JP2009058348A - ベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法及びその校正方法並びにプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ベクトルネットワークアナライザ(VNA)の測定に必要なシステムパラメータの数を大幅に削減し、作業性及び実用性を向上させる。
【解決手段】 従来の測定方法は電力比W=a2/a1の複素平面における3つの円の交点に基づくものであったが、本発明はSパラメータのS平面における3つの円の交点に基づく。6ポート接合の入力ポートP1にのみ波を加えた場合における3つの出力ポートの電力比3K4, 3K5, 3K6(実数システムパラメータ)と、DUTにのみ波を加えた場合における3つの出力ポートの複素振幅比3k4, 3k5, 3k6(複素数システムパラメータ)を使用してSパラメータを求める。本発明では、測定系の特性τjkはキャンセルされて前記システムパラメータに影響を与えることがなく、Sjkごとにシステムパラメータを決める必要がない。これにより、システムパラメータ数を大幅に減らすことができた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高周波領域(特に、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯)や光領域(赤外線、可視光線、紫外線)において、信号の振幅比と位相差を測定する技術に関する。
高周波領域で動作するデバイス、回路や機器の研究及び開発にとって、当該デバイス、回路や機器の入出力信号間の位相差を測定することは不可欠なことである。従来からVNA(Vector Network Analyzer:ベクトルネットワークアナライザ)がその役割を果たしてきた。VNAは、DUT(Device Under Test:被測定デバイス)の入射波と反射波、または入射波と透過波の振幅比と位相差(Sパラメータ:散乱行列要素)を測定するための装置である。
米国特許第4104583号 6ポート型リフレクトメータ(Six-Port Reflectometer)が開示されている。これは、校正により得られるシステム固有のハードウェア情報(校正パラメータ)と、複数の電力測定値(スカラー量)から、2つの波の振幅比と位相差(ベクトル量)を導出するものである。この装置及びこれを用いた測定方法によれば、従来方式では周波数が高くなるに従って高精度な測定が困難となる位相差を、電磁波計測において基本測定量であり、かつ、計測精度が周波数に殆ど依存しない、電力値というスカラー量の計測を基に求めることができる。特許文献1記載の技術によれば、従来の高精度なハードウェアの要請から開放され、4つの電力測定と、ハードウェアの不完全さを校正と呼ばれるソフトウェア(システムパラメータ)で補正することが特徴である。
リフレクトメータとは、ひとつの波(信号)に関して、その入射波と出射波を比較するための装置である。
本願発明者は、6ポート型リフレクトメータを、1個の複素反射係数未知の可動負荷校正器と、1個の複素反射係数既知の標準器のみで高精度に校正できる方式を考案した。さらに、上記方式を発展させて6ポート型コリレータ(Six-Port based Wave-Correlator)を考案した。6ポート型コリレータは、2つの入力ポートに入力された波a1,a2の複素振幅比W=a2/a1を、残り4つのポートの電力値から算出することができるように構成してある。6ポート型コリレータの校正操作は、移相器(Phase Shifter)の任意の位置から1周期分動かしながら、各ステップにおける電力値を求めるだけで済み、比較的簡単である。
コリレータ(Wave-Correlator)とは、独立した2つの波(周波数は同じ)についてこれらを比較すること、すなわち複素振幅比を計測する装置である。
6ポート型コリレータによれば、6ポート型リフレクトメータでは、独立した2つの波の情報を計測に使用できるとともに、6ポート型リフレクトメータの校正操作よりも簡単であるために校正精度が向上するという利点が生じる。
しかしながら、6ポート型コリレータによる実際の計測では、2つのポートに入力される独立した2つの波の振幅のバランスが崩れると測定精度が悪くなるという問題がある。この点を改良すべく、本願発明者は7ポート型コリレータを考案した(特許文献2)。
特開2003−215183号公報 1つの波の振幅値をモニターするポート(基準ポート)に加え、もう1つの波の基準ポートを追加した。これにより独立した2つの波の振幅のバランスを保ちつつ計測を行うことができるようになった。7ポート型コリレータは、2つの6ポート型コリレータを組み合わせたものに相当する。
他に関連する先行技術として、下記特許文献3及び4がある。
特開2005−221375号公報 公知のコリレータを使用することで、2つの波(電磁波)の複素振幅比を高精度に求めることができるが、これには厳密な校正手順と測定結果から複素振幅比を計算する手順が必要である。しかしながら、公知のコリレータを使用してBPSK(Binary Phase Shift Keying)復調器あるいはQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)復調器を構成する場合、位相差が判れば十分である。このような用途に適する、簡単な校正と電力値(電圧値)の比較から直接位相差を測定する方式を開示する。 特開2005−326308号公報 VNAの校正は、数種類の標準器(ショート、オープン、負荷、スルー、ライン等)を接続することによって行われているが、校正手順が複雑であるという問題がある。また、校正時に数種類の標準器の接続と取外しが必要であり、そのために測定精度低下の問題が発生していた。これらの問題を解決することのできる、複素反射係数が既知の1ポート可変負荷装置が開示されている。
従来のVNAの改良に関する先行技術として、下記特許文献5がある。
