JP2009057340A - 細胞増殖抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ガン細胞、自己抗体産生細胞及び病原性微生物に対して特異的に作用する新たな分子標的薬を提供するものである。
【解決手段】上記課題は、特定の細胞の細胞表面に発現する受容体を介して、細胞死(アポトーシス)を含む細胞増殖抑制作用及び/又は免疫賦活作用をもたらす、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤により解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤に関する。
難治性の疾患であるガンに対する医薬品の研究が盛んに行われている。抗ガン剤の主流は、今なお代謝拮抗剤と呼ばれるDNA合成阻害剤であるが、これらはガン細胞に特異的に作用するものではなく、正常な細胞分裂をも阻害し、その結果、骨髄抑制をはじめとした副作用をもたらす。そこで、近年になって、血液のガンである白血病などに対して、それらの原因細胞に特異的に作用する分子標的薬が使用されるようになり(特許文献1)、臨床成果も上がってきている。しかしながら、分子標的薬では、従来の副作用は軽減されたものの、新たな副作用の出現と薬剤の選択肢が限られるという問題点がある。
ところで、ハマウツボ科の植物は、ニクジュヨウをはじめとする多年生寄生草本であり、強壮、強精等の生薬として用いられているほか免疫活性を増強させる作用が知られているが、その作用の詳細は明らかになっていない(特許文献2)。
特開2003−192603号公報 特開平10−130158号公報
本発明は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤を提供する。
上記のような状況で、ガン細胞に対して特異的に作用する新たな分子標的薬が望まれている。特に、ヒトにとって不必要な細胞の増殖を特異的に抑える分子標的薬、好ましくは細胞死を誘導する新たな分子標的薬が望まれている。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、寄生植物であるハマウツボ科植物の抽出物が、ガン細胞に対して、増殖抑制作用を有することを見出した。また、増殖抑制効果がみられた細胞には、自己抗体を分泌する免疫担当細胞も含まれていたことから、各種の自己免疫疾患にみられる自己抗体を分泌する細胞の増殖を抑制することも見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)本発明は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤である。好ましくは、ハマウツボ科の植物体が、Cistanche(オニク属)に属する植物体である。さらに好ましくは、前記ハマウツボ科の植物体がニクジュヨウ(Cistanche salsa)又はカンカ(Cistanche tublosa)である。
本発明は、さらに免疫賦活作用を有することを特徴とする細胞増殖抑制剤である。
本発明の細胞増殖抑制剤は、細胞がガン細胞、免疫担当細胞及び病原性微生物の細胞からなる群から選ばれる少なくとも1つの細胞である。好ましくは、免疫担当細胞はB細胞である。さらに好ましくは、本発明の細胞増殖抑制剤は、B細胞がガン化している。より好ましくは、B細胞は自己抗体を産生する細胞である。さらに、好ましくは、病原性微生物は細菌、真菌、ウイルス及び寄生虫からなる群から選択される少なくとも1の微生物である。
(2)上記(1)記載の細胞増殖抑制剤は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物由来の活性成分を含む。ここで、本発明は、活性成分は少なくとも100℃で10分間処理しても失活しないことを特徴とする場合がある。さらに、本発明の細胞増殖抑制剤は、活性成分の分子量が3,500より大きいことを特徴としてもよい。また、本発明の細胞増殖抑制剤は、低分子化処理により、分子量が3,500以下となった、活性成分を含むことを特徴としてもよい。そして、上記本発明の細胞増殖抑制剤は、活性成分が化学修飾されたことを特徴とする場合もある。
(3)上記(1)及び(2)記載の細胞増殖抑制剤は、白血病、脳腫瘍、頭頸部癌、舌癌、鼻咽頭癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、胆道癌、胆嚢癌、十二指腸癌、大腸癌、結腸腺癌、頸部癌、肝癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、腎癌、膀胱癌、皮膚癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、中皮腫、黒色腫、骨膜肉腫、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、形質細胞性腫瘍、I型糖尿病、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)、橋本病、バセドウ病、原発性胆汁性肝硬変、強皮症(進行性全身性硬化症)、特発性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎・クローン病、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、糸球体腎炎、血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、多発性硬化症、多腺性自己免疫症候群、再発性多発性軟骨炎、類天疱瘡、ギラン・バレー症候群、結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病、リウマチ熱、結節性多発動脈炎及びWegener肉芽腫症からなる群から選択される少なくとも1の疾患の治療のための細胞増殖抑制剤である。
(4)本発明は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物若しくはそれらの活性成分を含む、食品である。
本発明の細胞増殖抑制剤は、ガン細胞、自己抗体産生細胞及び病原性微生物に対して特異的に作用する新たな分子標的薬として有用である。特に、ヒトにとって不必要な細胞の増殖を特異的に抑える分子標的薬、好ましくは細胞死を誘導する新たな分子標的薬として有用である。
また、本発明のハマウツボ科植物又はその抽出物中には、免疫力(抗体産生能力)を高める成分が含まれており、増殖抑制作用を示す成分を単独で抗ガン剤として用いることができるのみならず、これに上記免疫力(抗体産生能力)を高める成分を組み合わせる等により、相乗的な抗ガン作用が期待できる。
さらに、自己抗体を分泌する細胞の増殖を抑えることにより自己免疫疾患治療薬として、同様に、病原性微生物の増殖を抑えることにより感染症治療薬としても期待できる。
そして、本発明に関する上記活性成分を含む食品は、上記した疾患に罹患した場合だけでなく、健常時にも食品として摂取することにより、健康な状態で免疫力を高い状態で維持しておくことができるため、ガン、自己免疫疾患及び感染症の予防につながり、好ましい。
本発明は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤である。
以下に本発明を詳細に説明する。
1.本発明の概要
