JP2009062364A - 生体内のプラスマローゲン増加剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】あぶらな科植物の種子油、例えば、ハイエルシン菜種油、からし油、たねつけばな種子油、キャベツ種子油、及びかえで種子油、ホホバワックス等に比較的多く含まれている炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分とする、プラスマローゲン増加剤、飲食物、又は医薬組成物によって前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
Description
しかしながら、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸を摂取することにより生体内のプラスマローゲンが増加することは知られていなかった。
従って、本願発明の課題は、生体内においてプラスマローゲンの濃度を上昇させることのできる、プラスマローゲン増加剤、飲食物、又は医薬組成物を提供することである。
本発明によるプラスマローゲン増加剤の好ましい態様においては、前記炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである。
また、本発明は炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物を有効成分として含むことを特徴とする、プラスマローゲンの低下又は消失に起因する疾患の予防又は治療用医薬組成物にも関する。
本発明による医薬組成物の好ましい態様においては、前記疾患が、動脈硬化症、心筋梗塞、及び脳梗塞から選択される疾患である。
また、本発明による医薬組成物の好ましい態様においては、前記炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである。
更に、本発明は、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物を有効成分として含むことを特徴とする、プラスマローゲンを上昇させる飲食品にも関する。
本発明による飲食品の好ましい態様においては、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである。
更に、本発明による飲食物は、特殊な原料を使用することなく製造することが可能であり、毎日の飲食により生体内のプラスマローゲンを有意に増加させることができる。従って、飲食物の摂取のみで、プラスマローゲンの低下又は消失に起因する疾患の予防又は治療に有用である。また、本発明の飲食物に含有される炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物は、広範な飲食物に使用することが可能であり、風味良好な飲食品を容易に取得することができる。
本発明の生体内のプラスマローゲン増加剤は、直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有するが、直鎖モノ不飽和脂肪酸の炭素数の下限は16以上、好ましくは18以上、炭素数の上限は26以下、好ましくは24以下である。また、本発明の生体内のプラスマローゲン増加剤は、炭素数20以上、好ましくは20〜24の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有することもできる。
上記炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(C16:1、n−9)、オレイン酸、(C18:1、n−9)、カドレイン酸(エイコセン酸)(C20:1,n−9)、エルカ酸(エルシン酸)(C22:1,n−9)、ネルボン酸(C24:1,n−9)を挙げることができ、本発明ではこれらの1種又は2種以上を使用することができる。本発明に用いることのできる直鎖モノ不飽和脂肪酸は、1つの不飽和の炭素結合を有し、末端にカルボキシル基を有するものである。また自然界に存在している直鎖モノ不飽和脂肪酸はcis型である。
本発明の生体内のプラスマローゲン増加剤は、その性状としては、例えば液状、ペースト状、粉末状、顆粒状など、いずれの形状であってもよい。
[2]飲食品
本発明の飲食品は、直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有するが、直鎖モノ不飽和脂肪酸の炭素数の下限は16以上、好ましくは18以上、炭素数の上限は26以下、好ましくは24以下である。また、本発明の飲食品は、炭素数20以上、好ましくは20〜24の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有することもできる。更に、本発明の飲食品は、前記の炭素数16以上、好ましくは16〜26、より好ましくは18〜24、又は20〜24の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有するプラスマローゲン増加剤を含有することもできる。
本発明の飲食品に用いることのできる炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸としては、前記プラスマローゲン増加剤において用いることのできる直鎖モノ不飽和脂肪酸、又はその誘導体を同じように用いることができるが、例えば、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(C16:1、n−9)、オレイン酸、(C18:1、n−9)、カドレイン酸(エイコセン酸)(C20:1,n−9)、エルカ酸(エルシン酸)(C22:1,n−9)、ネルボン酸(C24:1,n−9)を挙げることができ、本発明ではこれらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の飲食品は、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸を含有することにより、生体内において、プラスマローゲン量を増加させることが可能であり、機能性食品又は健康食品(飲料を含む)として用いることができる。また、動物には、飼料として与えることも可能である。