特開2006−112893号公報 高周波計測システムの主流となっているVNAの校正方法は、校正時に数種類の標準器の接続と取り外しが必要であり、人為的ミスが発生する原因となっており、測定精度低下の問題が発生していた。この問題を解決することのできる、1つの移相器と、1つの複素反射係数既知の標準器のみで構成するVNAが開示されている。
6ポート接合を使用した従来のVNAでは、その校正のためのシステムパラメータ(校正パラメータ)が非常に多かった。このため、校正の作業が煩雑となり非常に手間を要するとともに、人為的ミスの発生する原因ともなっていた。
従来、システムパラメータを積分校正法により求めていた。積分校正法は、少なくとも一周期分位相を変化させながら各ポートの電力を測定し、その結果得られたグラフについてそのn次高調波の複素フーリエ係数を計算し、この複素フーリエ係数に基づき上記校正パラメータを決定するものである。積分校正法の原理上、VNAに移相器を設ける必要があり、構成が複雑になっていた。また、システムパラメータを求める際にフーリエ変換を行うのでその処理に時間を要した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、システムパラメータの大幅な削減を実現するとともに、構成の簡略化及び処理の高速化が可能なベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法及びその校正方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
この発明は、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスに入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した波又は前記被測定デバイスで反射された波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づき前記被測定デバイスに関するベクトル量を測定するベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法であって、
出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するDUT測定ステップと、
前記被測定デバイスに代えて、通過特性又は反射特性が既知である標準器を接続し、前記標準器に関して、前記他の3つの出力ポートの電力比3P4s, 3P5s, 3P6sを測定する標準器測定ステップと、
前記6ポート接合の入力ポートP1にのみ波を加えた場合における、前記他の3つの出力ポートの電力比3K4, 3K5, 3K6(以下、これらを「実数システムパラメータ」と呼ぶ)、及び、前記被測定デバイス又は前記標準器にのみ波を加えた場合における、前記他の3つの出力ポートの複素振幅比3k4, 3k5, 3k6(以下、これらを「複素数システムパラメータ」と呼ぶ)が予め与えられ、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき前記被測定デバイスのSパラメータを計算により求める計算ステップと、を備えるものである。
前記計算ステップは、前記被測定デバイスの電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき得られる複素平面上の3つの円の交点Δd2/Δd、及び、前記標準器の電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき得られる複素平面上の3つの円の交点Δs2/Δsに基づき、前記被測定デバイスのSパラメータと前記標準器のSパラメータとの比を求める、ものである。
前記計算ステップは、下記の式(14)により前記被測定デバイスのSパラメータを計算する、ものである。
Figure 2009058348
この発明は、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスに入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した波又は前記被測定デバイスで反射された波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づき前記被測定デバイスに関するベクトル量を測定するベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを受けるステップと、
前記被測定デバイスに代えて、通過特性又は反射特性が既知である標準器が接続されたときの、前記他の3つの出力ポートの電力比3P4s, 3P5s, 3P6sを受けるステップと、
実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6、及び、複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6が予め記憶され、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき前記被測定デバイスのSパラメータを計算により求める計算ステップと、を実行させるものである。
この発明は、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
前記入力ポートP1を前記電源から切断することで前記入力ポートP1に入る波a1をゼロとし、前記切換機構の入力端p2に波a2を入力する第1ステップと、
前記波a1がゼロにおける、前記a2と前記出力ポートP3乃至P6それぞれの出力波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を計測する第2ステップと、
前記入力ポートP1に波a1を入力し、前記切換機構の入力端p2を前記電源と切断することで前記切換機構に入る波a2をゼロとする第3ステップと、
