JP2009070702A - 燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱などの影響から不安定となりやすい燃料電池に関し、高出力で安定した発電が可能な燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池セルから発生する熱を隔壁で区画化された放熱領域内の放熱板に導き、この放熱領域と、燃料電池の酸素導入口近傍と同通して隔壁で区画された空気移動領域とを共通する隔壁に設けられたシャッタを開閉することで、両領域を共通化或いは独立化を可能とし、また放熱領域の一端部に設けられた一個の冷却ファンを吸気あるいは排気動作を可能とする。シャッタを開放にすることで、酸素導入口近傍の酸素強制対流を生じさせて酸素供給を促進させ、同時に放熱板を冷却もできる。前記のようなシャッタとファンの運転を、セル温度と電池出力をモニタしながら制御しこの様なコンパクトな構成によって、高出力で安定した発電が可能な小型な燃料電池装置が可能となる。
【選択図】図3
【解決手段】燃料電池セルから発生する熱を隔壁で区画化された放熱領域内の放熱板に導き、この放熱領域と、燃料電池の酸素導入口近傍と同通して隔壁で区画された空気移動領域とを共通する隔壁に設けられたシャッタを開閉することで、両領域を共通化或いは独立化を可能とし、また放熱領域の一端部に設けられた一個の冷却ファンを吸気あるいは排気動作を可能とする。シャッタを開放にすることで、酸素導入口近傍の酸素強制対流を生じさせて酸素供給を促進させ、同時に放熱板を冷却もできる。前記のようなシャッタとファンの運転を、セル温度と電池出力をモニタしながら制御しこの様なコンパクトな構成によって、高出力で安定した発電が可能な小型な燃料電池装置が可能となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池の装置に関し、特に、電池出力の高出力かつ安定な動作を実現する小型な燃料電池装置に関するものである。
近年の携帯電話・ノートPC・PDAで代表される携帯情報機器は、小型化、軽量化、高機能化が一段と進んでいる。また、こういった携帯情報機器の発展に伴い、その電源となる電池も、小型・軽量・高容量化が行われてきている。
現在の携帯電話の、最も一般的な駆動電源はリチウムイオン電池である。このリチウムイオン電池は、実用化当初から高い駆動電圧と電池容量を有するものが提供され、また携帯電話の機能高度化に併せ、電池事態の性能改善が図られてきた。しかし、リチウムイオン電池の性能改善にも限界があり、今後も高機能化が進む携帯電話の駆動電源としての要求に対して、リチウムイオン電池も満足できるものでは無くなり来つつある。
こうした状況のもと、リチウムイオン電池に代わる新たな発電デバイスの開発が期待され、その有力なものの一つに燃料電池を挙げることができる。燃料電池は、負極に燃料を供給することで電子とプロトンを生成し、そのプロトンを正極に供給される酸素と反応させることで発電するものである。燃料電池の特徴は、燃料及び酸素を補給することで連続発電が可能であるため、二次電池における充電の代わりに、外気の空気から酸素を補給し得る構成であれば、燃料を補給することで二次電池と同様に機器の電源に応用できる。このようなことから、燃料電池は、分散電源や電気自動車用の大形発電機としてだけでなく、上記の携帯情報機器などの適用するための超小型発電ユニットとして、盛んに研究開発が行われている。
燃料電池は、通常、燃料として水素などを、酸素としては大気中のものを用いる。水素ガスは高圧ボンベや水素貯蔵性の物質などが必要であり、燃料タンクに大きな体積を必要とするため、小型情報機用などのマイクロ燃料電池には適さない。そこで燃料としてメタノール水溶液の適用が注目されている。
液体の燃料としてメタノール水溶液を液体のままに発電部に導入すると、液体が常に発電部に接触している必要があることから、発電の等方可動性を実現するのが困難で、メタノールの発電部における電解質層へ透過とそれに伴う酸素供給用の正極での性能低下、即ち、メタノールのクロスオーバーによるセル特性の大幅な低下が生じるといった問題があった。
