JP2009069620A - 表示装置 - Google Patents

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Junichi Yamashita
淳一 山下
Katsuhide Uchino
勝秀 内野
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Abstract

【課題】画像表示装置の走査パルス線に接続されるバッファ最終段部において生じるパルストランジェントのばらつきを抑える。
【解決手段】ライトスキャン回路12abを備える。電源Pvccはライト走査パルスを生成する基準となるクロック信号と同期して変化する電圧Vccvを発生する。トランジスタTr1は、流れる電流の大きさを制御して、ライト走査パルスの波形を制御する。ここで、結合容量Cに保持されたトランジスタTr1のゲート・ソース間の閾値電圧をトランジスタTr1のゲートにフィードバックして、トランジスタTr1の閾値電圧のばらつきを補正して、パルストランジェントのばらつきが補正されたライト走査パルスを発生する。
【選択図】図8

Description

本発明は、表示装置に関する。
近年、微細に区分された複数の画素をマトリクス状(一の方向と他の方向とに微細に区分された複数の画素が面状に延在して配置される状態)に配置して、この画素の各々を独立に駆動して各々の画素の発光の輝度を制御する画素回路を有する画像の表示装置が広く普及している。このような表示装置の代表例としては、液晶表示装置と有機イーエル(EL:Electro・Luminesence)表示装置とが挙げられる。有機EL表示装置においては、有機EL素子を表示装置の画像面を構成する発光素子として用いている。そして、各々の画素を駆動する画素回路に関する種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献5を参照)。有機EL素子は自から発光する発光素子であることから、バックライトが不要であり、さらに、液晶表示装置に比べて画像の視認性が高く、応答速度が速いなどの利点を有する。また、各々の発光素子の輝度(階調)は、発光素子に流れる電流の大きさを変化させて制御するのが通常である。この制御回路は、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を能動素子で制御する、所謂、電流制御型の回路として構成される。また、有機EL表示装置においては、液晶表示装置と同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型、高精細の表示装置の実現が難しいなどの問題があるため、近年はアクティブマトリクス方式の技術開発が主として行なわれている。アクティブマトリクス方式では、能動素子は、一般には、画素回路内部に設けた薄膜トランジスタ(TFT:Thin・Film・Transistor)(例えば、特許文献1の図7、図8を参照)によって構成され、各々の画素の近傍に各々の画素回路を接近して配置して、画素と画素回路とを画素アレイ部として構成して表示装置の大型化、高精細化の実現を図っている。
図22は、アクティブマトリクス方式の画像表示装置の構成を示す図である。画像表示装置は画素部104を有する。この画素部104は、画素毎に細分化された有機EL素子を発光素子として有する。この画素は、m行、n列(m、nは各々整数の値)にm×n個、マトリクス状に配列して形成されている。画素部104に対しては、水平セレクタ回路101と垂直スキャン回路102とAZ制御回路103とから信号が供給されている。すなわち、水平セレクタ回路101からのm個の信号線が、第1行から第m行の各行に位置する画素回路に対して延在している。また、垂直スキャン回路102から2種類、AZ制御回路103から2種類、併せて4種類を1セットとしたn列の走査パルス線が、第1列から第n列の各列に位置する画素回路に対して延在している。そして、これらの信号線と走査パルス線とが交差する位置に画素の数と同数の各々の画素回路が配置されている。
図23は、図22に示すアクティブマトリクス方式の画像表示装置の構成をより具体的に示す図である(例えば、特許文献1〜特許文献4を参照)。m本の各々の信号線は水平セレクタ回路101に接続され、各々の信号線には輝度情報に応じた輝度信号が印加され、走査パルス線によって選択された列の各々の画素回路に有効な情報として供給される。4種類の走査パルス線は、垂直スキャン回路102を構成するライトスキャン(Write・Scan)回路102aに接続されるライト走査パルス線WSL、垂直スキャン回路102を構成するドライブスキャン(Drive・Scan)回路102bに接続されるドライブ走査パルス線DSL、AZ(Auto・Zero・1)制御回路103を構成する第1AZ(Auto・Zero・1)制御回路103aに接続される第1AZ走査パルス線AZL1、AZ(Auto・Zero・1)制御回路103を構成する第2AZ制御回路103bに接続される第2AZ走査パルス線AZL2である。この4種類の走査パルス線が、同一列に各行毎に配設された画素回路の各々に接続されている。ライト走査パルス線WSL、ドライブ走査パルス線DSL、第1AZ走査パルス線AZL1、第2AZ走査パルス線AZL2によって、画素回路110が空間的、時間的に選択駆動されることで、1画素の有機EL素子は輝度信号Vsig(図24を参照)の電圧値に応じた輝度で青色に発光する。
なお、図23において、符号Rは赤色を発色させるための画素回路であり、符号Gは緑色を発色させるための画素回路であり、符号Bは青色を発色させるための画素回路である。また、図23においては、図面の右上の青色を発色させるための一つの画素回路である画素回路110に接続される信号線及び走査パルス線にのみ、信号線DTL、ライト走査パルス線WSL、ドライブ走査パルス線DSL、第1AZ走査パルス線AZL1、第2AZ走査パルス線AZL2の名称を付して、他の信号線及び他の走査パルス線には名称を付すことを省略している。他の画素回路の各々についても同様に4種類の走査パルス線によって、任意の列に位置する画素回路が選択的に駆動されているときに、水平セレクタ回路101によって任意の行に輝度信号が与えられることで、その行と列とに属する画素回路が選択的に駆動され、輝度信号に応じた輝度で、赤、緑、青の各々の色で有機EL素子が発光する。そして、走査パルス線と信号線とが、画素を順次選択して画素部104の全面に画像表示が行われる。
図24は、画素回路の一つを示す図である(例えば、特許文献1〜特許文献4を参照)。すべての画素回路は同一の構成を有するので、以下、代表して画素回路110について説明をする。画素回路110は5個のトランジスタを有して形成されている。すなわち、トランジスタTr11(以下、サンプリングトランジスタTr11と記す)、トランジスタTr12(以下、第1検知トランジスタTr12と記す)、トランジスタTr13(以下、第2検知トランジスタTr13と記す)及びトランジスタTr15(以下、ドライブトランジスタTr15と記す)はnチャンネル電界効果トランジスタとされ、トランジスタTr14(以下、スイッチングトランジスタTr14と記す)はpチャンネル電界効果トランジスタとされている。そして、これらのトランジスタによって、ばらつき補正の機能を有するように構成されている。
有機EL素子30は、画素回路110に接続され、1画素を形成する画素素子として機能する。有機EL素子30はそれに流れる電流に応じた輝度で発光する発光素子であるので、有機EL素子30に流れる電流値をコントロールすることで、発色の諧調を調整している。このために、有機EL素子30に流れる電流値は正確に制御されなければならない。しかしながら、低温ポリシリコンTFT基板などを用いる場合においては、各々のトランジスタのVth特性(閾値電圧特性)、移動度特性がばらついてしまう。特に、ドライブトランジスタTr15が有するVth特性及び/又は移動度特性のばらつきの影響を受けて有機EL素子30に流れる電流値もまたばらつくこととなる。これら特性ばらつきを補正する為に、図24に示す画素回路では、ドライブトランジスタに発生する閾値電圧特性及び移動度特性のばらつきを補正するようになされている。
サンプリングトランジスタTr11のゲート(符号Gを付す)には、ライトスキャン回路102aからのライト走査パルスWS、第1検知トランジスタTr12のゲートには、第1AZ制御回路103aからの第1AZ走査パルスAZ1、第2検知トランジスタTr13のゲートには、第2AZ制御回路103bからの第2AZ走査パルスAZ2、スイッチングトランジスタTr14のゲートには、ドライブスキャン回路102bからのドライブ走査パルスDS、の各々が各々の走査線を介して印加されるようになされている。また、サンプリングトランジスタTr11のソースには水平セレクタ回路101からの輝度信号Vsigが信号線DTLを介して印加されるようになされている。また、第1検知トランジスタTr12のドレインには電源PVss1から電圧Vss1が、第2検知トランジスタTr13のソースには電源PVss2から電圧Vss2が、スイッチングトランジスタTr14のソースには電源PVccから電圧Vccvが、各々印加されている。
また、図24に図示するようにして、接続点N101には、第2検知トランジスタTr13のドレイン、ドライブトランジスタTr15のソース、有機EL素子30のアノード、保持容量Csの一端が接続されている。また、接続点N102には、サンプリングトランジスタTr11のドレイン、第1検知トランジスタTr12のソース、保持容量Csの他端及びドライブトランジスタTr15のゲートが接続されている。また、スイッチングトランジスタTr14のドレインにドライブトランジスタTr15のドレインが接続されている。また、有機EL素子30のカソードは接地されている。
接続点N101の電圧である電圧Vs(図24を参照)は、接地点を基準とするドライブトランジスタTr15のソース電圧であり、接続点N101の電圧である電圧Vg(図24を参照)は、接地点を基準とするドライブトランジスタTr15のゲート電圧であり、ドライブトランジスタTr15のソースとゲートとの間には、電圧Vsと電圧Vgとの差の電圧が、ゲート・ソース間の電圧Vgs(図24を参照)として印加される。以下、各部の電圧については、特に、明記しない場合には、接地点の符号が付された接地の電圧を基準として記載する。
サンプリングトランジスタTr11、第1検知トランジスタTr12、第2検知トランジスタTr13及びスイッチングトランジスタTr14は、ドレインとソースとの間が導通するか切断するか、いずれかの状態となるように、各々のトランジスタのゲートとソース間に加える電圧が制御されている。一方、ドライブトランジスタTr15については、その動作は異なり、ドレイン電流の大きさが、ドレイン・ソース間の電圧には依存せず、ゲート・ソース間の電圧である電圧Vgsに依存して定まる領域(飽和領域)で動作する。そして、有機EL素子30は、このドライブトランジスタTr15のドレインとソースとの間に流れる電流の大きさに応じてその発光の輝度(階調)を可変とするようになされている。
飽和領域におけるドライブトランジスタTr15のドレイン・ソース間の電流Ids(図24を参照、以下、ドレイン・ソース間の電流Idsは有機EL素子を駆動する電流でもあるので、ドレイン・ソース間の電流Idsを駆動電流Idsともいうこととする)は、以下の式(1)で表される。ここで、μは移動度、kは、トランジスタを構成する各部の寸法(チャンネル長、チャンネル幅、ゲート容量)によって定まる定数、Vthは、反転層を生じさせるに必要なゲート・ソース間電圧(以下、閾値電圧Vthと称する)、の各々表すものである。
Ids=k・μ・(Vgs−Vth)2 ・・・(式1)
式(1)から、見て取れるように、有機EL素子30の駆動電流Idsは、移動度μと閾値電圧Vthとを変数とする関数である。ここで、駆動電流Idsの大きさは、電流駆動型の素子である有機EL素子30の各々の画素の発光の輝度に影響を与えるので、ドライブトランジスタTr15の移動度μと閾値電圧Vthとの、いずれか一方、または、その両方がばらつきを有する場合には、有機EL素子30の駆動電流Idsの値がばらつき、発光の輝度もばらつきを有することとなる。
すなわち、ドライブトランジスタTr15の移動度μと閾値電圧Vthとのばらつきは、輝度のばらつきに反映されて表示装置の特性に大きな影響を与えることとなる。そこで、図24に示す回路では、この移動度μのばらつきを補正するようになされている。図25は、図24に示す回路を用いて、閾値電圧Vthのばらつきの影響を補正するとともに、各々の階調毎に最適な移動度補正時間を設定するための各々の信号のタイミングチャートを示す図である。図25の上段から下段に向かい、ライト走査パルスWS、第1AZ走査パルスAZ1、第2AZ走査パルスAZ2、ドライブ走査パルスDS、電圧Vg、電圧Vsの各々を示すものである。図25の図中において、符号Vss1、符号Vss2を付した各々の破線は電源PVss1から得られる電圧Vss1、電源PVss2から得られる電圧Vss2の各々の電圧レベルを示すものである。また、図25の横軸は時間を示すものである。図25に示すタイミングチャートに従って各部が動作することによって、Vth補正期間において、閾値電圧Vthのばらつきの影響が補正される。また、図25に示すタイミングチャートに従って各部が動作することによって、ドライブトランジスタで発生する移動度μのばらつきは、図25中に記載の移動度補正期間において補正される(例えば、特許文献4の段落「0018」〜段落「0035」を参照)。
