JP2009068032A - 耐熱部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐久性を有する、耐熱合金基体上に基体と異種の耐熱合金を積層させてなる耐熱部材の製造方法を提供する。
【解決手段】その製造方法として、(a)耐熱合金基体上に、基体1と異種の耐熱合金粉末粒子3を、相対密度97%未満、53%以上で積層する段階と、(b)前記工程の後、積層耐熱合金層の表面近傍の気孔4を真空中で封止する段階と、(c)前記工程の後、部材に対し、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行い、積層耐熱合金層2内の気孔を消滅させ緻密化する段階を含む方法を用いる。
【選択図】図2
【解決手段】その製造方法として、(a)耐熱合金基体上に、基体1と異種の耐熱合金粉末粒子3を、相対密度97%未満、53%以上で積層する段階と、(b)前記工程の後、積層耐熱合金層の表面近傍の気孔4を真空中で封止する段階と、(c)前記工程の後、部材に対し、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行い、積層耐熱合金層2内の気孔を消滅させ緻密化する段階を含む方法を用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、耐熱合金からなる基体に、基体と異種の耐熱合金を積層させてなる耐熱部材および、その耐熱部材の製造方法に関するものである。
高温の燃焼ガスに曝されるガスタービンの耐熱部材(動翼,静翼等)には、主に、高温強度に優れたニッケル基やコバルト基の各種耐熱合金が材料として使用されている。これらガスタービンの耐熱部材は、高温高圧の燃焼ガスへの曝露と、高い熱応力や遠心応力が作用するため、運転時間の経過に伴い劣化・損傷が避けられない。従って、これらの耐熱部材は点検と補修を繰り返しながら使用される。
この中で、亀裂,摩耗,酸化腐食減肉等の補修には、母材と同系の合金を補修部に肉盛溶接によって積層する方法が用いられている。しかし、ガスタービンの耐熱部材に用いられるニッケル基やコバルト基の耐熱合金は難溶接性であり、肉盛溶接補修時の溶融凝固過程で、溶接金属中に有害相の析出や成分偏析,酸化介在物の巻き込み等を生じ、強度特性や耐食耐酸化性の低下を生じやすい。また、溶接境界部の近傍には、溶接金属と母材の希釈層や母材熱影響層等の境界層が形成され、補修による母材の溶接割れや強度低下も生じやすい。
さらに、補修に用いる合金は、母材よりも耐疲労性,耐摩耗性,耐食耐酸化性等に優れた合金を用いることが望ましいが、このような合金では、一般的に添加元素が母材よりも多くなり、母材以上に溶接が困難となることから、適用可能な合金に制約があり、補修部材は十分な特性を得られなかった。
これらを改善する方法として、コールドスプレー法を用いて耐熱部材を補修する方法が提案されている(特許文献1参照)。コールドスプレー法は、合金粒子の融点より低い温度に粒子温度を保つガス流温度を有する超音速ガス流を用い、粒子を超音速に加速して基材に衝突させ付着させる方法である。このため、基材への入熱が溶接法に比べて非常に低いという利点がある。
しかし、コールドスプレー法では粒子を高速で基材に衝突させた際の塑性流動が成膜に寄与するため、塑性流動を生じやすい比較的低強度の材料(例えば、純銅,純アルミ,純ニッケル等)では成膜が容易であるが、固溶強化や析出強化が図られ高強度化された合金材料の場合、塑性流動が生じ難くなり、緻密な皮膜を得るためには、より高速で粒子を基材に衝突させる必要があり、成膜が難しくなってしまう。
例えば、非特許文献1には、コールドスプレーで、比較的低強度な、純銅,純ニッケルでは約80%という非常に高い付着効率が得られることが示されている。一方で、同文献には、同じ成膜条件で、ニッケル基合金では約20%の付着効率しか得られず、気孔率も増加して膜質も低下することが示されている。
従って、ニッケル基やコバルト基の耐熱合金をコールドスプレーするためには、より高い粒子速度が必要となり、コールドスプレーの作動ガスとして最も高速が得られるヘリウムガスを用いることが必要となる。しかし、ヘリウムガスは高価であり、大量の作動ガスを消費するコールドスプレー法ではコストが高くなってしまうという欠点がある。
従来の技術では、ニッケル基やコバルト基の耐熱合金にコールドスプレー法を使用して、気孔率を低下させ、付着効率を上げ、望まれる耐熱部材を形成することが困難であった。
