータ60が通電されていれば停止すると共に、ダンパー駆動モータ55が駆動されて循環・換気切替ダンパー551が循環側に移動する。また、循環ファン駆動モータ53が駆動されて循環ファン531が高速に回転する。
「涼水ミスト」ボタン43cbは、ミストサウナや入浴中において、クールダウンするために涼感ゾーンに強制的に低温の涼水ミストを最大量噴出させるためのボタンである。「涼水ミスト」ボタン43cbを押下すると、ポンプ駆動モータ54が最大回転してミストポンプ541が駆動され、メインバルブ56、第1ミストバルブ57及び/又は第2ミストバルブ58が開かれて浴室内に設定されている涼感ゾーンに涼水ミストが最大量噴出される。
「足水給水」ボタン43ccは、浴槽内へ常温の水もしくは、予め決定された低温の温度の水を足元が浸かる程度の20センチ程度給水するためのボタンである。このボタンを押下すると、給水・給湯装置52から浴槽へ給水され、浴槽をクールダウン空間として利用することができる。これは、スポーツ後などで足の疲れを癒す為に冷却したり、ミストサウナ入浴中に浴槽側で一時的にクールダウンしたりする際に足元を冷やして強い涼感を与えるために使用されることを想定しているものである。
「エスケープモード」ボタン43cdは、本実施形態のポイントとなる操作ボタンであり、このボタンは、ミストサウナ中に限って使用できるものであり、それ以外の時に操作されても受け付けないように構成されている。「ミストサウナ」ボタン43beが操作された状態では、浴槽内全体が発汗ゾーンとして構築されているが、「エスケープモード」ボタン43cdを押下することで、設定された涼感ゾーンに対して涼水ミストCM及び涼風CWの噴出が予め決定された仕様に基づいて開始される。これによって、ミストサウナ中の入浴者が、息苦しくなったり、暑くなったりしたときに浴室を出ることなく快適にクールダウンが図れ、発汗ゾーンと涼感ゾーンを移動することで待ち時間や移動の苦労なくサイクル入浴を楽しむことができ、快適に長時間の発汗を行え、美肌や健康の促進を図ることができる。
「頭寒足熱モード」ボタン43ceも、ミストサウナ中に限って使用できるものであり、それ以外の時に操作されても受け付けないように構成されている。「ミストサウナ」ボタン43beが操作された状態では、浴槽内全体が発汗ゾーンとして構築されているが、この「頭寒足熱モード」ボタン43ceを押下することで、設定された発汗ゾーンにおける入浴者の頭部があると思われる領域に涼水ミストCM及び涼風CWを噴出するものである。これに変えて、温ミストHMを頭部領域から一時的に退避させるようなことであっても良い。いずれにしてもこの頭寒足熱モードは、ミストサウナ中の入浴者が息苦しいと感じたときに一時的に顔だけでも退避したいと思ったときに使用することを想定しており、「エスケープモード」ボタン43cdを押下する場合が息苦しさよりも暑いと感じている状態で、クールダウン要求の程度が頭寒足熱モードの方が軽いと想定している。エスケープモード、頭寒足熱モードを使い分けることで一層快適なミストサウナ入力が行える。
「露天風呂モード」ボタン43cfは、ミストサウナ中だけでなく、いつでも使用できるように構成されているものである。「露天風呂モード」ボタン43cfは、湯船に浸かっている入浴者が使用することを想定しているものであって、湯船入浴中において、露天風呂のように頭部が涼しく感じられるように浴槽側の空間に対して涼水ミストCM及び涼風CWを噴出させるものである。これによって、頭がのぼせることなく快適に入浴を行えるものである。
ミスト操作領域43dには、「ミスト感」ボタン43daと、「涼感」ボタン43dbと、「風速」ボタン43dcと、「風向き」ボタン43dd,43deとが設けられている。
「ミスト感」ボタン43daは、「上」側を押下すると浴室内の温度を高めるとともに、相対湿度も高めるようにミスト量を増やし、「下」側を押下すると浴室内の温度を下げるとともに、相対湿度が下がる為ミスト量を減らすように構成されている。この「ミスト感」ボタン43daを操作することで表示パネル43aのHOT側の温度表示が連動して上下するように構成されている。
「涼感」ボタン43dbは、涼感ゾーンにおける清涼感を増減させるためのボタンである。「涼感」ボタン43dbの「上」側を押下すると涼感程度を強める為に涼感ゾーンの涼水ミストCM及び涼風CWの温度を下げ、涼水ミストCM及び涼風CWが涼水ミストの場合であればミスト粒径を大きくするように制御される。また、涼水ミストCM及び涼風CWの噴出量を強めるような対策も取られ、これらによって、涼感程度が強く感じられるように制御される。反対に「下」側を押下すると涼感ゾーンの清涼感が低下するように上記と反対の制御が行われる。また、この「涼感」ボタン43dbを操作することで表示パネル43aのCOOL側の温度表示が連動して上下するように構成されている。
「風速」ボタン43dcは、暖房風や涼風の噴出し速度を変更するためのボタンである。「風速」ボタン43dcの「高」側を押下すると風速が高くなり、「低」側を押下すると風速が低くなる。
「風向き」ボタン43dd,43deは、発汗ゾーンに対する風向と範囲を独立して変更する発汗側十字ボタンである「風向き」ボタン43ddと、涼感ゾーンに対する風向と範囲を独立して変更する涼感側十字ボタンである「風向き」ボタン43deとに分けて設けられており、暖房風や涼風の噴出し方向を変えるためのボタンである。発汗側の「風向き」ボタン43ddを押下すると、発汗ゾーン側に設定されている可動ルーバー用モータである第1可動ルーバー用モータ50又は第2可動ルーバー用モータ51が回転し、発汗ゾーン側に設定されている可動ルーバーである第1可動ルーバー501又は第2可動ルーバー511が駆動される。涼感側の「風向き」ボタン43deを押下すると、涼感ゾーン側に設定されている可動ルーバー用モータである第1可動ルーバー用モータ50又は第2可動ルーバー用モータ51が回転し、涼感ゾーン側に設定されている可動ルーバーである第1可動ルーバー501又は第2可動ルーバー511が駆動される。
浴室内リモコン43には浴室操作パネル431の裏側に詳細設定パネルが設けられている。図12に詳細設定パネル432の例を示す。詳細設定パネル432は、図12に示すように設定画面432aと、操作キー432bとが設けられている。
図12に示すように、エスケープモードにおける詳細設定パネル432では、大項目として「涼感条件設定」「涼感ゾーンの構築条件設定」「分離形態」が設定可能なように表示されている。
「涼感条件設定」には、「AUTO」と「マニュアル設定」との二つの条件が設けられている。「AUTO」では、涼感ゾーンに対する涼感程度と、発汗ゾーンに対するミスト環境の維持を自動に最適化するものであるが、AUTO設定でもその程度を変更できるように「発汗ゾーンの温度維持優先」か「涼感ゾーンの涼感優先」かが選択できる。これは、涼感ゾーンを形成するに当たり、涼水ミストCM及び涼風CWを噴出すると、ゾーン分離制御を行っても必然的に発汗ゾーンの温度が降下してしまうことに起因する。涼感を得たいという要求と、次にサイクル入浴のために発汗ゾーンに入った場合における発汗ゾーンのミスト環境を最適に保っておきたいという相反する要求と、を如何にしておきたいかという程度を使用者の要求に合わせられるようにしているものである。
「発汗ゾーンの温度維持優先」を選択すると、発汗ゾーンの温度が下がらず、涼感ゾーンから発汗ゾーンに戻って来た際に待つことなく快適なミストサウナ浴ができるようにすることを優先するものであって、CPU40が暖房ヒータ60,61,62に通電し、温度を高めるようにしているとともに、涼水ミストCM及び涼風CWの温度を高めに、かつ涼水ミストCM及び涼風CWの噴出量を少なくしている。一方、「涼感ゾーンの涼感優先」を選択すると、発汗ゾーンの温度が若干低下し、快適なミスト環境になるまで若干の時間を必要としても涼感ゾーンにおける涼感をより最適に得ることができるようにCPU40が暖房ヒータ60,61,62への通電を抑制する一方で、所定期間温ミストの噴出を停止したり、涼水ミストCM及び涼風CWの温度を下げかつ噴出量も多くなるようにしたりする制御を行っている。
「マニュアル設定」では、涼感を得る程度や制御内容を好みの嗜好に合わせて細かく設定するものであって、「エスケープモード」ボタン43cdを操作した際に設定内容に沿って制御されるようにするものである。内容的には、「涼感媒体設定」「涼風設定」「自動湯/水張り設定」が設定可能なように構成されている。「涼感媒体設定」では、涼感ゾーンに対する涼水ミストCM及び涼風CWの組み合わせが、「涼風+涼水ミスト」か「涼水のみ」か「涼風のみ」かが選択可能なように構成されている。「涼風設定」では、「エアコン駆動」か「外気導入」か「洗面所空気導入」か「浴室内空気循環」かが設定可能なように構成されている。先の物ほど涼感程度が強いものである。
「エアコン駆動」とは、浴室に設けられた冷凍機を駆動して強制的に冷却された冷風を送り込む設定である。「外気導入」とは、屋外の空気を導入して涼風を送り込む設定である。「洗面所空気導入」とは、洗面所側の空気をダクトを介して導入して涼風を送り込む設定である。「浴室内空気循環」とは、浴室内の空気を循環させて涼風を送り込む設定である。
