JP2009068046A - 金属多孔質構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】より小さな数十ナノメールから数百ミクロンの構造領域においても、より大きな表面積と空隙率を与え得る内部連通性を有する金属多孔質構造体を提供する。
【解決手段】金属より成る多数の連結節4が相互に連なるように結合して内部連通性の空隙を形成しているモノリシックな多孔質構造の金属多孔質体3であって、連結節4の大きさが10nm〜1000nmである金属多孔質構造体3。一例として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる基板2を通常のナノインプリンティングリソグラフィー法により用意した。Agイオンを1×10−5mol/Lの濃度で含むアンモニア性銀イオン水溶液をスプレーにより噴霧した。このとき同時に還元剤としてグルコース水溶液をスプレーにより上記金属イオン溶液が噴霧された領域に噴霧した。しかる後、基板を風乾処理したのち60℃の温度で10分間加温し、乾燥した。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、バイオセンサ、化学反応触媒等に好適に用いられる金属多孔質構造体に関し、より詳細には、モノリシックな多孔質構造の金属多孔質構造体であって、連結節の大きさが10nm〜1000nmであり、結合節が、3nm〜20nmの一次粒子からなる2次凝集体である金属多孔質構造体に関する。
構造部に対して空隙部の比率が大きい、マクロポーラスな内部連通性を有する金属・金属酸化物の多孔質構造体は、その著しく大きな比表面積ゆえに、エポキシ反応を始めとしたさまざまな化学分野の触媒として応用されてきた。内部連通性を有する多孔質金属が基板上に形成されることで、また、多孔質構造体の最小構造スケールを更に小さくすることで、キャパシタ電極、湿式太陽電池等の電池の電極、化学センサーの電極、または電子放出源としての応用も期待される。
下記の特許文献1には、2μm程度の銀粒子が部分結着した内部連通性に優れた多孔質構造体が開示されている。これは、金属塩水溶液のデキストランペーストを大気中で熱分解することにより作製される。500から900℃の範囲で焼成温度を制御することで、結晶粒の大きさを1〜20μmにすることが可能であることが記載されている。
また、一般に、事前に金属粒子を形成しておいてから焼結することにより、極めて大きな比表面積の内部連通性を有する金属多孔質構造体もしくは金属酸化物多孔質構造体を得ることが可能である。例えば下記の特許文献2では、粉末ナノ材料を焼結して極めて微細な多孔質構造体を構築して、その構造を利用して大きな表面積を有する構造体を得る技術が開示されている。
また、下記の特許文献3には、金属イオン溶液と還元剤とをスプレーとにより同時に噴霧し、構造物表面に金属層を設けるスプレー還元鍍金法が開示されている。
特表2006−509915号公報 特表2006−509918号公報 特開平11−335858号公報
特許文献1に記載の銀多孔質構造体および特許文献2に記載のナノ粉末材料焼結体では、焼成に高温が必要であるため、支持体は、セラミックのごとき高温に耐えられる材料に限られている。従って、支持体として、一般的な合成樹脂を用いることができなかった。また、大型の寸法のものに対応するには、設備が大変高価なものとなる。また、特許文献1の多孔質構造体は、空隙率は大きいが、最小構造単位が1μm以上ある。特許文献2の多孔質構造体は、最小構造単位はサブミクロンであるが、粒子が単純に結着しているだけであるため、空隙率が大きくない。
一方、特許文献3に記載のスプレー還元鍍金法では、大寸法の構造物にも適用可能である。しかしながら、この方法は緻密な金属鏡を得るための方法にすぎず、大きな比表面積を有する金属多孔質構造体は得られなかった。
なお、比表面積とは、物体単位質量あたりの表面積、もしくは、構造体単位体積当りの表面積のことであり、内部連通性の多孔質構造体は単純な凹凸構造体に比べ著しく大きい比表面積を有する。また、構造の基本単位が小さくなれば、それに応じて比表面積は飛躍的に増大する。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、より小さな数十ナノメールから数百ミクロンの構造領域においても、より大きな表面積と空隙率を与え得る内部連通性を有する金属多孔質構造体を提供することにある。
本発明によれば、金属より成る多数の連結節が相互に連なるように結合して内部連通性の空隙を形成しているモノリシックな多孔質構造の金属多孔質構造体であって、連結節の大きさが10nm〜1000nmである金属多孔質構造体が提供される。
