JP2009062449A - 光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

光学的立体造形用樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2009062449A
JP2009062449A JP2007231175A JP2007231175A JP2009062449A JP 2009062449 A JP2009062449 A JP 2009062449A JP 2007231175 A JP2007231175 A JP 2007231175A JP 2007231175 A JP2007231175 A JP 2007231175A JP 2009062449 A JP2009062449 A JP 2009062449A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
resin composition
optical
mass
polymerizable organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007231175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5205018B2 (ja
Inventor
Takashi Ito
伊藤  隆
Eiji Nakamoto
栄司 中本
Tsuneo Hagiwara
恒夫 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CMET Inc
Original Assignee
CMET Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CMET Inc filed Critical CMET Inc
Priority to JP2007231175A priority Critical patent/JP5205018B2/ja
Publication of JP2009062449A publication Critical patent/JP2009062449A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5205018B2 publication Critical patent/JP5205018B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

【課題】 高湿度下に長期保存しても水分の吸収が少なく、一方低湿度下に長期保存した時に水分が極端に低下せず光硬化に必要な水分を保持し、保存環境中の湿度の影響を受けずに高硬化感度を維持し、短い造形時間で造形精度、寸法精度、耐水性、耐湿性、力学的特性に優れる造形物を形成する光学的造形用樹脂組成物の提供。
【解決手段】 カチオン重合性有機化合(A)、ラジカル重合性有機化合物(B)、カチオン重合開始剤(C)、ラジカル重合開始剤(D)及び一般式;HO−R2−OH(R2は炭素数5〜8の直鎖状又は分岐状アルキレン基)のジオールを所定割合で含有し且つカチオン重合性有機化合物(A)として下記の式(I);
Figure 2009062449

