JP2009070531A - 半導体装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不揮発性メモリにおけるデータ書き込み時間の短縮
【解決手段】主記憶領域である不揮発性の第1記憶領域12と、第1記憶領域と同一の消去単位に属する不揮発性の第2記憶領域14と、第1記憶領域12及び第2記憶領域14に記憶されたデータを消去した後、第2記憶領域14にデータを書き込み、第2記憶領域14に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、第1記憶領域12に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定する制御部10と、を具備する半導体装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置に関し、特にフラッシュメモリをはじめとする電気的に消去及び書き込みが可能な半導体装置に関する。
フラッシュメモリをはじめとする不揮発性半導体メモリは、複数のメモリセルからなる記憶領域を備えている。メモリセルは電荷蓄積層を備えたトランジスタ構造からなり、電荷蓄積層中の電荷量を可変にすることでメモリセルの閾値電圧を変化させ、それによりデータを記憶することができる。電荷蓄積層には、例えばフローティングゲートや、SiN等からなる絶縁膜が用いられる。
電荷蓄積層中への電荷の注入、及び電荷蓄積層からの電荷の引き抜きは、メモリセルトランジスタのゲート・ソース・ドレインの各端子に所定のストレスを印加することにより行う。メモリセルへのオーバープログラムを防止するため、メモリセルへのデータ書き込み時にはストレスの印加及びベリファイ動作を繰り返し行い、閾値電圧を段階的に上昇させる方法が用いられる。
データの書き換え回数の増加に伴い、例えばメモリセルの劣化等により電荷蓄積層への電荷の注入は困難になり、データの書き込みにかかる時間が長くなっていく。この点を改善するため、メモリセルのコンディション(例えば、メモリセルの累計書き換え回数等)に応じて、データ書き込み時にメモリセルに加えるストレスを調整する機構を備えた半導体装置がある。
特許文献1には、データ書き込み時にメモリセルへ印加した書き込みパルスの回数を記憶し、次回のデータの書き換え時には、前回の書き込みパルス回数と同じ回数の書き込みパルスをまとめて印加する機構を備えた半導体装置が開示されている。これによれば、データ書き込み時のベリファイ動作にかかる時間を短縮することができるため、メモリセルへのデータの書き込み時間を短縮することができる。
特許文献2には、メモリセルの書き換え回数に応じて、メモリセルに印加する書き換え電圧の大きさを可変とする機構を備えた半導体装置が開示されている。これによれば、メモリセルの書き換え回数の増加に伴い、メモリセルに印加する書き換え電圧を大きくするため、メモリセルの書き換え時間を一定時間内に抑制することができる。
特開2003−346482号公報 特開2000−348491号公報
特許文献1及び特許文献2に開示された半導体装置では、データの書き込みを行う度にメモリセルのコンディションを読み出し、メモリセルに加えるストレスを随時調節していた。このため、場合によってはデータの書き込み時間がかえって長くなってしまうという課題があった。
本発明は、メモリセルのコンディションに応じて、データ書き込み時にメモリセルに加えるストレスを調整する機構を備えた半導体装置において、データの書き込み時間を短縮した半導体装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、主記憶領域である不揮発性の第1記憶領域と、前記第1記憶領域と同一の消去単位に属する不揮発性の第2記憶領域と、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域に記憶されたデータを消去した後、前記第2記憶領域にデータを書き込み、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定する制御部と、を具備することを特徴とする半導体装置である。本発明によれば、ストレス情報の測定をデータ消去のたびに行うこととしたため、データの書き込み時間を短縮することができる。このとき、第1記憶領域と第2記憶領域は同一の消去単位に属するため、第2記憶領域に対するデータ書き込み時のストレス情報に基づいて、第1記憶領域に対するデータ書き込み時のストレス条件を適切に設定することができる。
上記構成において、前記第2記憶領域は、前記第1記憶領域からデータの読み出しを行う際に参照されるリファレンス情報を記憶する領域である構成とすることができる。この構成によれば、リファレンス情報はデータ消去後に最初に書き込まれるため、第2記憶領域へのデータ書き込み時のストレス情報に基づき、第1記憶領域へのデータ書き込み時のストレス条件を設定することが容易となる。