前記波a2がゼロにおける、前記a1と前記出力ポートP3乃至P6それぞれの出力波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を計測する第4ステップと、
前記第2ステップで得た前記複素振幅比と前記第4ステップで得た前記複素振幅比に基づき複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6を計算する第5ステップと、を備えるものである。
この発明は、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
前記入力ポートP1に波a1を入力し、前記切換機構の入力端p2を前記電源と切断することで前記切換機構に入る波a2をゼロとするステップと、
前記波a2がゼロにおける、出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するステップと、
前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6dに基づき実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6を求めるステップと、を備えるものである。
この発明は、マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
前記切換機構に入力する波の位相を少なくとも一周期分変化させるステップと、
前記波の位相が少なくとも一周期分変化する期間において、出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するステップと、
前記波の位相が少なくとも一周期分変化する期間について、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6dの定積分を求めることによりフーリエ係数を求めるステップと、
得られたフーリエ係数に基づき複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6及び実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6を求めるステップと、を備えるものである。
この発明に係るプログラムは、例えば、記録媒体に記録される。
媒体には、例えば、EPROMデバイス、フラッシュメモリデバイス、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、CD(CD−ROM、Video−CDを含む)、DVD(DVD−Video、DVD−ROM、DVD−RAMを含む)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きのRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。
媒体とは、何等かの物理的手段により情報(主にデジタルデータ、プログラム)が記録されているものであって、コンピュータ、専用プロセッサ等の処理装置に所定の機能を行わせることができるものである。
以下、次の順番で説明を加える。
1.測定システムの説明
2.測定手順及びシステムパラメータの計算手順の説明
3.本件の計測理論
4.システムパラメータの決定方法
4.1 複素システムパラメータkの測定方法(VNA法)
4.2 実数システムパラメータKの測定方法(電力比法)
4.3 システムパラメータk及びKの測定方法(積分法)
1.測定システムの説明
図1に、発明の実施の形態に係る高周波信号計測システム(ベクトルネットワークアナライザ Vector Network Analyzer:VNA)のブロック図を示す。これは、6ポート接合を用いた2ポートデバイス計測用ベクトルネットワークアナライザ装置である。
VSは、所定の周波数の信号を供給する電源(信号源)である。
PDは、電源VSからの波を2つに分配する電力分配器である。
DETは、6ポート接合6PJの4個の出力ポートP3〜P6からの波をそれぞれ検波する検波器である。
AMPは、検波器DETの出力をそれぞれ増幅してパソコンPCに供給する増幅器である。
PCは、増幅器AMPの出力を受け、その出力(すなわち6ポート接合6PJの4個の出力ポートP3〜P6の検波出力)に基づき、DUTのSパラメータを求めるパソコン(コンピュータ)である。具体的には、パソコンPCは、式(14)の計算を行う。
SW1は、電力分配器PDで分配された一方の波を2つの方向性結合器DC1又はDC2のいずれか一方へ送るスイッチである。スイッチSW1が一方を選択しているとき、選択されていない他方の側には図示しない整合負荷(無反射終端)が接続され、無用な反射が生じないようになっている。この点は、スイッチSW2についても同じである。
20は電源VS(電力分配器PD)、DUT、6ポート接合6PJのポートP2の間を所定の経路で接続する切換機構である。切換機構20は次のいずれかの動作を行う。
(1)DUTの一方のポートに電力分配器PDで分配された波のひとつを入れるとともに、当該ポートから出る波を6ポート接合6PJのポートP2へ入れる。
(2)DUTの一方のポートに電力分配器PDで分配された波のひとつを入れるとともに、他方のポートから出る波を6ポート接合6PJのポートP2へ入れる。
(3)DUTの前記他方のポートに電力分配器PDで分配された波のひとつを入れるとともに、前記一方のポートから出る波を6ポート接合6PJのポートP2へ入れる。
(4)DUTの前記他方のポートに電力分配器PDで分配された波のひとつを入れるとともに、当該ポートから出る波を6ポート接合6PJのポートP2へ入れる。
切換機構20は、スイッチSW1,SW2、方向性結合器DC1,DC2を備える。
SW2は、2つの方向性結合器DC1又はDC2のいずれかを選択し、選択された方からの波を6ポート接合6PJのポートP2へ送るスイッチである。
