従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を、高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において冷却して固化させることによって成形品を得ることができるようになっている。
そのために、前記射出成形機は、型締装置、射出装置及び金型装置を有し、前記型締装置は、固定プラテン及び可動プラテンを備え、型締用シリンダが可動プラテンを進退させることによって金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
一方、前記射出装置は、ホッパから供給された樹脂を加熱して溶融させる加熱シリンダ、及び溶融させられた樹脂を射出する射出ノズルを備え、前記加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設される。そして、該スクリューを、後端に連結された駆動部によって前進させることにより射出ノズルから樹脂が射出され、前記駆動部によって後退させることにより樹脂の計量が行われる。
図2は従来の射出装置の要部を示す断面図である。
図において、11は加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内に配設されたスクリューであり、前記加熱シリンダ11の後端は、前方射出サポート18に取り付けられ、該前方射出サポート18と所定の距離を置いて後方射出サポート19が配設される。そして、前記前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に連結ロッド21が架設され、該連結ロッド21によって前記前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に所定の距離が保持される。また、前方射出サポート18、後方射出サポート19及び連結ロッド21によって射出枠が構成される。
そして、前記スクリュー12の後端には、カプラ59を介して円形の形状を有する連結体64が一体的に取り付けられ、該連結体64に筒状の支持体65が取り付けられる。なお、前記連結体64及び支持体65によって、スクリュー12と一体に回転する回転摺動部材68が構成される。前記支持体65は、軸方向においてスクリュー12のストローク分の長さを有し、外周面に雄スプライン67が形成される。
前記前方射出サポート18の後端に隣接させて、前方射出サポート18と一体に、かつ、前記回転摺動部材68を包囲して、計量用モータ22が配設され、該計量用モータ22は、計量工程において第1の駆動状態に、射出工程において第2の駆動状態に置かれ、前記第1の駆動状態において前記回転摺動部材68を回転させ、第2の駆動状態において前記回転摺動部材68に伝達される回転を拘束する。
前記計量用モータ22は、前方射出サポート18に取り付けられたステータ25、及び該ステータ25の径方向内方に配設された筒状のロータ26を備え、該ロータ26の後端にスプラインナット27が取り付けられる。
該スプラインナット27は、前記計量用モータ22の第1の駆動状態において発生させられた回転を回転摺動部材68に伝達し、該回転摺動部材68を回転させ、前記計量用モータ22の第2の駆動状態において発生させられた拘束力を回転摺動部材68に伝達し、回転摺動部材68が回転するのを拘束する。そのために、該回転摺動部材68は、ロータ26に対して軸方向に移動自在に配設され、前記連結体64の前端において、該連結体64の外周面とロータ26の内周面とがシール30を介して摺動自在に接触させられ、前記支持体65の後端において、スプラインナット27の内周面に形成された図示されない雌スプラインと前記雄スプライン67とがスプライン係合させられる。
そして、前記前方射出サポート18より後方に、互いに螺合させられたボールねじ軸81及びボールナット82から成るボールねじ83が配設される。前記ボールねじ軸81は、前端から後端にかけて順次形成された小径のシャフト部84、大径のねじ部85、及び射出用モータ23とボールねじ軸81とを連結するための図示されない連結部から成り、前端において、前記回転摺動部材68に対して回転自在に、かつ、軸方向に移動不能に支持され、中央において、ボールナット82に対して回転自在に螺合させられ、支持される。そして、該ボールナット82は、ロードセル96を介して後方射出サポート19に固定される。
次に、前記構成の射出装置の動作について説明する。
