JP2009069486A - 液晶光学素子 - Google Patents

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【課題】透明基板にフレネルレンズ面を有する液晶光学素子において、液晶層の場所による屈折率の差を小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の液晶光学素子は、第1の透明基板1と第2の透明基板5とで、液晶層6を挟持する。第1の透明基板1には、レンズ面が同心円状に分割され、分割された各レンズ面が段差を介して接続されたフレネルレンズ面11が形成される。第2の透明基板5は平面形状を有する。第1の透明基板1のフレネルレンズ面11には、第1の電極2が設けられ、第2の透明基板5には、第2の電極4が設けられる。第2の電極4は、フレネルレンズ面11の刃形状であるブレーズと向かい合った各ブレーズ投影領域に、それぞれ分割された電極(分割電極部)を備える。各分割電極部は、対応する各ブレーズにおいて深さが半分になる半径位置で同心円状に分割された2つの電極からなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶光学素子に関し、特に光ディスク装置、カメラ、顕微鏡、めがね等の光学装置において焦点距離の調整用に用いられる液晶レンズに関する。
従来、液晶を用いた光学素子として、印加する電圧により焦点距離を制御することができる液晶レンズが知られている。方式として平板の透明基板に輪帯形状の電極を形成したものや、透明基板に凸レンズや凹レンズのレンズ形状を持たせたものがある。前者の輪帯形状電極を有するものは、電圧の印加方式を変えるだけで凸レンズにも凹レンズにもなり、使う上で利便性が高いが、液晶の複屈折率と液晶層の厚みの制約からレンズパワーが大きくとれない。
後者の透明基板にレンズ形状を有するものは、凸レンズや凹レンズ形状の透明基板上への形成を、安価に行うことができない。しかし、フレネルレンズ形状の透明基板上への形成は、近年のナノインプリント技術を用いると比較的安価に行うことが可能であり、基本的に凸レンズや凹レンズと同等の性能を実現することが可能である。
ここで、上述した透明基板にフレネルレンズ形状を有する液晶レンズに関して従来技術を説明する。
特許文献1には、フレネルレンズ面と液晶層とを組み合わせて、電界印加により液晶の配向を変化させ、それによりフレネルレンズ面による回折効果の有無を切替えて焦点距離を変化させる偏光選択性をもつ液晶レンズ、およびこの液晶レンズを用いた光ヘッド装置の発明が記載されている。
また、特許文献2には、一方の透明基板に電極が設けられ、その上にフレネルレンズ面が形成され、他方の平らな透明基板とで液晶層を狭持した構成の液晶光学素子の発明が記載されている。
特開平9−230300号公報(第4頁、図1−3) 特開2007−73088号公報(第5頁、図1)
しかし、透明基板にフレネルレンズ形状を有する液晶レンズの従来技術では、次のような問題がある。
特許文献1に記載の液晶レンズでは、フレネルレンズ面上に形成された電極により液晶層に電圧が印加される。しかし、フレネルレンズ面の形状により、液晶層の厚みが半径方向に置いて変化するため、電圧を印加した際に半径方向で電界強度の異なる箇所が生じる。これにより、場所により液晶層の屈折率の差が生じ、レンズとして収差の原因になる問題がある。
また、特許文献2によれば、電極がフレネルレンズ面の下側に形成される例が開示されており、このような構成では電極間の距離は半径方向において一定である。しかし、フレネルレンズの形状を例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂で形成したとすると、それらの樹脂の誘電率は液晶の誘電率と比較してかなり小さいので、実際に液晶部分にかかる電界強度は一定でなく、フレネルレンズの形状に依存した電界強度分布を持ってしまうことにな
る。したがって、場所により液晶層の屈折率の差が生じ、レンズとして収差の原因になる問題がある。
そこで、この発明は上述した従来技術による問題点を解消し、液晶層の場所による屈折率の差を小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることを可能とする液晶光学素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決して目的を達成するため、本発明の液晶光学素子は、基本的に下記記載の構成を採用するものである。