DC1及びDC2は方向性結合器である。方向性結合器DC1の一方の側の2つの端(図中の符号AとC)は第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に接続され、他方の側の1つの端(図中の符号D)は2ポートの供試デバイス(Device Under Test:以下「DUT」と記す)の一方の端に接続され、残りの一端(図中の符号B)は終端されている。方向性結合器DC2も同様である。方向性結合器DC1及びDC2は、特定の方向に進行する波に対してのみ他の端を結合する装置である。反対方向に進行する波は除去される。図1の符号を参照すれば、A点からの入力はB点とD点に出力されるが、C点には出力されない(C点の入力についても同じ)。左右対称なので、D点からの入力は、A点とC点に出力される。
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、方向性結合器DC1及びDC2は、DUTの4つのSパラメータ(S11、S12、S21,S22)をそれぞれ計測するための接続を実現する切換機構20を構成する。具体的には、DUTの2つのポートをPA及びPBとしたとき、切換機構20は次の(1)〜(4)のいずれかの接続動作を行う。
(1)第1接続(図2参照)
S11を計測するために、第1スイッチSW1は、電力分配器PDからの波を方向性結合器DC1のC点(すなわちDUTのポートPA)に供給するとともに、第2スイッチSW2は、方向性結合器DC1のA点(すなわちDUTのポートPA)からの波を6ポート接合6PJのポートP2に供給する。このとき、DUTのポートPBは第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の選択されていない端に接続されるが、前述のように、当該端には図示しない整合負荷(無反射終端)が接続されているので、ポートPBに入る波はない。
(2)第2接続(図3参照)
S12を計測するために、第1スイッチSW1は、電力分配器PDからの波を方向性結合器DC2のC点(すなわちDUTのポートPB)に供給するとともに、第2スイッチSW2は、方向性結合器DC1のA点(すなわちDUTのポートPA)からの波を6ポート接合6PJのポートP2に供給する。
(3)第3接続(図4参照)
S21を計測するために、第1スイッチSW1は、電力分配器PDからの波を方向性結合器DC1のC点(すなわちDUTのポートPA)に供給するとともに、第2スイッチSW2は、方向性結合器DC2のA点(すなわちDUTのポートPB)からの波を6ポート接合6PJのポートP2に供給する。
(4)第4接続(図5参照)
S22を計測するために、第1スイッチSW1は、電力分配器PDからの波を方向性結合器DC2のC点(すなわちDUTのポートPB)に供給するとともに、第2スイッチSW2は、方向性結合器DC2のA点(すなわちDUTのポートPB)からの波を6ポート接合6PJのポートP2に供給する。このとき、DUTのポートPAは第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の選択されていない端に接続されるが、前述のように、当該端には図示しない整合負荷(無反射終端)が接続されているので、ポートPAに入る波はない。
6PJは、2つの入力ポートP1及びP2と、4個の出力ポートP3〜P6を備える公知の6ポート接合である(特許文献1)。
図6に6ポート接合6PJのブロック図を示す。図中、Qは公知の90°ハイブリッド、DCは公知の方向性結合器、Zは公知の終端である。ポートP1及びポートP2は入力ポートである。P3〜P6は電力計測用のポートである。ポートP3は入力ポートP1にのみ依存する電力計測用のポートである。90°ハイブリッドとは、一方の側のひとつのポートに高周波信号を入力すると、その高周波信号の半分の振幅の高周波信号が反対側の対向するポートに出力され、残りの半分が反対側の他方のポートに出力され、前記対向するポートと前記他方のポートとの高周波信号の位相差が90°となるというものである。
6ポート接合6PJの動作については後述する(「3.本件の計測理論」の項参照)。
2.測定手順及びシステムパラメータの計算手順の説明
発明の実施の形態に係る装置を用いた計測方法について説明を加える。
6ポート接合6PJの入力ポートP1に入力する波a1、切換機構20の入力端p2に入力する波a2の複素振幅比W=a2/a1を一定値に設定したうえで、DUTを接続した場合と標準器を接続した場合について、それぞれポート電力比3Pid, 3Pisを読み取る。これは、ポートP3を基準とした電力比で、i=4,5,6である。ここで、dはDUT(device)、sは標準器(standard)を示す。
前述のように、DUTの接続には第1乃至第4接続の4通りがある。これらと、Sパラメータ及び使用する標準器の関係を図7に示す。
標準器にはショート(Short)とスルー(Thru)の2つがある。それらの等価回路とSパラメータを図8に示す。
図8(a)はショートの標準器を示す。これは、入力した波を入力端へ位相反転・全反射するものである。そのSパラメータはS11=S22=−1、S12=S21=0である。
図8(b)はスルーの標準器を示す。これは、入力した波をそのまま他端へ伝送するものである。そのSパラメータはS11=S22=0、S12=S21=1である。
図7に示したように、DUTの接続を4通りに切り換え、それぞれについてポート電力比3Pdi, 3Psiを測定する。S11の測定を例にとり説明を加える。なお、他のSパラメータの測定も同様であるので、それらの説明は割愛する。
図9は、S11の測定フローチャートを示す。なお、図9は一例であり、他の手順(例えば、DUTについてS11乃至S22を測定後、DUTを標準器に取り替えるなど)で行ってもよい。
S1:ポートP1とポートp2に電力を供給する。その複素振幅比W=a2/a1は一定値に設定する(この状態を測定完了まで続ける)。
S2:切換機構20を、図2に示す第1接続とする。
