JP2009071225A - 透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents

透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム及びプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】裏面へのスリ傷、異物付着、皺の発生に伴う品質低下、歩留まりの低下が少ないロールツーロール方式での透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム、及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルの提供。
【解決手段】パターン状の金属超微粒子触媒層を表面に有する(透明な)帯状支持体を使用し、少なくともメッキ処理により前記金属超微粒子触媒層の上に金属層を形成し、導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルムをロールツーロール方式で製造する透明電磁波遮断フィルムの製造方法において、前記メッキ処理がロールツーロール方式で行われ、且つ、前記帯状支持体の裏面に剥離可能な保護フィルムを有してメッキ処理が行われることを特徴とする透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム及びこの透明電磁波遮断フィルムを使用したプラズマディスプレイに関する。詳しくは携帯電話、電子レンジ、CRT、及びプラズマディスプレイ(以下、PDPとも言う)等の電子機器から発生する電磁波を遮断する透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム及びPDPに関する。
近年、携帯電話やパソコン、TVなどに用いられるディスプレイ装置等に代表されるような電子機器の使用する機会の増加している。これらの電子機器からは一般に電磁波が放出されており、電子機器の使用増大のために電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)を低減する必要性が高まっている。EMIは、電子機器、電気機器の誤動作、障害の原因になる他、人体に対しても害を与えることが指摘されている。このため、電子機器では、この様なEMIを低減する必要性が高まっており、欧米を中心に電磁波放出の強さに関する規格又は規制が設けられ、最近の電子機器にはこれらの基準を満たすことが求められている。
電磁波を遮断する方法として、金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよい。例えば、筐体を金属体又は高導電体にする方法や、回路基板間に金属板を挿入する、ケーブルを金属箔で覆う方法などである。しかし、これらの材料は、一般的に不透明であるため、CRTやPDP、或いは窓ガラスのように視認性を必要とする機材には用いることが出来ず、その用途は限られていた。CRT、PDP等では観察者が画面に表示される文字等を認識する必要があり、透光性が要求されている。
特に、PDPは、希ガスをプラズマ状態にして紫外線を放射させこの光線で蛍光体を発光させる原理に基づくためにCRT等と比較すると多量の電磁波を発生し強い電磁波遮蔽性が求められるため、PDP用の透光性電磁波遮蔽フィルムでは極めて高い導電性が要求されている。又、透明性に関する要求レベルとしても透過率が70%以上、PDP用として透過率が80%以上と言う高い透明性が望まれている。
電磁波遮蔽能は、簡便には表面抵抗値で表すことが出来、PDP用の透光性電磁波遮蔽フィルムでは、10Ω/□以下が要求され、PDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、2Ω/□以下とする必要性が高く、より望ましくは0.2Ω/□以下という極めて高い導電性が要求されている。
電磁波遮蔽性能と、透明性を両立させる手段として、これまでに多くの検討がなされてきた。例えば、特開2004−179405号公報には、銀などの導電性材料の薄膜をスパッタ法などにより透明基材上に形成する方法が記載されている。特開2003−23290号公報には、金属薄膜のフォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法は製造工程が複雑であり、且つ、モアレや金属線部の交点が太る交点太りといった欠点が生じ、大量生産するための連続生産性と言う観点からは技術が不十分であること、PDP用の透光性電磁波遮光フィルムに要求される高い導電性、高い透明性を同時に満たすことが十分でない問題点を有していた。
これらの問題を解決する方法として、例えば、特開平5−283889号公報、特開平11−170420号公報には、メッキ触媒を印刷法で格子状パターンとして印刷してそのパターンに無電解メッキを行い、パターンの上に導電性金属層を形成する方法が開示されている。又、特開2004−221564号公報、特開2004−221565号公報には銀塩感光材料を用い、パターン状に露光した後、化学現像処理及び定着処理を経てメッシュ状の金属銀部を形成した後に、物理現像処理及び/又はメッキ処理により金属銀部に導電性金属粒子を担持することで導電性メッシュを形成させる方法が開示されている。
更に、生産性を高める方法が検討されてきた。例えば、帯状の銀塩感光材料を用い、パターン状に露光した後、化学現像処理及び定着処理を経てメッシュ状の金属銀部を形成した後に、物理現像処理及び/又はメッキ処理により金属銀部に導電性金属粒子を担持した透光性電磁波遮蔽フィルムをロールツーロール方式で製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照、特許文献2参照。)。
特許文献1及び特許文献2に記載のロールツーロール方式は生産性を高める方法としては優れた方式であるが次に示す問題点を有している。
1)銀塩感光材料を用いた場合、化学現像処理から、物理現像又はメッキ処理までの各工程間で一旦巻き取りが行われる場合、支持体の表面に形成されたパターン状の導電性部と支持体の裏面とが接触することで裏面にスリ傷が付き透明性に影響を与え、歩留まりの低下、品質の低下を招いてしまう危険がある。
2)処理に伴い発生する異物(例えば、銀やメッキ金属等の不良結晶析出物やタール状の汚染物質等)が搬送ロールに付着し、搬送ロールに付着した異物が裏面に転写することで透明性に影響を与え、歩留まりの低下、品質の低下を招いてしまう危険がある。
3)巻き芯に巻き取る際、導電性金属部と裏面との滑り性が悪いため、皺が発生することで歩留まりの低下する危険がある。
4)巻き芯に透明電磁波遮断フィルムを巻き取る際、透明電磁波遮断フィルムの先端を巻き芯に止めるのに使用したテープの痕が、透明電磁波遮断フィルムに転写し歩留まりの低下、品質の低下を招いてしまう危険がある。
この様な状況から、帯状の支持体を使用したロールツーロール方式により、透明電磁波遮断フィルムを製造する時、裏面へのスリ傷、異物付着、皺の発生に伴う品質低下、歩留まりの低下が少ない透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム及びPDPを開発することが望まれている。
特開2006−352073号公報 特開2007−80901号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、裏面へのスリ傷、異物付着、皺の発生に伴う品質低下、歩留まりの低下が少ないロールツーロール方式での透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム、及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.パターン状の金属超微粒子触媒層を表面に有する帯状支持体を使用し、少なくともメッキ処理により前記金属超微粒子触媒層の上に金属層を形成し、導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルムをロールツーロール方式で製造する透明電磁波遮断フィルムの製造方法において、前記メッキ処理がロールツーロール方式で行われ、且つ、前記帯状支持体の裏面に剥離可能な保護フィルムを有してメッキ処理が行われることを特徴とする透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
2.前記金属超微粒子触媒層が印刷法により形成されていることを特徴とする前記1に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
3.前記金属超微粒子触媒層が、透明な帯状支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料をパターン露光した後、化学現像処理及び定着処理をすることで形成されていることを特徴とする前記1に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
4.前記化学現像処理が、帯状支持体の裏面に剥離可能な保護フィルムを有して行われることを特徴とする前記3に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
5.前記化学現像処理後、メッキ処理の前に物理現像処理を行うことを特徴とする前記3又は4に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
6.前記保護フィルムと帯状支持体との剥離強度が0.3N/25mm幅〜5N/25mm幅であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
7.前記帯状支持体の前後に少なくとも5mのリーダを有することを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
8.前記1〜7の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明電磁波遮断フィルム。
9.前記8に記載の透明電磁波遮断フィルムを用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
裏面へのスリ傷、異物付着、皺の発生に伴う品質低下、歩留まりの低下が少ないロールツーロール方式での透明電磁波遮断フィルムの製造方法、透明電磁波遮断フィルム、及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することが出来、連続生産が可能となり市場の要求に対しての対応が可能となった。
本発明の実施の形態を図1を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は印刷法による透明電磁波遮断フィルムの製造装置の概略図である。図1(a)は透明な帯状支持体を使用しパターン状の金属超微粒子触媒層を表面に印刷法で形成した後、メッキ処理により透明電磁波遮断フィルムの製造装置の概略図である。図1(b)は図1(a)のPで示される部分の拡大概略図である。
図中、のPで示される部分の拡大概略図である。
図中、Xは製造装置を示す。製造装置Xは支持体の供給工程2と、印刷工程3と、メッキ処理工程4と、水洗処理工程5と、乾燥工程6と、巻き取り工程7とを有している。
本図に示す製造装置Xは、ロール状の透明な帯状支持体201を供給し、巻き取り工程7で透明電磁波遮断フィルムをロール状に巻き取る、所謂ロールツーロール方式の場合を示している。本発明においてロール状とは、少なくとも長手方向に1m以上の長さを有し、更に長手方向に3周回以上巻かれた状態を示す。