本発明にかかる液晶光学素子は、同心円状にレンズ面が分割され、分割された各レンズ面が段差を介して接続されたフレネルレンズ面を有し、フレネルレンズ面上に第1の電極が設けられた第1の透明基板と、平面を有し、平面上に第2の電極が設けられた第2の透明基板と、第1の透明基板のフレネルレンズ面と、第2の透明基板の平面との間に挟持された液晶層と、を備えた液晶光学素子において、第1の電極または第2の電極の少なくとも一方が、フレネルレンズ面の分割された各レンズ面に応じた位置で同心円状に分割された、複数の分割電極部として構成され、各分割電極部は、さらに同心円状に分割された複数の電極から成ることを特徴とするものである。
また、本発明にかかる液晶光学素子は、各分割電極部は、同心円状に分割された同数の電極を有し、各分割電極部における中心からの順番が同じそれぞれの電極に、等しい駆動電圧が印加されることを特徴とするものである。
本発明の液晶光学素子では、フレネルレンズ面の形状により液晶層の厚みが半径方向において変化する箇所に、同心円状に分割された複数の電極により電圧を印加する。よって、各電極に液晶層の厚みに応じた電圧をそれぞれ印加することで、液晶層に印加される電界強度の半径方向による差を小さくすることができる。これにより、液晶層の場所による屈折率の差を小さくすることができる。
本発明の液晶光学素子によれば、液晶層の場所による屈折率の差を小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることが可能となる。
以下に図面を参照して、この発明にかかる液晶光学素子の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶光学素子の概略を示す断面図である。
本発明の液晶光学素子は、第1の透明基板1と第2の透明基板5とで、液晶層6を挟持した構成を備える。第1の透明基板1は、レンズ面が同心円状に分割され、分割された各レンズ面(分割レンズ面11a)が段差を介して接続された形状のフレネルレンズ面11が形成されている。ここで、フレネルレンズ形状の、分割レンズ面11aを含む一つ一つの刃形状をブレーズと呼ぶ。
フレネルレンズ面11は直接透明基板に金型の形状を転写するか、または透明基板に樹脂を塗布した後に金型の形状を転写するか、射出成型により作成することが可能である。
フレネルレンズ面11上にはレンズ有効径領域に透明電極材料で第1の電極2が形成されている。透明電極材料とはレンズ作用を期待する光の波長範囲において透過率が高い材料で、可視光範囲であればインジウム・スズ酸化物(以下ITOと略す)などが用いられる。
通常スパッタなどで電極が形成されるが、各ブレーズのエッジにおいて膜が分断され導通不良を起こしてしまう場合には、半径方向に複数のブレーズを横断する直線的な溝を形成しておくと複数のブレーズ間での確実な導通が確保される。溝はエッジを丸める程度の曲率をもった波状の溝であればよく、彫り込んで平坦な溝にする必要はない。
さらに第1の電極2の上には液晶を配向させるための配向膜3が形成されている。配向膜3にはポリイミドなどが用いられる。ポリイミドは焼成した後にラビング処理を行い、液晶にプレチルト角をもつようにする。
第1の透明基板1に対向する位置関係に、平面10を有する第2の透明基板5がある。第2の透明基板5の平面10上には複数の領域に分割された第2の電極4を形成する。第2の電極4の上には第1の透明基板1と同様に配向膜3が形成され、ラビング処理が施される。
ラビング処理された第1の透明基板1と第2の透明基板5が対向して配置され、その間に液晶層6が存在している。液晶層6は、シール部材7により封止されている。また液晶層6の厚みはガラスファイバーなどのスペーサによりある設定された寸法に管理される。
次に、第2の透明基板5の平面10上に形成した第2の電極4に関して説明する。第2の電極4も第1の電極2と同様にITOなどがスパッタによって成膜されるが、その後でフォトリソグラフィの技術を用いてパターン形成が行われる。
液晶層に電界を発生させるために、対向する位置にある2つの電極が平行平板とみなせるならば、発生する電界は一様な強度となり、分布は持たない。しかし、本実施の形態のようにフレネルレンズ面11を形成した透明基板1の上に電極を形成すると、平行平板ではなくなり、各分割レンズ面11aの形状、各分割レンズ面11aの間の段差(以後サグと呼ぶ)に対応した液晶層の厚み分布が生じることになる。すなわち、フレネルレンズ面11上に分割されていない一様な電極、いわゆるベタ電極を形成した場合、対向する電極との間に生じる電界の強度は一様でなくなり、場所により電界の強度に差が生じることになる。
図1の断面図において、例えば、サグを7μmとし、サグを含めた液晶層の最も薄いところは間隔を13μmとし、サグを含めた液晶層の最も厚いところの間隔を20μmとする。