「自動湯/水張り設定」では、「ON」か「OFF」かが選択可能なように構成されている。「ON」では、エスケープモード時に自動的に浴槽内に足元が浸かる20センチ程度の「湯」か「水」を張るように制御されるものであって、湯を張るか水を張るかを好みに応じて自由に選択可能なように構成されている。「湯」を選択すると、CPU40は給水・給湯装置52に湯を張るように指示信号を出力する。「水」を選択すると、CPU40は給水・給湯装置52に水を張るように指示信号を出力する。
「涼感ゾーンの構築条件設定」では、「常時構築」か「自動サイクル構築」か「マニュアル設定時構築」かが選択可能なように構成されている。
「常時構築」を選択すると、発汗ゾーンに対して涼感ゾーンが常に構築されるようにCPU40が制御を行う。「自動サイクル構築」を選択すると、設定したサイクル数で発汗ゾーンに対して予め設定されたエリアに涼感ゾーンが設定された時間だけ自動的に形成されるようにCPU40が制御を行う。サイクルの設定は、「発汗時間」「涼感時間」「発汗サイクル数」の設定により行うことができ、設定された発汗時間後に、涼感ゾーンを構築開始し、設定された涼感時間だけ涼感ゾーンを構築して、涼感ゾーンを消失させるように制御するもので、このサイクルを設定された発汗サイクル数だけ行うものである。
「マニュアル設定時構築」を選択すると、入浴者の操作に応じて涼感ゾーンが形成されるようにCPU40が制御を行う。「マニュアル設定時構築」では、「ON/OFF方式」と「ON後所定時間涼感ゾーン構築」とが設定可能である。「ON/OFF方式」は、入浴者の操作に応じて涼感ゾーンの構築を行い、またその構築を解除する方式である。「ON後所定時間涼感ゾーン構築」は、入浴者の操作に応じて設定された時間(図12においては1分間)涼感ゾーンの構築を行い、その時間の経過後に構築を解除する方式である。
「分離形態」では、「3ゾーン分離」か「2ゾーン分離」かが選択可能なように構成されている。「分離形態」ではまた、2ステップの涼感ゾーン形成か、1ステップの涼感ゾーン形成かが選択可能なように構成されている。
「3ゾーン分離」とは、発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間に中間ゾーンを設けるものである。「2ゾーン分離」とは、発汗ゾーンと涼感ゾーンとに分離するものである。
2ステップの涼感ゾーン形成とは、図2の(b)を参照しながら説明したように、「エスケープモード」ボタン43cdを一回押すと温ミストHMの噴出を絞るミスト退避モードとなり、2回ボタンを押すと始めて涼水ミストCM及び涼風CWを噴出するモードに遷移するものである。1ステップの涼感ゾーン形成とは、「エスケープモード」ボタン43cdを一度押すと涼水ミストCM及び涼風CWの噴出を即座に開始するものである。クールダウンに対する嗜好と、発汗ゾーンの環境維持の観点から選択設定されることを想定している。
更に、エスケープモードの設定画面は図13に示すような設定画面432c(位置設定手段)に遷移する。図13に示す設定画面432cは、涼感ゾーンの形成位置を設定するためのものである。設定画面432cは、パターン1,2,3,4の4つのパターンで涼感ゾーンの形成位置が設定可能なように構成されている。パターン1は、涼感ゾーンCZが浴槽領域の図中左上方に形成され、発汗ゾーンHZが涼感ゾーンCZと対角位置に形成されるように洗い場領域の図中右下方に形成されるパターンである。パターン2は、涼感ゾーンCZが浴槽領域の図中左下方に形成され、発汗ゾーンHZが涼感ゾーンCZと対角位置に形成されるように洗い場領域の図中右上方に形成されるパターンである。パターン3は、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZが共に洗い場領域に形成されるパターンであり、涼感ゾーンCZが図中上方に、発汗ゾーンHZが図中下方にそれぞれ形成されるパターンである。パターン4は、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZが共に洗い場領域に形成されるパターンであり、涼感ゾーンCZが図中下方に、発汗ゾーンHZが図中上方にそれぞれ形成されるパターンである。
尚、涼感ゾーンの形成位置は、図13に示すパターンに限られない。例えば、図14の(a)に示すように、涼感ゾーンCZが洗い場領域の図中右下方に形成され、発汗ゾーンHZが涼感ゾーンCZと対角位置に形成されるように浴槽領域の図中左上方に形成されるパターンであってもよい。また、図14の(b)に示すように、涼感ゾーンCZが洗い場領域の図中右上方に形成され、発汗ゾーンHZが涼感ゾーンCZと対角位置に形成されるように浴槽領域の図中左下方に形成されるパターンであってもよい。
図13に示すように、この実施形態では、涼感ゾーンCZの形成位置を複数記憶しており、その記憶されている形成位置を候補位置として使用者(施工業者やこの浴室ミストサウナ装置の所有者、利用者)が選択可能なように構成されている。また、候補位置は、浴室空間を平面視した場合の4つの対角方向を互いに分かつように分割された4つの領域が選択可能なように構成されている。
図9に戻り、第1水温センサー44は、第2ミストバルブ58側の水温を測定するためのセンサーである。第2水温センサー45は、第1ミストバルブ57側の水温を測定するためのセンサーである。
第1温度センサー46は、浴槽側の温度を測定するためのセンサーである。第1温度センサー46は、浴槽近傍に配置されている。第2温度センサー47は、洗い場側の温度を測定するためのセンサーである。第2温度センサー47は、洗い場近傍に配置されている。
浴室湿度センサー48は、浴室内の湿度を測定するためのセンサーであり、浴室内に設置されている。洗面所湿度センサー49は、洗面所内の湿度を測定するためのセンサーであり、洗面所内に設置されている。
第1水温センサー44、第2水温センサー45、第1温度センサー46、第2温度センサー47、浴室湿度センサー48、及び洗面所湿度センサー49から出力される測定信号はCPU40に出力される。
第1可動ルーバー用モータ50は、浴槽側に対応して設置されている第1可動ルーバー501を駆動するためのモータである。第2可動ルーバー用モータ51は、洗い場側に対応して設置されている第2可動ルーバー511を駆動するためのモータである。第1可動ルーバー用モータ50及び第2可動ルーバー用モータ51は、CPU40からの指示信号に基づいて回転する。
給水・給湯装置52は、浴槽への給水及び給湯を行うための装置である。給水・給湯装置52は、CPU40からの指示信号に応じて浴槽への給水及び給湯を行う。
循環ファン駆動モータ53は、循環ファン531を駆動するためのモータである。循環ファン531は、浴室空調機本体10内に設けられているファンであって、浴室内へ空気を噴出する。循環ファン駆動モータ53は、CPU40からの指示信号に基づいて回転する。
ポンプ駆動モータ54は、ミストポンプ541を駆動するためのモータである。ミストポンプ541は、メインバルブ56と第1ミストバルブ57及び第2ミストバルブ58との間に設けられており、第1ミストバルブ57及び第2ミストバルブ58に向けて水圧を上昇させている。ポンプ駆動モータ54は、CPU40からの指示信号に基づいて回転する。
ダンパー駆動モータ55は、循環・換気切替ダンパー551を駆動するためのモータである。ダンパー駆動モータ55の回転に応じて、循環・換気切替ダンパー551が浴室空調機本体10内の空調路を循環側と換気側とで切り替わるように構成されている。ダンパー駆動モータ55は、CPU40からの指示信号に基づいて回転する。
メインバルブ56は、浴室ミストサウナ装置MSの配管路において、水道元栓とミストポンプ541との間に配置されるバルブである。メインバルブ56は、CPU40からの指示信号に基づいて開閉動作を行う。
第1ミストバルブ57は、浴室ミストサウナ装置MSの配管路において、ミストポンプ541とミストノズル(図9においては明示しない)との間に配置されるバルブである。第1ミストバルブ57は、CPU40からの指示信号に基づいて開閉動作を行う。
第2ミストバルブ58は、浴室ミストサウナ装置MSの配管路において、ミストポンプ541とミストノズル(図9においては明示しない)との間に配置されるバルブである。第2ミストバルブ58は、CPU40からの指示信号に基づいて開閉動作を行う。
排水バルブ59は、浴室ミストサウナ装置MSの配管路において、第1ミストバルブ57とミストノズル(図9においては明示しない)との間から分岐される管路及び第2ミストバルブ58とミストノズル(図9においては明示しない)との間から分岐される管路に設けられているバルブである。排水バルブ59は、CPU40からの指示信号に基づいて開閉動作を行う。
暖房ヒータ60,61,62は、浴室空調機本体10内の空調路において、吹き出し口近傍に配置されているヒータである。スイッチ601,611,621は、暖房ヒータ60,61,62への通電を制御するスイッチである。スイッチ601,611,621は、CPU40からの指示信号に基づいて通電制御を行う。
ミストヒータ63,64は、浴室ミストサウナ装置MSの配管路において、第1ミストバルブ57とミストノズル(図9においては明示しない)との間に配置されるヒータである。スイッチ631,641は、ミストヒータ63,64への通電を制御するスイッチである。スイッチ631,641は、CPU40からの指示信号に基づいて通電制御を行う。
