JP2009067992A - 燃料電池用燃料油 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池用燃料油を燃料電池システムで脱硫処理するに当たり、気体副生物の生成を抑制でき、長期間安定して燃料電池システムの運転を継続することを可能とする燃料電池用燃料油を提供すること。
【解決手段】初留点が135〜170℃、95%留出温度が270℃以下の蒸留性状を有し、ナフテンベンゼン類が10容量%以下で、かつ、全硫黄分が80質量ppm以下であることを特徴とする燃料電池用燃料油。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池システムに使用する燃料電池用燃料油に関する。さらに詳しくは、脱硫反応における気体副生物の生成を抑制でき、長期間安定して燃料電池システムの運転を継続することができる、石油系炭化水素油を用いた燃料電池用燃料油に関する。
近年、従来のエネルギーよりも環境への負荷を低減することが可能である新エネルギーが注目されており、その技術の中でも燃料電池は、特に注目されている。燃料電池で使用する水素を発生させる原料として、メタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、LPG、ナフサ、灯油、軽油などの石油系炭化水素、メタノール、エタノールおよびジメチルエーテルなどの含酸素化合物があり、その原料の使用方法の研究が進んでいる。
ナフサ、灯油、軽油などの石油系炭化水素には、硫黄化合物が含まれているが、硫黄分は、水素製造に用いる改質触媒や燃料電池の電極を被毒する。したがって、石油系炭化水素を燃料電池用燃料油とする場合、改質工程の前に脱硫処理を行い硫黄分を低減することが必要である。
脱硫方法として、比較的低コストな吸着脱硫法が一般的に用いられている。しかし、吸着脱硫剤によって石油系炭化水素油を脱硫すると、気体状の軽質炭化水素も副生する。加圧条件下で脱硫反応を行う場合、脱硫により生成された液体状炭化水素および気体状炭化水素は、脱硫器と改質器との間の配管に設けられた調圧弁で減圧される。しかし、液体状炭化水素および気体状炭化水素が混在した状態で調圧弁により減圧されると、気体状炭化水素が突沸を起こし、改質器に移送される液体状炭化水素および気体状炭化水素の流れに脈流が生じる。その結果、改質器へ供給される炭化水素量が増減し、水素ガスの生成量も変動することになる。
水素ガス不足の状態で発電を行うと、燃料電池の寿命を低下させる恐れがあり、燃料電池システムを長期間安定して運転を継続することに支障をきたす恐れがある。この問題を回避するために、石油系炭化水素原料油を貯留する貯液タンクを装備し、さらに脱硫装置は、原料油の導入口とこれより下方に設けられた脱硫原料油の導出口を有し、かつ貯液タンクに貯留される原料油の気液界面より下方に、脱硫装置の原料導入口が位置するように配置する脱硫システムとすることにより、改質工程に気体を液体原料と共に送ることを防止できることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−346985号公報
しかし、特許文献1に記載の脱硫システムでは、気体生成物の副生を抑制するために特殊な装置を必要とし、装置構造が複雑化する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池用燃料油として石油系炭化水素油を用い、該燃料電池用燃料油を燃料電池システムで脱硫処理するに当たり、気体状副生物の生成を抑制でき、長期間安定して燃料電池システムの運転を継続することを可能とする燃料電池用燃料油を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、燃料油中のナフテンベンゼン類が気体状副生物の生成に影響を及ぼすことを知見し、このナフテンベンゼン類を低減することで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、ある特定の硫黄化合物種が脱硫剤の寿命に影響を及ぼすことを知見し、ナフテンベンゼン類とかかる硫黄化合物種を併せて低減することで、さらなる燃料電池システムの安定的な運転に寄与することができることも見出された。
すなわち、本発明は、次の燃料電池用燃料油を提供する。
(1)初留点が135〜170℃、95%留出温度が270℃以下の蒸留性状を有し、ナフテンベンゼン類が10容量%以下で、かつ、全硫黄分が80質量ppm以下であることを特徴とする燃料電池用燃料油。
(2)GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフィ)により測定される、ジベンゾチオフェンより重質で4−メチルジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分が、1質量ppm以下であることを特徴とする上記(1)記載の燃料電池用燃料油。
(3)GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフィ)により測定される、ジフェニルスルフィドより重質でジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分が、3質量ppm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の燃料電池用燃料油。