本発明では、前記多孔質構造の結合節は、好ましくは、3nm〜20nmの大きさの一次粒子からなる2次凝集体である。
また、本発明では、好ましくは、金属多孔質体の表面は、有機分子で単層被覆されている。
金属多孔質構造体の空隙率は、好ましくは35〜65%の範囲とされる。この範囲内とされることにより、表面積が十分に大きく、かつ導電性等も良好な金属多孔質構造体を提供することができる。
本発明のある特定の局面では、金属多孔質構造体は、基板上に金属多孔質構造体層として形成されている。
本発明では、好ましくは、前記基板の表面は高さ10〜1000nmの複数の凸部を有し、該凸部の頂点もしくはその近傍に、前記連結節のうち一部が結合されている。
本発明に係る金属多孔質構造体では、上記基板表面の凸部間のピッチは、好ましくは、10〜1000nmの範囲とされる。この範囲内である場合には、凸部において上記ピッチで複数の結合節が基板表面に結合し、配置されることになり、金属多孔質構造体の空隙率を適度な範囲とすることができる。
上記基板は、様々な材料で形成されるが、絶縁性材料からなる基板が好適に用いられ、それによって絶縁性材料からなる基板上に導電膜等として機能する金属多孔質構造体層を有する金属多孔質構造体を提供することができる。上記絶縁性材料としては、好ましくは合成樹脂が用いられ、それによって、基板表面の処理やエンボス加工等の表面形状加工を容易に行うことができるとともに、様々な形状の基板を用いた金属多孔質構造体を提供することができる。
本発明において、上記金属粒子を構成する金属は特に限定されないが、好ましくは、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Fe、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、Ti、Al、Sn及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属である。これらの金属は、錯体イオンと還元剤の混合によるナノ粒子の生成が知られており、これらの少なくとも1種の金属からなる金属粒子を基板表面に直接析出させて結合させることができる。
本発明に係る金属多孔質構造体は、金属より成る多数の連結節が相互に連なるように結合して内部連通性の空隙を形成しているモノリシックな多孔質構造の金属多孔質構造体であって、連結節の大きさが10nm〜1000nmであるため、メッキ法により形成された平坦な金属膜や凹凸がつけられた金属表面等に比べて、金属多孔質構造体の表面積を著しく大きくすることができる。特に、上記連結節の大きさが上記特定の範囲内とされているので、従来知られている連結節が1μm〜10mmの内部連通性多孔質構造体に対して、約100倍スケールが小さい。したがって、空隙率と重さを揃えて比較すると、表面積で約10000倍となる。また、モノリシックな構造であるため、電気的接続も確実に果たされ得る。
よって、本発明の金属多孔質構造体を、例えば電池の電極や化学センサーの電極として用いることにより、電極と電解液や検体との接触効率を高めることができ、それによって電池の起電力の増大及び化学センサーの感度の向上を果たすことが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態及び実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属多孔質構造体を備える金属多孔質構造体サンプルの模式的部分切欠正面断面図である。
金属多孔質構造体サンプル1では、本実施形態の金属多孔質構造体3が、基板2の表面に金属多孔質構造体層として形成されている。
上記基板2の表面には、凹凸が形成されている。上記基板2の金属多孔質構造体3が形成されている表面は、複数の凸部2a、2aを有する。
上記金属多孔質構造体3は、複数の連結節4からなる。特定の連結節4の大きさ(粒径)は、隣り合う連結節との中点全てを囲む球の直径として定義できる。連結節4の粒径は、10〜1000nmの範囲にある。
また、図1に示すように、複数の連結節4が相互に連なるように結合し、少なくともその一部において適宜合着している。さらに、複数の連結節4のうち一部は、基板2の表面の凸部2aの頂点もしくはその近傍に集中的に結合されている。それによって、モノリシックな構造をもつ、内部連通性の空隙を有する金属多孔質構造体3が形成されて金属多孔質構造体層となっている。複数の連結節4は金属多孔質構造体層の厚み方向あるいは面方向に適宜合着しているので、金属多孔質構造体3の状態として導電性を有する。すなわち、金属多孔質構造体3は電極等として用いるだけの導電性を有する。
