JP2009064990A - コイル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気ギャップ部の幅を変えることなく、インダクタンスの大きさを変化させることが可能であり、然も漏れ磁界を低減させることが可能なコイル装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るコイル装置において、磁気ギャップ部10を有するC字状のコア1と、該コア1の周囲に巻装されたコイル2とを具え、磁気ギャップ部10内には、合成樹脂に磁性材料粉末を混入させてなる複合樹脂4が充填されている。又、コイル2は、コア1の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部10を含む角度範囲を包囲して巻装されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るコイル装置において、磁気ギャップ部10を有するC字状のコア1と、該コア1の周囲に巻装されたコイル2とを具え、磁気ギャップ部10内には、合成樹脂に磁性材料粉末を混入させてなる複合樹脂4が充填されている。又、コイル2は、コア1の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部10を含む角度範囲を包囲して巻装されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、各種交流機器における整流回路、雑音防止回路、共振回路等に装備されるコイル装置に関するものである。
一般にコイル装置は、図16(c)に示す様に、C字状に形成されたコア(1)にコイル(2)を巻装して構成されている。
コア(1)の磁気ギャップ部(10)内には非磁性の樹脂(40)が充填されており、該磁気ギャップ部(10)を挟むコア(1)の一対の端面の間には、コイル(2)を構成するコイル導線が通過可能な隙間が設けられている。又、コア(1)の前記端面は、コア(1)の半径方向に対して傾斜している。
コア(1)の磁気ギャップ部(10)内には非磁性の樹脂(40)が充填されており、該磁気ギャップ部(10)を挟むコア(1)の一対の端面の間には、コイル(2)を構成するコイル導線が通過可能な隙間が設けられている。又、コア(1)の前記端面は、コア(1)の半径方向に対して傾斜している。
該コイル装置の製造工程では、コイル(2)となるべき空芯コイル(20)を作製し、図16(a)に示す様に、コア(1)の前記一対の端面の間からコアの中央孔へ前記空芯コイルの側端部を通過させる。そして、コア(1)の端部を空芯コイル(20)の中央孔に挿入した後、図16(b)に示す様に、空芯コイル(20)をコア(1)に沿って押し進め、空芯コイル(20)の全長をコア(1)の周囲に装着してコイルが完成する。
この様な方法では、予め巻回された空心コイル(20)をコア(1)に装着するので、コイル装置の製造工程の自動化が容易である(特許文献1参照)。
ところで、この様なコイル装置では、交流信号に重畳される直流重畳電流に対するインンダクタンス特性が、磁気ギャップ部(10)の幅に依存し、磁気ギャップ部(10)の幅が狭いほど、直流重畳電流が低い領域では大きいインダクタンスを得ることが出来る。
しかしながら、従来のコイル装置では、磁気ギャップ部(10)を挟んで互いに対向するコア(1)の一対の端面の間には、コイル(2)を構成するコイル導線を通過させるための間隔を確保する必要がある。従って、所望のインダクタンスの大きさに対応する磁気ギャップ部(10)の幅がコイル導線の太さよりも狭い場合には、所望の特性を得ることが出来ない問題があった。
又、従来のコイル装置においては、コア(1)からの漏れ磁界のレベルが高い問題があった。
特開2000−277337号公報
又、従来のコイル装置においては、コア(1)からの漏れ磁界のレベルが高い問題があった。
本発明は、インダクタンスの大きさを変えることなく磁気ギャップ部の幅を変えることが可能であり、然も、漏れ磁界を低減させることが可能なコイル装置を提供することを目的とする。
本発明のコイル装置は、磁気ギャップ部(10)を有するC字状のコア(1)と、該コア(1)の周囲に巻装されたコイル(2)とを具えており、前記磁気ギャップ部(10)内には、合成樹脂に磁性材料粉末を混入させてなる複合樹脂(4)が充填されている。又、前記コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部(10)を含む角度範囲を包囲して巻装されている。