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるジグリシジルエーテル(I)を所定量で含有する光学的立体造形用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、外気中の湿度による影響が少なく、未硬化状態で長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持することができ、光学的立体造形用樹脂組成物中の水分含量を調整するために冬季などの乾燥期に外部から水を添加する必要がなく、光硬化活性エネルギー線を照射して造形したときに短縮された造形時間で、造形精度、寸法精度、耐水性、耐湿性、力学的特性に優れる光学的立体造形物を円滑に且つ生産性良く製造することのできる光学的造形用樹脂組成物に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて液状の光硬化性樹脂組成物を立体的に光学造形する方法が、金型などを作製することなく目的とする立体造形物を良好な寸法精度で製造し得ることから、広く採用されるようになっている。
光学的立体造形法の代表的な例としては、容器に入れた液状光硬化性樹脂の液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御された紫外線レーザーを選択的に照射して所定厚みを硬化させ、ついで該硬化層の上に1層分の液状樹脂を供給し、同様に紫外線レーザーで前記と同様に照射硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返すことによって最終的に立体造形物を得る方法を挙げることができる。この光学的立体造形方法は、形状のかなり複雑な造形物をも容易に且つ比較的短時間に得ることが出来る。
光学的立体造形に用いる樹脂または樹脂組成物については、活性エネルギー線による硬化感度が高いこと、低粘度で造形時の取り扱い性に優れること、経時的に水分や湿気の吸収が少なく硬化感度の低下がないこと、造形物の解像度が高く造形精度に優れていること、硬化時の体積収縮率が小さいこと、硬化して得られる造形物が力学的特性、耐水性や耐湿性、耐熱性などに優れていることなどの種々の特性が要求される。
光学的造形用の樹脂組成物としては、従来、アクリレート系光硬化性樹脂組成物、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂組成物、エポキシ系光硬化性樹脂組成物、エポキシアクリレート系光硬化性樹脂組成物、ビニルエーテル系光硬化性樹脂組成物が提案されて用いられてきた。これらの中で、エポキシ系光硬化性樹脂組成物は寸法精度に優れる造形物を形成できることから近年注目されている。
しかし、エポキシ系光硬化性樹脂組成物は光照射により生成するカチオンで反応が進むため、反応速度が遅く、造形に時間がかかりすぎることが指摘されている。
そこで、反応速度の向上による造形時間の短縮などを目的として、エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物およびラジカル重合性有機化合物を含む光硬化性樹脂組成物にポリエステルポリオール化合物を添加した光学的造形用樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、光硬化時の反応速度を上げるために、エポキシ化合物として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのような分子中にエステル結合を有する脂環族ジエポキシ化合物を用いることが知られている(特許文献2を参照)。しかし、いずれの場合も、得られる造形物は寸法精度が低く、しかもエステル結合を有することによって吸湿性が高くて、吸湿して伸び易く、耐水性、耐湿性、寸法安定性などの点で問題を有している。
また、エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物にオキセタン化合物を配合して光硬化感度を向上させ、それによって造形時間の短縮を図ることが提案されている(特許文献3および4参照)。
オキセタン化合物の配合によって光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化感度は向上するが、本発明者らが詳細に検討したところ、オキセタン化合物を含有する従来の光学的立体造形用樹脂組成物は、未硬化の液体状態で水分や湿気の吸収率が高く、湿度の高い状態で保存すると短期間のうちに水分や湿気を多く吸収してその光硬化感度が大きく低下し、造形性が不良になったり、得られる立体造形物の特性が不良になり、オキセタン化合物を配合した効果が失われることが判明した。
また、カチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物では、水分の含有量が多くなると前述のように光硬化感度が低下して造形不良などが生じやすくなるが、その一方で水分が全く含まれない場合にも光硬化感度が低下して光造形性が悪くなることが知られていて(非特許文献1および2を参照)、光硬化感度、光造形性を良好に維持するためには、カチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物は、0.3〜1質量%(3000〜10000ppm)、特に0.4〜0.8質量%(4000〜8000ppm)程度の水分を含有する必要があると言われている。
我国においては、梅雨どきや夏場の湿度の高い季節には、光学的立体造形用樹脂組成物は、外部から水を添加しなくても、その水分含量は一般に0.5〜1質量%またはそれ以上になっていることが多いが、冬場などの乾燥期には、光学的立体造形用樹脂組成物中の水分含量は0.3質量%以下になっていることが多い。そのため、カチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物では、冬場などの乾燥期には、組成物に外部からいちいち水を添加して光学的立体造形用樹脂組成物の水分含量を前記した0.3〜1質量%、好ましくは0.4〜0.8質量%に調整して光造形に用いる必要があり、光学的立体造形用樹脂組成物における水分含量の管理および調整に手間がかかっている。
特公平7−103218号公報 特表平11−507090号公報 特開平10−168165号公報 特開2004−217934号公報 「Polymer」、2002年、43巻、p.4243〜4250 「J.Rad.Curing」、1986年10月号、p.3〜9
本発明の目的は、活性エネルギー線による硬化感度が高くて、短縮された活性エネルギー線照射時間で造形物を生産性良く製造することができ、しかも水分や湿気の吸収率が高くならず、湿度の高い状態で保存しても硬化性能の低下がなく、長期にわたって高い硬化感度を維持することができ、しかも造形精度に優れ、更には高湿度下での寸法精度、力学的特性、耐水性、耐湿性、耐熱性などの特性に優れる立体造形物を形成することのできる光学的立体造形用樹脂組成物、特にカチオン重合性有機化合物を含む光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、冬場などの乾燥期において、外部から水を添加しなくても、そのまま光造形に用いた場合に、短縮された活性エネルギー線照射時間で、前記した優れた特性を備える造形物を生産性良く製造することのできる光学的立体造形用樹脂組成物、特にカチオン重合性有機化合物を含有する光学的立体造形用樹脂組成物を提供することである。
上記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤および活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤を含有する光学的立体造形用樹脂組成物において、カチオン重合性有機化合物として特定の脂環式ジグリシジルエーテル化合物から主としてなるものを用いると、例えば梅雨どきや夏場などのような湿気の高い状態で保存しても水分や湿気の吸収率が低くて、硬化性能の低下がなく、高い硬化感度を長期にわたって維持できることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記した光学的立体造形用樹脂組成物において、特定の2官能性ヒドロキシ化合物を更に含有させると、湿気の高い状態で保存しても水分や湿気の吸収率が低いという優れた特性を維持しつつ、冬場などの湿度の低い状態で保存したときには光学的立体造形用樹脂組成物中の水分含量が極端に低下せず、前記した所定の必要量(一般に0.3〜1質量%程度、好ましくは0.4〜0.8質量%程度)に維持でき、外部からわざわざ水を添加しなくても、高い硬化感度を有することを見出した。
また、本発明者らは、特定の脂環式ジグリシジルエーテル化合物および特定の2官能性ヒドロキシ化合物を含有する前記した光学的立体造形用樹脂組成物は造形精度にも優れており、しかも当該光学的立体造形用樹脂組成物を用いて作製した立体造形物は高湿度下での寸法精度、力学的特性、耐水性、耐湿性、耐熱性などの特性に優れ、その上適度の水分を保持していて透明性にも優れることを見出した。
そして、本発明者らは、特定の脂環式ジグリシジルエーテル化合物および特定の2官能性ヒドロキシ化合物を含有する上記した光学的立体造形用樹脂組成物中にオキセタン化合物を更に配合すると、活性エネルギー線による硬化感度が一層高くなり、短縮された造形時間で立体造形物を生産性よく製造することができること、そしてオキセタン化合物として1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物と1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物を特定の質量比で含むものを用いると、活性エネルギー線による硬化感度が高くて、短縮された造形時間で立体造形物を生産性よく製造できるだけでなく、水分や湿気の吸収率が低くて湿気の高い状態で保存してもその硬化性能の低下がなく、硬化感度を長期にわたって維持できる光学的立体造形用樹脂組成物が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)(i) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物(A)を30〜80質量%、ラジカル重合性有機化合物(B)を10〜40質量%、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(C)[以下「カチオン重合開始剤(C)」ということがある]を0.1〜10質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(D)[以下「ラジカル重合開始剤(D)」ということがある]を0.1〜10質量%および2官能性ヒドロキシ化合物(E)を1〜10質量%の割合で含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって;
(ii) カチオン重合性有機化合物(A)として、下記の一般式(I);
Figure 2009062449
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて50質量%以上の割合で含有し;且つ、
(iii) 2官能性ヒドロキシ化合物(E)が、下記の一般式(II);

