JP2009057445A - 発光素子材料および発光素子 - Google Patents

発光素子材料および発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率が高く、色純度に優れた発光素子の提供。
【解決手段】式1で表されるクリセン化合物を含有する発光素子材料。
Figure 2009057445

【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光色素や電荷輸送材として有用な発光素子材料およびこれを用いた発光素子に関する。本発明の発光素子は、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能である。
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機発光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この発光素子は、薄型で、低駆動電圧下で高輝度発光が可能であり、かつ、発光材料を選ぶことにより多色発光が可能なことが特徴であり、注目を集めている。
イーストマンコダック社のC.W.Tangらによって有機薄膜発光素子が高輝度に発光することが示されて以来、この技術について、多くの研究機関が検討を行っている。コダック社の研究グループが提示した有機薄膜発光素子の代表的な構成は、ITOガラス基板上に、正孔輸送性のジアミン化合物、発光層であるトリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)、そして陰極としてMg:Ag(合金)を順次設けたものであり、10V程度の駆動電圧で1,000cd/mの緑色発光が可能であった(非特許文献1参照)。
また、有機薄膜発光素子は、発光層に種々の蛍光材料を用いることにより、多様な発光色を得ることが可能であることから、ディスプレイなどへの実用化研究が盛んである。三原色の発光材料の中では緑色発光材料の研究が最も進んでおり、現在は赤色発光材料と青色発光材料の特性向上を目指して鋭意研究がなされている。
有機薄膜発光素子における最大の課題の1つは、素子の発光効率と色純度の両立である。特に青色発光素子に関しては、発光効率が高く、色純度に優れた素子を提供する青色発光材料は少ない。例えば、青色ゲスト材料として、スチリルアミン誘導体(特許文献1参照)、ペリレン誘導体(特許文献2参照)、アントラセン誘導体(特許文献3参照)を用いる技術が開示されている。また、クリセン化合物として、クリセン構造とアミン構造が連結している芳香族アミン誘導体や(特許文献4参照)、少なくとも2つのクリセンが、少なくとも1つ以上のアリール基もしくは複素環基を介在させて結合されるクリセン化合物(特許文献5参照)を青色発光素子に用いる技術が開示されている。しかしながら、いずれも発光効率と色純度の両立が十分ではなかった。
アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)、(米国)、1987年、51巻、12号、913−915頁 特開平5−17765号公報 特開2003−86380号公報 特開2005−47868号公報 国際公開第04/044088号パンフレット 特開2006−52324号公報
そこで本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、発光効率が高く、色純度に優れた発光素子を可能にする発光素子材料およびこれを用いた発光素子を提供することを目的とする。
本発明は一般式(1)で表されるクリセン化合物を含有する発光素子材料である。
Figure 2009057445
〜R17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、シリル基、−P(=O)R1819、並びに隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる。R18およびR19は、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。R〜R12のうちいずれかn個は二環式ベンゾへテロ環との連結に使われる。nは1〜4の整数である。Xは酸素原子、硫黄原子、−NR20−の中から選ばれる。R20は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基の中から選ばれる。R20はR13と結合し環を形成していてもよい。
また、本発明は、少なくとも陽極、陰極および発光層を有し、該陽極と該陰極の間に該発光層が存在し、該発光層が電気エネルギーにより発光する発光素子であって、該発光層が一般式(1)で表されるクリセン化合物を含有する発光素子である。
本発明の発光素子材料は、発光素子等に利用可能な、発光性能の高い発光素子材料を提供できる。本発明によれば、発光効率が高く、色純度に優れた発光素子が得られる。
本発明において用いる一般式(1)で表されるクリセン化合物について説明する。
Figure 2009057445
〜R17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、シリル基、−P(=O)R1819、並びに隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる。R18およびR19は、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。R〜R12のうちいずれかn個は二環式ベンゾへテロ環との連結に使われる。nは1〜4の整数である。Xは酸素原子、硫黄原子、−NR20−の中から選ばれる。R20は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基の中から選ばれる。R20はR13と結合し環を形成していてもよい。
これらの置換基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
ヘテロアリール基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ピリジル基、キノリニル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常好ましくは、2以上30以下の範囲である。
アミノ基、シアノ基、−P(=O)R1819は、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては例えば上記のようなアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