本発明は、寄生植物であるハマウツボ科植物又はその抽出物が、ガン細胞、自己反応性の細胞及び病原性に生物等に対して増殖抑制作用(以下、「本発明の細胞増殖抑制作用」という場合もある)及び/又は免疫賦活作用を有することを特徴とする細胞増殖抑制剤である。
本発明の細胞増殖抑制剤に含まれるハマウツボ科植物又はその抽出物に含まれる活性成分は、主として高分子化合物である。通常、細胞内に取り込まれる物質の分子量の上限は3000程度であるため、本抽出物の活性成分は、そのままでは細胞質中に取り込まれない。したがって、本活性成分は、細胞質中に取り込まれずに細胞表面に発現する受容体を介して作用する。また、上記細胞増殖抑制作用の1の経路は細胞死(アポトーシス)誘導による。つまり、本抽出物の上記の細胞増殖抑制活性を有する活性成分は、細胞表面に発現される受容体を介して、本発明の細胞増殖抑制作用、好ましくはアポトーシスをもたらす。このように、細胞内で作用するのではなく、細胞表面において受容体に結合して作用する場合の利点は以下のとおりである。すなわち、従来の抗生物質や抗ガン薬は、標的細胞内に取り込まれてDNAの合成を阻害するもの、同様にして細胞内のリボゾームに結合してタンパク質合成を阻害するものがほとんどであり、抗ガン薬は、ガン細胞か否かを問わず細胞内に取り込まれる。その結果、比較的細胞分裂の盛んな骨髄や消化器系の細胞では、細胞分裂が阻害されることで副作用を発現する。その一方で、本発明の活性成分は、細胞表面で作用し、かつ細胞種によって作用が異なる。これは、特定の細胞に特徴的な細胞表面の分子を認識、結合して細胞増殖を抑制できることを示す。このような作用機序により、細胞表面において受容体に結合して作用する本発明の細胞増殖抑制剤は、従来の薬よりも副作用が少なく、好ましい。
このように、本発明の細胞増殖抑制剤は、ガン細胞のほか自己抗体産生細胞を含む免疫担当細胞や、病原微生物にも作用するため、ガン、自己免疫疾患又は感染症の治療及び予防に有用である。
また、上記の細胞増殖抑制活性を有する活性成分は、通常の高圧蒸気滅菌法で処理してもその活性が失われず、上記植物体又はその抽出物に加熱等による分解処理を施すことにより、あるいは抽出物そのものを適当な濃度、pH、温度又は時間で処理することにより、植物体が元来有する分解酵素を利用して上記活性成分を低分子化することもできる。上記活性成分が低分子化されると、上記の細胞表面で作用するという本活性成分の特徴を保持しつつ、経口摂取した場合の吸収率が高まり、本発明細胞増殖抑制剤の効果が高まる。また、活性成分の分子中に活性部位が複数存在する場合には、低分子化により一定重量あたりの活性(力価)を上昇させることができる。さらに、低分子化することで、体内吸収率や力価を高めるための化学修飾をより容易に行うことができるため、上記活性成分を低分子化することは好ましい。なお、低分子化を行う場合、分子量は3500以下にすることが好ましい。分子量を3500以下にすることで、上記活性成分を経口摂取したときに、消化管内で消化、分解されることなく、体内へ吸収させることができるからである。
一方で、上記ハマウツボ科植物には、免疫力(抗体産生能力)を高める(以下、「本発明の免疫賦活作用」という場合もある)成分も含まれる。従って、本発明の細胞増殖抑制剤は、免疫力を高めることにより、細菌、真菌、ウイルス及び寄生虫等の有害な外来性微生物の細胞増殖を抑制することができる。なお、本発明の細胞増殖抑制剤は、上記免疫賦活作用を示す活性成分単独で抗ガン剤として用いることができるほか、上記増殖抑制作用を示す活性成分と上記免疫賦活作用を示す活性成分をあわせもち、両成分の相乗効果により、より効果の高い抗ガン剤又は自己免疫疾患治療剤として用いることができるため、好ましい。
2.ハマウツボ科の植物体又はその抽出物
本発明の細胞増殖抑制剤は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物(以下、「本発明の植物体又はその抽出物」という場合もある。)を含むことを特徴とする。
ハマウツボ科(Orobanchaceae)の植物は、ゴマノハグサ目に属する双子葉植物の科でアジアやヨーロッパの温帯地方を中心に分布する寄生植物である。ハマウツボ科としては以下の、Aeginetia(ナンバンギセル属)、Boschniakia、Christisonia、Cistanche(オニク属)、Conopholis、Epifagus、Gleadovia、Kopsiopsis、Mannafettaea、Necranthus、Orobanche(ハマウツボ属(ハマウツボ、ヤセウツボ等))、Phacellanthus(キヨスミウツボ属)、Phelypaea、Platypholis、Xylanche、Agalinis、Asepalum、Aureolaria、Bartsia、Buchnera、Bungea、Buttonia、Castilleja、Centranthera、Clevelandia、Cordylanthus、Cyclocheilon、Cycnium、Cymbaria、Escobedia、Esterhazya、Euphrasia(コゴメグサ属)、Gentrya、Gerardiina、Graderia、Harveya、Hyobanche、Lamourouxia、Lathraea(ヤマウツボ属)、Leptorhabdos、Macranthera、Melampyrum(ママコナ属)、Melasma、Micrargeria、Monochasma(クチナシグサ属)、Nesogenes、Nothochilus、Odontites、Omphalotrix、Ophiocephalus、Orthocarpus、Parentucellia(セイヨウヒキヨモギ属)、Pedicularis(シオガマギク属(ミヤマシオガマ、ヨツバシオガマ等))、Phtheirospermum(コシオガマ属)、Physocalyx、Radamaea、Rhamphicarpa、Rhaphispermum、Rhinanthus、Rhynchocorys、Schwalbea、Seymeria、Silviella、Siphonostegia(ヒキヨモギ属)、Sopubia、Striga、Tetraspidium、Tienmuia、Tozzia、Triphysaria及びXylocalyx属に属する植物があげられるがこれらに限定されない。好ましくは、Cistanche(オニク属)に属する植物であり、さらに好ましくは、ニクジュヨウ(Cistanche salsa)又はカンカ(Cistanche tublosa)である。
本発明で用いるハマウツボ科の植物体の採取地は、日本、中国、韓国、モンゴル、ロシア等のアジアやヨーロッパの温帯気候に属する地域であるが、これらに限定されない。
また、植物体として用いる部位は限定されないが、例えば、植物の全体を用いるほか、果実、果穂、果皮、種子、根、気根、茎、花、葉、葉柄等の部位を用いることができる。好ましくは、根、茎、より好ましくは肉質茎である。
これらの部位は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、上記植物体の採取時期は特に限定されないが、例えば、上記果実、果穂、果皮、種子及び花等を用いる場合にはこれらを得ることができる所定の時期となる。上記植物体をそのまま使用する場合には、葉、果実、種子、幹若しくは根を生の状態、又は乾燥させた後、適切な大きさに細砕するか、粉末化するか、若しくは、凍結等することにより用いてもよく、またこれらのうちの2種以上を併用してもよい。