S3:図2に示すように、DUTを接続する。DUTは事前に接続しておいてもよい。
S4:6ポート接合6PJのサイドアームポートP3乃至P6の電力比を測定する。具体的には、ポートP3を基準とする電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定する。
S5:DUTに代えて、ショートの標準器を接続する。
S6:ショートの標準器のサイドアームポートP3乃至P6の電力比を測定する。具体的には、ポートP3を基準とする電力比3P4s, 3P5s, 3P6sを測定する。
S7:下記の式(14)に基づきS11を計算する。
Figure 2009058348
式(14)中で、ポートP1にのみ基準信号を加えたときのポートの電力比3K4, 3K5, 3K6(実数システムパラメータ)、及び、ポートp2にのみ基準信号を加えたときのポートの複素振幅比3k4, 3k5, 3k6(複素数システムパラメータ)は、予め測定されている。したがって、式(14)の右辺を計算することができ、DUTのSパラメータを求めることができる。
発明の実施の形態によれば、DUTのSパラメータS11, S12, S21, S22の測定において、当該測定のために決定すべきパラメータは3つの実数3K4, 3K5, 3K6と3つの複素数3k4, 3k5, 3k6であり、合計9つの実数値である。従来のシステムパラメータは35個もあったが、発明の実施の形態によれば、その数を大幅に少なくできる。このため、校正の作業が簡単となり処理時間を短くできるとともに、人為的ミスの発生を抑制できる。
また、後述のように、公知の積分校正法を使用することなくシステムパラメータを求めることができるので、VNAに移相器を設ける必要がなくなり、VNAの構成を簡単にすることができる。また、フーリエ変換処理が不要であるので、処理時間も短くできる。
3.本件の計測理論
図1の回路のうち、電力分配器PD、切換機構20及び6ポート接合6PJを含む部分は線形回路であるので、6ポート接合6PJのサイドアームポートP3〜P6に現われる波の複素振幅は次式で表すことができる(h=3,4,5,6)。
Figure 2009058348
したがって、検波器DETによりサイドアームポートP3〜P6で測定される電力は次式のようになる。
Figure 2009058348
ここで、αhは検波器DETの変換係数(定数)である。
Tjkは、次式のようにDUTのSパラメータに比例する。
Figure 2009058348
DUTのSパラメータを使うと、その入出力は次式のように表せる。
Figure 2009058348
a10はDUTに入る波、b10はa10とは逆方向にDUTから出る波、a20はDUTの他端に入る波、b20はa20とは逆方向にDUTから出る波である。
ここで、DUTのSパラメータS11, S21, S12, S22のそれぞれの比例係数τ11, τ21,τ12,τ22は、回路構成の相違(例えば、第1接続と他の接続で波の伝搬経路が異なること)によりそれぞれ異なった値となる。
任意のひとつのサイドアームポートの電力Phに対する残りの3つのポートの電力Piの比をhPiとする。例えば、h=3, i=4, 5, 6とする。hPiは式(5)(6)で与えられる。
Figure 2009058348
hKiは実数システムパラメータであり、ポートP1にのみ基準信号を加えた場合における電力比である。
hkiは複素数システムパラメータであり、ポートp2にのみ基準信号を加えた場合における複素正規化振幅比である。ただし、ポートP3〜P6の複素振幅は、ポートP1にのみ基準信号を加えたときの当該ポート複素振幅で正規化しておくものとする。
式(6)中の定義よりhkiはτjkに依存しないことに注意する。このことは、回路構成が相違したとしても、同じ回路要素(切換機構20など)を使用し続けている限り、同じシステムパラメータを使うことができるということである。従来のVNAではもっぱら複素振幅比Wに着目していたが、本発明の実施の形態では複素正規化振幅比hkiに着目することにより、システムパラメータの数を大幅に削減することができる(詳細は後述)。
以上の点に留意してサイドアームポートの電力比の式を展開する。
2ポートDUTの4つのSパラメータS11, S21, S12, S22それぞれに異なった{k3, k4, k5, k6}の組が展開されていることに留意した上で、以後h=3, kijkSjkをkiSと書き、khjkSjkをkhSと書く。
式(5)は、式(7)のように変形できる。
Figure 2009058348
式(7)は従来の測定方法の計算式に対応するものである。同式では、複素数のパラメータはk3, k4, k5, k6の4つであり、それらの実数のパラメータ数は8つ(複素数は振幅と位相の2つの情報を持つ)、しかも、k3, k4, k5, k6は4つのSパラメータS11, S21, S12, S22ごとに異なるから、8×4=合計32個のパラメータを必要とした。さらに、同式の実数のパラメータは3K4, 3K5, 3K6の3つであるから、結局、複素数と実数の合計のパラメータは35個であった。後述するが、発明の実施の形態に係る計測方法(比較法)によれば、パラメータ数は9個で済み、約四分の一に減らすことができる。
ここで、Sに注目して、式(7)を式(8)(9)のように変形する。Sに注目することで、Sを直接求めることができる。なお、従来の測定方法とはW=a2/a1に注目して式を導出していた(SはWに含めていた)点で相違する。
Figure 2009058348
式(8)は、式(10)のように変形できる。
Figure 2009058348
式(10)は、S平面(複素平面)における3つの円の方程式を示す。各円の軌跡はSパラメータの取り得る値を示している。求めるべきSパラメータは3つの円の交点である。図10はその様子を示すものであり、中心をC1, C2, C3とする3つの円は式(10)で表されるものである。それらの交点Sが求めるべきDUTのSパラメータである。なお、従来の測定方法とはW平面(複素平面)で議論されていた点で相違する。