なお、後述の製造方法により得られた金属多孔質構造体サンプル1では、図1に模式的に示すように、上記連結節4は、粒径が3〜20nm程度の一次粒子Xが多数凝集したかのような外観を呈する粒径が10〜1000nm程度の二次粒子のごとき形態であり、隣り合う連結節と一部において結着している。
更に詳しく述べるならば、これは、金属イオンの還元析出による金属粒子の形成と、有機分子による金属粒子の表面保護と、保護されない表面を成長点とする新たな金属粒子核の形成と、これらの繰り返しによる二次粒子形態の形成と、該二次粒子が還元反応における自己触媒性を発揮し、そこからの成長が選択的に助長される作用と、近接する二次粒子が一部において結着することによるモノリシック多孔質構造の発現とによって、その形態の発現機構を説明できる。
上記金属多孔質構造体3は、複数の連結節4からなるため、すなわち複数の連結節4の少なくとも一部が連なるように結合し、適宜合着しているので、金属多孔質構造体層3は多孔質構造体全体に対して内部連通する空隙Aを有する。空隙Aは、金属粒子が存在しない部分に相当し、本実施形態では、特定の体積に占める上記空隙Aの割合である空隙率は35〜65%の範囲とされている。空隙率が35%未満の場合には、金属多孔質構造体は、単に粒子がパッキングされて合着したような様相を呈し、金属多孔質構造体3の表面積が十分に大きくなり難く、また金属多孔質構造体層3を構成する材料が多くなり、コストが高くつくおそれがある。65%を越えると、構造的に脆弱になる。もっとも、本発明においては、モノリシックな構造ゆえに導電性は確保されることから、利用の目的によっては、上記空隙率は35%未満であってもよく、あるいは65%を越えていてもよい。
基板2は表面に凹凸を有するが、凸部2a、2a間のピッチは、10〜1000nmの範囲とされている。凸部2a間のピッチが10nm未満の場合には、析出する金属粒子の単位構造(一次粒子)よりも凹凸構造が小さくなるため、2次凝集により内部連通性の多孔質構造体を形成するには足場としての構造が小さすぎて意味を成さない懸念があり、また凹凸の立体形状が析出金属多孔質構造体により緻密に埋没してしまう懸念があり、1000nmを越えると、凸部の頂点の間隔が広すぎて、析出金属粒子の凝集体としての連結節の合着による多孔質構造体の形成が損なわれることがある。もっとも、界面活性剤や増粘剤、温度等の因子により一次粒子およびその二次凝集体の大きさをコントロールし得るため、本発明においては、凸部2a、2a間のピッチは10nm未満であってもよく、1000nmを越えていてもよい。凸部のピッチは、二次凝集体の大きさにより好ましい間隔が決まる。二次凝集体の大きさは、一次粒子の大きさや、金属表面の有機分子による保護と新たな還元成長の速度バランス、溶媒の分極のし易さ、温度、界面活性、金属の酸化還元電位、還元剤の種類、添加物等に影響されると考えられる。上記凸部2a、2a間のピッチは、一次粒子Xの大きさが3〜20nm程度であるため、概ね10〜1000nmの範囲とされるが、制限されるものではない。
凸部の高さは10〜1000nmが好ましく、50nmから500nmがより好ましい。凹凸の賦形の容易性から、さらに好ましくは、100nmから300nmである。
基板2は表面に凹凸を有するが、平坦な基板を用意し、該平坦な基板の表面に凹凸が形成され、基板2が用意されてもよい。ナノインプリント・リソグラフィー法等の通常のエンボス加工法や、シード粒子の吹き付けにより凹凸を作製することができる。一般に、水やアルコールといった分極性の溶媒は、固液界面において分極境界層を形成する。基板2は、分極境界層厚み程度の凹凸を有するので、電荷密度が場所毎に異なっていると推察される。結果的に、場所毎の還元環境にムラが生じ、該凸部の頂点もしくはその近傍において、優先的に金属の析出が起こり、生じる金属微粒子構造が自己触媒的に更なる金属の析出を誘導し、二次凝集体とそれらが連なるモノリシックな内部連通性の金属多孔質構造を形成しているものであろう。
基板表面には、前処理として、一般的な脱脂処理、タンニン酸等による弱い還元処理を施しておくことが好ましい。また、樹脂と金属の接着を強固なものにするためのカップリング剤として、トリアジンジチオール類による基板表面の前処理が行われることも好ましい。
上記基板2を構成する材料は特に限定されないが、好ましくは、絶縁性材料が用いられる。絶縁性材料からなる基板2を用いることにより、金属多孔質構造体層3を電極等として用いることができる。すなわち、電極を支持している支持体として基板を用い、基板上に金属多孔質構造体層からなる電極が形成された構造を本発明により提供することができる。
