JP2009068972A - 回転振れ及び形状測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被測定円筒1の回転時の円周振れ,軸振れ及び傾斜運動などの回転誤差,及び真円度形状などの形状誤差を一台の装置で測定可能とする。
【解決手段】被測定円筒1の所定の半径方向断面を測定対象とし、この所定の半径方向断面における互いに異なる三方向の半径方向変位を光学的に検出する半径方向変位検出ユニット2を前記被測定円筒1の所定の二断面に夫々配置し、前記被測定円筒1の軸方向変位を光学的に検出する軸方向変位ユニット3を前記被測定円筒1の軸端部に配置し、前記二つの半径方向変位検出ユニット2により検出した被測定円筒1の前記所定の二断面における半径方向変位データと前記軸方向変位検出ユニット3により検出した被測定円筒1の軸方向変位データとに基づいて、被測定円筒1の回転時の半径方向振れ,軸方向振れ,傾斜運動などの回転誤差と、この被測定円筒1の形状誤差とを算出し得る演算処理部を備えた構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】被測定円筒1の所定の半径方向断面を測定対象とし、この所定の半径方向断面における互いに異なる三方向の半径方向変位を光学的に検出する半径方向変位検出ユニット2を前記被測定円筒1の所定の二断面に夫々配置し、前記被測定円筒1の軸方向変位を光学的に検出する軸方向変位ユニット3を前記被測定円筒1の軸端部に配置し、前記二つの半径方向変位検出ユニット2により検出した被測定円筒1の前記所定の二断面における半径方向変位データと前記軸方向変位検出ユニット3により検出した被測定円筒1の軸方向変位データとに基づいて、被測定円筒1の回転時の半径方向振れ,軸方向振れ,傾斜運動などの回転誤差と、この被測定円筒1の形状誤差とを算出し得る演算処理部を備えた構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、円筒状の回転体の回転振れと真円度形状の非接触同時測定を可能とする回転振れ及び形状測定装置に関するものである。
以前からオンマシン/インプロセスを考慮に入れた工具回転型工作機械等の回転誤差測定に関する研究は行なわれていた。しかし、これらの研究では評価対象となる回転誤差が半径方向や軸方向の1方向だけであり、スピンドル全体の回転誤差を評価するものではない。測定される方向の回転誤差だけが性能に影響を与える旋盤などは1方向からの測定で十分であるが、フライス盤などの平面での回転誤差が測定精度に影響を与えるような箇所に使用される場合には3次元での評価が必要となる。
これらのスピンドルの回転誤差を簡易的に測定することが可能であれば、ライン上に組み込まれている工作機械の評価が可能となるだけでなく、簡易的にスピンドルが持つ回転誤差を補正することも可能となり、応用範囲は広いと思われる。
ISO・DIS・230−7では、回転誤差に関する用語を定義するとともに推奨する回転誤差測定方法をあげている。この方法は測定対象に対して2断面の半径方向誤差運動を測定することで全体的な回転誤差運動を測定するというものである。
しかしながら測定方法は静電容量型変位センサもしくは渦電流型変位センサを用いた2点法による測定であり、これらの変位センサは測定対象の位置設定が困難であることと、2点法では回転誤差と形状誤差の分離が難しいため、オンマシン/インプロセスによる測定には向かない手法である。
本発明は、上述した現状に鑑みてなされたものであって、(1)オンマシン/インプロセスを指向する光学式仮想Vブロック方式を用いて被測定円筒の所定の半径方向断面を測定対象として回転誤差測定を行い、その測定結果に基づいて被測定円筒の回転誤差と形状誤差とを分離して算出でき、(2)更に被測定円筒の所定の二断面において回動誤差測定を行うことで傾斜運動誤差も測定・算出でき、(3)更に被測定円筒の軸方向振れも非接触で測定・算出でき、これにより全方向の振れ評価を可能とするなど、従来にない画期的で極めて実用性に秀れた回転振れ及び形状測定装置を提供するものである。
更に例えばこの装置を用いて長時間測定を行うことにより被測定円筒やこの被測定円筒を保持した工作機械の熱変形や振れ変動を測定・算出することも可能とする画期的な回転振れ及び形状測定装置を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