供給工程2からは、巻き芯に巻かれロール状の透明な帯状支持体201が繰り出し装置(不図示)から繰り出される。201aは裏面側に剥離可能に貼着された保護フィルムを示す。201bは印刷する側の面に形成したアンカー層を示し、201cはアンカー層201bの上に形成された受容層を示す。アンカー層201bは受容層201cと帯状支持体201との接着性が劣る場合、例えば帯状支持体201がポリオレフィン系樹の場合にに設けることが好ましい。受容層201cは、触媒インクを受容して、触媒インクで印刷形成される触媒インクパターンの画線部(線)の太りや(画線部の輪郭の)滲みを防止するために設けることが好ましい。
保護フィルム201aと支持体と帯状支持体201との剥離強度は、メッキ処理中の剥がれ、剥離性等を考慮し、0.30N/25mm〜5N/25mmであることが好ましい。尚、剥離強度とは、25mm幅の試料片の保護フィルムを、被剥離面に対してドライの状態で300mm/minの速度で180°方向に引張った時の剥離開始点の引張り強度の値を意味し、例えばテンシロン引張試験機〔(株)オリエンテック製〕を用いて測定することも出来る。
保護フィルム201aの表面201a1(巻き取り工程7で巻き取った時に導電性金属層V(図3参照)と接触する面)は、巻き取る時の皺の発生、巻きズレの発生、導電性金属層の破損等を考慮し、静摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。静摩擦係数はASTM D1894に準拠して測定した値を示す。これらの静摩擦係数の値を付与する方法は特に限定はなく、例えばシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂、コロイダルシリカ等の微粒子物を含む離型層を設ける方法が挙げられる。
保護フィルム201aの厚みは、保護フィルムの基材の種類にも因るが、フィルム強度、ラミネート性、生産コスト等を考慮し、10μm〜100μmが好ましい。更に好ましくは20μm〜70μmである。
保護フィルム201aを支持体へ貼着する方法は特に限定はないが、例えば粘着剤を塗設した保護フィルムを「誰でも判るラミネーティング 加工技術研究会」に記載のドライラミネーティング法により貼着する方法が挙げられる。
供給工程2に準備される巻き芯に巻かれロール状の透明な帯状支持体201の先頭及び後端には、巻き取り工程7で巻き取る際、支持体の先端部を巻き芯コアに係止するために貼ってある係止テープの痕跡の透明電磁波遮断フィルム202への転写(以後、巻き芯転写痕という)、等を考慮し、それぞれ少なくとも5mのリーダが繋げられていることが好ましい。更に好ましくは10m以上100m以下であり、更に好ましくは20m以上70mである。
印刷工程3は、印刷装置3bと、アキュームレータ3aとを有している。印刷装置で帯状支持体201の表面(保護フィルム201aが貼着されている面と反対面側)に金属超微粒子触媒層形成用インクがパターン状に印刷され、パターン状の金属超微粒子触媒層T(図3参照)が形成される。印刷装置としては特に限定はなく、例えばグラビア印刷装置、オフセット印刷装置、活版印刷装置、インクジェット印刷装置等が挙げられる。
金属超微粒子触媒層としては、パラジウム、金、銀、白金等の貴金属のコロイド状の微粒子を用いることが出来る。中でも、貴金属としてはパラジウムが代表的である。尚、貴金属コロイド粒子を用いる場合は、貴金属コロイド粒子と反対の表面電荷を有する粒子として微細アルミナゲル、シリカゲル等の触媒担持体に、貴金属コロイド粒子を担持させて用いることが望ましい。触媒担持体の利用により、貴金属コロイド粒子は、触媒インクパターンの表面に露出しやすくなる上、これら触媒担持体は、触媒インクにチキソトロピー性を与えることが出来、画線部の輪郭におけるインクの切れをシャープにし、滲みや太りを起こし難くする。
メッキ処理工程4は、アキュームレータ4aと、メッキ処理装置4bとを有している。4b1は搬送用のロールを示す。ロールの数は搬送速度、メッキ処理液の種類、条件等によりメッキ処理槽の大きさが決まり、それに合わせて複数が配設されている。連続してメッキ処理を行うことで、発生する異物はこれらのロールに付着する。通常はロールに付着した異物はロールと接触して搬送される透明な帯状支持体201に貼着し、異物付着故障の原因となるため、メッキ処理液中に異物が発生した段階で生産を一旦中止し、清掃した後に処理を再開しているため生産効率が上がらない原因の一つになっている。本発明ではロールと接触する側に保護フィルムがあるため、発生しロールに付着した異物は保護フィルムに異物が付着し、巻き取り工程7で巻き取られ、必要とする大きさに断裁され、使用する時に剥離されるため透明電磁波遮断フィルム202への影響はなくなる。このことにより長時間の連続生産が可能となり生産効率の向上が可能となった。
メッキ処理装置4bでパターン状の金属超微粒子触媒層T(図3参照)の上に導電性金属部となる導電性金属層V(図3参照)が積層され、導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルム202が製造される。
水洗処理工程5は水洗処理装置5bと、アキュームレータ5aとを有している。水洗処理装置5bで透明電磁波遮断フィルム202に付着しているメッキ処理液の洗浄が行われる。
乾燥工程6は乾燥処理装置6bと、アキュームレータ6aとを有している。6b1は乾燥風の導入管を示し、6b2は排気管を示す。乾燥処理装置6bで付着している水分が除かれ、透明電磁波遮断フィルム202が製造される。
巻き取り工程7は、巻き取り装置(不図示)と、アキュームレー7aとを有している。巻き取り装置(不図示)では、乾燥工程6から送られて来る透明電磁波遮断フィルム202の先頭に繋げられているリーダ(不図示)の先端を巻き芯にテープで係止しロール状に巻き取り保管することが可能となっている。尚、使用に際してはロール状に巻き取られた透明電磁波遮断フィルム202から必要な長さを巻き出し、必要な大きさに断裁し、保護フィルムを剥離してから使用する様になっている。
本図では、保護フィルム201aが貼着された帯状支持体201を使用した場合を示したが、メッキ処理工程に入る前に保護フィルム201aが貼着されていればよく、他の方法として、例えば印刷工程3で帯状支持体201の表面にパターン状の金属超微粒子触媒層T(図2参照)が形成された後にオンラインで保護フィルム201aを裏面(パターン状の金属超微粒子触媒層T(図2参照)が形成された反対の面)に貼着する方法が挙げられる。
図2は図1に示す印刷工程で透明な帯状支持体の上にパターン状に印刷された金属超微粒子触媒層の一例を示す概略図である。
図中、Tは金属超微粒子触媒層を示し、Uは光透過性部を示す。金属超微粒子触媒層はメッキ処理工程で金属層を積層することで導電性金属部となる。透明な帯状支持体の上にパターン状に印刷された金属超微粒子触媒層の形は特に限定はなく、例えば(a)は金属超微粒子触媒層Tが格子形のパターン状に印刷された場合を示す。(b)は金属超微粒子触媒層Tが菱形のパターン状に印刷された場合を示す。(c)は金属超微粒子触媒層Tが三角形のパターン状に印刷された場合を示す。(d)は金属超微粒子触媒層Tが六角形のパターン状に印刷された場合を示す。この他の形状としては、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形が挙げられる。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。尚、本図に示す如きパターンは、インクジェット法により形成することも可能である。
金属超微粒子触媒層Tの幅は出来上がった透明電磁波遮蔽フィルムの電磁波シールド能、透過率等を考慮し、5μm〜20μmが好ましい。幅は(株)キーエンス製 光学顕微鏡VE8800を使用し200倍で測定した値を示す。光透過性部Uの透過率は、基材の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上であり、更により好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上であることが好ましい。
図3は図1に示す製造装置を使用し透明電磁波遮断フィルムが製造されるまでを示す概略フロー図である。
Step1では、剥離可能な保護フィルム201aが貼着された帯状支持体201が供給工程2(図1参照)に供給される。
Step2では、印刷工程3(図2参照)で帯状支持体201の表面にパターン状(図2参照)の金属超微粒子触媒層Tが形成される。
Step3では、メッキ処理工程4(図2参照)で金属超微粒子触媒層Tの上に金属が積層され導電性金属部Vが形成される。この後、水洗処理工程5(図1参照)と、乾燥処理工程6(図1参照)を経て導電性金属部Vと光透過性部Uとを有する透明電磁波遮断フィルムが製造される。
Step4では、使用に際して保護フィルム201aを剥離して使用する。
図1〜図3に示す様にメッキ処理工程に入る前に保護フィルムが貼着された透明な帯状支持体を使用し、パターン状の導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルムを製造することで次の効果が挙げられる。
1)巻き取り時に導電性金属部との接触による裏面へのスリ傷の発生が無くなり良品率の向上が可能となった。
2)メッキ処理での異物が保護フィルムに付着し、使用時に保護フィルムを剥離することで異物付着に伴う故障がなくなり良品率の向上が可能となった。
3)巻き取り時の皺の発生がなくなり良品率の向上が可能となった。
4)更に、リーダを繋げることで巻き取り時の係止テープの巻き芯転写痕がなくなり良品率の向上が可能となった。
図4は感光材料を使用した透明電磁波遮断フィルムの製造装置の模式図である。図4(a)は透明な帯状支持体を使用し、ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料を使用した透明電磁波遮断フィルムの製造装置の模式図である。図4(b)は図4(a)のQで示される部分の拡大概略図である。
図中、Yは製造装置を示す。製造装置Yは供給工程Aと、露光工程Bと、化学現像処理工程Cと、定着処理工程Dと、物理現像処理工程Eと、メッキ処理工程Fと、巻き取り工程Gとを有している。本図に示す製造装置Yは、ロール状の感光材料1aを供給し、巻き取り工程Gで透明電磁波遮断フィルム2Hをロール状に巻き取る、所謂ロールツーロール方式の場合を示している。
本発明は、少なくともメッキ処理工程に入るときに剥離可能な保護フィルムが貼着されていれば良いが、化学現像処理工程に入る時から保護フィルムが貼着されていることがより好ましい形態である。図4では供給工程Aの時点で保護フィルムを有しているケースを示しており、従って化学現像処理工程から巻取り工程まで一貫して保護フィルムを有した状態で行われる。
供給工程Aからは、巻き芯に巻かれロール状の透明な帯状支持体1a1の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層1a2を有する感光材料1aが供給される。感光材料1aは裏面側に保護フィルム1a3が剥離可能に貼着されている。
尚、本図では別工程で製造された裏面に剥離可能な保護フィルムを有する感光材料1aを供給する方法を示しているが、次に示す別の方法も可能である。
1)透明支持体の供給工程と塗布工程と乾燥工程を配設し、塗布工程で支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層形成用塗布液を塗布し、乾燥部で塗布された感光性層形成用塗布液を乾燥した後、裏面に剥離可能な保護フィルムを貼着し感光性層を有する感光材料1aを連続して工程に供給する方法。
2)一方の面に剥離可能な保護フィルムを貼着した透明支持体の透明支持体の供給工程と塗布工程と乾燥工程を配設し、塗布工程で保護フィルムを貼着した反対面の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層形成用塗布液を塗布し、乾燥部で塗布された感光性層形成用塗布液を乾燥し感光性層を有する感光材料1aを連続して工程に供給する方法。これらの方法は必要に応じて選択することが可能である。