そこで、液体燃料を気化し、気化蒸気を燃料として発電する方式が提案されている。こうすることで発電部への燃料は気体供給のため発電セル部での等方可動性が容易となり、またメタノールの絶対供給量が液体の場合のそれと比較して低下するため、クロスオーバーの低減も期待できる。その具体的方法としては、毛細管現象を有する気化膜を用いる方法(特許文献1)、カートリッジによる加圧を用いる方法(特許文献2)が提案されている。これらは多孔質膜を通して液体燃料の気化をするため液体の状態のまま発電部に供給されてしまう可能性を無視できない。一方、非多孔質膜である緻密な膜を用いて気化する方法(特許文献3)が提案され、この方法は、液体状態での透過も無く、同時に背圧を効果的に利用できるといったメリットもある。
特許第3413111号公報
特開2004−142831号公報
特開2006−54082号公報
上記の様な気化膜を用いて発電部を小型な燃料電池として動作させるうえで、燃料供給面積や電極面積を可能な限り大きくするため、発電セルをいわゆるスタック(層状に積上げる)型に配置するのではなく、平面直列(供給面を同一平面上に直列に配する)型に配置する構造が通常採用される。
しかし、この様な構造の小型燃料電池では、想定を超えた過剰な気化燃料の供給や発電部での温度上昇が発生すると、電池の出力低下が起こり、燃料電池装置としての安定稼動が行えないといった問題があった。また、高出力発電などを行う際に、酸素供給が不十分になり、出力低下などによって出力が安定化しないなどの問題もある。
そこで、本発明の課題は、この様な小型燃料電池において、例えば、温度変動などが生じた場合においても、安定かつ高出力の電力が得られる、コンパクトで実現容易な、小型燃料電池装置を提供することにある。
本発明の燃料電池装置は、
空気極と燃料極に挟持されてなる電解質膜を含む発電部を有する燃料電池装置であって、
前記発電部の冷却、前記発電部への酸素の供給を切り替え制御する制御部を有することを特徴とする。
空気極と燃料極に挟持されてなる電解質膜を含む発電部を有する燃料電池装置であって、
前記発電部の冷却、前記発電部への酸素の供給を切り替え制御する制御部を有することを特徴とする。
さらに、
前記空気極と接続されてなる放熱部を有し、
前記放熱部周辺の空気を排除することにより、前記発電部の冷却を行うことを特徴とする。
前記空気極と接続されてなる放熱部を有し、
前記放熱部周辺の空気を排除することにより、前記発電部の冷却を行うことを特徴とする。
さらに、
前記燃料電池装置は、更に、ファンを含み、
前記制御部は、
前記ファンを排気動作させることで、前記発電部に酸素を供給し、
前記ファンを吸気動作させることで、前記放熱部を冷却することを特徴とする。
前記燃料電池装置は、更に、ファンを含み、
前記制御部は、
前記ファンを排気動作させることで、前記発電部に酸素を供給し、
前記ファンを吸気動作させることで、前記放熱部を冷却することを特徴とする。
さらに、
前記制御部は、前記発電部の出力または温度に応じて、前記切り替え制御を行うことを特徴とする。
前記制御部は、前記発電部の出力または温度に応じて、前記切り替え制御を行うことを特徴とする。
本発明の燃料電池装置によって、温度変動などが生じた場合においても、安定かつ高出力の電力が得られる、コンパクトで実現容易な燃料電池を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図を参照しつつ説明する。
(実施例)
図1〜3に示す断面図ないし側面図は、本発明になる燃料電池装置を説明するための模式図である。
(実施例)
図1〜3に示す断面図ないし側面図は、本発明になる燃料電池装置を説明するための模式図である。
図1は、本発明になる燃料電池装置の中心部付近の横方向断面を上方から見たときの状況を示す模式図である。燃料電池装置1は、例えば金属材料からなる筐体2により外部全体をカバーされており、その内部は、図示するように、大別して、主に、燃料電池セル部3、放熱領域部4および空気移動領域部5からなる。
燃料電池セル部3は、本実施例の本図においては、例えば、燃料供給部6を挟んで、同じ構成をする二つの燃料電池単位セル9が配置される。燃料供給部6は、中心にメタノールが水に高配合に混合されたガス(メタノール高配合ガス)からなる燃料の燃料貯蔵部7と、その両外側(燃料電池単位セル9側)に、例えば、ポリパーフルオロスルフォン酸系の樹脂膜、カルボキシル基を有するパーフルオロスルフォン酸系の樹脂膜、シリコーン膜、あるいはポリイミド膜などの非多孔質の膜からなる、気化膜8が配される。燃料は燃料貯蔵部7から加圧により燃料電池セル部に供給され燃料極10で消費される。
燃料電池単位セル9は、気化膜8側から、燃料極10、空気極12、それらの間に設けられた電解質膜11から構成される。