式(10)は、中心=(-Zi*/Qi)、半径=√(Ri+|zi|^2/Qi)/Qiの円を示す(i=4, 5, 6)。
1点で交わる3つの円が与えられたとき、当該交点を算出するために3つの円の方程式からなる連立方程式を解く代わりに、3つの円から2つの円を抜き出した3つの組それぞれについて2つの円の2交点を通る直線を求め、得られた3つの直線の交点を求めるようにしてもよい。式(8)でのSの線形解は、そのようにして求められた3つの円のラジカルセンター(radical center)である。ラジカルセンターを与える式は公知である。
図1の装置でDUTについて測定することでそのSパラメータを求めることができる。DUTに代えて標準器を接続することで、同様にそのSパラメータを求めることができる。式(8)を公知の数学公式に基づき解き、Sパラメータを求めると次式のようになる。DUTのSパラメータをSd、標準器のSパラメータをSsとしている。ここで、SdとSsの比を求めると、式(11)が得られる。
Figure 2009058348
式(11)は、Δs/ΔdとΔ2s/Δ2dを含むが、これらは以下に示すように、Sパラメータそれぞれに異なったシステムパラメータk3に無関係になる(分母分子でキャンセルされる)。以下で、式(11)によれば、システムパラメータに無関係になるので、Sjkの種別ごとにシステムパラメータを決める必要がないことが示される。
Δs/ΔdをhPi, hKi, kiで表すと次式のようになり、分母分子にk3が共通しているので(点線部分)、結局、式(12)が得られる。
Figure 2009058348
同様に、Δ2s/Δ2dをhPi, hKi, kiで表すと次式のようになり、分母分子にk3が共通しているので(点線部分)、結局、式(13)が得られる。
Figure 2009058348
式(12)(13)を式(11)に代入することで、Sパラメータを与える式(14)が得られる。
Figure 2009058348
式(14)によれば、2ポートDUTのSパラメータS11, S21, S12, S22の測定において、事前に決定すべきシステムパラメータは、3つの実数の組(3K4, 3K5, 3K6)と3つの複素数(3k4, 3k5, 3k6)であり、合計9つの実数値で済む。式(14)は、SパラメータS11, S21, S12, S22それぞれに異なった{k3, k4, k5, k6}を含まない。テストセットの比例係数はシステムパラメータに無関係になるので、Sjkの種別ごとにシステムパラメータを決める必要がない。
従来の測定法では、DUTのSパラメータS11, S21, S12, S22のそれぞれの比例係数τ11, τ21,τ12,τ22が回路構成の相違によりそれぞれ異なった値となるため、その影響を受けていた。これに対し、本発明の実施の形態による測定法(比較法)では、式(6)に示すように複素振幅比hkiを用いるとともに、SdとSsの比を求めることで、τjkの影響を受けなくすることができた。
4.システムパラメータの決定方法
4.1 複素システムパラメータkの測定方法(VNA法)
この方法では、使用可能な既存の装置(例えば、システムパラメータが公知であるVNA)を用いて複素システムパラメータkを測定する。
前述の式(6)から次の式(15)が得られる。
Figure 2009058348
複素システムパラメータkを求めるには、A3, A4, A5, B3, B4, B5を測定する必要がある。
前述のように次式が成立する。
Figure 2009058348
したがって、A3とA4, A5, A6、B3とB4, B5, B6の比は次式で与えられる。
Figure 2009058348
上記式に基づき複素システムパラメータkを求めるには次の手順による。
・a2=0かつS=0とする。具体的には、図11に示すように切換機構20の入力端p2を整合終端するとともに、DUT又は標準器は接続せず、方向性結合器DC1,DC2の端子も整合終端する。なお、ショートの標準器を接続して、切換機構20をS21、S12を測定する第2接続、第3接続としてもよい。同様に、スルーの標準器を接続して、切換機構20をS11、S22を測定する第1接続、第4接続としてもよい(4.2 実数システムパラメータKの測定方法(電力比法)でも同じ)。
・この状態で、使用可能な別の装置を用いて、波a1と6ポート接合6PJの4個の出力ポートP3乃至P6に出力される波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を求める。これらからB3とB4, B5, B6の比を計算する。
・次に、a1=0かつS≠0とする。具体的には、図12に示すように6ポート接合6PJの入力端P1を整合終端するとともに、DUT又は標準器を切換機構20に接続する。
・この状態で、使用可能な別の装置を用いて、波a1と6ポート接合6PJの4個の出力ポートP3乃至P6に出力される波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を求める。これらからA3とA4, A5, A6の比を計算する。
・得られたA3とA4, A5, A6の比及びB3とB4, B5, B6の比から、式(15)に基づき複素システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6を計算する。
4.2 実数システムパラメータKの測定方法(電力比法)
この方法では、6ポート接合6PJの4個の出力ポートP3乃至P6の検波出力(電力値)に基づき実数システムパラメータKを測定する。
前述の式(5)(6)から電力比3P4, 3P5, 3P6と実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6は次のように表される。
Figure 2009058348
a2=0とすると、電力比と実数システムパラメータの関係は式(16)のようになる。
Figure 2009058348