この移動度μのばらつきが補正される期間である移動度補正期間は、ライト走査パルスWS(サンプリングトランジスタTr11のゲートにおける信号)の立下がり時刻とドライブ走査パルスDS(スイッチングトランジスタTr14のゲートにおける信号)の立下がり時刻との時間間隔であり、この時間間隔を調整することによって移動度のばらつきは補正される。その補正のための時間間隔である移動度補正時間は数マイクロ秒(μSec)程度である。
図23に示すように、ライト走査パルスWSを発生するライトスキャン回路102aと、ドライブ走査パルスDSを発生するドライブスキャン回路102bとは、各々の画素回路の側方(例えば、右側方)に配置されている。そしてライトスキャン回路102aからのライト走査パルスWSを伝送するライト走査パルス線WSLと、ドライブスキャン回路102bからのドライブ走査パルスDSを伝送するドライブ走査パルス線DSLについては、各々の画素回路に達するまでの配線長に差が生じているので配線長の差によってライト走査パルスWSとドライブ走査パルスDSとの伝送遅延時間に差が生じてしまう。ここで、ライト走査パルスWSの反転エッジの伝送遅延時間及びドライブ走査パルスDSの反転エッジの伝送遅延時間は移動度補正期間の長さに影響を与えるので特に重要である。この伝送遅延時間が画素回路毎に差があると移動度の補正の精度が低下するので、走査パルス線の幅、走査パルス線の分布容量を調整して伝送遅延時間の差を少なくする技術が開示されている(特許文献4を参照)。また、トランジスタで構成されるバッファ回路を複数段にカスケード接続して、このバッファ回路の段数をライトスキャン回路102aから各々の画素回路までの走査パルス線の長さに応じて調整することによって伝送遅延時間の差を少なくする技術が開示されている(特許文献3を参照)。
上述したようにして、背景技術に示す回路では、ドライブトランジスタTr15によって制御されて有機EL素子30に流れる駆動電流の大きさが、ドライブトランジスタTr15の移動度のばらつき、ドライブトランジスタTr15の閾値電圧のばらつきによって影響されることがないように、第1AZ走査パルスAZ1及び第1AZ走査パルスAZ1の2種類の走査パルスを用い、細心の注意を以って各階調毎に、この2種類の走査パルスの時間間隔を調整することによって最適な移動度補正時間を設定している。
特開2006−227237号公報 特開2006−227239号公報 特開2007−34000号公報 特開2007−34001号公報 特開2007−108381号公報
しかしながら、背景技術を用いるのみでは、移動度補正の動作の効果がまだ十分には発揮されないという問題を有している。すなわち、画素回路に対して、このような移動度補正に対する細心の対策にもかかわらず、背景技術においては、ライト走査パルスとドライブ走査パルスとによって決められる移動度補正期間は、一定の時間とされていた。一方、最適なる移動度補正期間は、輝度信号の大きさに依存しており、移動度補正期間を一定とする場合には、移動度補正の効果を十分に発揮することができなかった。すなわち、輝度信号に依存して変化するドライブトランジスタの移動度のばらつきを補正することができなかった。
本発明は上述した課題を解決して、輝度信号に依存して変化する移動度のばらつきの影響を補正して、良質なる画像を得る技術を提供することを目的とする。
本発明の表示装置は、一の方向と他の方向とに複数個に細分化されて配置される各々の画素素子と、輝度信号とドライブ走査パルスとライト走査パルスとが入力されて前記各々の画素素子を駆動する各々の画素回路と、前記一の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記輝度信号を供給するセレクタ回路と、前記他の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記ドライブ走査パルスを供給するドライブスキャン回路と、前記他の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記ライト走査パルスを供給するライトスキャン回路と、を備える表示装置であって、
前記画素回路は、
前記画素素子に流れる駆動電流の大きさを制御するドライブトランジスタと、前記ドライブトランジスタの移動度に応じたドライブトランジスタ移動度電圧を保持して前記ドライブトランジスタのゲートにフィードバックをするための保持容量と、前記ドライブ走査パルスによって開始し前記ライト走査パルスのレベルが前記輝度信号の大きさに応じた所定値を通過することによって終了するドライブトランジスタ移動度補正期間において前記ドライブトランジスタ移動度電圧を前記保持容量に得るための回路と、を具備し、
前記ライトスキャン回路は、
第1電源と出力トランジスタと第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子と第2電源とが順に直列接続されて形成される直列接続回路と、前記出力トランジスタのゲートと前記出力トランジスタのソースとの間に接続される第3アナログスイッチ素子と、前記出力トランジスタのゲートに接続され、前記出力トランジスタ毎のゲート・ソース間の閾値電圧を保持して前記出力トランジスタのゲートにフィードバックをするための結合容量と、前記閾値電圧を得るために前記第1アナログスイッチ素子ないし前記第3アナログスイッチ素子の各々の導通と切断との状態を制御するとともに、前記第1電源から所望とする前記ドライブトランジスタ移動度補正期間の情報を含む電圧を出力するように制御する制御部と、を具備し、前記第1アナログスイッチ素子と前記第2アナログスイッチ素子との接続点から前記ライト走査パルスを得るようにした。
本発明の表示装置は、一の方向と他の方向とに複数個に細分化されて配置される複数の画素素子を有し、これを駆動する画素回路を各々の画素素子に対して有する。画素回路には、輝度信号とドライブ走査パルスとライト走査パルスとが入力される。画素回路は、画素素子に流れる輝度信号に応じた駆動電流の大きさを制御するドライブトランジスタを有しており、このドライブトランジスタに発生する移動度に応じたドライブトランジスタ移動度電圧を保持容量に保持して、これをドライブトランジスタのゲートにフィードバックをして移動度のばらつきの影響を受けることがないようにすることができる。このドライブトランジスタ移動度電圧の検出はドライブトランジスタ移動度補正期間に行なわれる。ドライブトランジスタ移動度補正期間は、ドライブ走査パルスによって開始し、ライト走査パルスのレベルが輝度信号の大きさに応じて変化する所定値を通過することによって終了する。このようにドライブ走査パルスとライト走査パルスとの2つの走査パルスを用いることによって、輝度信号の大きさに応じてドライブトランジスタの移動度補正期間の長さを調整することができる。
また、本発明の表示装置は、特徴あるライトスキャン回路を有しており、このライトスキャン回路は、第1電源と出力トランジスタと第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子と第2電源とが、上述の記載の順に直列接続されて形成されている。また、出力トランジスタのゲートとそのソースとの間に第3アナログスイッチ素子が接続されている。また、出力トランジスタ毎のゲート・ソース間の閾値電圧を保持して出力トランジスタのゲートにフィードバックをするための結合容量を有している。また、ライトスキャン回路は、制御部を有しており、この制御部は、前記第1アナログスイッチ素子ないし前記第3アナログスイッチ素子の各々の導通と切断とを切替えて、出力トランジスタ毎のゲート・ソース間の閾値電圧を得るようにする。閾値電圧は、上述したように出力トランジスタのゲートにフィードバックをされ、出力トランジスタ毎の閾値電圧のばらつきを補正できる。
また、制御部は、第1電源から所望とするドライブトランジスタ移動度補正期間の情報を含む電圧を出力する。また、ライトスキャン回路は、第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子との接続点から、ライト走査パルスを得るようにしている。ここで、出力トランジスタの閾値電圧のばらつきは補正されているので、ライト走査パルスは、第1電源からの電圧と略等しく、パルストランジェントのばらつきを有さない電圧波形とすることができる。そして、上述したドライブトランジスタ移動度補正期間の終期は、ライト走査パルスが輝度信号の大きさに応じて変化する所定値を通過することによって終了するが、このようにして、ライト走査パルスのパルストランジェントは所望のドライブトランジスタ移動度補正期間を得るための電圧となるように予め制御されているので、ドライブトランジスタ移動度補正期間を所望の期間とすることができる。
本発明によれば、輝度信号の大きさに依存して変化する移動度のばらつきを補正することができる。また、画像表示装置の走査パルス線に接続される出力トランジスタを有するバッファ最終段部において生じるパルストランジェントのばらつきを抑え、よって、良好なる画質の画像を得る技術を提供できる。
(実施形態の要旨)
実施形態の表示装置は、画素回路と、ドライブスキャン回路と、ライトスキャン回路と、を備える。各々の画素素子はマトリクス状(一の方向と他の方向とに微細に区分された複数の画素が面状に延在して配置される状態)に配置され、この各々の画素には、各々の画素回路が接続されており、各々の画素の発光輝度は各々の画素回路によって制御される。また、各々の画素回路をマトリクス状の一の方向に相互に接続する信号線と、各々の画素回路をマトリクス状の他の方向に相互に接続するドライブ走査パルス線及びライト走査パルス線と、を有している。また、信号線は画素素子の発光の輝度に応じて変化する輝度信号を供給するセレクタ回路に接続され、ドライブ走査パルス線はドライブ走査パルスを供給するドライブスキャン回路に接続され、ライト走査パルス線はライト走査パルスを供給するライトスキャン回路に接続されている。このようなマトリクス状の接続を採用し、発光の輝度に応じた信号とドライブ走査パルスとライト走査パルスとを時系列に変化させることによって画素部に画像を表示することができる。
画素回路は、画素素子に流れる駆動電流の大きさを制御するドライブトランジスタを有している。駆動電流の大きさは、ドライブトランジスタの移動度に応じてばらつきを有するので、実施形態の画素回路では、移動度のばらつきを補正する回路を有している。この補正回路は、発光の輝度に応じた信号である輝度信号の大きさに応じた最適なる移動度のばらつきの補正を行う。このために、所定周期毎にドライブトランジスタの移動度に応じたドライブトランジスタ移動度電圧を検出した後、このドライブトランジスタ移動度電圧を保持容量に保持して、ドライブトランジスタ移動度電圧をドライブトランジスタの制御端子にフィードバックをして移動度のばらつきを補正している。ドライブトランジスタ移動度電圧を検出するに際しては、ドライブ走査パルスによってドライブトランジスタ移動度電圧を検出する動作の開始の時刻を設定し、ライト走査パルスによってドライブトランジスタ移動度電圧を検出する動作の完了をする時刻を設定している。また、ドライブトランジスタ移動度電圧を検出する動作の完了後にドライブトランジスタ移動度電圧を保持容量に保持する。このようにドライブトランジスタ移動度電圧を検出する動作の開始の時刻と完了の時刻との間の時間であるドライブトランジスタの移動度補正期間(以下、ドライブトランジスタ移動度補正期間と省略する場合もある)の長さに応じて移動度電圧は変化するので、ドライブ走査パルスとライト走査パルスとの相互の時間関係を制御することによって、適切にドライブトランジスタの移動度の補正をすることができる。実施形態では、このドライブトランジスタ移動度補正期間は、ライト走査パルスによって制御されるサンプリングトランジスタとドライブ走査パルスによって制御されるスイッチングトランジスタとの各々のトランジスタの作用によって設定されている。
サンプリングトランジスタはライト走査パルスのアナログ電圧に応じて導通と切断とが制御されるようになされ、スイッチングトランジスタはドライブ走査パルスのデジタル電圧(ハイレベルであるかローレベルであるかのいずか)に応じて導通と切断とが制御されるようになされている。したがって、ライト走査パルスのパルストランジェントは移動度電圧を検出する動作の完了の時刻の設定に大きな影響を与える。ここで、パルストランジェントとは、パルス信号について、振幅が定常状態から変化する変化点の位置と、時間とともに変化する波形の形状とを併せたパルス信号の態様を称するものである。
実施形態では以下のようにライトスキャン回路を構成して、各々の画素に供給されるライト走査パルスのパルストランジェントを一定のものとしている。ライトスキャン回路は、第1電源と、電流制御素子として機能する出力トランジスタと、第1アナログスイッチ素子と、第2アナログスイッチ素子と、第3アナログスイッチ素子と、第2電源とを具備している。第1電源はライト走査パルスを生成する基準となるクロック信号と同期して変化する電圧を発生する。出力トランジスタは、前記第1電源から流れる電流の大きさを制御して、ライト走査パルスのパルストランジェントを制御する。ここで、出力トランジスタは、所謂、飽和領域で動作をするので、ゲートに印加される電圧に応じて電流を制御するが、個々の出力トランジスタ毎に固有のゲート・ソース間の閾値電圧を有している。すなわち、閾値電圧のばらつきを有している。そこで、結合容量に保持した出力トランジスタの閾値に応じた電圧である出力トランジスタの閾値電圧を電流制御素子として機能する出力トランジスタの制御端子であるゲートにフィードバックして、出力トランジスタの閾値電圧のばらつきを補正している。