本発明は、優れた耐久性を有する耐熱合金からなる基体に、基体と異種の耐熱合金を積層させてなる耐熱部材および耐熱部材の製造方法を提供することである。
本発明の耐熱部材は、耐熱合金からなる基体と、基体と異種の耐熱合金を積層してなる耐熱合金層と有し、耐熱合金層は、結晶粒径100μm以下、かつ、相対密度97%以上で積層され、基体と耐熱合金層との接合部に生じた境界層の厚さが500μm以下であることを特徴とする。
また、耐熱合金層が、ニッケル基合金、または、コバルト基合金であることを特徴とする。
更に、本発明の耐熱部材の製造方法は、耐熱合金からなる基体に、基体と異種の耐熱合金を積層してなる耐熱合金層を形成するものであって、
(a)前記基体に、前記基体と異種の耐熱合金の粉末粒子を、相対密度97%未満,53%以上で積層する工程と、
(b)前記工程の後、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を真空中で封止する工程と、
(c)前記工程の後、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行い、前記耐熱合金層内の気孔を消滅させ、緻密化する工程と、を含むことを特徴とする。
(a)前記基体に、前記基体と異種の耐熱合金の粉末粒子を、相対密度97%未満,53%以上で積層する工程と、
(b)前記工程の後、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を真空中で封止する工程と、
(c)前記工程の後、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行い、前記耐熱合金層内の気孔を消滅させ、緻密化する工程と、を含むことを特徴とする。
また、工程(a)が、前記耐熱合金の粉末粒子が溶融しない温度に保たれた超音速ガス流を形成し、この超音速ガス流中に、前記耐熱合金の粉末粒子を投入し、前記耐熱合金の粉末粒子を、前記基体に高速で衝突させて堆積させることを特徴とする。
また、工程(b)が、
(b−1)前記耐熱合金層の表面に、気孔封止材として、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点よりも低融点の金属、または、前記金属を含む材料を接触させる工程と、
(b−2)前記気孔封止材の融点以上、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点未満の温度で、真空中熱処理を施し、前記気孔封止材を、前記耐熱合金層の表面から溶融含浸させ、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を封止する工程と、を含むことが好ましい。
(b−1)前記耐熱合金層の表面に、気孔封止材として、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点よりも低融点の金属、または、前記金属を含む材料を接触させる工程と、
(b−2)前記気孔封止材の融点以上、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点未満の温度で、真空中熱処理を施し、前記気孔封止材を、前記耐熱合金層の表面から溶融含浸させ、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を封止する工程と、を含むことが好ましい。
さらに、耐熱合金が、ニッケル基耐熱合金、または、コバルト基耐熱合金であることが好ましい。
そして、超音速ガス流を形成するガスが窒素であることが好ましい。
本発明により、優れた耐久性を有する耐熱合金からなる基体に、基体と異種の耐熱合金を積層させてなる耐熱部材および耐熱部材の製造方法を提供することができる。
本発明は、図3に示すように、耐熱合金からなる基体(耐熱合金基体)1に、基体と異種の耐熱合金を積層してなる積層耐熱合金層2が、結晶粒径100μm以下、かつ、相対密度97〜99%で積層され、さらに、耐熱合金基体1と積層耐熱合金層2との接合部に生じた境界層の厚さが50〜100μmである。
耐熱合金基体1としては、ニッケル基合金、または、コバルト基合金を用いることができる。また、積層耐熱合金層2としては、基体1と異種であって、基体1よりも耐食耐酸化性に優れたニッケル基合金、または、コバルト基合金を用いることが好ましい。
積層耐熱合金層2は、結晶粒径を100μm以下とする。これは、積層耐熱合金層2に、従来法のように、有害相の析出や成分偏析を生じることを防止するためである。