上記構成において、前記ストレス情報は、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスによる前記第2記憶領域の閾値電圧の変化量を含む構成とすることができる。この構成によれば、第1記憶領域に対するデータ書き込み時のストレス条件をより正確に設定することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記閾値電圧の変化量が大きい場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが小さくなるように制御し、前記閾値電圧の変化量が小さい場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが大きくなるように制御する構成とすることができる。この構成によれば、データの書き込み時間を短縮しつつ、閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に、書き込みベリファイに合格しなかった場合には、前記第2記憶領域の前記閾値電圧の変化量に基づいて、前記第2記憶領域に対し加えるストレスの条件を変更して再度データの書き込みを行う構成とすることができる。この構成によれば、第2記憶領域へのデータ書き込み時間を短縮することができる。
上記構成において、前記ストレス情報は、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数を含む構成とすることができる。この構成によれば、閾値電圧の変化量を測定する場合に比べ、ストレス情報を容易に測定することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数が少ない場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが小さくなるように制御し、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数が多い場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが大きくなるように制御する構成とすることができる。この構成によれば、データの書き込み時間を短縮しつつ、閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
上記構成において、前記ストレス条件は、前記第1記憶領域に対し加えられる電圧の大きさ、及び電圧が加えられる時間の長さの少なくとも一方である構成とすることができる。
上記構成において、前記ストレス情報、及び前記ストレス条件の少なくとも一方を記憶する不揮発性の第3記憶領域を具備する構成とすることができる。
上記構成において、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域は、同一ワードライン上に設けられている構成とすることができる。
本発明は、主記憶領域である第1記憶領域と、前記第1記憶領域と同一の消去単位に属する第2記憶領域と、を具備することを特徴とする半導体装置の制御方法であって、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域に記憶されたデータを同時に消去するステップと、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップと、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定するステップと、を具備することを特徴とする半導体装置の制御方法である。本発明によれば、ストレス情報の測定をデータ消去のたびに行うこととしたため、データの書き込み時間を短縮することができる。
上記構成において、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップは、前記第2記憶領域に対しデータ書き込みのためのストレスを加えるステップと、前記ストレスによる前記第2記憶領域の閾値電圧の変化量を測定するステップと、を含み、前記ストレス情報に基づき、前記ストレス条件を決定するステップは、前記閾値電圧の変化量が大きい場合に、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを小さく設定するステップと前記閾値電圧の変化量が小さい場合に、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを大きく設定するステップと、を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップは、前記第2記憶領域に対しデータ書き込みのためのストレスを加えるステップと、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数を測定するステップと、を含み、前記ストレス情報に基づき、前記ストレス条件を決定するステップは、前記ストレスの回数が少ない場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを小さく設定するステップと、前記ストレスの回数が多い場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを大きく設定するステップと、を含む構成とすることができる。
