JP2009059430A - 情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録する情報の大容量化を実現することができる情報記録媒体を提供する。
【解決手段】所定の情報を記録する記録部が、独立に情報が付与される複数の小領域を含み、当該情報記録媒体の寸法公差以上の径を有する記録スポットを複数個備える。複数の記録スポットは、2次元的に並んでいれば好ましい。このような記録部を薄膜状の磁性体、特に光磁気効果を生じる光磁気材料を用いて形成し、記録スポットに含まれる複数の小領域の各々が、磁性体の膜面と垂直な方向に磁化を生じ、この磁化の向きに対応した情報を記録するようにしてもよい。また、記録スポットを、光ディスクの記録材料を用いて形成し、記録スポット内の光の反射率および透過率を階調的に変化させるようにしてもよい。
【選択図】 図3

Description

本発明は、所定の情報を記録し、この記録した情報の光学的な読み取りが可能な情報記録媒体に関する。
従来より、磁気記録式の情報記録媒体にあっては、その記録方法が公然に知られていることに加え、磁性粉などを用いて容易にデータを視認することができるため、偽造や改ざんがされやすいという問題があった。
このような磁気記録式の情報記録カードの問題を解決するための技術として、光磁気式の情報記録媒体に関する技術が知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。光磁気式の情報記録媒体は、一般に外部磁界の影響を受けにくく、記録している情報が変化しにくい。このため、光磁気式の情報記録媒体は、磁気記録式の情報記録媒体よりも偽造や改ざんを防止することができ、セキュリティを向上させることができると考えられている。
特開昭58−14306号公報 特開平10−134422号公報
しかしながら、従来の光磁気式の情報記録媒体は、磁化の向きに応じて情報を記録する記録スポットの直径がたかだか数十μmと非常に小さいため、記録スポットには2値の情報を記録するのが一般的であった。このため、記録する情報の大容量化を図ろうととしても自ずと限界があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、記録する情報の大容量化を実現することができる情報記録媒体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報記録媒体は、所定の情報を記録する記録部を備え、前記記録部が記録する情報の光学的な読み取りが可能な情報記録媒体であって、前記記録部は、独立に情報が付与される複数の小領域を含み、当該情報記録媒体の寸法公差以上の径を有する記録スポットを複数個備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記複数の記録スポットは、2次元的に並んでいることを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記記録部は薄膜状の磁性体を有し、前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、前記磁性体の膜面と垂直な方向に磁化を生じ、この磁化の向きに対応した情報を記録することを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記磁性体は、光磁気効果を生じる光磁気材料を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記光磁気材料は、希土類と遷移金属のアモルファス合金であることを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記光磁気材料は、磁性ガーネット薄膜であることを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記記録部は有機色素を有し、前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、領域内の前記有機色素の量に対応した情報を記録することを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、前記記録部は結晶とアモルファスの相変化が可能な相変化材料を有し、前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、領域内の前記相変化材料の相状態に対応した情報を記録することを特徴とする。
また、本発明に係る情報記録媒体は、上記発明において、カード形状をなしていることを特徴とする。