燃料極10は燃料を酸化してプロトンと電子を取り出すものであり、電解質層11の側から燃料極触媒層・燃料極集電体13に順に積層して配置される。燃料極触媒層は白金(Pt)または白金とルテニウム(Ru)などの遷移金属からなる合金の微粒子と炭素粉末と電解質層を形成する高分子をカーボンペーパーなどの多孔質導電層に塗布・充填したものを用いる。燃料極集電体13は、SUS、Niなどのメッシュからなり燃料極触媒層で生成された電子を効率的に取り出す。
空気極12は酸素を還元して発生したイオンと、燃料極で生成された電子及びプロトンから水を生成するものであり、電解質層11側から空気極触媒層・空気極集電体14の順に積層して配置される。空気極触媒層は燃料極触媒層と同様に、白金(Pt)または白金とルテニウム(Ru)などの遷移金属からなる合金の微粒子と炭素粉末と電解質層を形成する高分子をカーボンペーパーなどの多孔質導電層に塗布・充填したものである。空気極集電体14は、SUS、Niなどのメッシュからなり空気極触媒層で電子を効率的に供給する。
電解質層11は燃料極において生成したプロトンを空気極に輸送するための経路であり、電子伝導性を持たないイオン導電体で形成されている。例えば、ポリパーフルオロスルフォン酸系の樹脂膜、具体的にはデュポン社製のNafion膜などがある。
また空気極12の電解質層11に対向しない側(空気極集電体14の外側)の面は、酸素を含む外気を自然拡散により導入できるように、例えば、ポリフッ化ビニリデンからなる多孔質膜15を備えた形で開放された状況とする。
そして、図示するように、燃料電池セル部3から発生する熱をセル外部に伝えるべく、例えばアルミニウムもしくはグラファイト金属材料などからなる、熱的伝導性を有する熱伝導性支持材16によって、燃料電池セル部3の発熱部と電気的には非導電性で熱的に接続をすると共に、これを筐体2に固定する。そして、熱放散の効率化を進めるためにこの熱伝導性支持材16と、例えば多段状をなす放熱板17とを接続する。
図2は、図1のA−A’個所の断面であって、装置の縦方向の断面を側面方向から観察したときの模式図である。図中、左側を燃料電池セル部3が占め、右に、空気移動領域5、放熱領域部4がある。燃料電池セル部3は、燃料電池単位セル9(本図では、2つの燃料供給部6が見える)が2つ直列に接続される構造で、図1の断面図との関係から、この場合、計4つの燃料電池単位セルが直列接続する。
空気移動領域5に関し、筐体2内部において、この空間は放熱領域4とは、金属製などの隔壁によって隔てられ、この隔壁と燃料電池セル部3の側面とで囲まれていて、図2で上下方向(装置平面方向)、図1で上下方向(装置上下方向)共に開放され、また図1で明らかな様に、燃料電池セル部3の空気極集電体14面を覆う多孔質膜15の外側の酸素導入用の空間とも一体化され、両空間で空気移動が可能としている。なお、多孔質膜15の外側の酸素導入用の空間にある、図1に示す支柱19は、燃料電池セル部3を筐体2内部に支えるために適宜間隔をおいて配置されるものであって、これによって酸素導入用の空間を閉鎖ないし遮断するようにするものではない。
放熱領域部4は、隔壁で空気移動領域部5とは隔てられ、この空間内部には、底部の所定空間領域を除いて、複数の放熱板17が装置縦方向に平行配置されており、燃料電池単位セル9で発生した熱が、熱伝導支持材16を介して、この放熱フィン状の複数の放熱板17にて放熱する。また、この放熱領域部4上方には、一個の(換気あるいは冷却用)ファン18(例えば、日本電産コパル電子(株)製、F16EA)が取り付けられ、このファン18の回転方向によって、筐体外の外気の放熱領域部4内への吸気、あるいは内部空気の放熱領域部4外への排気が可能となる。
また、放熱領域部4と空気移動領域部5の各空間を隔てる隔壁には、図2に示すように、一個の(装置の奥行き方向に長い)シャッタ20が設けられ、これによって、シャッタ20を隔壁と同一面に立てた状態として、隔壁が完全に閉鎖される状況、あるいは、例えばシャッタ20を放熱領域部の底面に倒した状態として、隔壁の一部が開放され、放熱領域部4と空気移動領域部5の両空間が共通化される状況を可能とする。
さらに、ファン18およびシャッタ20に関し、上記の各機能を行わせるために制御を行うための制御部21が燃料電池装置1に付属する。制御装置21は、ファン18を排気・吸気動作および動作停止制御、更にはファン動作強度の制御などを、またシャッタ20に関してはその開閉制御などを、例えば燃料電池セル近傍にとりつけた温度センサからの温度モニター値、燃料電池出力モニター値などを参照しながら制御プログラムに従って制御を実施する機能を有する。制御部21の実装場所については、本図で示したように筐体2の外部に付属して配置されることに限られることは無く、制御部21の構成容積に応じて、他の場所、例えば上昇温度の影響が少ない筐体2の内部、あるいは、筐体2とは別筐体として配置しても構わない。