本発明によれば、制御部が、第1記憶領域及び第2記憶領域に記憶されたデータを消去した後、第2記憶領域に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定する。このように、ストレス情報の測定をデータ消去の度に行うこととしたため、データの書き込み時間を短縮することができる。また、第1記憶領域と第2記憶領域は同一の消去単位に属するため、第2記憶領域に対するデータ書き込み時のストレス情報に基づいて、第1記憶領域に対するデータ書き込み時のストレス条件を適切に設定することができる。
以下、図面を用い本発明に係る実施例について説明する。
図1は実施例1に係る半導体装置100の構成を示したブロック図である。半導体装置100は、制御部10、第1記憶領域である主記憶領域12、第2記憶領域であるリファレンス領域14、第3記憶領域である補助記憶領域16、アドレスデコーダ20、昇圧回路22、入出力回路24、を備えて構成される。
制御部10は、アドレスデコーダ20、昇圧回路22、及び入出力回路24の動作を制御することにより、主記憶領域12及びリファレンス領域14に対するデータの書き込み、読み出し、及び消去動作の制御を行う。また、後述するように補助記憶領域16との間で、ストレスに関する情報のやり取りを行う。
主記憶領域12は複数の不揮発性のメモリセルを有し、各種プログラムやデータなどを使用目的に応じて記憶する。リファレンス領域14は主記憶領域12と同じく複数の不揮発性のメモリセルを有し、主記憶領域12からデータの読み出しを行う際に参照されるリファレンス情報を記憶する。主記憶領域12及びリファレンス領域14は複数のセクタ(例えば12a及び14a)に分割されており、データの消去はセクタ単位で行われる。
図2は主記憶領域12及びリファレンス領域14の一部を拡大した回路図である。ワードラインWL1及びビットラインBL1〜BLnの交差領域には、主記憶領域12の一部であるメモリセルCELL1〜CELLnが設けられている。また、ワードラインWL1上にはリファレンス領域の一部であるメモリセルREF1及びREF2が設けられている。主記憶領域12及びリファレンス領域14の各セクタは、複数(例えば、256本)のワードラインから構成される。
メモリセルREF1には論理“0”が記憶され、メモリセルの閾値電圧は高レベルVに設定されている。一方、メモリセルREF2には論理“1”が記憶され、閾値電圧は低レベルVに設定されている。VとVから、VとVとの中間の電圧値であるリファレンス電圧VREFを決定する。データの読み出し時にはリファレンス電圧VREFと、主記憶領域12の各メモリセルCELL1〜CELLnの閾値電圧とをそれぞれ比較し、読み出された閾値電圧がリファレンス電圧VREFより高い場合を論理“0”、低い場合を論理“1”としてデータの読み出しを行う。
不揮発性のメモリセルは、データの書き込み及び消去を繰り返すことにより徐々に劣化し、同じストレスに対するメモリセルの閾値電圧の変化量も、メモリセルの劣化に応じて変化する。そこで、上記のように主記憶領域12からのデータ読み出し時にリファレンス領域14を参照することで、データの読み出しを安定して行うことができる。また、リファレンス領域14は主記憶領域12と同一の消去単位に属し、同じ回数の消去を経験する。これにより、リファレンス領域14のメモリセルのコンディション(例えば、メモリセルの劣化度合)を、主記憶領域12のメモリセルのコンディションと等しくすることができ、後述するようにリファレンス領域14へのデータ書き込み時のストレス情報に基づいて、主記憶領域12へのデータ書き込み時のストレス条件を決定することができる。データの消去後には、主記憶領域12にデータの書き込みが行われる前に、リファレンス領域14にデータの書き込みが行われる。
図1を参照に、補助記憶領域16はリファレンス領域14へのデータ書き込みを行った際のストレス情報と、主記憶領域12へデータの書き込みを行う際のストレス条件とを対応させて記憶する領域である。ストレス情報とは、リファレンス領域14のメモリセルのコンディションに対応するものであり、例えば所定のストレスを加えた場合におけるメモリセルの閾値電圧の変化量や、データ書き込み時にメモリセルに印加したストレスの回数などを含む。ストレス条件とは、データ書き込み時に主記憶領域12のメモリセルに加えるストレスに対応するものであり、例えば書き込み電圧の大きさや、電圧を印加する時間の長さを含む。
アドレスデコーダ20は、アドレス信号及び制御部10からの制御信号の入力に応じて、データの書き込み及び読み出し対象となるメモリセルを、主記憶領域12の中から選択する。昇圧回路22は、制御部10からの制御信号の入力に応じて、データの書き込み、読み出し、及び消去のための高電圧を生成する。入出力回路24は、制御部10、主記憶領域12、及び外部との間でデータのやり取りを行う。
図3及び図4を参照に、実施例1に係る半導体装置100の動作を説明する。図3は半導体装置100におけるデータ消去時の制御の流れを示したフローチャートである。