引き続いて、浴室ミストサウナ装置MSの配管状態を、図15を参照しながら説明する。図15は、浴室ミストサウナ装置MSの配管図であって、浴室空間に温ミストを噴出するための温ミスト噴出手段、浴室空間に涼水ミストを噴出するための涼水ミスト噴出手段をそれぞれ具体的に説明するための図である。図15に示すように、水道に接続された上流側から順に、メインバルブ56、ミストポンプ541が接続されている。ミストポンプ541の先は第1管路側と第2管路側とに管路が分岐している。
第1管路側には上流側から順に、ミストヒータ63、第1ミストバルブ57、ミストノズル73,74(洗い場側ミストノズル)が接続されている。第2管路側には上流側から順に、ミストヒータ64、第2ミストバルブ58、ミストノズル72(浴槽側ミストノズル)が接続されている。
第1管路の途中と、第2管路の途中から分岐して排水管路が設けられている。排水管路には、排水バルブ59が設けられている。排水バルブ59の先の排水管路はドレーン71に繋がっている。
図15に示す構成の場合、ミストヒータ63のみに通電しながら、第1ミストバルブ57及び第2ミストバルブ58を開くと、ミストノズル72からは涼水ミストが、ミストノズル73,74からは温ミストが噴出する。一方、ミストヒータ64のみに通電しながら、第1ミストバルブ57及び第2ミストバルブ58を開くと、ミストノズル72からは温ミストが、ミストノズル73,74からは涼水ミストが噴出する。ミストノズル72,73,74から噴出するミストの温度は、ミストヒータ63,64それぞれへの通電状態を制御することで調整することができる。
引き続いて、浴室ミストサウナ装置MSを構成する浴室空調機本体10について図16,17,18を参照しながら説明する。図16は、浴室空調機本体10の内部構成を模式的に示した図である。図17は、図16の暖房ヒータ60,61,62近傍を示す図であって、図16の図中下方から見た図である。図18は、浴室空調機本体10dを浴室ユニットBRに取り付けた状態を示す図である。
浴室空調機本体10は、風路部分201と、カバー部分202とを備えている。風路部分201は、第1風路部分201a、第2風路部分201b、第3風路部分201c、第4風路部分201d、第5風路部分201e、第6風路部分201f、第7風路部分201gを有している。
第1風路部分201a、第2風路部分201b、及び第3風路部分201cは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第1風路部分201aから吸い込まれる空気の方向と、第3風路部分201cから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。また、第2風路部分201bと第3風路部分201cとが繋がる部分には、更に第4風路部分201dが繋がっている。
第1風路部分201aと第2風路部分201bとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531が設けられている。循環ファン531は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ53によって駆動される(図9参照)。本例の場合、循環ファン531は暖房ファンとして機能している。
第2風路部分201b、第3風路部分201c、及び第4風路部分201dが繋がる部分には、循環・換気切替ダンパー551が設けられている。循環・換気切替ダンパー551は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転するダンパー駆動モータ55によって駆動される(図9参照)。
第3風路部分201cの終端部分には、暖房ヒータ60,61,62が取り付けられている。暖房ヒータ60,61,62は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて開閉するスイッチ601,611,621によって通電状態が制御される(図9参照)。
第5風路部分201e、第6風路部分201f、及び第7風路部分201gは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第5風路部分201eから吸い込まれる空気の方向と、第7風路部分201gから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。
第6風路部分201fと第7風路部分201gとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531aが設けられている。循環ファン531aは、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ(図に明示しない)によって駆動される。本例の場合、循環ファン531aは涼風ファンとして機能している。
カバー部分202は、風路部分201を覆うように取り付けられている。カバー部分202は風路部分201を覆うと共に、浴室ユニットBRの天井部材24における平坦な天井部分241(図1参照)との間に所定の隙間を確保した状態で取り付けられている。従って、風路部分201に取り付けられている循環ファン531,531aが回転すると、カバー部分202と天井部分241との隙間から空気が吸い込まれる。
カバー部分202の、第3風路部分201cに対応する部分には、開口部202aが形成されている。開口部202aには、3つの第1可動ルーバー501が設けられている。3つの第1可動ルーバー501は、暖房ヒータ60,61,62の直下に取り付けられている。
カバー部分202の、第7風路部分201gに対応する部分には、開口部202bが形成されている。この開口部202bには、第2可動ルーバー511が設けられている。
3つの第1可動ルーバー501の内の2つの第1可動ルーバー501の近傍には、ミストノズル73,74が設けられている。第2可動ルーバー511の近傍には、ミストノズル72が設けられている。ミストノズル72とミストノズル73,74とは、開口部202a,202bを挟んで反対側に取り付けられている。従って、ミストノズル72のミスト噴出方向と、ミストノズル73,74のミスト噴出方向とは互いに逆方向になるように構成されている。
図16に示す浴室空調機本体10においては、発汗ゾーンを形成する場合には暖房ヒータ60,61,62に通電した状態で循環ファン531を回転させて、温風を浴室内に噴出する。この温風噴出に併せて、ミストノズル73,74から温ミストを噴出して浴室内をミストサウナ空間とする。
一方、涼感ゾーンを形成する場合には、循環ファン531aを回転させ、涼風を噴出する。この涼風噴出に併せて、ミストノズル72から涼水ミストを噴出することも好ましい。浴室空調機本体10では、涼風を噴出する第5風路部分201e、第6風路部分201f、第7風路部分201gが、暖房ヒータ60,61,62をバイパスする形で、温風を噴出する第1風路部分201a、第2風路部分201b、第3風路部分201cとは独立して設けられているので、温風と涼風とが混ざり合いにくく、より効率的に発汗ゾーンと涼感ゾーンとを併存形成できる。また、暖房ヒータ60に通電した状態で涼風を提供できるので、発汗ゾーンの温度維持をより的確に行うことができる。
図17に示すように、3つの第1可動ルーバー501の向きを図中右斜め下方に向け、第2可動ルーバー502の向きを図中左斜め上方に向けると、温風は図中右斜め下方に向けて噴出され、涼風は図中左斜め上方に向けて噴出される。3つの第1可動ルーバー501は洗い場側に、第2可動ルーバー502は浴槽側にそれぞれ配置されているので、図17に示すような風の噴出を行うと、図13のパターン2のように涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとが浴室ユニットBRの対角位置に形成される。
浴室空調機本体10の第1可動ルーバー501と第2可動ルーバー502との向きを調整し、暖房ヒータ60,61,62への通電状態を制御することで、涼感ゾーンCZ及び発汗ゾーンHZの位置を変更することができる。図19に示すように、3つの第1可動ルーバー501の向きを図中右斜め上方に向け、第2可動ルーバー502の向きを図中左斜め下方に向けると、温風は図中右斜め上方に向けて噴出され、涼風は図中左斜め下方に向けて噴出される。3つの第1可動ルーバー501は洗い場側に、第2可動ルーバー502は浴槽側にそれぞれ配置されているので、図19に示すような風の噴出を行うと、図13のパターン1のように涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとが浴室ユニットBRの対角位置に形成される。
また、図20に示すように、2つの第1可動ルーバー501の向きを図中右斜め上方に向け、1つの第1可動ルーバー501の向きを図中右斜め下方に向け、暖房ヒータ60,61への通電は継続し、暖房ヒータ62への通電を遮断すると、温風は図中右斜め上方に向けて噴出され、涼風は図中右斜め下方に向けて噴出される。この場合、第2可動ルーバー502からの風の噴出は、循環ファン531aの回転を停止させることで止めている。図20に示すような風の噴出を行うと、図13のパターン4のように涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとが浴室ユニットBRの洗い場側に形成される。