円筒状若しくは円柱状の被測定円筒1の回転時の回転振れ,及び形状を測定する装置において、前記被測定円筒1の所定の半径方向断面を測定対象とし、この所定の半径方向断面における互いに異なる三方向の半径方向変位を光学的に検出する半径方向変位検出ユニット2を備えると共に、前記被測定円筒1の所定の二断面を測定対象としてこの二断面に夫々この半径方向変位検出ユニット2を配置し、前記被測定円筒1の軸方向変位を光学的に検出する軸方向変位ユニット3を前記被測定円筒1の軸端部に配置し、前記二つの半径方向変位検出ユニット2により検出した被測定円筒1の前記所定の二断面における半径方向変位データと前記軸方向変位検出ユニット3により検出した被測定円筒1の軸方向変位データとに基づいて、被測定円筒1の回転時の半径方向振れ,軸方向振れ,傾斜運動などの回転誤差と、この被測定円筒1の形状誤差とを算出し得る演算処理部を備えた構成としたことを特徴とする回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記半径方向変位検出ユニット2は、前記被測定円筒1の測定対象となる半径方向断面と同一面方向にして互いに異なる照射方向に三本の基準光線Lを照射する光射出部2Aと、この光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lを受光して夫々の受光量を検知する受光検知部2Bとから成り、前記光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lが夫々被測定円筒1に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部2Bに夫々受光されるように前記光射出部2Aの照射方向を設定すると共に、前記受光検知部2Bによって検知した各基準光線Lの受光量の変化から前記被測定円筒1の半径方向変位を検出し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記半径方向変位検出ユニット2は、光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lの照射方向が前記被測定円筒1の周囲を囲む三角形を呈するように前記光射出部2Aの照射方向を設定したことを特徴とする請求項2記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記軸方向変位検出ユニット3は、前記被測定円筒1の軸方向の被測定端部4に向けて基準光線Mを照射する光射出部3Aと、この光射出部3Aから照射した基準光線Mを受光してその受光量を検知する受光検知部3Bとから成り、前記光射出部3Aから照射した基準光線Mが被測定円筒1の被測定端部4に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部3Bに受光されるように前記光射出部3Aの照射方向を設定すると共に、前記受光検知部3Bによって検知した基準光線Mの受光量の変化から前記被測定円筒1の軸方向変位を検出し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記軸方向変位検出ユニット3は、光射出部3Aから前記被測定円筒1の軸方向と直交する半径方向に前記基準光線Mを照射すると共に、且つこの基準光線Mが前記被測定円筒1の被測定端部4の軸方向先端部に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部3Bに受光されるようにこの光射出部3Aの照射方向を設定したことを特徴とする請求項4記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記被測定円筒1の軸端部にして軸中心位置より軸方向に沿って突出部を設け、この突出部を前記被測定円筒1の被測定端部4として構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
また、前記演算処理部は、所定の測定時間内における前記半径方向変位検出ユニット2若しくは前記軸方向変位検出ユニット3により検出した前記被測定円筒1の半径方向変位データ若しくは軸方向変位データの時間変化量データに基づいて、被測定円筒1の所定時間連続回転時の発熱による熱変形若しくは回転振れ変動を算出する算出部を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、光学式Vブロック法と回転軸長手方向の光学式振れ測定手法との組み合わせにより