まず制御部10が、主記憶領域12及びリファレンス領域14に記憶されたデータを消去する(ステップS10)。前述のように、データの消去は複数のメモリセルからなるセクタ単位で行い、例えば主記憶領域12のセクタ12a、及びそれに対応したリファレンス領域のセクタ14aを合わせたブロック18に記憶されたデータを同時に一括して消去する。このとき、セクタ内の各メモリセルのストレスに対する条件を同じにするため、消去対象となるメモリセルのうち、データが書き込まれていないメモリセルに対し一度データの書き込みを行ってから消去を行うことが好ましい。
次に制御部10が、リファレンス領域14に対し、閾値電圧を確認するためのベリファイ動作を行う(ステップS11)。実施例1では、リファレンス領域14の閾値電圧を徐々に上げていき、所定の閾値電圧を超えた段階でベリファイ合格、すなわちデータの書き込みが完了したものとする。ベリファイに合格しなかった場合には、制御部10がリファレンス領域14の閾値電圧の変化量を測定し(ステップS12)、必要に応じて書き込みストレスの条件(電圧の大きさ、電圧を加える時間の長さ等)を調整し(ステップS13)、リファレンス領域14に対しデータの書き込みを行う(ステップS14)。以上、ステップS12からステップS14の動作を、書き込みベリファイに合格するまで繰り返し行う。
ステップS11においてベリファイに合格した場合には、制御部10が、ストレスによるリファレンス領域14の閾値電圧の変化量を、ストレス情報として補助記憶領域16に記憶する(ステップS15)。以上により、半導体装置100の消去動作が終了する。
図4は半導体装置100における、主記憶領域12に対するデータ書き込み時の制御の流れを示したフローチャートである。まず、制御部10が補助記憶領域16から、図3のステップS15において記憶されたリファレンス領域14の閾値電圧の変化量を読み出す(ステップS20)。制御部10は読み出された閾値電圧の変化量に基づき、主記憶領域12に対するデータ書き込みの際のストレス条件を設定する(ステップS22)。ストレス条件の設定方法については後段で詳述する。
次に制御部10が、主記憶領域12に対し、閾値電圧を確認するためのベリファイ動作を行う(ステップS24)。リファレンス領域14に対する書き込みの場合と同様、主記憶領域12の閾値電圧を段階的に上昇させていき、閾値電圧が所定値を超えた段階でベリファイ合格とする。ベリファイに合格しなかった場合には、制御部10が主記憶領域12に対し、データの書き込みを行う(ステップS26)。ここで、主記憶領域12に対するデータ書き込みには、ステップS22において設定したストレス条件を用いてデータの書き込みを行う。
以後、ステップS24においてベリファイに合格するまで、ステップS26におけるデータの書き込みを繰り返し行う。このとき、データの書き込みはステップS22において設定されたストレス条件と同じストレス条件で行い、閾値電圧の変化量の測定及びストレス条件の変更は行わない。ステップS24においてベリファイに合格した場合には、書き込み動作を終了する。
図4のステップS22におけるストレス条件は、図3のステップ15において補助記憶領域16に記憶された、ストレスによるリファレンス領域14の閾値電圧の変化量に基づいて設定する。以下、これについて説明する。
図5(a)〜(c)はデータ書き込みの際のストレスによる、リファレンス領域14の閾値電圧の変化の様子を示した図である。メモリセルに対しストレスSTが加えられる度に、閾値電圧が少しずつ上昇していく様子が示されている。
図5(a)はストレスレベルが小さい場合の閾値電圧の変化を示した図である。閾値電圧の変化量(Vt)が少ないため、所定の閾値電圧(Vtarget)を超えるまでに何度もストレスの印加及びベリファイを繰り返さなくてはならず、データの書き込みにかかる時間が長くなってしまう。
図5(b)はストレスレベルが大きい場合の閾値電圧の変化を示した図である。閾値電圧の変化量が大きいため、データの書き込みにかかる時間が短縮されている。しかし、データ書き込み後のメモリセルの閾値電圧が所定の閾値を大きく超えてしまう場合があり、結果としてデータが書き込まれたメモリセルの閾値電圧のばらつきが大きくなってしまう。これは、特にメモリセルを多値化する場合に問題となる。
図5(c)は図4(a)及び(b)の閾値電圧の変化に基づき、ストレスレベルを調節した場合の閾値電圧の変化を示した図である。まず、大きいストレスST1により目標とする閾値電圧(Vtarget)付近まで閾値電圧を大きく上昇させる(Vt1)。次に、小さいストレスST2により閾値電圧を小さく上昇させ(Vt2)、目標とする閾値電圧(Vtarget)を少し超えた段階でデータの書き込みを完了する。このように、ストレスのレベルを適切に設定することにより、データの書き込みにかかる時間を短縮しつつ、閾値電圧のばらつきを抑制している。