HO−R2−OH (II)

(式中、R2は、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。)
で表される2官能性ヒドロキシ化合物のうちの少なくとも1種である;
ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物である。
そして、本発明は、
(2) カチオン重合性有機化合物(A)として、オキセタン化合物(F)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて1〜50質量%の割合で含有する前記(1)の光学的立体造形用樹脂組成物;
(3) オキセタン化合物(F)として、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(F1)と1分子中にオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(F2)を、モノオキセタン化合物(F1):ポリオキセタン化合物(F2)=95:5〜5:95の質量比で用いる前記(2)の光学的立体造形用樹脂組成物;および、
(4) モノオキセタン化合物(F1)が、下記の一般式(III−1a)で表されるモノオキセタン化合物(III−1a)および下記の一般式(III−1b)で表されるモノオキセタン化合物(III−1b)のうちの少なくとも1種であり、ポリオキセタン化合物(F2)が下記の一般式(III−2)で表されるジオキセタン化合物(III−2)のうちの少なくとも1種である前記(3)の光学的立体造形用樹脂組成物。
Figure 2009062449
(式中、R3およびR4は炭素数1〜5のアルキル基、R5はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、mは0または1を示す。)
さらに、本発明は、
(5) カチオン重合性有機化合物(A)として、エステル結合を有する脂環族ジエポキシ化合物を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて1〜40質量%の割合で含有する前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形用樹脂組成物である。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、エポキシ化合物などのカチオン重合性有機化合物を用いているにも拘わらず、活性エネルギー線による硬化感度が高く、短縮された造形時間で目的とする立体造形物を生産性よく製造することができる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、湿度の高い状態で長期間保存しても、水分や湿気の吸収率が低くて硬化性能の低下がなく、その優れた硬化感度を長期にわたって維持し、長期保存後も力学的特性をはじめとして諸物性に優れる立体造形物を円滑に製造することができる。
しかも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、冬季などの乾燥時などに湿度の低い状態で長期間保存しても、水分含量が極端に低下せずに、光硬化に必要な水分(一般に0.3〜1質量%、好ましくは0.4〜0.8質量%)を安定して組成物中に保持するため、冬季などの乾燥時であっても、光学的立体造形用樹脂組成物の硬化感度を向上させるために外部から水分をわざわざ添加しなくても、高い硬化感度を維持する。
そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、保存時および使用時の環境中の湿度の多少による影響を受けず、常に高い硬化感度を維持するため、取り扱い性に極めて優れている。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、造形精度に優れており、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて製造した立体造形物は、寸法精度、力学的特性、耐水性、耐湿性、耐熱性などの特性に優れており、更に適度の吸湿性を有し透明性にも優れている。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるカチオン重合性有機化合物(A)は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(カチオン重合開始剤)の存在下に活性エネルギー線を照射したときに、重合反応および/または架橋反応を生ずる。
なお、本明細書でいう「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などのような光学的造形用樹脂組成物を硬化させ得るエネルギー線をいう。
本発明では、カチオン重合性有機化合物(A)として、下記の一般式(I);
Figure 2009062449
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて50質量%以上の割合で含有するものを用いる。
本発明では、カチオン重合性有機化合物(A)として、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)の含有割合が50質量%以上であるものを用いていることによって、高湿度下でも水分や湿分の吸収が少なくて硬化感度に優れ、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、更に光学的造形用樹脂組成物の粘度が低くなって造形が円滑に行われるようになり、しかも造形により得られる光学的造形物の体積収縮率が一層低減される。
カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)の含有割合が50質量%未満であると、光学的立体造形用樹脂組成物の吸湿性が高くなって、硬化感度が低下し、しかも造形物の高湿度下での寸法安定性が低下する。
カチオン重合性有機化合物(A)としては、カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)の含有割合が50〜95質量%であるものを用いることが好ましく、60〜90質量%であるものを用いることがより好ましく、65〜90質量%であるものを用いることが更に好ましく、それによって造形物の耐湿性がより向上すると共に、寸法の経時変化がより小さくなる。
本発明で使用する水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)としては、具体的には、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテルおよび水素化ビスフェノールZジグリシジルエーテルを挙げることができる。本発明では、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)として、前記したジグリシジルエーテルの1種のみを用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。そのうちでも、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)としては、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルが、入手性や造形物の耐吸湿性などの点から好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)と共に、下記の一般式(II);

HO−R2−OH (II)