図3は、本発明の筐体内側面部を示すもので、図中、左側を燃料電池セル部3が占め、右に放熱領域部4があり、共通的な、酸素拡散導入用の複数の開口を有する熱伝導性支持材16に右側背面側に空気移動領域5がある。放熱領域部4には、放熱板16、上方にファン18、下方にシャッタ20があるのが解る。
図4は、図2及び図3で述べたシャッタ20の動作を説明するための、模式的な部分断面図であって、図2の右側部分(空気移動領域部5及び放熱領域部4)のみを示す。
図4(1)では、例えばアルミニウムなど温度変化が少なく比較的軽量化が可能な金属からなるシャッタ20を、図示するように立てることによって、空気移動領域部5と放熱領域部4を分離し、例えば、放熱領域部4のトップ部に取り付けてあるファン18を吸気運転させることによって、放熱領域部4内に空気の移動が生じ、燃料電池セルの熱伝導性材料と熱的に接続している放熱板17に対して空気冷却が行なわれる。一方、空気移動領域部5では空気の流れは生ぜず、従って、この領域に繋がる、燃料電池の酸素取り入れサイドである空気極側の多孔質膜15の開口側では、空気(酸素)供給はその領域内での自然対流(熱対流)に規制されることとなる。それと共に、燃料電池内での燃料の反応によって空気極に生じる水(水蒸気)が燃料極側での反応に用いられることから、この水(水蒸気)の効率的な電池内の還流、あるいは空気極側の多孔質膜15への滲みだしを左右する。
図4(2)では、シャッタ20を図示するように一方側に倒すことによって、空気移動領域部5と放熱領域部4を共通化して、両領域間で空気(酸素)の流れが生じうるようにする。このとき、例えば、放熱領域部4のトップ部に取り付けてあるファン18を排気運転させることによって、空気移動領域部5と放熱領域部4で共に空気の流れが生じ、一つのファンで、燃料電池の酸素取り入れ側開口部近傍での酸素を強制的に流動化して、燃料電池の酸素取り入れを効率的行える状況にすることが可能となると共に、燃料電池内での燃料の反応によって生じる水(水蒸気)が燃料極側での反応に用いられることから、この水(水蒸気)の効率的な電池内の還流、また空気極側の多孔質膜15への滲みだしの程度を制御する。また、同時に、放熱板を空気対流で冷却することも実現できる。
このように、本発明の装置では、酸素の取り入れ制御、燃料電池の冷却制御、発生した水(水蒸気)の適正化制御を、燃料電池の状態を観察しつつ、一個のファンと一個のシャッタを制御するといった簡単な構成のコンパクトな装置で、その電池の適正な状態を維持実現することが可能となる。
こうした装置構成を用い、燃料電池単位セルを、具体的には、燃料極:白金―ルテニウム合金担持触媒(TEC61E54、田中貴金属社製)、空気極:白金担持触媒(TEC10E50E、田中貴金属社製)、電解質:Nafion―N112(Dupont社製)、気化膜:シリコーン(三菱樹脂社製)、燃料:100vol%メタノール水溶液、10cc:送液圧力:0.5MPsとして作製した。
この様に作製した単位セルを4個直列に接続し、単位セルあたりの面積を10cm2とし、各種の制御条件下で、1.2Vの低電位放電の実験を行った。その結果を図5〜図7に示す。
図5は、前記構成の燃料電池装置において図4(1)で述べた様に、制御部21によって、シャッタ20を立ててファン18を吸気運転させることで、放熱板17側のみの空気を強制移動させて、放熱板、即ち燃料電池セル部3(の熱伝導支持材16)を冷却するようにし、燃料電池セルへの酸素供給を含む、多孔質膜15近傍での空気の強制的な流れを生じさせていない場合での測定結果である。
図5(1)は、燃料電池の作動開始以降の経過時間に対して、燃料電池の定電位1.2V(図中Vの線で示す)放電での発電における電流Iの変化状況を示す。図5(2)は、同じく、経過時間に対して、燃料電池の設置室内の室内温度(R.T.)は一定の25℃における、図3に示す燃料電池セルの熱伝導支持材16における温度(制御温度(C.T.))の変化状況を示す。図5から明らかなように、この様な冷却制御のみでは、時間経過と共に電流値は変動し、安定した電力の出力が得られない。