1.回転体の円周振れ、軸振れ及び傾斜運動
2.熱変形による工作機械の直交3方向姿勢変動
3.円筒物の真円度形状
をたった1台の装置により、しかも被測定円筒に非接触で尚且つオンマシン/インプロセスで測定・算出することも実現可能な極めて画期的な回転振れ及び形状測定装置となる。
1.回転体の円周振れ、軸振れ及び傾斜運動
2.熱変形による工作機械の直交3方向姿勢変動
3.円筒物の真円度形状
をたった1台の装置により、しかも被測定円筒に非接触で尚且つオンマシン/インプロセスで測定・算出することも実現可能な極めて画期的な回転振れ及び形状測定装置となる。
また、請求項7記載の発明においては、被測定円筒を所定時間連続回転させた際の発熱による熱変形や回転振れ変動も測定・算出できるより一層秀れた回転振れ及び形状測定装置となる。
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、半径方向変位検出ユニット2により被測定円筒1の所定の半径方向断面を測定対象とし、この所定の半径方向断面における前記被測定円筒1の半径方向変位を検出できる。
具体的には、例えば後述の実施例のように、半径方向変位検出ユニット2の光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lを夫々、被測定円筒1に接して一部遮光させつつ残余を受光検知部2Bに夫々受光させ、この受光検知部2Bにより受光・検知された前記各基準光線Lの受光量の変化から、この被測定円筒1の所定の半径方向断面にして前記各基準光線Lの照射方向と直交する半径方向(互いに異なる三方向)の半径方向変位を夫々検出する。
また、本発明では、この半径方向変位検出ユニット2を前記被測定円筒1の所定の二断面に夫々配置しており、よってこの所定の二断面における半径方向変位データを夫々検出できることとなる。
一方、軸方向変位検出ユニット3により被測定円筒1の軸方向変位も検出できる。
具体的には、例えば後述の実施例のように、軸方向変位検出ユニット3の光射出部3Aから照射した基準光線Mを、被測定円筒1の被測定端部4に接して一部遮光させつつ残余を受光検知部2Bに夫々受光させ、この受光検知部3Bによって受光・検知された前記基準光線Mの受光量の変化から、この基準光線Mの軸方向変位を検出する。
以上より、本発明は半径方向変位検出ユニット2により、光学式Vブロック法と同様に被測定円筒1の半径方向の三方向の半径方向変位データが得られ、このデータに基づき被測定円筒1の一断面における回転誤差と、形状誤差とを夫々分離して正確に演算処理部で算出できることとなる。
更に、二断面に設けた半径方向変位検出ユニット2により得られた半径方向変位データを併せれば、傾動運動などの回転誤差も算出できる。
また更に、軸方向変位検出ユニット3により得られた軸方向変位データを合わせれば、前記被測定円筒1の回転時の半径方向振れ,軸方向振れ,傾斜運動などの回転誤差と、この被測定円筒1の形状誤差とを夫々算出でき、形状誤差を配して回転誤差のみを正確に抽出し評価することができるから、例えば工具回転型の工作機械などの回転誤差の評価・測定に極めて有効な画期的な回転振れ及び形状測定装置となる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、工作機械スピンドルに装着した被測定円筒1に対して、所定の二断面を測定対象としてこの所定の二断面に夫々、光学式Vブロック法を適用して円周方向の変位を検出する半径方向変位検出ユニット2を配置し、更に被測定円筒1の軸方向変位を光学的に検出する軸方向変位検出ユニット3を被測定円筒1の先端に配置し、以上の変位検出ユニットにより得られた検出結果から、前記被測定円筒1の円周振れ・軸振れ・傾斜運動、熱変形による工作機械の直交三方向姿勢変動および被測定円筒1の真円度形状を算出する演算処理部とを備える回転振れ及び形状測定装置である。