(式中、R2は、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。)
で表される2官能性ヒドロキシ化合物(E)のうちの少なくとも1種を含有する。
上記の一般式(II)において、R2は炭素数5〜8のアルキレン基であれば直鎖状アルキレン基または分岐状アルキレン基のいずれであってもよい。
上記の一般式(II)で表される2官能性ヒドロキシ化合物(E)の具体例としては、R2が炭素数5のアルキレン基である2官能性ヒドロキシ化合物[例えばHO−CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH2−OH、HO−C(CH32CH2CH2−OH、HO−CH2C(CH32CH2−OH];R2が炭素数6のアルキレン基である2官能性ヒドロキシ化合物[例えばHO−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH(CH32CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH(CH3)−OH、HO−C(CH32CH(CH3)CH2−OH、HO−C(CH32CH2CH(CH3)−OH、HO−CH2CH(CH32CH(CH3)−OH、HO−CH2CH2CH(C25)CH2−OHなど];R2が炭素数7のアルキレン基である2官能性ヒドロキシ化合物[例えばHO−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH(CH32CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH2CH(CH3)−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH(CH3)CH2−OH、HO−C(CH32CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−C(CH32CH2CH(CH3)CH2−OH、HO−CH2CH(CH32CH(CH3)CH2−OH、HO−CH2CH2CH(C25)CH2CH2−OHなど];R2が炭素数8のアルキレン基である2官能性ヒドロキシ化合物[例えばHO−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH2CH(CH3)CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH2CH2−OH、HO−CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH(CH32CH2CH2CH2−OH、HO−CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−C(CH32CH(CH3)CH2CH2CH2−OH、HO−C(CH32CH2CH(CH3)CH2CH2−OH、HO−CH2CH2CH(C25)CH2CH2CH2−OHなど]、CH3(CH25CH(OH)CH2OHなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、2官能性ヒドロキシ化合物(E)としては、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールが、入手性の点から好ましく用いられ、特にネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオールが、吸湿性、保湿性、反応性の点から好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、2官能性ヒドロキシ化合物(E)を、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、1〜10質量%の割合で含有し、1〜7質量%の割合で含有することが好ましく、1〜5質量%の割合で含有することがより好ましい。
2官能性ヒドロキシ化合物(E)の含有量が少なすぎると、光学的立体造形用樹脂組成物を乾燥状態(例えば冬場などの乾燥期)に保存したときに、光学的立体造形用樹脂組成物中の水分含量が少なくなり過ぎて(一般に0.3質量%よりも少なくなって)、光学的立体造形用樹脂組成物の光硬化感度が低下し、しかも造形端面が荒れ易くなる。一方、2官能性ヒドロキシ化合物(E)の含有量が多くなりすぎると、光学的立体造形用樹脂組成物の吸湿性が高くなり過ぎて、光学的立体造形の光硬化感度の低下、得られる立体造形物の寸法安定性の低下、機械物性の低下などを生ずる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、造形精度の向上、光硬化速度の向上、経時安定性などの点から、上記した水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)と共に、それ以外の他のカチオン重合性有機化合物を、カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて50質量%以下の割合で含有することが好ましく、1〜50質量%の割合で含有することがより好ましく、1〜40質量%の割合で含有することが更に好ましい。
他のカチオン重合性有機化合物としては、カチオン重合開始剤の存在下に光などの活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれも使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物やその他の環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができ、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物として、前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種または2種以上を含有することができる。
そのうちでも、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物として、オキセタン化合物および/またはエポキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、他のカチオン重合性有機化合物として、オキセタン化合物[オキセタン化合物(F)]を、カチオン重合性有機化合物(A)の全質量に基づいて1〜50質量%の割合で含有することが好ましく、5〜40質量%の割合で含有することがより好ましく、10〜35質量%の割合で含有することが更に好ましい。オキセタン化合物を前記した割合で含有することによって、未硬化状態で長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持することができる。
その際のオキセタン化合物(F)としては、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(F1)および1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(F2)のうちの1種または2種以上を用いることができる。
特に、オキセタン化合物(F)として、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(F1)と1分子中にオキセンタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(F2)を、モノオキセタン化合物(F1):ポリオキセタン化合物(F2)=95:5〜5:95の質量比、更には10:90〜90:10の質量比、特に20:80〜20:80の質量比で用いることが、高湿度状態での光学的立体造形用樹脂組成物の水分および湿気の吸収率が少なくなり、当初の高い硬化感度を長期にわたって維持することができる点から好ましい。
モノオキセタン化合物(F1)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用できるが、特に1分子中にオキセタン基を1個有し且つアルコール性水酸基を1個有するモノオキセタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
そのような、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、下記の一般式(III−1a)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(III−1a)および下記の一般式(III−1b)で表されるモノオキセタンモノアルコール化合物(III−1b)のうちの少なくとも1種が、入手の容易性、高反応性、粘度が低いなどの点から、モノオキセタン化合物(F1)としてより好ましく用いられる。
Figure 2009062449
(式中、R3およびR4は炭素数1〜5のアルキル基、R5はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。)
上記の一般式(III−1a)において、R3の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