尚、図20に示す場合には、涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとを対角位置に形成する場合に比較して、涼感ゾーンCZと発汗ゾーンHZとが同じ洗い場領域側に形成されるので、ゾーン分離を行うことが難しくなる。そのため、ミストノズル73から噴出される温ミストの粒径を大きくし、その流量は少なくすると共に、噴き出す温風の風量を少なくし、発汗ゾーンの維持制御を少なくとも最初の段階では弱めることが好ましい。また、ミストノズル74から噴出される涼水ミストの粒径を大きくし、その流量も多くすると共に、噴き出す涼風の風量を多くして、涼感ゾーンの形成制御を強めることが好ましい。この場合、ミストノズル73とミストノズル74とが独立した配管経路となるように、図15に示した配管経路を変更することが好ましい。
引き続いて、浴室空調機本体10の変形例を図21に示す。図21は、変形例としての浴室空調機本体10cの内部構成を模式的に示した図である。
図21に示す浴室空調機本体10cは、風路部分107と、カバー部分108とを備えている。風路部分107は、第1風路部分107a、第2風路部分107b、第3風路部分107c、第4風路部分107d、第5風路部分107e、第6風路部分107f、第7風路部分107g、第8風路部分107h、第9風路部分107j、第10風路部分107kを有している。
第1風路部分107a、第2風路部分107b、及び第3風路部分107cは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第1風路部分107aから吸い込まれる空気の方向と、第3風路部分107cから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。また、第2風路部分107bと第3風路部分107cとが繋がる部分には、更に第4風路部分107dが繋がっている。
第1風路部分107aと第2風路部分107bとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531が設けられている。循環ファン531は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ53によって駆動される(図9参照)。本例の場合、循環ファン531は暖房ファンとして機能している。
第2風路部分107b、第3風路部分107c、及び第4風路部分107dが繋がる部分には、循環・換気切替ダンパー551が設けられている。循環・換気切替ダンパー551は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転するダンパー駆動モータ55によって駆動される(図9参照)。
第3風路部分107cの終端部分には、暖房ヒータ60,61,62が取り付けられている。暖房ヒータ60,61,62は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて開閉するスイッチ601,611,621によって通電状態が制御される。
第5風路部分107e、第6風路部分107f、及び第7風路部分107gは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第5風路部分107eから吸い込まれる空気の方向と、第7風路部分107gから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。また、第5風路部分107eと第6風路部分107fとが繋がる部分には、更に第8風路部分107hが繋がっている。
第6風路部分107fと第7風路部分107gとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531aが設けられている。循環ファン531aは、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ(図に明示しない)によって駆動される。本例の場合、循環ファン531aは涼風ファンとして機能している。
第5風路部分107e、第6風路部分107f、及び第8風路部分107hが繋がる部分には、涼風ダンパー551bが設けられている。涼風ダンパー551bは、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転するダンパー駆動モータ(図に明示しない)によって駆動される。図21に示す状態のように涼風ダンパー551bが開かれると、第7風路部分107gに向けて浴室内の空気が供給される。一方、涼風ダンパー551bが閉じられて、第5風路部分107eからの空気の流入が遮断されると、第7風路部分107gに向けて洗面所から空気や外気が導入される。
第8風路部分107hには、第9風路部分107jと、第10風路部分107kとが繋がっている。第9風路部分107jは、外気を導入するためにその末端が外気へ解放されている。第10風路部分107kは、洗面所の空気を導入するためにその末端が洗面所に繋がっている。
図22に、第4風路部分103dが洗面所DRの天井に接続されている様子を示す。第9風路部分107jは、浴室ユニットBRが設置されている家屋の外部と換気可能なように接続されている。第10風路部分107kは、浴室ユニットBRに隣接する洗面室DRと換気可能なように接続されている。
図21に戻り、カバー部分108は、風路部分107を覆うように取り付けられている。カバー部分108は風路部分107を覆うと共に、浴室ユニットBRの天井部材24における平坦な天井部分241(図1参照)との間に所定の隙間を確保した状態で取り付けられている。従って、風路部分107に取り付けられている循環ファン531aが回転すると、カバー部分108と天井部分241との隙間から空気が吸い込まれる。
カバー部分108の、第1風路部分107aに対応する部分には、開口部108aが形成されている。風路部分107に取り付けられている循環ファン531が回転すると、開口部108aから空気が吸い込まれる。
カバー部分108の、第3風路部分107cに対応する部分には、開口部108bが形成されている。開口部108bには、3つの第1可動ルーバー501が設けられている。3つの第1可動ルーバー501は、暖房ヒータ60,61,62の直下に取り付けられている。
カバー部分108の、第7風路部分105gに対応する部分には、開口部108cが形成されている。この開口部108cには、第2可動ルーバー511が設けられている。
3つの発汗ゾーン側可動ルーバー501の内の2つの第1可動ルーバー501の近傍には、ミストノズル73,74が設けられている。第2可動ルーバー511の近傍には、ミストノズル72が設けられている。ミストノズル72とミストノズル73,74とは、開口部108a,108b,108cを挟んで反対側に取り付けられている。従って、ミストノズル72のミスト噴出方向と、ミストノズル73,74のミスト噴出方向とは互いに逆方向になるように構成されている。
図21に示す浴室空調機本体10cにおいては、発汗ゾーンを形成する場合には暖房ヒータ60,61,62に通電した状態で循環ファン531を回転させて、温風を浴室内に噴出する。この温風噴出に併せて、ミストノズル73,74から温ミストを噴出して浴室内をミストサウナ空間とする。
一方、涼感ゾーンを形成する場合には、循環ファン531aを回転させ、涼風を噴出する。この涼風噴出に併せて、ミストノズル72から涼水ミストを噴出することも好ましい。浴室空調機本体10cでは、涼風を噴出する第5風路部分107e、第6風路部分107f、第7風路部分107gが、暖房ヒータ60,61,62をバイパスする形で、温風を噴出する第1風路部分107a、第2風路部分107b、第3風路部分107cとは独立して設けられているので、温風と涼風とが混ざり合いにくく、より効率的に発汗ゾーンと涼感ゾーンとを形成できる。また、暖房ヒータ60に通電した状態で涼風を提供できるので、発汗ゾーンの温度維持をより的確に行うことができる。また、涼風ダンパー551bを閉じて、循環ファン531aを回転させると、洗面所の空気や外気を取り込むこともできる。
第8風路部分107h、第9風路部分107j、第10風路部分107kが繋がる部分には、分岐ダンパー551cが設けられている。分岐ダンパー551cを作動させて切り替えることで、第9風路部分107jに繋がる外気(屋外の空気)と第10風路部分107kに繋がる外気(隣室である洗面所の空気)とを選択的に導入することができる。
引き続いて、浴室ミストサウナ装置MSを用いたゾーン分離空調制御について説明する。図23は、CPU40によるゾーン分離空調制御(エスケープモード)のフローを示したフローチャートである。図23を参照しながらする説明においては、発汗ゾーンの設定温度を36℃、涼感ゾーンの温度を25℃に設定しており、発汗ゾーンの設定温度維持を優先し、涼感環境は自動設定するものとしている。
まず、涼感ゾーンを形成したか否かのフラグFが立っているか否かを判断する(ステップS01)。このフラグFが1であれば、後に説明するステップS20の処理に進む。このフラグFが0であれば、ステップS02の処理に進む。