本発明はまた、上記のハマウツボ科の植物体の抽出物を用いることもできる。本発明の上記抽出物は、『1.本発明の概要』で説明した、本発明の細胞増殖抑制作用及び/又は免疫賦活作用を有する活性成分が含まれることを特徴とする。従って、本発明の抽出物は、上記成分が含まれていれば、いかなる方法を用いて抽出してもよい。また、上記細胞増殖作用については、以下の『3.本発明の細胞増殖抑制剤の細胞増殖抑制作用』において、また、上記免疫賦活作用については『4.本発明の細胞増殖抑制剤の免疫賦活作用』に記載のとおりである。
本発明に関する植物体の抽出物を作製する方法としては、抽出工程及び分離工程を組み合わせる方法、上記方法にさらに分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。
抽出工程は、植物体から抽出溶媒を用いて、抽出物として必要な成分を取り出す工程であり、抽出方法や抽出条件は特に限定されない。
用いる本発明に関する植物体は、上記したように、未乾燥物、乾燥物及び凍結物等のどのような形態でもよい。
抽出溶媒の種類は特に限定されないが、水、有機溶媒又はこれらを混合した混合溶媒等があげられる。上記の水としては、冷水、常温水、温水、熱水、水蒸気等の全ての温度における水の状態があげられ、また、殺菌処理、イオン交換処理、浸透圧調整、又は緩衝化されていてもよい。有機溶媒としては、親水性有機溶媒及び親油性有機溶媒があげられ、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。親水性有機溶媒としては、炭素数1〜5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、炭素数2〜5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)及びケトン(アセトン等)などがあげられる。親油性有機溶媒としては、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン等があげられる。本発明で用いる抽出溶媒は、好ましくは水、特に純水である。より好ましくは、アルカリ性の水溶液である。
抽出手法としては、浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出があげられ、抽出条件としては、室温抽出、加熱抽出(加温抽出ともいう)、加圧抽出、超臨界抽出等があげられるが、好ましくは、加温抽出である。抽出温度は抽出溶媒の種類等により適宜決定できる。本発明の抽出を加温抽出で行う場合の具体的な抽出条件としては、30〜100℃(好ましくは30〜70℃、より好ましくは30〜60℃)があげられる。抽出時間は特に限定されないが、例えば、5分〜6時間(好ましくは10分〜3時間、より好ましくは15分〜45分間)である。また、pH調整してもよい。上記抽出操作は1回でもよく、抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返すことにより複数回行ってもよい。さらに、工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行ってもよい。
分離工程は、上記で得られた抽出物から、抽出残渣である不溶物と抽出物を分離する方法であり、例えば、遠心分離、フィルタプレス、濾過(加圧、常圧)及びクロマトグラフィー等の吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離等による方法があげられる。抽出液から分取された抽出物はそのまま用いてもよく、さらに、分画等により精製してもよい。
分画工程は、上記で得られた分離物から必要な成分を分画して精製及び濃縮する方法である。分画工程に用いられる方法としては、担体として陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、シリカゲル、芳香族化合物を吸着するポリスチレン系の樹脂などを用いるクロマトグラフィー、透析、分子ふるいや減圧濃縮、凍結乾燥等の方法があげられるがこれらに限定されない。さらに、本工程後に、必要に応じて遠心分離等により上清を回収する工程を行ってもよい。なお、上記各工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行ってもよい。濾過には、ガーゼや濾過フィルター、市販の濾過器等を用いることができる。また、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
なお、上記抽出工程を行う前に、前処理工程を行ってもよい。前処理工程としては、乾燥処理、粉砕処理、親水性抽出溶媒による脱脂処理等があげられるがこれらに限定されない。前処理工程としては、殺菌処理工程、粉砕処理工程、細胞壁構成成分を分解させる酵素処理工程等があげられる。殺菌工程としては、紫外線照射、脱酸素、加熱等があげられ、粉砕処理工程における粉砕方法は特に限定されず、各種ミル等を用いることができ、酵素処理工程は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ及びリパーゼ等の酵素を用いて、各種酵素に適した溶媒、pH及び温度の環境に酵素と抽出対象物(粉砕後物でもよい)を浸漬して行うことができる。あるいは抽出液そのものに含まれる植物体が元来有する分解酵素を利用することもできる。
上記方法により、本発明の抽出物を得ることができる。得られた抽出物は、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の乾燥工程により粉末化することもできる。粉末化する場合は、適当な賦形剤を添加してもよい。
3.本発明の細胞増殖抑制剤の細胞増殖抑制作用
本発明の細胞増殖抑制剤は、細胞増殖抑制作用及び/又は免疫賦活作用を有する。免疫賦活作用については、『4.本発明の細胞増殖抑制剤の免疫賦活作用』の項に記載のとおりである。本発明に関する細胞増殖抑制作用とは、『1.本発明の概要』に記載したように、細胞表面でおこること及びアポトーシス誘導によることを特徴とする。つまり、アポトーシス誘導により、細胞表面に発現される受容体を介してその機能が発揮されることを特徴のひとつとする。また本発明の細胞増殖抑制剤で増殖が抑制される細胞は、ガン細胞及び自己抗体産生細胞(自己反応性の細胞)等である。このような本発明の細胞増殖抑制作用は、既存のDNA合成阻害剤等の細胞増殖阻害作用とは作用機序が異なり、ヒトにとって不必要な細胞の増殖を特異的に抑えることができるため有用である。
本発明に関する細胞増殖抑制作用の特徴は、細胞表面に発現される受容体を介する作用であるが、この「細胞表面に発現される受容体を介して」とは、タンパク質、多糖、脂質のいずれかまたはそれらの複合体からなる細胞表面上(細胞内外を貫通しているものを含む)に発現されている構造に、本発明の活性成分が結合することにより、細胞内へ特定のシグナル伝達が行われて作用が発現することを意味する。このような細胞表面受容体としては、科学的にアポトーシス誘導に関連することで知られているFas、TNFレセプターI、TRAILレセプター(DR4、DR5);細胞が由来している特定器官において細胞が増殖するのに必要な特定の受容体、例えば、白血球の場合には各種インターロイキン受容体があげられるが、これらに限定されない。