本発明に係る情報記録媒体によれば、所定の情報を記録する記録部が、独立に情報が付与される複数の小領域を含み、当該情報記録媒体の寸法公差以上の径を有する記録スポットを複数個備えているため、記録部は2値よりも多い多値化した情報を記録することができる。したがって、記録する情報の大容量化を実現することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
図1は、本発明の一実施の形態に係る情報記録媒体である情報記録カードと、この情報記録カードが記録する情報を読み取る情報読取装置とを備えた情報読取システムの全体構成を示す図である。同図に示す情報読取システム100は、所定の情報を磁気的に記録した情報記録カード1と、情報記録カード1が記録する情報を光学的に読み取る情報読取装置2とを備える。
図2は、情報記録カード1の構成を示す図であり、図1のA−A線断面図である。情報記録カード1は、薄型の平板状をなす基材11と、基材11の略中央部の表面に積層され、所定の情報を磁気的に記録する記録部12とを備える。
基材11は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を用いて実現される。情報の読み取りを可視光で行う場合、基材11に適用する樹脂は透明でなければならない。
記録部12は、希土類(Gd,Tb等)と遷移金属(Fe,Co等)とのアモルファス合金(例:TbFeCo)、磁性ガーネット薄膜(例:イットリウム・鉄ガーネット(YIG))等、光磁気効果を生じる光磁気材料を用いて実現される。記録部12が記録する情報は、外部から光学的に読み取ることが可能である。
記録部12が記録する情報としては、情報記録カード1が正規のカードであるか否かを識別する情報や、情報記録カード1の所有者を識別する情報など、書き換えを行うことがないような情報が想定されるが、それ以外の情報を記録することも可能である。
図3は、記録部12の構成を示す図であり、図1の矢視B方向から見た平面図である。記録部12には、記録すべき情報が付与される記録スポットとしての磁化領域Mが、2次元正方格子状に複数個並べて形成されている。磁化領域Mは、膜面と垂直な方向に磁化を生じており、垂直磁化膜を形成している。
図4〜図9は、本実施の形態において、磁化領域が取りうる磁化状態を模式的に示す図である。本実施の形態では、磁化領域Mが2つの小領域m1、m2からなり、各小領域m1、m2には、独立に磁化の向きが定められる。
図4は、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きが、ともに紙面の表から裏を向いている場合を示している。図5は、図4のC−C線断面における磁化の向きを模式的に示す図である。以後、図4に示す磁化の向きを「下向き」という。
図6は、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きが、ともに紙面の裏から表を向いている場合を示す図であり、図7は図6のD−D線断面における磁化の向きを模式的に示す図である。以後、図6に示す磁化の向きを「上向き」という。
図8は、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きが逆向きである場合を示す図である。図8において、小領域m1の磁化の向きは下向きであるのに対し、小領域m2の磁化の向きは上向きである。図9は、図8のE−E線断面における磁化の向きを模式的に示す図である。なお、磁化領域Mは、小領域m1の磁化の向きが上向きである一方、小領域m2の磁化の向きが下向きであるような状態もとりうるが、この状態は、図8や図9に示す状態と情報読取装置2で読み取る際の出力が同じであるため、図8や図9に示す状態と同一の状態とみなす。この点については、情報読取装置2における読み取り処理を説明する際に詳述する。
以上のように、本実施の形態では、磁化領域Mの磁化の向きに応じた3つの異なる磁化状態が存在する。したがって、本実施の形態では、記録部12に対して3値の情報を書き込んで記録することができる。
磁化領域Mの径は、情報記録カード1が当該カードの寸法公差(「JIS X 6301 識別カード−物理的特性」に基づく)の分だけ移動しても情報読取装置2の読み取りに影響を与えない大きさであることが望ましく、具体的には1mm程度以上である。
磁化領域Mへの情報の書き込みは、レーザ光を用いた従来の光磁気ディスク等への情報の書き込みと同様、書き込み用の光源から書き込み対象の磁化領域Mに所定の磁場を印加しながらレーザ光を照射することによって行う。この際には、小領域m1、m2のうち一方の小領域をマスクしながら小領域ごとに書き込みを行う。一方の小領域をマスクするマスク部材としては、書き込み用の光源の先端部付近に設けられ、小領域m1、m2の形状に対応する半円形の開口部を有し、書き込み用の光源の光軸方向と直交する方向に回転自在な部材を適用することができる。
