JP2009062329A - ホモピペラジン誘導体を有効成分とする糖化最終産物形成阻害剤 - Google Patents

ホモピペラジン誘導体を有効成分とする糖化最終産物形成阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なAGE形成阻害剤を提供すること。
【解決手段】次の一般式(1)
【化1】
Figure 2009062329

[式中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアシロキシ基又はC〜Cアルキルカルボナート基を示し、
m及びnは、それぞれ独立して、2又は3で示される整数を示す。]で表されるホモピペラジン誘導体若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、糸球体病変における不可逆的蛋白修飾による糖尿病性腎症の発症又は進展に対する予防及び/又は治療に有用な薬剤に関する。
現在、本邦では糖尿病患者、糖尿病が疑われる患者及び糖尿病予備群が約2千万人存在するといわれている。糖尿病を起因とした合併症のうち、糖尿病性腎症の発症率は年々増加の推移をたどり、すでに慢性糸球体腎炎の発症率を上回り第一位となっている。
糖尿病性腎症が発症した場合における最大の問題点は、末期腎不全即ち透析への移行率が、非常に高いことにある。また、糖尿病性腎症による透析への移行は医療費高騰等の社会的に大きな問題となっている。そこで、糖尿病性腎症に関わる治療剤、又は予防を期待できる薬剤が強く望まれている。
糖尿病性腎症の成因には、(1)遺伝的素因をはじめとして、(2)糸球体血行動態変化、(3)グリケーションの亢進やカルボニル・酸化ストレスにより生じた糖化最終産物(Advanced Glycation End Products(以下、「AGE」と称する))の蓄積、(4)Protein Kinase Cの活性化や、(5)ポリオール代謝の亢進など、様々な因子の関与が考えられている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。
現在、糖尿病性腎症の治療現場では、糸球体血行動態の改善を主目的としたアンジオテンシン変換酵素阻害剤(以下、「ACE阻害剤」と称する)やアンジオテンシンIIの1型受容体拮抗剤(以下、「ARB」と称する)が汎用されており、基礎のみならず臨床的なevidenceが報告されている(非特許文献6、非特許文献7)。しかしながら、これらの多くは血圧降下剤として認可されており、糖尿病性腎症の治療剤としての認可はほとんどなされていない。単に、糖尿病性腎症の患者の多くは高血圧であることから、これらが汎用されているに過ぎない。なお、ACE阻害剤の塩酸イミダプリルは1型糖尿病性腎症の治療剤として初めて認可されたものの、糖尿病性腎症に対する治療又は予防的作用を有する薬剤はほとんどなく、新規な薬剤の登場が切望されている。
そこで次の糖尿病性腎症の治療剤として、AGE形成阻害剤が注目を浴びている。AGEで修飾されたタンパクは腎循環動態、腎糸球体基底膜の濾過機構等、多数の腎機能に悪影響を及ぼし、また、AGE自身がメサンギウム細胞等の腎構成細胞に多数存在するAGE関連受容体(例えば、Receptor for AGE:RAGE)に作用して、サイトカインや増殖因子等の障害因子を産生させることが報告されている(非特許文献8)。従って、AGEの形成を抑制することは、糖尿病性腎症の進展抑制に繋がると考えられる。
アミノグアニジンは、反応性カルボニル化合物(3−デオキシグルコソン、メチルグリオキサールなど)の捕捉作用、酸素ラジカル(特に、ヒドロキシラジカル)の捕捉作用及び金属キレート形成作用により、AGEの形成を阻害すると考えられており、AGE阻害に基づく糖尿病性腎症の治療剤として、最初に本格的な研究がなされた化合物である。しかし、これはすでに臨床治験も終了したが、いまだ実用化には至っていない。(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)。
また、その他のAGE形成阻害剤としてはアミノグアニジンの誘導体であるOPB−9195、LR−90、ALT−946、天然化合物及びその類縁体であるチアミン(ビタミンB)、チアミンピロリン酸、ベンフォチアミンなど幾つかの化合物が知られている(非特許文献12)が、いずれも実用化には至っていない。
その一方で後記一般式(1)で示されるようなホモピペラジン構造を骨格として持つAGE形成阻害剤は知られていなかった。
Cooper, ME. et al.; Lancet, 352, 213-219, 1998. 槙野博史;糖尿病性腎症 発症・進展機序と治療:80−121,1999年;診断と治療社 Bohlender, J. et al.; Am. J. Physiol. Renal Physiol., 289, F645-F659, 2005 D, Jay. et al.; Free Radical Biology & Medicine, 40, 183-192, 2006 Vinik, A.; Expert Opin. Investig. Drugs, 14(12), 1547-1559, 2005 Masakuni, N. et al.; Jpn. J. Pharmacol., 85: 416-422, 2001 Rossing, K. et al.; Diabetes Care., 28(9): 2106-2112, 2005 Locatelli, F. et al.; Nephrol. Dial. Transplant., 18(9): 1716-25, 2003 Price, DL. et al.; J. Biol. Chem., 276, 48967-48972, 2001 Abdel-Rahman, E. et al.; Expert Opin. Investig. Drugs., 11(4): 565-574, 2002 Mark E. et al.; Current Diabetes Reports., 4: 441-446, 2004 今泉勉 ほか;AGEs研究の最前線:209−217,2004年;メディカルレビュー社
