JP2009058186A - 内面溝付伝熱管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝熱性能を向上させる内面溝付伝熱管の製造方法を提供する。
【解決手段】内面に凸部32を有する内面溝付伝熱管31に、内面溝付伝熱管31の最小内径よりも大きい最大外径を有する拡管プラグ1を挿入して前進させることにより、内面溝付伝熱管31の外径を長手方向にわたり拡大させる内面溝付伝熱管の製造方法において、拡管プラグ1の外面に長手方向に伸びたV溝3を形成しておき、拡管プラグ1を内面溝付伝熱管31内で前進させたときに、凸部32の一部がV溝3によって凸部32よりも径方向内方に突き出た突起33に整形されるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】内面に凸部32を有する内面溝付伝熱管31に、内面溝付伝熱管31の最小内径よりも大きい最大外径を有する拡管プラグ1を挿入して前進させることにより、内面溝付伝熱管31の外径を長手方向にわたり拡大させる内面溝付伝熱管の製造方法において、拡管プラグ1の外面に長手方向に伸びたV溝3を形成しておき、拡管プラグ1を内面溝付伝熱管31内で前進させたときに、凸部32の一部がV溝3によって凸部32よりも径方向内方に突き出た突起33に整形されるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、伝熱性能を向上させる内面溝付伝熱管の製造方法に関する。
主に空気調和機やCO2給湯器で用いられる冷媒と空気の熱交換器にあっては、図7に示されるように、多数のフィン72と伝熱管73とをかしめて一体化した熱交換器71を用いることにより、空気側の熱伝達率を上げることができる。この熱交換器71は、伝熱管73を挿通する穴を形成したフィン72に伝熱管73を挿通した後、伝熱管73の内径より大きい外径を有する拡管プラグ74をロッド75で押して伝熱管73内で前進させることにより、伝熱管73の外径を長手方向にわたり拡大させる。
図8に示されるように、拡管プラグ74が前進すると、フィン72の穴に挿通された伝熱管73が拡管されることで多数のフィン72と伝熱管73が一体化される。
ところで、伝熱管は、詳しく見ると図9に示されるように、その内面に、軸に対して所定のらせん角度を持つらせん溝(軸に直角な溝を含む)を有する。このような伝熱管を内面溝付伝熱管91と称する。内面溝付伝熱管91を拡管プラグで拡管する場合、らせん溝92による凸部93がなす内面溝付伝熱管の最小内径(凸部93の頂部を包絡した円の径)よりも大きい最大外径を有する拡管プラグを用い、この拡管プラグを内面溝付伝熱管91内で前進させることになる。
このとき、図9(a)に示されるように、拡管前の内面溝付伝熱管91では、凸部93の高さ(らせん溝92の底から凸部93の頂部までの径方向距離)はHF(a)である。この内面溝付伝熱管91内で拡管プラグを前進させると、内面溝付伝熱管91の外径が拡大すると同時に凸部93が大きく潰れ、図9(b)に示されるように、拡管後の凸部93の高さがHF(b)になってしまう(HF(a)>HF(b))。
凸部93の高さは高い方が内面溝付伝熱管91の伝熱性能が良いことが知られており、凸部93が潰れて高さが低くなると内面溝付伝熱管91の伝熱性能の低下を招く。従って、図9(b)のように拡管後の凸部93の高さが低くならない製造方法が望まれる。
特許文献1に記載された製造方法では、拡管プラグに凸部と接触しない深さを有する切り欠き部を形成することにより、拡管時に切り欠き部が凸部に接触しないので、切り欠き部に対応する凸部が力を受けず変形しない。
しかしながら、この製造方法では、拡管後の凸部の高さが拡管前と変わらないので伝熱性能の低下は抑えられるが、伝熱性能を向上させることまではできない。
また、近年の内面溝付伝熱管は、高伝熱性能化及び軽量化が進み、らせん角度βが大きくなると共に凸部93の頂角αが小さくなっている。なお、らせん角度βは、らせん溝92又は凸部93が管軸に対してなす角度である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、伝熱性能を向上させる内面溝付伝熱管の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、内面にらせん溝による凸部を有する内面溝付伝熱管に、該凸部がなす上記内面溝付伝熱管の最小内径よりも大きい最大外径を有する拡管プラグを挿入し、該拡管プラグを前進させることにより、上記内面溝付伝熱管の外径を長手方向にわたり拡大させる内面溝付伝熱管の製造方法において、上記拡管プラグの外面に長手方向に伸びたV溝を形成しておき、該拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で前進させたときに、上記凸部の一部が上記V溝によって該凸部よりも径方向内方に突き出た突起に整形されるようにしたものである。