情報記録カード1は、書き込み対象の磁化領域Mの大きさ(1mm程度)が、通常の光磁気ディスクの磁化領域(数十μm程度)と比較して顕著に大きい。このため、磁化領域Mの周囲にダメージを与えることなく、磁化領域Mに対して所望の情報を正確に書き込むには、かなり高度な技術が要求される。したがって、本実施の形態に係る情報記録カード1は、通常の光磁気ディスクなどと比較して、記録している情報を改ざんしたり偽造したりすることが非常に難しい。
なお、図3では、磁化領域Mが円形の表面(膜面)を有しているが、磁化領域Mの表面は円形以外の形状(多角形、楕円等)を有していてもよい。また、図3に示す磁化領域Mの配置は一例に過ぎず、千鳥格子状に並べて配置してもよい。
また、記録部12の表面形状は正方形以外の形状(長方形、多角形、円等)でもよく、その配置位置も変更可能である。
また、記録部12の周囲に、光を透過する性質を有し、例えば窒化シリコンによって実現される保護層を設けてもよい。さらに、記録部12の表面に、ハードコート層として透明なUV硬化樹脂を塗布してもよい。
図10は、情報読取装置2の構成を示す図である。情報読取装置2は、読み取り対象の情報記録カード1に光を照射し、この照射した光の透過光を用いて情報記録カード1に記録されている情報を光学的に読み取る装置であり、情報記録カード1を静止した状態で保持するカード挿入口20と、情報記録カード1に照射する光を投光する光源21と、カード挿入口20と光源21との間に設けられ、光源21が出射した光を直線偏光する直線偏光板22と、カード挿入口20を挟んで直線偏光板22と対向する側に設けられ、情報記録カード1を透過した光の所定の振動方向の成分を透過する直線偏光板23と、直線偏光板23を透過した光を受光する受光素子24と、受光素子24が検出した信号に所定の信号処理を施す信号処理部25と、を備える。
光源21は、発光ダイオード(LED)を用いて実現される。本実施の形態では、読み取るべき情報が記録されている磁化領域Mの径が情報記録カード1の寸法公差以上と大きいため、光源21としてレーザ光を用いる必要がない。また、光源21から出た光が情報記録カード1の記録部12を透過する構成としているため、光源21と情報記録カード1との距離および光源21と受光素子24との距離を従来よりも小さくすることができる。その結果、光源21から出た光が広がりすぎずに受光素子24に届き、集光用のレンズや偏光ビームスプリッタ等の光学部品が不要となる。したがって、部品点数を減らすことができ、装置の小型化を実現することができる。また、高価な光学部品を使用しないことによる低コスト化を実現することもできる。
図11は、直線偏光板23の構成を示す平面図である。同図に示す直線偏光板23は、透過軸が互いに異なる2種類の短冊状の第1偏光板231および第2偏光板232を、各偏光板の短手方向に沿って交互に並べて配置した構成を有する。隣接して対をなす第1偏光板231と第2偏光板232には、情報記録カード1の記録部12の同じ磁化領域M(図11では破線で表示)を透過した光が入射する。
図12は、受光素子24の構成を示す平面図である。同図に示す受光素子24は、情報記録カード1に設けられた磁化領域Mを透過し、直線偏光板23によって偏光された光を検出する。このため、受光素子24は、複数の磁化領域Mの各々に対応するとともに、第1偏光板231および第2偏光板232がそれぞれ透過した光を検出する第1受光部241および第2受光部242が対をなして基材上に配設されている。換言すれば、受光素子24は、1つの磁化領域Mを透過した光を、隣接して対をなす第1受光部241および第2受光部242で受光する。このため、第1受光部241および第2受光部242は、合計で磁化領域Mの2倍の数だけ設けられている。なお、図12に示す破線は、直線偏光板23を受光素子24に重ねて見た時の第1偏光板231と第2偏光板232の境界を示している。
上述したように、情報記録カード1の記録部12の磁化領域Mの径は、当該カードの寸法公差に基づいて定められている。このため、磁化領域Mが寸法公差分だけ移動しても、磁化領域Mと受光素子24との対応関係は変わらず、記録部12が記録する情報の読み取りに影響を及ぼすことはない。
図13は、以上の構成を有する情報読取装置2における情報の光学的な読み取りの概要を模式的に示す図である。まず、光源21から発せられた無偏光状態の光は、直線偏光板22によって直線偏光となる。なお、図13において、矢印L0等は、光を構成する電場の振動方向を模式的に表している。
振動方向L0を有する直線偏光は、情報記録カード1の記録部12全体を一括して照射し、全ての磁化領域Mに一括して入射する。各磁化領域Mに入射した光は、図14に示すように、磁化領域Mの磁化の向きに応じて振動方向が回転する(ファラデー効果)。図14において、透過軸P1は直線偏光板22の透過軸である。また、透過軸P2は第1偏光板231の透過軸であり、透過軸P3は第2偏光板232の透過軸である。ここで、磁化領域Mの磁化方向を正確に検出するためには、第1偏光板231を介して検出される光の強度と第2偏光板232を介して検出される光の強度との強度差の絶対値が、磁化領域Mの磁化の向きによらずに等しいことが望ましい。そこで、本実施の形態では、直線偏光板22の透過軸P1と第1偏光板231の透過軸P2のなす角度が、直線偏光板22の透過軸P1と第2偏光板232の透過軸P3のなす角度と等しくなるように設定されている(図14では、この角度をαとしている)。