また、本発明の細胞増殖阻害剤は、上記のように、標的細胞の細胞表面におけるアポト−シス誘導により細胞増殖阻害活性を呈することを特徴のひとつとする。「アポトーシス」は、細胞死ともいい、個体を良好な状態に保つために引き起こされる、プログラムされた細胞の死をいう。つまり、本発明の細胞増殖阻害剤は、標的細胞の細胞表面に発現される受容体に本発明の活性成分が作用することにより、標的細胞の細胞死をひきおこすことにより、その細胞の増殖を阻害することを特徴とする。
本発明の上記細胞増殖抑制剤がアポト−シス誘導をおこすことは、公知の方法を用いて確認することができる。例えば、実施例3に記載の方法のような、アポトーシスの特徴である核内DNAの断片化を観察する方法などがあげられる。具体的には、細胞を適当な培地にて培養して、当該細胞を回収後、核内DNAを抽出して適当な染色液で染色してDNAの状態を観察する方法である。ここで、電気泳動等でDNAのバンドを観察し、DNAが断片化していれば、アポトーシスが誘導されたと判断することができる。
本発明の細胞増殖抑制剤は、標的細胞に作用して細胞特異的にその増殖を抑制することを特徴の一つとする。当該標的細胞の種類は限定されないが、例えば、ガン細胞や免疫担当細胞があげられる。
本発明の細胞増殖抑制剤が作用するガン細胞の種類は限定されるものではなく、あらゆる種類の癌の細胞を用いることができる。例えば、頭頸部、胃、大腸、肺、肝、前立腺、膵、食道、膀胱、胆嚢・胆管、乳房、子宮、甲状腺、卵巣等における固形癌、あるいは白血病、リンパ腫、肉腫、間葉系腫瘍等の細胞があげられる。
本発明の細胞増殖抑制剤が作用する免疫担当細胞は、末梢血中の好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球等の白血球を構成する細胞であって、体内に侵入した抗原に対する免疫反応に関与する細胞をいい、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞及びNKT細胞、LAK細胞(リンホカイン活性化キラー細胞)のうち、生体に有害となる細胞があげられるが、これらに限定されない。本発明では、特にB細胞が好ましい。このB細胞には、ガン化したB細胞や自己抗体を産生する細胞が含まれる。「ガン化した」とは、細胞中の遺伝子に突然変異が生じて、細胞増殖のプロセスの秩序が乱れてしまい、必要ない場合でも細胞分裂を起こして増殖したり、逆に死滅すべき細胞が死滅したりしなくなるような状態をいう。
本発明の細胞増殖抑制剤は、上記のように、自己抗体を産生する細胞にも作用して、自己抗体を産生する細胞の増殖を抑制する。自己抗体を産生する細胞とは、自己の成分に反応して、細胞(組織)障害を引き起こすような、自己免疫疾患等の原因となるリンパ球等の自己反応性の細胞をいう。「自己抗体」とは、個体又は動物(自己)由来の正常な物質を抗原として反応する、前記個体又は動物から得られた抗体であって、自己免疫疾患の重要な指標として知られている。この場合の抗原となりうる「物質」としては、自己の成分であればいかなる成分も含まれるが、特に、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、核酸、酵素補因子等があげられる。本発明の「自己抗体を産生する細胞」としては、例えば、I型糖尿病、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)、橋本病、バセドウ病、原発性胆汁性肝硬変、強皮症(進行性全身性硬化症)、特発性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎・クローン病、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、糸球体腎炎、血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、多発性硬化症、多腺性自己免疫症候群、再発性多発性軟骨炎、類天疱瘡、ギラン・バレー症候群、結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病、リウマチ熱、結節性多発動脈炎及びWegener肉芽腫症等の疾患において自己抗体を分泌するB細胞等があげられるが、これらに限定されない。
本発明の上記細胞増殖抑制剤がガン細胞等に対する増殖抑制作用を有することは、公知の方法を用いて確認することができる。例えば、実施例1に記載の方法のような、ガン細胞を適当な培地にて培養して、その培養液に本発明の植物体又はその抽出物を添加して、適当期間培養後、当該細胞の生存率を算定する方法があげられるが、これらに限定されない。上記の方法等により、本発明の植物体又はその抽出物がガン細胞等に対する細胞増殖抑制効果があることが確認できる(図1)。本方法により、本発明の細胞増殖阻害剤に含まれる活性成分の細胞増殖阻害効果は、既存のDNA合成阻害剤等にみられるような急性的な作用ではなく、既存のDNA合成阻害剤等とは作用機序が異なることが示される。
このように、本発明の細胞増殖抑制剤は、ガン細胞や自己抗体を産生する細胞に作用して、ガン細胞や自己抗体を産生する細胞の増殖を抑制するため、ガンや自己免疫疾患の治療及び予防に有用である。
4.本発明の細胞増殖抑制剤の免疫賦活作用
本発明の細胞増殖抑制剤はまた、免疫賦活作用を呈する場合がある。本発明でいう「免疫賦活作用」とは、特定の免疫細胞を細胞特異的に活性化させて免疫機能を強化させるような作用をいい、好ましくは、特定のB細胞を細胞特異的に活性化させて、IgM産生機能を増強させるような作用である。B細胞としては、T細胞依存的に活性化されて抗体を分泌するB細胞と、T細胞を介さずに抗原に反応して活性化して抗体を分泌する細胞があげられるが、これらに限定されない。本細胞の上記B細胞として適するB細胞は、T細胞を介さずに活性化して抗体を分泌するB細胞である。
本発明の細胞増殖抑制剤がこのような免疫賦活作用を有することは、公知の方法を用いて確認することができる。例えば、実施例4に記載の方法のような、細胞を適当な培地にて培養して、当該細胞を回収後、細胞が分泌するIgM抗体量を、ELISA法等を用いて測定する方法があげられる。このような方法により、本発明の細胞増殖抑制剤が細胞特異的に免疫増強作用をも有することが示される。
従って、このような本発明の細胞増殖抑制剤は、上記免疫賦活作用によりガンを治療することもできるし、細胞増殖抑制作用及び免疫賦活作用の相乗効果により、治癒を目的とする疾患の治療及び予防を促す一方、体内の免疫力を維持又は高めることができ、より効果の高い抗ガン剤又は自己免疫疾患治療剤として用いることができるため、好ましい。