また、積層耐熱合金層2は、相対密度97〜99%で積層する。これは、相対密度が97%未満では、気孔や酸化介在物等が積層耐熱合金層2に存在し、耐食耐酸化性や強度低下を招くためである。
さらに、耐熱合金基体1と積層耐熱合金層2との接合部に生じた境界層の厚さが10μm以上,500μm以下とする。好ましくは50〜100μmである。これは、境界層の厚さが10μm未満の場合では、基体と積層耐熱合金層との間で、十分な接合強度が得られないためである。逆に、境界層の厚さが500μmを超える場合では、基体と積層耐熱合金層との間で相互拡散によって、強度低下や脆化をもたらす有害相の発生が生じやすくなるためである。
このような構成の耐熱部材を製造することは、従来法では困難である。
例えば、溶接法では、相対密度97%以上で積層することは比較的容易であるが、溶融を伴うため、積層耐熱合金層の結晶粒が凝固過程で100μm以上に成長してしまう。また、基体の溶融も伴うため、接合部の境界層では、基体と積層耐熱合金層との相互拡散が急速に進み、境界層の厚さを500μm以下にすることは難しい。
一方、コールドスプレー法では、溶融を伴わないため、積層耐熱合金層の結晶粒を100μm以下、接合部の境界層の厚さを10μm以上,500μm以下にすることは容易であるが、高強度の耐熱合金を相対密度97%以上で積層することは難しい。
このため、本形態の耐熱合金基体に、基体と異種の耐熱合金を積層してなる耐熱合金層を形成した耐熱部材は、本発明者の見出した新規な知見に基づくものである。
また、耐熱部材の製造方法としては、以下の工程を有することが好ましい。ここでは、製造方法として説明するが、耐熱部材を補修する場合にも十分に本方法を利用することができ、特に、局所的な補修が必要な場合には有効な手段である。
以下、製造方法の手順を説明する。
図1に示すように、耐熱合金基体1に、基体と異種の耐熱合金からなる粉末粒子(耐熱合金粉末粒子)3を積層する。積層状態を観察すると、相対密度53〜96%程度で積層されていることがわかる。こうして、初期の積層耐熱合金層2を形成する。
次に、図2に示すように、初期の積層耐熱合金層2の表面近傍の気孔4を、気孔封止材である封孔処理材5によって、真空中で封止する。この封孔処理材はろう材やAl皮膜である。
次に、こうした部材を、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理(材料によって異なるが、コバルト基の場合は、1120〜1140℃程度、ニッケル基の場合は1110〜1130℃程度)を行い、図3に示したように、積層耐熱合金層2の気孔を消滅させ、緻密化する。緻密化処理後の積層耐熱合金層2の表面近傍には封孔処理材と積層耐熱合金との反応層が形成される。反応層は、使用目的に応じ、不要であれば機械加工等によって除去することが可能である。あるいは、そのまま使用することも可能である。
粉末粒子3を積層する方法としては、積層する耐熱合金の粉末粒子が溶融しない温度に保たれた超音速ガス流を形成し、この超音速ガス流中に積層する耐熱合金の粉末粒子を投入し、粉末粒子を基体に高速で衝突させて堆積させる方法であれば可能であり、より具体的には、コールドスプレー法,高速ガス溶射法(HVOF)等を用いることが好ましい。
特に、積層する耐熱合金の粉末粒子が溶融・酸化しない成膜条件で、相対密度53〜96%の皮膜を形成することが可能であるが、確実に積層する耐熱合金の粉末粒子を溶融させないためには、コールドスプレー法を用いることが好ましい。
コールドスプレー法を用いる際には、超音速ガス流を形成するガスが窒素であることが好ましい。しかし、基体と積層耐熱合金層との選択によっては、窒素ガスでは、十分な成膜結果が得られない場合がある。このような場合は、超音速ガス流を形成するガスとして、窒素とヘリウムとの混合ガス、あるいは、ヘリウムガスを用いることで粒子速度を向上することも可能である。ヘリウムガスは、コールドスプレー法において、粒子速度を高めるために好適なガスであるが、窒素に比べ高価であるため、可能な限り、使用量を抑える方がコスト的に好ましい。
成膜の状態では、積層耐熱合金層は、多孔質で、十分な特性を得られないため、積層耐熱合金層の表面に、気孔封止材として、基体を形成する耐熱合金および積層耐熱合金層を形成する耐熱合金のいずれの金属よりも融点の低い、低融点の金属、または、このような金属を含む材料を接触させる。