続いて、涼感ゾーンの温度や涼水ミストの温度といった設定値を読み込む(ステップS02)。この設定値は、図11を参照しながら説明したように、エスケープモードの詳細設定で設定される設定値である。その後、涼感ゾーンを形成するエスケープモードがONになっているか否かを判断する(ステップS03)。エスケープモードボタン43cd(図11参照)が操作されて、エスケープモードがONになっていなければリターンする。エスケープモードボタン43cd(図11参照)が操作されて、エスケープモードがONになっていれば、ステップS04の処理に進む。
続いて、発汗ゾーンの温度が設定温度(本例では36℃)に基づいた目標温度範囲に入っているか否かを判断する(ステップS04)。発汗ゾーンの温度が目標温度範囲に入っていなければ、まだ十分に発汗ゾーンが構築されておらず、入浴者がクールダウンするためにエスケープモードの操作を行ったとは考えにくく、誤操作である可能性があること、及び発汗ゾーンが完全ではない状態で涼感流体を噴出することはミストサウナ環境の確保面で好ましくない為、エスケープモードの形成が不可であるとの警告を表示する(ステップS05)とともに、エスケープモードの操作を受け付けない。発汗ゾーンの温度が目標温度範囲に入っていれば、ステップS06の処理に進む。
続いて、浴槽BTに設定温度の涼水を注入する(ステップS06)。この涼水の注入は、浴槽BT側が涼感ゾーンとなっている場合に行われる。既に浴槽BTにお湯が張られている場合には、このステップS06はスキップされる。また、浴槽BT側が発汗ゾーンとなっている場合は、温ミストの噴霧開始と共にお湯を強制的に20センチ程度張るように制御する。
続いて、涼感ゾーンに向けて循環送風を開始する(ステップS07)。より具体的には、涼風ダンパー551b(図21参照)を開いて涼風を噴出する。その後、発汗ゾーンの目標温度を上昇させると共に温ミストの粒径を大きくして発汗ゾーンの温度維持を図るようにする。また、温ミストの噴出速度を低下させることで粒径を大きくしたミストが床面に速く落下してミスト感がなくなることを抑制している(ステップS08)。この場合において、最初だけ一時的に温風や温ミストの噴出を停止して涼風との混合を抑制して、涼感を強く感じさせることができるようにすることも好ましい。温ミストを噴霧すると温度が均一化しやすいため、涼感ゾーンの構築時は、温風と、温ミストを一時的に停止し、その後温風だけ噴出を再開し、涼感ゾーンの構築を終了する直前あたりで温ミストの噴出を再開するなどすることが涼感ゾーンを最適化するという面では更に好ましい対応となる。
続いて、第1可動ルーバーを動かして、温風及び温ミストが退避するように制御する(ステップS09)。その後、循環ファン531(図16等参照)の回転数を上昇させる(ステップS10)。これは、クールダウンの初期入浴者が強い涼感を得たいと思っているため、それに答えるための対応であるとともに、涼感ゾーンにある高温の浮遊している温ミストを無くして噴出される涼水ミストが高温化されないようにする目的もある。
ステップS10において、循環ファン531の回転数を上昇させた後、5秒経過するか判断する(ステップS11)。これは涼感を得たいと思っているエスケープ開始初期にファン回転を高めて強い涼感を入浴者に与えて高い涼感満足度を与えるようにしたものである。ステップS11において、5秒経過したと判断した後、涼感ゾーンの温度tを涼感ゾーン側温度センサーにより読み込む(ステップS12)。
ステップS11において読み込んだ涼感ゾーンの温度tと、涼感ゾーンの目標温度Ttとの偏差T1を演算する(ステップS13)。続いて、偏差T1が5℃以上あるか否か判断する(ステップS14)。
ステップS14において、偏差T1が5℃以上なかった場合、涼水ミストの噴出を開始する(ステップS15)。ステップS15における涼水ミストの噴出においては、ミストの粒径を中程度にし、ミストの噴出速度を大きくする。これは目標温度との偏差が少なく、入浴者が得たいと思っている涼感程度に対して略近い領域まで既に涼感を得ていると思われるため、涼感フィーリングの最適化と、発汗ゾーンの温度降下を無用に生じさせることがないように、粒径を中程度にしているものである。
ステップS15の涼水ミストの噴出開始後、3秒経過したか否か判断する(ステップS16)。3秒経過しない場合はステップS15の処理を継続し、3秒経過した場合は涼感ゾーンを形成したか否かのフラグFを1に設定する(ステップS19)。
ステップS14において、偏差T1が5℃以上であった場合、涼水ミストの噴出を開始する(ステップS17)。ステップS17における涼水ミストの噴出においては、ミストの粒径を大きくし、ミストの噴出速度も大きくする。これは、まだ、目標温度との偏差が大きいことから入浴者の涼感満足度はまだ不十分であると判断し、強い涼感を得られるように粒径を大きくしているものである。なお、粒径が大きいほど雰囲気温度によって高温化されることを抑制できるため、入浴者に触れた際にも冷たく感じさせることができるものである。
ステップS17の涼水ミストの噴出開始後、5秒経過したか否か判断する(ステップS18)。5秒経過しない場合はステップS17の処理を継続し、5秒経過した場合は涼感ゾーンを形成したか否かのフラグFを1に設定する(ステップS19)。
続いて、ステップS01において、涼感ゾーンを形成したか否かのフラグFが1であった場合には、発汗ゾーンの温度を発汗ゾーン側温度センサー46(図6等参照)により読み込む(ステップS20)。ここからは、涼感制御の第2ステージ制御になるものである。言い換えると、涼感を得たいと思っているエスケープ開始初期を第1ステージ制御とし、この期間は、発汗ゾーンの温度降下よりは、むしろ入浴者が満足するような強い涼感を与えるように制御を行い、以降の第2ステージ制御では、強い涼感程度というよりは、快適な涼感を与えながら、発汗ゾーンの温度維持をも図る制御ゾーンに変更されている。
ステップS20で読み込んだ発汗ゾーンの温度に基づいて、発汗ゾーンの温度降下が所定値以上となっているか否か判断する(ステップS21)。
ステップS21において、発汗ゾーンの温度降下が所定値以上となっていれば、それ以上の温度降下を避けるために、涼水ミスト及び涼風の噴出を抑える発汗ゾーンの温度維持補正を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS24で検出される涼水ミストの噴出間欠時間を1.5倍する補正を行うとともに、涼感ゾーンの目標設定温度Ttを2℃高いように上昇補正した目標補正制御量を用いる(目標設定温度Tt=Tt+2℃とする)。これによって、偏差量が見かけ上小さくなるため涼水ミスト及び涼風の噴出が抑えられ、発汗ゾーンの温度維持性能を高めることができる。
ステップS21において、発汗ゾーンの温度降下が所定値以上となっていなければ、発汗ゾーンの温度降下はまだ余裕があり、涼感満足度を与える余地が多く残されている為、ステップS24において検出データに補正を加えることなく、涼感ゾーンの温度tと、涼感ゾーンの目標温度Ttとの偏差T1にそのまま基づいて演算された値を用いて制御が行われる。
図23に示すように、偏差T1が大きいほど涼感満足度は不十分であると考えられる為風量は多くする。また、偏差T1が大きいほど涼水ミストの粒径を大きくしている。また、涼水ミストの間欠噴出時間を短くして単位時間当たりの噴出回数を多くしている。ステップS08において既に発汗ゾーンの温ミスト粒径も大きくしているが(図23のステップS24の一点鎖線で発汗ゾーンの温ミストの粒径を示す)、涼感ゾーンの涼水ミストは、強い涼感を与える為に温ミストの粒径より実質的に大きくしている。具体的には、偏差T1が非常に小さくなった領域では涼感を得たいと言う領域ではないため、このような小さな領域だけに限って涼水ミストの粒径は温ミストの粒径より小さくなっているものである。このように涼水ミストの粒径を大きくすることで涼水ミストは速やかに落下しやすくなるため空気中に浮遊することが抑制されて発汗ゾーンの温度降下を抑制できるという効果も奏することができている。
ステップS24の処理を行うことにより、偏差T1に基づいて最適な涼水ミストの噴出が行われるが、涼水ミストの水量はあくでも発汗ゾーンに対する温ミストの水量の1/5程度であり、発汗ゾーンの温度維持を図りながら、局部的なエリアに対して涼感ゾーンを構築していることが見て取れる。(図24参照)。
続いて、涼感ゾーンの温度が目標温度の範囲内であるか否かを判断する(ステップS25)。涼感ゾーンの温度が目標温度の範囲内でなければ、ステップS01にリターンし、涼感ゾーンの温度が目標温度の範囲内であれば、ステップS26の処理に進む。
続いて、涼水ミストの噴出を停止する(ステップS26)。その後、エスケープモードがOFFされているか否かを判断する(ステップS27)。エスケープモードがOFFされていれば、フラグFを0に設定し、ステップS01の処理に戻る(ステップS28)。