このとき第1の電極2と第2の電極4の間に10[V]を印加すると、電界強度は、13μmに対しては7.7×105[V/m]となり、間隔20μmに対しては5×105[V/m]である。よって、液晶層の最も薄いところと厚いところとで、電界強度に2.7×105[V/m]の差があることになる。
液晶の複屈折率は電界強度に依存するので、フレネルレンズの形状に依存した電界強度分布により、場所により液晶層の屈折率の差が生じ、レンズとして収差の原因になる問題がある。
サグの大きさを液晶層の厚みに対して相対的に小さくすれば上述の電界強度の差を小さくすることは可能であるが、液晶層の厚みを厚くすることは液晶の応答速度を遅くすることにつながり、また、サグを小さくすることはレンズとしてのレンズパワーを小さくすることになり、いずれにせよ電気光学的な可変焦点レンズに要求される性能を低下させることになるので好ましくない。
そこで、本発明の液晶光学素子では、ブレーズの半径方向において液晶層に異なる分布を持った電圧を印加することにした。すなわち、液晶層の厚い所には大きな電圧を印加し
て、液晶層の薄い所には小さい電圧を印加することにした。
このため、本発明の液晶光学素子では、第2の電極4を、フレネルレンズ面11に合わせて同心円状に分割された、円形の中心部電極と、中心部電極の周囲に同心円状に設けられた輪帯形状の複数の輪帯電極とを有する構成とした。
図2は、第2の電極4の構成を説明するための図である。以下の説明では、第1の透明基板1のフレネルレンズ面11のブレーズの数を4とし、各ブレーズに対して、2つの分割された電極を、第2の電極4が有する例を示す。ここで、第2の電極4上の、フレネルレンズ面11の各ブレーズと向かい合う領域(各ブレーズが投影された領域)をブレーズ投影領域と呼ぶ。
第2の電極4は、各ブレーズと向かい合った各ブレーズ投影領域で、第2の透明基板5の平面10上にそれぞれ分割された電極(分割電極部)として構成される。各分割電極部は、対応する各ブレーズにおいて深さが半分になる半径位置で、同心円状に分割された2つの電極からなる。
その結果、第2の電極4は、2つの分割された電極を有する、4つの分割電極部を備えて構成される。各分割電極部を中心から1,2,3,4と振り、各分割電極部を2分割したものを中心に近い側からa、bと呼ぶことにし、輪帯電極を中心から順にA1a、A1b、A2a、A2b、A3a、A3b、A4a、A4bと呼ぶことにする。
ブレーズ内で中心寄りの輪帯電極A1a、A2a、A3a、A4aは、外側よりの輪帯電極A1b、A2b、A3b、A4bに比べ厚い液晶層に対応する。このため、それぞれの輪帯電極上の液晶層の平均的な屈折率が等しくなるようにするには、輪帯電極A1b、A2b、A3b、A4bより、輪帯電極A1a、A2a、A3a、A4aに高めの電圧を印加すればよい。
ブレーズ投影領域を2分割したところの液晶層の厚みは、20−(7/2)=16.5μmとなり、10[V]を印加すると電界強度は6.1×105[V/m]となる。そこで、輪帯電極A1a、A2a、A3a、A4aに10[V]を印加する時は、20μmの厚みと16.5μmの厚みのところで電界強度が5×105[V/m]になるように、10[V]に液晶層の厚みの逆比(16.5/20)を乗じて計算された電圧8.25[V]を輪帯電極A1b、A2b、A3b、A4bに印加する。
これにより、前述した第2の電極4がベタ電極のときに比べ電界強度分布の幅を小さくすることができる。ベタ電極の時には電界強度の差は2.7×105[V/m]であったものが、1.1×105[V/m]と差が半分以下になる。
すなわち、本発明の液晶光学素子では、各電極に液晶層の厚みに応じた電圧を各電極に印加することで、液晶層に印加される電界強度の半径方向による差を小さくすることができる。これにより、液晶層の場所による屈折率の差を小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることが可能となる。
図3は、第2の電極4の各分割電極部のレイアウトを示す説明図である。輪帯電極A1a、A2a、A3a、A4aに等しい駆動電圧、輪帯電極A1b、A2b、A3b、A4bに等しい駆動電圧をそれぞれ印加するために各輪帯電極は完全に閉じた円形ではなく、一部が欠けた形状で、輪帯電極A1a、A2a、A3a、A4aは引出線A20において接続されている。同様に輪帯電極A1b、A2b、A3b、A4bは引出線B21において接続されている。このようにすることにより、電圧を印加するための引出線の本数を最小限に留めることが可能になる。このとき各輪帯電極は1つおきに同じ駆動電圧が印加されることになる。