まず、計量工程時に、前記計量用モータ22を第1の駆動状態に置いて駆動すると、回転は、スプラインナット27及び回転摺動部材68を介してスクリュー12に伝達され、該スクリュー12を正方向に回転させる。
これに伴って、前記加熱シリンダ11に配設された図示されないホッパから落下した樹脂が溝内を前進させられ、スクリュー12が後退させられ、前記樹脂が、図示されないスクリューヘッドの前方に溜められる。
また、射出工程時に、前記射出用モータ23を駆動すると、該射出用モータ23によって発生させられた回転は、ボールねじ軸81に伝達され、ボールねじ83によって回転運動が回転直進運動に変換される。その結果、ボールねじ軸81が回転しながら前進させられる。このとき、前記計量用モータ22は第2の駆動状態に置かれ、ロータ26の回転速度が制御されて0〔rpm〕にされ、拘束力が発生させられる。そして、該拘束力が前記スプラインナット27を介して回転摺動部材68に伝達され、ボールねじ軸81を介して回転摺動部材68に伝達された回転が拘束される。その結果、回転摺動部材68に一体的に取り付けられたスクリュー12は回転しない状態で前進させられる。
このようにして、該スクリュー12が前進させられると、スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂は、所定の射出力で射出ノズルから射出され、図示されない金型装置のキャビティ空間に充填される。
ところで、前述されたように、前記射出工程時に、射出用モータ23を駆動すると、ボールねじ軸81が回転しながら前進させられ、スクリュー12を前進させる。これに伴って、前記スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂の圧力が高くなり、射出に伴う圧力、この場合、射出力が発生させられる。
このとき、ボールねじ軸81を前進させようとする荷重(力)が発生するのに伴って、ボールナット82を後退させようとする荷重が発生し、ボールねじ軸81を前進させようとする荷重は、スクリュー12に伝達され、スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂の圧力を高くし、該樹脂を介して前記加熱シリンダ11に伝達され、前方射出サポート18、連結ロッド21及び後方射出サポート19を介してロードセル96の外側環状部に伝達される。一方、ボールナット82を後退させようとする荷重は、ロードセル96の内側環状部に伝達される。
したがって、ロードセル96において歪みが発生するのに伴って、射出成形機の図示されない制御部によって、前記ロードセル96のセンサ出力を読み込み、前記射出力を検出するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−159733号公報
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における射出成形機の概念図である。
図において、10は射出装置、fr1は射出成形機の支持台としての、かつ、第1の固定部としてのフレームであり、前記射出装置10は、フレームfr1上に進退自在に配設される。また、該フレームfr1には、図示されない金型装置及び型締装置14が配設される。前記金型装置は、第1の金型としての固定金型及び第2の金型としての可動金型を備え、前記型締装置14は、前記固定金型が取り付けられた第2の固定部としての固定プラテン15、及び可動金型が取り付けられた図示されない可動プラテンを備え、型締用の駆動部としての図示されない型締用シリンダが可動プラテンを進退させることによって、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。そして、前記固定プラテン15は、前記フレームfr1に固定部材としての図示されないボルトによって取り付けられる。
また、前記射出装置10は、フレームfr1上において、固定プラテン15に対して移動自在(進退自在)に配設され、射出装置10を前進させて射出ノズル11aを固定プラテン15に当接させることによってノズルタッチを行うことができるようになっている。そのために、固定プラテン15と射出装置10とが可塑化移動装置16を介して連結される。また、前記射出装置10はベースbs1を備え、該ベースbs1とフレームfr1との間に、射出装置10を固定プラテン15に対して進退自在に支持するための支持要素としてのリニアガイド201、202が配設される。
前記可塑化移動装置16は、可塑化移動用の駆動部としての複数の、本実施の形態においては、1対の可塑化移動ユニット203を備え、該各可塑化移動ユニット203は、油圧シリンダ205、該油圧シリンダ205内で摺動自在に、かつ、進退自在に配設され、油圧シリンダ205内に第1、第2の油室213、214を形成するピストン206、前記油圧シリンダ205と射出装置10とを連結するロッド211、前記ピストン206と固定プラテン15とを連結するロッド212、図示されない油圧供給源から供給された油圧を前記第1、第2の油室213、214にそれぞれ供給するための切換弁215等を有する。なお、可塑化移動装置16をフレームfr1と射出装置10との間に配設することができる。
前記切換弁215を切り換え、油圧供給源から供給された油圧を前記第1の油室213に供給すると、射出装置10が前進させられ、ノズルタッチが行われる。また、前記切換弁215を切り換え、油圧供給源から供給された油圧を第2の油室214に供給すると、射出装置10が後退させられ、射出ノズル11aが固定プラテン15から離される。
本実施の形態においては、可塑化移動装置16として、油圧式のものが使用されるようになっているが、電動式のものを使用することができる。その場合、可塑化移動装置は、可塑化移動用の駆動部としての可塑化移動用モータ、運動方向変換部としてのボールねじ等を備え、可塑化移動用モータを駆動することによってボールねじを作動させると、射出装置10が進退させられる。
該射出装置10において、11はシリンダ部材としての加熱シリンダであり、該加熱シリンダ11の前端に前記射出ノズル11aが取り付けられる。前記加熱シリンダ11内には、射出部材としてのスクリュー12が回転自在に、かつ、進退自在に配設される。
該スクリュー12は、前端にスクリューヘッド12aを備え、前記加熱シリンダ11内を後方に延び、後端において回転支持部材としてのベアリングボックス13に固定される。また、前記スクリュー12の外周面に、螺旋状の図示されないフライトが形成され、該フライトに沿って図示されない溝が形成される。
そして、前記加熱シリンダ11における所定の箇所に図示されない樹脂供給口が形成され、該樹脂供給口に図示されないホッパが固定される。前記樹脂供給口は、スクリュー12を加熱シリンダ11内における最も前方に置いた状態において、前記溝の後端部に対応する箇所に形成される。
したがって、計量工程時に、前記スクリュー12を回転させると、前記ホッパ内から成形材料としてのペレット状の図示されない樹脂が供給され、該樹脂は、加熱シリンダ11内に進入し、溝内を前進させられる。それに伴って、前記スクリュー12は後退させられる。
また、前記加熱シリンダ11の周囲に加熱部材としての図示されないヒータが配設され、該ヒータによって加熱シリンダ11を加熱し、前記溝内の樹脂を溶融させるようになっている。したがって、樹脂の前進に伴って、スクリュー12が所定の量だけ後退させられると、前記スクリューヘッド12aの前方に1ショット分の溶融させられた樹脂が溜められる。なお、加熱シリンダ11の後端には、冷却装置としての水冷シリンダ195が一体に形成され、該水冷シリンダ195に冷却媒体としての図示されない水が、図示されない媒体供給源(温調装置)から供給されるようになっている。したがって、前記加熱シリンダ11の後端を冷却することができ、前記樹脂供給口の近傍の温度を安定させることができるので、樹脂供給口の近傍の樹脂が無用に加熱されるのを防止することができる。
また、射出工程時に、前記スクリュー12を回転させることなく前進させると、前記スクリューヘッド12aの前方に溜められた樹脂は、射出ノズル11aから射出され、前記金型装置のキャビティ空間に充填される。
ところで、前記加熱シリンダ11の後方には、前記スクリュー12を回転させたり進退させたりするための駆動装置91が配設される。該駆動装置91は、射出枠17、該射出枠17内に配設された計量用の駆動部としてのビルトイン型の計量用モータ22、射出枠17より後方に配設された射出用の駆動部としての射出用モータ23等を備え、スクリュー12、計量用モータ22及び射出用モータ23は同一軸線上に配設される。
前記射出枠17は、加熱シリンダ11が取り付けられ、射出枠17の前壁を構成する第1の支持体としての前方射出サポート18、該前方射出サポート18より後方において、前方射出サポート18と対向させて配設され、前記射出枠17の後壁を構成する第2の支持体としての後方射出サポート19、前記前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に架設され、かつ、前方射出サポート18と後方射出サポート19とを連結し、前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に所定の距離を置く複数の、本実施の形態においては、1対の連結部材としての連結ロッド21、該連結ロッド21を前方射出サポート18に対して支持する第3の支持体としての連結部材サポート45、及び前方射出サポート18と連結部材サポート45との間を連結する圧力検出部としての、かつ、荷重検出部としてのロードセル46を備える。そして、前記後方射出サポート19は、前端面において計量用モータ22を保持し、後端面において射出用モータ23を保持する。
前記前方射出サポート18は、下端がベースbs1に固定され、下端及び上端の近傍に前記ロッド211が固定される。そして、前方射出サポート18の中央部に水冷シリンダ195を介して加熱シリンダ11が取り付けられる。また、前方射出サポート18の中央部を貫通して前記スクリュー12が後方に向けて延在させられる。そのために、前記前方射出サポート18の中央部に貫通穴h1が形成され、該貫通穴h1の内周縁に沿って環状のボス部225が形成される。
前記後方射出サポート19は、下端が支持要素としてのベアリング(ころがりベアリング)br1によって支持され、ベースbs1に対して摺動自在に配設され、下端及び上端の近傍で、連結ロッド21の後端が固定される。
また、後方射出サポート19より中央寄りの部分には、前記計量用モータ22が配設され、該計量用モータ22は、計量工程において第1の駆動状態に、射出工程において第2の駆動状態に置かれ、第1の駆動状態において前記ベアリングボックス13を回転させ、第2の駆動状態において前記ベアリングボックス13に伝達される回転を拘束する。そして、前記計量用モータ22は、後方射出サポート19の前端面に取り付けられ、筒状の筐体20、該筐体20の内周面に取り付けられたステータ25、該ステータ25の径方向内方に配設された筒状のロータ26等を備える。
該ロータ26は、筒状の回転体ra、及び該回転体raの外周面に取り付けられた永久磁石rbを備え、後端の径方向内方において、後方射出サポート19に配設されたベアリングbr2によって回転自在に支持されるとともに、前端の径方向内方において、ベアリングボックス13によって回転自在に支持され、前端の径方向外方において、ベアリングbr6によって回転自在に配設される。なお、233はベアリングbr2を後方射出サポート19に対して取り付けるための押え部材としてのベアリング押えである。
そして、前記回転体raの内周面とベアリングボックス13の外周面とがスプライン係合させられ、回転体raは、前記計量用モータ22の第1の駆動状態において発生させられた回転をベアリングボックス13に伝達し、該ベアリングボックス13及びスクリュー12を回転させ、前記計量用モータ22の第2の駆動状態において発生させられた拘束力をベアリングボックス13に伝達し、該ベアリングボックス13及びスクリュー12の回転を拘束する。
一方、前記後方射出サポート19の後端面に、射出用モータ23が取り付けられ、該射出用モータ23は、射出工程において駆動状態に置かれ、該駆動状態において、スクリュー12を前進させる。
前記射出用モータ23は、筒状の筐体241、該筐体241の内周面に取り付けられたステータ242、該ステータ242の径方向内方に配設された筒状のロータ243等を備える。該ロータ243は、筒状の回転体rc、及び該回転体rcの外周面に取り付けられた永久磁石rdを備え、前端及び後端において、筐体241に配設されたベアリングbr3、br4によって回転自在に支持される。なお、筐体241は、筒状部245及びフランジ部246を備える。
そして、前記射出枠17、計量用モータ22及び射出用モータ23内を延在させて伝動軸u1が配設される。該伝動軸u1は、前端に回転支持部を構成するシャフト部84を、中央部において運動方向変換部を構成するねじ部85を、後端において回転伝達部を構成するスプライン部86を備え、前端において、ベアリングボックス13を介してスクリュー12と連結され、後端において射出用モータ23と連結される。前記シャフト部84は、ベアリングボックス13内の複数の、本実施の形態においては、3個のベアリングbr5によって回転自在に支持され、ねじ部85は、ボールねじ軸81を構成し、ボールナット82と螺合し、スプライン部86は、ロータ243の内周面とスプライン係合させられる。
なお、前記ボールねじ軸81及びボールナット82によって運動方向変換装置としてのボールねじ83が構成され、前記ボールねじ軸81によって第1の変換要素が、ボールナット82によって第2の変換要素が構成される。また、前記ベアリングbr1〜br5によって支持部材が構成される。
射出工程において、前記射出用モータ23が駆動状態に置かれ、ステータ242が回転させられると、スプライン部86を介して伝動軸u1に回転が伝達され、ボールねじ83によって回転運動が、回転を伴う直進運動、すなわち、回転直進運動に変換される。
このとき、伝動軸u1の回転は、ベアリングbr5を介してベアリングボックス13に伝達され、ベアリングボックス13を回転させようとするが、計量用モータ22が第2の駆動状態に置かれることによって、回転が拘束される。したがって、回転体raは、回止め部材として機能し、ベアリングボックス13が回転するのを阻止する。その結果、ベアリングボックス13は、前記回転直進運動を直進運動に変換し、直進運動をスクリュー12に伝達し、スクリュー12を前進させる。なお、前記ベアリングボックス13によって伝動部材が構成される。
また、前記連結部材サポート45は環状体から成り、前記連結部材サポート45の内周縁と前記ボス部225との間に前記ロードセル46が取り付けられる。
なお、水冷シリンダ195とボス部225とがボルトbt1によって、後方射出サポート19と連結ロッド21とがボルトbt2によって、後方射出サポート19と筐体20とがボルトbt3によって、後方射出サポート19とベアリング押え233とがボルトbt4によって、後方射出サポート19と筒状部245とがボルトbt5によって、筒状部245とフランジ部246とがボルトbt6によって、連結部材サポート45と連結ロッド21とがボルトbt7によって、連結部材サポート45とロードセル46の外側環状部e1とがボルトbt8によって、ボス部225とロードセル46の内側環状部e2とがボルトbt9によって固定される。なお、前記各ボルトbt1〜bt9によってそれぞれ固定部材が構成される。また、前記外側環状部e1によって第1の受圧部が、内側環状部e2によって第2の受圧部が構成される。
ところで、前述されたように、前記射出工程時に、射出用モータ23を駆動すると、ボールねじ軸81が前進させられ、それに伴ってスクリュー12が前進させられ、スクリューヘッド12aの前方に溜められた樹脂の圧力が高くされる。
このとき、ボールねじ軸81を前進させようとする荷重(力)が発生するのに伴って、ボールナット82を後退させようとする荷重が発生し、ボールねじ軸81を前進させようとする荷重は、ベアリングボックス13を介してスクリュー12に伝達され、スクリューヘッド12aの前方に溜められた樹脂の圧力を高くし、樹脂を介して加熱シリンダ11に伝達され、前方射出サポート18を介してロードセル46の内側環状部e2に伝達される。一方、ボールナット82を後退させようとする荷重は、後方射出サポート19、連結ロッド21及び連結部材サポート45を介してロードセル46の外側環状部e1に伝達される。
したがって、荷重によってロードセル46において歪みが発生するので、射出成形機の図示されない制御部は、前記ロードセル46のセンサ出力を読み込み、射出に伴う圧力としての射出工程時の射出力を検出する。また、射出に伴う圧力として、保圧工程時の保圧力を検出する。
ところで、前記射出工程時に、ボールねじ軸81が回転しながら前進させられるのに伴って、ベアリングボックス13が前進させられるが、このとき、計量用モータ22は第2の駆動状態に置かれ、ボールねじ軸81からベアリングボックス13に伝達される回転が拘束されるようになっている。
そして、回転体raの内周面に形成された雌スプラインとベアリングボックス13の外周面に形成された雄スプラインとがスプライン係合させられているので、前記計量用モータ22が第2の駆動状態に置かれると、ベアリングボックス13の回転が雌スプラインによって阻止される。したがって、ベアリングボックス13は、回転体raによって回転が阻止された状態で前進させられ、前記雌スプラインと雄スプラインとの間の摩擦力発生部に摩擦力Δfbが発生する。
ここで、ボールねじ軸81を前進させようとする荷重をf11としたとき、該荷重f11から摩擦力Δfbを減算した値の荷重f12(=f11−Δfb)が、ベアリングボックス13を介してスクリュー12に伝達され、スクリューヘッド12aの前方に溜められた樹脂の圧力を高くし、樹脂を介して加熱シリンダ11に伝達され、更に、前方射出サポート18を介してロードセル46の内側環状部e2に伝達され、該内側環状部e2を前進させようとする。
一方、前記荷重f12がベアリングボックス13を介してスクリュー12に伝達されるときに、ボールナット82に反力が加わり、該反力はボールナット82を後退させようとする。前記反力は荷重f12で表すことができ、該荷重f12が後方射出サポート19、連結ロッド21及び連結部材サポート45を介してロードセル46の外側環状部e1に伝達され、該外側環状部e1を後退させようとする。
この場合、前記ベアリングボックス13が前進するのに伴って、前記摩擦力Δfbは、回転体raを前進させようとし、前記ベアリングボックス13が前進するのを阻止しようとする。
ところで、前記回転体raは、ベアリングbr6及び筐体20を介して後方射出サポート19と移動不能に連結され、前記ベアリングボックス13は、ベアリングbr5、ボールねじ軸81及びボールナット82を介して前記後方射出サポート19に連結されて、摩擦力Δfbの閉鎖系が形成される。
また、前記回転体raを前進させようとする摩擦力Δfbは、ベアリングbr6を介して後方射出サポート19によって受けられるので、連結ロッド21に伝達されることはない。
したがって、前記ロードセル46は、摩擦力Δfbの閉鎖系の外側に配設されるので、該ロードセル46において、荷重f11及び摩擦力Δfbに基づいて算出される値である荷重f12が、射出力として検出されるが、実際に樹脂に伝達される射出力も、荷重f11から摩擦力Δfbを減算した値になるので、射出力を精度よく検出することができる。
なお、前記後方射出サポート19は、下端がベアリングbr1によって支持され、ベースbs1に対して摺動自在に配設されるので、後方射出サポート19を後退させようとする荷重が発生したときに、後方射出サポート19とベースbs1との間に摩擦力が発生するのを抑制することができる。したがって、ロードセル46に伝達される荷重に摩擦力がノイズとなって加わることがないので、射出力を精度よく検出することができる。
また、射出工程において、射出ノズル11aが固定プラテン15に当接させられてノズルタッチが行われるようになっているが、前記固定プラテン15と前方射出サポート18とは可塑化移動装置16を介して連結されるので、ノズルタッチに伴って発生する荷重、すなわち、ノズルタッチ力がロードセル46に加わることはない。したがって、該ロードセル46に伝達される荷重にノズルタッチ力がノイズとなって加わることがないので、射出力を精度よく検出することができる。
このように、本実施の形態においては、摩擦力発生部で発生させられた摩擦力Δfbがロードセル46を介することなく相殺されるので、該ロードセル46によって検出される射出力と実際に伝達される射出力とが等しくなる。したがって、射出力を精度よく検出することができる。その結果、保圧力も精度よく検出することができる。
さらに、前記ロードセル46は、水冷シリンダ195に隣接させて配設されるので、該水冷シリンダ195によってロードセル46を冷却することができ、温度を安定させることができる。したがって、ロードセル46の温度の変化に伴って射出力の検出精度が変化するのを防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明をし、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図3は本発明の第2の実施の形態における射出成形機の概念図である。
この場合、駆動装置91は、射出枠17、該射出枠17内に配設された計量用の駆動部としての計量用モータ122、射出枠17より後方に配設された射出用の駆動部としての射出用モータ23等を備え、射出部材としてのスクリュー12及び射出用モータ23は同一軸線上に配設され、スクリュー12及び計量用モータ122とは異なる軸線上に配設される。
前記射出枠17は、射出枠17の前壁を構成し、シリンダ部材としての加熱シリンダ11を支持する第1の支持体としての前方射出サポート18、該前方射出サポート18より後方において、前方射出サポート18と対向させて配設され、射出枠17の後壁を構成する第2の支持体としての後方射出サポート19、前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に架設され、かつ、前方射出サポート18と後方射出サポート19とを連結し、前方射出サポート18と後方射出サポート19との間に所定の距離を置く複数の、本実施の形態においては、2本の連結部材としての、かつ、案内部材としての連結ロッド21(図においては、2本の連結ロッド21のうちの1本の連結ロッド21だけが示されている。)、該連結ロッド21に沿って進退自在に配設された被案内部材としてのガイドプレート101、及び前記前方射出サポート18とガイドプレート101との間に配設され、計量用モータ122を支持するプレッシャプレート29を備え、該プレッシャプレート29と前記ガイドプレート101との間に、圧力検出部としての、かつ、荷重検出部としてのロードセル24が配設される。
該ロードセル24は、後述される運動方向変換装置より前方(加熱シリンダ11側)において、プレッシャプレート29及びガイドプレート101によって挟まれ、かつ、前方射出サポート18と運動方向変換装置との間に配設される。そして、ロードセル24の外側環状部e1がボルトbt13によってプレッシャプレート29に固定され、ロードセル24の内側環状部e2が図示されないボルトによってガイドプレート101に固定される。
前記構成の射出成形機においては、計量工程時に、前記計量用モータ122を駆動することによって、スクリュー12を回転させることができる。そのために、前記プレッシャプレート29に対して回転部材105がベアリングbr11、br12によって回転自在に支持され、前記回転部材105のフランジ部としての円板部106にスクリュー12が固定される。そして、前記計量用モータ122の出力軸123に駆動要素としての駆動プーリ124が、前記回転部材105の筒状部107に従動要素としての従動プーリ125が取り付けられ、前記駆動プーリ124と従動プーリ125との間に回転伝動部材としてのタイミングベルト126が張設される。
一方、前記射出用モータ23は、前フランジ51、後フランジ52及び筒状のフレーム53から成る筐体54、該筐体54に対してベアリングbr13、br14によって回転自在に支持された中実の出力軸155、該出力軸155に取り付けられたロータ56、該ロータ56との間にギャップを形成して前記フレーム53に取り付けられたステータ57等を備え、前フランジ51をボルトbt11によって後方射出サポート19に固定することにより、射出用モータ23を射出枠17に取り付けることができる。
また、射出工程時に、前記射出用モータ23を駆動することによってスクリュー12を回転させることなく、前進させることができる。そのために、前記後方射出サポート19の所定の箇所に貫通穴131が形成され、該貫通穴131内にベアリングホルダ132が配設され、該ベアリングホルダ132がボルトbt12によって前記前フランジ51に固定される。そして、前記ベアリングホルダ132内に、少なくとも三つのスラストベアリングから成る伝動軸支持部としてのベアリングbr15によって、伝動軸161が回転自在に支持され、スラスト荷重が受けられる。
なお、前記ベアリングbr11〜br15によって支持部材が構成され、ボルトbt11〜bt13及びボルトによって固定部材が構成される。また、前記外側環状部e1によって第1の受圧部が、内側環状部e2によって第2の受圧部が構成される。そして、前方射出サポート18によって前側の押圧部材が、プレッシャプレート29によって後側の押圧部材が構成される。
ところで、前記伝動軸161には、前半部において運動方向変換部を構成するねじ部162が、該ねじ部162より後方において、回転支持部を構成するシャフト部163が、後端において回転伝達部を構成するスプライン部164が形成される。
また、前記伝動軸161は、軸方向において計量用モータ122とオーバラップさせられ、ロードセル24、後方射出サポート19、ベアリングホルダ132等を貫通して後方向けて延在させられ、後端が射出用モータ23内に配設される。そのために、ガイドプレート101にボールナット173が取り付けられ、該ボールナット173と前記ねじ部162によって構成されたボールねじ軸81とが螺合させられる。なお、前記ボールナット173及びボールねじ軸81によってボールねじが構成される。該ボールねじは、ボールねじ軸81の回転運動をボールナット173の直進運動に変換する運動方向変換装置として機能し、前記ボールねじ軸81によって第1の変換要素が、ボールナット173によって第2の変換要素が構成される。
さらに、前記出力軸155内の前端に、前記スプライン部164を収容する収容穴が形成され、該収容穴の内周面に、第1の係合要素としての雌スプラインが形成される。そして、該雌スプラインと前記スプライン部164の外周面に形成された第2の係合要素としての雄スプラインとがスプライン係合させられる。なお、前記雌スプラインと雄スプラインとは、軸方向に移動不能に、かつ、円周方向に回転不能に係合させられる。
そして、前記出力軸155の後端には、回転速度検出部としてのエンコーダ71が取り付けられ、該エンコーダ71によって出力軸155、ボールねじ軸81及び射出用モータ23の回転速度が直接検出される。
ところで、本実施の形態においては、前記射出工程時に、前記射出用モータ23を駆動すると、ボールナット173が前進させられ、スクリュー12を前進させる。これに伴って、スクリューヘッド12a(図1)の前方に溜められた成形材料としての樹脂の圧力が高くされる。
このとき、前記ボールナット173を前進させようとする荷重が発生するのに伴って、ボールねじ軸81を後退させようとする荷重が発生し、ボールナット173を前進させようとする荷重は、ガイドプレート101を介してロードセル24の内側環状部e2に伝達される。一方、ボールねじ軸81を後退させようとする荷重は、後方射出サポート19、連結ロッド21及び前方射出サポート18を介して加熱シリンダ11に伝達され、図示されないスクリューヘッドの前方に溜められた樹脂の圧力を高くし、樹脂を介してスクリュー12に伝達され、前記回転部材105及びプレッシャプレート29を介してロードセル24の外側環状部e1に伝達される。
したがって、荷重によってロードセル24において歪みが発生するので、前記射出成形機の制御部は、前記ロードセル24のセンサ出力を読み込み、射出工程時の射出に伴う圧力としての射出力を検出する。また、射出に伴う圧力として、保圧工程時の保圧力を検出する。
ところで、前記射出工程時に、ボールねじ軸81の回転に伴ってボールナット173が前進させられ、ガイドプレート101が前進させられるが、前記連結ロッド21はガイドプレート101を貫通して配設され、連結ロッド21とガイドプレート101とが係合させられるので、ボールナット173が回転しようとしても、連結ロッド21が回止め部材として機能し、ボールナット173の回転を阻止する。なお、前記ガイドプレート101によって伝動部材が構成される。
したがって、前記ガイドプレート101は、連結ロッド21によって回転が阻止された状態で前進させられ、連結ロッド21とガイドプレート101との間に摩擦力Δfcが発生する。
ここで、ボールナット173を前進させようとする荷重をf21としたとき、該荷重f21から摩擦力Δfcを減算した値の荷重f22(=f21−Δfc)がガイドプレート101を介してロードセル24の内側環状部e2に伝達され、該内側環状部e2を前進させようとする。
一方、前記荷重f22がガイドプレート101を介してスクリュー12に伝達されるときに、ボールねじ軸81に反力が加わり、該反力はボールねじ軸81を後方に移動させようとする。前記反力は荷重f22で表すことができ、該荷重f22が後方射出サポート19、連結ロッド21及び前方射出サポート18を介して加熱シリンダ11に伝達され、スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂の圧力を高くし、樹脂を介してスクリュー12に伝達され、前記回転部材105及びプレッシャプレート29を介してロードセル24の外側環状部e1に伝達され、該外側環状部e1を後退させようとする。
この場合、前記ガイドプレート101が前進するのに伴って、前記摩擦力Δfcは連結ロッド21を前進させようとするが、連結ロッド21は前記ガイドプレート101が前進するのを阻止しようとする。
そして、前記連結ロッド21は後方射出サポート19に対して移動不能に連結され、前記ガイドプレート101は、ボールナット173、ボールねじ軸81、ベアリングbr15及びベアリングホルダ132を介して前記後方射出サポート19に連結されて、前記摩擦力Δfcの閉鎖系が形成される。
したがって、前記ロードセル24は、摩擦力Δfcの閉鎖系の外側に配設されるので、ロードセル24において、荷重f21及び摩擦力Δfcに基づいて算出される値である荷重f22が、射出力として検出されるが、実際に樹脂に伝達される射出力も、荷重f21から摩擦力Δfcを減算した値になるので、射出力を精度よく検出することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。