本発明は、新規なAGE形成阻害剤を提供することにある。AGE形成阻害剤は糸球体病変における不可逆的蛋白修飾による糖尿病性腎症の発症及び進展に対する予防又は治療に有用である。また、原疾患が糖尿病性腎症と診断されていない患者であっても、慢性糸球体腎炎や高血圧性腎症などの糸球体疾患により透析移行している患者の多くは血漿中のAGEが著しく増加しているという周知の事実から、AGE形成阻害剤は糖尿病性腎症のみならず、慢性糸球体腎炎や高血圧性腎症なども含めた糸球体疾患に対する予防又は治療に有用である。
上記実情に鑑み、本発明者らは、AGE形成阻害作用を持つ化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表されるホモピペラジン誘導体が、AGEの一種であるペントシジンを指標にしたin vitro系での阻害試験において、アミノグアニジンと比較して、強いAGE形成阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 2009062329
[式中、R、R、R、R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアシロキシ基又はC〜Cアルキルカルボナート基を示し、
m及びnは、それぞれ独立して、2又は3で示される整数を示す。]で表されるホモピペラジン誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物で表される化合物を有効成分とするAGE形成阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、一般式(1)で示されるホモピペラジン誘導体が、N,N’−[3−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン、N−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]−N’−[2−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、N,N’−[3−(4−炭酸エチル−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン、及びN,N’−[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジンからなる群から選ばれる化合物である、AGE形成阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、一般式(1)で表されるAGE形成阻害剤を有効成分とする糸球体疾患の予防又は治療剤を提供するものである。
さらに、本発明は、一般式(1)で表されるAGE形成阻害剤を有効成分とする糖尿病性腎症の予防又は治療剤を提供するものである。
本発明の一般式(1)で表されるホモピペラジン酸誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、後記試験例に示すように、優れたAGE形成阻害作用を示し、糸球体疾患の予防及び/又は治療剤、特に糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤として有用である。
本発明中、「C〜Cアルキル基」とは、炭素数1乃至6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基又は2−エチルブチル基であり、好適には、C〜Cアルキル基である。
「C〜Cアルキル基」とは、炭素数1乃至4個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基である。
本発明中、「C〜Cアルキルオキシ基」とは、炭素数1乃至6個の直鎖状又は分岐状のアルキルオキシ基を意味し、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、2−メチルブチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基又は2−エチルブチルオキシ基であり、好適には、C〜Cアルキルオキシ基である。
「C〜Cアルキルオキシ基」とは、炭素数1乃至4個の直鎖状又は分枝状のアルキルオキシ基を意味し、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基又はt−ブチルオキシ基であり、より好適には、メチルオキシ基が挙げられる。
本発明において、「C〜Cアシロキシ基」とは、カルボニル基の炭素を含んで炭素数2乃至6個の直鎖状又は分岐状のアシロキシ基を意味し、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はクロトノイルオキシ基を挙げることができ、好適には、C〜Cアシロキシ基である。
「C〜Cアシロキシ基」とは、炭素数2乃至4個の直鎖状又は分枝状のアシロキシ基を意味し、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、より好適には、アセトキシ基が挙げられる。