上記V溝を、上記拡管プラグの先頭では底が深く開口が広く、それより後尾側では底が浅く開口が狭い形にしておくことにより、上記拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で前進させたときに、上記凸部の一部が上記V溝に広く捕捉され、続いて狭く絞られるようにしてもよい。
上記V溝の底の最大外径を、拡管前の凸部がなす上記内面溝付伝熱管の最小内径よりも小さくしておくことにより、拡管前の凸部よりも径方向内方に突き出た突起が整形されるようにしてもよい。
上記V溝を、上記拡管プラグの後尾では底が深く開口が広く、それより先頭側では底が浅く開口が狭く形成しておくことにより、拡管後に上記拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で後退させたときに、上記突起が上記V溝内に案内されるようにしてもよい。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1)伝熱性能を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1に、本発明の内面溝付伝熱管の製造方法に使用する拡管プラグを示す。拡管プラグ1は、この拡管プラグ1を内面溝付伝熱管内で前進させるためのロッド2の先端に取り付けられる。拡管プラグ1は、ロッド2に取り付けられる部分を後尾、前進するときに先になるところを先頭と呼ぶことにする。
図示した拡管プラグ1は、先頭の方は細い径から徐々に径が太くなる円錐台状に形成され、それに続いて径がほぼ一定の円柱状に形成され、後尾の方は再び径が細くなるよう円錐台状に形成されている。よって、拡管プラグ1は、円柱状の部分において最大外径を有する。
拡管プラグ1は、従来と同様に内面溝付伝熱管の最小内径よりも大きい最大外径を有するが、本発明ではこれに加え、拡管プラグ1の外面に長手方向(内面溝付伝熱管の軸方向)に伸びた複数のV溝3が形成されている。V溝3は、内面溝付伝熱管の長手方向に直角な断面における輪郭がV字状になる溝であり、開口(V字の開いたところ)から底(V字の閉じたところ)まで互いに反対向きに傾斜した2つの面を形成したものである。
この実施形態では、V溝3の両斜面が形成する開き角は拡管プラグ1の先頭側から後尾側まで長手方向に一定であるが、底の深さは一定でない。図2に示されるように、V溝3は拡管プラグ1の先頭では底が深く、それより後尾側にいくほど底が浅くなっている。図中に矢印で示した先頭ハ、中間ロ、後尾イにおけるV溝3の底の深さを比較すると、先頭ハが最も深く、中間ロ、後尾イの順に浅くなる。これは、V溝3の底がつくる直線が長手方向に対して傾斜しているということである。V溝3は、その両斜面が形成する開き角が一定であるので、底の深さの変化に伴い、拡管プラグ1の先頭では開口が広く、それより後尾側にいくほど開口が狭くなっている。
本発明に係る内面溝付伝熱管の製造方法は、前述のように拡管プラグ1の外面に長手方向に伸びたV溝3を形成しておき、この拡管プラグ1を内面溝付伝熱管内で前進させたときに、凸部の一部がV溝3によって凸部よりも径方向内方に突き出た突起に整形されるようにしたものである。
図3により、その整形の様子を説明する。
図1に示した拡管プラグ1を内面溝付伝熱管に挿入し、拡管プラグ1を前進させることにより、内面溝付伝熱管の外径を長手方向にわたり拡大させる。このとき、拡管プラグ1は、凸部がなす内面溝付伝熱管の最小内径よりも大きい最大外径を有するので、拡管プラグ1の外面に押された凸部の高さは低くなる。
しかし、図3に示されるように、拡管プラグ1の先頭ハにおいては、拡管プラグ1の外面のうちV溝の部分は内面溝付伝熱管31の凸部32に接しない。凸部32は、その一部がV溝3に嵌り込むかたちになる。先頭ハではV溝3の開口が広いので、凸部32の一部がV溝3に広く捕捉される。このとき、凸部32の他の部分の高さは拡管プラグ1の外面に押されてHF(b)まで低くなるが、V溝3に捕捉された凸部32の一部は、高さが変わらず、HF(a)のままである。