ステップS27において、エスケープモードがOFFされていない場合は、エスケープモードの継続時間が所定時間以上となっているか判断する(ステップS29)。エスケープモードの継続時間が所定時間以上となっていなければ、ステップS01の処理に戻る。エスケープモードの継続時間が所定時間以上となっていれば、発汗エリアにおける温ミストの噴出を休止する(ステップS30)。その後、フラグFを0に設定し、ステップS01の処理に戻る(ステップS31)。これは、あまりにも長くクールダウンを行っている状況であり、サイクル入浴を行うことを辞めたと思えること、及び発汗ゾーンの維持に温ミストを噴出しながら高温に維持することは大きなエネルギーロスになること(温風だけであれば高温維持は容易であるが、温ミストを噴出すると温度降下が起きるため高温維持には大きなエネルギーが必要であるため)から、温ミストの噴出だけを休止して温風だけを継続させている。なお、今回は、温ミストの噴出だけを休止しているが、あまりにも長い間エスケープモードが続くようであれば無駄であるため、温風も休止してもよい。
続いて、浴室空調機本体10を用いてゾーン分離空調制御を行う場合のタイムチャートを図25に示す。図25においては上から順に、暖房ファンとしての循環ファン531の回転数、暖房ヒータ60,61,62の温度、温ミストの流量、温ミストの粒径、循環・換気切替ダンパー551による循環/換気の切替状態、涼風ファンとしての循環ファン531aの回転数、涼感ミストの流量、涼感ミストの粒径、涼感ミストの温度、涼風ダンパー551bによる循環/外気の切替状態、第1可動ルーバー501の作動状態、第2可動ルーバー511の作動状態を示している。また、それらの作動状況に応じた発汗ゾーンの温度及び涼感ゾーンの温度を示している。
図25に示すタイムチャートは、時刻0から時刻t1までがミストサウナ中であり、時刻t1から時刻t3までがエスケープ中(涼感ゾーン構築中)である。時刻t1から時刻t2までは涼感をより強く感じさせるように涼感ゾーンを構築する期間である。時刻t3から時刻t5までは、発汗ゾーンを再構築する期間であって、発汗ゾーン回復制御を行っている期間である。時刻t3から時刻t4までは高温度化することで発汗ゾーンを再構築し、時刻t4から時刻t5までは高湿度化することで発汗ゾーンを再構築する期間である。以下、詳細に説明する。
時刻0から時刻t1までは、浴室空間内に発汗ゾーンのみを作るモードで運転している。従って、循環ファン531の回転数は中程度(Mi)、暖房ヒータ60,61,62の温度は中程度(Mi)、温ミストの流量は中程度(Mi)、温ミストの粒径は大径、循環/換気の切替は循環状態、循環ファン531aは停止、涼感ミストは噴出停止、涼感ミストの温度は高い状態で維持、循環/外気の切替は循環状態、発汗ゾーン側可動ルーバーである第1可動ルーバー501は浴室空間全体に揺動する状態(ミスト状態)、涼感ゾーン側可動ルーバーである第2可動ルーバー511は入浴者の顔近傍を向くように比較的高い位置に向いた状態(顔位置)となっている。この場合、発汗ゾーンも涼感ゾーンとなる領域も共に高温状態である。
続いて、時刻t1から時刻t2まで(本例では約1分間)は、浴室空間内に発汗ゾーンと並存させて涼感ゾーンを形成するモードであって、特に強い涼感を与えられるように制御されている。従って、循環ファン531は停止状態(OFF)、暖房ヒータ60,61,62は停止状態(OFF)となっている(図25におけるD部分)。温ミストは停止状態(OFF)、温ミストの粒径は小径で噴出可能なように保持されている。
循環/換気の切替は循環状態、循環ファン531aの回転数は高程度(Hi)、エアコンAC1は駆動状態(ON)となっている(図25におけるE部分)。循環/換気の切替を外気取り込み状態としている(図25における破線部分)。
涼感ミストは、時刻t1から少し進んだ時刻(予め定められる所定の時間経過後)において噴出が開始される(図25におけるF部分)。涼感ミストの流量は、時刻t1から少し進んだ時刻から時刻t2までにおいて、大流量(Hi)となるように制御される。涼感ミストの粒径は、時刻t1から少し進んだ時刻から時刻t2よりも少し前の時刻までにおいて、大径(Hi)となるように制御されている(図25におけるG部分)。涼感ミストの温度は高い状態で維持された後、涼感ミストの噴出が開始されてから所定の時間経過後であって、時刻t2よりも前の時刻において、温度が低い状態に制御され(図25におけるH部分)、入浴者に過度の刺激を与えないようにされている。
第1可動ルーバー501は発汗ゾーンに集中する状態(ES状態)、第2可動ルーバー511は入浴者の顔近傍を向くように比較的高い位置に向いた状態(顔位置)を維持した後、時刻t2の少し前の時刻において広角に涼風を噴出することが可能なように制御される。
続いて、時刻t2から時刻t3までは、涼感を与えつつ浴室空間の温度が下がり過ぎないように制御する期間である。より具体的には、浴室空間の温度は高めるが絶対湿度を下げ、かつ涼風を入浴者に当てることで入浴者の温度境界層を薄くし、これによって入浴者に涼感を与えている。この期間の後半では、相対湿度を下げて気化熱によって涼感を与えている。
循環ファン531は間欠回転状態となっていて、暖房ヒータ60,61,62は循環ファン531の間欠運転に合わせて通電される。間欠運転の間隔は当該時間帯の前半においては比較的開いており、当該時間帯の後半においては比較的狭まっている。また、間欠運転の時間は当該時間帯の前半において比較的短く、当該時間帯の後半においては比較的長くなっている。また、当該時間帯の前半において温ミストは停止状態(OFF)、温ミストの粒径は小径で噴出可能なように保持されているが、当該時間帯の後半において温ミストは間欠噴出される(図25のK部分)。
循環/換気の切替は循環状態で維持される。循環ファン531aの回転数は、時刻t2から少し後の時刻までは高程度(Hi)に維持され、その後中程度(Mi)に落とされる(図25のJ部分)。循環ファン531aの回転数が中程度(Mi)になったのと同調させて、涼感ミストの間欠噴出が開始される(図25のL部分)。
涼感ミストの粒径は、中程度の径(Mi)となるように制御されている。涼感ミストの温度は低い状態(Lo)で維持された後、所定時間経過後に高い状態(Hi)となるように制御される。
第1可動ルーバー501は発汗ゾーンに集中する状態(ES状態)、第2可動ルーバー511は広角に涼風を噴出することが可能なように制御された後、揺動するように制御される。
続いて、時刻t3から時刻t5までは、発汗ゾーンを再構築する時間帯である。発汗ゾーンの再構築は、時刻t3から時刻t4までの高温度化制御(発汗ゾーン回復制御)と、時刻t4から時刻t5までの高湿度化制御(発汗ゾーン回復制御)とによって構成されている。これは、高温度化制御を先に行うことで発汗ゾーンの温度上昇をより効果的に行い、その後高湿度化することで発汗ゾーンの構築を行うことを意図している。図26に示すように、温ミストを噴出すると発汗ゾーンの温度は一時的に低下する。従って、高温度化制御の際には温ミストの噴出を抑制して発汗ゾーンの温度が一時的に低下することを抑制している。
図25に戻り、時刻t3から時刻t4まで、循環ファン531は中回転(Mi)となるように制御され、暖房ヒータ60,61,62にも通電される。また、温ミストは流量中(Mi)で噴出され、温ミストの粒径は小径で噴出可能なように保持されている。
循環/換気の切替は循環状態で維持される。循環ファン531aは停止、涼感ミストは噴出停止、涼感ミストの温度は高い状態で維持、循環/外気の切替は循環状態となっている。
第1可動ルーバー501は、発汗ゾーンに集中した状態に維持される。第2可動ルーバー511は入浴者の顔近傍を向くように比較的高い位置に向いた状態(顔位置)となっている。これによって、温風を噴出する領域を狭めて、より効果的に温度上昇を図っている。
時刻t4から時刻t5まで、循環ファン531は高回転(Hi)となるように制御され、暖房ヒータ60,61,62にも通電される。また、温ミストは流量大(Hi)で噴出され、温ミストの粒径は大径で噴出可能なように保持されている。
循環/換気の切替は循環状態で維持される。循環ファン531aは停止、涼感ミストは噴出停止、涼感ミストの温度は高い状態で維持、循環/外気の切替は循環状態となっている。
第1可動ルーバー501は、発汗ゾーンに集中した状態から浴室空間全体に揺動する状態(ミスト状態)へと移行するように制御される。第2可動ルーバー511は広角に搖動するように制御される。
引き続いて、図16に示した浴室空調機本体10の変形例を図27を参照しながら説明する。図27は、変形例である浴室空調機本体10dの内部構成を模式的に示した図である。
浴室空調機本体10dは、風路部分226と、カバー部分227とを備えている。風路部分226は、第1風路部分226a、第2風路部分226b、第3風路部分226c、第4風路部分226d、第5風路部分226e、第6風路部分226f、第7風路部分226gを有している。
第1風路部分226a、第2風路部分226b、及び第3風路部分226cは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第1風路部分226aから吸い込まれる空気の方向と、第3風路部分226cから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。また、第2風路部分226bと第3風路部分226cとが繋がる部分には、更に第4風路部分226dが繋がっている。