例えば、図14では、小領域m1における磁化の向きと小領域m2における磁化の向きがともに下向きである磁化領域M(図4,5を参照)を透過した後の直線偏光の振動方向をL1とし、小領域m1における磁化の向きと小領域m2における磁化の向きがともに上向きである磁化領域M(図6,7を参照)を透過した後の直線偏光の振動方向をL2としている。振動方向L1、L2は、磁化領域Mに入射する直線偏光の振動方向L0に対し、同一平面上で互いに逆方向に同じ角度θ(ファラデー回転角)だけ回転した方向である。
図15は、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きがともに下向きである磁化領域Mを透過した場合に、第1偏光板231および第2偏光板232をそれぞれ透過した透過光の成分を示す図である。図15において、振動方向L1を有する透過光の振幅をIとするとき、この透過光の透過軸P2に平行な振動方向の成分L12の強度は、
2cos2(α−θ)である。他方、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きがともに下向きである磁化領域Mを透過した透過光の透過軸P3に平行な振動方向の成分L13の強度は、I2cos2(α+θ)である。2つの振動方向の成分L12、L13の強度差をΔIとすると、
ΔI=I2cos2(α−θ)−I2cos2(α+θ)
=I2sin2α・sin2θ ・・・(1)
である。これに対して、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きがともに上向きである磁化領域Mを透過した透過光の場合には、ΔIの絶対値は式(1)の絶対値と同じであるが、ΔIの正負が式(1)と逆になる。
ここで、ファラデー回転角θは磁化領域Mの特性等によって決まる量である。したがって、強度差ΔIを最大とするには、α=45(度)とすればよいことがわかる。これは、透過軸P2と透過軸P3が直交する場合に他ならない。
図16は、磁化領域Mが有する2つの小領域m1、m2の磁化の向きが逆向きの場合(図8および図9を参照)に、第1偏光板231および第2偏光板232をそれぞれ透過した光の振動方向の成分を示す図である。この場合、磁化領域Mでは、上向きの磁化と下向きの磁化とが互いに打ち消しあっているため、磁化領域Mを通過した後の直線偏光の振動方向(偏光軸)は、通過する前と比べて変化せず、L0のままである。換言すれば、磁化領域Mを透過したときのファラデー回転角θは0である。したがって、振動方向L0を有する透過光の振幅をI0とするとき、この透過光の透過軸P2に平行な振動方向の成分L02の強度はI0 2cos2αである一方、その透過光の透過軸P3に平行な振動方向の成分L03の強度もI0 2cos2αである。よって、2つの振動方向の成分L02、L03の強度差ΔIは0となる。
ところで、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きが図8および図9に示す場合と逆向きであっても、ΔI=0となることに変わりはない。このため、小領域m1の磁化の向きと小領域m2の磁化の向きが逆向きである磁化状態は、個々の小領域の磁化の向きによらず全て同じ情報を記録した状態とみなすことができる。
このようにして、本実施の形態においては、磁化領域Mの磁化の向きに応じてΔIが異なる3つの値を取るため、磁化領域Mに対して3値の情報を記録することができる。
同じ磁化領域Mを透過し、互いに対応する第1偏光板231および第2偏光板232をそれぞれ透過した光は、互いに隣接して対をなす第1受光部241および第2受光部242が受光する。この後、第1受光部241および第2受光部242がそれぞれ受光した光は光電変換されて信号処理部25へ送られる。
信号処理部25は、同じ磁化領域Mを透過し、対をなす第1受光部241および第2受光部242でそれぞれ受光した光の強度差ΔIを式(1)にしたがって算出し、この算出したΔIの値に応じて3値(例えば、−1,0,1)のいずれかに対応する信号を出力する。
光源21による光の強度は、磁化領域M程度の範囲内ではほぼ均一であるが、記録部12全体で見た場合には均一でなく、記録部12の中央部と周縁部とでは到達する光の強度に差が生じる。本実施の形態では、対をなす第1受光部241および第2受光部242がそれぞれ受光した光の強度差を用いて磁化領域Mに対応付けられる情報を検出しているため、光の強度が磁化領域Mの位置によって不均一であることの影響を、強度差を算出することによって打ち消すことができる。この結果、各磁化領域Mの磁化の向きを、各磁化領域Mに到達する光の強度の不均一さによらず、正確に検出することが可能となる。