18およびR19は、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる基である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素原子への結合を有する官能基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常好ましくは、3以上20以下の範囲である。また、ケイ素数は、通常好ましくは、1以上6以下の範囲である。
また、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の縮合環を形成していてもよい。縮合環の構成元素としては、炭素以外にも窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、縮合環がさらに別の環と縮合してもよい。
一般式(1)で表されるクリセン化合物は、分子中にクリセン骨格および1〜4個の二環式ベンゾヘテロ環を有する。ここで本発明において二環式ベンゾヘテロ環とは、電子供与性縮合芳香族であるベンゾフラン環(Xが酸素原子の場合)、ベンゾチオフェン環(Xが硫黄原子の場合)またはインドール環(Xが−NR20−の場合)をいう。このような二環式ベンゾへテロ環を1〜4個有することによって、クリセン化合物の蛍光量子収率が優れるので好ましい。中でも、二環式ベンゾへテロ環の数が1〜2個の範囲であると、高色純度の青色発光が得られるため、さらに好ましい。なお、クリセン化合物中に含まれる二環式ベンゾヘテロ環は、1種類であってもよいし、複数種が含まれていてもよい。
〜R12のうちいずれかn個は二環式ベンゾヘテロ環との連結に使われるが、原料の入手性や合成の容易さの点およびさらに蛍光量子収率や色純度が優れる点から、RまたはRのうち少なくとも1つが二環式ベンゾヘテロ環との連結に用いられることが好ましい。
さらに、一般式(1)のXが酸素原子であると、より高い蛍光量子収率が得られるため好ましい。
一般式(1)で表されるクリセン化合物は、蛍光量子収率が高く、色純度に優れているため、発光素子材料として用いることにより、発光効率が高く、かつ色純度が優れた発光素子が可能となる。
上記のようなクリセン化合物として、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2009057445
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一般式(1)で表されるクリセン化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。クリセン骨格へ、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基またはインドリル基を導入する方法は、例えば、パラジウムやニッケル触媒下でのハロゲン化クリセン誘導体とベンゾフラニル金属錯体、ベンゾチオフェニル金属錯体またはインドリル金属錯体とのカップリング反応を用いる方法、パラジウムやニッケル触媒下でのクリセニル金属錯体とハロゲン化ベンゾフラン誘導体、ハロゲン化ベンゾチオフェン誘導体またはハロゲン化インドール誘導体とのカップリング反応を用いる方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、本発明における発光素子の実施形態について例をあげて詳細に説明する。本発明の発光素子は、陽極、陰極、および該陽極と該陰極の間に存在する有機層を有し、該有機層は少なくとも発光層を含み、該発光層が電気エネルギーにより発光する。
有機層は、発光層のみからなる構成の他に、1)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、2)発光層/電子輸送層、3)正孔輸送層/発光層などの積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよい。正孔輸送層および電子輸送層が複数層をからなる場合、電極に接する側の層をそれぞれ正孔注入層および電子注入層と呼ぶことがあるが、以下の説明では、正孔注入材料は正孔輸送材料に、電子注入材料は電子輸送材料にそれぞれ含まれる。
本発明の発光素子は、一般式(1)で表されるクリセン化合物を含む発光素子材料が有機層に含まれる。ここで、発光素子材料とは、発光素子における発光に関与している化合物を指すものであり、自ら発光するもの、およびその発光を助けるもののいずれかに該当する。具体的には、正孔輸送材料、発光材料および電子輸送材料などが発光素子材料に該当する。
本発明の発光素子材料は、正孔輸送材料や電子輸送材料として用いてもよいが、高い発光性能を有することから発光材料として好適に用いられる。また、本発明の発光素子材料は、青色領域に強い発光を示すことから、青色発光材料として好適に用いられるが、緑色〜赤色発光素子や白色発光素子用の材料としても用いることができる。白色発光素子は、異なる発光色の材料を複数積層することで得られる。具体的には、水色発光材料と橙色発光材料の2層積層系、青色発光材料と緑色発光材料と赤色発光材料の3層積層系が挙げられる。本発明の発光素子材料は、青色発光材料として好適に用いられるため、その他の異なる発光材料として、例えば、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(2’−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1−gh]クマリンなどの緑色発光材料、1,3,5,7−テトラ(4−t−ブチルフェニル)−8−フェニル−4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセンなどの赤色発光材料との3層積層をすることにより、白色発光素子を得ることができる。
陽極は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料であれば特に限定されないが、比較的仕事関数の大きい材料を用いるのが好ましい。陽極の材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
陽極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいが、発光素子の消費電力の点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、抵抗が300Ω/□以下であれば電極として機能するが、現在では10Ω/□程度のITO基板の供給も可能になっていることから、100Ω/□以下の低抵抗品を使用することが特に望ましい。陽極の厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶことができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