第1風路部分226aと第2風路部分226bとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531が設けられている。循環ファン531は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ53によって駆動される(図9参照)。本例の場合、循環ファン531は暖房ファンとして機能している。
第2風路部分226b、第3風路部分226c、及び第4風路部分226dが繋がる部分には、循環・換気切替ダンパー551が設けられている。循環・換気切替ダンパー551は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転するダンパー駆動モータ55によって駆動される(図9参照)。
第3風路部分226cの終端部分には、暖房ヒータ60,61,62が取り付けられている。暖房ヒータ60,61,62は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて開閉するスイッチ601,611,621によって通電状態が制御される(図9参照)。
第5風路部分226e、第6風路部分226f、及び第7風路部分226gは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第5風路部分226eから吸い込まれる空気の方向と、第7風路部分226gから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。
第6風路部分226fと第7風路部分226gとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531aが設けられている。循環ファン531aは、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ(図に明示しない)によって駆動される。本例の場合、循環ファン531aは涼風ファンとして機能している。
上述した、第1風路部分226a、第2風路部分226b、第3風路部分226c、循環ファン531、暖房ヒータ60,61,62と、後述するミストノズル73,74は、発汗ゾーン側に温風及び温ミストを噴出する温噴出装置を構成する。また、第1風路部分226a及びそれに繋がるカバー部分227と天井との隙間から発汗側空気吸引手段が構成されている。また、上述した第5風路部分226e、第6風路部分226f、第7風路部分226g、循環ファン531aと、後述するミストノズル72は、涼感ゾーン側に涼風及び涼水ミストを噴出する涼噴出装置を構成する。また、第5風路部分226e及びそれに繋がるカバー部分227と天井との隙間から涼感側空気吸引手段が構成されている。このように内部構成においても独立して設けられている温噴出装置と涼噴出装置との間には、仕切り部材203が設けられている。仕切り部材203は板状の部材であって、一方の面にラック203aが形成されている。仕切り部材203に形成されたラック203aに噛み合うようにピニオン204が設けられている。従って、ピニオン204の回転に応じて上下に移動するラック203aと連動して仕切り部材203が上下に移動するように構成されている。仕切り部材203は、ゾーン分離空調制御を行う際に天井側から下方に向けて突出し、ゾーン分離空調制御を行わない際には図示するように格納されている。また、本実施形態の場合、仕切り部材203を板状の部材としているが、カーテン状の布を垂らすようにして仕切り部材とすることも好ましい。
カバー部分227は、風路部分226を覆うように取り付けられている。カバー部分227は風路部分226を覆うと共に、浴室ユニットBRの天井部材24における平坦な天井部分241(図1参照)との間に所定の隙間を確保した状態で取り付けられている。従って、風路部分226に取り付けられている循環ファン531,531aが回転すると、カバー部分227と天井部分241との隙間から空気が吸い込まれる。
カバー部分227の、第3風路部分226cに対応する部分には、開口部227aが形成されている。開口部227aには、3つの第1可動ルーバー501が設けられている。3つの第1可動ルーバー501は、暖房ヒータ60,61,62の直下に取り付けられている。
カバー部分227の、第7風路部分226gに対応する部分には、開口部227bが形成されている。この開口部227bには、第2可動ルーバー511が設けられている。
3つの第1可動ルーバー501の内の2つの第1可動ルーバー501の近傍には、ミストノズル73,74が設けられている。第2可動ルーバー511の近傍には、ミストノズル72が設けられている。ミストノズル72とミストノズル73,74とは、開口部227a,227bを挟んで反対側に取り付けられている。従って、ミストノズル72のミスト噴出方向と、ミストノズル73,74のミスト噴出方向とは互いに逆方向になるように構成されている。
カバー部分227の、仕切り部材203に対応する部分には、開口部227cが設けられている。仕切り部材203は、開口部227cを通って浴室空間内に突出する。
図27に示す浴室空調機本体10cにおいては、発汗ゾーンを形成する場合には暖房ヒータ60,61,62に通電した状態で循環ファン531を回転させて、温風を浴室内に噴出する。この温風噴出に併せて、ミストノズル73,74から温ミストを噴出して浴室内をミストサウナ空間とする。
一方、涼感ゾーンを形成する場合には、循環ファン531aを回転させ、涼風を噴出する。この涼風噴出に併せて、ミストノズル72から涼水ミストを噴出することも好ましい。浴室空調機本体10dでは、涼風を噴出する第5風路部分226e、第6風路部分226f、第7風路部分226gが、暖房ヒータ60,61,62をバイパスする形で、温風を噴出する第1風路部分226a、第2風路部分226b、第3風路部分226cとは独立して設けられているので、温風と涼風とが混ざり合いにくく、より効率的に発汗ゾーンと涼感ゾーンとを併存形成できる。また、暖房ヒータ60に通電した状態で涼風を提供できるので、発汗ゾーンの温度維持をより的確に行うことができる。
引き続いて、図27に示した浴室空調機本体10cの変形例を図28を参照しながら説明する。図28は、変形例である浴室空調機本体10dの内部構成を模式的に示すと共に、浴室空調機本体10dを浴室ユニットBRに設置した様子を示す図である。
浴室空調機本体10dは、風路部分228と、カバー部分229とを備えている。風路部分228は、第1風路部分228a、第2風路部分228b、第3風路部分228c、第4風路部分228d、第5風路部分228e、第6風路部分228f、第7風路部分228gを有している。
第1風路部分228a、第2風路部分228b、及び第3風路部分228cは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第1風路部分228aから吸い込まれる空気の方向と、第3風路部分228cから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。また、第2風路部分228bと第3風路部分228cとが繋がる部分には、更に第4風路部分228dが繋がっている。
第1風路部分226aと第2風路部分226bとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531が設けられている。循環ファン531は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ53によって駆動される(図9参照)。本例の場合、循環ファン531は暖房ファンとして機能している。
第2風路部分228b、第3風路部分228c、及び第4風路部分228dが繋がる部分には、循環・換気切替ダンパー551が設けられている。循環・換気切替ダンパー551は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転するダンパー駆動モータ55によって駆動される(図9参照)。
第3風路部分228cの終端部分には、暖房ヒータ60,61,62が取り付けられている。暖房ヒータ60,61,62は、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて開閉するスイッチ601,611,621によって通電状態が制御される(図9参照)。
本変形例の場合、第1風路部分228aが浴室ユニットBRの中心側(浴槽BTの側壁BT3の略直上)に配置され、第3風路部分228cが浴室ユニットBRの壁面側に配置されている。
第5風路部分228e、第6風路部分228f、及び第7風路部分228gは、互いに90度の角度を成すように繋がっている。従って、第5風路部分228eから吸い込まれる空気の方向と、第7風路部分228gから噴出する空気の方向は互いに180度の角度を成している。
第6風路部分228fと第7風路部分228gとが繋がる部分の近傍には、循環ファン531aが設けられている。循環ファン531aは、浴室ミストサウナ装置MSのCPU40からの指示信号に基づいて回転する循環ファン駆動モータ(図に明示しない)によって駆動される。本例の場合、循環ファン531aは涼風ファンとして機能している。