本発明のコイル装置では、交流信号に重畳された直流重畳電流に対するインダクタンス特性が磁気ギャップ部(10)の幅により変化し、直流重畳電流が低い領域では、磁気ギャップ部(10)の幅が狭いほどインダクタンスが大きくなる。本発明のコイル装置の磁気ギャップ部(10)内には、磁性材料粉末を含有する複合樹脂(4)が充填されているので、非磁性材料が充填された磁気ギャップ部(10)に比べて磁気ギャップ(10)の実質的な幅が狭くなり、磁気ギャップ部(10)の実際の幅よりも狭い幅に対応する大きさのインダクタンスを得ることが出来る。従って、所望のインダクタンスの大きさを維持したまま、磁気ギャップ部(10)の幅を拡大することが可能である。
又、本発明のコイル装置では、コイル(2)が、コア(1)の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部(10)を含む角度範囲を包囲して巻装されているので、漏れ磁界を低減させることが出来る。
具体的構成において、前記コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする円周線上に、巻線が存在する巻線存在領域と、巻線が存在しない巻線不在領域とを有し、該巻線存在領域が磁気ギャップ部(10)を包囲している。そして、前記コイル(2)の巻線不在領域は、コア(1)の磁気ギャップ部(10)から略180度ずれた位置に配置されている。
該具体的構成によれば、漏れ磁界のレベルを更に低下させることが出来る。
該具体的構成によれば、漏れ磁界のレベルを更に低下させることが出来る。
更に具体的な構成において、前記磁気ギャップ部(10)を挟んで互いに対向するコア(1)の一対の端面(11)(11)の間には、前記コイル(2)を構成するコイル導線が通過可能な間隔が設けられている。又、前記磁気ギャップ部(10)は、コア(1)の円弧状部を貫通して開設され、該円弧状部の中心軸と直交する断面における貫通方向が、該円弧状部の中心軸からずれている。
該具体的構成によれば、コイル(2)となるべき空芯コイルの中央孔にコア(1)の端部を挿入した後、空芯コイルをコア(1)に沿って押し進めることによって、コア(1)にコイル(2)を巻装することが出来、且つ、所望のインダクタンスの大きさを維持したまま、磁気ギャップ部(10)の幅をコイル導線の太さに合わせて拡大することが可能である。
本発明に係るコイル装置によれば、インダクタンスの大きさを変えることなく磁気ギャップ部の幅を変えることが出来、然も、漏れ磁界を低減させることが出来る。
以下、本発明に係るコイル装置の実施形態につき、図面に沿って具体的に説明する。先ず、本発明の完成に至る過程で案出したコイル装置について説明する。
該コイル装置は、図8に示す様にC字状に形成されたコア体(5)にコイル(2)が巻装されている。コア体(5)は、図9に示すC字状のコア(1)と、該コア(1)を内部に収容する樹脂製のケース(3)から構成されている。
該コイル装置は、図8に示す様にC字状に形成されたコア体(5)にコイル(2)が巻装されている。コア体(5)は、図9に示すC字状のコア(1)と、該コア(1)を内部に収容する樹脂製のケース(3)から構成されている。
コア(1)は、鉄板が円形のC字状に巻かれて形成されており、図9に示す様に、該磁気ギャップ部(10)を挟むコア(1)の一対の端面(11)(11)は、互いに平行に形成され、共にコア(1)の半径方向に対して傾斜している。又、コア(1)の一対の端面(11)(11)の間の間隔、即ち磁気ギャップ部(10)の幅Gは、コイル(2)を構成するコイル導線の太さ寸法よりも大きく形成されている。
図8に示すコア体(5)において、コア(1)の表面のほぼ全面がケース(3)の内側面に密着しているが、ケース(3)は、コア(1)の一対の端面(11)(11)を露出させるための開口を有している。ケース(3)の開口周縁の端部はコア(1)の端面(11)と略同一面上に形成されている。従って、コア体(5)には、コア(1)の磁気ギャップ(10)の部分に、磁気ギャップ部(10)の幅Gと同じ幅寸法の隙間(51)が設けられている。
コア(1)の磁気ギャップ部(10)内には、複合樹脂(4)が充填されている。該複合樹脂(4)は、エポキシ樹脂中に磁性材料粉末が混入されたものであり、磁性材料粉末としては、鉄粉、ガラス金属粉、センダスト粉、鉄粒子からなるマイクロパウダー等が挙げられる。
次に、上記コイル装置の製造方法について説明する。