なお、上記絶縁性材料については、特に限定されないが、ガラス、セラミック、シリコン酸化膜、金属酸化膜、ダイヤモンド、セルロース、樹脂等が用いられ、好ましくは合成樹脂が用いられる。合成樹脂からなる場合には、凹凸を有する基板2を、既知の成形法等により容易に得ることができる。あるいは、合成樹脂からなる基板の場合、ブラストやエッチング、ディスペンス等の表面処理も容易であり、それによって、上記凹凸等を容易に付与することも可能である。
上記金属多孔質構造体を構成する金属は、特に限定されないが、様々な金属元素もしくは合金からなり、好ましくは、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Fe、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、Ti、Al、Sn及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属からなる。
多孔質構造の結合節は3nm〜20nmの1次粒子からなる2次凝集体であることが好ましい。一次粒子Xの大きさが3nm未満の場合には、金属粒子の大きさからの量子的効果や、表示領域が大きくなりすぎることによる金属的特性の消失が懸念されることとなり、一次粒子Xの大きさが20nmを越えると、析出速度と表面保護のバランスをとるためのプロセスウインドウが狭くなって大面積で一様な状態をつくることが難しくなることが懸念される。従って、一次粒子Xの大きさは3〜20nmの範囲にあることが好ましいが、制限されるものではない。一次粒子Xの大きさが3nmより小さくても、もしくは20nmより大きくてもよい。
上記特定の粒径の複数の連結節4の少なくとも一部が連なるように結合し、連結節4同士が合着し、かつ複数の連結節4のうち一部の連結節4が、基板2の表面の凸部2aの頂点またはその近傍に結合し、金属多孔質構造体3が形成されている。この場合、好ましくは、図1に略図的に示されているように、複数の連結節4が厚み方向に重なり合うように配置され、基板2の表面に結合していることが望ましい。それによって、厚みが厚い金属多孔質構造体3を得ることができる。もっとも、厚みの薄い金属多孔質構造体が望ましい場合には、複数の連結節4は、厚み方向に重なり合わないように合着されていてもよい。
図2は、図1に示した金属多孔質構造体3が形成されている具体的な例として、後述の実施例1の構造を示す電子顕微鏡写真である。ここでは、粒径100nm程度の連結節が相互に結着した空隙率50%程度のモノリシックな内部連通性の金属多孔質構造体が見られる。該金属多孔質構造体は、200nmピッチで並ぶ高さ400nmの凸部2aが賦形されている基板2上に形成されており、Agからなる粒径100nm〜200nm程度の連結節の一部が該凸部と結合されている。電子顕微鏡写真を詳細に検討すると、連結節は、粒径が約20nmの一次粒子が凝集したかのような形態であることが判る。なお、噴霧される金属イオンもしくは金属錯体イオン含有溶液として濃度10−2mol/Lのアンモニア性Agイオン水溶液を用いている。
金属多孔質構造体3の製造方法は特に限定されず、表面に凹凸を有する基板2を用意した後、基板2の表面に例えば、金属イオンもしくは金属錯体イオン含有溶液と、該金属イオンもしくは金属錯体イオンを還元する還元剤とを塗布することにより形成することができる。基板2は、金属多孔質構造体を形成後に溶解してもよい。
上記金属イオンもしくは金属錯体イオン含有溶液の溶媒としては、一般的には水が用いられるが、アルコール等を用いてもよく、これらの混合液を用いてもよい。分極性の分子からなる適宜の液体を用いることができる。好ましくは、水が用いられる。
金属イオンもしくは金属錯体イオン溶液中の金属イオン濃度及び金属錯体イオン濃度については、好ましくは、1×10−6〜1×10−3mol/Lとされる。10−6mol/L未満では二次凝集体である連結節4の形成が十分に行われない可能性が大きくなり、1×10−3mol/Lを越えると緻密な金属膜や空隙率が小さい多孔質金属となってとしまうことがある。
上記金属イオン含有溶液としては、より具体的には、例えば各金属の硫酸塩水溶液、硝酸塩水溶液、塩酸塩水溶液などが挙げられ、金属錯体イオン含有溶液としては、アンモニア錯体水溶液、シアノ錯体水溶液、ヒドロキシ錯体水溶液、ハロゲノ錯体水溶液、各種キレート溶液などを挙げることができる。水酸化ナトリウム等のアルカリ成分や緩衝作用のあるチオ硫酸ナトリウム塩、エタノール等の水素結合性溶媒やゼラチン等の増粘剤、フタロシアニン類等の色素、有機カルボン酸塩等の界面活性剤、また、通常コロイド保護に用いられる、ドデカンチオール、コリンブロミド、チオ尿酸、チオフェノールのようなチオール類、チオ硫酸ナトリウム等の亜硫酸アルカリ金属塩、アリルメルカプタン、グルタチオン等が金属表面保護の目的で添加されてもよい。