本発明の医薬組成物は、直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有するが、直鎖モノ不飽和脂肪酸の炭素数の下限は16以上、好ましくは18以上、炭素数の上限は26以下、好ましくは24以下であり、生体内のプラスマローゲン量を増加させることが可能である。また、本発明の医薬組成物は、炭素数20以上、好ましくは20〜24の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有し、生体内のプラスマローゲン量を増加させることも可能である。更に、本発明の医薬組成物は、前記の炭素数16以上、好ましくは16〜26、より好ましくは18〜24、又は20〜24の直鎖モノ不飽和脂肪酸を有効成分として含有するプラスマローゲン増加剤を含有することもできる。
本発明の医薬組成物に用いることのできる炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸としては、前記プラスマローゲン増加剤において用いることのできる直鎖モノ不飽和脂肪酸、又はその誘導体を同じように用いることができるが、例えば、炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(C16:1、n−9)、オレイン酸、(C18:1、n−9)、カドレイン酸(エイコセン酸)(C20:1,n−9)、エルカ酸(エルシン酸)(C22:1,n−9)、ネルボン酸(C24:1,n−9)を挙げることができ、本発明ではこれらの1種又は2種以上を使用することができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
経口の医薬品は、特に限定されるものではなく、例えば、カゼ薬、胃腸薬、頭痛薬等を挙げることができる。
更に、投与形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、機能性食品や健康食品(飲料を含む)、又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。
本発明の飲食品や医薬品を経口摂取する場合の摂取量は、前記のとおり、例えば成人の場合、遊離の炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸量として1日当たり100mg〜40g、より好ましくは400mg〜20g、最も好ましくは1g〜15g摂取できる量である。
6週齢のWistar−ST系雄ラットをステンレスケージに個別に入れて飼育し、飼料及び水(水道水)を自由に摂取させた。毎朝同一時刻に体重及び摂食量を計測した。試験飼料は毎日、飲水は3日毎に交換した。なお、飼育室を、室温23±1℃、湿度60%前後、明暗周期を12時間(明期8:00〜20:00、暗期20:00〜8:00)に設定した。
AIN93Gに準じた精製飼料(基本食)で5日間飼育した後、基本食の大豆油の一部をエルシン酸含量の高いハイエルシン菜種油(オレイン酸14%、カドレイン酸4%、エルカ酸51%、ネルボン酸1%)に置き換えた2%菜種油添加飼料(実施例1)、4%菜種油添加飼料(実施例2)、6%菜種油添加飼料(実施例3)又は対照群としての無添加標準飼料(比較例1)を、各群6匹ずつに自由に摂取させた。
基本食(コントロール食)及びハイエルシン菜種油を添加したAIN93Gに準じた精製飼料(試験食)の各組成を下記の表1に示す。
採取した腹部大動脈血(10mL)は、3000rpmで10分間遠心分離し、血球成分と血漿を分け、血漿200μLに1%KCl溶液800μL加えた後、メタノール2.5mL、クロロホルム1.25mLを順に加える毎に超音波破砕機で混合、30分程おいた後、クロロホルム1.25mL、1%KCl溶液1.25mLを順に加え混合した。遠心分離(3000rpm、4℃、10分間)した後下層を採取し、残った上清に再度クロロホルム1mLを加えて振とうし、同様に遠心分離して下層を採取して先程の下層と合わせた。これを4mLになるようにメスアップしたものを全量エッペンチューブにとって乾固させ、メタノール200μLを加え、HPLCに供した。
肝臓は凍結乾燥後、すりつぶし、肝臓100mgを秤量し、血漿と同様に抽出後、4mLにメスアップしたものから800μLをエッペンにとって乾固し、メタノール200μLを加えHPLCに供した。
心臓は、凍結乾燥させすりつぶした後、乾燥心臓100mgを肝臓と同じように処理し、HPLCに供した。
プラスマローゲンにはコリン型とエタノールアミン型があり、これらは肝臓で合成されてリポタンパク質成分として血中に分泌される。生合成経路として、コリン型はエタノールアミン型から合成される。本実施例では、血清プラスマローゲンのリン脂質クラスに当たる、コリン型プラスマローゲンとエタノールアミン型プラスマローゲンとを分別定量し、CP(コリン型プラスマローゲン)量、EP(エタノールアミン型プラスマローゲン)量、及び、CP+EP(総プラスマローゲン)量を求めた。
プラスマローゲン定量(EPとCP分別定量)は、Anal Biochem.〔Maeba R, Ueta N: Determination of choline and ethanolamine plasmalogens in human plasma by HPLC using radioactive triiodide (1-) ion (125I3-). Anal Biochem. 2004; 331:169-76.〕に記載のメタノール存在下ヨウ素125試薬(iodine-125 reagent)(組成は下記の表2に示す)を調整し、この試薬を用いてプラスマローゲンをヨウ素化した。すなわち、腹部大動脈血、肝臓、心臓からの抽出物40mLに、ヨウ素125試薬10mLを加えた。