こうした結果は以下の様な現象によって生じたものと考えられる。即ち、先ず燃料電池の化学反応が開始するにつれて、セル温度が上昇し、これによって電池内の触媒の活性化がさらに上昇して出力の上昇が起こる。一定温度になると、ファンの運転によってセル温度の冷却制御が作動し、セル温度の上昇が止まることから、温度上昇に伴う出力上昇は停止する。この間、セル近傍の酸素は消費され続けるため、酸素取り入れ個所近傍の酸素が単なる空気の自然対流(熱対流)のみでは、電池における継続的な化学反応に必要な酸素が欠乏することとなって、大きな出力を得ることができないことは勿論のこと、更には、出力(電流)の低下を引き起こすこととなり、継続的に安定な電池出力を得ることができない。
これに加えて、酸素の電池内への適正な循環が行われないと、電池の化学反応によって空気極側で発生する水(水蒸気)により、空気極中に形成されている微細な空孔が塞がれてしまうといった現象(フラッティング現象)が生じ、その結果空気極中に、反応に必要な酸素が運搬されず、結果として出力が低下することがある。特にこの現象は、高電流出力動作を行なったときに生じやすい。
図6は、図5の場合と異なり、セルの冷却は行わず、燃料電池セルへの酸素供給を含む、多孔質膜15近傍での空気の強制的な流れを生じさせることのみを行った場合の状況である。これを前述の装置を用いて行う場合は、熱伝導支持材16と放熱板17との間を熱的に切断する、例えば、熱伝導支持材16に切れ目16A(図1、図3)を入れることなどを行い、ファン18とシャッタ20も状況は図4(2)の様に、空気移動領域部5と放熱領域部4で共に空気の流れが生じるようにすることによって実現できる。これで、空気移動領域部5の空気の流れは生じるが冷却は行われない。
図6(1)、(2)は、その条件下での結果を、図5(1)、(2)で説明したものと同様な座標関係で示してある。この場合も、安定的な電池出力が得られていない。この結果は、以下の様な理由によるものと考えられる。先ず燃料電池の化学反応が開始するにつれて、セル温度が上昇し、これによって電池内の触媒の活性化がさらに上昇して出力の上昇が起こる。これは、図5の場合と同じ。発電反応は空気極近傍に常に反応に必要な酸素と共に、同様に反応に必要な空気極で発生した水(水蒸気)がアノード(燃料極)側に到達できている。しかし、酸素の強制導入が過多になると、空気極近傍にある水(水蒸気)を奪い去る(電池の系から除去)様に働き、燃料電池の反応のひとつの水との化学反応が行われなくなり、結果として出力(電流出力)の低下が発生するようになる。
次に、図4(2)の様にシャッタを開き、またファンを吸気動作させ、これによって、空気移動領域部5と放熱領域部4で共に空気の流れが生じるようにした条件下での、燃料電池の動作制御を行う場合を示す。図4(2)の構成を用いることによって、一つのファンで、燃料電池の酸素取り入れ側開口部近傍での酸素を強制的に流動化して、燃料電池の酸素取り入れを効率的行える状況にすることが可能とし、また、燃料電池内での燃料の反応によって生じる水(水蒸気)が燃料極側での反応に用いられることから、この水(水蒸気)の効率的な電池内の還流、また空気極側の多孔質膜15への滲みだしの程度を制御する。そして、同時に、放熱板に対して空気対流させることでセルを冷却(温度制御)することも同時に行なえる。
そのときの燃料電池装置の出力結果例を、図7(1)、(2)に示し、上記図5、6で説明したものと同じ座標関係で表している。この場合の燃料電池装置においては、電池出力(例えば、1.2V定電位動作で、電流が900mA)と制御温度(セル温度)(例えば、室温(R.T.)25℃において、制御温度50℃)を、計測器と熱電対などを用いた温度計で継続的にモニタし、基本動作としては、図4(2)にように、シャッタを開いてファンの吸気運転を行い、上記の温度や出力からの変動の状況に応じて、ファンの吸気送気運転のオン・オフ、シャッタの開閉とを適宜組合せることで、本図に示されるように、安定性の高い、高出力特性を有する、特に小型な燃料電池装置を実現できることが解った。これらのシャッタやファンの運転制御は、温度や出力モニタ値と連動して、付属制御プログラムを有する制御部で自動制御化することも可能である。
これまでは、この様な小型な燃料電池を発電稼動させる場合、燃料電池セルなどの温度を積極的に制御する機能を有する例はあまり見られず、通常は、セルの定常状態で安定な動作ができるレベルになるようにチューニングを行い、その安定チューニング状態以上の出力特性を得ることは容易では無かった。また、燃料電池の化学反応に不可欠な酸素(空気)の電池内導入に関しては、従来は、基本的には自然対流(熱的対流)に依存してきており、このために、一つは、高出力を取りだすために十分な酸素供給量を得ることが難しくなっていたこと、他方、発電化学反応で生じた水(水蒸気)を伴った化学反応へのスムーズな循環は必要であると同時に、特に高出力発電を行った場合、多量に発生した水の効果的な滞留の排除に関しての配慮がなされず、フラッティング現象が起こしやすいとった問題もあった。