また、発光素子の機械的強度を保つために、陽極を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、陽極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。陽極の形成方法は、特に制限されず、例えば、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法などを用いることができる。
陰極に用いられる材料は、電子を有機層に効率良く注入できる物質であれば特に限定されないが、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウムおよびマグネシウムならびにこれらの合金などが挙げられる。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多いため、有機層に微量(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)のリチウムやマグネシウムをドーピングして安定性の高い電極を得る方法が好ましい例として挙げることができる。また、フッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物を積層することが、好ましい例として挙げられる。陰極の形成方法は、特に制限されず、例えば、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなどを用いることができる。
正孔輸送層は、正孔輸送材料の一種または二種以上を積層または混合する方法、もしくは、正孔輸送材料と高分子結着剤の混合物を用いる方法により形成される。また、正孔輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して正孔輸送層を形成してもよい。正孔輸送材料は、薄膜を形成でき、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましい。
発光層は、ホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであってもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料と積層されていても、ホスト材料中に分散されていても、いずれでもよい。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料とドーパント材料の合計に対して20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。ドーピング方法は、ドーパント材料をホスト材料との共蒸着法によって形成してもよいし、ホスト材料とドーパント材料を予め混合してから蒸着しても良い。本発明において発光素子材料として用いられるクリセン化合物はホスト材料として用いてもよいが、蛍光量子収率が高いことから、ドーパント材料として好適に用いられる。
本発明に用いられるクリセン化合物のイオン化ポテンシャルは、特に限定されないが、好ましくは4.5eV以上7.0eV以下であり、より好ましくは5.4eV以上6.4eV以下である。なお、イオン化ポテンシャルの絶対値は測定方法により異なる場合がある。本発明のイオン化ポテンシャルは、大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(AC−1、理研機器(株)製)を用いて、ITOガラス基板上に30nm〜100nmの厚さに蒸着した薄膜を測定した値である。
ドーパント材料は、一般式(1)で表されるクリセン化合物一種のみを用いても、複数のクリセン化合物を混合して用いてもよい。また、その他のドーパント材料の一種類以上を一般式(1)で表されるクリセン化合物と混合して用いてもよい。混合しうるドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、クリセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどのアリール環を有する化合物やその誘導体(例えば2−(ベンゾチアゾール−2−イル)−9,10−ジフェニルアントラセンや5,6,11,12−テトラフェニルナフタセンなど)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(2’−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1−gh]クマリンなどのクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
発光材料に含有されるホスト材料は、特に限定されないが、アントラセンやピレンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ピロロピロール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが好適に用いられる。中でも、電子供与性または中性置換基を有する縮合芳香環誘導体をホストとして用いると、本発明のクリセン化合物が有する高発光効率の効果がより顕著になるため、好ましい。具体的には、アントラセン化合物、ピレン化合物およびジスチリルベンゼン誘導体から選ばれた化合物をホスト材料として用いると、本発明のクリセン化合物と組み合わせた際により高効率となり、好ましい。
電子輸送層は、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層には、電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率良く輸送することが望まれる。そのため電子輸送層は、電子親和力が大きく、電子移動度が大きく、安定性に優れ、かつ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質で構成されることが望ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料は、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体が挙げられる。駆動電圧を低減できることから、電子輸送材料は、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素およびリンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。窒素原子が高い電子陰性度を有することから、該多重結合は電子受容的な性質を有し、電子輸送能に優れ、電子輸送層に用いることで発光素子の駆動電圧を低減できる。それゆえ、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環は、高い電子親和性を有する。電子受容性窒素を含むヘテロアリール環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環などが挙げられる。