より具体的には、ライトスキャン回路を構成するバッファ最終段部は、第1電源と電流制御素子(出力トランジスタ)と第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子と第2電源とが、上述した順に直列に接続されて形成されている。そして、第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子との接続点からライト走査パルスが出力されるようになされている。また、第3アナログスイッチ素子が出力トランジスタのゲートとソースとの間に接続されている。また、出力トランジスタのゲートには結合容量が接続されている。
ライトスキャン回路を構成する制御部は、第1アナログスイッチ素子ないし第3アナログスイッチ素子の導通と切断とを制御する。また、第1電源からの電圧を制御する。ここで、第1電源から得られる電圧は所望の移動度補正期間を得ることができるように、表示装置の動作の基準となるクロック信号に同期した周期波形とされており、その電圧波形は、クロック信号の周期よりも細かい精度で制御される。制御部によって各部の状態は制御され、第1電源の電圧の状態、第1アナログスイッチ素子ないし第3アナログスイッチ素子の各々が導通か切断かのいずれかの状態、を組み合わせて、種々の機能を発揮することができる。
例えば、第1電源の電圧の状態、第1アナログスイッチ素子ないし第3アナログスイッチ素子の各々が導通か切断かのいずれであるかの状態、を組み合わせて、閾値補正期間前状態、閾値補正期間状態、閾値補正期間後状態の3つの状態を有するようにしてバッファ最終段部の電流制御素子として機能する出力トランジスタにおいて発生する閾値電圧のばらつきの補正の動作を行うことができる。そして、その後のライト走査パルス出力状態において、パルストランジェントが出力トランジスタの閾値電圧に影響されないライト走査パルスを出力することができる。ここで、実施形態では、電流制御素子、第1アナログスイッチ素子ないし第3アナログスイッチ素子の各々は薄膜トランジスタ(TFT)として形成され、電流制御素子としての機能は、ゲート・ソース間の電圧でドレイン・ソース間の電流が制御される飽和領域での動作で実現され、アナログスイッチ素子としての機能は、ドレイン・ソース間が導通又は切断と見なせる高抵抗又は低抵抗として動作することによって実現される。
閾値補正期間前状態は、閾値補正期間に先立つ閾値補正期間前における第1電源の電圧の状態、各々のアナログスイッチ素子の状態を特定する状態であるが、この状態には特段の制限があるものではなく、閾値補正期間における表示装置の動作に応じたものとなる。表示装置が発光の動作をしているようにしても良く、非発光として、他の処理中であっても良いものである。例えば、閾値補正期間前状態においては、第1アナログスイッチ素子及び第2アナログスイッチ素子を導通し、第3アナログスイッチ素子を切断する。また、第1電源の電圧を電流制御素子が通電可能となる定常電圧(例えば、後述する電圧Vccmx)に変化させる。このときに、第2アナログスイッチ素子が導通しているので、第2電源の電圧と略等しいレベルのライト走査パルスを出力する。
閾値補正期間状態においては、第1電源の電圧は電流制御素子が通電可能となる定常電圧(例えば、後述する電圧Vccmx)に維持される。また、第1アナログスイッチ素子を切断し、第2アナログスイッチ素子及び第3アナログスイッチ素子を導通する。そして、結合容量に電流制御素子として機能する出力トランジスタの閾値電圧に応じた電圧を設定する。このときに、第2アナログスイッチ素子が導通しているので、第2電源の電圧と略等しいレベルのライト走査パルスを出力する。この閾値補正期間状態は閾値補正期間の状態である。
閾値補正期間後状態においては、第1電源の電圧が電流制御素子を通電不能とする電圧(例えば、後述するVccvmn)に変化する。また、第1アナログスイッチ素子及び第2アナログスイッチ素子を導通し、第3アナログスイッチ素子を切断する。このときに、第2アナログスイッチ素子が導通しているので、第2電源の電圧と略等しいレベルのライト走査パルスを出力する。この閾値補正期間後状態は閾値補正期間の後の状態である。
ライト走査パルス出力状態においては、各部の状態を順次以下の状態とすることによって、第1電源からの電圧波形に応じたライト走査パルスを出力する。第1アナログスイッチ素子を導通し、第2アナログスイッチ素子及び第3アナログスイッチ素子を切断する。そして、第1電源の電圧が電流制御素子を通電不能とする電圧(例えば、Vccvmn)から、電流制御素子が通電可能となる定常電圧(例えば、電圧Vccmx)に変化させ、その後、所定のパルストランジェントを有して第1電源の電圧が電流制御素子を通電不能とする電圧(例えば、Vccvmn)に変化する。このときに、第1アナログスイッチ素子が導通しているので、閾値電圧のばらつきの影響の補正がなされた制御素子から第1アナログスイッチ素子を介して所定補正した第1電源の電圧と略等しいレベルのライト走査パルスを出力する。このライト走査パルス出力状態は、画素回路において、輝度信号に応じて、ドライブトランジスタ移動度補正期間の長さを調節する状態である。
また、上述したライト走査パルス出力状態において、さらに、移動補正期間状態を設けて、出力トランジスタの移動度のばらつきを補正することができる。
移動補正期間状態では、上述したライト走査パルス出力状態において第1電源の電圧が電流制御素子を通電可能とする定常電圧(例えば、電圧Vccmx)を維持するときに、第1アナログスイッチ素子及び第2アナログスイッチ素子を切断し、第3アナログスイッチ素子を導通する。このとき、結合容量に電流制御素子である出力トランジスタの移動度に応じた電圧(出力トランジスタ移動度電圧)を設定して保持する。また、第1アナログスイッチ素子及び第2アナログスイッチ素子が切断しているので、回路の浮遊容量によって保持される第1電源の電圧と略等しいレベルの保持された電圧をライト走査パルスとして出力する。
以下、実施形態の有機EL素子を用いた表示装置の説明を図面に沿って行う。
(表示装置の全体のブロック図)
図1に有機EL素子を用いた表示装置の全体のブロック図を示す。背景技術として図23に示すと同様に、この表示装置は、赤(Rの符号を付す)、緑(Gの符号を付す)、青(Bの符号を付す)の3色に発光する微細に分割された有機EL素子を有し、各々の有機EL素子毎にこれを駆動する画素回路を構成するドライブトランジスタの閾値電圧変動や移動度のバラツキに対する補正の機能を備えた画素回路を含むものである。画素回路の一つである画素回路110を代表例として以下の説明に用いるが、他の画素回路についてもこの説明は適合するものである。
この表示装置は、画素アレイ部を有し、画素アレイ部には、画素素子として機能する有機EL素子がm行×n列のマトリクス状に配列され、この各々の有機EL素子に対して画素回路がm行×n列のマトリクス状に配列されている。水平セレクタ回路101、ライトスキャン回路12a、ドライブスキャン回路102b、第1AZ制御回路103a、第2AZ制御回路103bを備える。また、水平セレクタ回路101により選択され、輝度情報に応じた輝度信号を画素回路110に対する入力信号として供給するためのm本の信号線(代表して、画素回路110を制御する信号線である信号線DTLにのみ符号を付す)が、配されている。
また画素アレイ部の各々の画素回路に対して、4種類の走査パルス線が配されている。それらの走査パルス線は、ライトスキャン回路12aからのライト走査パルスを伝送するn本のライト走査パルス線(代表して、画素回路110を制御するライト走査パルス線であるライト走査パルス線WSLにのみ符号を付す)、ドライブスキャン回路102bからのドライブ走査パルスをn本のドライブ走査パルス線(代表して、画素回路110を制御するドライブ走査パルス線であるドライブ走査パルス線DSLにのみ符号を付す)、第1AZ制御回路103aからのn本の第1AZ走査パルス線(代表して、画素回路110を制御する第1AZ走査パルス線である第1AZ走査パルス線AZL1にのみ符号を付す)、第2AZ制御回路103bからのn本の第2AZ走査パルス線(代表して、画素回路110を制御する第2AZ走査パルス線である第2AZ走査パルス線AZL2にのみ符号を付す)の各々である。ドライブスキャン回路102b、ライトスキャン回路12a、第1AZ制御回路103a、第2AZ制御回路103bは、それぞれの回路に入力される、図示しないスタートパルス信号とクロック信号とを基準として、設定された所定のタイミングで各々の走査パルス線に選択的に各種の走査パルスを与えるようになされている。
ここで、背景技術に示すと同様にライト走査パルスWSとドライブ走査パルスDSとの両者によって決定される移動度補正期間をより適切に制御するために、ライトスキャン回路12aからのライト走査パルス線WSL、ドライブスキャン回路102bからのドライブ走査パルス線DSLについては、その配線長の差によって生ずる各々のパルスの遅延量を各々の走査パルス線の幅を異なるようにして調整する構成を採用することができ、また、各々の走査パルス線とアノード層間の容量を調整してパルスの遅延量を調整する構成を採用することができる。
図2は画素回路110の構成を示す図である。図2においては、簡略化のため、輝度信号Vsigが印加される信号線DTL、ライト走査パルスWSが印加されるライト走査パルス線WSL、ドライブ走査パルスDSが印加されるドライブ走査パルス線DSL、第1AZ走査パルスAZ1が印加される第1AZ走査パルス線AZL1及び第2AZ走査パルスAZ2が印加される第2AZ走査パルス線AZL2によって制御される一つの画素回路である画素回路110のみを示しているが、同様の構成を有して他の画素回路も表示装置に配されている。この画素回路110は、発光素子である有機EL素子30と、保持容量Csと、サンプリングトランジスタとして機能するサンプリングトランジスタTr11、ドライブトランジスタとして機能するドライブトランジスタTr15、スイッチングトランジスタとして機能するスイッチングトランジスタTr14、第1検知トランジスタとして機能する第1検知トランジスタTr12及び第2検知トランジスタとして機能する第2検知トランジスタTr13の5個の薄膜トランジスタ(TFT)を有して構成されている。サンプリングトランジスタTr11、ドライブトランジスタTr15、第1検知トランジスタTr12、第2検知トランジスタTr13はnチャネルTFTとされ、スイッチングトランジスタTr14はpチャネルTFTとされている。なお、図2には、画素回路110以外に有機EL素子30と容量Coledとが記載されている。ここで、容量Coledは、1画素の有機EL素子が有する容量と浮遊容量とで形成される容量を表すものである。有機EL素子30及び容量Coledは接続点N101に接続されている。
ここで、第1検知トランジスタTr12、第2検知トランジスタTr13及びスイッチングトランジスタTr14は、ドレインとソースとの間が導通するか切断するかの2つのいずれかの状態となるように、各々のトランジスタのゲートとソース間に加える電圧が制御されている。すなわち、これらのトランジスタの各々は、ハイレベルとローレベルとの2値のデジタル信号で制御端子としてのゲートを制御するアナログスイッチとして機能する。また、サンプリングトランジスタTr11はドレインとソースとの間が導通するか切断するかの2つのいずれかの状態となるアナログスイッチとして機能するが、サンプリングトランジスタTr11のゲートとソース間に加える電圧のレベルに応じて導通するか切断するかが制御されている。一方、ドライブトランジスタTr15については、その動作は上述したものとは異なり、ドレイン電流の大きさが、ドレイン・ソース間の電圧には依存せず、制御端子としてのゲートによって制御されるゲート・ソース間の電圧である電圧Vgsに依存して定まる領域である飽和領域で動作する。すなわち、ドライブトランジスタTr15は、アナログ電圧で制御される電流制御素子として機能し、電源PVccとトランジスタTr15との組み合わせは可変電流源として機能する。そして、有機EL素子30は、このドライブトランジスタTr15のドレインとソースとの間に流れる電流の大きさに応じてその発光の輝度を可変とする駆動がなされる。
保持容量Csは、一方の端子がドライブトランジスタTr15のソース(ソースには、符号Sを付す、他のトランジスタのソースに付いても同様とする)に接続され、他方の端子がドライブトランジスタTr15のゲート(ゲートには、符号Gを付す、他のトランジスタのゲートに付いても同様とする)に接続されている。図では、ドライブトランジスタTr15のソースを接続点N101、ドライブトランジスタTr15のゲートを接続点N102として示している。画素回路110の発光素子は、上述したように有機EL素子30とされ、有機EL素子30はアノードとカソードとを備えている。有機EL素子30のアノードはドライブトランジスタTr15のソース(接続点N101)に接続され、カソードは接地されている。
第1検知トランジスタTr12は、そのドレイン(ドレインには、符号Dを付す、他のトランジスタのドレインに付いても同様とする)が電源PVss1に接続され、そのソースがドライブトランジスタTr15のゲート(接続点N102)に接続され、そのゲートは第1AZ走査パルス線AZL1に接続されて第1AZ走査パルスAZ1が印加されるようになされている。また、第2検知トランジスタTr13は、そのソースが電源PVss2に接続され、そのドレインがドライブトランジスタTr15のソース(接続点N101)に接続され、ゲートが第2AZ走査パルス線AZL2に接続されて第2AZ走査パルスAZ2が印加されるようになされている。また、サンプリングトランジスタTr11は、そのソースが信号線DTLに接続され、サンプリングトランジスタTr11のドレインがドライブトランジスタTr15のゲート(接続点N102)に接続され、サンプリングトランジスタTr11のゲートがライト走査パルス線WSLに接続されてライト走査パルスWS(信号WS)が印加されるようになされている。また、スイッチングトランジスタTr14は、そのソースが電源PVccに接続され、そのドレインがドライブトランジスタTr15のドレインに接続され、そのゲートがドライブ走査パルス線DSLに接続されてドライブ走査パルスDSが印加されるようになされている。