モノオキセタンアルコール(III−1a)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
上記の一般式(III−1b)において、R4の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
また、上記の一般式(III−1b)において、R5は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。R5の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R5はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘプタメチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体である取り扱い易いなどの点から好ましい。
また、ポリオキセタン化合物(F2)としては、オキセタン基を2個有する化合物、オキセタン基を3個以上有する化合物、オキセタン基を4個以上有する化合物のいずれもが使用できるが、オキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられ、そのうちでも下記の一般式(III−2);
Figure 2009062449
(式中、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、mは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物(III−2)が、入手性、反応性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
上記の一般式(III−2)において、R6の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R7の例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
ジオキセタン化合物(III−2)の具体例としては、下記の式(III−2a)または式(III−2b)で表されるジオキセタン化合物を挙げることができる。
Figure 2009062449
(式中、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基を示す。)
上記の式(III−2a)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
また、上記の式(III−2b)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(III−2b)において2個のR6が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R7がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
そのうちでも、ポリオキセタン化合物(III−2a)としては、上記の式(III−2a)において、2個のR6が共にメチル基またはエチル基であるビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
また、カチオン重合性有機化合物(A)の一部として水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)と共に用いてもよい他のエポキシ化合物としては、例えば、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)以外の脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などを挙げることができる。他のエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物がより好ましく用いられる。
上記した他の脂環族エポキシ化合物としては、例えば、シクロヘキセンまたはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。より具体的には、他の脂環族エポキシ化合物として、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)などを挙げることができる。
特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどのエステル結合を有する脂環族ジエポキシ化合物を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて1〜30質量%、更には5〜25質量%、特に1〜20質量%の割合で含有させることが、造形速度が速くなり、しかも得られる立体造形物の力学的特性がより良好になる点から好ましい。
また、上記した脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステルなどを挙げることができる。より具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができ、具体的には、例えばビスフェノールAやビスフェノールFまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
本発明では、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)以外の他のエポキシ化合物として、上記したエポキシ化合物の1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、他のエポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリジシルエーテルが、反応性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
また、ラジカル重合性有機化合物(B)としては、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤[光ラジカル重合開始剤(D)]の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、(メタ)アクリレート系化合物、不飽和ポリエステル化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、ラジカル重合性有機化合物(B)としては、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
ラジカル重合性有機化合物(B)として用い得る上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができる。そのうちでも、芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物が好ましく用いられ、具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
また、ラジカル重合性有機化合物(B)として用い得る上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートやその他のジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、例えばジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
また、前記した(メタ)アクリレート化合物のうちで、メタクリレート化合物よりも、アクリレート化合物が重合速度の点から好ましく用いられる。
さらに、ラジカル重合性有機化合物(B)として用い得る上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
上記したエチレン性不飽和化合物のうちでも、本発明では、ラジカル重合性有機化合物(B)として、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート(例えば、昭和高分子社製「VR−77」)、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレートが、反応性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
本発明では、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(C)[カチオン重合開始剤(C)]として、活性エネルギー線を照射したときにカチオン重合性有機化合物(A)のカチオン重合を開始させ得る重合開始剤のいずれも使用できる。そのうちでも、カチオン重合開始剤(C)としては、活性エネルギー線を照射したときにルイス酸を放出するオニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩の例としては、第VIIa族元素の芳香族スルホニウム塩、VIa族元素の芳香族オニウム塩、第Va族元素の芳香族オニウム塩などを挙げることができる。具体的には、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムなどを挙げることができる。