これらのヘテロアリール環構造を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の点から好ましく用いられる。さらに、1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼン、2,7−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ナフタレン、1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン二量体、および2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン二量体は、一般式(1)で表されるクリセン化合物を含む発光層と組み合わせた際の発光効率向上効果が著しく高く、特に好ましい例として挙げられる。
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いても構わない。また、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属と混合して用いることも可能である。電子輸送層のイオン化ポテンシャルは、特に限定されないが、好ましくは5.8eV以上8.0eV以下であり、より好ましくは6.0eV以上7.5eV以下である。
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、レーザー誘起熱転写法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmの間から選ばれる。発光層、電子輸送層および正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれることが好ましい。
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
マトリクス方式では、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑および青の画素を並べて表示させる。カラー表示の場合、その配列方式は、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動およびアクティブマトリクスのどちらでもよい。線順次駆動は、発光素子の構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合がある。駆動方法は、用途によって使い分ける。
セグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
本発明の発光素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに、本発明の発光素子は好ましく用いられる。本発明の発光素子により、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。なお、下記の各実施例にある化合物の番号は上の化学式に記載した化合物の番号を指す。また構造分析に関する評価方法を下記に示す。
H−NMRは超伝導FTNMR EX−270(日本電子(株)製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
HPLCは、高速液体クロマトグラフ LC−10((株)島津製作所製)を用い、0.1g/Lのクロロホルム溶液にて測定した。カラムの展開溶媒としては、0.1%リン酸水溶液とアセトニトリルの混合溶液を用いた。
合成例1(化合物[29]の合成方法)
クリセン1.2g、N−ブロモスクシンイミド2.2gとジメチルホルムアミド52mlの混合溶液を窒素気流下、室温で11時間撹拌した。溶液に水50mlを注入し、析出物をろ過した。ろ別した固体を水50ml、メタノール50mlでそれぞれ洗浄した後、真空乾燥して、6,12−ジブロモクリセン1.4gを乳白色粉末として得た。
次に、6,12−ジブロモクリセン1.4g、2−ベンゾフランボロン酸1.9g、リン酸三カリウム4.9g、PdCl(dppf)・CHCl176mgと脱気したジメチルホルムアミド36mlとの混合溶液を窒素気流下、100℃で3時間加熱撹拌した。溶液を室温に冷却した後、水30mlを注入し、ろ過した。得られた固体をメタノール30mlで洗浄した後、トルエンから再結晶し、真空乾燥した後、黄色結晶1.1gを得た。得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた黄色結晶が化合物[29]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):7.27-7.44(m, 6H), 7.68-7.84(m, 8H), 8.61-8.65(m, 2H), 8.96(m, 2H), 9.16(s, 2H)。
なお、この化合物[29]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約260℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.6%、昇華精製後が99.8%であった。
実施例1
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、ITO導電膜をフォトリソグラフィー法によりパターン加工して、発光部分および電極引き出し部分を作製した。得られた基板をアセトン、“セミコクリン56”(フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。素子を作製する直前にこの基板を1時間UV−オゾン処理し、さらに真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−5Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入材料として、銅フタロシアニンを10nm、正孔輸送材料として、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを50nm蒸着した。次に、発光材料として、ホスト材料として下記式に示すH−1を、またドーパント材料として化合物[29]をドープ濃度が2%になるように35nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料として、下記式に示すE−1を20nmの厚さに積層した。以上で形成した有機層上に、フッ化リチウムを0.5nmの厚さに蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニターの表示値である。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率3.3lm/Wの高効率発光と、C.I.E色度座標で(0.15,0.16)と高色純度の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