図10に示す様に、ケース(3)となるべき上半ケース(31)と下半ケース(32)は、共にC字状に形成されている。上半ケース(31)と下半ケース(32)は、それぞれ、コア(1)が嵌入されるべき溝部(35)(36)と、内周面と外周面の間を貫通する切り欠き部(33)(34)を有している。該切り欠き部(33)(34)によって、ケース(3)の前記開口が形成されることとなる。
図10に示す様に、ケース(3)となるべき上半ケース(31)と下半ケース(32)は、共にC字状に形成されている。上半ケース(31)と下半ケース(32)は、それぞれ、コア(1)が嵌入されるべき溝部(35)(36)と、内周面と外周面の間を貫通する切り欠き部(33)(34)を有している。該切り欠き部(33)(34)によって、ケース(3)の前記開口が形成されることとなる。
コア体作製工程では、上半ケース(31)と下半ケース(32)の溝部(35)(36)にコア(1)を嵌入させると共に、上半ケース(31)と下半ケース(32)の切り欠き部(33)(34)をコア(1)の磁気ギャップ部(10)の位置に合わせてコア(1)を上半ケース(31)と下半ケース(32)の内部に収容する。そして、上半ケース(31)と下半ケース(32)を互いに接着し、コア(1)がケース(3)内に収容されたコア体(5)を作製する。
又、コイル(2)となるべき空芯コイル(20)を作製しておき、コア体作製工程後のコイル巻装工程において、図11(a)に示す様に、前記空芯コイル(20)の側端部を、コア体(5)の隙間(51)からコア体(5)の中央孔に向けて通過させる。そして、空芯コイル(20)の中央孔にコア体(5)の端部を挿入した後、空芯コイル(20)をコア体(5)に沿って押し進め、空芯コイル(20)の全長をコア体(5)の周囲に装着する。
該コイル巻装工程では、コア(1)の前記磁気ギャップ部(10)の幅Gがコイル導線の太さ寸法よりも大きく形成されているので、コア体(5)の隙間(51)にコイル導線を通過させることが出来る。
後述の様に、該コイル装置では、交流信号に重畳される直流重畳電流に対するインンダクタンス特性が、図9に示すコア(1)の磁気ギャップ部(10)の幅Gに依存し、直流重畳電流が低い領域では、磁気ギャップ部(10)の幅Gが狭いほど、大きいインダクタンスを得ることが出来る。ここでは、磁気ギャップ部(10)内に磁性材料粉末を含有する複合樹脂(4)が充填されることとなるので、所望のインダクタンスの大きさを維持したまま、磁気ギャップ部(10)の幅Gをコイル導線の太さに合わせて拡大することが可能である。
コイル巻装工程後の複合樹脂充填工程では、図11(b)に示す様に、板状に形成した複合樹脂(4)をコア体(5)の隙間(51)内に嵌入する。複合樹脂(4)が充填されると、コア体(5)に巻装されたコイル(2)が隙間(51)から抜けることがなく、図11(c)に示す様に、コイル(2)を隙間(51)上にも巻装することが可能になる。
次に、上記コイル装置のインダクタンス特性について説明する。図12乃至図15に、第1乃至第4の実施例について、交流信号(1kHz、1V)に重畳された直流重畳電流に対するインンダクタンス特性を示す。又、何れのグラフも、横軸が直流重畳電流の大きさを示し、縦軸がインダクタンスの大きさを示している。
更に、何れのグラフにも、比較例のコイル装置のインダクタンス特性を実線により示している。比較例のコイル装置は、磁気ギャップ部(10)内に非磁性のエポキシ樹脂のみが充填されているが、それ以外は各実施例のコイル装置と同じ構成であり、磁気ギャップ部(10)の幅Gが1.5mmに形成されている。
第1実施例のコイル装置では、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有しており、図12のグラフは、第1実施例のコイル装置について、サンプルA1、B1、C1のインダクタンス特性を示している。
サンプルA1とサンプルB1の磁気ギャップ部(10)の幅は、共に3.0mmに形成されているが、鉄粉のエポキシ樹脂に対する重量比(鉄粉の重量:エポキシ樹脂の重量)が、サンプルA1では5:1であるのに対し、サンプルB1では1:1である。又、サンプルC1は、磁気ギャップ部(10)の幅が2.0mmに形成されており、鉄粉のエポキシ樹脂に対する重量比は、サンプルB1と等しく1:1である。
図12のグラフからわかる様に、何れのサンプルについても、直流重畳電流の大きさが20Aを超える領域において、インダクタンスの大きさが急激に低下している。これは、コア(1)の磁気飽和現象によるものである。
直流重畳電流が20A以下の領域において、複合樹脂(4)に含まれる鉄粉の量が等しいサンプルB1とサンプルC1のインダクタンス特性を比較すると、磁気ギャップ部(10)の幅GがサンプルC1よりも大きいサンプルB1では、サンプルC1に比べてインダクタンスの大きさが低下している。