保護フィルム1a3と帯状支持体1a1との剥離強度は、化学現像処理工程〜メッキ処理工程においての保護フィルムの剥がれ、最終的に電磁波遮断フィルムから保護フィルムを剥がす時の剥離性等を考慮し0.30N/25mm〜5N/25mmであることが好ましい。尚、剥離強度の意味は図1に示す保護フィルム201aと同じであり、測定法も同じである。
保護フィルム1a3の表面1a31(巻き取り工程Gで巻き取った時に導電性金属部V1(V2)(図8参照)と接触する面)は、図1に示した保護フィルム201aの表面201a1と同じ静摩擦係数(又は表面粗さRa)であることが好ましい。
保護フィルム1a3の厚みは、図1に示した保護フィルム201aの厚さと同じである。保護フィルム1a3を支持体へ貼着する方法は図1に示した保護フィルム201aの貼着方法と同じである。
供給工程Aに準備される巻き芯に巻かれロール状の感光材料1aの先頭及び後端には、図1に示した支持体の先頭及び後端に繋げたリーダと同じ長さのリーダが繋げられていることが好ましい。
露光工程Bは露光装置1b1とアキュームレータ1b2とを有している。露光装置1b1は、感光材料1aにパターンを有するマスクを介して光を照射し、パターンの露光を行うことが可能となっている。露光装置1b1に関しては図5で説明する。アキュームレータ1b2は露光装置1b1での露光速度と感光材料1aの搬送速度を調整するために配設されている。露光の方法は特に限定はなく、例えば連続露光、間欠露光が挙げられ必要に応じて選択することが可能である。尚、アキュームレータ1b2は必要に応じて配設することが可能となっている。
化学現像処理工程Cは化学現像処理装置1c1とアキュームレータ1c2とを有している。化学現像処理装置1c1で、パターンが露光された感光材料1aが現像処理されることでパターンの露光に対応した金属パターンの金属超微粒子触媒層が形成される。アキュームレータ1c2は露光装置1b1での露光速度と化学現像処理装置1c1との速度を調整するために配設されている。尚、アキュームレータ1c2は必要に応じて配設することが可能となっている。
定着処理工程Dは定着処理装置1d1と水洗処理装置1d2と乾燥処理装置1d3とを有している。化学現像処理工程Cでパターンが露光された感光材料1aで未露光部分に存在するハロゲン化銀粒子が除去され、引き続き水洗処理装置1d2と乾燥処理装置1d3で処理することで光透過性部とパターンの露光に対応した金属パターンの金属超微粒子触媒層が形成される。1d31は乾燥風の導入管を示し、1d32は排気管を示す。
化学現像処理装置1c1と定着処理装置1d1との間、及び定着処理装置1d1と水洗処理装置1d2bとの間、水洗処理装置1d2bと乾燥処理装置1d3との間にはアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
物理現像処理工程Eは物理現像処理装置1e1と水洗処理装置1e2と乾燥処理装置1e3とを有している。1e31は乾燥風の導入管を示し、1e32は排気管を示す。物理現像処理工程Eでは化学現像処理工程Cと定着処理工程Dとを経て形成された金属パターンの金属超微粒子触媒層の上に導電性を付与するために導電性金属が担持される。
物理現像処理装置1e1での処理が終了した後、水洗処理装置1e2で水洗処理し、引き続き乾燥処理装置1e3で乾燥することで導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルム2Hが得られる。
尚、定着処理工程Dの乾燥処理装置1d3と物理現像処理装置1e1との間にはアキュームレータ1e4を配設してあるが、物理現像処理装置1e1と水洗処理装置1e2との間、水洗処理装置1e2と乾燥処理装置1e3との間にもアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
メッキ処理工程Fはメッキ処理装置1f1と、水洗処理装置1f2と、乾燥処理装置1f3と、アキュームレータ1f4とを有している。1f31は乾燥風の導入管を示し、1f32は排気管を示す。メッキ処理装置1f4では物理現像処理工程Dで金属超微粒子触媒層(金属銀層)T″(図7参照)の上に導電性を付与するために担持された導電性金属部V1(図8参照)の上に更に導電性を高めるために導電性金属V2(図8参照)が積層される。メッキ処理装置1f1での処理が終了した後、水洗処理装置1f2で水洗処理し、乾燥処理装置1f3で乾燥することで導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルム2Hが製造される。メッキ処理工程Fは物理現像処理工程Eで得られた導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルム2Hの導電性金属部に対する導電性に応じて配設すること可能である。例えば、透明電磁波遮断フィルム2HがPDPに使用される場合には配設することが特に有効である。
尚、物理現像処理工程Eの乾燥処理装置1e3とメッキ処理装置1f1との間にはアキュームレータ1f4を配設した場合を示しているが、メッキ処理装置1f1と水洗処理装置1f2との間、水洗処理装置1f2と乾燥処理装置1f3cとの間にはアキュームレータを必要に応じて配設することが可能となっている。
巻き取り工程Gはメッキ処理工程Fの乾燥処理装置1f3を経て製造された透明電磁波遮断フィルム2Hをロール状に巻き取る巻き取り装置(不図示)とアキュームレータ1g1とを有している。アキュームレータ1g1は乾燥処理装置1f3での乾燥速度と巻き取り装置との巻き取り速度とを調整するために配設されている。尚、アキュームレータ1g1は必要に応じて配設することが可能となっている。
巻き取り装置(不図示)では、乾燥処理装置1f3から送られて来る透明電磁波遮断フィルム2Hの先頭に繋げられているリーダ(不図示)の先端を巻き芯にテープで係止しロール状に巻き取り保管することが可能となっている。尚、使用に際してはロール状に巻き取られた透明電磁波遮断フィルム2Hから必要な長さを巻き出し、必要な大きさに断裁し、保護フィルムを剥離してから使用する様になっている。
本図に示す様に、化学現像処理からメッキ処理までを連続して行う場合、各処理工程では処理に伴い異物(例えば銀やメッキ金属の不良結晶析出物やタール状汚染物質等)が発生する。発生した異物は各処理装置のロールに付着する。通常はロールに付着した異物はロールと接触して搬送される感光材料の支持体に貼着し、異物付着故障の原因となるため、各処理液中に異物が発生した段階で生産を一旦中止し、清掃した後に処理を再開しているため生産効率が上がらない原因の一つになっている。本発明ではロールと接触する側に保護フィルムがあるため、各処理液で発生しロールに付着した異物は保護フィルムに異物が付着し、巻き取り工程Gで巻き取られ、必要とする大きさに断裁され、使用する時に剥離されるため透明電磁波遮断フィルム2Hへの影響はなくなる。このことにより長時間の連続生産が可能となり生産効率の向上が可能となった。
本図に示す製造装置は化学現像処理〜メッキ処理を連続して行う場合を示しているが、生産設備の都合や品質管理の目的から、定着処理工程Dを終了した後、物理現像処理工程Eを終了した後に一旦巻き取り保管し、必要に応じて次の工程から処理を行うことも可能である。その場合、ロールでの巻き取り工程の回数が増え、支持体の表面に形成されたパターン状の導電性部と支持体の裏面とが接触する回数も増える為、裏面へのスリ傷、皺の発生に伴う品質低下、巻き芯転写痕による歩留まりの低下がより発生しやすい状況となるが、本発明の構成である支持体の裏面の保護フィルムを付けて処理されたものは、この場合においても裏面へのスリ傷、皺の発生に伴う品質低下、巻き芯転写痕による歩留まりの低下が少なく、本発明の効果をより発揮することが出来る。
又、本図に示す製造装置Yはメッキ処理工程Fで終了しているが、メッキ処理工程Fの後に電磁波遮断フィルム2Hの性能を上げるために表面に反射防止機能を付与する反射防止付与工程を配設することも可能である。
本図に示す製造装置Yは化学現像処理〜メッキ処理を連続して行う場合、定着処理工程、及び物理現像処理工程の後に配設してある乾燥処理装置を使用せずに行うことも可能である。
図5は図4(a)のRで示される部分の拡大概略斜視図である。
図中、1b1は露光装置を示す。露光装置1b1は、マスク1b11と駆動ローラ1b12と、感光材料保持ローラ1b13と、基体保持ローラ1b14とを有している。マスク1b11は外周面1b111に連続したパターンを有する回動可能で透明な円筒型基体1b112 2を有している。外周面1b111は、両端の非パターン形成部1b113と、感光材料1aのスリップ防止手段(不図示)と、パターン形成部1b114とを有している。
円筒型基体1b112は2本の基体保持ローラ1b14の上に載置されており、駆動ローラ1b12により回動する様になっている。駆動ローラ1b12は円筒型基体1b112の両端の非パターン形成部1b113に接する様に配設されており、露光装置1b1のフレーム(不図示)に取り付けられた駆動部(不図示)により回動し円筒型基体1b112を回動可能としている。尚、円筒型基体1b112を回動する方式は特に限定はなく、例えば円筒型基体1b112の片側に軸を取り付け軸を駆動部に繋げることで回転させる方式、円筒型基体1b112の両端にベルトを取り付けプーリーを介して回転させる方式等が挙げられる。
感光材料保持ローラ1b13は感光材料1a(図4参照)の感光層1a2(図4参照)を円筒型基体1b112の外周面1b111に密着させ巻き回す様に円筒型基体1b112の両側の位置に配設されている。
基体保持ローラ1b14は円筒型基体1b112を回動可能に保持するため、円筒型基体1b112の両側の位置に配設されており、露光装置1b1のフレーム(不図示)に取り付けられている。
感光材料1a(図4参照)にマスク1b11を介して露光する時、マスク1b11のパターンの鮮鋭性を上げるため、円筒型基体1b112の周速度と、感光材料1aの搬送速度とを同じになるようにすることが好ましい。
円筒型基体1b112の内部には、円筒型基体1b112の外周面1b111に設けられたパターンに合わせ幅方向に光源(不図示)が円筒型基体1b112の中心近傍配設されている。又、円筒型基体1b112と感光材料1aと接触している範囲で露光が行われるので、感光材料1aと接触していない円筒型基体1b112の部分からの漏光を防止するため円筒型基体1b112の内部の光源の上部に反射板(不図示)が配設されている。
反射板としては内面に、例えばアルミ板に硫酸バリウムを塗設した材料、一般の照明器具に使用している反射板、アルミ板にチタン、シリコンの酸化物を蒸着した材料等が挙げられる。使用する光源の波長としては、使用する感光材料の感光波長に合わせ適宜変更することが可能である。
露光に用いられる光源としては例えば、可視光線、紫外線等の光、電子線、X線等の放射線等が挙げられるが、紫外線又は近赤外線を用いることが好ましい。更に露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、波長分布の狭い光源を用いてもよい。
可視光線は必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体の何れか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。又、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
又、種々のレーザービームを用いて行うことが出来る。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることが出来、更にKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることが出来る。システムをコンパクトで、迅速なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザー或いは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、迅速、更に寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザー等が好ましく用いられる。