サンプリングトランジスタTr11は、ライト走査パルス線WSLによってライトスキャン回路12aから伝送されるライト走査パルスWSがハイレベルとなったときにドレインとソースとが導通して、信号線DTLからの輝度信号Vsigをサンプリングして輝度信号Vsigの電圧値に応じた電圧を保持容量Csに保持させる。ここで、ライト走査パルスWS(信号WS)は、ハイレベルとローレベルとの2値ではなく、パルストランジェントを有してアナログ的に滑らかに変化する信号である。したがって、信号WSのパルストランジェントに応じて、サンプリングトランジスタTr11が導通する時刻を調整することができる。この点については、後に詳述する。ここで、パルストランジェントとは、立ち下がり点の位置(時刻)と立ち下がりの波形の形状とを合わせたパルスの立ち下がりの態様を称するものである。
また、ドライブトランジスタTr15は、保持容量Csに保持された電圧に応じて有機EL素子30を電流駆動する。また、スイッチングトランジスタTr14はドライブ走査パルス線DSLによってドライブスキャン回路102bから伝送されるドライブ走査パルスDSによってドレインとソースとが導通させられたときに電源PVccからドライブトランジスタTr15に電流を供給する。また、第1検知トランジスタTr12は、第1AZ走査パルス線AZL1によって第1AZ制御回路103aから伝送される第1AZ走査パルスAZ1によって所定のタイミングでそのソースとそのドレインとが導通とされる。また、第2検知トランジスタTr13は、第2AZ走査パルス線AZL2によって第2AZ制御回路103bから伝送される第2AZ走査パルスAZ2によって所定のタイミングでそのソースとそのドレインとが導通とされる。
第1検知トランジスタTr12と第2検知トランジスタTr13との動作によって、有機EL素子30を電流駆動するに先立って、種々のドライブトランジスタTr15の有するばらつきを補正することが可能である。例えば、ドライブトランジスタTr15の閾値電圧Vthを検知し、この検知した閾値電圧Vthを保持容量Csに保持する動作(閾値検出動作)が実行され、閾値のばらつきを補正する動作を行うことができる。また、例えば、サンプリングトランジスタTr11とスイッチングトランジスタTr14が共に導通している期間(後述する移動度補正期間)に、ドライブトランジスタTr15の移動度μのばらつきを検出する動作(移動度検出動作)が実行され、移動度のばらつきを補正する動作を行うことができる。ここで、サンプリングトランジスタTr11が導通している期間の終期は、信号WSのパルストランジェントに応じて定められることとなる。
電源PVccの電圧Vccvの波形は、ドライブトランジスタTr15の移動度μのばらつきを補正するために特に管理がされている。電源PVss2の電圧Vss2は、電源PVss1の電圧Vss1からドライブトランジスタTr15の閾値電圧Vthを差し引いたレベルよりも低く設定されている。すなわち、電圧Vss2<電圧Vss1−閾値電圧Vth、となる関係が成立するようになされている。また、電源PVss2の電圧Vss2は、有機EL素子30の閾値電圧Vthelより小さく設定されている。すなわち、電圧Vss2<閾値電圧Vthel、となる関係が成立するようになされている。
図3は、画素回路110を制御する各々の信号をタイミングチャートとして示す図である。図3に沿って、画素回路110の動作を説明する。図3の上段から下段の方向に向かい、ライト走査パルスWS、第1AZ走査パルスAZ1、第2AZ走査パルスAZ2、ドライブ走査パルスDS、ドライブトランジスタTr15のゲート(接続点N102)に印加される電圧である電圧Vg及びドライブトランジスタTr15のソース(接続点N101)に印加される電圧である電圧Vsの各々を示すものである。
ここで、実施形態のライト走査パルスWSは、背景技術として図25に示すライト走査パルスWSとは異なり、滑らかな立ち下がり特性のパルストランジェントを呈するものである。そして、サンプリングトランジスタTr11のゲートに印加されるライト走査パルスWSが所定の電圧以上であるときに、サンプリングトランジスタTr11のドレインとソースとの間が導通し、ライト走査パルスWSが所定の電圧未満であるときに、サンプリングトランジスタTr11のドレインとソースとの間が切断する。また、第1AZ走査パルスAZ1がハイレベルであるときに、第1検知トランジスタTr12のドレインとソースとの間が導通し、第1AZ走査パルスAZ1がローレベルであるときに、第1検知トランジスタTr12のドレインとソースとの間が切断する。また、第2AZ走査パルスAZ2がハイレベルであるときに、第2検知トランジスタTr13のドレインとソースとの間が導通し、第2AZ走査パルスAZ2がローレベルであるときに、第2検知トランジスタTr13のドレインとソースとの間が切断する。さらに、ドライブ走査パルスDSがハイレベルであるときに、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が切断し、ドライブ走査パルスDSがローレベルであるときに、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が導通する。
図4は、ライトスキャン回路12aの一部とライト走査パルス線WSLと画素回路110のサンプリングトランジスタTr11とを示す図である。ここで、ライト走査パルスWSを伝送するライト走査パルス線WSLは、電気的には分布定数回路として動作する。この分布定数回路は、微少な抵抗値を有する抵抗Rdと微少な容量値を有する容量Cdとから形成されるローパスフィルタを何段にも渡りカスケード接続したのと等価的な特性を有するものとなる。このような分布定数回路では、線路長に応じてその電気特性が異なる。すなわち、周波数特性については高域成分が遮断されて、時間特性については伝送遅延が生じる。上述の説明はライト走査パルス線WSLについての説明であるが、走査パルスを加える走査パルス送信点から走査パルスを受信する走査パルス受信点までの配線の長さ及び引き回しの態様によって、周波数特性、伝送遅延特性に異なりが生じる点については、ライト走査パルス線WSLのみならず、ドライブ走査パルス線DSL、第1AZ走査パルス線AZL1、第2AZ走査パルス線AZL2においても同様である。
図4に示すライトスキャン回路12aは、pチャンネル電界効果トランジスタTr101(以下、トランジスタTr101と省略する)とnチャンネル電界効果トランジスタTr102(以下、トランジスタTr102と省略する)とで構成されるバッファ最終段部を有している。トランジスタTr101のソースに電圧Vccvが供給される。トランジスタTr101のゲートはナンド(NAND)ゲート20が接続されている。その結果、図4の図中に示すように、電圧Vccvの波形を時間とともに変化するように設定した場合においては、バッファ最終段部から出力される出力パルス(サンプリングトランジスタTr11のゲートに得られる信号WS)の立下り点の位置(時刻)及び波形を電圧Vccvの波形に応じて調整できる。すなわち、トランジスタTr101はアナログスイッチ素子として機能するのでこの出力パルスの立下りの波形は、電圧Vccvに合わせて滑らかなものとできる。
ここで、電圧Vccvについて説明する。電圧Vccvの立ち下がりは、穏やかに立ち下がるものとされている(図4中の電圧Vccvの波形図を参照)。そして、後述するように、この穏やかに立ち下がる電圧によって、サンプリングトランジスタTr11を制御してドライブトランジスタの移動度補正期間の終了の時刻(終期)を定める。ここで、電圧Vccvの立ち下がりを利用して、終期を定めるようにしたのは、以下の理由によるものである。すなわち、制御部のデジタル回路は、信号CK(図9を参照)を基準として動作するので、電圧Vccvの波形は、デジタル回路によっては1H(20μSec〜40μSec)以内の時間では制御することができない、したがって、デジタル回路からは移動度補正期間の調整に必要とされるような、1H以下のμ秒(μSec)単位での時間信号が得られないからである。また、電圧Vccvの立ち上がりが急峻であるのは、立ち上がり信号は、移動度補正期間を設定するための用途に用いていないので特段の制約はなく、立ち上がり波形を滑らかにすることによって、スイッチング損失が増加することを防止するためである。
また、電圧Vccvの波形は、後述する図7に示す移動度の補正の特性と合致したものでなければならない。すなわち、図7に横軸で示す時間に対して、縦軸で示す電圧を有する特性を電圧Vccは有するものでなければならない。例えば、図7に示すグラフの特性は1次系の特性で近似できるので、抵抗と容量とで形成されるローパスフィルタをデジタル回路からの信号の立ち下がり波形のみに作用させて得ることができる。また、電圧Vccvの望ましい波形が、抵抗とコンデンサとによって発生させることができる1次系の応答波形以外である場合には、抵抗とコンデンサとからなる1次遅系の時定数を相互に大きく異ならせて複数段カスケード接続して所望の応答波形に近似することができる。また、抵抗と閾値が異なるダイオードとを複数組み合わせて得られる任意の関数を所望の応答波形に近似することができる。さらには、所望の応答波形をマッピングしたロム(ROM)に記憶されたデータを、信号CKに同期させながら信号CKよりも高い周波数のクロックを用いて読み出して、順次デジタル・アナログ(D/A)変換して、所望の応答波形に近似するものとしても良い。そして、いずれの場合においても、電圧Vccvは周期関数とされ、その周期は図5に示す1Hの時間と同期したものとされる。
図5は、バッファ最終段部の動作を説明するための図である。図5は、バッファ最終段部に印加される電圧Vccvと入力パルスと出力パルスとの関係を示している。電圧Vccvは電源PVccからの電圧である。電圧Vccvの最大の電圧を電圧Vccmxとし、電圧Vccvの最小の電圧を電圧Vccmnとして、以下の説明に用いる。また、図5に示す入力パルスは、NANDゲート20からトランジスタTr101のゲートとトランジスタTr102のゲートとの接続点に入力される信号を示すものである。ここで、(N―1段)、N段の記載は、図4の紙面の上方から下方に向かって番号を付して、図4に示す各々のNANDゲートに対する入力であることを示すものである。また、出力パルスは、トランジスタTr101のドレインとトランジスタTr102のドレインとの接続点から出力され、画素回路110のサンプリングトランジスタTr11のゲートに入力される信号である信号WSを示すものである。なお、出力パルスに付された(N―1段)、N段の記載は、図4の紙面の上方から下方に向かって番号を付して、各々のバッファ最終段部からの出力であることを示すものである。
図6は、画素回路のサンプリングトランジスタTr11(図2を参照)のゲートに印加される信号である信号WSとスイッチングトランジスタTr14(図2を参照)のゲートにおけるドライブ走査パルスDSの波形の各々を示す図である。ここで、図6に示す信号WSは、図3に示すライト走査パルスWSのサンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号を、時間軸を拡大して立ち下がり部分を示すものである。以下の説明において、ライト走査パルスWSの用語は、バッファ最終段部からの出力を表す信号(後述する信号OUT)とサンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号である信号WSとを総称するものとして用い、特に、バッファ最終段部からの信号OUTであるか、サンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号WSであるかを区別する必要がある場合には、区別してその旨を記載する。なお、背景技術に示すようにライト走査パルス線が分布定数を有する低域濾波器として機能するので、ライト走査パルス線が長い場合には、サンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号WSとバッファ最終段部からの信号OUTの波形は若干異なる波形となる。以下においては、背景技術に示すようにして、ライト走査パルスWSとドライブ走査パルスDSとの間に生ずる配線長及び引き回の時間遅れの影響は、すでに補正が行われたものとして説明を行う。
図7は、輝度信号Vsigの電圧と最適なる移動度補正時間との関係を示すグラフである。すなわち、この移動度補正時間は入力輝度信号である輝度信号Vsig(図2を参照)の値(この値は輝度の階調に対応する)毎に最適値が異なっている。
以下、図3ないし図7を引用して、実施形態のライトスキャン回路12aの動作について説明をする。図6に示す符号Vsig+Vthを付した破線は、信号Vsigの電圧にサンプリングトランジスタTr11の閾値電圧Vthを加算したものであり、サンプリングトランジスタTr11の導通と切断との変化点である。図2に示すようにサンプリングトランジスタTr11のソースは信号線DTLに接続されているので、サンプリングトランジスタTr11のソースの電圧は、輝度信号Vsig(すなわち、画素の輝度レベル(階調))に応じて変化する。ここで、図6において、信号WSは実線と破線との2つが示されているが、ここでの説明は実線で示す信号WSのみを用い、破線については、後述する。符号Vdd−Vthを付した破線は、スイッチングトランジスタTr14のゲートの電圧からスイッチングトランジスタTr14の閾値電圧を差し引いた電圧を表わすものであり、スイッチングトランジスタTr14の導通と切断との変化点である。
