JP2009071604A - 平面アンテナ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンテナモジュール10は、絶縁基板12に形成されたループ状のアンテナコイル14と、絶縁基板12の内層で上面側に設けられたフェライトコア18と、絶縁基板12の内層で下面側に間隔を置いて設けられたリカロイシート20とを備える。アンテナコイル14は、通信時に絶縁基板12の上面にて通信用の磁界を発生させる。発生した磁界は、フェライトコア18とリカロイシート20によって閉じ込められるので、外部への磁界の漏れが防止される。
【選択図】図2
Description
すなわち本発明は、絶縁基板にアンテナ導体を形成した平面アンテナ(フラットアンテナ)である。アンテナ導体は基板上に配線パターンとして形成されていてもよいし、基板の内層に埋め込まれた状態で形成されていてもよい。いずれにしても、アンテナ導体は基板に対してループ状に形成されており、基板の一方の面を通信時のアンテナ面(通信用の磁界を発生させたり、他からの磁界を感受したりする面)として使用する。
(2)第2の軟磁性体は、アンテナ導体のループより外側に拡がってアンテナ面に沿う方向に延びている。この場合、絶縁基板の平面視で第2の軟磁性体とアンテナ導体とが重なった状態にある。
図1は、例えばRFID用通信機器(リーダ/ライタ)に使用されるアンテナモジュール10の一実施形態を概略的に示した平面図である。本実施形態のアンテナモジュール10は、例えば矩形状の絶縁基板12上にループ状のアンテナコイル14(アンテナ導体)を形成した平面アンテナである。
上記のフェライトコア18は、絶縁基板12の内層でも、そのアンテナ面側(上側)に位置している。またフェライトコア18は、絶縁基板12のアンテナ面に沿う方向(図1の平面視)でみて、アンテナコイル14の内側の範囲内だけに形成されている。本実施形態では、フェライトコア18を例えばソフトフェライトで構成している。
上記のリカロイシート20は、絶縁基板12の内層でも、そのアンテナ面と反対側(下側)に位置している。またリカロイシート20は、絶縁基板12の厚み方向でみて、フェライトコア18から間隔を置いた下層に位置している。なお、リカロイシート20は絶縁基板12のアンテナ面に沿い、その外周縁(図1の平面視で全域)まで拡がっている。このため図1の平面視では、絶縁基板12の一角(右下隅)を内層まで破断したとき、リカロイシート20がアンテナコイル14よりも外側の範囲まで延びている様子が示されている。本実施形態では、リカロイシート20を例えば金属ガラス(アモルファス金属)で構成している。
Tb > (D1+Tf)+(D2+Ts)
C = Tb−(D1+Tf)−(D2+Ts)
次に、本実施形態のアンテナモジュール10について、その通信性能の評価をシミュレーションによって行い、比較例との対比をもって本実施形態の優位性を検証する。
シミュレーションでは先ず、絶縁基板12のアンテナ面(上面)から所定距離(数十mm程度)離れた水平面(図中H)を仮想的に形成し、この水平面Hに流入する磁界強度分布を解析した。
(2)外部渦電流分布
またシミュレーションでは、通信時に金属板16の上面(表面)に発生する渦電流分布を解析した。
(3)垂直磁界強度分布
さらにシミュレーションでは、絶縁基板12の長手方向でみた中心位置を通る垂直断面(図中V)を仮想的に形成し、この垂直断面Vでみた磁界強度分布を解析した。
本実施形態に対する比較例1〜3として、それぞれ以下の条件を与えてシミュレーションを行った。
比較例1:絶縁基板12に対してフェライトコア18、リカロイシート20をいずれも設けない構成である。その他の構成(アンテナコイル14)は、本実施形態と同様とする。
比較例2:絶縁基板12の内層にフェライトコア18だけを設け、リカロイシート20を設けない構成である。その他の構成(アンテナコイル14)は、本実施形態と同様とする。
比較例3:絶縁基板12の内層にフェライトコア18、リカロイシート20をいずれも形成せず、その下面に別の磁性体シートを貼り付けた構成である。その他の構成(アンテナコイル14)は、本実施形態と同様とする。
先ず、本実施形態と比較例1との対比から説明する。
図4は、上記ポイント(1)の水平磁界強度分布及び(2)の外部渦電流分布の解析結果について、本実施形態と比較例1とを対比して示した図である。図4中の上段に示される(A),(D)は上記のポイント(1)の水平磁界強度分布に関する解析結果を示し、図4中の中段に示される(B),(E)は、水平面H上で長手方向にみた磁界強度の分布を示している。そして図4中の下段に示される(C),(F)は、上記のポイント(2)の外部渦電流分布に関する解析結果を示している。以下、本実施形態と比較例1とを対比しつつ説明する。
図4中(A):本実施形態について、上記の水平面Hに流入する磁界の分布範囲(境界線MF0)を示している。RFIDの通信用として有効な強度の磁界(磁束)は主に境界線MF0の内側で発生しており、その外側では磁界強度が低くなっている。本実施形態では、水平面Hの広い範囲にわたって強い磁界が発生していることが分かる。
図4中(E):また比較例1では、同じ水平面Hでも磁界強度が全体的に低く、そのピークも本実施形態に比較して一段と低いことが分かる。
図4中(C):本実施形態について、外部の金属板16表面で発生する渦電流の分布境界線EC0を示している。アンテナコイル14から発生した磁界が外部の金属板16にまでわずかに到達することにより、境界線EC0の内側で渦電流が発生している。本実施形態では、アンテナコイル14のループ形状に沿い、ある程度の範囲内で渦電流が発生しているものの、その範囲は全体として狭く抑えられている。
次に図5は、上記ポイント(3)の垂直磁界強度分布の解析結果について、本実施形態と比較例1とを対比して示した図である。