本発明では、上記したようなカチオン重合開始剤のうちの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では芳香族スルホニウム塩がより好ましく用いられる。
また、本発明では、反応速度を向上させる目的で、カチオン重合開始剤と共に必要に応じて光増感剤、例えばベンゾフェノン、アルコキシアントラセン、ジアルコキシアントラセン、チオキサントンなどを用いてもよい。
活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(D)[ラジカル重合開始剤(D)]としては、活性エネルギー線を照射したときにラジカル重合性有機化合物(B)のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、フェニルケトン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物などを挙げることができる。
具体的には、ベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタールなどを挙げることができる。
フェニルケトン系化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどを挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどを挙げることができる。
そして、ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを挙げることができる。
また、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。
そして、チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。
本発明では、1種または2種以上のラジカル重合開始剤(D)を所望の性能に応じて配合して使用することができる。
そのうちでも、本発明ではラジカル重合開始剤(D)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが、得られる硬化物の色相が良好(黄色度が小さいなど)である点から好ましく用いられる。
本発明の光学的造形用樹脂組成物は、組成物の粘度、反応速度、造形速度、得られる造形物の寸法精度、力学的特性などの点から、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物(A)を30〜80質量%、ラジカル重合性有機化合物(B)を10〜40質量%、カチオン重合開始剤(C)を0.1〜10質量%、ラジカル重合開始剤(D)を0.1〜10質量%および上記の一般式(II)で表される2官能性ヒドロキシ化合物(E)を1〜10質量%の割合で含有し、更に上記の一般式(I)で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて50質量%以上の割合で含有する。
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物(A)を40〜80質量%、特に50〜75質量%、ラジカル重合性有機化合物(B)を10〜35質量%、特15〜30質量%、カチオン重合開始剤(C)を0.1〜8質量%、特に1〜5質量%、ラジカル重合開始剤(D)を0.1〜8質量%、特に1〜5質量%および上記の一般式(II)で表される2官能性ヒドロキシ化合物(E)1〜9質量%、特に1〜7質量%の割合で含有し、更に上記の一般式(I)で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて50〜95質量%、特に60〜90質量%の割合で含有することが好ましい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤(架橋ポリマー粒子、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉等)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していてもよい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物を用いて光学的に立体造形を行うに当たっては、従来既知の光学的立体造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましく採用され得る光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす本発明の光学的造形用樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状光学的造形用樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、上述のように、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、蛍光灯などを使用することができる。
光学的立体造形用樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
本発明の光学的造形用樹脂組成物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を制作するための樹脂型、金型を制作するためのベースモデル、試作金型用の直接型などを挙げることできる。特に、本発明の光学的造形用樹脂組成物は、精密な部品のモデルの作成に威力を発揮することができる。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。以下の例中、「部」は質量部を意味する。
また、以下の例中、光学的立体造形用樹脂組成物の水分含量の測定、硬化性能の評価、光造形して得られた光造形物の力学的特性(曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度、引張弾性率、引張伸度、表面硬度)および熱変形温度の測定は、次のようにして行なった。
(1)光学的立体造形用樹脂組成物の水分含量:
三菱化学株式会社製の「容量滴定式水分測定装置 モデルKF−06型」を使用して、カールフィッシャー法により光学的立体造形用樹脂組成物の水分含量を測定した。
(2)光学的立体造形用樹脂組成物の硬化性能:
以下の実施例または比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、以下の例に記載されている方法で光学的立体造形を行ない、その際に、十分な硬化膜厚みを有すると共に定圧ノギスでの膜厚測定が可能であるものを硬化性が良好、かろうじて膜厚を測定できたものを硬化性がやや不良、硬化膜が弱くて定圧ノギスで膜厚を測定できないものを硬化性が不良であると評価した。
(3)光造形物の曲げ試験:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(4)光造形物の引張試験:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張強度、引張弾性率および引張伸度を測定した。
(5)光造形物の表面硬度:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)を用いて、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠して、デュロメーター法により試験片の表面硬度を測定した。
(6)光造形物の熱変形温度:
以下の実施例または比較例で作製した光造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)を用い、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.813MPaの荷重を加えて、JIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
(7)光造形物の吸湿伸び(吸湿による伸び率):
以下の実施例2で作製した長方形状の紐状光造形物(長さ×幅×厚さ=200mm×10mm×1mm)を、温度25℃および湿度80%に調整した雰囲気中に20日間保存し、5日目、10日目、15日目および20日目に当該紐状光造形物の長さを測定して、吸湿伸び試験を開始する直前の長さ(200mm)に対する伸び率を求めた。
《実施例1》