本発明の燃料電池用燃料油を用いれば、燃料電池システムにおいて、気体状副生物の生成を抑制することができるので、気体状副生物の影響による改質器へ供給される炭化水素量の増減を抑制することができ、長期間安定して燃料電池システムの運転を継続することができる。
以下に本発明の内容を更に詳しく説明する。
本発明の燃料電池用燃料油の蒸留性状は、初留点135〜170℃、好ましくは140〜170℃、95%留出温度270℃以下、好ましくは230〜270℃、より好ましくは240〜260℃である。初留点が170℃より低ければ、脱硫剤への負荷を低減できて好ましい。また、初留点が135℃より高ければ、単位容量当たりの水素発生量が増し、また引火点が低すぎず、取扱に際し安全性が増すため好ましい。95%留出温度が270℃より低ければ、改質工程において炭素析出を抑制でき、また脱硫剤への負荷を低減できるため好ましい。また、95%留出温度が230℃より高ければ、単位容量当たりの水素発生量が増すため好ましい。
本発明の燃料電池用燃料油は、ナフテンベンゼン類の含有量が10容量%以下、好ましくは5容量%以下である。ナフテンベンゼン類の含有量を上記範囲内とすることで、燃料電池システムの脱硫処理における気体状副生物、特に水素の生成を抑制することができる。
ここで、ナフテンベンゼン類とは、ベンゼン環に脂環式炭化水素が縮環した化合物であり、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)およびそのアルキル置換基誘導体や、インダンおよびそのアルキル置換基誘導体等を示す。
また、ナフテンベンゼン類の含有量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって飽和分と芳香族分とに分画した後にGC−FIDで定量し、さらに、各分画をGC−MSによって測定したのち、ASTM D 3239を用いて解析して求めることができる。
ナフテンベンゼン類の含有量を上記範囲に低減するには、水素化処理等の方法により、行うことができる。
本発明の燃料電池用燃料油は、GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフィ)により測定される、ジベンゾチオフェン(DBT)より重質で4−メチルジベンゾチオフェン(4−MDBT)より軽質な硫黄化合物(以下、「対象硫黄化合物X」ともいう)由来の硫黄分が、1質量ppm以下であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用燃料油は、GC−SCDにより測定される、ジフェニルスルフィドより重質でジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物(以下、「対象硫黄化合物Y」ともいう)由来の硫黄分が、3質量ppm以下であることが好ましい。
これらの石油系炭化水素に含まれる硫黄化合物には、メルカプタン類、チオフェン類、ベンゾチオフェン(BT)類、ジベンゾチオフェン(DBT)類、アルキルジベンゾチオフェン(R−DBT)類などがあり、このような硫黄分が脱硫器で除去されなかった場合は、改質触媒を被毒し、改質触媒の寿命が低下するおそれがある。この結果、燃料電池システムを長期間安定して運転を継続することに支障をきたすおそれがある。
上記の対象硫黄化合物由来の硫黄分の含有量は、対象硫黄化合物Xが1質量ppm以下、また対象硫黄化合物Yが3質量ppm以下であれば、脱硫剤の持続性を著しく向上することができ、脱硫剤の寿命を十分維持することによって燃料電池システムで用いる脱硫剤の交換頻度を低くすることができる。
この対象硫黄化合物由来の硫黄分は、対象硫黄化合物Xについては、好ましくは0.5質量ppm以下、対象硫黄化合物Yについては、好ましくは1ppm以下である。かかる両者の硫黄分含有量は少ないほど好ましく、最も好ましくは0質量ppmである。
上記のジベンゾチオフェンより重質で4−メチルジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物や、ジフェニルスルフィドより重質でジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物は、アルキルベンゾチオフェン類などの芳香族環を有する化合物であると考えられる。嵩高い構造を有するアルキルベンゾチオフェン類などを低減することで、脱硫処理をより効果的に行うことができる。
対象硫黄化合物由来の硫黄分である対象硫黄化合物Xを測定するには、まず燃料油をGC−SCDにより分析し、保持時間によって分離される燃料油中の各成分のピーク強度を表したクロマトグラムを得る。次に、得られたクロマトグラムにおいて、ジベンゾチオフェンと4−メチルジベンゾチオフェンを示すピークを同定し、ジベンゾチオフェンと4−メチルジベンゾチオフェンの保持時間の間に検出されるピークの総面積(対象硫黄化合物のピーク面積)から、次式により対象硫黄化合物Xの硫黄濃度を求めることができる。
式:
「対象硫黄化合物X」の硫黄濃度(質量ppm)=燃料油中の全硫黄濃度×(GC−SCDで検出された「対象硫黄化合物X」の面積値/GC−SCDで検出された全硫黄化合物の面積値)