なお、信号処理部25が出力した信号は、そのまま情報処理端末へ送信するような構成としてもよいし、情報読取装置2の内部において、予め記憶している情報(例えば個人識別用のID)との照合を行うようにしてもよい。
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、薄膜状の磁性体からなり、該磁性体の膜面と垂直な方向に磁化を生じる複数の磁化領域の各々が磁化の向きに対応した情報を記録する記録部を備え、前記磁化領域は、膜面の径が前記情報記録媒体の寸法公差以上であり、各々の磁化の向きが独立に定められる複数の小領域を有するため、記録部は多値化した情報を記録することができる。したがって、記録する情報の大容量化を実現することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、膜面の径が情報記録媒体の寸法公差以上である磁化領域を2次元的に並べているため、従来の光磁気式における磁化領域と比較して顕著に大きい磁化領域を、コンパクトに配置することができる。この結果、情報読取装置が情報記録カードに記録された情報を読み取る際、複数の磁化領域に対して直線偏光した光を一括して照射することができ、レンズなどの光学部品や搬送機構などの複雑な構成を用いることなく読み取りを行うことが可能となる。
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は上述した一実施の形態によって限定されるべきものではない。例えば、磁化領域Mをさらに多くの小領域に分割し、各小領域の磁化の向きを独立に設定してもよい。図17〜図20は、磁化領域Mを3つの小領域m11,m12,m13に分割した場合にとり得る状態を示す例である。これらの図に示すように、磁化領域Mを3分割した場合には、4値の情報を記録することができる。
一般に、一つの磁化領域の小領域への分割数をnとすると、一つの磁化領域で取ることが可能な情報(磁化状態)の数はn+1となる。したがって、N個の磁化領域で記録できる情報の数は(n+1)Nであるから、nの値が増加するにつれて記録することができる情報量は飛躍的に増大する。換言すると、同じ情報量を記録するために記録部で必要な磁化領域の数は、各磁化領域の小領域への分割数nが大きいほど少なくて済む。
また、本発明に係る情報記録媒体において、記録部を、CD−R、DVD±R等の光ディスクの記録材料である有機色素を用いることによって形成してもよい。この場合には、記録スポットに含まれる複数の小領域が、各小領域内の有機色素の量に対応した情報を記録する。小領域内の有機色素の量は、その小領域における光の反射率および透過率と関係する。このため、各小領域に含まれる有機色素の量を調整することにより、記録スポット内での光の反射率および透過率を階調的に変化させることができる。したがって、一つの記録スポットに対して多値化した情報を記録することが可能となる。なお、有機色素の量を調整する際には、予め記録スポットの表面に塗布した有機色素から、レーザ光照射によって除去する有機色素の量を小領域ごとにコントロールすればよい。
また、本発明に係る情報記録媒体において、記録部を、DVD±RW、DVD−RAM等の光ディスクの記録材料である相変化材料(結晶とアモルファスの相変化が可能な材料)を用いることによって形成してもよい。この場合には、記録スポットに含まれる複数の小領域が、各小領域内に含まれる相変化材料の相状態(結晶相、アモルファス相)に対応した情報を記録する。小領域内の相変化材料の相状態は、その小領域における光の反射率および透過率と関係する。このため、各小領域内に含まれる相変化材料の相状態を個別に調整することにより、記録スポット内での光の反射率および透過率を階調的に変化させることができる。したがって、一つの記録スポットに対して多値化した情報を記録することが可能となる。
このようにして、本発明に係る情報記録媒体の記録部の記録スポットを、CD−R、DVD±R、DVD±RW、DVD−RAM等の光ディスクの記録材料を用いることによって形成する場合にも、上述した一実施の形態と同様、情報記録媒体が記録する情報の大容量化を実現することができる。
なお、光ディスクの記録材料を用いることによって記録スポットを形成する場合には、情報読取装置に第1偏光板や第2偏光板を設ける必要はない。
以上の説明からも明らかなように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