上述した、第1風路部分228a、第2風路部分228b、第3風路部分228c、循環ファン531、暖房ヒータ60,61,62と、後述するミストノズル73,74は、発汗ゾーン側に温風及び温ミストを噴出する温噴出装置を構成する。また、上述した第5風路部分228e、第6風路部分228f、第7風路部分228g、循環ファン531aと、後述するミストノズル72は、涼感ゾーン側に涼風及び涼水ミストを噴出する涼噴出装置を構成する。このように内部構成においても独立して設けられている温噴出装置と涼噴出装置との間には、仕切り部材203が設けられている。仕切り部材203は板状の部材であって、一方の面にラックが形成されている(図27参照、図28においては明示しない)。仕切り部材203に形成されたラックに噛み合うようにピニオン(図27参照、図28においては明示しない)が設けられている。従って、ピニオンの回転に応じて上下に移動するラックと連動して仕切り部材203が上下に移動するように構成されている。仕切り部材203は、ゾーン分離空調制御を行う際に天井側から下方に向けて突出し、ゾーン分離空調制御を行わない際には図示するように格納されている。また、本実施形態の場合、仕切り部材203を板状の部材としているが、カーテン状の布を垂らすようにして仕切り部材とすることも好ましい。
カバー部分229は、風路部分228を覆うように取り付けられている。カバー部分229の、第1風路部分228aに対応する部分には、開口部229aが形成されている。第3風路部分228cに対応する部分には、開口部229bが形成されている。開口部229bには、3つの第1可動ルーバー501が設けられている。3つの第1可動ルーバー501は、暖房ヒータ60,61,62の直下に取り付けられている。
カバー部分229の、第5風路部分228eに対応する部分には、開口部229cが形成されている。第7風路部分228gに対応する部分には、開口部229dが形成されている。この開口部229dには、第2可動ルーバー511が設けられている。
3つの第1可動ルーバー501の内の2つの第1可動ルーバー501の近傍には、ミストノズル73,74が設けられている。第2可動ルーバー511の近傍には、ミストノズル72が設けられている。ミストノズル72とミストノズル73,74とは、開口部229b,229dを挟んで反対側に取り付けられている。従って、ミストノズル72のミスト噴出方向と、ミストノズル73,74のミスト噴出方向とは互いに逆方向になるように構成されている。
図27に示す浴室空調機本体10dにおいては、発汗ゾーンを形成する場合には暖房ヒータ60,61,62に通電した状態で循環ファン531を回転させて、温風を浴室内に噴出する。この温風噴出に併せて、ミストノズル73,74から温ミストを噴出して浴室内をミストサウナ空間とする。
一方、涼感ゾーンを形成する場合には、循環ファン531aを回転させ、涼風を噴出する。この涼風噴出に併せて、ミストノズル72から涼水ミストを噴出することも好ましい。浴室空調機本体10dでは、涼風を噴出する第5風路部分228e、第6風路部分228f、第7風路部分228gが、暖房ヒータ60,61,62をバイパスする形で、温風を噴出する第1風路部分228a、第2風路部分228b、第3風路部分228cとは独立して設けられているので、温風と涼風とが混ざり合いにくく、より効率的に発汗ゾーンと涼感ゾーンとを併存形成できる。また、暖房ヒータ60に通電した状態で涼風を提供できるので、発汗ゾーンの温度維持をより的確に行うことができる。
本実施形態である浴室ミストサウナ装置を構成する浴室空調機本体を浴室ユニットに取り付けた一例を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置によって実現可能なゾーン空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置のブロック構成図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の洗面所リモコンの操作パネルを示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室内リモコンの操作パネルを示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室内リモコンの詳細設定パネルの一例を示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室内リモコンの詳細設定パネルの一例を示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室内リモコンの詳細設定パネルの一例を示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の配管図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 図16に示す浴室空調機本体の設置例を示す図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 本実施形態の変形例である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 図21に示す浴室空調機本体を設置する態様を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置を用いたゾーン分離空調制御のフローを示すフローチャートである。 図23に示すゾーン分離空調制御を説明するための図である。 本実施形態である浴室ミストサウナ装置を用いたゾーン分離空調制御のタイムチャートである。 図25に示すタイムチャートを説明するための図である。 本実施形態の変形例である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造図である。 本実施形態の変形例である浴室ミストサウナ装置の浴室空調機本体構造及びそれを設置する態様を説明するための図である。
符号の説明
BR…浴室ユニット、BT…浴槽、10…浴室空調機本体、20…床部材、21,22,23…壁部材、24…天井部材、MS…浴室ミストサウナ装置、40…CPU40、41…記憶部、42…洗面所リモコン、43…浴室内リモコン、44…第1水温センサー、45…第2水温センサー、46…第1温度センサー、47…第2温度センサー、48…浴室湿度センサー、49…洗面所湿度センサー、50…第1可動ルーバー用モータ、501…第1可動ルーバー、51…第2可動ルーバー用モータ、511…第2可動ルーバー、52…給水・給湯装置、53…循環ファン駆動モータ、531…循環ファン、54…ポンプ駆動モータ54、541…ミストポンプ、55…ダンパー駆動モータ55、551…循環・換気切替ダンパー、56…メインバルブ、57…ミストバルブ、58…ミストバルブ、59…排水バルブ。

Claims (4)

  1. 実体物によって分離されていない一つの空間として構成され、浴槽領域と洗い場領域とを備える浴室空間内に、入浴者に発汗を促すためのミストサウナ空間を形成する浴室ミストサウナ装置であって、
    浴室空間内に温ミストを噴出する温ミスト噴出手段と、
    浴室空間内に涼水ミストを噴出する涼水ミスト噴出手段と、
    空気を加熱する加熱手段によって加熱された温風を浴室空間内に噴出する温風噴出手段と、
    浴室空間内に涼風を噴出する涼風噴出手段と、
    前記温ミスト噴出手段と、前記涼水ミスト噴出手段と、前記温風噴出手段と、前記涼風噴出手段とをそれぞれ制御し、温ミスト及び温風を噴出させることで入浴者に発汗を促す高温多湿の発汗ゾーンを形成すると共に、涼水ミスト及び涼風を噴出させることで、発汗した入浴者に対して清涼感を体感させ得る涼感ゾーンを発汗ゾーンと併存形成するゾーン分離空調制御を行って、併存形成された発汗ゾーンと涼感ゾーンとの間を入浴者が往来することによって、浴室空間内において入浴者が発汗と清涼感の体感とを交互に体験することができるサイクル入浴を可能とする制御手段と、を備え、
    発汗ゾーンと涼感ゾーンとの境界部の天井側から下方に向けて、入浴者の移動を妨げない程度の長さ延びる仕切り部材が設けられていることを特徴とする浴室ミストサウナ装置。
  2. 前記温風噴出手段、発汗ゾーン側から浴室空間内の空気を吸い込んで前記温風噴出手段に供給する発汗側空気吸引手段、及び前記温ミスト噴出手段を有する温噴出装置と、前記涼風噴出手段、涼感ゾーン側から浴室空間内の空気を吸い込んで前記涼風噴出手段に供給する涼感側空気吸引手段、及び前記涼ミスト噴出手段を有する涼噴出装置と、を備え、
    前記温噴出装置と前記涼噴出装置とは前記仕切り部材を挟んで互いに独立して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ミストサウナ装置。
  3. 前記仕切り部材は、ゾーン分離空調制御を実行する際に天井側から下方に向けて突出し、ゾーン分離空調制御を行わない際には格納されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ミストサウナ装置。
  4. 前記仕切り部材は、浴槽の洗い場領域側の壁面の略延長線上よりも浴槽内側に偏らせて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ミストサウナ装置。
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