具体的には、図1,2に図示したように、前記被測定円筒1の測定対象となる半径方向断面と同一面方向にして互いに異なる照射方向に三本の基準光線Lを照射する光射出部2Aと、この光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lを受光して夫々の受光量を検知する受光検知部2Bとから成り、前記光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lが夫々被測定円筒1に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部2Bに夫々受光されるように前記光射出部2Aの照射方向を設定すると共に、前記受光検知部2Bによって検知した各基準光線Lの受光量の変化から前記被測定円筒1の半径方向変位を検出し得るように構成した半径方向変位検出ユニット2を、工作機械スピンドルに装着した前記被測定円筒1の所定の二断面を測定対象としてこの所定の二断面に夫々配置する。尚、図1に図示した本実施例では、被測定円筒1に被嵌状態に配する上下一組の基盤5のうちの上側の基盤5の下面に第一の半径方向変位検出ユニット2を備え、下側の基盤5の上面(図1中では隠れた位置)に第二の半径方向変位検出ユニット2を備え、この下側の基盤5の下面には、図1に図示したように軸方向変位検出ユニット3を備えた構成である(図3参照)。
この半径方向変位検出ユニット2は、光射出部2Aから照射した三本の基準光線Lの照射方向が前記被測定円筒1の周囲を囲む三角形を呈するように前記光射出部2Aの照射方向を設定して、光学式仮想Vブロックの手法を適用したものである。
また、図1に図示したように、前記被測定円筒1の軸方向の被測定端部4に向けて基準光線Mを照射する光射出部3Aと、この光射出部3Aから照射した基準光線Mを受光してその受光量を検知する受光検知部3Bとから成り、前記光射出部3Aから照射した基準光線Mが被測定円筒1の被測定端部4に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部3Bに受光されるように前記光射出部3Aの照射方向を設定すると共に、前記受光検知部3Bによって検知した基準光線Mの受光量の変化から前記被測定円筒1の軸方向変位を検出し得るように構成した軸方向変位検出ユニット2を、工作機械スピンドルに装着した前記被測定円筒1の軸先端に配置する。
この軸方向変位検出ユニット3は、光射出部3Aから前記被測定円筒1の軸方向と直交する半径方向に前記基準光線Mを照射すると共に、且つこの基準光線Mが前記被測定円筒1の被測定端部4の軸方向先端部に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部3Bに受光されるように構成している。また、図1に図示したように、被測定円筒1の軸端部にして軸中心位置より軸方向に沿って突出部を設け、この突出部を前記被測定円筒1の被測定端部4とし、この被測定端部4に前記基準光線Mを照射することでこの被測定円筒1の軸方向変位を精度良く良好に検出し得るように構成している。
更に、本実施例では、具体的な算出方法などは下記に説明するが、所定の測定時間内における前記半径方向変位検出ユニット2若しくは前記軸方向変位検出ユニット3により検出した前記被測定円筒1の半径方向変位データ若しくは軸方向変位データの時間変化量データに基づいて、被測定円筒1の所定時間連続回転時の発熱による熱変形若しくは回転振れ変動を算出する算出部を前記演算処理部に含む構成としている。
以下、本実施例を更に具体的に説明する。
(1)測定部の構成
図1のように、被測定円筒1の所定の半径方向二断面に夫々、光射出部2Aと受光検知部2Bとの組みからなる透過光型エッジ位置検出器を三組配置して光学式仮想Vブロックを適用した半径方向変位検出ユニット2を構成している。
図1のように、被測定円筒1の所定の半径方向二断面に夫々、光射出部2Aと受光検知部2Bとの組みからなる透過光型エッジ位置検出器を三組配置して光学式仮想Vブロックを適用した半径方向変位検出ユニット2を構成している。
更に、被測定円筒1の端面突起部(被測定端部4)付近には、光射出部3Aと受光検知部3Bとから成る一組の透過光型エッジ位置検出器を配置して軸方向変位検出ユニット3を構成している。各透過光型エッジ位置検出器の光射出部2A,3Aの基準光線L,Mの光源はレーザービームを使用し、受光検知部2B,3Bとしてのフォトダイオードによって受光量を検出する。レーザーは散乱や回折によって他のディテクタに光が入り込む事を避けるためにディテクタ同士を隣り合わせで設置しないようにする。
(2)光学式仮想Vブロック方式の測定原理
図4に光学式仮想Vブロック方式を用いた半径方向誤差運動の測定方法の概要を示す。図4において、光学式仮想Vブロックを構成する変位計R,Lで観測される変位をそれぞれSR,SL、また、変位計Uで観測される変位をSUとする。これらの変位には形状誤差成分rR,rL,rU及び回転誤差成分δR,δL,δUが含まれる。このとき、変位計Uから仮想Vブロックの谷までの変位計変位方向の距離Eは下記式(数1)で示される。