また、対象硫黄化合物Yを測定するには、上記の手順に準じて、まず燃料油をGC−SCDにより分析し、保持時間によって分離される燃料油中の各成分のピーク強度を表したクロマトグラムを得て、得られたクロマトグラムにおいて、ジフェニルスルフィドとジベンゾチオフェンを示すピークを同定し、ジフェニルスルフィドとジベンゾチオフェンジベンゾチオフェンの保持時間の間に検出されるピークの総面積(対象硫黄化合物のピーク面積)から、次式により対象硫黄化合物Yの硫黄濃度を求めることができる。
式:
「対象硫黄化合物Y」の硫黄濃度(質量ppm)=燃料油中の全硫黄濃度×(GC−SCDで検出された「対象硫黄化合物Y」の面積値/GC−SCDで検出された全硫黄化合物の面積値)
上記式における燃料油中の全硫黄濃度は、例えばJIS K 2541紫外蛍光法に準拠して求めることができる。面積値を算出する際、ベースラインは、測定開始から最初のピーク検出までの間の平均ピーク強度と、ピーク検出終了後から分析終了後までの間の平均ピーク強度を直線で結ぶことによって設定する。
また、ジベンゾチオフェンと4−メチルジベンゾチオフェンのピーク位置や、ジフェニルスルフィドとジベンゾチオフェンのピーク位置については、硫黄分が検出されないHPLC用イソオクタンに、ジベンゾチオフェンと4−メチルジベンゾチオフェンや、ジフェニルスルフィドとジベンゾチオフェンをそれぞれ溶解したものを予め用意し、これをGC−SCDにより分析したものを標準データとして利用してピーク位置を同定することができる。
本発明の燃料電池用燃料油の全硫黄分は80質量ppm以下であり、好ましくは40質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下であることが好ましい。本発明でいう全硫黄分とは、JIS K 2541紫外蛍光法に準拠して測定した値である。また、ここでいう全硫黄分とは、例えば硫化水素、メルカプタン類、硫化アルキル類、環状硫化物、チオフェン類等の燃料電池用燃料油に含有されている全ての硫黄分を意味する。脱硫剤の持続性を向上する上で、全硫黄分は80質量ppm以下とする。
本発明の燃料電池用燃料油の製造方法は、製造される燃料電池用燃料油が本発明に規定する性状を有する限りにおいて、特に制限されるものではなく、種々の石油系原料を用いて、また種々の方法により本発明の燃料電池用燃料油を製造することができる。例えば、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分を脱硫した脱硫灯油を用いることができる。さらに、直接脱硫装置から得られる直接脱硫灯油留分、及び重油や残油の水素化分解や熱分解あるいは接触分解して得られる灯油留分等を脱硫した脱硫灯油が使用可能である。また、市販の溶剤や、特開平6−158058号に代表される特許公開公報に記載されたフィッシャー・トロプシュ合成により製造される灯油留分を混合してもよい。
また、上記各種の石油留分の一般的な脱硫方法としては、無機酸化物担体に、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステンなどの遷移金属を適当な割合で含有する触媒を用いて、反応温度200〜400℃、反応圧力2〜20MPa−Gで水素化脱硫を行う方法や、ニッケル、銅、亜鉛などの金属を含有する脱硫剤を用いて、反応温度が常温〜300℃、反応圧力が常圧〜1MPa−Gで吸着脱硫を行う方法、あるいは両者を組み合わせた方法などを用いることができる。
また、燃料電池用燃料油を本発明に規定する性状を有するように調製するには、一般に、原料に用いる石油留分の蒸留性状や硫黄分、特に硫黄分を適宜選択することによって容易に行うことができる。
本発明の燃料電池用燃料油には、必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。この添加剤としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、チオアミド化合物等の金属不活性剤、有機リン系化合物等の表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン、ポリイソブチレンアミン等の清浄分散剤、多価アルコール及びそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アルケニル琥珀酸エステル等の錆止め剤、及びアゾ染料等の着色剤等、公知の燃料添加剤が挙げられる。これらを1種又は数種組み合わせて添加することができる。これら燃料添加剤の添加量は任意であるが、通常、添加剤の合計量が燃料油の0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下である。