さらに、本発明の細胞増殖抑制剤は、上記免疫賦活作用のため、病原微生物の細胞増殖を抑制することもできるため、感染症に対する治療効果も有する。病原微生物には、細菌、真菌、ウイルス及び寄生虫などが含まれるがこれらに限定されない。本発明に関連する細菌としては、具体的には、レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA)、表皮ブドウ球菌、腸球菌、リステリア、髄膜炎球菌、淋菌、病原性大腸菌(0157:H7など)、クレブシエラ(肺炎桿菌)、プロテウス、百日咳菌、緑膿菌、セラチア菌、シトロバクター、アシネトバクター、エンテロバクター、マイコプラズマ、クラミジア、クロストリジウム等があげられる。本発明に関連する真菌としては、具体的には、白癬菌、カンジダ、クリプトコッカス等があげられる。本発明に関連するウイルスとしては、具体的には、天然痘ウイルス、サルポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、JCウイルス、パルボウイルス、B型肝炎ウイルス、ラッサウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、SARSウイルス、風疹ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、ブンヤウイルス科のウイルス、狂犬病ウイルス、レオウイルス科のウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス、サル免疫不全ウイルス、STLV等があげられる。本発明に関連する寄生虫としては、具体的には、ノミ、シラミヒトノミ、アタマジラミ、コロモジラミ、ケジラミ、ニキビダニ、ヒゼンダニ、カイチュウ、ギョウチュウ、フィラリア、肝臓ジストマ、肺臓ジストマ、横川吸虫、日本住血吸虫、有鉤条虫、無鉤条虫、エキノコックス、広節裂頭条虫、アニサキス、サナダムシ類、肝蛭(カンテツ)等があげられる。本発明の細胞増殖抑制剤はまた、プリオン;リケッチア;クラミジア;マラリア原虫(Plasmodium spp.)、リーシュマニア (Leishmania)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium spp.)等の原虫等の感染症に対する治療効果も有する。
5.本発明の細胞増殖抑制剤の活性成分
本発明の細胞増殖抑制剤の上記作用は、『2.ハマウツボ科の植物体又はその抽出物』に記載の本発明の植物体又はその抽出物のうち、本発明の細胞増殖抑制作用を有する活性成分及び/又は本発明の免疫賦活作用を有する成分(以下、「本発明の活性成分」という場合もある)により引き起こされる。
本発明の活性成分は、主として分子量3500以上の高分子化合物であり、少なくとも、本発明の細胞増殖抑制作用を呈する活性成分と本発明の免疫賦活作用を呈する活性成分の2つが含まれる。
上記の本発明の細胞増殖抑制作用を呈する活性成分は、主として分子量3500〜700,000程度の、1又はそれ以上の水溶性高分子化合物である。より好ましくは、分子量200,000以下、さらに好ましくは分子量50,000以下の水溶性多糖類である。本化合物は、耐熱性に優れ、例えば、オートクレーブ(120℃、20分間)にかけてもその細胞増殖抑制活性は失活せず化学的に安定である。すなわち、本発明の細胞増殖抑制剤は、少なくとも100℃で10分間処理しても失活しないことを特徴とする。オートクレーブ後でも上記活性成分が上記活性を有していることは、上記『3.本発明の細胞増殖抑制剤の細胞増殖抑制作用』に記載の方法により確認することができる。
このように、本発明の上記活性成分は、加熱処理等によってもその活性は失われないため、その活性は活性成分の高次立体構造には依存していないことがわかる。そこで、本発明の上記活性成分は、活性部位の結合様式を維持しながら低分子化することができる。従って、本発明の細胞増殖抑制剤は、上記低分子化処理により、分子量が3,500以下となった、本発明の活性成分を含むことを特徴とする。この低分子化に適する処理方法としては、上記加熱処理のほか、酵素処理、加水分解等の化学処理があげられるがこれらに限定されない。例えば、植物体が元来有する自己分解酵素を利用して、本発明に関する抽出物を適当な濃度、pH、温度、時間で処理することにより低分子化することができる。このような処理により、本発明の活性成分は、分子量100〜3500程度に低分子化することができる。このように本発明の活性成分が低分子化されることにより、経口摂取した場合の吸収率が高まり、本発明の活性成分の効果が高まる。また、活性成分の分子中に活性部位が複数存在する場合には、低分子化により一定重量あたりの活性(力価)を高めることができる。さらに、低分子化することで、体内吸収率や力価を高めるための化学修飾をより容易に行うことができるため、本活性成分を低分子化することは好ましい。
上記の本発明の免疫賦活作用を呈する活性成分は、主として分子量50,000以上の1又はそれ以上の水溶性高分子化合物であり、分子量200万のブルーデキストランと同じ溶出分画である、SephadexG−75では分画できないほど大きな分子量の高分子化合物で、好ましくは、水溶性多糖である。なお、この物質は、上記本発明の細胞増殖抑制作用を呈する活性成分が作用する細胞には作用しない場合もあり、また、作用した場合でも、細胞増殖抑制作用を必ずしも発揮するとは限らない、上記本発明の細胞増殖抑制作用を呈する活性成分とは異なる物質である。ところで、上記免疫賦活作用を有する成分をより体内吸収率を高める目的で用いる場合には、より低分子量であることが望ましい。そこで、この免疫賦活作用を有する活性成分についても、前記細胞増殖抑制作用を有する活性成分と同様に、低分子化及び化学修飾等を行うことができ、上記成分の利用価値を高めることができる。なお、当業者であれば、本発明の活性成分の低分子化及び化学修飾等を容易に行うことができ、そのような低分子化及び化学修飾等の処理を施すことにより、上記成分の利用価値を高めることができることを容易に理解することができる。
上記本発明の免疫賦活作用を呈する活性成分が上記活性を有することは、上記『4.本発明の細胞増殖抑制剤の免疫賦活作用』に記載の方法を用いて確認することができる。
従って、本発明の上記2つの活性成分を有する細胞増殖抑制剤であれば、細胞特異的に増殖抑制作用を示すのと同時に、細胞特異的に免疫増強作用を示し、増殖抑制作用と同時に免疫賦活作用をあわせた相乗作用を発揮させることもできるため、好ましい。
本発明の細胞増殖抑制剤は、その活性成分を化学修飾することにより、より効果の高い抗ガン剤や自己免疫疾患治療薬とすることもできる。本発明に適する化学修飾としては、分散力を高めるために水溶性を上げる、体内吸収率を高めるために脂溶性を上げる、活性成分の安定性を上昇させるために反応性基を修飾する等の化学修飾があげられるがこれらに限定されない。具体的には、経口摂取時の消化管内での分散性を上げるためには、例えば、本発明の活性成分の効果が失われない範囲で水素を水酸基に置換する化学修飾があげられるがこれらに限定されない。脂溶性を上げるためには、例えば、水溶性の水酸基をメチル基などのアルキル基に置換する化学修飾があげられる。このように脂溶性を上げることにより、消化管吸収および血液分布後の標的器官への移行を促進することができる。反応性基を修飾する化学修飾としては、例えば、反応性のカルボキシル基をアセチル化によりアセチル基に変換する化学修飾があげられる。このように成分の安定性向上を目的として、反応性基を修飾することにより、酸性、塩基性基などの反応性を低下させることができる。上記は、これらの化学修飾の目的の一部を記載したものであるが、これらに限定されない。さらに、低分子領域で化学修飾を行うことで、本発明の活性(力価)を高めることもできる。
6.本発明の細胞増殖抑制剤
本発明の細胞増殖抑制剤は、ハマウツボ科の植物体又はその抽出物若しくはそれらの活性成分を含み、細胞増殖抑制作用及び/又は免疫賦活作用を有することを特徴とするため、ガン、自己免疫疾患又は感染症の治療に適する。