符号Vsig+Vthを付した破線の位置が信号WSに対して紙面の上方にある場合、すなわち、輝度のレベルが大きい場合(白階調)における移動度補正時間を小さくし(図7を参照)、符号Vsig+Vthを付した破線の位置が信号WSに対して紙面の下方にある場合、すなわち、輝度のレベルが小さい場合(黒階調)における移動度補正時間を大きくすることによって(図7を参照)、白階調から黒階調までの全階調に渡りドライブトランジスタTr15において生じる移動度のばらつきを補正することができる。上述したように図6に示す信号WSの滑らかな立ち下がりは電圧Vccvの立ち下がりの波形と略一致するものとなっている。
図3に示すタイミングチャートの横軸は時間の経過を示し、時刻t1、時刻t2、・・・時刻13と時刻が経過する。時刻t4から時刻t11までが、発光素子である有機EL素子30の発光駆動の動作の1サイクルに相当するものであり、時刻t7から時刻t8までの間が、有機EL素子30が発光することができる期間である発光期間である。
時刻t0の直前では、ライト走査パルスWS(信号WS)、第1AZ走査パルスAZ1、第2AZ走査パルスAZ2及びドライブ走査パルスDSのいずれもがローレベルである。従って、pチャネルのスイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が導通状態にあり、一方、サンプリングトランジスタTr11、第1検知トランジスタTr12及び第2検知Tr13のドレインとソースとの間が切断状態にある。このときドライブトランジスタTr15は、保持容量Csに保持されている電圧、すなわち、ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じて駆動電流Idsを流し、有機EL素子30を発光させている。このときドライブトランジスタTr15のソースの電圧(接続点N101の電圧)は所定の動作点に保持されている。スイッチングトランジスタTr14のソースは電源PVccに接続されており、ドレインとソースの間が導通する間は、電源PVccから得られる電圧VccvがドライブトランジスタTr15のドレインに印加される。一方、ドライブトランジスタTr15はゲート。ソース間の電圧Vgsの大きさに応じてドレイン・ソース間の電流が変化する可変電流源として機能し、有機EL素子30に流れる駆動電流Idsの大きさを制御する。駆動電流Idsは、式(2)に示されるように、ドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の電圧VgsとドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の閾値電圧Vth(反転層を生じさせるに必要なゲート・ソース間電圧)に応じて定まることとなる。
Ids=(1/2)・μ・(W/L)・Cox・(Vgs−Vth)2 ・・・(式2)
式(2)において、各々の変数、定数はドライブトランジスタTr15の種々のパラメータを示すものであり、μは移動度、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Coxはゲート容量を各々表わしている。
時刻t0において、ドライブ走査パルスDSがハイレベルに立ち上がる。これによってスイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が切断とされ、有機EL素子30への電流の供給が停止されて非発光期間となる。
時刻t1では、第1AZ走査パルスAZ1及び第2AZ走査パルスAZ2がハイレベルに立ち上がる。これにより第1検知トランジスタTr12のドレインとソースとの間及び第2検知トランジスタTr13のドレインとソースとの間が導通とされ、接続点N101の電圧が電源PVss2の電圧Vss2、接続点N102の電圧は電源PVss1の電圧Vss1となる。すなわち、接続点N102の電圧(ドライブトランジスタTr15のゲートの電圧)と等しいものである電圧Vgは、電圧Vss1となり、接続点N101の電圧(ドライブトランジスタTr15のソースの電圧)と等しいものである電圧Vsは、電圧Vss2となる。ここで、上述したように電源PVss2の電圧Vss2は、電源PVss1の電圧Vss1からドライブトランジスタTr15の閾値電圧Vthを差し引いたレベルよりも低く設定されているため、ドライブトランジスタTr15のドレインとソース間は導通する。しかしながら、有機EL素子30にかかる電圧、すなわち、接続点N101の電圧が、有機EL素子30の閾値電圧Vthelより小さくなるように電圧Vss1と電圧Vss2とが設定されているため、有機EL素子30には電流は流れず、非発光状態を維持する。
時刻t2では、第2AZ走査パルスAZ2がローレベルとされて、第2検知トランジスタTr13のドレインとソースとの間が切断とされた状態においてドライブ走査パルスDSがローレベルとされ、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が導通とされる。このときドライブトランジスタTr15を流れる駆動電流Idsによって、ドライブトランジスタTr15のソースの電圧(接続点N101の電圧)は上昇していき、一定時間経過後、ドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の電圧Vgsは閾値電圧Vthとなる。このとき有機EL素子30にかかる電圧を電圧Velとすると、電圧Vel=電圧Vss1−閾値電圧Vth≦閾値電圧Vthel、となっている。そして、閾値電圧Vthは保持容量Csに保持されることになる。このように、第1AZ走査パルスAZ1によって第1検知トランジスタTr12ドレインとソースの間、及び、第2AZ走査パルスAZ2によって第2検知Tr13のドレインとソースの間が、各々、適切なタイミングで導通と切断との動作することで、ドライブトランジスタTr15の閾値電圧Vthを検知し、これを保持容量Csに保持することができる。これによって、ドライブトランジスタTr15の閾値変動が生じた場合において、その影響を補正することができることとなる。他の画素回路のドライブトランジスタの閾値変動についても同様にして補正をすることができる。
時刻t3では、ドライブ走査パルスDSが、再びハイレベルとされ、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が切断とされてVth補正期間(図3を参照)を終える。
時刻t4では、第1AZ走査パルスAZ1がローレベルとされ、第1検知トランジスタTr12のドレインとソースとの間が切断とされる。
時刻t5では、ライト走査パルスWS(信号WS)がハイレベルとされ、サンプリングトランジスタTr11のドレインとソースとの間が導通とされて信号線DTLからの輝度信号Vsigの保持容量Csへの書込が行われる。これによりドライブトランジスタTr15のゲートの電圧が信号線DTLからの輝度信号Vsigとされる。このとき、ドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の電圧Vgsは、保持容量Csと容量Coledによって分圧されて式(3)で表されることとなる。
Vgs=
{Coled/(Coled+Cs)}・(Vsig+Vth)・・・(式3)
容量Coledの容量値は保持容量Csに比べて大きいために、ドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の電圧Vgsは、ほぼ輝度信号VsigとドライブトランジスタTr15の閾値電圧Vthとの和の値となる。
時刻t6では、信号線DTLからの輝度信号Vsigの書込が終了し、ライト走査パルスWS(信号WS)をハイレベルに維持したまま、ドライブ走査パルスDSがローレベルとされ、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が導通とされる。そして、ドライブ走査パルスDS、ライト走査パルスWS(信号WS)によってスイッチングトランジスタTr14とサンプリングトランジスタTr11との各々のドレインとソースの間が共に導通している期間が、ドライブトランジスタTr15の移動度補正時間である。この移動度補正時間において、ドライブトランジスタTr15の移動度μに応じて、式(4)で示すように、ドライブトランジスタTr15のドレイン・ソース間の電流(駆動電流)Idsの値は変化する。式(4)で、Vsigは信号線DTLからの輝度信号、tは時間を示すものである。
Ids=
k・μ・[Vsig/{1+Vsig・k・μ・t/(Coled+Cs)}]2・・・・(式4)
式(4)で示すように移動度μに応じてドライブトランジスタTr15のドレイン・ソース間の電流が変化をする結果として、ドライブトランジスタTr15のソース(接続点N101)の電圧の上昇は移動度μに応じたものとなる。すなわち、ドライブトランジスタTr15の移動度μが大きければ、ドライブトランジスタ移動度補正時間におけるソース電圧の上昇量が多く、ドライブトランジスタTr15の移動度μが小さければ、ソース電圧の上昇量が小さい。このソース電圧の上昇の変化量(移動度電圧)を検出することによって移動度μのばらつきを検出できることとなる。このソース電圧の変化量(ドライブトランジスタ移動度電圧)を保持容量Csの電圧に保持して、ドライブトランジスタTr15のゲート(制御端子)にフィードバックして、ドライブトランジスタTr15の移動度μの補正を行っている。この動作をおこなうのがドライブトランジスタの移動度補正期間(図3を参照)である。ここで、時刻t6は、保持容量Csに駆動電流Idsを蓄える動作(充電)の開始をする時刻(始期)である。すなわち、この駆動電流Idsの充電の始期は、上述したようにドライブ走査パルスDSがローレベルとされ、スイッチングトランジスタTr14のドレインとソースとの間が導通される時刻である。
時刻t7では、ライト走査パルスWS(信号WS)がローレベルとされ、発光期間が開始する。上述した式(1)から明らかな様に、ドライブトランジスタTr15のドレイン電流である駆動電流Idsはゲート・ソース間の電圧Vgsによって制御されるが、保持容量Csの作用によりドライブトランジスタTr15のゲート・ソース間の電圧Vgs(ゲート・ソース間の電圧Vgs=輝度信号Vsig+閾値電圧Vthで与えられる)は、閾値電圧Vthの補正と移動度との補正がされたものとなるので、ドライブトランジスタTr15は、閾値電圧Vthのばらつき、及び、移動度μのばらつきを補正して、輝度信号Vsigのみに応じた大きさの電流を有機EL素子30に流す可変電流源として動作することとなる。このとき、接続点N101の電圧は有機EL素子30に電流が流れる電圧まで上昇して、有機EL素子30は発光する。ここで、時刻t7は、発光期間の開始する時刻であると同時に、保持容量Csに駆動電流Idsを蓄える動作(充電)の停止する時刻(終期)である。すなわち、駆動電流Idsの充電の終期は、上述したようにライト走査パルスWSがローレベルとされ、サンプリングトランジスタTr11のドレインとソースとの間が切断される時刻である。そして、上述したように、サンプリングトランジスタTr11のドレインとソースとの間が切断される時刻t7から、ドライブトランジスタTr15のゲートにフィードバック電圧である保持容量Csの電圧を印加して発光を開始する。
以上のように画素回路110は、有機EL素子30の発光のための動作を行うが、上述したように閾値補正が時刻t3〜時刻t4で示すドライブトランジスタのVth補正期間(図3を参照)におこなわれ、移動度補正が時刻t6〜時刻t7で示すドライブトランジスタの移動度補正期間(図3を参照)におこなわれる。これらの補正は有機EL素子30が発光する発光期間に先立つ、有機EL素子30が発光しない非発光期間におこなわれるので、ドライブトランジスタの閾値電圧Vthの経時変化やばらつき、ドライブトランジスタの移動度のばらつきが生じても、発光期間において画面上に輝度ムラ等を発生させることなく、良好な画質を維持できる。
(実施形態の改善形態)
上述した実施形態の改善形態について説明をする。実施形態の改善形態では、さらに、移動度のばらつきの補正の効果を上げることができるものである。上述した実施形態では、ドライブトランジスタの移動度補正の動作の効果が、十分には発揮されないという問題を有している。すなわち、輝度信号に応じて、ドライブトランジスタの移動度補正期間の長さを変化させるという対策にもかかわらず、走査パルスを発生する回路において発生される走査パルスに生ずる波形のばらつきについては、対策が講じられていない。特に、ライトスキャン回路からの走査パルスは、ドライブトランジスタの移動度補正期間の終期に大きな影響を与えるので波形のばらつきの影響は大きなものとなる。