本発明の一実施の形態に係る情報記録カードおよび情報読取装置を用いて構成される情報読取システムの構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る情報記録カードの構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る情報記録カードが備える記録部の構成を示す図である。 磁化領域を2つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第1例)を示す図である。 図4のC−C線断面で見た磁化の向きを模式的に示す図である。 磁化領域を2つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第2例)を示す図である。 図6のD−D線断面で見た磁化の向きを模式的に示す図である。 磁化領域を2つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第3例)を示す図である。 図8のE−E線断面で見た磁化の向きを模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る情報読取装置の構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る情報読取装置が備える直線偏光板の構成を示す平面図である。 本発明の一実施の形態に係る情報読取装置が備える受光素子の構成を示す平面図である。 磁化領域に記録されている情報の読み取りの概要を模式的に示す図である。 磁化領域を透過した光の光磁気効果(ファラデー効果)による振動方向の回転を示す図である。 2つの偏光板を透過した光の振動方向の成分を示す図である。 磁化領域が有する2つの小領域の磁化方向が逆向きの場合に、第1偏光板および第2偏光板をそれぞれ透過した光の振動方向の成分を示す図である。 磁化領域を3つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第1例)を示す図である。 磁化領域を3つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第2例)を示す図である。 磁化領域を3つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第3例)を示す図である。 磁化領域を3つの小領域へ分割した場合の磁化状態の例(第4例)を示す図である。
符号の説明
1 情報記録カード
2 情報読取装置
11 基材
12 記録部
20 カード挿入口
21 光源
22、23 直線偏光板
24 受光素子
25 信号処理部
100 情報読取システム
231 第1偏光板
232 第2偏光板
241 第1受光部
242 第2受光部
M 磁化領域
m1、m2、m11、m12、m13 小領域

Claims (9)

  1. 所定の情報を記録する記録部を備え、前記記録部が記録する情報の光学的な読み取りが可能な情報記録媒体であって、
    前記記録部は、
    独立に情報が付与される複数の小領域を含み、当該情報記録媒体の寸法公差以上の径を有する記録スポットを複数個備えたことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記複数の記録スポットは、2次元的に並んでいることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記記録部は薄膜状の磁性体を有し、
    前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、前記磁性体の膜面と垂直な方向に磁化を生じ、この磁化の向きに対応した情報を記録することを特徴とする請求項1または2記載の情報記録媒体。
  4. 前記磁性体は、光磁気効果を生じる光磁気材料を含むことを特徴とする請求項3記載の情報記録媒体。
  5. 前記光磁気材料は、希土類と遷移金属のアモルファス合金であることを特徴とする請求項4記載の情報記録媒体。
  6. 前記光磁気材料は、磁性ガーネット薄膜であることを特徴とする請求項4記載の情報記録媒体。
  7. 前記記録部は有機色素を有し、
    前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、領域内の前記有機色素の量に対応した情報を記録することを特徴とする請求項1または2記載の情報記録媒体。
  8. 前記記録部は結晶とアモルファスの相変化が可能な相変化材料を有し、
    前記記録スポットに含まれる前記複数の小領域の各々は、領域内の前記相変化材料の相状態に対応した情報を記録することを特徴とする請求項1または2記載の情報記録媒体。
  9. カード形状をなしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の情報記録媒体。
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