すなわち、a2=0での電力比3P4, 3P5, 3P6を求めれば、それが実数システムパラメータとなる。
上記式に基づき実数システムパラメータKを求めるには次の手順による。
・a2=0かつS=0とする。具体的には、「4.1 複素システムパラメータkの測定方法(VNA法)」の場合と同じ。
・この状態で、6ポート接合6PJの出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定する。これらが、それぞれ実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6となる。
なお、上述のようにテストセットの比例係数はシステムパラメータと無関係であるので、切換機構20のひとつの接続状態で測定すれば足りる。
上記測定において、テストセットのスイッチの位置、任意のDUTの接続によって出力ポートの電力が変化しないこと、及び、電源から加える電力値によって出力ポートの電力比が変化しないこと、を確認しておくことが好ましい。
4.3 システムパラメータk及びKの測定方法(積分法)
図13に示すように、電力分配器PDと切換機構20の入力端p2の間に移相器PSを設ける。移相器(phase shifter)PSは、二つの波の間の位相関係を変えるのに用いられるものである。そして、ポートP1とp2に入る波の複素振幅比W, DUTのSパラメータを任意な一定値に設定する。この場合において、ポート2に挿入した移相器PSの位相角θの連続的な変化に対してポート電力比3P4, 3P5, 3P6は周期的に変化し,そのフーリエ係数はシステムパラメータと密接に関係する。
Figure 2009058348
この測定方法は上記性質を利用したものである。具体的な手順は次の通りである。
・切換機構20に入力する波の位相を少なくとも一周期分変化させる。
・一周期分変化させる期間において、出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定する。
・一周期変化する間について定積分を求めることによりフーリエ係数を求める。
・得られたフーリエ係数に基づき複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6及び実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6を求める。
移相器PSを任意の始動位置(θ=θc)から一波長(θ=θc+2π)区間移動させ、定積分によりフーリエ係数を求めると次のようになる。
Figure 2009058348
複素システムパラメータは次式で与えられる(導出の詳細は割愛する)。
Figure 2009058348
実数システムパラメータは次式で与えられる(導出の詳細は割愛する)。
Figure 2009058348
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
ベクトルネットワークアナライザ(VNA)のブロック図である。 S11測定の回路接続を示す図である。 S12測定の回路接続を示す図である。 S21測定の回路接続を示す図である。 S22測定の回路接続を示す図である。 6ポート接合の内部ブロック図である。 S11,S12,S21,S22と、それらの測定のための切換機構の接続及び使用する標準器の関係を示す図である。 図8(a)はショートの標準器のSパラメータを示し、図8(b)はスルーの標準器のSパラメータを示す。 発明の実施の形態に係る測定方法のフローチャートである。 Sパラメータの求め方の説明図である。 複素システムパラメータ及び実数システムパラメータ測定の回路接続を示す図である。 複素システムパラメータ測定の回路接続を示す図である。 積分法によるシステムパラメータ測定の回路接続を示す図である。
符号の説明
20 切換機構
6PJ 6ポート接合
DC1、DC2 方向性結合器
DET 検波器
DUT 被測定デバイス
PC パソコン
PD 電力分配器
SW1、SW2 高周波スイッチ
VS 電源

Claims (7)

  1. マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスに入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した波又は前記被測定デバイスで反射された波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づき前記被測定デバイスに関するベクトル量を測定するベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法であって、
    出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するDUT測定ステップと、
    前記被測定デバイスに代えて、通過特性又は反射特性が既知である標準器を接続し、前記標準器に関して、前記他の3つの出力ポートの電力比3P4s, 3P5s, 3P6sを測定する標準器測定ステップと、
    前記6ポート接合の入力ポートP1にのみ波を加えた場合における、前記他の3つの出力ポートの電力比3K4, 3K5, 3K6(以下、これらを「実数システムパラメータ」と呼ぶ)、及び、前記被測定デバイス又は前記標準器にのみ波を加えた場合における、前記他の3つの出力ポートの複素振幅比3k4, 3k5, 3k6(以下、これらを「複素数システムパラメータ」と呼ぶ)が予め与えられ、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき前記被測定デバイスのSパラメータを計算により求める計算ステップと、を備えるベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法。