以上より、比較例1ではアンテナコイル14によって発生する磁界が外部の金属板16にまで大きく漏れており、そこで強い渦電流を発生させていることが明らかである。その結果、金属板16から逆方向の磁界が発生して本来の正磁界を打ち消し、水平面Hに流入する磁界の分布範囲(境界線MF1)を狭めるとともに、その磁界強度を全体的に低くしていると考えられる。
図6は、比較例2,3について行った(1)水平磁界強度分布及び(2)外部渦電流分布の解析結果を模式的に示す図である。以下同様に、比較例2,3について解析結果を挙げて説明する。
図6中(A):比較例2の場合、水平面Hに流入する磁界の分布範囲(境界線MF2)が本実施形態より僅かに狭くなっている。
図6中(B):また、水平面Hに流入する磁界の強度は、そのピークも含めて全体的に本実施形態よりも低いことが分かる。
図6中(C):金属板16の表面では、比較例1のような強い渦電流は発生していないが、渦電流の分布範囲(境界線EC2)は本実施形態よりも広くなっている。
図6中(D):比較例3の場合、水平面Hに流入する磁界の分布範囲(境界線MF3)は本実施形態とほぼ同等である。
図6中(E):また水平面Hに流入する磁界の強度についても、そのピークも含めて本実施形態とほぼ同等である。
図6中(F):ただし、金属板16の表面で発生する渦電流の分布範囲(境界線EC3)は、比較例2と同じく本実施形態よりも広くなっている。
図7は、比較例2,3について行った(3)の垂直磁界強度分布の解析結果を模式的に示した図である。
図7中(A):比較例2では、垂直断面Vでみた磁界強度の分布(境界線MF2)が全体として良好なドーム形状を示しているものの、ドーム中央の高さは本実施形態に比較すると僅かに低くなっている。
図7中(B):比較例3もまた、垂直断面Vでみた磁界強度の分布(境界線MF3)が全体として良好なドーム形状を示しているものの、ドーム中央の高さは本実施形態に比較すると僅かに低くなっている。
以上より、比較例2,3ではアンテナコイル14によって発生する局部磁界は外部の金属板16に対してあまり影響していないものの、絶縁基板12の下側で広い範囲に通信用の磁界(境界線MF2,MF3)が漏れているため、金属板16の表面の広い範囲で渦電流を発生させていることが分かる。その結果、極端に強いものではないが、やはり金属板16から発生する反磁界が本来の正磁界を打ち消し、全体的な磁界強度を僅かに低くしていると考えられる。
シミュレーションの解析結果から明らかなように、本実施形態は比較例1〜3のいずれに対しても通信性能において優位性を持つ。すなわち、本実施形態のアンテナモジュール10を用いれば、例えば水平面Hの位置で相対させた通信対象(無線ICカード等)に対し、より大きい範囲内で一定強度の磁界を及ぼすことで、良好な通信性能を得ることができる。これに対し比較例1〜3では、同じ位置でも小さい範囲内でしか磁界を及ぼすことができないか、もしくは強度の低い磁界を及ぼすことしかできないことから、通信性能の面で本実施形態には劣る。
本発明の発明者は、シミュレーションの解析結果から本実施形態の優位性を客観的に確認する一方で、本実施形態のアンテナモジュール10が良好な通信性能を発揮する仕組みに関して独自の知見を見出した。以下、発明者による独自の知見について説明し、本実施形態による優位性の論理づけとする。
また本発明の発明者は、アンテナモジュール10を好適に実施する上で、以下の条件を提供している。
12 絶縁基板
14 アンテナコイル
16 金属板
18 フェライトコア
20 リカロイシート
Claims (8)
- 所定の絶縁基板に形成された状態で、その一方の面を通信時のアンテナ面として使用するループ状のアンテナ導体と、
前記絶縁基板に対し、その厚み方向でみて前記アンテナ面側に設けられた第1の軟磁性体と、
前記絶縁基板に対し、その厚み方向でみて前記アンテナ面と反対側に前記第1の軟磁性体から間隔を置いて設けられた第2の軟磁性体と
を備えたことを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1に記載の平面アンテナにおいて、
前記第1及び第2の軟磁性体は、前記絶縁基板の厚み方向でみて前記アンテナ導体よりも前記アンテナ面の反対側に位置していることを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1又は2に記載の平面アンテナにおいて、
前記第1の軟磁性体は、前記アンテナ面に沿う方向でみて前記アンテナ導体のループよりも内側の範囲内に配置されており、
前記第2の軟磁性体は、前記アンテナ導体のループより外側に拡がって前記アンテナ面に沿う方向に延びていることを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の平面アンテナにおいて、
前記第1の軟磁性体は、前記絶縁基板の内層に設けられていることを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1から4のいずれかに記載の平面アンテナにおいて、
前記第2の軟磁性体は、前記絶縁基板の内層に設けられていることを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1から5のいずれかに記載の平面アンテナにおいて、
前記第2の軟磁性体の磁性損失は、前記第1の軟磁性体の磁性損失よりも高いことを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項6に記載の平面アンテナにおいて、
前記第1の軟磁性体がソフトフェライトからなり、
前記第2の軟磁性体が金属ガラスからなることを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1から7のいずれかに記載の平面アンテナにおいて、
前記アンテナ導体から発生する磁界を用いて、電磁誘導方式による通信が可能であることを特徴とする平面アンテナ。
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