上記還元剤としては、使用する金属イオンもしくは金属錯体イオンに応じた適宜の還元剤を用いることができる。このような還元剤としては、例えば、水素化ホウ素アルカリ金属塩、水素化ホウ素4級アンモニウム(NR4)塩、ジボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類、グルコース、フルクトース、マンノース、ラクトース、マルトース、ショ糖等の糖類、デンプン、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、タンニン酸、没食子酸等の有機カルボン酸およびその塩、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾンのごときアルデヒド又はケトンのヒドラゾン類、スルホンアミドアニリン類、ヒンダードフェノール類、アルコールやポリオール、アルコールアミン、3級アミン類などを挙げることができる。
上記金属イオンもしくは金属錯体イオンを含有している溶液の塗工、及び還元剤の塗工については、適宜の塗工方法により行い得る。このような塗工方法としては、ドクターブレード法、ダイコーターを用いた塗工方法、スプレーを用いた塗工方法など適宜の塗工方法を用いることができる。塗工に際しては、上記金属イオンもしくは金属錯体イオン含有溶液と、還元剤とをそれぞれを塗工するための異なるコーティング装置を用いて同時に基板表面に塗工してもよく、一方を先に塗工した後、他方を塗工してもよい。好ましくは、スプレーが用いられる。
より好ましくは、図7に示すように、金属イオンもしくは金属錯体イオン含有溶液を第1のスプレー21により基板2の表面に塗工し、同時に、あるいはその前後に、還元剤を第2のスプレー22を用いて噴霧し、基板2の表面に付与する方法が挙げられる。スプレーを用いた噴霧・塗工方法によれば、金属イオンもくしは金属錯体イオンが基板表面に効果的に分散され、粒径3〜20nmの一次粒子が凝集したような、粒径が10〜1000nmの連結節4を容易に基板に還元析出させることができる。
この場合、多数の連結節4が、基板2の表面に結合されるため、図3(a)及び(b)に部分切欠正面断面図で示すように、基板2の表面において、粒径20nm程度の一次粒子Xとしての金属粒子が多数結合され、二次凝集体としての連結節4が形成され、相互に合着する。従って、多数の連結節4からなるモノリシックな金属多孔質構造体3が形成される。この金属多孔質構造体3は、連結節4同士が合着している部分を除いて金属多孔質構造体全体に内部連通する空隙Aを有する。
金属多孔質構造体3は、上記のような凸部2aを10〜1000nmのピッチで設けておいた場合、凸部2aの頂点もしくはその近傍に優先して金属還元が起こることによりより一層容易に形成することができる。
なお、図8は、本発明の一実施形態に係る金属多孔質構造体3の製造方法の他の例を示す部分切欠正面断面図である。ここでは、基板2の表面に、図示はしないが、予め還元剤が塗布されている。そして、1つのスプレー23を用いて、上記金属イオンもしくは金属錯体イオン含有イオン溶液が基板2の表面に塗工される。このようにして、金属イオンもしくは金属錯体イオンが基板表面に効果的に分散され、かつ還元剤との反応により、粒径が10〜1000nmの合着した複数の連結節4のうち一部の連結節4が基板2の表面の凸部2aに結合され、多孔質構造体層が形成される。
次に、具体的に実施例につき説明する。
(実施例1)
平坦な基板の一部に周期的なサブマイクロメートルスケールの微小構造がインプリントされ、該微小構造が、基底部からの高さが400nmで基底部の直径が200nmの円錐形状の凸構造が多数200nmのピッチで表面に配置されており、かつ材料がポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる基板2を通常のナノインプリンティングリソグラフィー法により用意した。Agイオンを1×10−5mol/Lの濃度で含むアンモニア性銀イオン水溶液をスプレーにより噴霧した。このとき同時に還元剤としてグルコース水溶液をスプレーにより上記金属イオン溶液が噴霧された領域に噴霧した。しかる後、基板を風乾処理したのち60℃の温度で10分間加温し、乾燥した。得られた金属多孔質構造体の表面を電子顕微鏡写真で観察した。この金属多孔質構造体層の電子顕微鏡写真を図2に示す。基板の表面に複数の連結節の一部が連なるように結合し、適宜合着している内部連通を有する金属多孔質構造体層が形成された。複数の連結節のうち一部の連結節は、基板表面の凸構造の頂点もしくはその近傍に結合されていた。