拡管プラグ1が少し前進すると、凸部32が拡管プラグ1の先頭よりも少し後尾側の中間ロにさしかかる。中間ロでは、V溝3の開口が狭くなるため、V溝3に捕捉された凸部32の一部は狭く絞られる。さらに拡管プラグ1が前進すると、後尾イにおいて、V溝3の開口がいっそう狭くなり、凸部32の一部はひき続いて狭く絞られる。凸部32の一部は、V溝3の斜面にしごかれて径方向内方に隆起し、V溝3の底に近付くか又は底まで到達する。
この結果、図4に示されるように、内面溝付伝熱管31の凸部32の一部は、高さが低くなった凸部32から径方向内方に突き出た突起33に整形される。
このとき、好ましい形態として、V溝3の底の最大外径(つまり、後尾イにおける底の外径)を拡管前の凸部32がなす内面溝付伝熱管31の最小内径よりも小さくしておくと、突起33が拡管前の凸部32よりも径方向内方まで隆起するので、整形された突起33は拡管前の凸部32よりも径方向内方に突き出ることになる。
ここで、内面溝付伝熱管における凸部の高さと伝熱性能との関係を説明する。空気調和機は冷房、暖房で使用されるので、一つの熱交換器で凝縮伝熱性能と蒸発伝熱性能が共に高いことが要求される。そこで、図5に内面溝付伝熱管における凸部の高さと熱伝達率の関係を示す。熱伝達率は伝熱性能を表し、熱伝達率の数値が高いほど伝熱性能が高い。図5によると、凝縮伝熱性能は、凸部が高くなると顕著に高い。蒸発伝熱性能についても、凸部が高くなると高い傾向にある。このように、凸部の高さが高いほど伝熱性能が高い。
本発明で製造した内面溝付伝熱管31では、凸部32の一部が凸部32から径方向内方に突き出た突起33に整形されているため、凸部32が高いのと同じ効果があり、伝熱性能が高い。特に、V溝3の底の最大外径を拡管前の凸部32がなす内面溝付伝熱管31の最小内径よりも小さくした場合、整形された突起33が拡管前の凸部32よりも径方向内方に突き出るので、凸部32が拡管前より拡管後で高くなったのと同じ効果があり、伝熱性能が拡管前より高くなる。
図5を用いて本発明を評価すると、例えば、拡管前の凸部32の高さが0.15mmだったとし、拡管後の突起33の高さが0.18mmだとすると、凝縮熱伝達率が1kw/m以上、蒸発熱伝達率が1kw/m未満向上する。
以上説明したように、本発明によれば、内面にらせん溝による凸部32を有する内面溝付伝熱管31に、該凸部32がなす内面溝付伝熱管31の最小内径よりも大きい最大外径を有する拡管プラグ1を挿入し、拡管プラグ1を前進させることにより、内面溝付伝熱管31の外径を長手方向にわたり拡大させる内面溝付伝熱管の製造方法において、拡管プラグ1の外面に長手方向に伸びたV溝3を形成しておき、拡管プラグ1を内面溝付伝熱管31内で前進させたときに、凸部32の一部がV溝3によって凸部32よりも径方向内方に突き出た突起33に整形されるようにしたので、凸部32の高さを高くしたのと同じ効果があり、伝熱性能が向上する。
高らせん角度の内面溝付伝熱管(らせん角度βが大きい内面溝付伝熱管)の場合、溝加工時のプラグ回転に必要な力が増すことやプラグの回転数が増加することで加工時の張力が増し、内面溝付伝熱管が長手方向に伸びようとする力が大きく働く。このために内面溝を形成するための管断面中心に向かう力が小さくなってしまい、凸部が形成しづらいと言う結果を招く。
また、凸部は、内面溝付伝熱管の材料となる管に溝付きプラグを押し込んでいくことで形成するが、鋭頂角の凸部は、材料となる管に溝付きプラグを押し込んでいく際に、材料となる管と溝付きプラグとの接触抵抗が凸部のボリューム(断面積)に対して大きくなり、凸部が形成しづらい。
これに対して本発明では、鋭頂角で高さの高い凸部を形成しなくても、拡管により凸部の高さを高くすることができるという利点を持つ。
また、本発明によれば、熱交換器の高性能化及び小型化を達成することができる。
また、本発明によれば、熱交換器の製造コストやランニングコストの低減が図れる。
また、本発明は、本発明に用いる拡管プラグが従来からある拡管プラグにV溝を追加工するのみで作成できると共に、ロッドやその他のジグ、内面溝付伝熱管31を仕様変更する必要がないので、簡単に実施できる。
以上の点から、本発明は、工業上非常に有用な発明である。