上述した本発明の実施例では、各ブレーズ投影領域の各分割電極部を2分割した例を説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、各ブレーズ投影領域の各分割電極部を3分割、4分割と、同心円状により多くの電極に分割し、各分割電極部における中心からの順番が同じ電極に、等しい駆動電圧を印加することにより、液晶層に印加される電界強度の半径方向による差をより小さくすることができる。これにより、液晶層の場所による屈折率の差をより小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることが可能となる。
ただし、各分割電極部を3以上に分割すると、より多くなる輪帯電極を図3に示すような少ない引出線数で、かつ1層のみでレイアウトすることが不可能になってくる。3分割以上のn分割では引出線数をnとするためには少なくとも2層の電極層が必要なる。もしくは電極層を1層で済ますには輪帯電極の数だけ引出線を出すようなレイアウトとする必要がある。
ブレーズ投影領域を2分割した場合でも図3に示すようなレイアウトにせず、完全に閉じた輪帯電極の層と引出線の層を分離した2層構造にしてもよいことは言うまでもない。
特に限定しないが、一例としてフレネルレンズ面11の有効エリア径は例えばφ1.5mmである。また輪帯電極A1a、A1b、A2a、A2b、A3a、A3b、A4a、A4bの間にある空間の幅は、例えば3μmである。また、液晶は例えばネマティック液晶であり、印加する駆動電圧の周波数は例えば1kHzである。また、液晶の配向方法には、ホモジニアス(水平)配向、ホメオトロピック(垂直)配向が可能である。
上述した本発明の液晶光学素子の実施例では、第2の透明基板5上の第2の電極部4が、フレネルレンズ面11の各分割レンズ面11aに応じた位置に分割電極部を有する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の透明基板1のフレネルレンズ面11上の第1の電極部2が、フレネルレンズ面11の各分割レンズ面11aに応じた位置に分割電極部を有するとしてもよい。
第1の透明基板1の第1の電極部2が、分割電極部を有する構成であっても、各電極に液晶層の厚みに応じた電圧を各電極に印加することで、液晶層に印加される電界強度の半径方向による差を小さくすることができる。これにより、液晶層の場所による屈折率の差を小さくして、レンズとしての収差を抑え、所望のレンズ特性を得ることが可能となる。
また、本発明の液晶光学素子の実施例では、各ブレーズの高さが一定である例を示したが、必ずしも一定になっていなければならないわけではない。フレネルレンズ面の設計において外周側に向かってブレーズ高さが増大する場合もあり得るが、その場合においても分割電極部を有する構成は電界強度の半径方向による差を小さくする効果がある。
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した寸法や特性値などの値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、液晶の種類もネマティック液晶に限定されるものではない。
本発明にかかる液晶光学素子の断面図である。 ブレーズ投影領域を2分割する方法を説明するための図である。 本発明にかかる液晶光学素子の分割電極部のレイアウトを説明する図である。
符号の説明
1 第1の透明基板
2 第1の電極
3 配向膜
4 第2の電極
5 第2の透明基板
6 液晶層
7 シール部材
10 平面
11 フレネルレンズ面
11a 分割レンズ面
20 引出線A
21 引出線B

Claims (2)

  1. 同心円状にレンズ面が分割され、分割された各レンズ面が段差を介して接続されたフレネルレンズ面を有し、前記フレネルレンズ面上に第1の電極が設けられた第1の透明基板と、
    平面を有し、前記平面上に第2の電極が設けられた第2の透明基板と、
    前記第1の透明基板の前記フレネルレンズ面と、前記第2の透明基板の前記平面との間に挟持された液晶層と、を備えた液晶光学素子において、
    前記第1の電極または前記第2の電極の少なくとも一方が、前記フレネルレンズ面の分割された各レンズ面に応じた位置で同心円状に分割された、複数の分割電極部として構成され、
    前記各分割電極部は、さらに同心円状に分割された複数の電極から成る
    ことを特徴とする液晶光学素子。
  2. 前記各分割電極部は、同心円状に分割された同数の電極を有し、
    前記各分割電極部における中心からの順番が同じそれぞれの電極に、等しい駆動電圧が印加される
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶光学素子。
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