本発明の細胞増殖抑制剤による治療の対象となるガンとしては、白血病、脳腫瘍、頭頸部癌、舌癌、鼻咽頭癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、胆道癌、胆嚢癌、十二指腸癌、大腸癌、結腸腺癌、頸部癌、肝癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、腎癌、膀胱癌、皮膚癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、中皮腫、黒色腫、骨膜肉腫、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、形質細胞性腫瘍(多発性骨髄腫、形質細胞腫、原発性マクログロブリン血症等)等があげられるが、これらに限定されない。好ましくは、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、単球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、成人型T細胞白血病等の白血病であり、さらに好ましくは、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫である。
本発明の細胞増殖抑制剤による治療の対象となる自己免疫疾患としては、I型糖尿病、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)、橋本病、バセドウ病、原発性胆汁性肝硬変、強皮症(進行性全身性硬化症)、特発性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎・クローン病、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、糸球体腎炎、血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、多発性硬化症、多腺性自己免疫症候群、再発性多発性軟骨炎、類天疱瘡、ギラン・バレー症候群、結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病、リウマチ熱、結節性多発動脈炎及びWegener肉芽腫症があげられるがこれらに限定されない。
また、本発明の細胞増殖抑制剤による治療の対象となる感染症は、レンサ球菌(A群β溶連菌、肺炎球菌など)、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA)、表皮ブドウ球菌、腸球菌、リステリア、髄膜炎球菌、淋菌、病原性大腸菌(0157:H7など)、クレブシエラ(肺炎桿菌)、プロテウス、百日咳菌、緑膿菌、セラチア菌、シトロバクター、アシネトバクター、エンテロバクター、マイコプラズマ、クラミジア、クロストリジウム等による各種感染症;結核、コレラ、ジフテリア、赤痢、猩紅熱、炭疽、トラコーマ、梅毒、破傷風、ハンセン病、レジオネラ、レプトスピラ、ライム病、野兎病、Q熱等の細菌感染症;水虫、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症、白癬菌症、ヒストプラズマ症、ニューモシスチス肺炎等真菌に起因する感染症;インフルエンザ、ウイルス性肝炎、ウイルス性髄膜炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)、成人T細胞性白血病、エボラ出血熱、黄熱、風邪症候群、狂犬病、サイトメガロウイルス感染症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、進行性多巣性白質脳症、水痘、帯状疱疹、手足口病、デング熱、伝染性紅斑、伝染性単核球症、天然痘、風疹、急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹、咽頭結膜熱(プール熱)、マールブルグ出血熱、ハンタウイルス腎出血熱、ラッサ熱、流行性耳下腺炎、ウエストナイル熱、ヘルパンギーナ、チクングニヤ熱等のウイルス感染症;エキノコックス症、日本住血吸虫症、フィラリア症等の寄生虫感染症;アメーバ赤痢、マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム等の原虫感染症;:発疹チフス、ツツガムシ病、日本紅斑熱等のリケッチア感染症;トラコーマ、性器クラミジア感染症等のクラミジア感染症;牛海綿状脳症(BSE)、クールー、クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症(FFI)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)等のプリオン感染症等があげられるがこれらに限定されない。
このように、本発明の細胞増殖抑制剤は、有害な細胞の増殖抑制作用に加え、免疫細胞の増殖活性作用も呈するため、上記ガン、自己免疫疾患及び感染症の治療及び予防の効果を発揮しつつ、体内の免疫力を維持又は高めることができる薬剤として有用である。
本発明の細胞増殖抑制剤は、経口投与をはじめ、あらゆる公知の方法、例えば、静脈、筋肉、腹腔内又は皮下等の注射、あるいは鼻腔、口腔又は肺からの吸入、カテーテルなどを用いた血管内投与等により生体(対象となる細胞や臓器)に導入することもできる。また、そのまま患部に適用してもよい。
また、本発明の細胞増殖抑制剤は、例えば凍結等の方法により扱いやすくした後、そのまま用いてもよく、あるいは賦形剤、増量剤、結合剤、滑沢剤等公知の医薬的に許容される担体、公知の添加剤(緩衝剤、等張化剤、キレート剤、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等が含まれる。)などと混合してもよい。
本発明の細胞増殖抑制剤は、錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、散剤、粉剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ剤、乳剤、舌下錠、等の経口投与剤、注射剤、外用剤、貼付剤、坐剤、点眼剤等の非経口投与剤などの製剤化できる。例えば、錠剤は薬理的に受容しうる担体と均一に混合して打錠することにより、また、散剤、粉剤、顆粒剤は薬剤と担体とを溶液又は懸濁液とし、常法により、例えば、噴霧乾燥法又は凍結乾燥法などにより乾燥することにより製造できる。
本発明の細胞増殖抑制剤の投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象、患者の年齢、体重、性別、症状その他の条件により適宜選択されるが、本発明に含まれる活性成分の一日投与量としては、10μg〜20g程度、好ましくは100μg〜10g、より好ましくは、1mg〜1g程度とするのがよく、1日1回投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。
また、本発明の細胞増殖抑制剤は、他の抗ガン剤や、自己免疫疾患治療用の組成物等と併用することもできるし、放射線治療等の他の治療方法とも併用できる。その場合は、本発明の細胞増殖抑制剤と他の組成物等とは、同時に投与することもできるし、一方を投与後、一定時間経過後に他方を投与する方法により生体に導入することもできる。また、本発明の細胞増殖抑制作用及び免疫賦活作用の活性成分が分離されていない抽出物を用いることにより相乗的な抗ガン効果が得られる。また、上記抽出物を用いた場合は、免疫力を低下させずに自己免疫疾患治療が可能になり、好ましい。
7.本発明の活性成分を含む食品