燃料電池システムにおいて、本発明の燃料電池用燃料油を脱硫処理するために用いる脱硫剤は、通常の脱硫処理に用いられる脱硫剤を使用できる。この脱硫剤は、担体として無機酸化物を用い、この担体に吸着活性金属成分を担持ないし混合したものが好ましく用いられる。担体の無機酸化物としては、例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、シリカ−アルミナ、タングステン、ジルコニアなどが挙げられ、これら1種以上の元素の酸化物、もしくは混合物、もしくは2種以上の元素の複合酸化物、その他にゼオライト、MCM−41などの結晶性化合物が挙げられる。特に好ましい無機酸化物として、シリカ、アルミナ、及びシリカ−アルミナを用いることができる。脱硫剤における無機酸化物成分の含有量については、特に制限はなく、使用条件等必要に応じて適宜選定すればよいが、通常は脱硫剤基準で0.5〜50質量%の範囲である。含有量が0.5質量%以上であれば、無機酸化物成分としての効果が十分に発揮され、また50質量%以下であれば、吸着活性金属成分量の低下により脱硫性能が低下することを回避できて好ましい。
上記吸着活性金属成分としては、ニッケル、銅、マンガン、リチウム、クロム、鉄などの金属成分が挙げられる。これらの金属成分は担持でなく、調製時に担体に混合させても良い。ニッケルなどの金属成分の好ましい含有量としては、脱硫剤基準、元素換算で50〜99.5質量%の範囲である。
本発明の燃料電池用燃料油を脱硫剤で脱硫処理する方法の一例を以下に示す。上記脱硫剤を充填した充填塔に、水素を供給し、100〜500℃の温度で、まず脱硫剤を活性化させる。その後、燃料油を充填塔に供給し、脱硫処理を行う。充填塔への燃料油の供給は、上昇流でも下降流でもよい。この時の脱硫処理条件は、温度は常温から500℃、圧力は常圧から2MPa、液空間速度(LHSV)は0.05〜10h-1が好ましい。また、脱硫処理中に燃料油とともに水素を供給することもできる。
次に、実施例、比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<燃料電池用燃料油の調製>
実施例1
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.21 質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo‐Mo系脱硫触媒(KF757, 日本ケッチェン(株)製)を用いて、反応温度 (WABT)310℃、水素分圧4.5 MPa、液空間速度 (LHSV) 1.5h−1の条件下で水素化処理を行い、表1の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油A)を得た。
実施例2
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.25質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo−Mo系脱硫触媒(KF757、日本ケッチェン(株)製)を用いて、反応温度(WABT)320℃、水素分圧3.5MPa、液空間速度(LHSV)2.0h−1の条件下で水素化処理を行い、さらにテトラヒドロナフタレンを3容量%添加し、表1の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油B)を得た。
比較例1
実施例2の燃料油Bにナフテンベンゼン類の化合物としてテトラヒドロインデンを7容量%添加し、表1の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油a)を得た。
比較例2
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.25質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo−Mo系脱硫触媒(KF757、日本ケッチェン(株)製)を用いて、反応温度(WABT)315℃、水素分圧3.0MPa、液空間速度4.0h−1の条件下で水素化処理を行い、さらにテトラヒドロナフタレンを13容量%添加し、表1の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油b)を得た。
<燃料油中のナフテンベンゼン類の分析>
上記各燃料油のナフテンベンゼン類の分析は高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって飽和分と芳香族分とに分画した後にGC−FIDで定量し、さらに、各分画をGC−MSによって測定したのち、ASTM D 3239を用いて解析した。
<硫黄分の分析>
なお、上記各燃料油の硫黄分の分析は、次のように行った。
全硫黄分濃度:JIS K 2541紫外蛍光法に準拠して分析した。
「対象硫黄化合物X」の硫黄分(ジベンゾチオフェンより重質で4−メチルジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分):燃料油をGC−SCDにより分析し、前述の式を用いて求めた。GC−SCDの分析条件は下記の通りである。
装置: GC;GC−2010(株式会社島津製作所)
SCD;7080S(ANTEK社)
カラム:HP−1MS
カラム温度:40℃−280℃
測定時間:30分
Inlet温度:260℃、検出器温度:280℃
キャリアガス:He 90kPa
制御モード:線速度
Total flow:21.7mL/分、Purge flow:3.0mL/分
注入モード:スプリットレス、Sprit ratio 5:1
サンプルサイズ:2.0μL
<脱硫剤の調製>
上記実施例、比較例で得た燃料油の脱硫試験に用いる脱硫剤を次のようにして作製した。