ハロゲン化銀粒子乳剤含有層を画像状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた集光式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、面々接触露光、近接場露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることが出来る。レーザーの出力は、ハロゲン化銀粒子を感光させるのに適した量であればよいので数十μW〜5W程度でよい。
図6は図5のSに示される部分の拡大概略平面図である。
マスク1b11(図5参照)の外周面1b111(図5参照)に設けられている連続したパターンの一例を示す。図中、U′は光の遮蔽部分を示し、T′は光を透過する透過部分を示す。即ち、外周面1b111(図5参照)に設けられているパターンは、透過部分T′と、遮蔽部分U′とから形成されており、このパターンが連続的に外周面1b111(図5参照)に設けられている。尚、連続的とは、切れ目及び繋ぎ目がないことを言う。本図に示す如きパターンを有するマスクを介して感光材料に露光し、化学現像処理することで、遮蔽部分U′が光透過性部となり、透過部分T′が導電性金属部分となる。
外周面1b111(図5参照)に設けられている連続したパターンの形状は特に限定はなく、例えば、(a)は遮蔽する部分の形状が矩形の場合、(b)は菱形、(c)は三角形、(d)は6角形の場合を示している。この他の形状としては、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形が挙げられる。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。
パターンの円筒型基体1b112(図5参照)の外周面1b111(図5参照)からの厚さは、露光時の感光材料の密着性、感光材料の平面性を考慮し、200nm〜2μmであることが好ましい。厚さは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 蛍光X線膜厚計 SFT9455で測定した値を示す。
透過部分T′(露光後の現像で導電性金属部となる部分)の幅は、出来上がった透明電磁波遮蔽フィルムの電磁波シールド能、透過率等を考慮し、5μm〜20μmが好ましい。幅は(株)キーエンス製 光学顕微鏡VE8800を使用し200倍で測定した値を示す。
遮蔽部分U′の遮蔽率は、化学現像処理後の可視光透過面積、出来上がった透明電磁波遮蔽フィルムの画像視認性等を考慮し、85%〜97%が好ましい。遮蔽率とは、光を遮蔽する遮蔽部分U′の一定面積に占める割合を示す。例えば、透過部分T′の幅が10μm、光を遮蔽する遮蔽部分U′の面積が84100μm2の時、遮蔽率は93.5%である。
本図に示す如きパターンは、オフセット印刷、インクジェット法等の塗布法、蒸着法等で形成することが可能である。これらの方法の中で、厚さの均一性、生産性の点から蒸着法が好ましい。蒸着させる材料としては、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)等が挙げられる。
図7は図6に示すマスクを使用し、図4に示す製造装置で露光した後、化学現像処理工程工程〜定着処理工程を経て形成されたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)の一例を示す概略図である。
図中、T″は金属超微粒子触媒層(金属銀層)を示し、U″は光透過性部を示す。金属超微粒子触媒層(金属銀層)は物理現像処理又はメッキ処理工程で金属層を積層することで導電性金属部となる。(a′)は図6の(a)に示すパターンのマスクを使用し得られたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)を示す。(b′)は図6の(b)に示すパターンのマスクを使用し得られたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)を示す。(c′)は図6の(c)に示すパターンのマスクを使用し得られたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)を示す。(d′)は図6の(d)に示すパターンのマスクを使用し得られたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)を示す。
図8は図4に示す製造装置を使用し透明電磁波遮断フィルムが製造されるまでを示す概略フロー図である。
Step1では、剥離可能な保護フィルム1a3(図4参照)が、感光層1a2と反対の支持体1a1(図4参照)の面に貼着された感光材料1a(図4参照)が供給工程Aに供給される。
Step2では、供給工程A(図4参照)から搬送されてくる感光材料1a(図4参照)に露光工程B(図4参照)で図6の(a)〜(d)で示される何れかのパターンのマスクを介して露光が行われ潜像が形成される(図中、斜線で示される部分)。
Step3では、露光工程B(図4参照)から搬送されてくる露光済みの感光材料が現像処理工程C(図4参照)で化学現像処理が行われた後、定着処理工程D(図4参照)で定着処理を行うことで露光された部分にパターン状(図7参照)の金属超微粒子触媒層(金属銀層)T″が形成される。又、未露光部のハロゲン化銀は除去され光透過性部U″が形成される。
Step4では、物理現像処理工程E(図4参照)で金属超微粒子触媒層(金属銀層)T″の上に金属が積層され導電性金属部V1が形成され光透過性部U″とを有する透明電磁波遮断フィルム2Hが製造される。更に、高い導電性を必要とする場合は、Step5のメッキ処理が行われる。
Step5では、メッキ処理工程F(図4参照)で、物理現像処理工程E(図4参照)で形成された導電性金属部V1の上に更に金属が積層され、導電性金属部V2が形成され、光透過性部U″を有する透明電磁波遮断フィルム2Hが製造される。
Step6では、使用に際して保護フィルム1a3を剥離して使用する。
図4〜図8に示す様に化学現像処理工程に入る前に保護フィルムが貼着された感光材料を使用し、パターン状の導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルム2Hを製造することで次の効果が挙げられる。
1)巻き取り時に導電性金属部との接触による裏面へのスリ傷の発生が無くなり良品率の向上が可能となった。
2)化学現像処理からメッキ処理で発生する異物が保護フィルムに付着し、使用時に保護フィルムを剥離することで異物付着に伴う故障がなくなり良品率の向上が可能となった。
3)巻き取り時の皺の発生がなくなり良品率の向上が可能となった。
4)更に、リーダを繋げることで巻き取り時の係止テープの巻き芯転写痕がなくなり良品率の向上が可能となった。
図1〜図8に示される製造方法で製造された透明電磁波遮断フィルムは携帯電話、電子レンジ、CRT、及びプラズマディスプレイ(以下、PDPとも言う)等の電子機器から発生する電磁波を遮断する目的に使用が可能である。
次に本発明に係わる透明電磁波遮断フィルムの作製に使用する材料に付き説明する。
(感光性材料)
〔支持体〕
支持体として例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム又はアクリルフィルム等を用いることが出来る。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく用いられる。本発明においては、透明性、等方性、接着性等の観点から、支持体としてはセルロースエステルフィルム又はポリエステルフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明の透明電磁波遮断フィルムをディスプレイの表示画面に用いる場合には、高い透明性が要求されるため、支持体自体の透明性も高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムの全可視光域の平均透過率は好ましくは85〜100%であり、より好ましくは90〜100%である。又、本発明では、色調調節剤として前記プラスチックフィルムを本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることも出来る。
本発明において、可視光域の平均透過率とは、400〜700nmまでの可視光領域の透過率を、少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算し、その平均値として求めたものと定義する。測定においては、測定アパチャーを、前述のメッシュパターンより十分大きく取っておく必要があり、少なくともメッシュの格子面積より100倍以上大きな面積で測定して求める。
本発明に用いる支持体の厚さには特に制限はないが、透過率の維持及び取り扱い性の観点から、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることが更に好ましい。
本発明においては、図1に示す印刷法で透明電磁波遮断フィルムを製造するに際しては感光材料と同じ支持体の使用が可能である。
〔感光性層〕
感光性層は、ハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有し支持体上に設けられるが、この他に、硬膜剤、硬調化剤、活性剤等を含有することが出来る。感光性層のハロゲン化銀粒子の銀体積は、銀体積をバインダー体積で除した商(ハロゲン化銀粒子の銀/バインダーの体積比)は、導電性、メッシュ金属と支持体との密着性等を考慮し、0.3以上2.0以下であることが好ましい。0.5以上1.5以下が更に好ましい形態である。
〔ハロゲン化銀粒子〕
ハロゲン化銀粒子の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、導電性のよい金属銀を得るためには硬調で現像性の高いハロゲン化銀粒子が好ましく、塩化銀含有率が50モル%以上であることが好ましく、塩化銀含有率が70モル%以上であることが更に好ましい。
ハロゲン化銀粒子が化学現像処理され金属銀粒子になった後の表面比抵抗を下げ、電磁波を効率的に遮断するためには、現像銀粒子同士の接触面積が出来るだけ大きくなる必要がある。そのためには表面積比を高めるためにハロゲン化銀粒子サイズが小さい程よいが、小さすぎる粒子は凝集して大きな塊状になりやすく、その場合接触面積は逆に少なくなってしまうので最適な粒子径が存在する。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、立方体換算径で0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。尚、ハロゲン化銀粒子の立方体換算径とは、個々の粒子の体積と等しい体積を立方体に換算した時の一辺の長さを表す。ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子の調製時の温度、pAg、pH、銀イオン溶液とハロゲン溶液の添加速度、粒子径コントロール剤(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、テトラザインデン化合物類、核酸誘導体類、チオエーテル化合物類等)を適宜組み合わせて制御することが出来る。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、3角形平板状、4角形平板状等)、8面体状、14面体状等、さまざまな形状であることが出来る。粒子サイズの分布には特に限定はないが、露光によるパターン形成時に、パターンの輪郭をシャープに再現させ、高い導電性を維持しながら透明性を高めるという観点からは、狭い分布が好ましい。本発明に係る感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