本発明のハマウツボ科の植物体又はその抽出物若しくはそれらの活性成分は食品にも適するため、本発明の細胞増殖抑制作用及び/又は免疫賦活作用を有する上記植物体等は、ガン、自己免疫疾患等の予防に役立つ健康食品にも応用することができる。特に、本発明の活性成分は、免疫賦活作用を有するため、上記した疾患に罹患した場合だけでなく、健常時にも食品として摂取することにより、健康な状態で免疫力を高い状態で維持しておくことができるため、上記疾患への罹患を防御するものとして好ましい。
本発明の食品は、固体、流動体、及び液体、並びにそれらの混合物であって、摂食可能なものの総称をいい、食品の形態としては、カプセル等の製剤の形態、又はタンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香料等に本発明の植物体等が配合された自然流動食、半消化態栄養食、及び成分栄養食、ドリンク剤、経腸栄養剤等の加工形態があげられる。具体的には、栄養補助食品、健康食品、機能性食品、幼児用食品、乳児用調製乳、未熟児用調製乳、老人用食品等があげられるが、これらに限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1は、ホマウツボ植物科に属するニクジュヨウの抽出物が、細胞増殖抑制作用を有することを確認することを目的とする。ニクジュヨウ(刻)(ウチダ和漢薬)をミキサーにて粉砕した後、その1gを20mlの超純水にて、50℃、30分間、抽出した。抽出液をガーゼにて濾過し、その濾液を2,200g、20分間、遠心した後、その上清を0.45μm、及び0.2μmのフィルターを用いて濾過し、不溶物を完全に除去した。次いで、不溶物を完全に除去したニクジュヨウ抽出物を分子量3,500カットの透析チューブに入れ、脱イオン水を用いて、50倍量の脱イオン水を用いて5回にわたり、4℃で、撹拌しながら透析を行った。透析後、透析チューブの内容液を回収し、2,200g、20分間で、再び遠心した後、上清を回収した。これをさらに、0.2μmのフィルターを用いて濾過して得られた濾液を凍結乾燥した。このようにして得られたニクジュヨウの凍結乾燥品をリン酸塩緩衝液生理食塩水(PBS)に希釈し、濾過滅菌した後、本発明の細胞増殖抑制作用の評価に供した。
本発明の細胞増殖抑制作用の評価方法としては、血液のガンである白血病患者由来の細胞株Namalwaを用いて以下の条件で行った。すなわち、10%FBSを含有するRPMI−1640培地で5%CO雰囲気中で継代したNamalwaを、同様の培養条件下で、5×10細胞/mlにて播種し、これにニクジュヨウの凍結乾燥品を種々の濃度(0、1,10,100μg/ml)で添加して4日間培養後、細胞数をセルカウンターにて測定することにより、行った。また細胞の生存率をトリパンブルー染色法により算出した。
上記結果をあわせて算出した生細胞数密度の結果を図1に示す。図1から、分子量が3,500以下の低分子化合物が除去されたニクジュヨウの抽出物が、白血病患者由来のガン細胞株に対して、濃度依存的に増殖抑制効果を有することが示された。また、Namalwaは、自己抗体を産生する細胞株として知られていることから、上記ニクジュヨウの抽出物が、ガン細胞のみならず、ヒトにとって不必要な自己反応性の細胞に対しても増殖抑制作用を有することが示された。
なお、本発明の図面において、図中のアスタリスク*、**、***は、それぞれ危険率0.05%、0.01%、0.001%で有意差(n=3)があることを、バーは標準偏差(n=3)を示す。
実施例2は、ニクジュヨウの細胞増殖効果を確認することを目的とする。ニクジュヨウの凍結乾燥品を10μg/mlにて添加したNamalwa細胞を、実施例1と同様の条件により、1〜5日間培養して、細胞増殖抑制効果を評価した。
結果を図2に示す。図2中、左のグラフは死細胞数を含む細胞密度を示し、右のグラフは、生存率のみを示す。上記2つのグラフから生細胞数を算出することができる。図2の結果から、ニクジュヨウの抽出物の細胞増殖抑制効果は、急性的には作用せず、3日後から観察され始めたことがわかる。また細胞増殖抑制作用の中には、細胞死の誘導作用である致死的作用があることも示された。なお、図中、白丸は、ニクジュヨウ未添加の細胞、黒丸はニクジュヨウが添加された細胞を示す。
実施例3は、ニクジュヨウの細胞増殖抑制作用がアポトーシス誘導性であることを確認することを目的とする。ニクジュヨウの凍結乾燥品を10μg/mlにて添加したNamalwa細胞及びニクジュヨウを添加しないNamalwa細胞について、実施例2と同様の条件で3日間培養後、各々の細胞を回収した。得られた2種類の培養液中の細胞数を同一に調製した後、各々の培養液から核内DNAを抽出した。抽出したDNAをサイバーグリーンで染色し、2%アガロースゲルにて電気泳動を行った。UV照射下、DNAのバンドを観察した。
結果を図3に示す。図3は、ニクジュヨウを添加したNamalawa細胞では、3日後に核内DNAが断片化したことを示す。核内DNAの断片化は細胞死の1つであるアポトーシスの特徴を示すことから、実施例2で観察された細胞死を伴う増殖抑制作用の1つがアポトーシス誘導作用であることが示された。
実施例4は、ニクジュヨウのNamalwa細胞及びBALL−1細胞における細胞増殖作用を確認することを目的とする。ニクジュヨウ(ウチダ和漢薬)をミキサーにて粉砕した後、その1gを3mlの水で、50℃で30分間抽出した。抽出液をガーゼで濾過し、その濾液を2,200g、20分間、遠心した後、その上清を0.45μm、0.2μmのフィルターを用いて濾過し、不溶物を完全に除去した。透析処理は行わなかった。得られたニクジュヨウ抽出物のうち、0.5mlを分子ふるい用のゲル濾過担体であるSepadexG−75(カラム容量:約75ml、フラクションサイズ:約1.2ml、分画範囲(製品資料による):タンパク質、3,000〜70,000、デキストラン、1,000〜50,000)にアプライしてフラクションを得た。このフラクションを滅菌濾過後、培養系に15%添加して、実施例1と同様にしてNamalwaの細胞増殖抑制作用について評価した。また、Namalwaとは異なるB細胞であるBALL−1細胞についても同様にして評価した。さらに、上記細胞が分泌するIgM抗体量をELISA法により測定した。
溶出バッファー(PBS)を添加した細胞に対する、各フラクションの結果の相対比を算出して得られた結果を図4に示す。図4の矢印で示された部分に相当するフラクション番号は、図中に記載された物質の、カラムクロマトグラフィーにおいて溶出したフラクション番号を示し、これらはニクジュヨウ抽出物中の物質の分子量を推定する指標となる。図4の結果から、幅広い分子量にわたって、Namalwaの増殖抑制作用を示す物質が存在することが示された。また一方で、BALL−1細胞は、Namalwaと同様の細胞増殖抑制態様は示さなかった。逆に、分子量200万のブルーデキストランと同じ溶出分画に、SephadexG−75では分画できないほど大きな分子量を有する物質が存在し、これはBALL−1に対して、IgM産生増強を伴う増殖活性を有することが示された。なお、この分画に属する物質は、Namalwaに対して抗体産生増強作用を示さなかった。このことは、ニクジュヨウ抽出物が、細胞特異的に増殖抑制作用を示すのと同時に、細胞特異的に免疫増強作用を示すことを示す。
図中、黒丸はBALL−1細胞のIgM産生量、白丸はBALL−1の細胞数、白三角は、Namalwa細胞の細胞数を示し、それぞれ溶出バッファーのみからなるフラクション番号17のIgM産生量、細胞数を1としたときの相対比を表す。