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24gと1N HNO水溶液40mlとをイオン交換水1リットルに加えて80℃に加温後、Ni(NO)・6HOを149g加えて調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1リットルにコロイダルシリカ スノーテックスXS(日産化学製)を33.9g、炭酸ナトリウムを99.4g、(NHMo24・5HOを3g添加して80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBとを80℃に保ちながら、B液をA液に瞬時に加えて、沈殿物を形成させ、1時間攪拌した。その後、イオン交換水5リットルを用いて沈殿物の洗浄・ろ過を行ったのち、空気中、120℃で12時間乾燥し、400℃で1時間焼成して得られた固形状物質を12〜16メッシュに破砕し、脱硫剤を得た。
<脱硫試験>
上記の実施例、比較例で得た燃料油と上記で調製した脱硫剤を用いて、次のような脱硫試験を行った。
脱硫剤15mlを内径16mmの鋼製反応器に充填し、常圧下で水素を下向きに供給しながら、温度を150〜200℃まで上昇させ、3時間保持して脱硫剤を活性化させた。次に反応管に上記の実施例、比較例で得た燃料油を220℃、0.3MPa‐G、LHSV=10hr‐1で反応管に上向きに流通させた。反応管から流出した脱硫処理油を採取し、その中の全硫黄分を測定し、その全硫黄分が100質量ppbに達するまでの脱硫処理開始からの通油時間を破過時間とした。なお、当初の全硫黄分は20質量ppb以下であった。
<ガス測定方法>
反応管出口にガスラインを設け、気液分離器にて分離し、水上置換法によって気体を採取、計量した。ガス発生量は、実施例1で得られた値を基準として、実施例2と各比較例で得られた値と、実施例1で得られた値との差で示した。
Figure 2009067992
表1から明らかなように、本発明に従った実施例1および2の燃料油は、比較例1及び2の燃料油と比べ、ガス発生量が低減されたことから、気体状副生物の生成が抑制されていることが分かった。
また、本発明に従った実施例1および2の燃料油は、比較例1及び2の燃料油と比べ、通液時間に対する硫黄濃度が低いため、脱硫剤の寿命を十分維持することができるものであることが分かった。
また、図1及び図2に、実施例1及び比較例2により得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータをそれぞれ示す。各図中、上段は、ジベンゾチオフェン(A)、4−メチルジベンゾチオフェン(B)、ベンゾチオフェン(C1)、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(C2)、及び2,8−ジメチルジベンゾチオフェン(C3)をHPLC用イソオクタンに溶解したもののGC−SCDデータ(標準データ)であり、下段は燃料電池用燃料油のGC−SCDデータである。図1及び図2からわかるように、実施例1で得られた燃料電池用燃料油には対象硫黄化合物(AとBの間に検出される硫黄化合物)がほとんど見られず、比較例2で得られた燃料電池用燃料油には対象硫黄化合物Xが一定量検出されていることがわかる。
実施例3
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.19質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo−Mo系脱硫触媒(KF757、日本ケッチェン(株)製)を用いて、反応温度(WABT)309℃、水素分圧4MPa、液空間速度5h−1の条件下で水素化処理を行い、表2の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油C)を得た。
実施例4
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.22質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo−Mo系脱硫触媒(KF757、日本ケッチェン(株)製)を用いて、反応温度(WABT)310℃、水素分圧4MPa、液空間速度4h−1の条件下で水素化処理を行い、表2の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油D)を得た。
比較例3
中東系の原油から常圧蒸留により得た直留灯油(蒸留カットレンジ150〜250℃、硫黄分0.25質量%)を原料油とし、該原料油を水素化脱硫触媒としてCo−Mo系触媒(KF757、日本ケッチェン製(株))を用いて、反応温度(WABT)315℃、水素分圧5MPa、液空間速度6.5h−1の条件下で水素化処理を行い、この燃料油にナフテンベンゼン類の化合物としてテトラヒドロナフタレンを8容量%添加し、表2に示す性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油c)を得た。
比較例4
実施例4の燃料油Dにナフテンベンゼン類の化合物としてテトラヒドロナフタレンを10容量%添加し、表2の性状を有する水素化脱硫灯油組成物(燃料油d)を得た。
<燃料油中のナフテンベンゼン類の分析>