図6はストレスによるリファレンス領域14の閾値電圧の変化量30と、主記憶領域12に対する書き込み時のストレス条件32との対応を示した表である。制御部10はこの表に基づき、主記憶領域12に対する書き込み時のストレス条件を決定する。すなわち、閾値電圧の変化量30が小さい場合(図5(a))には、ストレスを大きく(より高電圧を印加、またはより長時間電圧を印加)することにより、データの書き込みにかかる時間を短縮する。一方、閾値電圧の変化量30が大きい場合には(図5(b))には、ストレスを小さく(より低電圧を印加、またはより短時間電圧を印加)することにより閾値電圧が所定値(Vth)を大きく上回ることを抑制し、メモリセルごとの閾値電圧のばらつきを抑制している。
主記憶領域12及びリファレンス領域14は同一の消去単位に属するため、同じ回数の消去を経験する。このことから、セルのコンディション(消去時のストレスによるセルの劣化度合)はほぼ同一と推定することができるため、同一のストレスに対する閾値電圧の変化量も同一と考えられる。以上の理由から、リファレンス領域14へのデータ書き込み時の閾値電圧の変化量に基づき、主記憶領域12へのデータの書き込み時のストレス条件を設定することができる。ストレス条件を適切に設定することで、主記憶領域12へのデータ書き込みにかかる時間を短縮しつつ、閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
また、実施例1ではデータ書き込み時のストレス条件を決定するためのストレス情報(ストレスに対するリファレンス領域14の閾値電圧の変化量)の測定を、データの消去の度に行うこととしている。他にも例えば、ストレス情報の測定を主記憶領域12に対するデータ書き込みのたびに行う方法が考えられる。しかし、前述のようにデータの消去はセクタ単位で行われるのに対し、データの書き込みはそれよりも小さい単位(例えば、メモリセル単位やワード線単位)で行われる。仮にワード線単位でデータの書き込みを行う場合、1セクタ当たりのワード線の本数は256本であるため(図2参照)、データの消去回数に比べてデータ書き込みの回数が多くなる。その結果、データ書き込みの度にストレス情報の測定を行うと、ストレス情報の測定に大きな時間を取られることになり、データの書き込みにかかる時間がかえって増加してしまう。実施例1では、ストレス情報の測定をデータ消去の度に行うことにより、データの書き込み時間を短縮している。
また、データ書き込みの際のストレス条件は、リファレンス領域14に対するデータ書き込みを行った際のストレス情報に基づいて決定される。リファレンス領域14は、主記憶領域12からのデータ読み出し時に参照されるリファレンス情報が記憶されるため、データ消去の度に後に必ず最初にデータの書き込みが行われる。このため、ストレス情報を測定するためのサンプルとするのに適している。
図3のステップS13において、リファレンス領域14の閾値電圧の変化量に基づき、リファレンス領域14へのデータ書き込み時のストレス条件を調整することとしたが、このステップは省略することが可能である。すなわち、リファレンス領域14へのデータ書き込み時には、データの書き込みが完了するまで同一のストレス条件で書き込みを行ってもよい。ステップ13においてストレス条件を調節する場合、リファレンス領域14へのデータ書き込み時間を短縮することができる。
リファレンス領域14は、主記憶領域12と同一の消去単位に属するものであれば、任意の場所に設けることが可能である。ただし、図1に示すように主記憶領域12とリファレンス領域14とが隣接して設けられていることが、データの消去を一括して行う都合上好ましい。さらに、図2に示すようにリファレンス領域14は、主記憶領域12と同一ワードライン上に設けられていることが、主記憶領域12からのデータ読み出し都合上好ましい。
補助記憶領域16は、データの書き込みを行う際のストレス情報及びストレス条件を記憶することができるものであれば、揮発性及び不揮発性のいずれであってもよい。不揮発性であれば電源を切った後も情報を記憶することができるためより好ましい。また、補助記憶領域16を設けずに、主記憶領域12の一部に上記のストレス情報またはストレス条件を記憶することも可能である。すなわち、主記憶領域12の一部を第3記憶領域とすることで、記憶領域のスペースを節約することができる。
また、実施例1ではストレス情報として、リファレンス領域14に対しデータ書き込みを行った際の閾値電圧の変化量を例に説明したが、ストレス情報はこれに限られるものではない。また、ストレス情報ではなく、ストレス情報に基づいて設定された主記憶領域12に対する書き込み時のストレス条件を、第3記憶領域に記憶する構成としてもよい。
実施例2はストレス情報として、第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数を用いる例である。実施例2に係る半導体装置の構成は、実施例1(図1)と共通である。
図7は実施例2に係る半導体装置におけるデータ消去時の制御の流れを示したフローチャートである。まず制御部10が、主記憶領域12及びリファレンス領域14に記憶されたデータを消去し(ステップS30)、リファレンス領域14に対し閾値電圧を確認するためのベリファイ動作を行う(ステップS32)。ベリファイに合格しなかった場合には、リファレンス領域14に対しベリファイに合格するまでデータの書き込みを繰り返す(ステップS34)。以上の流れは実施例1と共通である。