図4に光学式仮想Vブロック方式を用いた半径方向誤差運動の測定方法の概要を示す。図4において、光学式仮想Vブロックを構成する変位計R,Lで観測される変位をそれぞれSR,SL、また、変位計Uで観測される変位をSUとする。これらの変位には形状誤差成分rR,rL,rU及び回転誤差成分δR,δL,δUが含まれる。このとき、変位計Uから仮想Vブロックの谷までの変位計変位方向の距離Eは下記式(数1)で示される。
図5に測定値より回転誤差成分と形状誤差成分を分離する概要を示す。上部変位計の光束と真円度プロファイルの接点から光学式仮想Vブロックの谷までの法線方向の距離Eは両者の相対的な位置関係によって決まるものであり、回転中心がどの様に移動しても変化しない。それは変位計の設置角α,β、及び形状誤差成分rR,rL,rUによってのみ変化する。従ってEは回転誤差成分δの影響を受けない。
このことから、光学式仮想Vブロック方式における回転誤差成分δの間には、次の関係がある事が分かる。
これより上記式(数1)の右辺第2項が0となり、回転誤差を考慮に入れてもEには回転誤差成分が含まれない。
被測定円筒1の半径方向誤差運動はEより真円度プロファイルを測定し、下記式(数3)によって求めることが出来る。
このようにして形状誤差による影響を分離し、半径方向誤差運動のみを取り出すことが出来る。
(3)調和解析による補正
このようにして得られるEは、山数別に拡大係数と呼ばれる倍率によって拡大されているとともに、山数別に位相差を伴っている。これを補正するためにフーリエ級数展開を行った後、空間周波数ごとに拡大係数で除算を行い、位相差を補正して真円度プロファイルを得る。この一連のデータ解析法を調和解析と呼ぶ。
このようにして得られるEは、山数別に拡大係数と呼ばれる倍率によって拡大されているとともに、山数別に位相差を伴っている。これを補正するためにフーリエ級数展開を行った後、空間周波数ごとに拡大係数で除算を行い、位相差を補正して真円度プロファイルを得る。この一連のデータ解析法を調和解析と呼ぶ。
Eは回転誤差成分を含まない事が分かっているため仮想Vブロック法は図6に示すような構成となる。ここで、rUは被測定円筒1の回転中心から変位計までの距離、rR,rLはそれぞれ被測定円筒1の回転中心から仮想Vブロックの右辺,左辺までの距離である。
仮想Vブロックは挟み角αで設置し、被測定円筒1上方に垂直からの傾き角βの角度で変位計を設置する。このとき変位計から仮想Vブロックの谷までの変位計変位方向の距離Eは下記式(数4)で与えられる。
ただし、θは被測定円筒1をVブロック上で回転させる際の回転角である。
被測定円筒1の真の形状誤差成分をr(θ)とすれば、図6におけるrU,rR,rLは下記(数5)のようになる。
2πを周期とする周期関数のフーリエ級数展開は下記式(数6)
と表される。上記式(数4)に上記式(数5,数6)を代入すると
が得られる。ここで
とおくと、上記式(数7)は下記式(数12)のように書き換えられる。
ただし、
である。
上記式(数12)からわかるように、上記式(数13)のμが拡大係数、上記式(数14)のσが位相シフトを表している。μ,σ共にα,βによって決定されるため仮想Vブロックを構成する際に任意に設定できる。
拡大係数が大きいほどその山数に対しての感度が向上するため設計時にはこれらの値を考慮に入れる必要がある。
(4)透過光型エッジ検出法
光学式仮想Vブロック方式では、測定対象の半径方向誤差運動を測定するために透過光型エッジ位置検出法を用いる。図7に透過光型エッジ検出法の概要を示す。
光学式仮想Vブロック方式では、測定対象の半径方向誤差運動を測定するために透過光型エッジ位置検出法を用いる。図7に透過光型エッジ検出法の概要を示す。
光源から射出させたビームを物体のエッジに照射し、エッジによって一部さえぎった後フォトディテクタによって受光させる。ビームのさえぎる位置によりフォトディテクタの受光量が変化する。これによって、エッジの変位をフォトディテクタの出力電圧として検出することが可能となる。
(5)傾斜誤差運動の測定
これまで述べてきた方法により一断面における回転誤差を求め、形状誤差成分を分離する方法を示した。しかし一断面の測定では半径方向誤差運動しか測定できず、回転軸に対して平行であるという仮定のもとでしか評価ができない。