変動係数=S/R
(式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ハロゲン化銀粒子は、更に他の元素を含有していてもよい。例えば、写真乳剤において、硬調な乳剤を得るために用いられる金属イオンをドープすることも有用である。特に鉄イオン、ロジウムイオン、ルテニウムイオンやイリジウムイオン等の第8〜10族金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。
これらの金属イオンは、塩や錯塩の形でハロゲン化銀粒子乳剤に添加することが出来る。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることも出来る。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等を挙げることが出来る。具体的な化合物の例としては、臭化ロジウム酸カリウムやイリジウム酸カリウム等が挙げられる。
ハロゲン化銀粒子に含有される前記金属イオン化合物の含有率は、ハロゲン化銀1モル当たり、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることが更に好ましい。
ハロゲン化銀粒子に上述の金属イオンを含有させるためには、該金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後等、物理熟成中の各工程における任意の場所で添加すればよい。又、添加においては、重金属化合物の溶液を粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に行うことが出来る。
感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すことが好ましい。化学増感としては、例えば、金、パラジウム、白金増感等の貴金属増感、無機イオウ、又は有機イオウ化合物によるイオウ増感等のカルコゲン増感、塩化錫、ヒドラジン等還元増感等を利用することが出来る。
〔バインダー〕
感光性層において、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、且つ、ハロゲン化銀粒子を支持体上に担持し、感光性層と支持体の接着性を確保する目的でバインダーが用いられる。バインダーには、特に制限がなく、例えば非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーの何れも用いることが出来るが、現像性向上の観点からは、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
本発明に係る感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じてゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一或いは共重合体の如き合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることが出来る。
〔紫外線吸収剤〕
透明電磁波遮断フィルムの紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を使用することが好ましい。紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を好ましく使用することが出来る。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子乳剤含有層に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、感光性層への直接添加、或いは感光性層よりも外光に近い方に設けられる態様が好ましい。感光性層或いは、それに隣接する層に添加する場合は、好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物などが好ましく用いられる。これらの紫外線吸収剤は、例えばジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類などに代表される高沸点有機溶媒に分散した形で添加する態様が好ましく用いられる。
又、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加する態様も好ましく用いられ、この場合、例えば特表2004−531611号公報に記載されたような態様も好ましく用いることが出来る。尚、印刷法で使用する支持体も同様な方法でし支持体中に直接添加することが好ましい。
〔アンカー層〕
印刷法に使用する基材ポリオレフィン系樹脂からなる場合の様に、後述する受容層との接着性が劣る場合には設ける層であり、基材の受容層形成面に設けることが好ましい。アンカー層には、受容層と透明基材との両方に接着性のよい樹脂等を用いればよい。樹脂は、透明基材の材料にもよるが、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂(後述受容層で述べる如き樹脂等)、エポキシ樹脂、シランカップリング剤等を1種又は2種以上混合して用いるとよい。アンカー層は、これらを含む塗液を、ロールコート、スプレーコート等の塗工法、或いはグラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法等の公知の形成方法により、形成することが出来る。
〔受容層〕
樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂や熱可塑性ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等を1種又は2種以上の混合樹脂として用いる。尚、2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールは分子中に2個以上の水酸基を有する化合物で、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。又、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。或いは又、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。
又、アクリル樹脂は、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等の、(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂である。尚、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。又、アクリル樹脂としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることも出来る。
尚、受容層の樹脂としては、触媒インクのバインダー樹脂に用いる樹脂と同類の樹脂を用いることが、触媒インクの太りや滲みを防ぐ効果の点で好ましい。そして、受容層を透明基材上に形成するには、上述した様な樹脂を含む触媒インク或いは塗液を用いて、公知の印刷法或いは塗工法で形成すればよい。例えば、ロールコート、スプレーコート等の塗工法、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷法で形成する。尚、受容層形成に用いるインク或いは塗液は、上記樹脂及び適宜な溶剤の他に、塗工適性或いは印刷適性を調整する等のために必要に応じ更に、体質顔料、消泡剤、分散剤、レベリング剤等を含有させる。
〔金属超微粒子触媒層形成用インク(触媒インク)〕
触媒インクのバインダー樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等を1種又は2種以上の混合樹脂として用いる。又、触媒インクは、この様なバインダー樹脂と、貴金属からなる無電解メッキ触媒、及び適宜な溶剤等からなるが、この他、印刷適性を調整する等のために、必要に応じ更に、体質顔料、界面活性剤、着色剤等の添加剤を含有させてもよい。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等の粉末を用いる。尚、着色剤を含有させることで、無電解メッキ前の段階で、パターン状に印刷形成された金属超微粒子触媒層の出来具合の品質確認を行いやすく出来る。着色剤には、カーボンブラック等の公知の着色剤を用いればよい。又、触媒インクは、有機溶剤系、水系、エマルション系等何れでもよい。
〔保護フィルム〕
保護フィルムの基材としては、ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、もしくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムを用いることが出来る。これらの樹脂フィルムの中で、本発明においては、酸、又はアルカリ性の処理液ラインを搬送されることから、耐薬品性が高く、折曲がった時の弾性が低い方が好ましいため、基材としてはポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
又、保護フィルムを支持体に貼着するのに使用する粘着剤としては、アクリル酸エステル系、ゴム系、もしくはシリコーン系等が挙げられる。本発明において、メッキ処理等のウエット処理を行うため、強粘着性のものが好ましく、合成ゴム系が好ましく用いられる。
〔リーダ〕
印刷法に使用する支持体及び感光材料の先頭、後端に使用するリーダとしては、特に限定はなが、例えば支持体と同じ樹脂フィルム、ポリエステル、ポリカーボネートなどが好ましい。
〔化学現像処理〕
本発明では、感光材料を露光した後、化学現像処理が行われる。化学現像処理は、発色現像主薬を含有しない、所謂黒白現像処理であることが好ましい。化学現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノン等のハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン等のピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩等の超加成性現像主薬と併用することが出来る。又、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸やイソアスコルビン酸等レダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
又、化学現像処理液には保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオール等を適宜使用出来る。
化学現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することが出来る。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることが出来る。
化学現像処理においては、化学現像処理後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙等で用いられる定着液処方を用いることが出来る。定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等を使用することが出来る。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウム等を使用することが出来る。定着剤の保恒剤としては、化学現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を使用することが出来、その他にクエン酸、蓚酸等を使用することが出来る。