得られた金属多孔質構造体において、電子顕微鏡により連結節の粒径を測定した。結果を図2に示す。その結果、平均粒径は100nmであった。また、得られた金属多孔質構造体層の空隙率を、画像解析結果を基に求めた。その結果、空隙率は約50%であった。
電子顕微鏡写真を詳細に検討すると、100nmの連結節は、20nm程度の一次粒子が集まった二次凝集体様の構造であった。この事実を確認するために、スプレー時間を1/5で終了し、スプレーメッキ処理初期の状況で基板を水洗し、電子顕微鏡で観察した。結果を図4に示す。一次粒子は10〜20nm程度であり、成長過程で一次粒子の周辺に優先的に金属析出が起こり二次凝集体様の構造を形成しているものと推定された。なお、スプレーされる液滴は、直径の下限が10μm程度であるから、一次粒子構造は、自己組織的に発現していると推察される。
(比較例1)
表面が平坦な基板を用いたこと以外は実施例1と全く同じ条件で、銀メッキを施し、金属多孔質構造体を得た。表面の電子顕微鏡写真を図5に示す。内部連通性は確認されず、連結節の平均粒子径は10〜20nm程度であった。
(比較例2)
実施例1で用いた基板を作製したのと全く同じ金型から作製したもうひとつのPMMA基板を用いて、真空蒸着法により約30nmの厚みにAgの金膜を成膜した。このようにして基板上に金属膜が形成された構造体は、図6に示すように、電子顕微鏡で観察しても連結節は確認されず、多孔質構造は見られなかった。
本発明の一実施形態に係る凹凸を有する基板上に形成された金属多孔質構造体の模式的部分切欠正面断面図。 本発明の実施例1の凹凸領域上に形成された金属多孔質構造体の電子顕微鏡写真を示す図。 金属多孔質構造体層の連結節の形成状態を説明するための各模式的部分切欠正面断面図であり、(a)は、初期状態、(b)は、二次粒子の成長の様子を示す図。 実施例1のスプレー時間を5分の1で切りあげたときの表面の電子顕微鏡写真を示す図。 比較例1の表面の電子顕微鏡写真を示す図。 比較例2の表面の電子顕微鏡写真を示す図。 本発明の一実施形態に係る金属多孔質構造体を製造する方法を説明するための部分切欠正面断面図。 本発明の一実施形態に係る金属多孔質構造体を製造する他の方法を説明するための部分切欠正面断面図。
符号の説明
1…金属多孔質構造体サンプル
2…基板
2a…凸部
3…金属多孔質構造体
4…連結節
21…第1のスプレー
22…第2のスプレー
23…スプレー
X…一次粒子

Claims (10)

  1. 金属より成る多数の連結節が相互に連なるように結合して内部連通性の空隙を形成しているモノリシックな多孔質構造の金属多孔質体であって、連結節の大きさが10nm〜1000nmである金属多孔質構造体。
  2. 前記多孔質構造の結合節が、3nm〜20nmの1次粒子からなる2次凝集体である、請求項1に記載の金属多孔質構造体。
  3. 金属多孔質体の表面が、有機分子で単層被覆されている請求項1または2に記載の金属多孔質構造体。
  4. 空隙率が35〜65%の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属多孔質構造体。
  5. 基板上に金属多孔質構造体層として形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属多孔質構造体。
  6. 前記基板の表面が高さ10〜1000nmの範囲にある複数の凸部を有し、該凸部の頂点もしくはその近傍に、前記連結節のうち一部が結合されていることを特徴とする、請求項5に記載の金属多孔質構造体。
  7. 前記基板の表面の凸部間のピッチが、10〜1000nmの範囲にある、請求項6に記載の金属多孔質構造体。
  8. 前記基板が、絶縁性材料からなる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の金属多孔質構造体。
  9. 前記絶縁性材料が、合成樹脂である、請求項8に記載の金属多孔質構造体。
  10. 前記一次粒子が、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Fe、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、Ti、Al、Sn及びMoからなる群から選択された少なくとも1種の金属からなる、請求項2〜9のいずれか1項に記載の金属多孔質構造体。
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