(1) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート3部、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル60部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン5部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル15部、1,6−ヘキサンジオール3.5部、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート系カチオン重合開始剤(サンアプロ社製「CPI−101A」)4部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)10部、ラウリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステル−LA」)9部、および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)(ラジカル重合開始剤)2.3部をよく混合して光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。
(2)(i) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の水分の含量を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すように2090ppm(0.2090質量%)であった。
(ii) また、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物を、湿度60%(高湿度)に調湿した容器に入れて25℃で保存し、該容器から光学的立体造形用樹脂組成物の一定量を経時的に採取して、水分の含量を測定すると共に、該採取した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、以下の(3)の方法で光学的立体造形を行ない、光学的立体造形時の光学的立体造形用樹脂組成物の硬化性能を上記した方法で評価した。その結果を下記の表1に示す。
(iii) 更に、上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物の水分を6000ppm(0.60質量%)に調整し、湿度20%(低湿度)に調湿した容器に入れて25℃で保存し、該容器から光学的立体造形用樹脂組成物の一定量を経時的に採取して、水分の含量を測定すると共に、該採取した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、以下の(3)の方法で光学的立体造形を行ない、光造形時の光学的立体造形用樹脂組成物の硬化性能を上記した方法で評価した。その結果を下記の表1に示す。
(3)光学的立体造形:
上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物、または上記(2)の(ii)または(iii)で調湿した容器中に20日間保存した後の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(帝人製機株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型」(出力1000mW;波長355nm)を表面に対して垂直に照射して、液面での照射エネルギー100mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mmで光学的立体造形を行って、JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片とJIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表1に示す。
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)において、1,6−ヘキサンジオール3.5部の代わりにt−ブタノール3.5部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の水分の含量を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように2259ppm(0.2259質量%)であった。
(2) 上記(1)で調製した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(ii)および(iii)と同じ吸湿試験をそれぞれ行って、光造形時の光学的立体造形用樹脂組成物の硬化性能を上記した方法で評価した。その結果を下記の表2に示す。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物、または上記(2)の(ii)または(iii)の吸湿試験において調湿した容器中に20日間保存した後の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)におけるのと同様にして光学的立体造形を行って、JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片とJIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表2に示す。
Figure 2009062449
Figure 2009062449
上記の表1および表2にみるように、水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)の含有量が50質量%以上であるカチオン重合性有機化合物(A)、ラジカル重合性有機化合物(B)、カチオン重合開始剤(C)およびラジカル重合開始剤(D)を本発明で規定する量で含有し、且つ上記の一般式(II)で表される2官能性ヒドロキシ化合物(E)の範疇に含まれる1,6−ヘキサンジオールを1〜10質量%の範囲内の量で含有する実施例1の光学的立体造形用樹脂組成物は、未硬化状態で高湿度下に長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持することができ、また低湿度下に長期間保存しても水分含量が極端に低下せず光硬化性を維持することができ、活性エネルギー線を照射して造形したときに力学的特性などに優れる光学的立体造形物を円滑に製造することができる。
それに対して、1,6−ヘキサンジオールの代わりにt−ブタノールを用いた比較例1の光学的立体造形用樹脂組成物は、60%の高湿度下では経時的な吸湿が大きくて14日後には硬化性能が不良になり、一方20%の低湿度下では樹脂組成物中の水分含量の経時的な減少が大きく、硬化性能が4日後にはやや不良になり、6日後に不良になった。
《実施例2》
実施例1の(1)で調製したのと同じ光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)と同様の光学的立体造形を行って、長方形状の紐状光造形物(長さ×幅×厚さ=200mm×10mm×1mm)を製造し、当該紐状光造形物の吸湿性(吸湿による伸び率)を上記した方法で測定したところ、温度25℃および湿度80%で5日間保存後の伸び率は0.16%、10日間保存後の伸び率は0.23%、15日間保存後の伸び率は0.26%および20日間保存の伸び率は0.26%であり、吸湿による伸びが極めて小さく、寸法安定性に優れていた。
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)において、1,6−ヘキサンジオール3.5部の代わりに1,6−ヘキサンジオール15部を用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして光学的立体造形用樹脂組成物を調製した。これにより得られた光学的立体造形用樹脂組成物の水分の含量を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すように2340ppm(0.2340質量%)であった。
(2) 上記(1)で調製した光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(ii)と同じ吸湿試験を行って、光造形時の光学的立体造形用樹脂組成物の硬化性能を上記した方法で評価した。その結果を下記の表3に示す。
(3) 上記(1)で得られた光学的立体造形用樹脂組成物、または上記(2)の吸湿試験において調湿した容器中に6日間保存した後の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、実施例1の(3)におけるのと同様にして光学的立体造形を行って、JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片とJIS K−7171に準拠したバー形状の試験片を作製し、その物性を上記した方法で測定した。その結果を下記の表3に示す。
Figure 2009062449
本発明の光学的立体造形用樹脂組成物は、未硬化状態で高湿度下に長期間保存しても水分や湿気の吸収が少なくて、長い時間にわたって高い硬化感度(活性エネルギー線感受性)を維持することができ、更には低湿度下に長期間保存しても水分含量が極端に低下せず光硬化性を維持することができ、活性エネルギー線を照射して造形したときに短縮された造形時間で、造形精度、寸法精度、耐水性、耐湿性、力学的特性に優れる光学的立体造形物を円滑に且つ生産性良く製造することができる。そのため、本発明の光学的立体造形用樹脂組成物を用いて、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、高い造形速度および寸法精度で円滑に得ることができる。