しかし、本発明の装置においては、発電セル部の温度制御と酸素供給のための空気の循環入れ替えが、コンパクトな付加構造の追加によって、容易かつ安価に行うことができるようになった。このため、このような小型な燃料電池装置においても、発電出力の高出力化と共に損の安定動作化が同時に行なうことが可能となった。
1 燃料電池装置
2 筐体
3 燃料電池セル部
4 放熱領域部
5 空気移動領域部
6 燃料供給部
7 燃料貯蔵部
8 気化膜
9 燃料電池単位セル
10 燃料極
11 電解質膜
12 空気極
13 燃料極集電体
14 空気極集電体
15 多孔質膜
16 熱伝導性支持材
17 放熱板
18 ファン
19 支柱
20 シャッタ
21 制御部
2 筐体
3 燃料電池セル部
4 放熱領域部
5 空気移動領域部
6 燃料供給部
7 燃料貯蔵部
8 気化膜
9 燃料電池単位セル
10 燃料極
11 電解質膜
12 空気極
13 燃料極集電体
14 空気極集電体
15 多孔質膜
16 熱伝導性支持材
17 放熱板
18 ファン
19 支柱
20 シャッタ
21 制御部
Claims (4)
- 空気極と燃料極に挟持されてなる電解質膜を含む発電部を有する燃料電池装置であって、
前記発電部の冷却、前記発電部への酸素の供給を切り替え制御する制御部を有することを特徴とする燃料電池装置。 - 前記空気極と接続されてなる放熱部を有し、
前記放熱部周辺の空気を排除することにより、前記発電部の冷却を行うことを特徴とする請求項1記載の燃料電池装置。 - 前記燃料電池装置は、更に、ファンを含み、
前記制御部は、
前記ファンを排気動作させることで、前記発電部に酸素を供給し、
前記ファンを吸気動作させることで、前記放熱部を冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池装置。 - 前記制御部は、前記発電部の出力または温度に応じて、前記切り替え制御を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの1項に記載の燃料電池装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007238406A JP2009070702A (ja) | 2007-09-13 | 2007-09-13 | 燃料電池装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007238406A JP2009070702A (ja) | 2007-09-13 | 2007-09-13 | 燃料電池装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009070702A true JP2009070702A (ja) | 2009-04-02 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007238406A Withdrawn JP2009070702A (ja) | 2007-09-13 | 2007-09-13 | 燃料電池装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009070702A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012048928A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Fujikura Ltd | 燃料電池の温度制御装置 |
-
2007
- 2007-09-13 JP JP2007238406A patent/JP2009070702A/ja not_active Withdrawn
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JP2012048928A (ja) * | 2010-08-26 | 2012-03-08 | Fujikura Ltd | 燃料電池の温度制御装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20101207 |