図4に示すバッファ最終段のトランジスタTr101のドレイン・ソース間に生じる電圧が小さく、無視し得る程度の大きさである場合には、出力パルスの立ち下がりの波形を電圧Vccvの立ち下がりの波形に近似するものとできる。しかしながら、トランジスタTr101の移動度の大きさは、個々のトランジスタによって区々であり、トランジスタ毎に移動度にばらつきが生じている。すなわち、トランジスタTr101は、理想的なアナログスイッチ素子として機能しておらず、移動度の影響が出力パルスの波形のばらつきとして生じている。図6に実線で示す信号WSは、トランジスタTr101の移動度が小さい場合であり、図6に破線で示す信号WSは、トランジスタTr101の移動度が大きい場合である。その結果として、トランジスタTr101からの出力パルスのハイレベルレベルからローレベルへの立下り点の位置(時刻)、及び/又は、その波形の形状、すなわち、パルストランジェント、がトランジスタ毎にばらつくこととなる。この結果、望ましい移動度補正期間(図7を参照)の長さは、白階調(信号Vsigが大きい場合)では、移動度補正期間の長さが短いことを理由として、パルストランジェントの影響をより大きく相対的に受け、黒階調(信号Vsigが小さい場合)では、図6に示すようにして、時間τの長さはより大きくなってパルストランジェントの影響を受ける。なお、上述の説明は、トランジスタTr101以外の他の各々の段((N−1)段、N段等)のトランジスタにおいても同様である。このような影響の発生は、ドライブトランジスタ毎に区々であり、この個々の画素におけるユニフォーミティの阻害の結果として、画像に、すじ、が発生してしまい、画質が低下する。このようにして、背景技術に示す様々な技術を駆使しての移動度補正時間の設定をしたにも拘わらず、その効果が減殺されることになってしまう。
このパルストランジェントは、また、トランジスタTr101の閾値電圧Vthの個体毎のばらつきによっても、ばらつくものとなる。この結果、サンプリングトランジスタTr11に印加されるゲート電圧である信号WSのパルストランジェントがばらつきを有することとなる。そして、このばらつきの影響によって、トランジスタTr15の有する移動度のばらつきを補正するに最適なるドライブトランジスタの移動度補正期間にずれが生じてしまう。なお、上述の説明は、トランジスタTr101以外の他の各々の段((N−1)段、N段等)のトランジスタにおいても同様である。この個々の画素におけるユニフォーミティの阻害の結果として、表示装置に表示される画像に、すじ、が生じるなどして画質が低下する。
(改善形態のライトスキャン回路のバッファ最終段部の構成)
バッファ最終段部で発生するライト走査パルスWS(信号OUT)にパルストランジェントのばらつきがある場合には、上述したような画素回路における移動度補正が十分に効果を発揮しない。上述した実施形態を改善する以下述べる改善形態では、画素回路における移動度補正の動作をより確実にするために、ライトスキャン回路として新規なる構成のバッファ最終段部を採用した。これによって、バッファ最終段部から発生するライト走査パルスWS(信号OUT)のパルストランジェントが一定となるようにしている。以下、このバッファ最終段部について詳細に説明をする。
図8は、改善形態のライトスキャン回路12abの一部を示す図である。また、図10は、図8に記載したライトスキャン回路12abの要部であるバッファ最終段部120を拡大して示す図である。上述したライトスキャン回路12aでは、トランジスタTr101とトランジスタTr102との2個で構成されていたバッファ最終段部は、改善形態のライトスキャン回路12abのバッファ最終段部120では、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の4個のトランジスタで構成するようにしている。トランジスタTr1とトランジスタTr2とは、pチャンネル電界効果トランジスタとされたTFT、トランジスタTr3とトランジスタTr4とはnチャンネル電界効果トランジスタとされたTFTとして形成されている。また、バッファ最終段部120は結合容量Cを有している。バッファ最終段部120の入力側は、ナンド(NAND)ゲート21とNANDゲート22との2個のナンド(NAND)ゲートの各々の出力に接続され、バッファ最終段部120の出力側は、ライト走査パルス線WSLに接続されている。このバッファ最終段部120は上述したようにTFTとして構成されているので、その移動度と閾値電圧が、個々のトランジスタ毎に大きなばらつきを有している。
ここで、トランジスタTr2(ライトスキャン回路の第3アナログスイッチ素子、以下、第3アナログスイッチ素子と省略して用いる)、トランジスタTr3(ライトスキャン回路の第1アナログスイッチ素子、以下、第1アナログスイッチ素子と省略して用いる)及びトランジスタTr4(ライトスキャン回路の第2アナログスイッチ素子、以下、第2アナログスイッチ素子と省略して用いる)は、ドレインとソースとの間が導通するか切断するか、いずれかの状態となるように、制御端子として機能する各々のトランジスタのゲートの電圧を変化させてゲートとソース間に加える電圧が制御されている。一方、トランジスタTr1については、その動作は上述したトランジスタTr2ないしランジスタTr4とは異なり、ドレイン電流の大きさが、ドレイン・ソース間の電圧には依存せず、ゲート・ソース間の電圧である電圧Vgsに依存して定まる領域である飽和領域で動作する。すなわち、これらのトランジスタTr2ないしトランジスタTr4の各々は、ハイレベルとローレベルとの2値のデジタル信号で制御されるアナログスイッチとして機能する。一方、トランジスタTr1(出力トランジスタ)は、制御端子であるゲートに印加される電圧を制御することによって、アナログ電圧で制御される電流制御素子として機能する。このようにトランジスタTr1ないしトランジスタTr4の各々を機能させることによって、バッファ最終段部120から得られる出力パルスのパルストランジェントのばらつきをなくすようにしている。
トランジスタTr1(出力トランジスタ)は、そのソースが電源PVcc(第1電源)に接続され、そのドレインはトランジスタTr2のドレイン及びトランジスタTr3のドレインに接続され、そのゲートはトランジスタTr2のソース及び結合容量Cの一端に接続されている。また、トランジスタTr2のゲートはトランジスタTr3のゲートと接続されて第1入力側として、NANDゲート21の出力に接続されている。トランジスタTr3のソースはトランジスタTr4のドレインと接続されて出力側として、ライト走査パルス線WSLに接続されている。トランジスタTr4のソースは電源PVss(第2電源)に接続され、そのゲートは結合容量Cの他端と接続されて第2入力側として、NANDゲート22の出力に接続されている。なお、電源PVccからの電圧Vccv、電源PVssからの電圧Vssの具体的な数値は、サンプリングトランジスタTr11のドレイン電圧、ソース電圧、ゲート電圧の関係が、適宜定められ、詳細に後述するばらつき補正の動作が適切におこなわれるようにされている。
(改善形態のライトスキャン回路の制御部)
ライトスキャン回路12abは、バッファ最終段部を駆動する制御部を有しており、制御部としては、電源PVccに加えて、シフトレジスタ部及びゲート回路部を有している。シフトレジスタ部は、複数のエス・アール(セットリセット)・フリップフロップ(以下、S/Rと省略する)がカスケードに接続されて構成されている。図8には、このS/Rの一部が記載されている。NANDゲート21は3入力のNANDゲートであり、その入力端子の各々には、(n−1)段目のS/Rの出力からの信号である信号S/R出力(n−1段)と、n段目のS/Rの出力からの信号である信号S/R出力(n段)と、信号AZXENBとが入力されている。また、NANDゲート22は2入力のNANDゲートであり、その入力端子の各々には、信号S/R出力(n段)と信号S/R出力(n+1段)とが入力されている。NANDゲート21からは、信号AZX(n段)が出力され、NANDゲート22からは、信号IN(n段)が出力されている。
図9は、ライトスキャン回路12abの各部の信号を示す図である。バッファ最終段部120の入力信号である信号AZX(n段)と信号IN(n段)、さらに、信号AZX(n+1段)と信号IN(n+1段)とを生成するための各部の信号のタイミングチャートを示す図である。図9では、上段から下段に向かって、各部の動作の基準となるクロック信号である信号CK、NANDゲート21のエネーブル信号である信号AZXENB、信号S/R出力(n−1段)、信号S/R出力(n段)、信号S/R出力(n+1段)、信号S/R出力(n+2段)を示す。さらに、目的とする信号であるバッファ最終段部120の入力信号の代表例として、信号IN(n段)、信号IN(n+1段)、信号AZX(n段)、信号AZX(n+1段)の各々を示すものである。
改善形態のライトスキャン回路においても、図7を引用して説明をしたと同様に、信号Vsigの電圧の大きさに応じて、ドライブトランジスタ移動度補正時間(図3に示す、時刻t6と時刻t7との間の時間)を異ならせている。このドライブトランジスタ移動度補正時間の調整は、サンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される電圧である信号WSを電圧Vccvに応じたものとして行っている。
(第1実施形態の制御方法)
第1実施形態の制御方法では、トランジスタTr1(出力トランジスタ)のゲート・ソース間の閾値電圧Vthのばらつきの影響が、表示装置の画質に影響を与えることがないようにすることを目的として上述のバッファ最終段部120を動作させる。図11は、バッファ最終段部120の動作を説明する第1実施形態の制御方法に係るタイミングチャートである。図11の上段から下段にむかって、電圧Vccv、信号IN、信号AZX、トランジスタTr1のゲートの電圧を示す信号Gate、バッファ最終段部120の出力の信号である信号OUT、画素回路のサンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号WSの各々を示すものである。また、期間A、期間B、期間C、期間Dの各々において、電源PVccからの電圧Vccvの状態、信号IN及び信号AZXによって制御されるアナログスイッチの状態と、に応じて、信号Gate及び信号OUTの状態も異なるものとなる。期間Aにおけるこれらの状態を出力トランジスタの閾値(Vth)補正期間前状態、期間Bにおけるこれらの状態を出力トランジスタの閾値補正期間状態、期間Cにおけるこれらの状態を出力トランジスタの閾値補正期間後状態、期間Dにおけるこれらの状態を出力トランジスタのライト走査パルス出力状態と称して以下に説明をする。
また、図12ないし図15は、バッファ最終段部120の第1実施形態に係る等価回路を時系列で説明する図である。図12は期間Aにおける等価回路、図13は期間Bにおける等価回路、図14は期間Cにおける等価回路、図15は期間Dにおける等価回を各々示すものである。以下、図11ないし図15を引用して、バッファ最終段部120の動作、すなわち、電圧Vccvの状態、信号IN及び信号AZXによって制御されるアナログスイッチの状態を時間の経過に沿って順に説明する。
(閾値補正期間前状態)
図12は、信号INと信号AZXとが、ともにハイレベルの場合である期間Aにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものであり、図11に、期間Aにおける、電圧Vccv、信号Gate、信号OUT、信号WSの各々を、期間Aの符号を付して示す。図11において、信号IN、信号AZXについて、紙面の上方に電圧のレベルがある場合をハイレベルと称し、紙面の下方に電圧のレベルがある場合をローレベルと称するものである。また電圧Vccvの波形において、最も電圧が高い定常状態の部分の電圧を電圧Vccmxで表し、最も電圧の低い定常状態の部分を電圧Vccmnで表すものとする
図11に示すように期間Aにおいては、信号INがハイレベルであり、信号AZXがハイレベルであることによって、図12に示すようにトランジスタTr3のドレインとソースとの間(第1アナログスイッチ素子)は導通し、トランジスタTr4のドレインとソースとの間(第2アナログスイッチ素子)は導通する。また、トランジスタTr2のドレインとソースとの間(第3アナログスイッチ素子)は切断する。また、トランジスタTr1(出力トランジスタ)に印加される電圧Vccvは、低く、トランジスタTr1はカットオフ動作点で動作しているので、トランジスタTr1のドレインとソースとの間は切断している。したがって、期間Aでは、信号OUTの電圧は、電源PVss(第2電源)の電圧である電圧Vssと等しくなる。また、信号Gateのレベルは、前回に設定した電圧が維持されており、その電圧値は、後述するようにして、電圧Vccmxから閾値電圧Vthの絶対値を引いたものとなっている。ここで、期間Aにおける閾値電圧Vthは、前回の閾値補正の動作によって得られたトランジスタTr1(出力トランジスタ)の閾値電圧Vthを示すものであり、絶対値を引いたのは、pチャンネル電界効果トランジスタTr1の極性を考慮したものである。
(閾値補正期間状態)
図13は、信号INがハイレベル、信号AZXがローレベルの場合である期間Bにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。図13に示すように、信号INがハイレベルであることによって、トランジスタTr4のドレインとソースとの間(第2アナログスイッチ素子)は導通を維持し、信号AZXがローレベルであることによって、トランジスタTr3のドレインとソースとの間(第1アナログスイッチ素子)は切断するとともに、トランジスタTr2のドレインとソースとの間(第3アナログスイッチ素子)は導通する。
図11に示すように期間Bでは電圧VccvはトランジスタTr1を通電可能とする定常電圧である電圧Vccmxを維持しており、期間Bの開始直後においては、トランジスタTr1(出力トランジスタ)のゲートの電圧は、短時間の間、信号OUTの電圧に引っ張られ、トランジスタTr1のソースからドレインへ電流が流れる。その後、期間Bの最後においては、トランジスタTr1のドレインとソースとの間には電圧が印加されないのでトランジスタTr1はカットオフとなる。このときに、結合容量CにはトランジスタTr1の閾値電圧Vthに応じた電圧が設定される。その結果、トランジスタTr1のゲート電圧である信号Gateのレベルは、電圧Vccmxから電圧Vthの絶対値を引いたものと等しくなる。これによって、出力トランジスタの閾値電圧Vthのばらつきの補正(Vth補正と称する)をおこなうことができる。期間Bでは、トランジスタTr4のドレインとソースとの間が導通しており、トランジスタTr3のドレインとソースとの間が切断しているので、信号OUTの電圧は、期間Aにおけると同様に電源PVss(第2電源)の電圧Vssと等しくなる。