具体的には、気孔封止材として、Al,Niのろう材等を用いることができる。これらを積層耐熱合金層の表面に接触させる方法としては、気孔封止材のコールドスプレー法や溶射法による皮膜形成,気孔封止材を含む有機バインダー等によるペースト材の塗布,箔状に成形した気孔封止材の貼付け等の方法を用いることができる。
その後、気孔封止材の融点以上、基体を形成する耐熱合金および積層耐熱合金層を形成する耐熱合金のそれぞれの融点未満の温度で、部材に対し、真空中熱処理を施し、気孔封止材を積層耐熱合金層の表面から溶融含浸させ、積層耐熱合金層の表面近傍の気孔を真空中で封止する。
さらに、部材に対し、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)処理を行い、積層耐熱合金層の気孔を消滅させ、緻密化する。
真空中で表面近傍の気孔が封止されているため、積層耐熱合金層の内部の気孔は、真空状態であり、容易にHIP処理によって消滅し、固相拡散によって冶金的に結合し緻密化することができる。
以上の製造法によって、従来法では困難であった、耐熱合金基体に、基体と異種の耐熱合金が、結晶粒径100μm以下、かつ、相対密度97%以上で積層され、さらに、耐熱合金基体と積層耐熱合金層との接合部に生じた境界層の厚さが100μm以下である耐熱部材を提供することが可能となる。
より具体的な実施例を以下に説明する。
原料粉末として、平均粒径15μmのCoNiCrAlY合金
(32%Ni−21%Cr−8%Al−0.5%Y−残部Co、重量%)
を用い、コールドスプレー法にて、Ni耐熱合金IN738
(16%Cr−8.5%Co−3.4%Ti−3.4%Al−2.6%W−1.7%Mo−1.7%Ta−0.9%Nb−0.1%C−0.05%Zr−0.01%B−残部Ni、重量%)の基体上に成膜した。
(32%Ni−21%Cr−8%Al−0.5%Y−残部Co、重量%)
を用い、コールドスプレー法にて、Ni耐熱合金IN738
(16%Cr−8.5%Co−3.4%Ti−3.4%Al−2.6%W−1.7%Mo−1.7%Ta−0.9%Nb−0.1%C−0.05%Zr−0.01%B−残部Ni、重量%)の基体上に成膜した。
成膜条件は、作動ガスに窒素ガスを用い、ガス圧力が3MPa、ガス温度が300℃、粉末供給量が10g/min、成膜距離が20mmを用いた。堆積層の厚さが3mmまで成膜を実施した。
コールドスプレー法にて堆積層を形成した後、堆積層の表面および側面に、原料粉末として平均粒径15μmのAl粉末を用い、コールドスプレー法にて厚さ約0.1mmのAl皮膜を形成した。成膜条件は、作動ガスに窒素ガスを用い、ガス圧力が2MPa、ガス温度が200℃、粉末供給量が15g/min、成膜距離が20mmを用いた。Al皮膜形成後に、1121℃×2hの真空熱処理を行い、Al皮膜を溶融させ、堆積層の表面近傍の気孔に含浸させた。
その後、温度=1120℃,圧力=193MPa(1900atm),保持時間=2hのHIP処理を行った。HIP処理後の試験片を切断して断面を調べたところ、相対密度が97%、平均結晶粒径が約50μmの緻密な堆積層が得られ、基体と堆積層の境界層の厚さは約100μmであった。なお、堆積層の表面には厚さ約0.2mmのAlと堆積層の反応層が形成されていた。この反応層は、主にNiAl、CoAlからなり、いわゆる、Al拡散コーティング(Alパック)と同様の合金層で、耐酸化性に優れることからそのまま使用した。
また、別の試験片に対し、コールドスプレー法にて堆積層を形成した後、堆積層の表面および側面に、Niろう材を塗布した。Niろう材としては、Ni−15Cr−3.5B(BNi−9相当)のペースト状のものを用いた。Niろう材を厚さ約0.2mm塗布後に、1121℃×2hの真空熱処理を行い、Niろう材を溶融させ、堆積層の表面近傍の気孔に含浸させた。
また、別の試験片に対し、コールドスプレー法にて堆積層を形成した後、堆積層の表面および側面に、Niろう材を塗布した。Niろう材としては、Ni−15Cr−3.5B(BNi−9相当)のペースト状のものを用いた。Niろう材を厚さ約0.2mm塗布後に、1121℃×2hの真空熱処理を行い、Niろう材を溶融させ、堆積層の表面近傍の気孔に含浸させた。
その後、温度=1120℃,圧力=193MPa(1900atm),保持時間=2hのHIP処理を行った。HIP処理後の試験片を切断して断面を調べたところ、相対密度が97%、平均結晶粒径が約50μmの緻密な堆積層が得られ、基体と堆積層の境界層の厚さは約100μmであった。なお、堆積層の表面には厚さ約0.3mmのNiろう材と堆積層の反応層が形成されていた。この反応層は、NiとCrの母相に硼化物が析出した合金層で、Al濃度が低く耐酸化性が低いため、機械加工によって研削除去した。