ところで、熱交換器の製造時における内面溝付伝熱管31の製造方法では、図7に示したように、U字に曲げられた複数の内面溝付伝熱管を並列に並べ、これら内面溝付伝熱管を複数のフィンに挿通する。これらの内面溝付伝熱管の一端に拡管プラグをそれぞれ挿入し、これら拡管プラグを内面溝付伝熱管内で前進させて拡管を行う。フィンに挿通されている直線状部分のみ拡管した後は、拡管プラグを後退させて内面溝付伝熱管から抜き出す。この際に、拡管プラグは拡管時に整形した突起に干渉しないようにして後退させる必要がある。つまり、拡管プラグよりも後方に位置する突起が再び拡管プラグのV溝を通って拡管プラグよりも前方に抜けなければならない。
このためには、拡管プラグが自身の周方向に回転しないよう拡管プラグを十分に固定することで、突起とV溝の周方向位置ずれを防止するとよい。本発明では、これだけではなく、V溝の形状を図6のようにするとよい。
図6に示されるように、拡管プラグは、V溝が拡管プラグの後尾では底が深く開口が広く、それより先頭側では底が浅く開口が狭く形成してある。図2の構成も同時に採用するので、V溝は拡管プラグの先頭では底が深く開口が広く、後尾でも底が深く開口が広く、中央で最も底が浅く開口が狭い。この拡管プラグを用いると、拡管後に拡管プラグを内面溝付伝熱管内で後退させたときに、突起に近付くV溝の底が深く開口が広いので、突起がV溝内に円滑に案内される。
1 拡管プラグ
2 ロッド
3 V溝
31 内面溝付伝熱管
32 凸部
33 突起
2 ロッド
3 V溝
31 内面溝付伝熱管
32 凸部
33 突起
Claims (4)
- 内面にらせん溝による凸部を有する内面溝付伝熱管に、該凸部がなす上記内面溝付伝熱管の最小内径よりも大きい最大外径を有する拡管プラグを挿入し、該拡管プラグを前進させることにより、上記内面溝付伝熱管の外径を長手方向にわたり拡大させる内面溝付伝熱管の製造方法において、上記拡管プラグの外面に長手方向に伸びたV溝を形成しておき、該拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で前進させたときに、上記凸部の一部が上記V溝によって該凸部よりも径方向内方に突き出た突起に整形されるようにしたことを特徴とする内面溝付伝熱管の製造方法。
- 上記V溝を、上記拡管プラグの先頭では底が深く開口が広く、それより後尾側では底が浅く開口が狭い形にしておくことにより、上記拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で前進させたときに、上記凸部の一部が上記V溝に広く捕捉され、続いて狭く絞られるようにしたことを特徴とする請求項1記載の内面溝付伝熱管の製造方法。
- 上記V溝の底の最大外径を、拡管前の凸部がなす上記内面溝付伝熱管の最小内径よりも小さくしておくことにより、拡管前の凸部よりも径方向内方に突き出た突起が整形されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の内面溝付伝熱管の製造方法。
- 上記V溝を、上記拡管プラグの後尾では底が深く開口が広く、それより先頭側では底が浅く開口が狭く形成しておくことにより、拡管後に上記拡管プラグを上記内面溝付伝熱管内で後退させたときに、上記突起が上記V溝内に案内されるようにしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の内面溝付伝熱管の製造方法。
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JP2007226395A JP2009058186A (ja) | 2007-08-31 | 2007-08-31 | 内面溝付伝熱管の製造方法 |
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JP2010249484A (ja) * | 2009-04-20 | 2010-11-04 | Mitsubishi Electric Corp | 熱交換器および冷凍サイクル装置 |
JP2011133217A (ja) * | 2009-12-22 | 2011-07-07 | Wieland Werke Ag | 伝熱器管および伝熱器管の製造方法 |
KR101773049B1 (ko) | 2016-09-01 | 2017-08-30 | 린노알미늄 주식회사 | 확관 조립형 알루미늄 그레이팅 |
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2007
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