更に、定着処理後、水洗処理を行うことが好ましい。本発明に使用する水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール、2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素等を使用することが出来る。
〔物理現像処理〕
本発明における「物理現像」とは、化学現像処理により感光性材料中のハロゲン化銀粒子から生成された現像銀以外に、新たに外部から銀イオンを供給し、化学現像処理で出来る現像銀を補強するプロセスのことを示す。物理現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば予め物理現像処理液中に硝酸銀等を溶解しておき銀イオンを溶かしておく方法、或いは物理現像処理液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀粒子を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法等が挙げられるが、本発明においては、前者であることが好ましい。この物理現像は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることが出来る。
〔物理現像処理液〕
ハロゲン化銀感光材料をパターン露光後、化学現像処理を行った後、物理現像処理を行い導電性を上げる方法に用いられる物理現像処理液は、pH2〜4の範囲の酸性領域であることが好ましい。酸性下で、硝酸銀(銀化合物)とハイドロキノン(還元剤)の還元反応を現像銀存在下で行う(物理現像処理)と、現像銀付近で反応速度が選択的に速くなり、反応で発生した銀粒子が現像銀に早く付着することが可能となる。そのため、パターン露光後、白黒の化学現像により現像銀パターンを作製した場合、物理現像処理により導電性パターンを作製することが可能である。銀を付着させて導電性を確保するため、少ない付着量で高い導電性を得ることが出来る。銀は、非常に導電性、延性が高い金属であり、少ない付着量で高い導電性を確保出来ると共に、屈曲等にも強い。又、白黒現像でパターンを作製出来るため、非常に微細なパターンが作製可能である。
(緩衝剤)
物理現像液を用いた還元反応は、非常に短時間で反応が進むため、液の寿命が短いことが問題となるが、物理現像時の還元反応では硝酸が発生し、更に酸性側に動くため、安定な反応を達成するため、クエン酸塩、リン酸水素塩、アンモニウム塩等の緩衝剤の存在下に行うことが好ましい。
(還元剤)
本発明の物理現像液の還元剤としては、メトール、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、エリソルビン酸等が挙げられるが、メトール、ハイドロキノン、フェニドン、アスコルビン酸が好ましい。
(銀化合物)
本発明の物理現像液の還元剤としては、硝酸銀が好ましい。
(還元剤/銀化合物)
本発明の物理現像液の還元剤/銀化合物比率は5.1/5〜1/20当量とすることで、飛躍的に物理現像液寿命が延長する。又、ハイドロキノンが非常に過剰な反応系であるため、硝酸銀を更に添加することで、更に反応寿命を延長することが出来る。
[メッキ処理]
本発明の電磁波遮蔽材料の製造方法においは、パターン状の金属超微粒子触媒層を印刷法で形成した後、又は銀塩法での物理現像処理の後、更に、導電性を高めるために金属銀部に担持された導電性金属粒子の上に、メッキ処理で導電性金属粒子を担持することが可能となっている。メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることが出来る。無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることが出来、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることが出来、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
メッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことが出来、更に5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることが出来る。例えばメッキ処理液としては、硫酸銅0.06モル/L、ホルマリン0.22モル/L、トリエタノールアミン0.12モル/L、及びポリエチレングリコール100ppm、黄血塩50ppm、α,α′−ビピリジン20ppmを含有する、pH=12.5の無電解Cuメッキ液等が具体例として挙げられ、例えば、該メッキ液を用いて45℃にて無電解銅メッキ処理を行った後、10ppm程度のFe(III)イオンを含有する水溶液で酸化処理を行う。
金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀(物理現像の場合)のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることが出来る。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。又、磁場遮蔽性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
導電性金属部において、コントラストを高くし、且つ、導電性金属部が経時的に酸化され退色されるのを防止する観点からは、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましい。
(酸化処理)
本発明では、物理現像及び/又はメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、沈着している金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることが出来る。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオンを含む水溶液を用いて処理する方法、或いは過酸化水素、過硫酸塩、過硼酸塩、過燐酸塩、過炭酸塩、過ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、有機過酸化物等の過酸化物を含む水溶液を用いて処理する方法など、従来公知の酸化剤を含有する処理液を用いることが出来る。酸化処理は、化学現像処理終了後から、メッキ処理前の間に行われる態様が、短時間処理で効率的に透過率向上を行うことが出来るため好ましい態様であり、特に好ましくは、物理現像処理終了後に行う態様である。
本発明では、物理現像又は無電解メッキ速度を促進させるために、化学現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することが好ましい。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。
導電性金属部は、導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することが更に好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、且つ、低コストとすることが出来る。
更に、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波遮蔽膜(導電性金属部)の表面抵抗値は、103Ω/sq以下であることが好ましく、102Ω/sq以下であることがより好ましく、10Ω/sq以下であることが更に好ましく、0.1Ω/sq以下であることが最も好ましい。
(黒化処理)
本発明においては、透明電磁波遮断フィルムの表面での外光反射を防止するという観点から、メッキ処理後に導電性金属部の表面に黒化処理を施すことが好ましい。この様な黒化処理を施した透明電磁波遮断フィルムを、例えばPDPのディスプレイに用いた場合、外光反射によるコントラストの低下を軽減出来るとともに、非使用時の画面の色調を黒く高品位に保つことが出来好ましい。黒化処理の方法としては、特に制限はなく、既知の手法を適宜、単独或いは組み合わせて用いることが出来る。例えば導電性パターンの最表面が金属銅からなる場合には、亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウムを含む水溶液に浸漬して酸化処理する方法、或いはピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム、アンモニアを含む水溶液に浸漬し、電解メッキを行うことにより、黒化処理する方法、等を好ましく用いることが出来る。又、導電性パターンの最表層がニッケル−リン合金被膜からなる場合は、塩化銅(II)又は硫酸銅(II)、塩化ニッケル又は硫酸ニッケル、及び塩酸を含有する酸性黒化処理液中に浸漬する方法を好ましく用いることが出来る。
又、上述の方法以外にも、表面を微粗面化する方法によっても黒化処理が可能であるが、高い導電性を維持するという観点からは、表面の微粗面化よりも、酸化による黒化処理の方法が好ましい。
(近赤外線吸収層)
本発明の透明電磁波遮断フィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、感光性層の下に近赤外吸収染料を含む層である近赤外線吸収層を設けた感光材料を使用することも好ましい。場合によっては近赤外線吸収層を支持体に対して、感光性層のある側の反対側に設けることも出来るし、感光性層側と反対側の両方に設けてもよい。ハロゲン化銀を含む感光性層と支持体との間に近赤外線吸収層を設けること、或いは、感光性層から見て支持体の反対側に近赤外線吸収層を設けることが出来るが、支持体の一方側にすると同時に塗布が出来るので前者の方が好ましい。
近赤外線吸収染料の具体例としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物等が挙げられる。プラズマディスプレイパネル用光学フィルタで近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、スクワリウム化合物系が特に好ましい。
近赤外線吸収染料としては、ジイモニウム化合物は、IRG−022、IRG−040(以上、日本化薬株式会社製)、ニッケルジチオール錯体化合物は、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162(以上、三井化学株式会社製)、フタロシアニン系化合物は、IR−10、IR−12(以上、日本触媒株式会社)等の市販品を利用することが出来る。
本発明の透明電磁波遮断フィルムを、例えば、プラズマディスプレイパネル用の光学フィルタと組み合わせて使う場合には、プラズマディスプレイパネルに用いられるネオンガスの輝線発光行による色再現性の低下を防ぐために595nm付近の光を吸収する色素を含有することが好ましい。この様な特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系等の周知の有機顔料及び有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましく用いられる。
(紫外線吸収層)
本発明においては、透明電磁波遮断フィルムの紫外線による劣化を避けるために、極大吸収波長350nm未満の紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物等を好ましく使用することが出来る。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀感光性層(格子パターン層)に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀感光性層への添加、或いは該層よりも光源側に設けることが好ましい。
好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物等が好ましく用いられる。