これまで述べてきた方法により一断面における回転誤差を求め、形状誤差成分を分離する方法を示した。しかし一断面の測定では半径方向誤差運動しか測定できず、回転軸に対して平行であるという仮定のもとでしか評価ができない。
傾斜誤差運動を考慮に入れない場合、測定面における回転誤差と工具を取り付けた際の加工面での回転誤差は違ったものになってしまう可能性がある。このため傾斜誤差運動を含む回転誤差の測定・評価は重要であるといえる。
図8に示すようにスピンドルおよび被測定円筒1が傾きを持つ場合を考える。High,Lowの2段面において半径方向誤差運動を測定し、それより被測定円筒1の傾きを求める。High,Lowそれぞれの断面において測定された回転誤差をδH,δL、被測定円筒1取り付け面からの距離をhH,hLとおく。回転軸に対する被測定円筒軸の傾きをγTとおくと、γTは式(数15)により幾何学的に求めることができる。
(6)被測定円筒1が持つ傾きと偏心の分離方法
前節で測定された半径方向誤差運動と傾斜誤差運動は被測定円筒1が持つ傾きと偏心、スピンドルに取り付けるときの取り付け誤差を含む。スピンドルの半径方向誤差運動や傾斜誤差運動を評価する場合には、これらの影響を分離する必要がある。
前節で測定された半径方向誤差運動と傾斜誤差運動は被測定円筒1が持つ傾きと偏心、スピンドルに取り付けるときの取り付け誤差を含む。スピンドルの半径方向誤差運動や傾斜誤差運動を評価する場合には、これらの影響を分離する必要がある。
図8に被測定円筒1取り付け面における各軸の傾きの概要を、図9に被測定円筒1取り付け面における軸の傾きを示す。スピンドル軸の傾きをγS、被測定円筒1の軸をγTとする。
またスピンドルを固定し、被測定円筒1をスピンドルに対して180°回転させ取り付けたときの被測定円筒1の傾きをγ’Tとおくと、γSは幾何学的条件より、下記式(数16)によって求めることができる。
次に被測定円筒1が持つ偏心を分離する。図10に被測定円筒1取り付け面における偏心の概要を示す。被測定円筒取り付け面における被測定円筒の中心をO,偏心をδC,被測定円筒1が持つ偏心をδT,スピンドルの回転誤差をδSとおく。
また、スピンドルに対して被測定円筒を180°回転させ取り付けたときの被測定円筒1中心をO’,そのときの各値をδ’C,δ’T,δ’Sとおく。尚、図中では便宜上上下に分けて図示しているが、OとO’とは同一平面上にあるものとする。被測定円筒1取り付け面における偏心δCは図8におけるδH,δLより求めることができる。
また、δCはδTとδSの合成によって表すことができる。したがってδC及びδ’Cは下記式(数18,数19)によって表すことができる。
ここでOとO'ではスピンドルは静止したままなので、→δSは変化しない。またδ'Tは被測定円筒1を180°回転させているため、δTに対し向きが180°変化している。これにより下記式(数20,数21)が得られる。
従って、スピンドル回転誤差は下記式(数22)によって求めることができる。
これにより被測定円筒1が持つ偏心と傾きによる回転誤差を分離し、スピンドルの回転誤差を求めることができることを示した。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
1 被測定円筒
2 半径方向変位検出ユニット
2A 光射出部
2B 受光検知部
3 軸方向変位検出ユニット
3A 光射出部
3B 受光検知部
4 被測定端部
L 基準光線
M 基準光線
2 半径方向変位検出ユニット
2A 光射出部
2B 受光検知部
3 軸方向変位検出ユニット
3A 光射出部
3B 受光検知部
4 被測定端部
L 基準光線
M 基準光線
Claims (7)
- 円筒状若しくは円柱状の被測定円筒の回転時の回転振れ,及び形状を測定する装置において、前記被測定円筒の所定の半径方向断面を測定対象とし、この所定の半径方向断面における互いに異なる三方向の半径方向変位を光学的に検出する半径方向変位検出ユニットを備えると共に、前記被測定円筒の所定の二断面を測定対象としてこの二断面に夫々この半径方向変位検出ユニットを配置し、前記被測定円筒の軸方向変位を光学的に検出する軸方向変位ユニットを前記被測定円筒の軸端部に配置し、前記二つの半径方向変位検出ユニットにより検出した被測定円筒の前記所定の二断面における半径方向変位データと前記軸方向変位検出ユニットにより検出した被測定円筒の軸方向変位データとに基づいて、被測定円筒の回転時の半径方向振れ,軸方向振れ,傾斜運動などの回転誤差と、この被測定円筒の形状誤差とを算出し得る演算処理部を備えた構成としたことを特徴とする回転振れ及び形状測定装置。