Claims (5)

  1. (i) 光学的立体造形用樹脂組成物の全質量に基づいて、カチオン重合性有機化合物(A)を30〜80質量%、ラジカル重合性有機化合物(B)を10〜40質量%、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤(C)を0.1〜10質量%、活性エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(D)を0.1〜10質量%および2官能性ヒドロキシ化合物(E)を1〜10質量%の割合で含有する光学的立体造形用樹脂組成物であって;
    (ii) カチオン重合性有機化合物(A)として、下記の一般式(I);
    Figure 2009062449
    (式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
    で表される水素添加ビスフェノール系ジグリシジルエーテル(I)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて50質量%以上の割合で含有し;且つ、
    (iii) 2官能性ヒドロキシ化合物(E)が、下記の一般式(II);

    HO−R2−OH (II)

    (式中、R2は、炭素数5〜8の直鎖状または分岐状アルキレン基を示す。)
    で表される2官能性ヒドロキシ化合物のうちの少なくとも1種である;
    ことを特徴とする光学的立体造形用樹脂組成物。
  2. カチオン重合性有機化合物(A)として、オキセタン化合物(F)を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて1〜50質量%の割合で含有する請求項1に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  3. オキセタン化合物(F)として、1分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(F1)と1分子中にオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(F2)を、モノオキセタン化合物(F1):ポリオキセタン化合物(F2)=95:5〜5:95の質量比で用いる請求項2に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
  4. モノオキセタン化合物(F1)が、下記の一般式(III−1a)で表されるモノオキセタン化合物(III−1a)および下記の一般式(III−1b)で表されるモノオキセタン化合物(III−1b)のうちの少なくとも1種であり、ポリオキセタン化合物(F2)が下記の一般式(III−2)で表されるジオキセタン化合物(III−2)のうちの少なくとも1種である請求項3に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
    Figure 2009062449
    (式中、R3およびR4は炭素数1〜5のアルキル基、R5はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基、2個のR6は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R7は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、mは0または1を示す。)
  5. カチオン重合性有機化合物(A)として、エステル結合を有する脂環族ジエポキシ化合物を、カチオン重合性有機化合物(A)の質量に基づいて1〜40質量%の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形用樹脂組成物。
JP2007231175A 2007-09-06 2007-09-06 光学的立体造形用樹脂組成物 Expired - Fee Related JP5205018B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007231175A JP5205018B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 光学的立体造形用樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007231175A JP5205018B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 光学的立体造形用樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009062449A true JP2009062449A (ja) 2009-03-26
JP5205018B2 JP5205018B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=40557329

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007231175A Expired - Fee Related JP5205018B2 (ja) 2007-09-06 2007-09-06 光学的立体造形用樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5205018B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011051332A (ja) * 2009-06-23 2011-03-17 Cmet Inc 光造形装置および光造形方法
WO2016098636A1 (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 富士フイルム株式会社 3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインク組成物、3次元造形方法、及び、3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインクセット
JP2017179168A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社Adeka 硬化性組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法
WO2023145580A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 Agc株式会社 ジエポキシ化合物、硬化性組成物、硬化物および光学部材

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5674922A (en) * 1995-07-21 1997-10-07 Toagosei Co., Ltd. Active energy beam-curable compositions comprising oxetane compounds
JPH09278935A (ja) * 1996-04-09 1997-10-28 Asahi Denka Kogyo Kk 光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形法
US5981616A (en) * 1996-12-13 1999-11-09 Dsm N.V. Photo-curable resin composition used for photo fabication of three-dimensional objects
JP2004217934A (ja) * 2003-01-13 2004-08-05 Three D Syst Inc オキセタン化合物を含有するステレオリソグラフィー用樹脂
WO2009005576A1 (en) * 2007-06-27 2009-01-08 Dsm Ip Assets B.V. Clear and colorless three-dimensional articles made via stereolithography and method of making said articles

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5674922A (en) * 1995-07-21 1997-10-07 Toagosei Co., Ltd. Active energy beam-curable compositions comprising oxetane compounds
JPH09278935A (ja) * 1996-04-09 1997-10-28 Asahi Denka Kogyo Kk 光学的立体造形用樹脂組成物および光学的立体造形法
US5981616A (en) * 1996-12-13 1999-11-09 Dsm N.V. Photo-curable resin composition used for photo fabication of three-dimensional objects
JP2004217934A (ja) * 2003-01-13 2004-08-05 Three D Syst Inc オキセタン化合物を含有するステレオリソグラフィー用樹脂
WO2009005576A1 (en) * 2007-06-27 2009-01-08 Dsm Ip Assets B.V. Clear and colorless three-dimensional articles made via stereolithography and method of making said articles

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011051332A (ja) * 2009-06-23 2011-03-17 Cmet Inc 光造形装置および光造形方法
WO2016098636A1 (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 富士フイルム株式会社 3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインク組成物、3次元造形方法、及び、3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインクセット
JPWO2016098636A1 (ja) * 2014-12-16 2017-08-17 富士フイルム株式会社 3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインク組成物、3次元造形方法、及び、3d印刷用活性光線硬化型インクジェットインクセット
JP2017179168A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 株式会社Adeka 硬化性組成物、その硬化物、および硬化物の製造方法
WO2023145580A1 (ja) * 2022-01-31 2023-08-03 Agc株式会社 ジエポキシ化合物、硬化性組成物、硬化物および光学部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP5205018B2 (ja) 2013-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5478016B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP4925900B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5280615B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP4969137B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5210645B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5266131B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5280610B2 (ja) 安定性の向上した活性エネルギー線硬化性の光学的立体造形用樹脂組成物
JP5111774B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JPWO2004113056A1 (ja) 三次元構造体およびその製造方法
WO2009145167A1 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP6091342B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5205018B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP6348702B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP3974336B2 (ja) 光学的立体造形用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2013151703A (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP2009203306A (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP4795630B2 (ja) 靱性に優れた光学的立体造形用樹脂組成物
JP2018053133A (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP5302022B2 (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP2007238828A (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP2008063514A (ja) 光学的立体造形用樹脂組成物
JP4993535B2 (ja) 立体造形物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20100805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5205018

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees