JP2009060123A - チップ搬送体のスペーサのベース用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性があり、チップ搬送体の線膨張係数に合わせて線膨張係数を制御し得ることで寸法安定性を確保され、しかも薄くても剛性が確保できるチップ搬送体のスペーサのベース用フィルムとすることである。
【解決手段】チップ搬送体を積み重ねた状態で各チップ同士を非接触状態に保持するようにチップ搬送体間に介在させるスペーサを、ベースとなるフィルムとその表面に固定して設けた樹脂製の間隔保持用突起部で形成し、前記フィルムは、非晶性ポリエーテルイミド樹脂または結晶性ポリアリールケトン樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂に対して、鱗片状の無機充填材を添加した熱可塑性樹脂組成物からなるチップ搬送体のスペーサのベース用フィルムとする。
【選択図】なし

Description

この発明は、半導体チップの組み付け工程でチップを搬送するチップ搬送体に沿わせ、チップ搬送体を重ねた際にチップ同士の接触を避けるためのスペーサのベース用フィルム、すなわちチップ搬送体のスペーサのベース用フィルムに関するものである。
チップ搬送体の巻き重ね用スペーサの一例として、テープ状のテープオートメーテットボンディング(以下、TABと略記する。)用搬送体をリールに巻回保持する場合に適用されるTAB用スペーサ用フィルムが知られている(特許文献1参照。)。
TAB用搬送体テープは、フレキシブルな材料によって形成されたテープ状の搬送体テープ本体(以下、「フレキシブル基材」と称する。)の長手方向に沿ってLSI等の半導体チップを所定間隔で配置し、個々の半導体チップの回りに設けたテストパッドに対し、インナーリード及びアウターリードをボンディングさせたものであり、チップは、一組の集積回路の乗った半導体基板の単位である。
このようなTAB用搬送体テープと原理的によく似たもの(形状は別異)として、COF(チップONフレキシブルプリントサーキット)等があり、これらは「チップキャリア」または「チップ搬送体」と称される。
これらのチップ搬送体は、リールに巻かれた際に重ねられ、この巻き重ねた状態で重なったチップ同士が接触すると半導体チップ自体が損傷したり、テストパッド、インナーリード、アウターリード等のボンディング部が損傷するおそれがある。
そこで、このような不都合を回避するために、テープ状スペーサをチップ搬送体に介在させ、半導体チップ同士の当接を防止している。
この半導体チップ同士の接触を防止するためのテープ状スペーサにはいくつかの製造方法や構造が提案されている。
例えば、ベースとなるフィルムの軸方向両側にエンボス加工を施したものや、フィルムに対してスペーサ用の突起をインジェクション成形によって一体に設けた構造もその一つである。前者のエンボス加工を施したものは軸方向両側のエンボス加工部分の占有面積が大きく、その部分の肉厚が薄くなるため、強度が懸念される。
後者の間隔保持用突起部をインジェクション成形によって一体に設けるには、フィルムの幅方向両側にフィルムの長手方向に沿って一定間隔で予め孔を形成しておき、これらの各孔に間隔保持用突起部の材料となる樹脂を射出して、フィルムの表裏両面へ間隔保持用突起部を付着させて形成している。
特公平8−1916号公報(特許請求の範囲)
しかし、インジェクション成形を行なうには、ベースとなるフィルムに対する間隔保持用突起部の固着力を確保するために、フィルムへ予め孔を形成しておかなければならない。
この場合の孔あけの工程は煩雑であり、また1回1回のインジェクションをこれらの孔の位置付けに正確に一致させながら進めなければならないということや、更には1回1回のインジェクションによって射出させる樹脂量を正確に制御しなければならないという問題点がある。そのため、スペーサ用フィルムの製造効率を高めることは容易なことではなかった。
また、上記のような製造手順が技術的背景としてあるために、例えばフィルムに対して間隔保持用突起部を列設するピッチを異ならせたり、またはフィルムの片面にだけ間隔保持用突起部を設けたりするといったことに対しては柔軟な対応が採りにくいという問題もある。
上述したような問題点に対し、本出願人は特願2001−252060において孔部を設けないフィルムと、間隔保持用突起部とをそれぞれ各別に製作したうえで互いに固着させる方法を提案した。この方法によれば間隔保持用突起部をベースとなるフィルムとは別に製作して互いに固着する構造とすることで、フィルムに対してわざわざ孔を列設する必要はなくなる。
そのためフィルムに対する間隔保持用突起部の位置付けは孔位置による拘束を何ら受けるものではなく任意となる。このような構成のスペーサ用フィルムであれば、例えば、間隔保持用突起部をフィルムの片面にのみ設けるようにすることや、フィルムの両面間で位置付けを不一致とされるようにすることも簡単にできることになる。
また、ベースとなるフィルムの材料としては、スペーサ用フィルムの種類によらず、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド等のフレキシブル性を有する樹脂フィルムが用いられる。また、これらのフィルムには防塵、半導体の静電破壊防止のために導電コート層が形成されているものもある。
さらに、間隔保持用突起部をインジェクション成形によって一体に設けたスペーサ用フィルムと、フィルムと間隔保持用突起部とがそれぞれ各別に製作したうえで互いに固着させるスペーサ用フィルムに用いる場合の間隔保持用突起部の形成材料としては、上記製造方法やベースとなるフィルムの種類に応じて、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどあらゆる合成樹脂を用いて形成することができる。
上記のチップ搬送体は、ポリイミド樹脂を基材としたものが多く、すなわち、ポリイミド樹脂の片面または両面に接着剤を介して銅箔が積層されたフレキシブル基板を配線加工したものを用いるのが一般的である。ポリイミド樹脂が使用される主な理由は、耐熱性やフレキシブル性、また線膨張係数が銅箔に近く寸法安定性に優れていることである。
しかし、チップ搬送体をリールへ巻回する時などに、スペーサのベース用フィルムとして前述したポリエーテルイミドやポリエチレンテレフタレートを用いると、リールに巻いた状態で半導体チップのチップマウント用の接着剤を乾燥させるなどの熱処理工程を通すときに、チップ搬送体に比べてベースとなるフィルムの線膨張係数が大きいために巻きこぶ状の弛みが生じ、チップ搬送体に「折れ」などの品質不良品が発生する。
このため、チップ搬送体をリールに緩く巻き、線膨張係数差から発生する巻きこぶ状の弛みが発生しないような対策が必要になった。
またスペーサのベースとなるフィルムとして、チップ搬送体と同じポリイミド樹脂フィルムを用いた場合、上記した弛みの問題は起こらないが、導電コートとの接着信頼性が劣るという問題がある。
また、COF用のスペーサ用フィルムは、様々な寸法で複数の半導体チップが搭載される可能性もあって、所要の剛性を確保するために、ポリイミド樹脂フィルムの厚みを200μm以上にすればよいとも考えられる。
しかし、ポリイミド樹脂フィルムは、その製法上の理由から125μmが厚さの限度であり、それ以上の剛性が必要な場合は同材のスペーサ用フィルムを使用できなかった。
また、間隔保持用突起部をインジェクション成形によって一体に設けたスペーサ用フィルムの場合、またはベースとなるフィルムと間隔保持用突起部とをそれぞれ各別に製作したうえで互いに加熱融着で固着させたスペーサ用フィルムの場合、いずれも間隔保持用突起部の形成材料に用いられる樹脂の熱融着させるための高温に耐える耐熱性が必要である。
具体的には、ポリエーテルイミドで形成されたフィルムに、液晶ポリマーの突起を熱融着で設けようとするとフィルムが300℃以上に熱せられ、ポリエーテルイミド製のフィルムは耐熱性不足により大きく変形する。
この発明の課題は、上記した問題点を解決して、間隔保持用突起部が形成されるタイプのスペーサ用フィルムで、特にベースとなるフィルムと間隔保持用突起部とをそれぞれ各別に製作したうえで互いに固着させるタイプのスペーサ用フィルムについて、耐熱性があり、チップ搬送体の線膨張係数に合わせて線膨張係数を制御し得ることで寸法安定性を確保されており、しかも薄くても剛性が確保できるスペーサ用フィルムとすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、チップ搬送体を積み重ねた状態で各チップ同士を非接触状態に保持するようにチップ搬送体間に介在させるスペーサを、ベースとなるフィルムとその表面に固定して設けた樹脂製の間隔保持用突起部で形成し、前記スペーサのベースとして用いられるフィルムにおいて、このフィルムは、鱗片状の無機充填材を添加した熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするチップ搬送体のスペーサのベース用フィルムとしたのである。
上記したように構成されるこの発明のチップ搬送体のスペーサ用フィルムは、鱗片状の
無機充填材が熱可塑性樹脂を補強し、耐熱性を向上させる。
また、鱗片状の無機充填材を配合することにより、チップ搬送体の線膨張係数に合わせて線膨張係数を調整できる。その場合、鱗片状の無機充填材が、平均粒径15μm以下でありかつアスペクト比30以上の鱗片状の無機充填材であるチップ搬送体のスペーサ用フィルムであることが適当な調整のために好ましい。
そして、熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記したような鱗片状の無機充填材を20〜50重量部添加した熱可塑性樹脂組成物であることにより、線膨張係数を調整でき、成形時の寸法安定性をより確実にすることができる。
また、チップ搬送体のスペーサ用フィルムにおいて、熱可塑性樹脂が、非晶性ポリエーテルイミド樹脂または結晶性ポリアリールケトン樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂であることにより、耐熱性の良いチップ搬送体に対応させて用いるスペーサ用フィルムとしてより好ましい耐熱性を有するものになる。
この発明のチップ搬送体のスペーサ用フィルムは、TAB用搬送体テープと原理的によく似たもの(形状は別異)として、チップONフレキシブルプリントサーキット(COF)にも適用することができる。
この発明は、以上説明したように、チップ搬送体を積み重ねた状態で各チップ同士を非接触状態に保持するスペーサのベースとして用いられるフィルムを、鱗片状の無機充填材を添加した熱可塑性樹脂組成物で形成したので、スペーサ用フィルムの耐熱性が良くなり、チップ搬送体の線膨張係数に合わせて線膨張係数が制御されていて寸法安定性が良好であり、しかも薄くても剛性が確保できるチップ搬送体のスペーサのベース用フィルムになるという利点がある。
この発明に用いるチップ搬送体は、耐熱性および適当な可撓性(フレキシブル性)を有するポリイミド樹脂を基材としたものが好ましい。ポリイミド樹脂が使用される主な理由は、耐熱性やフレキシブル性、また線膨張係数が銅箔に近く寸法安定性に優れていることである。
この発明のスペーサ用フィルムのベースとなるフィルムに適用できる熱可塑性樹脂組成物は、非晶性ポリエーテルイミド樹脂または結晶性ポリアリールケトン樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂に対して、鱗片状の無機充填材を添加した組成物が適当である。そして、これら各々の樹脂組成物100重量部に対して、無機充填材を20重量部以上50重量部以下で添加した組成物はより好ましいものである。
ここで、非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびイミド結合を含む非晶性熱可塑性樹脂であり、その他の条件で特に制限されるものではない。このようなポリエーテルイミドは、ゼネラルエレクトリック社製の商品名「Ultem CRS5001」、「Ultem 1000」等として市販されているものを採用できる。
また、結晶性ポリアリールケトン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびケトン結合を含む熱可塑性樹脂であり、その代表例としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等がある。ポリエーテルエーテルケトンは、VICTREX社製の商品名「PEEK151G」「PEEK381G」「PEEK450G」などとして市販されているものを採用できる。
この発明のスペーサのベースとなるフィルムは、上述した樹脂に所定の無機充填材を添加した組成物からなり、そのような無機充填材としては、鱗片状のものであればよい。特に、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、BN、板状炭カル、板状水酸化アルミニウム、板状シリカ、板状チタン酸カリウム等の鱗片状の無機充填材が好適なものである。そして、これらの一種以上のものを用いればよく、2種類以上を組み合わせても用いてもよい。
特に、平均粒径が15μm以下でアスペクト比(粒径/厚み)が30以上の鱗片状の無機充填材は、樹脂組成物の線膨張係数比を低く抑えることができる。
また、上述した無機充填材の添加量は、樹脂組成物100重量部に対して、20〜50重量部であり、50重量部を超えると、無機充填材の分散不良の問題が発生し線膨張係数がばらつき易く、強度も低下し易くなる。また、無機充填材の添加量が20重量部未満では、線膨張係数を低下させて寸法安定性を向上させる効果が小さい。
上述した鱗片状の無機充填材の他にも、球状シリカや、テトラポット状のZnS、ウイスカ状のチタン酸カリウム、有機繊維であるアラミド不織布などを鱗片状無機充填材と併用してもよい。
この発明に用いる樹脂組成物は、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や無機充填材以外の各種添加剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜配合してもよい。
無機充填材を含めた各種添加剤の混合方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、(a)各種添加剤をポリエーテルエーテルケトン樹脂及び/またはポリエーテルイミド樹脂などの適当なベース樹脂に高濃度(代表的な含有量としては10〜60重量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法、(b)使用する樹脂に直接各種添加剤をニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法などが挙げられる。上記混合方法の中では、(a)のマスターバッチを作製し、混合する方法が分散性や作業性の点から好ましい。さらに、ベースとなるフィルムの表面には作業性の改良等のためにコロナ処理、導電コート処理を適宜施してもよい。
上記の導電コート処理の方法は、公知の方法、例えば導電性カーボンを含有したポリウレタン樹脂ペーストをベースとなるフィルム表面の必要な箇所にコートし、120℃〜160℃の温度で乾燥させ、数μmのコート層を形成する方法等が挙げられる。
ベースとなるフィルムの成形方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、ポリエーテルイミド樹脂の場合は概ね400℃以下、ポリエーテルエーテルケトン樹脂またはポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の混合物の場合は概ね融点以上430℃以下である。また、ベースとなるフィルムの厚みは、通常25〜800μmである。
この発明のスペーサのベース用フィルムに固着される間隔保持用突起部として適用できる熱可塑性樹脂は、この発明のベースとなるフィルムと同じ熱可塑性樹脂組成物や、これ以外のポリエチレン、ポリプロピレン、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂も用いられる。
このような間隔保持用突起部の形状や材料、製作方法は何ら限定されるものではない。例えば、間隔保持用突起部の形状としては、側面視形状を台形状、三角形状、半円状、角形状等とすればよく、また平面視形状も円形状や角形状等とすればよい。また、この間隔保持用突起部は、中実構造としても、中空構造としてもよい。また間隔保持用突起部の製作方法としては、インジェクション(絞り出し的なものや滴下的なものを含む)をはじめとして、棒状成形品からの切り出しなど、種々の造粒方法によって小球化させることもできる。
次に、各々個別に製作されたこの発明のベース用フィルムと、間隔保持用突起部を互いに固着させる方法としては、接着剤を用いた接着、超音波接着、加熱融着(金型内で直接射出成形する方法も含む)等の方法が挙げられるが、生産効率の点等から超音波接着法が好ましい。
[実施例1]
表1に示すようにポリエーテルイミド樹脂(ゼネラルエレクトリック社製:UltemCRS5001、Tg:226℃)(以下、単にPEIと略記する。)100重量部および市販の合成マイカ(トピー工業製:PDM―5B、平均粒径=5μm、アスペクト比=50)25重量部を混合し、厚さ125μmの押出しフィルムを製造し、以下の(1)〜(6)の物性を調べ、得られた熱特性や各試験の評価結果を表1中に示した。
(1)線膨張係数
セイコーインスルメンツ社製:TMA/SS6100熱応力歪み測定装置により線膨張係数を求めた。線膨張係数の測定は、ベースとなるフィルムの熱可塑性樹脂フィルムを短冊状として試験片(長さ10mm、断面積1mm)を作製し、引張り荷重0.1gで固定し、室温から5℃/分の割合で昇温させ、熱膨張量の温度依存性を求めた。
(2)弾性率
レオメトリックス社製:SOLIDS ANALYZER RSA−IIを用い、振動周波数6.28rad/sec、昇温速度1℃/minで測定し、得られたデータから弾性率を求めた。
(3)リール巻回状態での温度試験
ベースとなるフィルムの熱可塑性樹脂フィルムを、チップ搬送体のベースとなるフィルムであるポリイミドのフレキシブル片面銅張板(ポリイミド25μmと銅箔35μmの積層体)と、室温でリールに隙間なく重ねて150m巻き、室温から150℃に温度を上げた際の巻回状態を目視で観察した。巻回状態にたわみが発生した場合を(×)、たわみが発生しない場合を(○)と表記した。
(4)耐熱試験
ベースとなるフィルムの熱可塑性樹脂フィルムを、300℃の半田浴の上に20秒間フロートさせフィルムの変形状態を目視で観察した。変形が発生した場合を(×)、変形が発生しない場合を(○)と表記した。
(5)スペーサフィルムと導電コートの接着信頼性試験
ベースとなるフィルムの熱可塑性樹脂フィルムの表面に、導電コート処理を厚さ3μmとなるように行ない、80℃85%RHの恒温恒湿槽中に24時間放置し、取り出した後、230℃の赤外線リフロー炉の中を通過させ、接着界面の膨れの有無を調査した。膨れが発生した場合を(×)、発生しない場合を(○)と表記した。
(6)ベースとなるフィルムの剛性試験
ベースとなるフィルムの熱可塑性樹脂フィルムを幅2cm、長さ5cmの短冊状に切り、短冊の中心部分を支点として中空で支えた場合のフィルムの両端の垂れ量を計測し、1cm以上垂れているものを(×)、それ未満を(○)と表記した。
Figure 2009060123
[実施例2]
表1に示すように、実施例1においてPEIをポリエーテルエーテルケトン樹脂(ビクトレックス社製:PEEK450G、Tg=147℃、Tm=334℃)(以下、単にPEEKと略記する。)に変更したこと以外は、実施例1と全て同様にして目的とするフィルムを得た。評価した熱特性や各試験の評価結果を表1中に示した。
[参考例1]
表1に示すように実施例1においてPEIを、PEEK50重量部とPEI50重量部の混合物に変更したこと以外は、実施例1と全て同様にして、目的とするフィルムを得た。評価した熱特性や各試験の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
表1に示すように実施例1において、無機充填材を用いなかったこと以外は、実施例1と全て同様にし、目的とするフィルムを得た。評価した熱特性や各試験の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
表1に示すように実施例1において、無機充填材を用いず、膜厚を250μmに形成し
たこと以外は、実施例1と全て同様にして、目的とするフィルムを得た。評価した熱特性
や各試験の評価結果を表1にした。
[比較例3]
表1に示すように実施例1のPEIを、無機充填材を未充填のPI(ポリイミド)フィ
ルムに変更したこと以外は、実施例1と全て同様にして、目的とするフィルムを得た。評
価した熱特性や各試験の評価結果を表1にした。
表1の結果からも明らかなように、所定の平均粒径で所定のアスペクト比の鱗片状マイ
カを所定量配合しなかった比較例1は、線膨張係数が実施例に比べて高く現れ、耐熱試験
や剛性試験の結果が悪く現れた。
また、フィラーを用いずにフィルムの厚さを厚く形成した比較例2は、巻回状態で15
0℃にすると撓みが発生し、好ましい物性ではなかった。
また、比較例3では、フィルムをポリイミド樹脂で形成し無機充填材を用いなかったこ
と以外は、実施例1と全て同様にしたが、接着性が悪く230℃の加熱で接着界面が膨れ
た。また、フィルムの剛性が不充分であった。

Claims (3)

  1. チップ搬送体を積み重ねた状態で各チップ同士を非接触状態に保持するようにチップ搬送体間に介在させるスペーサを、ベースとなるフィルムとその表面に固定して設けた樹脂製の間隔保持用突起部で形成し、前記スペーサのベースとして用いられるフィルムにおいて、
    このフィルムは、非晶性ポリエーテルイミド樹脂または結晶性ポリアリールケトン樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂に対して、鱗片状の無機充填材を添加した熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とするチップ搬送体のスペーサのベース用フィルム。
  2. 鱗片状の無機充填材が、平均粒径15μm以下でありかつアスペクト比30以上の鱗片状の無機充填材である請求項1記載のチップ搬送体のスペーサのベース用フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂組成物が、非晶性ポリエーテルイミド樹脂または結晶性ポリアリールケトン樹脂のいずれかの熱可塑性樹脂100重量部に対して、鱗片状の無機充填材を20〜50重量部添加した熱可塑性樹脂組成物である請求項1または2に記載のチップ搬送体のスペーサのベース用フィルム。
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