ステップS32においてベリファイに合格した場合には、ステップS36において制御部10が、リファレンス領域14に対するデータの書き込みが完了するまでに加えられたストレスの回数を、ストレス情報として補助記憶領域16に記憶する。以上により、消去動作が終了する。
次に実施例2に係る半導体装置における、データ書き込み時の動作について説明する。データ書き込み時の制御の流れは、実施例1(図3)と共通であり、ストレス条件の設定の方法が異なる。図8を参照に、データ消去時にリファレンス領域14に対する書き込みが完了するまでに加えられたストレスの回数34に対応して、ストレス条件32がそれぞれ設定されている。制御部10は補助記憶領域16に記憶されたストレスの回数を読み出し、図8のテーブルをもとに主記憶領域12に対するデータ書き込み時のストレス条件32を決定する。
制御部10は、ストレスの回数34が少ない場合は、一回のストレスあたりのメモリセルの閾値電圧の変化量が大きいと考えられるため、ストレスのレベルが小さくなるようにストレス条件32を設定する。逆にストレスの回数34が多い場合は、一回のストレスあたりのメモリセルの閾値電圧の変化量が小さいと考えられるため、ストレスのレベルが大きくなるように設定する。すなわち、図8におけるストレス条件32は、レベルAが最もストレスのレベルが小さく(例えば、低電圧を短時間印加)、レベルDが最もストレスのレベルが大きい(例えば、高電圧を長時間印加)。これにより、実施例1の場合と同じく、データの書き込み時間を短縮しつつ、メモリセルの閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
実施例1においては、リファレンス領域14へのデータ書き込み時に、ストレスによるリファレンス領域14の閾値電圧の変化を測定していた。これに対し実施例2では、リファレンス領域14に対し加えられたストレスの回数を数えるだけでよいため、ストレス情報の測定を容易に行えるという利点がある。一方、ストレス情報をより正確に測定したい場合には、実施例1のようにストレスに対する閾値電圧の変化量を測定することが好ましい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
図1は実施例1に係る半導体装置の構成を示したブロック図である。 図2は図1におけるメモリセルアレイの一部を拡大した回路図である。 図3は実施例1に係る半導体装置の動作を示したフローチャート(その1)である。 図4は実施例1に係る半導体装置の動作を示したフローチャート(その2)である。 図5は実施例1に係る半導体装置における、主記憶領域12及びリファレンス領域14の閾値電圧の変化を示したグラフである。 図6は実施例1に係る半導体装置において、リファレンス領域に対する書き込み時の閾値電圧の変化と、主記憶領域に対する書き込み時のストレス条件との対応を示した表である。 図7は実施例2に係る半導体装置の動作を示したフローチャートである。 図8は実施例2に係る半導体装置において、リファレンス領域に対する書き込み時に加えたストレスの回数と、主記憶領域に対する書き込み時のストレス条件との対応を示した表である。
符号の説明
10 制御部
12 主記憶領域
14 リファレンス領域
16 補助記憶領域
20 アドレスデコーダ
22 昇圧回路
24 入出力回路

Claims (13)

  1. 主記憶領域である不揮発性の第1記憶領域と、
    前記第1記憶領域と同一の消去単位に属する不揮発性の第2記憶領域と、
    前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域に記憶されたデータを消去した後、前記第2記憶領域にデータを書き込み、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定する制御部と、
    を具備することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第2記憶領域は、前記第1記憶領域からデータの読み出しを行う際に参照されるリファレンス情報を記憶する領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ストレス情報は、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスによる前記第2記憶領域の閾値電圧の変化量を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記制御部は、前記閾値電圧の変化量が大きい場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが小さくなるように制御し、前記閾値電圧の変化量が小さい場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが大きくなるように制御することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記制御部は、前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に、書き込みベリファイに合格しなかった場合には、前記第2記憶領域の前記閾値電圧の変化量に基づいて、前記第2記憶領域に対し加えるストレスの条件を変更して再度データの書き込みを行うことを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置。