このようにして、作製した本形態の耐熱合金層を設けた試験片に対し、1000℃×1000hの酸化試験を行った。比較材として、従来の肉盛溶接法で作製した試験片も酸化試験に供した。その結果、本形態の耐熱合金層を設けた試験片では、従来材に対し、1/2以下の重量減量を示し、耐久性に優れることが確認された。
本形態による耐熱部材、および耐熱部材の補修品では、従来に比べ、強度特性や耐食耐酸化性に優れ、母材の溶接割れや強度低下も生じ難いという利点がある。
また、母材よりも耐疲労性,耐摩耗性,耐食耐酸化性等に優れた合金を用いることが可能となり、耐熱部材および耐熱部材の補修品の耐久性を向上できるという利点がある。
また、本形態は、コールドスプレー法を用いるため、施工時の入熱が従来の溶射法,溶接法に比べ極めて小さく、作業性,信頼性に優れる。また、粉末の付着効率が高いため、経済性にも優れる。
本発明は、ガスタービン耐熱部材への、ニッケル基,コバルト基の耐熱合金の肉盛補修に応用可能である。
また、ガスタービン以外にも、蒸気タービン,ボイラ,自動車エンジン等の耐熱部材に利用可能である。
1 基体
2 積層耐熱合金層
3 耐熱合金粉末粒子
4 気孔
5 封孔処理材
2 積層耐熱合金層
3 耐熱合金粉末粒子
4 気孔
5 封孔処理材
Claims (7)
- 耐熱合金からなる基体と、前記基体と異種の耐熱合金を積層してなる耐熱合金層と有し、前記耐熱合金層は、結晶粒径100μm以下、かつ、相対密度97%以上で積層され、 前記基体と前記耐熱合金層との接合部に生じた境界層の厚さが500μm以下であることを特徴とする耐熱部材。
- 前記耐熱合金層が、ニッケル基合金、または、コバルト基合金であることを特徴とする請求項1記載の耐熱部材。
- 耐熱合金からなる基体に、前記基体と異種の耐熱合金を積層してなる耐熱合金層を形成する耐熱部材の製造方法において、
(a)前記基体に、前記基体と異種の耐熱合金の粉末粒子を、相対密度97%未満,53%以上で積層する工程と、
(b)前記工程の後、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を真空中で封止する工程と、
(c)前記工程の後、不活性雰囲気中にて、熱間等方圧加圧処理を行い、前記耐熱合金層内の気孔を消滅させ、緻密化する工程と、
を含むことを特徴とする耐熱部材の製造方法。 - 請求項3に記載の耐熱部材の製造方法において、
工程(a)が、前記耐熱合金の粉末粒子が溶融しない温度に保たれた超音速ガス流を形成し、この超音速ガス流中に、前記耐熱合金の粉末粒子を投入し、前記耐熱合金の粉末粒子を、前記基体に高速で衝突させて堆積させることを特徴とする耐熱部材の製造方法。 - 請求項3に記載の耐熱部材の製造方法において、
工程(b)が、
(b−1)前記耐熱合金層の表面に、気孔封止材として、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点よりも低融点の金属、または、前記金属を含む材料を接触させる工程と、
(b−2)前記気孔封止材の融点以上、前記基体を形成する耐熱合金および耐熱合金層を形成する耐熱合金の融点未満の温度で、真空中熱処理を施し、前記気孔封止材を、前記耐熱合金層の表面から溶融含浸させ、前記耐熱合金層の表面近傍の気孔を封止する工程と、を含むことを特徴とする耐熱部材の製造方法。 - 前記耐熱合金が、ニッケル基耐熱合金、または、コバルト基耐熱合金であることを特徴とする請求項3〜請求項5に記載の耐熱部材の製造方法。
- 前記超音速ガス流を形成するガスが窒素であることを特徴とする請求項4に記載の耐熱部材の製造方法。
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WO2012093614A1 (ja) * | 2011-01-07 | 2012-07-12 | 日本発條株式会社 | 導電部材 |
JP2017122275A (ja) * | 2015-12-18 | 2017-07-13 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 被覆物品及び製造方法 |
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