比較例1
ドーパント材料として下記式に示すD−1を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、1.6lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.15,0.18)の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
比較例2
ドーパント材料として下記式に示すD−2を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、3.3lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.18,0.38)の青緑色発光が得られた。
Figure 2009057445
比較例3
ドーパント材料として下記式に示すD−3を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率1.8lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.15,0.15)と高色純度の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
比較例4
ドーパント材料として下記式に示すD−4を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率1.7lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.15,0.20)の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
実施例2
ホスト材料として下記式に示すH−2を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率3.5lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.15,0.16)と高色純度の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
実施例3
ホスト材料としてH−2、ドーパント材料として化合物[29]、電子輸送材料としてE−2を用いた以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率2.4lm/Wの発光効率と、C.I.E色度座標で(0.15,0.16)と高色純度の青色発光が得られた。
Figure 2009057445
実施例4
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(旭硝子(株)製、15Ω/□、電子ビーム蒸着品)を30×40mmに切断し、フォトリソグラフィー法によって300μmピッチ(残り幅270μm)×32本のストライプ状にパターン加工した。ITOストライプの長辺方向片側は外部との電気的接続を容易にするために1.27mmピッチ(開口部幅800μm)まで広げてある。得られた基板をアセトン、“セミコクリン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で各々15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。続いて、イソプロピルアルコールで15分間超音波洗浄してから熱メタノールに15分間浸漬させて乾燥させた。この基板を素子を作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔輸送材料として4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルを150nm蒸着した。次に、ホスト材料としてH−1を、またドーパント材料として化合物[29]をドープ濃度が2%になるように35nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送材料としてE−1を20nmの厚さに積層した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。次に、厚さ50μmのコバール板にウエットエッチングによって16本の250μmの開口部(残り幅50μm、300μmピッチに相当)を設けたマスクを、真空中でITOストライプに直交するようにマスク交換し、マスクとITO基板が密着するように裏面から磁石で固定した。そしてフッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを200nm蒸着して32×16ドットマトリクス素子を作製した。本素子をマトリクス駆動させたところ、クロストークなく文字表示できた。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表されるクリセン化合物を含有することを特徴とする発光素子材料。
    Figure 2009057445
    (R〜R17はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、シリル基、−P(=O)R1819、並びに隣接置換基との間に形成される環構造の中から選ばれる。R18およびR19は、アリール基およびヘテロアリール基の中から選ばれる。R〜R12のうちいずれかn個は二環式ベンゾへテロ環との連結に使われる。nは1〜4の整数である。Xは酸素原子、硫黄原子、−NR20−の中から選ばれる。R20は水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基の中から選ばれる。R20はR13と結合し環を形成していてもよい。)
  2. Xが酸素原子であることを特徴とする請求項1記載の発光素子材料。
  3. またはRのうち少なくとも1つが二環式ベンゾへテロ環との連結に用いられることを特徴とする請求項1記載の発光素子材料。
  4. 陽極と陰極の間に少なくとも発光層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、発光素子が請求項1〜3のいずれか記載の発光素子材料を含有することを特徴とする発光素子。
  5. 発光層がホスト材料とドーパント材料を有し、一般式(1)で表される発光素子材料がドーパント材料であることを特徴とする請求項4記載の発光素子。
  6. 発光層と陰極の間に少なくとも電子輸送層が存在し、電子輸送層が、電子受容性窒素を含み、さらに炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成されるヘテロアリール環構造を有する化合物を含有することを特徴とする請求項4記載の発光素子。
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