上記各燃料油のナフテンベンゼン類の分析は高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって飽和分と芳香族分とに分画した後にGC−FIDで定量し、さらに、各分画をGC−MSによって測定したのち、ASTM D 3239を用いて解析した。
<硫黄分の分析>
全硫黄分濃度の分析は、上記と同様、JIS K 2541紫外蛍光法に準拠して分析した。
「対象硫黄化合物X」の硫黄分(ジベンゾチオフェンより重質で4−メチルジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分)及び「対象硫黄化合物Y」の硫黄分(ジフェニルスルフィドより重質でジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分)は、燃料油をGC−SCDにより分析し、前述の式を用いて求めた。GC−SCDの分析条件は下記の通りである。
装置: GC;GC−2010(株式会社島津製作所)
SCD;7080S(ANTEK社)
カラム:HP−1MS
カラム温度:60℃−320℃
測定時間:30分
Inlet温度:320℃、検出器温度:320℃
キャリアガス:He 83kPa
制御モード:線速度
Total flow:33.0mL/分、Purge flow:3.0mL/分
注入モード:スプリットレス、Sprit ratio 5:1
サンプルサイズ:2.0μL
<脱硫剤の調製・脱硫試験・ガス測定方法>
前記で得られた脱硫剤を用い、以下の条件下で脱硫試験を行った。ガス測定は、前記と同様に水上置換法によりガスを採取し計量した。表2では、実施例4で得られた値を基準として実施例3と各比較例で得られた値と、実施例4で得られた値との差で示した。
脱硫剤15mlを内径16mmの鋼製反応管に充填し、常圧下で水素を下向きに供給しながら温度を150〜200℃まで上昇させ、3時間保持して脱硫剤を活性化させた。次に、反応管に実施例、比較例で得た燃料油をそれぞれ210℃、0.3MPa−G、LHSV=8h-1で反応管に上向きに流通させた。反応管から流出した脱硫処理油を採取し、その中の全硫黄分を測定し、その全硫黄分が100質量ppbに達するまでの脱硫処理開始からの通油時間を破過時間とした。なお、当初の全硫黄分は20質量ppb以下であった。
Figure 2009067992
表2に示したように、本発明に従った実施例3〜4の燃料油は、比較例3〜4の燃料油と比べ、連続通液時のガス発生量の差が低く、気体状炭化水素の副成が抑制されていることが分かった。また、本発明に従った実施例3〜4の燃料油は、比較例3〜4の燃料油と比べ、脱硫剤の寿命(脱硫処理済の燃料油の全硫黄分が100質量ppbに達するまでの時間(破過時間)で評価)は、十分維持されることが分かった。
また、図3及び図4に、実施例4及び比較例3により得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータをそれぞれ示す。各図中、上段は、ベンゾチオフェン(C1)、ジフエニルスルフィド(D)、ジベンゾチオフェン(A)、4−メチルベンゾチオフェン(B)をHPLC用イソオクタンに溶解したもののGC−SCDデータ(標準データ)であり、下段は燃料電池用燃料油のGC−SCDデータである。図3及び図4からわかるように、実施例4で得られた燃料電池用燃料油には対象硫黄化合物Y(DとAの間に検出される硫黄化合物)及び対象硫黄化合物X(AとBの間に検出される硫黄化合物)がほとんど見られず、比較例で得られた燃料電池用燃料油には対象硫黄化合物X及びYが一定量検出されていることがわかる。
実施例1で得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータを示している。 比較例2で得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータを示している。 実施例4で得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータを示している。 比較例3で得られた燃料電池用燃料油のGC−SCDデータを示している。

Claims (3)

  1. 初留点が135〜170℃、95%留出温度が270℃以下の蒸留性状を有し、ナフテンベンゼン類が10容量%以下で、かつ、全硫黄分が80質量ppm以下であることを特徴とする燃料電池用燃料油。
  2. GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフィ)により測定される、ジベンゾチオフェンより重質で4−メチルジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分が、1質量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用燃料油。
  3. GC−SCD(化学発光硫黄検出器付きガスクロマトグラフィ)により測定される、ジフェニルスルフィドより重質でジベンゾチオフェンより軽質な硫黄化合物由来の硫黄分が、3質量ppm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池用燃料油。
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