実施例5は、ニクジュヨウ抽出物の活性成分が高熱安定性であることを確認することを目的とする。実施例4と同様にして、得られたニクジュヨウ抽出物の0.5mlをゲル濾過担体HW−40(カラム容量:約75ml、フラクションサイズ:約1.2ml、分画範囲(製品資料による):タンパク質、100〜10,000、デキストラン、100〜7,000)にアプライした。上記ゲルの分画範囲外にある、分子量200万のブルーデキストランが溶出するボイド容量中に、溶出した細胞増殖抑制作用を示す分画を回収して、オートクレーブ(120℃、20分間)にかけた。オートクレーブにかけた活性分画について、前記実施例と同様にして細胞増殖抑制効果を評価した。
その結果、本発明の細胞増殖抑制作用は、オートクレーブ処理によっても失われなかった。すなわち、本活性は、加熱処理に対しても安定であり、少なくとも100℃、10分処理以上の加熱処理でも失活せず、化学的に安定であることが示された。
実施例6は、ハマウツボ科の植物であるカンカの細胞増殖抑制作用及び免疫賦活作用を確認することを目的とする。カンカの乾燥スライス(ドナシス生薬研究所)をミキサーにて粉砕した後、そのうち1gを5mlの超純水で、50℃で30分間抽出した。抽出液をガーゼで濾過して、その濾液を2,200gで20分間、遠心した後、その上清を0.45μm、0.2μmのフィルターを用いて濾過して、不溶物を完全に除去した。透析処理は行わなかった。得られたカンカ抽出物の0.5mlを、分子ふるい用のゲル濾過担体であるHW−55(カラム容量:約75ml、フラクションサイズ:約1.2ml、分画範囲(製品資料による):タンパク質、1,000〜700,000、デキストラン、1,000〜200,000)にアプライした。得られたフラクションについて、前記実施例4と同様にして、細胞増殖抑制作用及び免疫賦活作用をNamalwa細胞およびBALL−1細胞を用いて評価した。
結果を図5に示す。図5は、免疫賦活作用を有する物質(フラクション番号26〜30)と細胞増殖抑制作用を有する物質(フラクション番号42〜46)の活性ピークが完全に分離し、これらが異なる分子量のものであることを示す。このことから、カンカがニクジュヨウと同様の作用を有することが示された。図中、黒丸はBALL−1細胞のIgM産生量、白丸はBALL−1の細胞数、白三角は、Namalwa細胞の細胞数を示し、それぞれ溶出バッファーのみからなるフラクション番号21のIgM産生量、細胞数を1としたときの相対比を表す。
実施例7は、カンカの細胞増殖抑制効果を2種の白血病由来細胞を用いて確認したことを目的とする。実施例1と同様の方法を用いて、カンカの凍結乾燥品を得た。得られた凍結乾燥品を2mlディッシュ中、抗体非分泌の2種の白血病由来(Daudi、BHL−89)細胞に対して終濃度100μg/mlにて添加して実施例1と同様の条件で4日間培養し、本発明の細胞増殖抑制効果を評価した。
その結果、カンカは、この2種の細胞についても増殖抑制効果を示すことが示された。この結果は、抗体を分泌しないガン細胞に対しても本発明の細胞増殖抑制剤が有効であることを示す。
図1は、白血病患者由来の細胞株Namalwaを用いて細胞増殖抑制効果を評価した結果を示すグラフである。 図2は、ニクジュヨウを1〜5日間培養し、増殖抑制効果を評価した結果を示すグラフである。 図3は、ニクジュヨウを培養した細胞の核内DNAのバンドを示す写真である。 図4は、ニクジュヨウをNamalwa細胞及びBALL−1細胞に添加した場合の細胞増殖抑制作用および免疫賦活作用について評価したグラフである。 図5は、カンカをNamalwa細胞及びBALL−1細胞に添加した場合の細胞増殖抑制作用および免疫賦活作用について評価したグラフである。

Claims (16)

  1. ハマウツボ科の植物体又はその抽出物を含む、細胞増殖抑制剤。
  2. ハマウツボ科の植物体がCistanche(オニク属)に属する植物体である、請求項1記載の細胞増殖抑制剤。
  3. 前記ハマウツボ科の植物体がニクジュヨウ(Cistanche salsa)又はカンカ(Cistanche tublosa)である、請求項1記載の細胞増殖抑制剤。
  4. さらに免疫賦活作用を有することを特徴とする、請求項1に記載の細胞増殖抑制剤。
  5. 細胞がガン細胞、免疫担当細胞及び病原性微生物の細胞からなる群から選ばれる少なくとも1つの細胞である、請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞増殖抑制剤。
  6. 免疫担当細胞がB細胞である、請求項5に記載の細胞増殖抑制剤。
  7. B細胞がガン化している、請求項6に記載の細胞増殖抑制剤。
  8. B細胞が自己抗体を産生する細胞である、請求項6に記載の細胞増殖抑制剤。
  9. 病原性微生物が細菌、真菌、ウイルス及び寄生虫からなる群から選択される少なくとも1の微生物である、請求項5に記載の細胞増殖抑制剤。
  10. ハマウツボ科の植物体又はその抽出物由来の活性成分を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の細胞増殖抑制剤。
  11. 活性成分が、少なくとも100℃で10分間処理しても失活しないことを特徴とする、請求項10記載の細胞増殖抑制剤。
  12. 活性成分の分子量が3,500より大きいことを特徴とする、請求項10記載の細胞増殖抑制剤。
  13. 低分子化処理により、分子量が3,500以下となった、請求項10記載の活性成分を含むことを特徴とする、請求項10記載の細胞増殖抑制剤。
  14. 活性成分が化学修飾されたことを特徴とする、請求項10から13のいずれか1項記載の細胞増殖抑制剤。
  15. 白血病、脳腫瘍、頭頸部癌、舌癌、鼻咽頭癌、甲状腺癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、胆道癌、胆嚢癌、十二指腸癌、大腸癌、結腸腺癌、頸部癌、肝癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、腎癌、膀胱癌、皮膚癌、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、中皮腫、黒色腫、骨膜肉腫、神経芽腫、神経内分泌腫瘍、形質細胞性腫瘍、I型糖尿病、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)、橋本病、バセドウ病、原発性胆汁性肝硬変、強皮症(進行性全身性硬化症)、特発性血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎・クローン病、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、糸球体腎炎、血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、シェーグレン症候群、抗リン脂質抗体症候群、多発性硬化症、多腺性自己免疫症候群、再発性多発性軟骨炎、類天疱瘡、ギラン・バレー症候群、結節性動脈周囲炎、混合性結合組織病、リウマチ熱、結節性多発動脈炎及びWegener肉芽腫症からなる群から選択される少なくとも1の疾患の治療のための、請求項1〜14記載の細胞増殖抑制剤。
  16. ハマウツボ科の植物体又はその抽出物若しくはそれらの活性成分を含む、食品。
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