これらの紫外線吸収剤は、例えばジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類等に代表される高沸点有機溶媒に分散して添加することが好ましい。又、これらの紫外線吸収剤を支持体中に直接添加することも好ましく用いられ、この場合、例えば特表2004−531611号に記載の態様も好ましく用いることが出来る。
(反射防止層)
本発明の透明電磁波遮断フィルムを、ディスプレイ画面の保護等を目的として用いる場合には、反射防止層を設けることが好ましい。反射防止層は、屈折率の異なる複数の光透過性層からなることが好ましく、無機微粒子を含有した高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層から構成されることがより好ましい。屈折率の異なる層はそれぞれに含有される無機微粒子の種類、粒径、添加量、樹脂バインダーの種類等によって調整される。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、基材フィルムの屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は1.55〜1.80であることが好ましい。低屈折率層の屈折率は1.46以下が好ましく、特に1.3〜1.45であることが望ましい。
反射防止層としては、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層或いは多層に薄膜積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層或いは多層に薄膜積層させる方法等を用いることが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、実施例において「部」或いは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」或いは「質量%」を表す。
実施例1
〔感光材料の作製〕
(下引き済みPETフィルム支持体の準備)
厚さ100μm、幅1.3m、巻き長1000mの二軸延伸PET支持体の両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、片方の面に下引き塗布液B−1を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、その上に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下引き塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。さらに、反対側の面に下引き塗布液B−3を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、その上に12W・min/m2のコロナ放電処理を施し、下引き塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引き済みPETフィルム支持体を得た。
〈下引き塗布液B−1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.05g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引き塗布液B−2〉
ゼラチン 10g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1g
水で仕上げる 1000ml
〈下引き塗布液B−3〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレン尿素) 0.05g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
SnO2ゾル(A)の合成
SnCl4・5H2O 65gを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗する。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとする。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。更に、アンモニア水を添加しながらSnO2の固型分濃度が8.3質量%になるまで加熱濃縮し、SnO2ゾル(A)を得た。
Figure 2009071225
<ハロゲン化銀粒子乳剤の調製>
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
下記溶液I 1.59ml
純水 1246ml
(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
下記溶液I 0.85ml
下記溶液II 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml
(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
下記溶液−I 0.40ml
純水 128.5ml
(溶液I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、溶液Fと防バイ剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。
(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8ml
上記塩臭化銀立方体粒子乳剤に対し、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり56.0mg用い60℃にて60分間化学増感を行い、化学増感終了後に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)をハロゲン化銀1モル当たり500mg、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを100mg添加して、ハロゲン化銀粒子乳剤を得た。
<感光材料の作製>
上述にように作製したロール状の下引き済みPETフィルム支持体の下引き塗布液B−1/B−2を塗布している側に、上述のように調製したハロゲン化銀粒子乳剤を塗布銀量0.8g/m2、塗布ゼラチン量を0.163g/m2となるように塗布、乾燥した後、再度ロール状に巻き取りし感光材料を作製した。なお、感光材料作製においては、ハロゲン化銀乳剤、ゼラチン以外に、硬膜剤(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジンナトリウム塩)をゼラチン1g当たり50mgの比率となるようにして添加し、また塗布助剤として、界面活性剤(SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加した。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.101の作製〕
上述のようにして製造した感光材料を、図4に示す製造装置を用いて以下に示す条件で露光、化学現像処理工程、定着処理工程、物理現像処理工程、メッキ処理工程、巻き取り工程を経てロール状に巻き取り、透明電磁波遮断フィルム試料No.101を作製した。
〈露光〉
露光は光源として半導体レーザーを用いた図5に示す露光装置を使用し、図6(a)に示すマスクを介して光を透過する透過部分が幅5μm、遮蔽部分の幅が240μmのパターン露光を連続して行った。
〈化学現像処理〉
下記の化学現像処理液で温度25℃で60秒間化学現像処理を行った。
(化学現像処理液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとする。
〈定着処理〉
下記の定着処理液で温度25℃で60秒間、定着処理を行った。
(定着処理液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとする。
(定着処理後の水洗)
温度25℃の純水で5分間水洗した。
(乾燥)
温度70℃の乾燥風で60秒間乾燥した。
〈物理現像〉
下記の物理現像処理液で温度25℃で480秒間、物理現像処理を行った。
(物理現像処理液)
純水 800ml
クエン酸 7.9g
ハイドロキノン 7.7g
硝酸銀 0.8g
リン酸水素2ナトリウム 1.0g
28%アンモニア水 1.2ml
(物理現像処理の後の水洗)
温度25℃の純水で5分間水洗した。
(乾燥)
温度70℃の乾燥風で60秒間乾燥した。
〈メッキ処理〉
10%塩酸液に1分間浸漬した後、下記のメッキ処理液を用いて25℃で電流密度2A/dm2の条件で600秒間、硫酸銅電気メッキ処理を行った。
(メッキ処理液)
硫酸銅・5水和物 80g
硫酸 180g
塩素 40ppm
トップルチナ380H(奥野製薬製) 5.0ml
水を加えて全量を1リットルとする。
(メッキ処理後の水洗)
温度25℃の純水で5分間水洗した。
(乾燥)
温度70℃の乾燥風で60秒間乾燥した。
(巻き取り工程)
軸の太さ200mmの巻き芯に感光材料を厚さ30μm、幅50mmの係止テープで係止し、巻き取り張力は150N/1300mmで行った。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.102の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム101の作製において、巻き取り工程後フィルムを引き出して、厚み40μmの保護フィルムA(商品名:ヒタレックスL−7330 日立化成工業(株)製)を支持体の下引き塗布液B−3を塗設した側にラミネーターローラーを用いて貼り合わせ、透明電磁波遮断フィルム試料No.102を作製した。使用した保護フィルムAの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。尚、剥離強度は、25mm幅の試料片の保護フィルムを、被剥離面に対してドライの状態で300mm/minの速度で180°方向に引張った時の剥離開始点の引張り強度をテンシロン引張試験機〔(株)オリエンテック製〕で測定した。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.103の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム101の作製において、物理現像処理工程の後に保護フィルムラミネート工程を設け、ラミネート工程で上記保護フィルムAを支持体の下引き塗布液B−3を塗設した側にラミネーターローラーを用いて貼り合わせたのち、メッキ処理工程を行った以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.103を作製した。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.104の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム101の作製において、感光材料を作成後、上記保護フィルムAを支持体の下引き塗布液B−3を塗設した側にラミネーターローラーを用いて貼り合わせたのち、露光工程〜メッキ処理工程を行った以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.104を作製した。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.105の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム104の作製において、保護フィルムAを厚み40μmの保護フィルムB(商品名:ヒタレックスDP−1010 日立化成工業(株)製)に変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.105を作製した。