  2. 前記計算ステップは、前記被測定デバイスの電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき得られる複素平面上の3つの円の交点Δ2d/Δd、及び、前記標準器の電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき得られる複素平面上の3つの円の交点Δ2d/Δdに基づき、前記被測定デバイスのSパラメータと前記標準器のSパラメータとの比を求める、ことを特徴とする請求項1記載のベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法。
  3. 前記計算ステップは、下記の式(14)により前記被測定デバイスのSパラメータを計算することを特徴とする請求項1記載のベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法。
    Figure 2009058348
  4. マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスに入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した波又は前記被測定デバイスで反射された波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づき前記被測定デバイスに関するベクトル量を測定するベクトルネットワークアナライザを用いた測定方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを受けるステップと、
    前記被測定デバイスに代えて、通過特性又は反射特性が既知である標準器が接続されたときの、前記他の3つの出力ポートの電力比3P4s, 3P5s, 3P6sを受けるステップと、
    実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6、及び、複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6が予め記憶され、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6d、前記電力比3P4s, 3P5s, 3P6s、前記実数システムパラメータ及び前記複素数システムパラメータに基づき前記被測定デバイスのSパラメータを計算により求める計算ステップと、を実行させるためのプログラム。
  5. マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
    前記入力ポートP1を前記電源から切断することで前記入力ポートP1に入る波a1をゼロとし、前記切換機構の入力端p2に波a2を入力する第1ステップと、
    前記波a1がゼロにおける、前記a2と前記出力ポートP3乃至P6それぞれの出力波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を計測する第2ステップと、
    前記入力ポートP1に波a1を入力し、前記切換機構の入力端p2を前記電源と切断することで前記切換機構に入る波a2をゼロとする第3ステップと、
    前記波a2がゼロにおける、前記a1と前記出力ポートP3乃至P6それぞれの出力波b3, b4, b5, b6の複素振幅比を計測する第4ステップと、
    前記第2ステップで得た前記複素振幅比と前記第4ステップで得た前記複素振幅比に基づき複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6を計算する第5ステップと、を備えるベクトルネットワークアナライザの校正方法。
  6. マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
    前記入力ポートP1に波a1を入力し、前記切換機構の入力端p2を前記電源と切断することで前記切換機構に入る波a2をゼロとするステップと、
    前記波a2がゼロにおける、出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するステップと、
    前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6dに基づき実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6を求めるステップと、を備えるベクトルネットワークアナライザの校正方法。
  7. マイクロ波帯、ミリ波帯、サブミリ波帯や赤外線、可視光線、紫外線などの高周波信号を発生する電源からの波を2つに分け、一方を6ポート接合の入力ポートP1に、他方を被測定デバイスを含む切換機構に入力するとともに、前記被測定デバイスを通過した前記切換機構からの波又は前記被測定デバイスで反射された前記切換機構からの波を前記6ポート接合の入力ポートP2に入れ、この状態で前記6ポート接合の4個の電力計測用の出力ポートP3乃至P6それぞれの検波出力を測定し、その結果に基づきベクトルネットワークアナライザを校正する方法であって、
    前記切換機構に入力する波の位相を少なくとも一周期分変化させるステップと、
    前記波の位相が少なくとも一周期分変化する期間において、出力ポートP3乃至P6のいずれかひとつを基準としたときの他の3つの出力ポートの電力比3P4d, 3P5d, 3P6dを測定するステップと、
    前記波の位相が少なくとも一周期分変化する期間について、前記電力比3P4d, 3P5d, 3P6dの定積分を求めることによりフーリエ係数を求めるステップと、
    得られたフーリエ係数に基づき複素数システムパラメータ3k4, 3k5, 3k6及び実数システムパラメータ3K4, 3K5, 3K6を求めるステップと、を備えるベクトルネットワークアナライザの校正方法。
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