本発明において、「C〜Cアルキルカルボナート基」とは、前記「C〜Cアルキルオキシ基」がカルボニルオキシ基に結合した基、すなわち炭素数1乃至6個の直鎖状又は分岐状のアルキルカルボナート基を意味し、例えば、メチルカルボナート基、エチルカルボナート基、プロピルカルボナート基、イソプロピルカルボナート基、ブチルカルボナート基、イソブチルカルボナート基、s−ブチルカルボナート基、t−ブチルカルボナート基、ペンチルカルボナート基、イソペンチルカルボナート基、2−メチルブチルカルボナート基、ネオペンチルカルボナート基、1−エチルプロピルカルボナート基、ヘキシルカルボナート基、イソヘキシルカルボナート基、4−メチルペンチルカルボナート基、3−メチルペンチルカルボナート基、2−メチルペンチルカルボナート基、1−メチルペンチルカルボナート基、3,3−ジメチルブチルカルボナート基、2,2−ジメチルブチルカルボナート基、1,1−ジメチルブチルカルボナート基、1,2−ジメチルブチルカルボナート基、1,3−ジメチルブチルカルボナート基、2,3−ジメチルブチルカルボナート基、1−エチルブチルカルボナート基又は2−エチルブチルカルボナート基であり、好適には、C〜Cアルキルカルボナート基である。
「C〜Cアルキルカルボナート基」とは、炭素数1乃至4個の直鎖状又は分枝状のアルキルカルボナート基を意味し、例えば、メチルカルボナート基、エチルカルボナート基、プロピルカルボナート基、イソプロピルカルボナート基、ブチルカルボナート基、イソブチルカルボナート基、s−ブチルカルボナート基又はt−ブチルカルボナート基であり、より好適には、メチルカルボナート基が挙げられる。
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好適には、塩素原子又は臭素原子である。
本発明の、一般式(1)におけるR,R,R及びRとしては、C〜Cアルキルオキシ基が好ましく、C〜Cアルキルオキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
本発明の、一般式(1)におけるR及びRとしては、水酸基、C〜Cアルキルオキシ基又はC〜Cアシロキシ基が好ましい。C〜Cアルキルオキシ基としては、C〜Cアルキルオキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。C〜Cアシロキシ基としては、C〜Cアシロキシ基がより好ましく、アセトキシ基が特に好ましい。
本発明の、一般式(1)の好適な様態として、R,R,R及びRがC〜Cアルキルオキシ基であり、R及びRが水酸基及びC〜Cアシロキシ基からなる群より選ばれる時、m及びnとしては、3を挙げることができる。
本発明の、一般式(1)の好適な様態として、R,R,R及びRがC〜Cアルキルオキシ基であり、R及びRがC〜Cアルキルオキシ基である時、m及びnとしては、2を挙げることができる。
本発明の、一般式(1)のより好適な様態として、N,N’−[3−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン、N−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]−N’−[2−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、N,N’−[3−(4−炭酸エチル−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン又はN,N’−[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジンが挙げることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、公知の方法(特開平3−002144等に記載の方法)に従い製造することができる。
Figure 2009062329
[式中、R,R,R,m及びnは前記と同じものを示し、Xは、ハロゲン原子を示す。ただし、ここでは、R,R及びRに代えて、R,R及びRで示す]
すなわち、フェニルイソシアネート誘導体(II)とホモピペラジン誘導体(IV)とを公知の方法で反応させ、ウレタン結合を有するホモピペラジン誘導体(1)を製造することができる。フェニルイソシアネート誘導体(II)は、対応するベンゾイルハロゲナイド(III)とアジ化ナトリウムとを公知の方法で反応させることにより製造することができる。ホモピペラジン誘導体(IV)は、ホモピペラジンと対応するハロヒドリンとを公知の方法で反応させることにより製造することができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、上記方法によって得られるが、さらに必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段を用いて精製することができる。また必要に応じて、常法によって前記した所望の溶媒和物にすることもできる。
また、一般式(1)で表される化合物は、水和物に代表される任意の溶媒和物を形成することができ、これらの溶媒和物も本発明に包含される。
また、一般式(1)で表される化合物は、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸、及びマレイン酸塩等の有機酸塩に代表される任意の塩を形成することができ、これらの塩も本発明に包含される。
さらに、一般式(1)で表される化合物に光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、これらすべての異性体が本発明に包含される。
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有するものであって、単独で用いてよいが、通常は薬学的に許容される担体、添加物等を配合して使用される。医薬組成物の投与形態は、特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。斯かる剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等を挙げることができる。
これらの製剤は、その剤形に応じて製剤学上使用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合、希釈又は溶解し、常法に従い製造することができる。
例えば、散剤の場合は、必須成分のほかに、必要に応じて適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和して調製すればよい。錠剤の場合は、必要に応じて適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を加え、常法に従い打錠して調製すればよい。また錠剤は必要に応じてコーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠等にすることができる。
また、注射剤の場合は、液剤(無菌水又は非水溶液)、乳剤及び懸濁剤の形態とすることができる。これらに用いられる非水担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルとしては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機酸エステルが挙げられる。また、該組成物には防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を適宜配合することができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して1日1〜1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
血液透析患者の血漿を用いてのAGE形成阻害作用
血液透析患者の血漿中AGE(指標:ペントシジン)の測定はMiyataらの報告に従って実施した(Miyata, T. et al: J Am Soc Nephrol, 13, 2478-2487, 2002)。血液透析患者の血漿0.9mLをアミノグアニジン又は各被検薬物の存在下(添加量は0.1mL)で、37℃で7日間反応した。アミノグアニジン及び各被検薬物の最終濃度は5.0mMとした。なお、アミノグアニジン又は各被検薬物はジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して使用した。DMSOの最終濃度は反応溶液1mL中、反応時における酸化反応に影響しない10%とした。7日間の反応後に、アミノグアニジン又は各被検薬物を添加した血漿中のペントシジンの濃度を以下に示す方法で測定した。
反応溶液0.05mLに等量の10%トリクロロ酢酸(以下、「TCA」と称する)を加え、5000×g、5分間遠心した。上清を除去し、沈殿物を5%TCA0.3mLで洗い、その後凍結乾燥し乾燥させた。次いで、窒素条件下で110℃、16時間6N塩酸0.1mLを添加し、乾燥物を加水分解した。引き続き、5N水酸化ナトリウム0.1mLと0.5Mリン酸緩衝液(pH7.4)0.2mLを添加し中和した。中和溶液は、口径0.5μmのフイルターを通し、リン酸緩衝液で希釈し、ペントシジン測定用サンプルを調整した。ペントシジン濃度の測定はMiyataらの方法に従って実施した。
表1に、各被検薬物によるペントシジン形成阻害強度を、アミノグアニジンによる形成阻害強度を1.0とした場合における相対値として表した(形成阻害強度はコントロール群を対照においた。コントロール群にはDMSOのみ添加した)。
相対値=(被検薬物の形成阻害率)÷(アミノグアニジンの形成阻害率)
アミノグアニジン及び各被検薬物の反応中における最終濃度は5.0mMに固定した。
各被検薬物の相対値は、いずれもアミノグアニジンによるペントシジン形成阻害強度と同等以上であった。以上から、一般式(1)で表される本発明の化合物は、アミノグアニジンよりも強力なAGE形成阻害作用を有し、さらに強力な治療剤としての可能性が本実験結果より明らかとなった。
Figure 2009062329

Claims (4)

  1. 次の一般式(1)
    Figure 2009062329
    [式中、R、R、R、R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアシロキシ基又はC〜Cアルキルカルボナート基を示し、
    m及びnは、それぞれ独立して、2又は3で示される整数を示す。]で表されるホモピペラジン誘導体若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。
  2. 一般式(1)のホモピペラジン誘導体がN,N’−[3−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン、N−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]−N’−[2−(4−アセチルオキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、N,N’−[3−(4−炭酸エチル−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジン、及びN,N’−[3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルカルバモイルオキシ)プロピル]ホモピペラジンからなる群から選ばれる化合物である請求項1記載のAGE形成阻害剤。
  3. 請求項1又は請求項2記載のAGE形成阻害剤を有効成分とする糸球体疾患の予防及び/又は治療剤。
  4. 糸球体疾患が糖尿病性腎症である請求項3記載の予防及び/又は治療剤。
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