  6. 前記ストレス情報は、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数を含むことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記制御部は、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数が少ない場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが小さくなるように制御し、前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数が多い場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスが大きくなるように制御することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記ストレス条件は、加える電圧の大きさ及び電圧を加える時間の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
  9. 前記ストレス情報、及び前記ストレス条件の少なくとも一方を記憶する第3記憶領域を具備することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
  10. 前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域は、同一ワードライン上に設けられていることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項に記載の半導体装置。
  11. 主記憶領域である第1記憶領域と、前記第1記憶領域と同一の消去単位に属する第2記憶領域と、を具備することを特徴とする半導体装置の制御方法であって、
    前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域に記憶されたデータを同時に消去するステップと、
    前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップと、
    前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行った際のストレスに関する情報であるストレス情報に基づき、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際に加えるストレスの条件であるストレス条件を決定するステップと、
    を具備することを特徴とする半導体装置の制御方法。
  12. 前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップは、
    前記第2記憶領域に対しデータ書き込みのためのストレスを加えるステップと、
    前記ストレスによる前記第2記憶領域の閾値電圧の変化量を測定するステップと、
    を含み、
    前記ストレス情報に基づき、前記ストレス条件を決定するステップは、
    前記閾値電圧の変化量が大きい場合に、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを小さく設定するステップと
    前記閾値電圧の変化量が小さい場合に、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを大きく設定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の制御方法。
  13. 前記第2記憶領域に対しデータの書き込みを行うステップは、
    前記第2記憶領域に対しデータ書き込みのためのストレスを加えるステップと、
    前記第2記憶領域に対するデータの書き込みが完了するまでに、前記第2記憶領域に対し加えられたストレスの回数を測定するステップと、
    を含み、
    前記ストレス情報に基づき、前記ストレス条件を決定するステップは、
    前記ストレスの回数が少ない場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを小さく設定するステップと、
    前記ストレスの回数が多い場合には、前記第1記憶領域に対しデータの書き込みを行う際のストレスを大きく設定するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の半導体装置の制御方法。
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