- 前記半径方向変位検出ユニットは、前記被測定円筒の測定対象となる半径方向断面と同一面方向にして互いに異なる照射方向に三本の基準光線を照射する光射出部と、この光射出部から照射した三本の基準光線を受光して夫々の受光量を検知する受光検知部とから成り、前記光射出部から照射した三本の基準光線が夫々被測定円筒に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部に夫々受光されるように前記光射出部の照射方向を設定すると共に、前記受光検知部によって検知した各基準光線の受光量の変化から前記被測定円筒の半径方向変位を検出し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の回転振れ及び形状測定装置。
- 前記半径方向変位検出ユニットは、光射出部から照射した三本の基準光線の照射方向が前記被測定円筒の周囲を囲む三角形を呈するように前記光射出部の照射方向を設定したことを特徴とする請求項2記載の回転振れ及び形状測定装置。
- 前記軸方向変位検出ユニットは、前記被測定円筒の軸方向の被測定端部に向けて基準光線を照射する光射出部と、この光射出部から照射した基準光線を受光してその受光量を検知する受光検知部とから成り、前記光射出部から照射した基準光線が被測定円筒の被測定端部に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部に受光されるように前記光射出部の照射方向を設定すると共に、前記受光検知部によって検知した基準光線の受光量の変化から前記被測定円筒の軸方向変位を検出し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置。
- 前記軸方向変位検出ユニットは、光射出部から前記被測定円筒の軸方向と直交する半径方向に前記基準光線を照射し、且つこの基準光線が前記被測定円筒の被測定端部の軸方向先端部に接して一部遮光されつつ残余が前記受光検知部に受光されるようにこの光射出部の照射方向を設定したことを特徴とする請求項4記載の回転振れ及び形状測定装置。
- 前記被測定円筒の軸端部にして軸中心位置より軸方向に沿って突出部を設け、この突出部を前記被測定円筒の被測定端部として構成したことを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置。
- 前記演算処理部は、所定の測定時間内における前記半径方向変位検出ユニット若しくは前記軸方向変位検出ユニットにより検出した前記被測定円筒の半径方向変位データ若しくは軸方向変位データの時間変化量データに基づいて、被測定円筒の所定時間連続回転時の発熱による熱変形若しくは回転振れ変動を算出する算出部を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転振れ及び形状測定装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007237183A JP2009068972A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 回転振れ及び形状測定装置 |
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JP2007237183A JP2009068972A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 回転振れ及び形状測定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011043484A (ja) * | 2009-08-24 | 2011-03-03 | Toyota Motor Corp | エンジンマウントの変位量計測方法 |
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2007
- 2007-09-12 JP JP2007237183A patent/JP2009068972A/ja active Pending
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