使用した保護フィルムBの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.106の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルムNo.104の作製において、保護フィルムAを厚み60μmの保護フィルムC(商品名:#6322C 積水化学工業(株)製)に変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.106を作製した。使用した保護フィルムCの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.107の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム104の作製において、保護フィルムAを厚み60μmの保護フィルムD(商品名:ヒタレックスP−3030 日立化成工業(株)製)に変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.107を作製した。使用した保護フィルムDの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.108の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム104の作製において、保護フィルムAを厚み40μmの保護フィルムE(商品名:#6364 F−40 積水化学工業(株)製)に変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.108を作製した。使用した保護フィルムEの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.109の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム104の作製において、保護フィルムAを厚み60μmの保護フィルムF(商品名:ヒタレックスCl−5125 日立化成工業(株)製)に変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.109を作製した。使用した保護フィルムFの基材、粘着剤の材質、及び支持体との剥離強度を表1に示す。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.110の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルム104の感光材料に作製において、下引き済みPETフィルム支持体を作成後、下引き済みPETフィルム支持体の先頭及び後端にリーダとして二軸延伸PETフィルムをそれぞれ5m付けてハロゲン化銀乳剤を塗布した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.110を作製した。尚、リーダと支持体の接合は厚さ30μm、幅50mmのテープを用いた。
〔透明電磁波遮断フィルムNo.111の作製〕
前記透明電磁波遮断フィルムNo.110の感光材料に作製において、リーダの長さを30mに変更した以外は同様にして透明電磁波遮断フィルム試料No.111を作製した。
Figure 2009071225
PP*:ポリプロピレン
PO*:ポリオレフィン
PE*:ポリエチレン
〈評価〉
各試料No.101〜111に付き、巻き取り性、異物付着、擦り傷性、係止テープの転写痕を以下に示す方法で測定し、以下に示す評価ランクに従って評価した。又、各試料No.102〜111に付いては、各処理工程中での保護フィルムと支持体の接着性、及び電磁波遮断フィルム作製後の保護フィルムの剥離性の確認も行った。結果を表2に示す。
(巻き取り性の測定)
ロール状に巻き取った状態で、ヨレ、巻きズレの有無を目視観察した後、巻きほどき皺の発生の有無を目視観察した。
巻き取り性の評価ランク
○:巻きにヨレ、ズレがなく、皺の発生もない
△:巻きにヨレ、ズレがないが、皺の発生が1000mで2箇所未満
×:巻きにヨレ、ズレが目立ち、皺の発生が1000mで2箇所以上
(異物付着)
30mを巻き出し、保護フィルムが貼着してある試料については剥離した後、異物付着の有無を目視観察した。
異物付着の評価ランク
○:裏面に付着した不良結晶析出物や、タール状の汚れ等が全くなし
△:裏面に付着した不良結晶析出物や、タール状の汚れ等が2箇所未満
×:裏面に付着した不良結晶析出物や、タール状の汚れ等が2箇所以上
(擦り傷性)
巻き芯に巻き取った試料を振動試験機にセットし、振動数16Hz、振幅2mmで2時間振動させた。その後、ロールから30m引き出し、保護フィルムが付いている試料については剥離し、目視にて擦り傷の有無を観察した。
擦り傷性の評価ランク
○:擦り傷の発生が認められない
△:擦り傷の発生が2箇所未満認められる
×:擦り傷の発生が2箇所以上、5箇所未満満認められる
××:擦り傷の発生が5箇所以上満認められる
(係止テープの転写痕)
巻き芯に巻き取った試料を、温度23℃、湿度55%RHの環境で1日間保管し、巻き出し、転写痕を目視で検出し、巻き芯から係止テープの転写痕の付いている長さを測定した。
係止テープの転写痕の評価ランク
◎:転写痕が全く認められない
○:転写痕が5m未満のところに転写痕が僅かに認められるが5m以上は認められない
△:巻き芯から10m未満のところに転写痕が認められるが10m以上は認められない
×:巻き芯から20m未満のところに転写痕が認められる20m以上は認められない
××:巻き芯から20m以上のところに転写痕が認められれる。
Figure 2009071225
本発明の有効性が確認された。
実施例2
<受容層を有する基材の準備>
(基材の準備)
透明基材として厚さ100μm、幅1.3m、巻き長1000mで両面に12W・min/m2のコロナ放電処理を施した二軸延伸PETフィルムを準備した。
(受容層の形成)
準備した基材の片側の面に、受容層として樹脂分がアクリル樹脂とウレタン樹脂との混合樹脂のインクを固形分塗布量で1g/m2の厚さにグラビアのベタ印刷を行って形成し基材No.2−aとした。
(保護フィルムを貼着した基材の準備)
準備した基材No.2−aの受容層を形成した反対の面に、厚み40μmの保護フィルム(商品名:ヒタレックスL−7330 日立化成工業(株)製)を実施例1と同じ方法で貼着し基材No.2−bとした。
(透明電磁波遮断フィルムの作製)
図1に示す製造装置を使用し、印刷法により透明電磁波遮断フィルムを作製した。
(パターン状の金属超微粒子触媒層の形成)
準備した基材No.2−a、2−bを使用し、受容層の上に、開口率70%となる様に縦横300μmピッチに40μmの線幅で図2の(a)に示されるパターンを下記に示す触媒インクを使用しグラビア印刷で形成した。
触媒インクの調製
塩化パラジウム1%水溶液100質量部に、クエン酸三ナトリウム10質量部を溶解させ、更にクエン酸10質量部を加え安定化させる。次に、水酸化ホウ素ナトリウム0.01質量部を添加して、塩化パラジウムを還元してパラジウムコロイドを得る。これにアルミナエアロゾル10質量部を加え、更にアクリル樹脂のメチルエチルケトン10%溶液100質量部を加え、更にメチルエチルケトンで触媒インクの粘度を0.05Pa・s(50cP)に調整した。
(メッキ処理)
触媒インクを形成した上記試料について、無電解メッキ液(奥野製薬株式会社製OPC−750無電解銅M)を用いて無電解メッキを行い、透明電磁波遮断フィルムを作製し試料No.201、202とした。
評価
各試料No.201、202に付き、巻き取り性、異物付着、擦り傷性、巻き芯転写痕、処理工程中での保護フィルムの接着性、及び電磁波遮断フィルム作製後の保護フィルムの剥離性を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表3に示す。
Figure 2009071225
本発明の有効性が確認された。
印刷法による透明電磁波遮断フィルムの製造装置の概略図である。 図1に示す印刷工程で透明な帯状支持体の上にパターン状に印刷された金属超微粒子触媒層の一例を示す概略図である。 図1に示す製造装置を使用し透明電磁波遮断フィルムが製造されるまでを示す概略フロー図である。 感光材料を使用した透明電磁波遮断フィルムの製造装置の模式図である。 図4(a)のRで示される部分の拡大概略斜視図である。 図5のSに示される部分の拡大概略平面図である。 図6に示すマスクを使用し、図4に示す製造装置で露光した後、化学現像処理工程工程〜定着処理工程を経て形成されたパターン状の金属超微粒子触媒層(金属銀層)の一例を示す概略図である。 図4に示す製造装置を使用し透明電磁波遮断フィルムが製造されるまでを示す概略フロー図である。
符号の説明
1、1b 製造装置
1a 感光材料
1b1 露光装置
2、A 供給工程
201、1a1 帯状支持体
201a、1a3 保護フィルム
201b アンカー層
201c 受容層
3 印刷工程
3b 印刷装置
4、F メッキ処理工程
4b メッキ処理装置
5 水洗処理工程
5b 水洗処理装置
6 乾燥工程
6b 乾燥処理装置
7、G 巻き取り工程
8 透明電磁波遮断フィルム
B 露光工程
1b1 露光装置
1b11 マスク
C 化学現像処理工程
1c1 化学現像処理装置
D 定着処理工程
1d1 定着処理装置
E 物理現像処理工程
1e1 物理現像処理装置
1f1 メッキ処理装置
T 金属超微粒子触媒層
T″ 金属超微粒子触媒層(金属銀層)
U、U″ 光透過性部
U′ 遮蔽部分
T′ 透過部分
V1、V2 導電性金属部

Claims (9)

  1. パターン状の金属超微粒子触媒層を表面に有する帯状支持体を使用し、少なくともメッキ処理により前記金属超微粒子触媒層の上に金属層を形成し、導電性金属部と光透過性部とを有する透明電磁波遮断フィルムをロールツーロール方式で製造する透明電磁波遮断フィルムの製造方法において、
    前記メッキ処理がロールツーロール方式で行われ、且つ、前記帯状支持体の裏面に剥離可能な保護フィルムを有してメッキ処理が行われることを特徴とする透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  2. 前記金属超微粒子触媒層が印刷法により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  3. 前記金属超微粒子触媒層が、透明な帯状支持体の上にハロゲン化銀粒子及びバインダーを含有する感光性層を有する感光材料をパターン露光した後、化学現像処理及び定着処理をすることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  4. 前記化学現像処理が、帯状支持体の裏面に剥離可能な保護フィルムを有して行われることを特徴とする請求項3に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  5. 前記化学現像処理後、メッキ処理の前に物理現像処理を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  6. 前記保護フィルムと帯状支持体との剥離強度が0.3N/25mm幅〜5N/25mm幅であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  7. 前記帯状支持体の前後に少なくとも5mのリーダを有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の透明電磁波遮断フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする透明電磁波遮断フィルム。
  9. 請求項8に記載の透明電磁波遮断フィルムを用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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