又、磁気ギャップ部(10)の幅Gが等しいサンプルA1とサンプルB1のインダクタンス特性を比較すると、複合樹脂(4)に含まれる鉄粉の量がサンプルB1よりも多いサンプルA1では、サンプルB1よりも大きいインダクタンスが得られている。
更に、サンプルA1と、サンプルA1よりも磁気ギャップ部(10)の幅Gが狭いサンプルC1を比較すると、サンプルC1よりも複合樹脂(4)に含まれる鉄粉の量が多いサンプルA1では、サンプルC1と略同じ大きさのインダクタンスが得られている。
ここで、例えば、サンプルC1のインダクタンスの大きさが所望のインダクタンスの大きさに一致しているが、サンプルC1の磁気ギャップ部(10)の幅Gがコイル導線の太さ寸法よりも狭く、一方、サンプルB1の磁気ギャップ部(10)の幅Gがコイル導線の太さ寸法よりも大きい場合を想定する。
このとき、上記結果から、コイル導線の太さに合わせてサンプルC1から磁気ギャップ部(10)の幅Gを拡大したサンプルB1では、インダクタンスの大きさがサンプルC1に比べて低下し、一方、サンプルC1に比べて複合樹脂(4)に含まれる鉄粉の量が多いサンプルA1では、磁気ギャップ部(10)の幅GをサンプルB1と同じ大きさに拡大した場合にも、サンプルC1と略同じインダクタンスの大きさを維持出来ることがわかる。
このとき、上記結果から、コイル導線の太さに合わせてサンプルC1から磁気ギャップ部(10)の幅Gを拡大したサンプルB1では、インダクタンスの大きさがサンプルC1に比べて低下し、一方、サンプルC1に比べて複合樹脂(4)に含まれる鉄粉の量が多いサンプルA1では、磁気ギャップ部(10)の幅GをサンプルB1と同じ大きさに拡大した場合にも、サンプルC1と略同じインダクタンスの大きさを維持出来ることがわかる。
これは、鉄粉を含有する複合樹脂(4)が充填された磁気ギャップ部(10)では、非磁性材料が充填された磁気ギャップ部(10)に比べて磁気ギャップ(10)の実質的な幅が狭くなり、磁気ギャップ部(10)の実際の幅Gよりも狭い幅に対応するインダクタンスの大きさが得られるためと考えられる。
第2実施例のコイル装置では、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてガラス金属粉を含有しており、図13のグラフは、第2実施例のコイル装置について、サンプルA2、B2、C2のインダクタンス特性を示している。
サンプルA2、B2、C2の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
サンプルA2、B2、C2の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
図13のグラフから、直流重畳電流が20A以下の領域において、サンプルC2に比べて磁気ギャップ部(10)の幅Gが大きいサンプルB2では、インダクタンスの大きさがサンプルC2に比べて低下していることがわかる。又、サンプルC2に比べて複合樹脂(4)に含まれるガラス金属粉の量が多いサンプルA2では、磁気ギャップ部(10)の幅GをサンプルB2と同じ大きさに拡大した場合にも、サンプルC2と略同じインダクタンスの大きさを維持出来ることがわかる。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてガラス金属粉を含有する第2実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するガラス金属粉の量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてガラス金属粉を含有する第2実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するガラス金属粉の量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
第3実施例のコイル装置では、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてセンダスト粉を含有しており、図14のグラフは、第3実施例のコイル装置について、サンプルA3、B3、C3のインダクタンス特性を示している。
サンプルA3、B3、C3の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
サンプルA3、B3、C3の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