(閾値補正期間後状態)
図14は、信号INがハイレベル、信号AZXがハイレベルの場合である期間Cにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。図14に示すように、信号INがハイレベルであることによって、トランジスタTr4のドレインとソースとの間(第2アナログスイッチ素子)は導通を維持し、信号AZXがハイレベルであることによって、トランジスタTr3(第1アナログスイッチ素子)のドレインとソースとの間は導通するとともに、トランジスタTr2のドレインとソースとの間(第3アナログスイッチ素子)は切断する。
図11に示すように、期間Cにおいて、電圧Vccvの電圧を電圧Vccmxから電圧Vccmnに変化させる。ここで、電圧VccmnはトランジスタTr1をカットオフとする電圧である。また、トランジスタTr1のゲート電圧である信号Gateの電圧の変化はなく、トランジスタTr1のゲートの電圧である信号Gateのレベルは、電圧Vccmx−|Vth|であるので、電圧Vccvの電圧が電圧Vccmnまで低下していない場合、例えば、トランジスタTr1のドレインの電圧が電圧Vccmxである場合でもトランジスタTr1はカットオフの状態を維持する。期間Cでは、トランジスタTr4のドレインとソースとの間が導通しており、トランジスタTr3のドレインとソースとの間が導通しているが、トランジスタTr1は上述したようにカットオフの状態であるので、信号OUTの電圧は、期間A、期間Bと同様に電源Pvss(第2電源)の電圧Vssと等しくなる。
(ライト走査パルス出力状態)
図15は、信号INがローレベル、信号AZXがハイレベルの場合である期間Dにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。図15に示すように、信号INがローレベルであることによって、トランジスタTr4のドレインとソースとの間(第2アナログスイッチ素子)は切断し、信号AZXがハイレベルであることによって、トランジスタTr3のドレインとソースとの間(第1アナログスイッチ素子)は導通するとともに、トランジスタTr2のドレインとソースとの間(第3アナログスイッチ素子)は切断する。
図11に示すように、期間Dでは、電圧Vccvは、トランジスタTr1(出力トランジスタ)をカットオフとする定常電圧である電圧VccmnからトランジスタTr1を通電可能とする定常電圧である電圧Vccmxに変化し、再び、トランジスタTr1をカットオフとする定常電圧である電圧Vccmnとなるように滑らかに(時間の経過に対して緩慢に電圧が変化する状態を滑らかと称する)変化する。期間Dの開始直後において、信号INの電圧変化は、結合容量Cを介して、信号Gateの電圧を変化させる。ここで、信号INの電圧変化量をΔVとし、ゲートとソースとの間の容量であるゲート・ソース間容量をCgとすると、信号Gateの電圧の変化量であるΔGateは、以下の式(5)で表されるものとなる。
ΔGate=ΔV・C/(C+Cg)・・・式(5)
式(5)が示す意味について説明をするに当たって、まず、トランジスタTr1のソースからドレインに流れる電流(駆動電流)Idswについて説明をする。駆動電流Idswは、式(6)で表される。ここで、式(6)において、μはトランジスタTr1の移動度、VthはトランジスタTr1の閾値電圧、VgsはトランジスタTr1のゲート・ソース間の電圧、Vgateは、信号Gateの電圧の各々を表わしている。
Idsw=
k・μ・(Vgs−|Vth|)2
=k・μ・(Vccmx−Vgate−|Vth|)2・・・式(6)
また、式(5)を用いて、式(7)を得ることができる。
Vgate=Vccmx−|Vth|−ΔV・C/(C+Cg)・・・式(7)
また、式(6)と式(7)とから式(8)を得ることができる。
Idsw=
k・μ・[Vccmx−{Vccmx−|Vth|−ΔV・C/(C+Cg)}
−|Vth|]2
=k・μ・{C/(C+Cg)・ΔV}2・・・式(8)
式(8)が明らかに示すように、トランジスタTr1の電流Idsw(電源PVccからトランジスタTr1のソース・ドレイン間を流れて、ライト走査パルス線WSLに接続される容量に分流するとともに、電源PVssに流れる電流)はトランジスタTr1の閾値電圧Vthの影響を全く受けないこととなる。これは、結合容量Cに出力トランジスタであるトランジスタTr1の閾値電圧Vthを保持してフィードバックすることによって、出力トランジスタであるトランジスタTr1の閾値電圧Vthの影響を補正したからであり、計算式に基づいて説明すれば、式(5)で示す信号Gateの変化量であるΔGateを得ることによって、トランジスタTr1の閾値電圧Vthの影響を電流Idswから排除したからに他ならない。
そして、電圧Vccvの電圧が急速に電圧Vccmxに立ち上がったときに、式(8)で示す電流IdswがトランジスタTr1のソースとドレインとの間に流れることによって、この電流Idswが負荷容量に充電される。ここで、負荷容量とは、トランジスタTr1からの電流を充電する容量を指し、その主なるものは、ライト走査パルス線WSLの有する容量、ライト走査パルス線WSLに接続される画素回路のサンプリングトランジスタTr11のゲート容量及びトランジスタTr3のソースとトランジスタTr4のドレインとの接続点に接続されるとみなせる浮遊容量(図示せず)であり、これらの負荷容量は、トランジスタTr3のドレインとソースとの間が導通とされることによってトランジスタTr1のドレインに接続されることとなる。負荷容量には電流Idswが充電されて、信号OUTの電圧は図11に示すように立ち上がる。ここで、トランジスタTr3の負荷容量の大きさは小さく、駆動連流Idswによって急速に充電され、殆ど電圧Vccvの立ち上がりの速度と一致する。なお、期間Dにおいて、図11に示すように、信号OUTの電圧は、高いものとなるが、この電圧を電圧Vccmxに近づけるためには、トランジスタTr3の導通したときの抵抗値をできるだけ小さくして、理想的なアナログスイッチ素子に近いものとしてトランジスタTr3を動作させる必要があり、このためには、信号AZXがハイレベルである場合の信号AZXの電圧は、電圧Vccmxと電圧Vth(トランジスタTr3のVth)との和の電圧以上の電圧に設定しておくことが望ましい。
その後、期間Dの後半部において、電圧Vccvが立ち下がり、トランジスタTr1はカットオフ状態となる。この電圧Vccvが立ち下がりの過程において、電圧Vccvの低下が生じるが、トランジスタTr1が能動領域で動作している範囲では、電流Idswの大きさは、式(8)で示すものであり、その結果、信号OUTの電圧は、電圧Vccvと略等しいものとなる。すなわち、電圧Vccvの立ち下がり特性が、信号OUTの立ち下がり特性と略等しいものとなる。ここで、電圧Vccvの波形のパルストランジェントは正確に制御されている。例えば、上述したように、電圧Vccvを抵抗とコンデンサとの1次遅特性を利用して得る場合であれば、この抵抗とコンデンサとに高精度のものを用いると同時に電圧Vccvの発生源となる電源の安定度の高いものが用いられる。
このようにして、信号OUTの立ち下がり特性に影響を与えるトランジスタTr1の閾値電圧Vthのばらつきは補正されているので、信号OUTは、トランジスタTr1の閾値電圧Vthのばらつきの影響を受けることがないものとなる。ここで、念のために付言すれば、上述したように、信号OUTはライト走査パルス線WSLの送り側における走査パルスであり、この送り側における走査パルスと略同様の信号が、図2に示す信号WSとしてサンプリングトランジスタTr11のゲートに得られることとなる。
上述したようにして、第1実施形態の制御方法では、バッファ最終段部にTFTを用いる場合においても、出力トランジスタの閾値電圧のばらつきの影響は、各々のトランジスタ毎に補正されている為に、画素回路の回路動作に影響を与えることはない。すなわち、バッファ最終段部で発生するパルストランジェントばらつきの影響を抑制することができる。その結果、有機EL素子の発光の全階調でユニフォーミティの高い、良好なる画質を有する表示装置を得ることができる。
(第2実施形態の制御方法)
第2実施形態の制御方法では、トランジスタTr1の移動度μのばらつきの影響が、表示装置の画質に影響を与えることがないようにすることを目的として上述のバッファ最終段部120を動作させる。図16は、バッファ最終段部120の動作を説明する第2実施形態の制御方法に係るタイミングチャートである。図16の上段から下段にむかって、電圧Vccv、信号IN、信号AZX、トランジスタTr1のゲートの電圧を示す信号Gate、バッファ最終段部120の出力の信号である信号OUT、画素回路のサンプリングトランジスタTr11のゲートに印加される信号WSの各々を示すものである。また、期間E、期間F、期間Gの各々においては、異なる、電圧Vccvと信号IN及び信号AZXによって制御されるアナログスイッチの状態とに応じて、信号Gate及び信号OUTの状態も異なるものとなる。期間Eにおけるこれらの電圧Vccv及び各々のアナログスイッチ素子の状態を出力トランジスタの移動度補正期間前状態、期間Fにおけるこれらの状態を出力トランジスタの移動度補正期間状態、期間Gにおけるこれらの電圧Vccv及び各々のアナログスイッチ素子の状態を出力トランジスタの移動度補正期間後状態と称して以下に説明をする。また、期間Hは、結合容量Cの電荷のリセットを行うリセット期間である。期間Hにおけるこれらの電圧Vccv及び各々のアナログスイッチ素子の状態をリセット期間状態と称して以下に説明をする。
また、図17ないし図20は、バッファ最終段部120の第2実施形態の制御方法に係る等価回路を時系列で説明する図である。図17は期間Eにおける等価回路、図18は期間Fにおける等価回路、図19は期間Gにおける等価回路、図20は期間Hにおける等価回路を各々示すものである。以下、図16、図17ないし図20を引用して、第2実施形態の制御方法におけるバッファ最終段部120の動作を時間の経過に沿って順に説明する。
(移動度補正期間前状態)
図17は、信号INがローレベル、信号AZXがハイレベルである場合である期間Eにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものであり、図16に示す期間Eは、出力トランジスタの移動度補正期間の前のバッファ最終段部120の動作状態を示す期間である。
図16に示すように、期間Eの開始直後において、信号INの電圧変化は、結合容量Cを介して、信号Gateを変化させ、信号Gateの電圧の変化量であるΔGateは、式(5)で表されるものとなる。そして、期間Eにおいて、電圧Vccvの電圧は立ち上がり、信号OUTの電圧はハイレベルとなる。
(移動度補正期間状態)
図18は、信号INがローレベル、信号AZXがローレベルとなる期間Fにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。移動度補正期間は電圧Vccvの値が定常電圧である電圧Vccmxである期間に選ばれる。
期間Fにおいては、図18に示すようにトランジスタTr1のドレインとそのゲートとが接続されるので、そのドレインに接続された、そのゲートの電圧は上昇する。このときのトランジスタTr1のゲート電圧の上昇はトランジスタTr1の移動度μに関係しており、この移動度μに応じた電圧をトランジスタTr1のゲートにフィードバックすることによってトランジスタTr1の移動度μのばらつきを補正する。また、期間Fでは、トランジスタTr3とトランジスタTr4とのいずれもが切断とされており、ライト走査パルス線WSLはハイインピーダンスとなる。この期間Fの長さは、上述したようにμ秒(μSec)の単位(図7を参照)であるので、ライト走査パルス線WSLの分布容量及びサンプリングトランジスタTr11のゲート容量によって、サンプリングトランジスタTr11に印加される信号WSのレベル及びバッファ最終段からの出力信号である信号OUTのレベルは前のレベルであるハイレベルを維持する。
期間Fにおいては、トランジスタTr1の移動度μの大きさに応じてトランジスタTr1のドレイン・ソース間の電流が変化をする結果として、トランジスタTr1のソースの電圧の上昇は移動度μに応じたものとなる。すなわち、移動度μが大きければ、移動度補正時間におけるソース電圧の上昇量が多く、移動度μが小さければ、ソース電圧の上昇量が小さい。このソース電圧の上昇の変化量を検出することによって移動度μのばらつきを検出でき、このソース電圧の変化量を結合容量Cの電圧に反映する動作をおこなっている。
トランジスタTr1における移動度の補正後の駆動電流Idswは、以下の式(9)で表されるものとなる。ここで、式(9)において、μaveは、出力トランジスタの有する平均(集合平均)的な移動度を表わしている。
Idsw=
1/4・k・μave・{C/(C+Cg)・ΔV}2・・・式(9)
(移動度補正期間後状態)
図19は、信号INがローレベル、信号AZXがハイレベルである場合である期間Gにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。ここで、期間Gは、移動度補正期が経過した後のバッファ最終段部120の動作状態を示す期間である。
(リセット期間状態)