また、血漿中の中性脂質、コリン型リン脂質、総コレステロール量は市販の測定キット(TG−ENカイノス、PL−ENカイノス、コレステロールCテストワコー)を用いて測定した。
なお、統計解析には、One−way ANOVAを行い、P値が0.05以下の場合にDuncan’s Multiple Range Testを用いて平均値間の有意差を判定した。
図1〜図5に結果を示す。図1は各群における腹部大動脈血中の血漿に含まれる総プラスマローゲン濃度とEP濃度、CP濃度(μmol/mL)、CP/EP比を示したグラフである。図2は、各群における肝臓組織に含まれる総プラスマローゲン量とEP量、CP量(nmol/g乾燥重量)、CP/EP比を示したグラフである。図3は、各群における心臓組織に含まれる総プラスマローゲン量とEP量、CP量(nmol/g乾燥重量)、CP/EP比を示したグラフである。また、図4は、各群における血漿中の中性脂質濃度(mg/dL)を示したグラフである。図5は、各群における血漿中のコリン型リン脂質濃度(mg/dL)を示したグラフである。なお、表3に示すように、各群はいずれも初期体重、最終体重に差は見られず、また、飼育期間中に摂食量にも差は見られなかった。また、肝臓、心臓の臓器重量の異常も見られず、エルシン酸摂取による成長阻害、心臓障害は認められなかった。
しかし、図2に示すように肝臓組織中でのプラスマローゲン量の増加は見られなかった。
図4に示すように、血漿中中性脂質は各群において、有意差は見られなかったが、6%菜種油食摂取群で減少傾向が見られた。
図5に示すように、血漿中コリン型リン脂質濃度はハイエルシン菜種油摂取量依存的に上昇し、4%又は6%菜種油添加飼料では基本飼料群に比べ有意に増加した。
以上より、エルシン酸の摂取は体内でのプラスマローゲン合成を促進し、プラスマローゲン量を増加させることが示された。
6週齢のWistar−ST系雄ラットをステンレスケージに個別に入れて飼育し、飼料及び水(水道水)を自由に摂取させた。毎朝同一時刻に体重及び摂食量を計測した。試験飼料は毎日、飲水は3日毎に交換した。なお、飼育室を、室温23±1℃、湿度60%前後、明暗周期を12時間(明期8:00〜20:00、暗期20:00〜8:00)に設定した。
AIN93Gに準じた精製飼料(基本食)で7日間飼育した後、基本食の大豆油の一部をオレイン酸含量の高いハイオレイックひまわり油(オレイン酸88%)、ホホバワックスを基準油脂分析試験法2,3,8−1996に従って得た分解脂肪酸を、A. R. Medinaらの方法(J. Biotechnology, 70, 379-391, 1999)に準じ、Novozym435を触媒としてグリセロールとエステル化して得た合成ホホバ油(オレイン酸7%、カドレイン酸74%、エルカ酸15%、ネルボン酸2%)、エルシン酸含量の高いハイエルシン菜種油(オレイン酸14%、カドレイン酸4%、エルカ酸51%、ネルボン酸1%)、及びルナリア種子油(オレイン酸23%、カドレイン酸1%、エルカ酸48%、ネルボン酸19%)に置き換えた、4%ひまわり油添加飼料(実施例4)、4%合成ホホバ油添加飼料(実施例5)、4%菜種油添加飼料(実施例6)、及び4%ルナリア種子油添加飼料(実施例7)、又は対照群としての無添加標準飼料(比較例2)を、各群7匹ずつに自由に摂取させた。
基本食(コントロール食)及び上記4種の油脂を添加したAIN93Gに準じた精製飼料(試験食)の各組成を下記の表4に示す。
図6及び図7に結果を示す。図6は各群における腹部大動脈血中の血漿に含まれるEP濃度を示したグラフである。図7は各群における肝臓に含まれるEP濃度を示したグラフである。なお、表5に示すように、各群はいずれも初期体重、最終体重に差は見られず、また、飼育期間中に摂食量にも差は見られなかった。
以上より、オレイン酸、カドレイン酸、エルシン酸、ネルボン酸の摂取は体内でのプラスマローゲン合成を促進し、血清中プラスマローゲン量を増加させることが示された。
Claims (7)
- 炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物を有効成分として含むことを特徴とする、プラスマローゲン増加剤。
- 前記炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである、請求項1に記載のプラスマローゲン増加剤。
- 炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物を有効成分として含むことを特徴とする、プラスマローゲンの低下又は消失に起因する疾患の予防又は治療用医薬組成物。
- 前記疾患が、動脈硬化症、心筋梗塞、及び脳梗塞から選択される疾患である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 前記炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである、請求項3又は4に記載の医薬組成物。
- 炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物を有効成分として含むことを特徴とする、プラスマローゲンを上昇させる飲食品。
- 炭素数16以上の直鎖モノ不飽和脂肪酸化合物がエステルである、請求項6に記載の飲食品。
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WO2000056329A1 (fr) * | 1999-03-19 | 2000-09-28 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Preventifs et remedes de l'artheriosclerose |
JP2007033410A (ja) * | 2005-07-29 | 2007-02-08 | Teikyo Univ | 疾病検査法 |
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