図14のグラフから、直流重畳電流が20A以下の領域において、サンプルC3に比べて磁気ギャップ部(10)の幅Gが大きいサンプルB3では、インダクタンスの大きさがサンプルC3に比べて低下していることがわかる。又、サンプルC3に比べて複合樹脂(4)に含まれるセンダスト粉の量が多いサンプルA3では、磁気ギャップ部(10)の幅GをサンプルB3と同じ大きさに拡大した場合にも、サンプルC3と略同じインダクタンスの大きさを維持出来ることがわかる。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてセンダスト粉を含有する第3実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するセンダスト粉の量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてセンダスト粉を含有する第3実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するセンダスト粉の量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
第4実施例のコイル装置では、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粒子からなるマイクロパウダーを含有しており、図15のグラフは、第4実施例のコイル装置について、サンプルA4、B4、C4のインダクタンス特性を示している。
サンプルA4、B4、C4の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
サンプルA4、B4、C4の磁気ギャップ部(10)の幅Gと、複合樹脂(4)が含有する磁性材料粉末のエポキシ樹脂に対する重量比は、それぞれ上記サンプルA1、B1、C1と同じである。
図15のグラフから、直流重畳電流が20A以下の領域において、サンプルC4に比べて磁気ギャップ部(10)の幅Gが大きいサンプルB4では、インダクタンスの大きさがサンプルC4に比べて低下していることがわかる。又、サンプルC4に比べて複合樹脂(4)に含まれるマイクロパウダーの量が多いサンプルA4では、磁気ギャップ部(10)の幅GをサンプルB4と同じ大きさに拡大した場合にも、サンプルC4と略同じインダクタンスの大きさを維持出来ることがわかる。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてマイクロパウダーを含有する第4実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するマイクロパウダーの量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
この様に、複合樹脂(4)が磁性材料粉末としてマイクロパウダーを含有する第4実施例においても、複合樹脂(4)が磁性材料粉末として鉄粉を含有する第1実施例と同様に、磁気ギャップ部(10)の幅Gが拡大するとインダクタンスの大きさが低下し、複合樹脂(4)が含有するマイクロパウダーの量の増加によってインダクタンスの大きさが回復する。
上述のコイル装置では、磁気ギャップ部(10)内に磁性材料粉末を含む複合樹脂(4)が充填されているので、所望のインダクタンスの大きさを維持したまま、複合樹脂(4)に混入する磁性材料粉末の量を調節して磁気ギャップ部(10)の幅Gを拡大することが可能である。
本発明に係るコイル装置においては、上述の如く磁気ギャップ部(10)に複合樹脂(4)を充填したコイル装置を前提として、磁気ギャップ部(10)の存在に起因する漏れ磁界を低減させるべく、コア(1)の磁気ギャップ部(10)とコイル(2)との相対的な位置関係について更に検討し、その結果、図1及び図2に示すコイル装置を完成した。
本発明に係るコイル装置においては、図1及び図2に示す如く、コア(1)の磁気ギャップ部(10)に複合樹脂(4)が充填されており、コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部(10)を含む角度範囲を包囲して巻装されている。
より具体的には、コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする円周線上に、巻線が存在する巻線存在領域と、巻線が存在しない巻線不在領域Aとを有し、該巻線存在領域が磁気ギャップ部(10)を包囲している。
より具体的には、コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする円周線上に、巻線が存在する巻線存在領域と、巻線が存在しない巻線不在領域Aとを有し、該巻線存在領域が磁気ギャップ部(10)を包囲している。
一方、比較例となるコイル装置においては、図3及び図4に示す如く、コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする円周線上に、巻線が存在する巻線存在領域と、巻線が存在しない巻線不在領域とを有し、該巻線不在領域から磁気ギャップ部(10)が露出している。
図5乃至図7は、コアの磁気ギャップ部の有無、磁気ギャップ部の磁性材料粉末の含有の有無、磁気ギャップ部の位置を基準(0°)とするコイルの巻線不在領域の角度位置(0°、90°、180°、270°)が異なる複数種類のコイル装置を試作して、これらのコイル装置の漏れ磁界の分布を測定した結果を表わしている。
図5は、磁気ギャップ部を有しないコアにコイルを巻装したコイル装置Dと、磁性材料粉末が含まれていない磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Eと、磁性材料粉末が含まれていない磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を180°の位置に配置したコイル装置Fについて、0°から330°まで30°刻みで各位置の漏れ磁界(nT)を測定した結果を表わしている。
図5から明らかな様に、磁気ギャップ部を有しないコアにコイルを巻装したコイル装置Dにおいて最も漏れ磁界のレベルが低くなっており、コイルの巻線不在領域の位置が異なる2つのコイル装置E及びFの比較においては、コイルの巻線不在領域の位置が0°のコイル装置Eよりも、コイルの巻線不在領域の位置が180°のコイル装置Fの方が、漏れ磁界のレベルは低下している。
図6は、磁気ギャップ部を有しないコアにコイルを巻装したコイル装置Dと、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Fと、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を180°の位置に配置したコイル装置Gと、磁性材料粉末が含まれていない磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Eについて、0°から330°まで30°刻みで各位置の漏れ磁界(nT)を測定した結果を表わしている。
ここで、コイル装置Gが、図1及び図2に示す本発明のコイル装置に相当し、コイル装置Fが、図3及び図4に示す比較例のコイル装置に相当している。
ここで、コイル装置Gが、図1及び図2に示す本発明のコイル装置に相当し、コイル装置Fが、図3及び図4に示す比較例のコイル装置に相当している。
図6から明らかな様に、磁気ギャップ部を有しないコアにコイルを巻装したコイル装置Dにおいて最も漏れ磁界のレベルが低くなっており、コイルの巻線不在領域の位置が異なる2つのコイル装置F及びGの比較においては、コイルの巻線不在領域の位置が0°のコイル装置Fよりも、コイルの巻線不在領域の位置が180°のコイル装置Gの方が、漏れ磁界のレベルは低下している。そして、磁性材料粉末が含まれていない磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Eにおいて最も漏れ磁束のレベルが高くなっている。
図7は、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Fと、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を90°の位置に配置したコイル装置Hと、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を180°の位置に配置したコイル装置Gと、磁性材料粉末が含まれている磁気ギャップ部を有するコアにコイルの巻線不在領域を0°の位置に配置したコイル装置Iについて、0°から330°まで30°刻みで各位置の漏れ磁界(nT)を測定した結果を表わしている。
図7から明らかな様に、コイルの巻線不在領域の位置が異なる4つのコイル装置F、H、G及びIの比較においては、コイルの巻線不在領域の位置が180°の場合に最も漏れ磁界のレベルが低下しており、次にコイルの巻線不在領域の位置が90°及び270°の場合に漏れ磁界のレベルが低く、コイルの巻線不在領域の位置が0°の場合に最も漏れ磁界のレベルが高くなっている。
以上の結果より、磁気ギャップ部を有するコアにコイルを巻装してなるコイル装置においては、磁気ギャップ部に磁性体粉末を含有し、且つコイルの巻線不在領域を180°の位置に配置したコイル装置が、最も漏れ磁界のレベルの点で優れており、磁気ギャップ部を有しないコイル装置と略同等の性能を得ることが出来ると言える。
即ち、コア(1)に磁気ギャップ部(10)を形成したコイル装置においても、磁気ギャップ部(10)に複合樹脂(4)を充填すると共に、コイル(2)の巻線不在領域Aを磁気ギャップ部(10)とは反対側の位置に配置して、磁気ギャップ部(10)をコイル(2)によって包囲する構成の採用により、インダクタンスの大きさを変えることなく磁気ギャップ部の幅を変えることが可能となり、然も、磁気ギャップ部(10)に起因する漏れ磁界のレベルを、磁気ギャップ部を有しないコイル装置と略同等のレベルに抑制することが可能となる。
即ち、コア(1)に磁気ギャップ部(10)を形成したコイル装置においても、磁気ギャップ部(10)に複合樹脂(4)を充填すると共に、コイル(2)の巻線不在領域Aを磁気ギャップ部(10)とは反対側の位置に配置して、磁気ギャップ部(10)をコイル(2)によって包囲する構成の採用により、インダクタンスの大きさを変えることなく磁気ギャップ部の幅を変えることが可能となり、然も、磁気ギャップ部(10)に起因する漏れ磁界のレベルを、磁気ギャップ部を有しないコイル装置と略同等のレベルに抑制することが可能となる。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、製造方法の異なるコイル装置であれば、磁気ギャップを挟んで互いに対向するコア(1)の一対の端面(11)(11)の間の間隔がコイル導線の太さ寸法より狭くてもよい。又、コア(1)の形状は円形に限られず、複合樹脂(4)を構成する樹脂はエポキシ樹脂以外でもよい。更に、複合樹脂(4)は、ペースト状の樹脂に磁性材料粉末を分散させ、該樹脂を磁気ギャップ部(10)内に充填して硬化させたものでもよく、複合樹脂(4)に混入される磁性材料粉末は、上記材料に限定されるものではない。
(1) コア
(10) 磁気ギャップ部
(11) 端面
(2) コイル
(3) ケース
(4) 複合樹脂
(5) コア体
(10) 磁気ギャップ部
(11) 端面
(2) コイル
(3) ケース
(4) 複合樹脂
(5) コア体
Claims (5)
- 磁気ギャップ部(10)を有するC字状のコア(1)と、該コア(1)の周囲に巻装されたコイル(2)とを具えたコイル装置において、前記磁気ギャップ部(10)内には、合成樹脂に磁性材料粉末を混入させてなる複合樹脂(4)が充填されており、前記コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする360度の角度範囲の内、磁気ギャップ部(10)を含む角度範囲を包囲して巻装されていることを特徴とするコイル装置。
- 前記コイル(2)は、コア(1)の中心軸を中心とする円周線上に、巻線が存在する巻線存在領域と、巻線が存在しない巻線不在領域とを有し、該巻線存在領域が磁気ギャップ部(10)を包囲している請求項1に記載のコイル装置。
- 前記コイル(2)の巻線不在領域は、コア(1)の磁気ギャップ部(10)から略180度ずれた位置に配置されている請求項2に記載のコイル装置。
- 前記磁気ギャップ部(10)を挟んで互いに対向するコア(1)の一対の端面(11)(11)の間には、前記コイル(2)を構成するコイル導線が通過可能な間隔が設けられている請求項1乃至請求項3の何れかに記載のコイル装置。
- 前記磁気ギャップ部(10)は、コア(1)の円弧状部を貫通して開設され、該円弧状部の中心軸と直交する断面における貫通方向が、該円弧状部の中心軸からずれている請求項4に記載のコイル装置。
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JP2015018915A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | ホシデン株式会社 | 無接点給電装置用電磁誘導コイル |
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-
2007
- 2007-09-07 JP JP2007232126A patent/JP2009064990A/ja active Pending
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