図20は、信号INがハイレベル、信号AZXがローレベルである場合である期間Hにおける、トランジスタTr1ないしトランジスタTr4の動作を等価回路で示すものである。ここで、期間Hは、出力トランジスタの移動度補正を行う前に、念のために結合容量Cの電圧を一定の電圧に保つための期間である。
第2実施形態の制御方法では、バッファ最終段部における出力トランジスタの移動度のばらつきの影響が各々のトランジスタ毎に補正されているので、移動度のばらつきが、画素回路の回路動作に影響を与えることはない。よって、高い画質を有する表示装置を得ることができる。
(第3実施形態の制御方法)
図21は、第3実施形態の制御方法に係る動作を説明する図である。第3実施形態では、上述した、電圧Vccv及び各々のアナログスイッチ素子の制御法の第1実施形態であるトランジスタTr1(出力トランジスタ)の閾値のばらつきの影響を除く閾値補正の動作と、第2実施形態であるトランジスタTr1(出力トランジスタ)の移動度のばらつきの影響を除く移動度補正の動作とを組み合わせている。図21に示す期間A、期間B、期間Cにおいては、各部は第1実施形態におけると同様に動作する。また、期間E、期間F、期間Gにおいては、各部は第2実施形態におけると同様に動作する。そして、期間Eは、Vth補正期間において、すでに、トランジスタTr1の閾値電圧Vthのばらつきを補正した後の状態である期間Cに続く部分である。また、第3実施形態の制御方法は、別の観点から見ると、第1実施形態の制御方法における期間Dにおいて、出力トランジスタの移動度補正期間(第2実施形態の期間の期間F)を設けるようにしたものと言うこともできる。
第3実施形態の制御方法では、バッファ最終段部における出力トランジスタの閾値のばらつき及び出力トランジスタの移動度のばらつきの影響が各々のトランジスタ毎に補正されているので、出力トランジスタの閾値のばらつき及び出力トランジスタの移動度のばらつきが、画素回路の回路動作に影響を与えることはない。よって、さらに、高い画質を有する表示装置を得ることができる。
また、上述した第1実施形態の制御方法ないし第3実施形態の制御方法の説明においては、バッファ最終段部が画素回路を介して駆動をする発光素子が、有機EL素子である場合について説明した。有機EL素子を用いる場合には、電流駆動型の画素回路を用いるために、画素回路のドライブトランジスタの移動度のばらつきを補正することによって得られる画質向上の効果が顕著である。このような場合において、出力トランジスタからのライト走査パルスのパルストランジェントを正確に管理する実施形態の改善形態のバッファ最終段部は、極めて高い効果を有するものである。しかしながら、この実施形態の改善形態のバッファ最終段部は、発光素子が液晶素子である場合の液晶表示装置(LCD)に用いても、効果を有するものである。液晶表示装置の画素毎に設けられた画素回路では、一般的には電流駆動型は採用されないので、その効果は有機EL素子を用いる場合ほど顕著ではない場合が多いが、液晶表示装置では、ライト走査パルスの波形を、穏やかな立ち上がり、立ち下がり特性を有するように意図的にして、所謂、カップリングコンデンサを介して生じる悪影響を排除する手法が用いられる場合もある。特に、このような場合においては、トランジェントばらつきを補正する改善形態のバッファ最終段部は、高い効果を有するものである。
また、サンプリングトランジスタのゲートに印加されるライト走査パルスWSは、その立下りのパルストランジェントを利用して移動度時間補正を行っているので、上述したように、厳密にパルストランジェントを管理する必要があり、この点から、ライトスキャン回路に改善形態に示すようなバッファ最終段部を用いるのが効果的であった。しかしながら、バッファ最終段部において生じる閾値電圧のばらつき、又は、閾値電圧のばらつき及び移動度のばらつきの影響は、より少ない影響とは言えドライブ走査パルスDSにも及ぶものであるので、ドライブスキャン回路に実施形態の改善形態のバッファ最終段部を用いることによって、さらに、表示装置の画質の改善を図ることができる。
上述した実施形態の表示装置では、特に、改善形態のライトスキャン回路におけるバッファ最終段部の構成を有することによって、バッファ最終段部の出力トランジスタで発生する閾値電圧のばらつき、移動度のばらつきを補正して、パルストランジェントのばらつきのないライト走査パルスを得ることができる。このような、ばらつきの少ないパルストランジェントを有するライト走査パルスによって画素回路が制御されることによって、良好なる画質の表示装置を実現することができる。
また、表示装置の小型化、薄型化のために、ライトスキャン回路が、薄膜トランジスタとして形成される場合においては、バッファ最終段部の出力トランジスタの特性のばらつきが大きく、このような場合に、上述した改善形態のライトスキャン回路は特別に大きな効果を発揮するものである。また、ライトスキャン回路の制御部が、第1アナログスイッチ素子ないし第3アナログスイッチ素子の導通と切断との状態を制御して、出力トランジスタの特性のばらつきを補正する手順は、表示装置に応じて種々に組み合わせることが可能であり、改善形態のライトスキャン回路は良好なる適応性を有するものである。
実施形態の有機EL素子を用いた表示装置の全体のブロック図を示す。 実施形態の画素回路の構成を示す図である。 実施形態の画素回路を制御する各々の信号をタイミングチャートとして示す図である。 実施形態のライトスキャン回路の一部を示す図である。 実施形態のバッファ最終段部の動作を説明するための図である。 実施形態の画素回路における信号WSとドライブ走査パルスDSの波形の各々を示す図である。 水平セレクタ回路からの輝度信号の電圧と最適なる移動度補正時間との関係を示すグラフである。 別の実施形態のライトスキャン回路の一部を示す図である。 別の実施形態のライトスキャン回路の各部の信号を示す図である。 別の実施形態のライトスキャン回路のバッファ最終段部を拡大して示す図である。 バッファ最終段部の動作を説明する第1実施形態の制御方法に係るタイミングチャートである。 バッファ最終段部の第1実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第1実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第1実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第1実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第2実施形態の制御方法に係るタイミングチャートを時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第2実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第2実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第2実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第2実施形態の制御方法に係るアナログスイッチ素子の動作を時系列で説明する図である。 バッファ最終段部の第3実施形態の制御方法に係るタイミングチャートを時系列で説明する図である。 背景技術のアクティブマトリクス方式の画像表示装置の構成を示す図である。 背景技術のアクティブマトリクス方式の画像表示装置の構成をより具体的に示す図である。 背景技術の画素回路を示す図である 背景技術の閾値電圧を補正するとともに、各々の階調毎に最適な移動度補正時間を設定するための各々の信号のタイミングチャートを示す図である。
符号の説明
11 サンプリングトランジスタ、 12a ライトスキャン回路、 20、21、22 NANDゲート、 30 有機EL素子、 101 水平セレクタ回路、 102 垂直スキャン回路、 102a、12a ライトスキャン回路、 102b ドライブスキャン回路、 103 制御回路、 103a 制御回路、 103b 制御回路、104 画素部、110 画素回路、120 バッファ最終段部、 AZ1、AZ2 走査パルス、 AZL1、AZL2 走査パルス線、 AZX、AZXENB、CK、DS、Gate、IN、OUT、S/R出力 信号、 Vsig 輝度信号、Cs 保持容量、 C、Cd、Coled 容量、 DS 走査パルス、 DSL、WSL 走査パルス線、 DTL 信号線、 Ids、Idsw 駆動電流(電流)、 N101、N102 接続点、 PVcc、PVccv、PVss、PVss1、PVss2 電源、 R、Rd 抵抗、 TFT 低温ポリシリコン、 Tr1、Tr2、Tr4、Tr11、Tr12、Tr13、Tr14、Tr15 トランジスタ、 Vccv、Vccmn、Vccmx、Vccmx、Vel、Vgs、Vss、Vss1、Vss2、Vg、Vs 電圧、 Vth、Vthel 閾値電圧、 WS 信号(走査パルス)、 μ 移動度

Claims (4)

  1. 一の方向と他の方向とに複数個に細分化されて配置される各々の画素素子と、
    輝度信号とドライブ走査パルスとライト走査パルスとが入力されて前記各々の画素素子を駆動する各々の画素回路と、
    前記一の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記輝度信号を供給するセレクタ回路と、
    前記他の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記ドライブ走査パルスを供給するドライブスキャン回路と、
    前記他の方向に相互に接続される前記各々の画素回路に対して前記ライト走査パルスを供給するライトスキャン回路と、
    を備える表示装置であって、
    前記画素回路は、
    前記画素素子に流れる駆動電流の大きさを制御するドライブトランジスタと、
    前記ドライブトランジスタの移動度に応じたドライブトランジスタ移動度電圧を保持して前記ドライブトランジスタのゲートにフィードバックをするための保持容量と、
    前記ドライブ走査パルスによって開始し前記ライト走査パルスのレベルが前記輝度信号の大きさに応じた所定値を通過することによって終了するドライブトランジスタ移動度補正期間において前記ドライブトランジスタ移動度電圧を前記保持容量に得るための回路と、を具備し、
    前記ライトスキャン回路は、
    第1電源と出力トランジスタと第1アナログスイッチ素子と第2アナログスイッチ素子と第2電源とが順に直列接続されて形成される直列接続回路と、
    前記出力トランジスタのゲートと前記出力トランジスタのソースとの間に接続される第3アナログスイッチ素子と、
    前記出力トランジスタのゲートに接続され、前記出力トランジスタ毎のゲート・ソース間の閾値電圧を保持して前記出力トランジスタのゲートにフィードバックをするための結合容量と、
    前記閾値電圧を得るために前記第1アナログスイッチ素子ないし前記第3アナログスイッチ素子の各々の導通と切断との状態を制御するとともに、前記第1電源から所望とする前記ドライブトランジスタ移動度補正期間の情報を含む電圧を出力するように制御する制御部と、を具備し、
    前記第1アナログスイッチ素子と前記第2アナログスイッチ素子との接続点から前記ライト走査パルスを得るようにした表示装置。
  2. 前記制御部は、所定期間毎に異なる制御態様を有し、
    閾値補正期間前状態においては、前記第1アナログスイッチ素子及び前記第2アナログスイッチ素子を導通するとともに前記第3アナログスイッチ素子を切断し、前記第1電源の電圧を前記出力トランジスタが通電可能となる定常電圧に変化させ、
    閾値補正期間状態においては、前記第1アナログスイッチ素子を切断するとともに前記第2アナログスイッチ素子及び前記第3アナログスイッチ素子を導通し、前記第1電源の電圧を前記出力トランジスタが通電可能となる定常電圧に維持し、
    閾値補正期間後状態においては、前記第1アナログスイッチ素子及び前記第2アナログスイッチ素子を導通するとともに前記第3アナログスイッチ素子を切断し、前記第1電源の電圧を前記出力トランジスタが通電不能となる電圧に変化させ、
    ライト走査パルス出力状態においては、前記第1アナログスイッチ素子を導通するとともに前記第2アナログスイッチ素子及び前記第3アナログスイッチ素子を切断し、前記第1電源からの電圧波形に応じたライト走査パルスを出力することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記ライト走査パルス出力状態において、前記第1電源の電圧が前記出力トランジスタを通電可能とする定常電圧を維持するときに、さらに、移動補正期間状態を有し、
    前記移動度補正期間状態では、前記第1アナログスイッチ素子及び前記第2アナログスイッチ素子を切断するとともに前記第3アナログスイッチ素子を導通することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記出力トランジスタと前記第1アナログスイッチ素子と前記第2アナログスイッチ素子と前記第3アナログスイッチ素子とが、薄膜トランジスタとして形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
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JP5191539B2 (ja) * 2009-11-19 2013-05-08 パナソニック株式会社 表示パネル装置、表示装置及びその制御方法

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